(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234579
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】複合式バイオマス加圧熱分解方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C10J 3/02 20060101AFI20171113BHJP
C10J 3/08 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
C10J3/02 E
C10J3/02 K
C10J3/02 H
C10J3/02 J
C10J3/08
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-534973(P2016-534973)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公表番号】特表2017-501254(P2017-501254A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】CN2014090887
(87)【国際公開番号】WO2015078297
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年7月7日
(31)【優先権主張番号】201310628406.X
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512244657
【氏名又は名称】武▲漢凱▼迪工程技▲術▼研究▲総▼院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼岩▲豊▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼亮
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲義▼▲龍▼
【審査官】
森 健一
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第102796561(CN,A)
【文献】
特開昭54−163903(JP,A)
【文献】
特開平02−047193(JP,A)
【文献】
特表2005−500898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合式バイオマス加圧熱分解方法であって、バイオマス燃料を耐圧熱分解炉内で加圧熱分解反応させ、熱分解炉を加圧動作状態に保持し、
以下の工程、
1)バイオマス燃料を破砕し篩処理し所望の粒径にし、供給シールガスを使用して濃密相静圧輸送するために、専用のパルス式加圧供給システムに送り、
2)破砕されたバイオマス粒を、パルス式加圧供給システムを経て熱分解炉内に輸送し、同時に、マイクロ波とプラズマトーチを始動させ、マイクロ波によって熱分解炉内に高強度マイクロ波場を形成し、プラズマトーチの作動ガスの一次電離によって形成された高温プラズマジェットを熱分解炉内に導入し、
バイオマス粒がマイクロ波を吸収した後バイオマス粒の内外が同時に昇温し、活性化し、熱分解し、高温の上昇ガスと炉内の高強度マイクロ波エネルギの作用下で、バイオマス粒が瞬間的に乾燥し、分裂し、また急速に昇温して高温の合成ガスを生成し、熱分解後に残るアッシュスラグと少量のコークスが固定床層を形成して下方へ移動し、
高強度マイクロ波場の電磁複合作用下で、プラズマジェットは、荷電イオンの周りのガスを持続して電離させて、高エネルギ、高活性の二次イオン場を形成し、これにより更にバイオマス粒燃料物質の伝熱および物質移動反応速度を加速させ、固定床層の底部においては、プラズマトーチの発生させた高温プラズマジェットガスがコークスまたは他の炭素含有物質を完全に高温の合成ガスに変換し、同時に、熱分解炉内を加圧動作状態に保持することによって炉内の気相の物質の濃度を継続して高めて更に反応速度を加速し、気体−固体反応接触時間を長くして、底部の固体バイオマス粒燃料を完全に高温の合成ガスに変換し、
