特許第6234559号(P6234559)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234559ポリ−γ−グルタミン酸を含有する粘液分散または水和用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234559
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ポリ−γ−グルタミン酸を含有する粘液分散または水和用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/00 20060101AFI20171113BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20171113BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20171113BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20171113BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K38/00
   A61P11/00
   A61P11/06
   A61P1/00
   A61P43/00 105
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-516441(P2016-516441)
(86)(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公表番号】特表2016-520124(P2016-520124A)
(43)【公表日】2016年7月11日
(86)【国際出願番号】KR2014004688
(87)【国際公開番号】WO2014193132
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0059708
(32)【優先日】2013年5月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506010208
【氏名又は名称】バイオリーダーズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BIOLEADERS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】511314636
【氏名又は名称】ザ インダストリー アンド アカデミック コオペレーション イン チュンナム ナショナル ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】イ イルハン
(72)【発明者】
【氏名】イム ヨンテク
【審査官】 常見 優
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/129746(WO,A1)
【文献】 特表2011−529492(JP,A)
【文献】 特表平11−507034(JP,A)
【文献】 特表2012−531406(JP,A)
【文献】 国際公開第1999/043736(WO,A1)
【文献】 特表2009−522254(JP,A)
【文献】 特表2005−532462(JP,A)
【文献】 BIO INDUSTRY, 2005,05, Vol. 22, No. 5, p. 82-88
【文献】 障害者歯科 日本障害者歯科学会雑誌, 2005.09, Vol. 26, No. 3, p. 492
【文献】 Journal of Microbiology and Biotechnology, 2010.10, Vol. 20, No. 10, p. 1424-1429
【文献】 Vaccine, 2009.09, Vol. 27, No. 42, p. 5896-5905
【文献】 Angewandte Chemie, 2013.07, Vol. 52, No. 30, p. 7684-7689
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
38/00−38/55
41/00−45/08
48/00
51/00
9/00− 9/72
47/00−47/69
A61P 1/00−43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分散または水和用組成物。
【請求項2】
ポリ−γ−グルタミン酸は、分子量が1〜15,000kDaであることを特徴とする請求項1に記載の粘液分散または水和用組成物。
【請求項3】
ポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルはポリ−γ−グルタミン酸コレステロール重合体ナノゲルであることを特徴とする請求項1に記載の粘液分散または水和用組成物。
【請求項4】
ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分泌過多疾患治療用組成物。
【請求項5】
ポリ−γ−グルタミン酸は、分子量が1〜15,000kDaであることを特徴とする請求項4に記載の粘液分泌過多疾患治療用組成物。
【請求項6】
ポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルはポリ−γ−グルタミン酸コレステロール重合体ナノゲルであることを特徴とする請求項4に記載の粘液分泌過多疾患治療用組成物。
【請求項7】
嚢胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎、喘息性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患及び消化器疾患からなる群より選択されることを特徴とする請求項4に記載の粘液分泌過多疾患治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体親和性天然高分子であるポリ−γ−グルタミン酸を含有する粘液分散または水和用組成物に関し、より詳細には、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分泌過多疾患治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粘膜を形成する主成分であるムチンは、動物の外分泌腺から分泌される粘性物質の通称であり、糖質と結合した複合タンパク質である。このムチンは、細胞の主成分であるタンパク質の消化を促進して体内で有用な作用を行い、胃壁の保護作用、解毒作用をするものと知られている。
