(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234581
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】電子装置および関連方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/30 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
G01N27/30 B
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-536828(P2016-536828)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公表番号】特表2017-511563(P2017-511563A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】FI2014050835
(87)【国際公開番号】WO2015086888
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】1322029.8
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ディ
【審査官】
市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−015481(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0313523(US,A1)
【文献】
緒方盟子、外5名,酸化グラフェン燃料電池(GOFC),電気化学会大会講演要旨集,日本,公益社団法人電気化学会,2013年 3月29日,Vol.80,295ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/30
G01N 27/414
H01L 49/02
H01M 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体と、
酸化グラフェンを含むプロトン生成電極層であって、水分と干渉してプロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層と、
還元型酸化グラフェンを含むプロトン受容電極層であって、前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層とを備えるセンサであって、
前記プロトン生成電極層および前記プロトン受容電極層はそれぞれ、前記電荷収集体のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、前記プロトン生成電極層と前記プロトン受容電極層との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される、センサ。
【請求項2】
前記電極層の少なくとも一方は、複数の完全または部分酸化グラフェンフレークを1つ以上含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記プロトン電荷キャリアは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基のうち、1つ以上を含む電荷分離官能基により生成される、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記基板は、可撓性基板、弾性基板、折り畳み基板のうち少なくとも1つである、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項5】
前記基板は、ポリマーシートとガラスのうち少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項6】
前記基板は紙を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項7】
前記電荷収集体の少なくとも1つは、銀または銅を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項8】
前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つは、前記基板上に印刷される、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項9】
前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つは、インクから形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項10】
少なくとも前記プロトン生成電極層を被覆し、流体不透過性の材料を含有する保護層を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項11】
互いに接続された、請求項1から10のいずれかに記載のセンサの配列を有するデバイスであって、
前記互いに接続された複数のセンサは、共通基板に配列され、前記複数のセンサが連動して累積的な効果が得られるよう互いに接続された、デバイス。
【請求項12】
絶縁基板を設ける工程と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体を設ける工程と、