固定床層が下方に移動すると同時に、高温の合成ガスが上に移動して固定床層に熱エネルギを提供し、同時に、上部における熱分解反応に原料ガスであるCO2を提供し、非炭素含有物質は継続して下に移動してアッシュスラグとなり、高温環境化で、アッシュスラグは液体状を呈して熱分解炉の底部に蓄積し、液体アッシュスラグを定期的または連続的に排出してスラグの液位を設定液位に維持し、
3)工程2)において生成される高温の合成ガスを、上昇継続させて熱分解炉頂部から導出し、配管内で循環合成ガスを使用して急冷降温後、サイクロン分離器に入れてフライアッシュを分離し、最後に、冷却装置および浄化装置に入れて、クリーンな合成ガスを生成する、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
熱分解炉の合成ガス出口温度は1100℃〜1300℃以上、熱分解反応温度は1200℃以上、底部の高温のスラグプールは1300℃〜2000℃に維持し、バイオマス燃料がアッシュ溶融点の高い燃料の場合には、石灰石を融剤として添加して、スラグの溶融点温度を下げ、
熱分解炉のマイクロ波入口は、環状配置を採用し、燃料特性に応じて多層配置とし、単一のマイクロ波の出力は300kw以下、高温の合成ガスの炉内滞留時間は8〜15秒、炉内の絶対圧力は、0.1Mpa〜5Mpaとすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程3)において、単位時間当たりのマイクロ波およびプラズマトーチによる総入力エネルギは、バイオマス燃料による総入力エネルギの15〜30%を占め、プラズマ作動ガスに酸素ガスを採用する場合、コークスの質量はバイオマス燃料の質量の10%以下であり、マイクロ波とプラズマトーチで消費される総電気エネルギは、バイオマス燃料の総エネルギの5〜10%であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
工程3)において、サイクロン分離器を出た合成ガスを、後続利用工程に応じ、徐々に冷却して水で洗浄する工程、または、水で急冷する工程によって処理することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程2)において、熱分解炉の底部に蓄積する液体スラグを定期的または連続的に排出してスラグの液位を維持し、液体スラグを、水冷却または水急冷装置を備えたスラグロックを通過させた後、常温状態で、回収、利用することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
プラズマトーチの作動ガスは、二酸化炭素ガスおよび/または水蒸気および/または酸素ガスおよび/または浄化後の合成ガスであり、プラズマトーチ作動ガスの一次電離によって形成されるプラズマジェットは、イオン、電子およびフリーラジカルを含む高エネルギ活性粒子によって構成されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
パルス式加圧供給システムは、供給輸送ガスによって供給し、供給輸送ガスは、窒素ガス、蒸気、二酸化炭素ガスまたは浄化された合成ガスであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれか一つに記載の方法を使用する熱分解システムであって、熱分解炉、パルス式供給システム、サイクロン分離器、熱分解炉の頂部に設置された高温合成ガス出口、中央部の両側に設置された供給口、下部に設置された複数のマイクロ波入口およびプラズマトーチインターフェース、底部に設置されたスラグ蓄積プール、スラグ蓄積プールの下に設置されたスラグ排出口を含み、熱分解炉のマイクロ波入口とプラズマトーチインターフェースは、均等に多層に配置され、全ての層が均等間隔に配置され、