【0003】
ムチンが存在する器官は、口腔、鼻腔、喉頭、胃腸管、目、肛門、膣であり、その厚さは、数ナノメートルから170マイクロメータまで様々である。ムチンネットワークの構造は、様々な結合により維持されるが、その結合には、イオン結合、水素結合、ジスルフィド結合、バンデルワールス結合、ムチン同士の絡みなどがある。このような結合と連結される粘膜付着性高分子に関する研究が活発に進められており、ムチン層に存在する結合と相互作用の強い特徴を有する高分子が主である。一般的に粘膜層は、複雑な多孔性網目構造を有しており、数マイクロメータサイズのバクテリアの場合、一般的に粘膜層を通過することができないが、粘膜層が破壊されたところや薄いところでは一部通過すると知られている。10ナノメートル程度のサイズを有する抗体とそれより大きいプラスミドDNAの場合、粘膜層を通過することはできるが、粘膜層に存在する数多くの酵素により分解されるため、粘膜層を通過することが困難である。200ナノメートル以下のサイズを有するウイルスの場合、ムチンとの相互作用を減少させることにより粘膜層を迅速に通過することができる(Yang,M.et al.,Angewandte Chemie International Edition,50(11):2597−2600,2011)。
【0004】
粘液質関連疾病のうち嚢胞性線維症(Cystic fibrosis:CF)は、肺、肝、膵臓、泌尿器系、生殖器系および汗腺など、身体の様々な器官に侵入する遺伝疾患である。この疾患では、粘液が正常に形成されるべき細胞から濃くて粘り気のある粘液が形成されて、塩分と水分がうまく調節されない状態となる。肺から出る粘り気のある粘液が病原菌の移動を阻止することから細菌感染が発生しやすい。また、気管支内にある粘液分泌腺に影響を与えて非正常に濃くて粘り気のある粘液が形成され、濃い粘液によって気道閉塞、バクテリア成長の促進、炎症と感染などが生じる。
【0005】
また、慢性気管支炎(simple chronic bronchitis)、慢性閉塞性気管支炎(Chronic obstructive bronchitis)、喘息性気管支炎(Chronic asthmatic bronchitis)、肺気腫(emphysema)、慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease)を誘発することがある。膵臓では、粘り気のある粘液が膵臓液の移動を阻止して消化障害を起こし、脂肪および脂溶性ビタミンの吸収障害が生じる。そのため、栄養障害まで生じることがあるが、これは幼児にありがちである。その他にも、嚢胞性線維症によって、副鼻腔炎、鼻ポリープ、食道炎、膵臓炎、肝硬変、直腸脱、糖尿、不妊(特に男性)などが生じることがある。
【0006】
前記疾病は、粘性の蓄積と低調な分散、不適切なムチンの構造の形成と、逆機能的な粘液層クリアランス(Clearance)と関連する。すなわち、過剰な粘液質の分泌と粘性によって現れる現象である。そのため、このように過剰に分泌される粘液と粘性を低減することができれば、前記疾病の治療に役立つ。既存の治療剤は、ムチンをリーシス(lysis)する薬物がほとんどであるが、副作用が多いと報告されている(Rubin,B.K.et al.,Paediatric Respiratory Reviews,7 Suppl 1、S215−219,2006)。
【0007】
そのうち代表的な薬物としては、デオキシリボヌクレアーゼ(deoxyribonuclease)、N−アセチルシステイン(N−acetylcysteine)があるが、この場合、気道粘膜の深刻な水溶化をもたらすという問題点を有している。そのため、二つの観点から新たな治療剤の開発が求められる。第一に、既に存在している凝集した(aggregation)ムチンを分散させなければならず、第二に、新たに形成されるムチンマトリックスを既存のムチンネットワークの変性なく水和(hydration)させることである。以前の研究者らによれば、カルシウムイオン(Ca2+)の除去やキレート化(Chelating)は、ムチンネットワークの膨潤(swelling)、水和、分散(dispersion)をもたらすと知られている。チン博士(Dr.Chin)の研究によれば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなカルシウムイオンキレートが嚢胞性線維症においてムチンの分散に役立つが、その結果として、カルボキシル化(Carboxylation)したポリスチレン(polystyrene)を処理したムチンの場合、凝集したムチン(aggregated mucin)の分散が増加したことを確認し(Chen,E.Y.et al.,Scientific Reports,Vol.2 article number 211,2012)、その効果は、サイズが小さいほど大きいと報告した。しかし、ポリスチレン高分子のような非分解性合成高分子は、体内薬物としての活用に多くの問題点を有している。
【0008】
したがって、本発明者らは、ムチンの分散および水和効果を示す生体高分子を開発するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ−γ−グルタミン酸が体内で過剰に分泌されて凝集するムチンを分散させ、水和させる効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、生体由来の高分子を含有する粘液の分散および水和用組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、生体由来の高分子を含有する粘液分泌過多疾患治療用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、生体由来の高分子を用いた粘液の分散および水和方法を提供することにある。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分散または水和用組成物を提供する。
【0013】