酸化グラフェンを含むプロトン生成電極層であって、水分と干渉してプロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層を設ける工程と、
還元型酸化グラフェンを含むプロトン受容電極層であって、前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層を設ける工程と、
を備えるセンサを製造する方法であって、
前記プロトン生成電極層および前記プロトン受容電極層はそれぞれ、前記電荷収集体のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、前記プロトン生成電極層と前記プロトン受容電極層との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される、方法。
【請求項13】
前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つが、印刷処理により前記基板上に設けられる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子工学分野、それに関連する方法および装置に関する。開示される特定の例示的態様/実施形態は、携帯電子デバイス、特に、手で持って使用され得る(クレードルに置いたままで使用される場合もある)いわゆるハンドヘルド型携帯電子デバイスに関する。このようなハンドヘルド型携帯電子デバイスとしては、いわゆる携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、タブレットPC、スマートウォッチ、その他ウェアラブル電子装置が挙げられる。
【0002】
開示される例示的態様/実施形態の1つまたは複数に係る携帯電子デバイス/装置は、オーディオ/テキスト/ビデオ通信機能(例えば、電話通信、ビデオ通信や、テキスト送信、ショートメッセージサービス(Short Message Service:SMS)/マルチメディアメッセージサービス(Multimedia Message Service:MMS)/電子メールの機能)、インタラクティブ/非インタラクティブ表示機能(例えば、ウェブ閲覧、ナビゲーション、テレビ/番組表示の機能)、音楽録音/再生機能(例えば、MP3やその他のフォーマットや、(FM/AM)ラジオ放送の録音/再生)、データのダウンロード/送信機能、撮影機能(例えば、(内蔵等の)デジタルカメラを用いた機能)、ゲーム機能のうちの1つまたは複数の機能を提供し得る。
【0003】
電子デバイスの汎用性は留まるところを知らず、ユーザによる電子装置の利用形態も非常に多岐にわたっている。一例として、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、スマートウォッチ、電子書籍リーダー、および様々なウェアラブル電子装置のような携帯電子デバイスが携行されている。
【0004】
本開示の1つまたは複数の態様/実施形態は、上記状況における課題のうち、1つまたは複数を解決してもよく、そうでなくてもよい。
【0005】
本明細書における、公開済み文献またはあらゆる背景技術の列挙や言及は、それら文献や背景技術を、当該技術分野の最新技術の一部である、または共通の一般知識であると認識しているものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0006】
第1の態様によれば、装置が提供される。当該装置は、
絶縁基板と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体と、
プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層と、
前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層とを備え、
前記プロトン生成電極層および前記プロトン受容電極層はそれぞれ、前記電荷収集体のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、前記プロトン生成電極層と前記プロトン受容電極層との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。
【0007】
前記プロトン生成電極層は、酸化グラフェンを含んでもよい。前記プロトン受容電極層は、還元型酸化グラフェンと共役ポリマーインクの少なくとも一方を含んでもよい。この還元型酸化グラフェンは、酸化グラフェンを水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ性水溶液またはアスコルビン酸で処理することにより生成できる。プロトン受容電極層用の還元型酸化グラフェンを生成する際に、KOHを使用することで、より具体的には酸化グラフェンを3.5MのKOH水溶液に混ぜて、pHが13の最終的な混合水溶液を得ることにより、安定したインクを形成可能としながら、最大限のバッテリーセル電圧が得られることが確認された。pHが13より低いと(アスコルビン酸による還元型酸化グラフェン(pH3未満))、セル電圧が下がり、pHが13より高い(例えばpH14)と、インクに沈殿が生じる可能性がある。
【0008】
前記電荷収集体の少なくとも1つが、前記基板に直接接していてもよい。前記電荷収集体の少なくとも1つが、直接接することなく前記基板に支持されていてもよい。
【0009】