プラズマトーチインターフェースはマイクロ波入口より下でスラグ蓄積プールの液位面より上に配置され、プラズマトーチインターフェースのプラズマのジェット方向はマイクロ波入口のマイクロ波場の範囲内に入り、単一のマイクロ波入口のマイクロ波出力は300kw以下であり、
パルス式供給システムと熱分解炉の供給口は供給管を介して接続され、パルス式供給システムは供給輸送ガス配管と連通し、設置された供給制御装置によって開閉制御を行い、熱分解炉頂部の合成ガス出口はサイクロン分離器と接続され、熱分解炉底部のスラグ排出口はスラグロックと接続され、サイクロン分離器のアッシュ出口はアッシュロックと接続され、サイクロン分離器は冷却装置と接続され、冷却装置は浄化装置と接続され、熱分解炉頂部の合成ガス出口とサイクロン分離器の間には、高温合成ガス循環急冷装置が設置されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
加圧熱分解炉の炉体底部のスラグ排出口の外側に少なくとも2基のスラグロックが直列に設置され、サイクロン分離器底部のアッシュ出口の外側に少なくとも2基のアッシュロックが直列に設置されることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
浄化装置の下流にさらに脱炭塔が設置され、脱炭塔の二酸化炭素ガス出口がパルス式供給システムの供給輸送ガス配管と連通することを特徴とする、請求項8または9のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス燃料のガス化分野、具体的には、マイクロ波とプラズマを用いた熱分解によるバイオマス合成ガスの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス燃料利用領域においては、直接燃焼とは異なり、バイオマスのガス化により、固体バイオマス燃料を、一酸化炭素および水素ガスを豊富に含む合成ガスに変換している。合成ガスは、メタン、アンモニア、尿素、メタノールおよび液体燃料製造の原料ガスとして使用可能である。これにより、バイオマスの用途が豊富になり、バイオマスの利用領域が拡大した。
【0003】
バイオマス熱分解ガス化工程において、熱分解ガス化反応の反応全体は吸熱過程であるため、熱分解過程で熱分解反応を維持するためには外部エネルギを添加することが必要である。通常の熱分解技術では、一般に、隔壁伝熱方式が採用され、熱は隔壁を通り燃料表面を通って、外側から内側へ徐々に伝達されるため、エネルギ伝達効率が低い、燃料の熱分解が不完全になるといった欠点がある。
【0004】
新たに出現したマイクロ波熱分解炉は、マイクロ波を加熱熱源として採用し、その加熱効率は、隔壁伝熱方式と比べて明らかに高い。しかし、マイクロ波熱分解の利用には、バイオマス熱分解反応が不完全である、ガスの収量が低い、熱分解生成物の大部分がコークスに変換され、バイオマスを全て合成ガスに変換することができない、といった欠点が存在する。
【0005】
特許文献1は、太陽エネルギ、マイクロ波およびプラズマを用いてバイオマスまたは炭から液体燃料および水素ガスを製造する方法について開示している。この方法では、種々のプラズマ(電子プラズマ、マイクロ波プラズマ、ICPプラズマおよびレーザー誘起プラズマ)を用いることによって、CO
2形式での炭素の損失を最小化する。全工程を通じて、これらのプラズマは、炭素を酸化してCOを生成するため、および、CO
2を還元してCOを生成するための付加手段として使用される。種々の金属元素(Mg、Mn、Al、Fe、Si、SiO
2等)を加えることによって、プラズマの効果が増強される。特許文献2、特許文献3、特許文献4においては、何れも、炉内でのガス化工程のために単一のマイクロ波プラズマ設備を利用して炉内のガス化を行う方法が開示されている。現在まで、特定の磁場制限によってプラズマを励起し二次プラズマ場を形成し炉内のガス化反応を強化する応用方法については報告されていない。
【0006】