本発明はまた、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分泌過多疾患治療用組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを用いた粘液分泌過多疾患の治療方法を提供する。
【0015】
本発明はまた、凝集した粘液にポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを処理することを特徴とする粘液の分散および水和方法を提供する。
【0016】
本発明の他の特徴および具現例は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】分子量(50kDa、500kDa、500kDa)によるポリ−γ−グルタミン酸の水力学的サイズを示す図である。
図2】50kDa−ポリ−γ−グルタミン酸とナノゲルの粘液分散および水和特性を示す図である。
図3】500kDa−ポリ−γ−グルタミン酸とナノゲルの粘液分散および水和特性を示す図である。
図4】5000kDa−ポリ−γ−グルタミン酸とナノゲルの粘液分散および水和特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
他に定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野において熟練された専門家が通常理解しているものと同一の意味を有する。一般的に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野において公知となっており、通常使用されるものである。
【0019】
本発明は、一観点で、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分散または水和用組成物およびポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを用いた粘液の分散および水和方法に関するものである。
【0020】
本発明で使用されたポリ−γ−グルタミン酸は、カルボキシル基を有するポリペプチドとして、高分子量のポリ−γ−グルタミン酸を生産する耐塩性菌株バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)リケニホルミス菌株を用いて生産される(韓国登録特許第500796号)。また、ポリ−γ−グルタミン酸を含有する抗がん組成物、免疫補強剤、免疫増強剤、ウイルス感染抑制に関する特許(韓国登録特許第496606号、第517114号、第475406号、第0873179号)も出願された。また、物質の医薬用途に関する研究が行われ続けて、様々な効能が明らかになり続けている。
【0021】
ポリ−γ−グルタミン酸は、豊富なカルボキシル基(COO−)を有しており、過剰な粘性を帯びる粘液に処理する場合、膨潤、水和、分散の効果があり、カルシウムイオンのキレートとムチンのシアリック(sialic)、サルフェート(sulfate)、カルボキシル官能基(Carboxyl functional group)のようなアニオン性物質と静電気的反発力をもたらすことがある。
【0022】
本発明では、分子量が50kDa、500kDa、5000kDaであるポリ−γ−グルタミン酸を用いて粘液質の分散および水和効果を試験した。図1〜4に示されたように、ポリ−γ−グルタミン酸が1mg/mLの濃度で使用されたとき、ムチンのサイズが急激に減少することを確認することができた。また、ポリ−γ−グルタミン酸−コレステロールナノゲルを様々な濃度(1mg/mL、500μg/mL、10μg/mL)で処理したとき、濃度が高くなるほどムチンの分散にさらに大きい効果を示すことを確認することができた。
【0023】
また、本発明の一様態では、ポリ−γ−グルタミン酸とコレステロール−アミンを反応させて製造したポリ−γ−グルタミン酸−コレステロールナノゲルを使用して、粘液質の分散および水和効果を確認した。その結果、図2〜4に示されたように、ムチンが分散および水和し、ムチンのサイズが急激に減少することを確認することができた。
【0024】
他の観点で、本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを含有する粘液分泌過多疾患治療用組成物に関するものである。
【0025】
ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルの粘液分散および水和能は、過剰な粘液質の分泌によって発生する疾患の治療および症状改善に使用されることができる。
【0026】
さらに他の観点で、本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを用いた粘液分泌過多疾患の治療方法に関するものである。
【0027】
本発明において、粘液は、口腔、鼻腔、呼吸器粘膜、目の粘膜、生殖器粘膜、皮膚潰瘍部位などの粘膜層に存在する粘液質を意味する。
【0028】
嚢胞性線維症(CF)は、肺、肝、膵臓、泌尿器系、生殖器系および汗腺などの器官の細胞で濃くて粘り気のある粘液が形成されて塩分と水分がうまく調節されない状態になる。嚢胞性線維症によって、2次的に副鼻腔炎、鼻ポリープ、食道炎、膵臓炎、肝硬変、直腸脱、糖尿、不妊(特に男性)などが生じることがある。
【0029】
ポリ−γ−グルタミン酸またはポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを嚢胞性線維症患者に投与すると、過剰に分泌された粘液が分散および水和して患者の不都合が減少し、前記2次疾病への発病も予防することができる。
【0030】
また、粘液質の分泌過多は、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎、喘息性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患を誘発することがある。膵臓では、過剰な粘液質の分泌は、膵臓液の移動を阻止して消化障害を起こし、脂肪および脂溶性ビタミンの吸収障害が生じる。
【0031】
本発明において、前記粘液分泌過多疾患は、嚢胞性線維症(CF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、慢性閉塞性気管支炎、喘息性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患、消化器疾患などを含むが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものと解釈されないことは当業界において通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0033】