前記電極層の少なくとも一方は、複数の完全または部分酸化グラフェンフレークを1つ以上含んでもよい。この複数の完全または部分酸化グラフェンフレークには、様々な官能基が付着していてもよい。更に、酸化グラフェン層のサイズおよび数量は可変であってもよい。グラフェンスクエア社から入手可能な酸化グラフェン溶液(濃度=1g/L、組成=炭素(79%)および酸素(20%)、フレークサイズ=0.5〜0.7μm、厚さ=1原子層(60%以上))を吹き付けコーティング、ドロップキャスト、スピンコーティング、またはインクジェット印刷により塗布してもよい。
【0010】
前記プロトン電荷キャリアは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基のうち、1つ以上を含む電荷分離官能基により生成されてもよい。
【0011】
前記基板は、可撓性基板(例えば、ポリエチレン等、屈曲または別の形で変形する基板)、弾性基板(例えばゴム)、折り畳み基板(例えば、紙等、折り畳むと折り目が付く基板)のうち少なくとも1つであってもよい。前記基板は、ポリマーシートとガラスのうち少なくとも1つを含んでもよい。前記基板は、紙を含んでもよい。
【0012】
前記電荷収集体の少なくとも1つが、(例えば導電性インクとして)銀または銅を含んでもよい。前記電荷収集体は、前記各電極層よりも導電性が高くなるように構成されてもよい。
【0013】
前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つが、前記基板上に印刷されてもよい。前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つが、インクから形成されてもよい。前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つが、前記基板上に(例えばペンやブラシを使用して)描画またはペイントされてもよい。
【0014】
前記装置は、水分やその他の電解質を捕えて酸化グラフェンのプロトン化を促すように構成された電解質層を含んでもよい。バッテリーセルの実施形態では、この電解質層は一定の高電圧を維持することに寄与し得る。前記電解質層は、ナフィオン(登録商標)またはポリビニルアルコール(PolyVinyl Alcohol:PVA)フィルムを含んでもよい。前記電解質層は、室温イオン性液体またはゲルであってもよい。
【0015】
前記装置は、少なくとも前記プロトン生成電極層を被覆し、流体不透過性の材料を含有する保護層を含んでもよい。
【0016】
前記装置は、バッテリーセル、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)、センサのうち、1つ以上を含んでもよい。
【0017】
例えば、実施形態では、化学処理によりソースとドレインとの間の電圧を変化させる、化学的電界効果トランジスタ(Chemical FET:chemFET)またはイオン選択性FET(Ion Selective FET:ISFET)として用いられていてもよい。つまり、前記接合領域は、ゲート電圧が湿度やpHに応じて変化するような、FETのゲートとして機能することができる。
【0018】
前記プロトン生成電極層は、存在する流体に応じてプロトン電荷キャリアを生成し、形成された前記電圧によって存在する流体の量を示すように構成されてもよい。
【0019】
別の態様によれば、デバイスが提供される。当該デバイスは、互いに接続された装置の配列を有し、前記互いに接続された複数の装置は、共通基板に配列され、前記複数の装置が連動して累積的な効果が得られるよう互いに接続されている。この累積的な効果には、単一のバッテリーセル装置から提供されるよりも高い電圧が提供できることや、単一のバッテリーセル装置から得られるよりも多くのエネルギーを蓄えられることが挙げられる。
【0020】
前記装置は、電子デバイス、携帯電子デバイス、携帯通信デバイス、センサ、およびこれらのいずれかのデバイスのモジュールのうちの1つ以上であってもよい。
【0021】
別の態様によれば、方法が提供される。当該方法は、
絶縁基板を設ける工程と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体を設ける工程と、
プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層を設ける工程と、
前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層を設ける工程とを含み、
前記プロトン生成電極層および前記プロトン受容電極層はそれぞれ、前記電荷収集体のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、前記プロトン生成電極層と前記プロトン受容電極層との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。
【0022】
前記各電荷収集体と前記各電極層のうち少なくとも1つが、印刷処理により前記基板上に設けられてもよい。
【0023】
本明細書に開示されたいずれの方法の工程も、特に明確に指定されていない限り、または当業者の共通理解でない場合、開示されたとおりの順に実行される必要はない。
【0024】
本明細書に開示された1つまたは複数の方法を実施する各コンピュータプログラム(媒体に記録されても、記録されなくてもよい)も、本開示の範囲内にあり、記載される1つまたは複数の例示的実施形態に包含される。これらのコンピュータプログラムは、CDまたはDVD等の非一時的媒体に格納されてもよい。
【0025】
本開示は、1つまたは複数の態様、例示的実施形態、または特徴を個別に、または様々な組合せで含んでいる。こうした事項は、その組合せで、または個別に具体的に(特許請求の範囲を含めて)記載されているか否かを問わない。記載される機能の1つまたは複数を実行する各手段も、本開示の範囲内にある。