更に、バイオマス熱分解ガス化過程中に加圧することにより生産能力を高め、単炉当たりの生産量を増加させ、酸素消費量を減少させ、キャリオーバー損失を減少させることができる。加圧合成ガスを用いてオイルを合成する技術に関しては、前段階で圧縮することより、後段階での圧縮のためのエネルギ消費量を大幅に削減し、システム全体のエネルギ効率を高めることができる。また、加圧後は物質濃度が高まるので、同程度のサイズの設備であれば処理能力が大きくなる。しかし、バイオマス燃料の特性として、従来の加圧供給方式は、原料を成形したり、パルプ状にしたり、粉状にしたりする必要があったため、加圧供給工程は操作が比較的困難で、経済性に劣っていた。現在に至るまで、加圧バイオマス熱分解炉/ガス化炉の成功は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願第200880124955.0号
【特許文献2】中国特許出願第201110449489.7号
【特許文献3】中国特許出願第201110449413.4号
【特許文献4】中国特許出願第201110449459.6号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決すべき課題は、一種の複合式バイオマス加圧熱分解方法およびシステムを提供することである。マイクロ波とプラズマの複合技術の採用により、バイオマス燃料の可燃成分を全て高効率で合成ガスに変換し、経済性に優れ、効率が高く、炭素変換率が高く、合成ガスの品質が優れている。有効ガス体積含有率は90%以上に達する。また、本発明の熱分解炉は単炉当たりの処理能力が高く、後続の利用工程中に圧縮機を増設する必要がないため、圧縮仕事を大幅に省き、システムのエネルギ消費を低下させることができる。さらに、生成される合成ガス中にタールが含まれないため、後続の浄化工程が簡単になり環境汚染も引き起こさない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の技術案を採用する。
【0010】
複合式バイオマス加圧熱分解方法であって、バイオマス燃料を耐圧熱分解炉内で加圧熱分解反応させ、熱分解炉を加圧動作状態に保持し、以下の工程を含むことを特徴とする。
【0011】
1)バイオマス燃料を破砕し篩処理して所望の粒径にし、供給シールガスを利用して濃密相静圧輸送するために、専用のパルス式加圧供給システムに送る。
【0012】
2)破砕されたバイオマス粒を、パルス式加圧供給システムを経て熱分解炉内に輸送し、同時に、マイクロ波とプラズマトーチを始動させ、マイクロ波によって熱分解炉内に高強度マイクロ波場を形成し、プラズマトーチの作動ガスの一次電離によって形成された高温プラズマジェットを熱分解炉内に導入し、
バイオマス粒がマイクロ波を吸収した後バイオマス粒の内外が同時に昇温し、活性化し、熱分解し、高温の上昇ガスと炉内の高強度マイクロ波エネルギの作用下で、バイオマス粒が瞬間的に乾燥し、分裂し、また急速に昇温して高温の合成ガスを生成し、熱分解後に残るアッシュスラグと少量のコークスが固定床層を形成して下方へ移動し、
高強度マイクロ波場の電磁複合作用下で、プラズマジェットは、荷電イオンの周りのガスを持続して電離させて、高エネルギ、高活性の二次イオン場を形成し、これにより更にバイオマス粒燃料物質の伝熱および物質移動反応速度を加速させ、固定床層の底部においては、プラズマトーチの発生させた高温プラズマジェットガスがコークスまたは他の炭素含有物質を完全に高温の合成ガスに変換し、同時に、熱分解炉内を加圧動作状態に保持することによって炉内の気相の物質の濃度を継続して高めて更に反応速度を加速し、気体−固体反応接触時間を長くして、底部の固体バイオマス粒燃料を完全に高温の合成ガスに変換し、
固定床層が下方に移動すると同時に、高温の合成ガスが上に移動して固定床層に熱エネルギを提供し、同時に、上部における熱分解反応に原料ガスであるCO
2を提供し、非炭素含有物質は継続して下に移動してアッシュスラグとなり、高温環境化で、アッシュスラグは液体状を呈して熱分解炉の底部に蓄積し、液体アッシュスラグを定期的または連続的に排出してスラグの液位を設定液位に維持する。
【0013】