≪実施例1:ポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルの合成≫
コレステロール−アミンを合成するために、エチレンジアミン(250mmol)を250mLのトルエンに溶解させ、2.25gのコレステロールを50mLのトルエンに溶解させて10分程度の時間でエチレンジアミン溶液に滴下する。混合液を形成した後、直ちに室温で16時間攪拌して反応させた。反応が終了した後、脱イオン水を用いて数回洗浄し、クリーンになった有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。乾燥した溶液でトルエンを回転蒸発させ、20mLのジクロロメタンと20mLのメタノールを混合した溶液で数回洗浄し、1PTFEフィルターを用いて濾過し、白色の固体状のコレステロール−アミンを製造した。
【0034】
ポリ−γ−グルタミン酸(1g、(株)Bioleaders社製、韓国)を40℃で10mLのDMSO(10mL)に約一日溶解させ、前記製造されたコレステロール−アミン(1g、忠南大学提供)を室温で10mLのTHF(Tetrahydrofuran、シグマアルドリッチ社製、米国)に溶解させた。コレステロール−アミン溶液をポリ−γ−グルタミン酸溶液に徐々に滴下し、混合された二つの溶液にCDI(1g、Carbodiimide、シグマアルドリッチ社製、米国)を入れた後、40℃で約一日反応させた。反応された溶液を室温で冷やした後、回転蒸発によりTHFを除去した。前記溶液をアセトンにより沈殿させ、遠心分離により溶媒と溶質を十分に分離させてアセトンを除去し、40℃で残っているアセトンを乾燥させた。乾燥した試料を脱イオン水に入れ、炭酸水素ナトリウムを最初反応させたポリ−γ−グルタミン酸と同様なモル数で入れてポリ−γ−グルタミン酸を中和させた。完全に溶解した溶液にアンバーライト(5g、シグマアルドリッチ社製、米国)で2時間程度攪拌し反応していないコレステロールおよび不純物を除去する。メッシュを介してアンバーライトを除去し、セルロースメンブレンチューブ(MWCO12,000、シグマアルドリッチ社製、米国)を用いて2日間透析した。透析された溶液を凍結乾燥により試料として得た。前記ナノミセルをNMRで分析してコレステロールの導入量を測定した。NMR分析結果、1.7mol%のコレステロールが結合したことを確認した。
【0035】
≪実施例2:ポリ−γ−グルタミン酸の粘液質水和および分散効果の実験≫
ポリ−γ−グルタミン酸の粘液質水和および分散効果の実験は、次のような過程で行った。まず、Pocrine gastric mucin(シグマアルドリッチ社製、米国)を1mg/Lの濃度で1.2mM Ca2+、20mM Tris−HCl、10mM MES with HBSS bufferに完全に溶解した。0.1N HClで洗浄した0.2μm PESメンブレンフィルター(membrane filter)で濾過(filtration)した。次に、48時間ムチンが凝集するように静置した後、時間別にムチンのサイズをDLS(Dynamic Light Scattering、大塚製薬社製、日本)で測定した。
【0036】
48時間が経過した後、ポリ−γ−グルタミン酸((株)Bioleaders社製、韓国)および実施例1で製造したポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルを分子量別(50、500、5000kDa)に1mg/mL、500μg/mLおよび100μg/mLを入れて0時間、1.5時間、4時間後、DLSでサイズを測定した。
【0037】
その結果、図1に示されたように、分子量(50kDa、500kDa、5000kDa)によるポリ−γ−グルタミン酸の水力学的サイズ(hydrodynamic size)は、分子量が大きくなるほど水力学的サイズも増加することが分かる。
【0038】
図2を参照すると、粘膜層高分子(1mg/mL)の水力学的サイズは、時間が経過するにつれてサイズが増加することが分かるが、これは、粘膜層が徐々に凝集する現象が起こっていることを示す。しかし、50kDa−ポリ−γ−グルタミン酸0.1mg/mLを加えたときに、水力学的サイズは測定することができないほどに小さくなることが分かるが、これは、凝集した粘膜層が水和または分散したことを意味する。
【0039】
また、約0.1〜0.5mg/mLのポリ−γ−グルタミン酸ナノゲルが導入されたとき、1.5時間後には粘膜層のサイズが急激に減少し、4時間が経過した後にはそのサイズがまた増加することから、粘膜層がまた凝集する現象が起こることが分かった。しかし、約1mg/mL濃度以上では、時間が経過しても粘膜層が水和し十分分散されており、そのサイズを測定することができなかった。
【0040】
図3図4では、ポリ−γ−グルタミン酸の分子量を500kDaと5000kDaに増加させたポリ−γ−グルタミン酸とそのナノゲルの粘液分散および水和特性を示しているが、先の場合と類似の傾向を示した。ポリ−γ−グルタミン酸が1mg/mLの濃度で使用されたとき、ムチンのサイズが急激に減少することを確認することができ、ポリ−γ−グルタミン酸−コレステロールナノゲルを様々な濃度(1mg/mL、500μg/mL、10μg/mL)で処理したとき、濃度が高くなるほどムチンの分散にさらに大きい効果を示すことを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、生体から過剰に分泌され、高い粘性を有する粘液質を効率よく分散および水和させることにより、粘液関連疾患疾病の治療に有用である。
【0042】
以上、本発明における内容の特定の部分について詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとってかかる具体的技術は単に好ましい実施様態であって、これにより本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかであろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物により定義されると言える。
図1
図2
図3
図4