【0026】
上記摘要は、あくまで例示的であり非限定的である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に、以下の添付図面を参照に、あくまでも例示的に説明を行う。
【
図1a-d】バッテリーセル作製用の製造プロセスを示す図である。
【
図1e】バッテリーセル作製用の製造プロセスを示す図である。
【
図1g-i】二次元基板上の、電荷収集体の配置を示す平面図である。
【
図2a-e】センサ作製用の製造プロセスを示す図である。
【0028】
新たなタイプの電子デバイス(例えばスマートフォン、スマートウォッチ、電子書籍リーダー、タブレットコンピュータ、フレキシブル携帯電話)が次々と開発されている。これにより、多様な場面に適した電子装置の開発が促されている。例えば、携帯電子デバイスの処理能力の向上に伴い、バッテリーの容量増加および軽量化の研究が推進されている。
【0029】
本開示は、装置に関する。当該装置は、絶縁基板と、前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体と、プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層と、前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層とを備え、前記プロトン生成電極層および前記プロトン受容電極層はそれぞれ、前記電荷収集体のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、前記プロトン生成電極層と前記プロトン受容電極層との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。
【0030】
形成された電圧は様々な用途に使用可能であることが理解されよう。例えば、この電圧を別の電子部品の電力として使用してもよい(この場合、装置はバッテリーまたはセルとして機能する)。更に、この電圧を装置の状態および環境の指標として用いることもできる(この場合、装置はセンサとして機能する)。
【0031】
図1a〜1eは、バッテリーセル装置の一実施形態の製造方法を示す。当該装置は、
絶縁基板101と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体102、103と、
プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層104と、
前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層105とを備える。
プロトン生成電極層104およびプロトン受容電極層105はそれぞれ、電荷収集体102、103のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、プロトン生成電極層104とプロトン受容電極層105との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。
【0032】
図1aは、ここでは紙(セルロース)製の基板層101を示す。紙製基板を使用すれば、折り畳み可能なバッテリーセル装置が得られる。折り畳み可能な基板(紙等)を使用すれば、折り畳みに耐え得る適切な電気活性要素(例えば電荷収集体や電極等)を使用して、折り畳み電子装置が作製できる。折り畳み電子装置は、折り畳むことで、開いた後にも残るような縁(または折り目)を基板に付けることができる。折り畳み電子装置は、完全に柔軟な(即ち変形可能であるが、折り目は残らない)電子装置の場合と比較して、より永続的かつ安定した三次元構成を実現可能である。
【0033】
更に、紙は多孔質であるため、紙製基板は導電性インクの貯蔵部として機能可能であり、短絡を生じることなくプロトン化用接合を形成可能とする。更に、紙は安価、軽量、処分しやすい(環境負荷が少ない)という利点もある。また、紙は多くの人が容易に入手可能な、一般的市販媒体でもある。したがって、一般的な設備で、小規模ユーザでもデバイスの作製が可能となり得る。具体的には、ユーザは自宅で自身の電子装置(例えばバッテリー)を印刷により作製できるのである。
【0034】
次に、2つの電荷収集体102、103は基板の同一表面(上面)に印刷される(
図1b参照)。基板101は絶縁性であるため、電荷収集体間での短絡を引き起こすことはない。基板101は装置の動作期間中のみ絶縁性であればよいことが理解されよう。
【0035】
ここでは、電荷収集体102、103は基板101の表面上に印刷された銀インクを含む。その他導電性材料(例えば銅インク)も使用可能であることが理解されよう。銀または銅インクは、紙上に所望のパターンで印刷可能である。電荷収集体は抵抗が低くなるように構成される。例えば、電荷収集層の厚さに応じた、0.1〜0.5Ω(例えば0.4Ω)のシート抵抗を有してもよい。一方、酸化グラフェン(電極素材に使用可能)は絶縁体であるが、厚さが50nm未満の酸化グラフェン層は、GΩ/sq超のシート抵抗を有する。
【0036】
ここでは、次にプロトン受容電極層とプロトン生成電極層のいずれかが印刷される(
図1c参照)。ここでは、プロトン生成電極層104がプロトン受容電極層より先に印刷される。別の実施形態では、プロトン受容電極層がプロトン生成電極層より先に印刷されてもよいことが理解されよう。ここでは、プロトン生成電極層104はグラフェン系インクを含んでもよい(ここでは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基のうちの1つまたは複数を有する酸化グラフェンを含む)。