3)工程2)において生成される高温の合成ガスを、上昇継続させて熱分解炉頂部から導出し、配管内で循環合成ガスを使用して急冷降温後、サイクロン分離器に入れてフライアッシュを分離し、最後に、冷却装置および浄化装置に入れて、クリーンな合成ガスを生成する。
【0014】
本発明の方法において、熱分解炉の合成ガス出口温度は1100℃〜1300℃以上、熱分解反応温度は1200℃以上、底部の高温のスラグプールは1300℃〜2000℃に維持し、バイオマス燃料がアッシュ溶融点の高い燃料の場合には、石灰石を融剤として添加して、スラグの溶融点温度を下げる。
【0015】
熱分解炉のマイクロ波入口は、環状配置を採用し、燃料特性に応じて多層配置とし、単一のマイクロ波の出力は300kw以下、高温の合成ガスの炉内滞留時間は8〜15秒、炉内の絶対圧力は、0.1Mpa〜5Mpaとする。
【0016】
本発明の方法の工程3)において、単位時間当たりのマイクロ波およびプラズマトーチによる総入力エネルギは、バイオマス燃料による総入力エネルギの15〜30%を占め、プラズマ作動ガスに酸素ガスを採用する場合、コークスの質量はバイオマス燃料の質量の10%以下であり、マイクロ波とプラズマトーチで消費される総電気エネルギは、バイオマス燃料の総エネルギの5〜10%である。
【0017】
本発明の方法の工程3)において、サイクロン分離器を出た合成ガスを、後続利用工程に応じ、徐々に冷却して水で洗浄する工程、または、水で急冷する工程によって処理する。
【0018】
本発明の方法の工程2)において、熱分解炉の底部に蓄積する液体スラグを定期的または連続的に排出してスラグの液位を維持し、液体スラグを、水冷却または水急冷装置を備えたスラグロックを通過させた後、常温状態で、回収、利用する。
【0019】
本発明の方法において、プラズマトーチの作動ガスは、二酸化炭素ガスおよび/または水蒸気および/または酸素ガスおよび/または浄化後の合成ガスであり、プラズマトーチ作動ガスの一次電離によって形成されるプラズマジェットは、イオン、電子およびフリーラジカルを含む高エネルギ活性粒子によって構成される。
【0020】
本発明の方法において、パルス式加圧供給システムは、供給輸送ガスによって供給し、供給輸送ガスは、窒素ガス、蒸気、二酸化炭素ガスまたは浄化された合成ガスである。
【0021】
前記方法を採用する熱分解炉システムは、熱分解炉、パルス式供給システム、サイクロン分離器、熱分解炉の頂部に設置された高温合成ガス出口、中央部の両側に設置された供給口、下部に設置された複数のマイクロ波入口およびプラズマトーチインターフェース、底部に設置されたスラグ蓄積プール、スラグ蓄積プールの下に設置されたスラグ排出口を含み、熱分解炉のマイクロ波入口とプラズマトーチインターフェースは、均等に多層に配置され、全ての層が均等間隔に配置される。
【0022】
プラズマトーチインターフェースはマイクロ波入口より下でスラグ蓄積プールの液位面より上に配置され、プラズマトーチインターフェースのプラズマのジェット方向はマイクロ波入口のマイクロ波場の範囲内に入り、単一のマイクロ波入口のマイクロ波出力は300kw以下である。
【0023】
パルス式供給システムと熱分解炉の供給口は供給管を介して接続され、パルス式供給システムは供給輸送ガス配管と連通し、設置された供給制御装置によって開閉制御を行い、熱分解炉頂部の合成ガス出口はサイクロン分離器と接続され、熱分解炉底部のスラグ排出口はスラグロックと接続され、サイクロン分離器のアッシュ出口はアッシュロックと接続され、サイクロン分離器は冷却装置と接続され、冷却装置は浄化装置と接続され、熱分解炉頂部の合成ガス出口とサイクロン分離器の間には、高温合成ガス循環急冷装置が設置される。
【0024】
上述の技術案において、加圧熱分解炉の炉体底部のスラグ排出口の外側に少なくとも2基のスラグロックが直列に設置され、サイクロン分離器底部のアッシュ出口の外側に少なくとも2基のアッシュロックが直列に設置される。
【0025】
上述の技術案において、浄化装置の下流にさらに脱炭塔が設置され、脱炭塔の二酸化炭素ガス出口がパルス式供給システムの供給輸送ガス配管と連通している。
【発明の効果】
【0026】
従来技術と対比した本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0027】
本発明は、バイオマス燃料の可燃成分を全て変換して高品質の合成ガスとするので、有効ガス含有率が高く、同時に、後続の利用工程中の加圧要求を満足させることができる。また、通常のバイオマス熱分解技術では、良質な合成ガスを製造できるものの、いずれも、燃料重量の20〜30%を占める重量のコークスが残ってしまうと同時に、コークスとアッシュスラグが混在し、大量の顕熱損失が生じるだけでなく、高温分解によって生成するコークスはバイオマスと比べて反応活性が低くガス化反応の継続にとって不利であり、炭素含有原料の損失も生じていた。
【0028】
この他に、上述のように、本発明の方法は、高温熱分解を採用し、熱分解炉内の高強度マイクロ波場を常に保持するので、残留するコークスを10%以下とすることができる。
【0029】
最も重要な点は、熱分解炉の底部においてマイクロ波とプラズマの複合原理を利用して、高エネルギ、高活性の二次イオン場を形成することと、熱分解炉底部にスラグ蓄積プールがあることである。多くの研究が、バイオマスのスラグには比較的多くのアルカリ金属物質が含まれ、燃料の反応性に対して明らかな触媒作用を引き起こすことを示している。これにより、気−固−液三相間の物質移動化学反応を加速し、変換率を向上させ、反応時間を短縮し、バイオマス燃料を完全に合成ガスに変換する。
【0030】
本発明の主な長所は以下の通りである。
【0031】
1:マイクロ波とプラズマの複合熱分解技術を採用し、加熱過程に熱慣性がなく、高温イオン状態で熱分解を行うので、完全に熱分解し、可燃成分が全て合成ガスに変換され、効率が高く、炭素変換率が高く、合成ガスの品質が良好で、有効ガス体積含有率が90%以上に達する。
【0032】
2:熱分解炉の原料供給部に加圧操作を採用しているため、単炉当たりの処理能力が高く、後続の利用工程中に圧縮機の必要がないため、圧縮仕事を大幅に省き、システムのエネルギ消費を低下させることができる。
【0033】
3:合成ガス中にタールが含まれないため、後続の浄化工程が簡単で、環境汚染がない。
【0034】
4:濃密相静圧輸送するので、バイオマス原料のサイズを過度に破砕する必要がなく、経済性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施形態の複合式バイオマス加圧熱分解炉のシステム構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、もみ殻を例として、流れ図を参照しながら本発明の複合式バイオマス加圧熱分解炉システムの実施形態について説明する。
【0037】
図1に示す複合式バイオマス加圧熱分解炉システムは、熱分解炉2、パルス型供給システム1、サイクロン分離器4を含む。熱分解炉2の頂部には、高温合成ガス出口14が設置され、中央部の両側には供給口が設置され、下部には複数のマイクロ波入口12とプラズマトーチ13インターフェースが配置され、底部にはスラグ蓄積プールが設置され、スラグ蓄積プールの下にはスラグ排出口が設置されている。熱分解炉のマイクロ波入口12およびプラズマトーチ13インターフェースは多層、環状に、均等の間隔で配置されている。単一のマイクロ波の出力が300kw以下であること、プラズマトーチ13インターフェースがマイクロ波入口12より下でスラグ蓄積プールの液位面より上に配置されること、プラズマトーチインターフェースのプラズマのジェット方向がマイクロ波入口のマイクロ波場の範囲内であることを特徴とする。
【0038】
パルス式供給システム1は、供給管11を介して、熱分解炉の供給口と接続されている。パルス式供給システム1は、供給輸送ガス配管と接続され、供給制御装置が設置されて開閉制御を行う。熱分解炉頂部の合成ガス出口はサイクロン分離器と接続され、熱分解炉底部のスラグ排出口はスラグロック3と接続され、サイクロン分離器4のアッシュ出口はアッシュロック5と接続され、サイクロン分離器4は冷却装置6と接続され、冷却装置6は浄化装置7と接続される。熱分解炉頂部の合成ガス出口14とサイクロン分離器4の間には、高温合成ガス循環急冷装置が設置されている。
【0039】
上述の技術案において、熱分解炉2の炉体底部のスラグ排出口の外側に少なくとも2基のスラグロック3が直列に設置され、サイクロン分離器4底部のアッシュ出口の外側に少なくとも2基のアッシュロックが直列に設置されている。
【0040】
上述の技術案において、浄化装置7の下流にさらに脱炭塔8が設置され、脱炭塔の二酸化炭素ガス出口がパルス式供給システム1の供給輸送ガス配管と連通している。
【0041】
図1に示すように、複合式バイオマス加圧熱分解工程は以下の通りである。
【0042】
1)まず、もみ殻を破砕し篩処理して3mmより小さいサイズとし、その後、もみ殻16をパルス式供給システム1に入れる。パルス式供給システム1は圧縮機9によって供給輸送ガス17を加圧し、加圧された輸送ガスを供給容器の頂部と底部にあるガス分配板およびパルス式ガスナイフバルブに輸送する。供給制御装置10によって各配管のバルブの開閉を制御し、供給管11中のもみ殻をプラグ式静圧輸送する。加圧された輸送ガス17の一部は、供給プラグとガス化炉入口付近に導入されて、供給シールガス18として機能して供給を支持する。シールガスは、一方では、熱分解炉の供給口を冷却してバイオマス粒が供給口でコークス化するのを防止することができ、また一方では、供給口付近におけるシールガスの運動エネルギにより燃料を輸送し、詰まりやブリッジ形成を避けることができる。
【0043】
2)もみ殻16は熱分解炉2に輸送され、高温の上昇ガスと炉内の高強度のマイクロ波エネルギの作用下で瞬間的に乾燥し、分裂し、また急速に昇温する。もみ殻はマイクロ波を吸収することで粒の内外が同時に昇温し、加熱作用に熱慣性がない。この種の加熱方式は、熱エネルギが粒の外壁から粒の内部に伝達する加熱方式と異なる。このため、粒状の燃料に対して良好な活性化作用を及ぼし、熱分解の反応速度が上がり、バイオマス燃料は、熱分解炉に入った後短時間で大部分が熱分解し、バイオマス合成ガスになる。合成ガスの主要成分は、CO、CH
4、H
2、さらに、少量のCO
2、H
2O等である。この工程では、酸化剤またはガス化剤が必要なく、合成ガスは、バイオマス燃料の特性を利用して、完全に、バイオマス燃料自体の熱分解反応によって生成する。
【0044】
3)もみ殻の熱分解後に残留するアッシュスラグと少量のコークスが固定床層を形成する(この床層は、完全に、バイオマス燃料熱分解後の残留炭素物質によって構成され、反応活性が非常に低く、燃やし尽くすのが困難である。)固定床層は下方へ移動する。固定床層の底部においては、プラズマトーチ13が高温のプラズマガス流を発生させ、コークスを高温でガス化する。プラズマ状態の高温ガス流は、高強度マイクロ波場の電磁複合作用の下で、荷電イオン活性が更に高まり、反応性が更に強まり、炭素含有物質を完全に高温の合成ガスに変換させる。合成ガスは上に移動して固定床層に熱エネルギを提供するとともに、上部における熱分解反応に原料ガスであるCO
2を提供する。非炭素含有物質は継続して下に移動してアッシュスラグとなる。高温環境化で、アッシュスラグは液体状を呈し、底部に蓄積してスラグプールを形成する。液体スラグは、定期的または継続的に排出して、スラグの液位を維持する。液体スラグは、水冷却または水急冷装置を備えたスラグロック3を通過した後、常温状態で、回収、利用する。
【0045】
4)高温の合成ガスは熱分解炉2の合成ガス出口14から導出され、高温サイクロン分離器4に入る。サイクロン分離器4に入る配管内に循環合成ガス急冷方式を採用することによって、合成ガス中のアッシュスラグ温度が、アッシュ溶融点以下に低下する。サイクロン分離器によって分離されたフライアッシュ20はアッシュロック5に入り、分離後の合成ガスは冷却装置6に入る。合成ガス冷却のため、急冷塔または廃熱ボイラ等の設備
を採用する。
【0046】
5)降温後の合成ガスは、その後、浄化装置7に入り、合成ガス中の有害気体不純物が除去される。同時に、浄化装置7は、特に急冷工程で生じた飽和蒸気に富む合成ガスの変換工程のために、変換反応に必要な変換塔も含む。
【0047】
6)好適には、浄化装置7に続いて脱炭塔8を設置し、合成ガス中の二酸化炭素ガス21を除去する。このようにして質を高めた完成品の合成ガス22は、発熱量が更に高く、品質が更に良い。二酸化炭素ガス21は、供給輸送ガス17として使用できる。
【0048】
1)において、燃料を過度に破砕する必要はなく、粒のサイズは10mm以下、好適には3mm以下であればよい。燃料は、できるだけ乾燥させなければならない。燃料の水分が多いと、合成ガスの品質とシステムのエネルギ消費に影響を及ぼす。好適には、燃料の乾燥に廃熱を使用できる。
【0049】
1)において、供給輸送ガス17は二酸化炭素ガス、窒素ガス、または蒸気等の輸送媒体であり、脱炭塔8で生じる二酸化炭素ガス21を再利用してもよく、また、熱分解後の高温の合成ガスを利用してもよい。
【0050】
2)において、熱分解炉2のマイクロ波入口12は、環状配置を採用し、燃料特性に応じて多層配置としてもよい。単一のマイクロ波出力は300kw以下とする。合成ガスの高温領域滞留時間は8〜15秒である。炉内の絶対圧力は、後続の利用工程に応じて経済性を考慮して決定する。好適には0.1Mpa〜5Mpaである。
【0051】
3)において、プラズマトーチ13は、主に高温熱源を提供し、これにより底部の液体スラグを一定の液位に維持させ、液体スラグプールの蓄熱能力によって炉内の動作状態を安定に維持する役割を果たす。プラズマトーチの作動ガスは、浄化後の合成ガス22および/または二酸化炭素ガス21および/または水蒸気および/または酸素ガスである。
【0052】
3)において、単位時間当たりのマイクロ波およびプラズマトーチによる総入力エネルギは、バイオマス燃料による総入力エネルギの15〜30%を占める。電気エネルギとして、太陽エネルギ発電、廃熱発電、あるいは電力需要ピークの谷間時の低価格の電気エネルギを利用することにより、エネルギコストを下げ、工程の経済性を向上させる。特に、プラズマ作動ガスに酸素ガスを採用する場合、酸素ガスと底部のコークスが激しい燃焼放熱反応を起こし、全体の熱分解反応のために熱エネルギを提供する。コークスの質量はバイオマス燃料の質量の10%以下である。この時、マイクロ波とプラズマトーチで消費される総電気エネルギは、バイオマス燃料の総エネルギの5〜10%になる。
【0053】
3)において、熱分解反応温度は、1100℃以上、底部の高温スラグプールは1300℃〜2000℃、好適には1400℃〜1600℃に維持する。アッシュ溶融点の高い燃料に対しては、石灰石等の融剤を添加してスラグの溶融点温度を下げることができる。
【0054】
3)における熱分解の動作条件が複雑なため、従来の手動操作による方法では、複合式熱分解工程の操作要求を満たすことができない。このため、熱分解炉制御装置15を設置することによって、合成ガス温度、マイクロ波出力、プラズマ出力、スラグの液位等のパラメータの制御を行っている。
【0055】
4)において、熱分解炉頂部から高温サイクロン分離器4に至る循環急冷の急冷区間の温度範囲を600℃から850℃に制御することが好ましい。
【0056】
上記した本発明の実施形態は、本発明に対して何らかの制限となるものではなく、本発明の技術内容から離脱せず、本発明の技術の実質に基づいて、上記実施形態に対して行った改修、同等の変化および修飾は、全て、本発明の権利保護範囲内に属する。
【符号の説明】
【0057】
1 パルス式供給システム
2 熱分解炉
3 スラグロック
4 サイクロン分離器
5 アッシュロック
6 冷却装置
7 浄化装置
8 脱炭塔
9 供給圧縮機
10 供給制御装置
11 供給管
12 マイクロ波入口
13 プラズマトーチ
14 合成ガス出口
15 熱分解炉制御装置
16 バイオマス燃料
17 供給輸送ガス
18 供給シールガス
19 スラグ
20 フライアッシュ
21 二酸化酸素ガス
22 完成品の合成ガス