図1cに示すように、プロトン生成電極層104は重複部分が存在するように第1電荷収集体102上に印刷されることで、この第1電荷収集体102と接続される。第1および第2電荷収集体102、103間の短絡が生じないよう、プロトン生成電極層104は第2電荷収集体103には直接接続されない。プロトン生成電極層とプロトン受容電極層との間の接合部により電圧が生じるため、いずれの電荷収集体も当該接合部の片側に電気的に接するべきではない。
【0037】
酸化グラフェン(カルボキシ基、ヒドロキシ基、エポキシ基のうちの1つまたは複数を有する)と水分が干渉すると、プロトン化が生じ、プロトン(H
+)と負帯電官能基(例えばCOO
−)が生成される。このように、水分によりプロトン生成電極層を活性可能である。
【0038】
ここでは、次に他方の電極層(ここではプロトン受容電極層105)が、
図1dに示すように印刷される。
図1dに示すように、(重複部分が存在するように第2電荷収集体103上に印刷されることで)プロトン受容電極層105は第2電荷収集体103に接続されるが、(第1および第2電荷収集体間の短絡が生じないよう)プロトン受容電極層105は第1電荷収集体102には直接接続されていない。ここでは、プロトン受容電極層105は還元型グラフェン系インクを含む。
【0039】
プロトン受容電極層およびプロトン生成電極層の状態に応じて、多様な電圧が形成され得る。例えば、アスコルビン酸により生成された還元型酸化グラフェンにより0.2Vの電圧を形成できるが、KOH(強塩基)により生成された還元型酸化グラフェンならば、より高い1.5Vの電圧を形成できる。電荷収集体間の電圧は、プロトン電池の内部抵抗による影響も受けることが理解されよう。
【0040】
プロトン受容電極層は部分的にプロトン生成電極層上に印刷されているため、プロトン受容電極層とプロトン生成電極層との間に重複部分が存在する。この重複部分が、本装置における接合領域121となる。
【0041】
その他の例示的実施形態においては、絶縁層が、接続された電荷収集体の領域内における第1電極層上に、第2電極層の印刷前に印刷されてもよい。この絶縁層は、第2電極層の、第1電極層に接続された電荷収集体への接近防止(したがって、短絡防止)に寄与し得るものである。
【0042】
次に、
図1eに示すように、電解質層106が最上部に配される。例えば、電解質層106は、様々な種類の室温イオン性液体、ナフィオン(登録商標)、またはPVAフィルムを含んでもよい。PVAやナフィオンのようなポリマーを紙製電子装置上にコーティングすることで、(プロトン生成電極層を活性化させることにより)プロトン電池の「燃料」となる捕捉水源が確保され得る。更に、紙製電子装置の保護層としても供され得る。この場合、電解質層は2つの機能を有する。一つはプロトン化を可能とする水分を捕捉すること、もう一つはイオン導電性が高いため、プロトン電池の内部抵抗を抑えることができることである。このことにより、より高い電圧が実現可能となり得る。別の実施形態では、これら機能が別々の層により実現されてもよいことが理解されよう。このように設けられた水源は、この装置が形成する電圧の安定化に寄与し得る。別の実施形態では、環境中(例えば大気)から吸収された水分や、基板中(例えば紙製基板の多孔質構造中)に貯蔵された水分を利用してもよいことが理解されよう。そのような実施形態では、装置に電解質層を組み込まなくてもよい。
【0043】
これにより、二次元平面構造(基板の片面に支持される構造という意味で二次元)において、例えばロールツーロール処理、インクジェット印刷、スクリーン印刷のような印刷処理により、プロトン電池が製造可能となる。この装置の電子活性素子は基板の片面に支持されているため、共通基板面に複数の互いに接続された装置を配して、より複雑な電子回路を構成することもできる。例えば、1枚の紙の表面上に、セルを複数有するバッテリーを作製できる。
【0044】
この場合、複数の要素(例えば電極層や電荷キャリア)が水性インクにより印刷されるため、当該要素の領域を画定するための水制御層を使用してもよい。例えば、プロトン受容電極層の還元型酸化グラフェンが第1電荷収集体の近傍領域(例えば0.5mm以内)に印刷される場合、まず第1電荷収集体上に水制御層を設けてもよい。これは、水性還元型酸化グラフェンの第1電荷収集体への浸出および短絡の抑制に寄与し得る。
【0045】
図1fは、完成したバッテリーセル装置の断面図である。プロトン生成電極層104とプロトン受容電極層105との間の重複接合領域121が大きいほど、バッテリーセル装置からの利用可能な電流(または電力)がより大きくなることが確認された。接合部分で形成される電圧は、電極の状態および素材(例えば含水量)に左右されることが理解されよう。
【0046】
上述のように、水分が存在すれば、プロトン生成電極層の酸化グラフェン内でプロトン化が生じる。このようにして得られたプロトンは、プロトン生成電極層には負帯電官能基(例えばCOO
−)が残るよう、プロトン受容電極層に移動し得る。即ち、プロトン受容電極層とプロトン生成電極層との間の電荷分離の結果として、電圧が生じるのである。この電荷分離は、プロトン生成電極層とプロトン受容電極層との間のpH勾配や電気化学ポテンシャルの差によるものであり得る。
【0047】
したがって、第1電荷収集体の負電荷と第2電荷収集体の正電荷との間で電圧が生じる。この電圧を抽出し、別の電子部品の電力として使用してもよい。このように、本装置はバッテリーセルとして動作する。当該バッテリーセルは、多様なエネルギーハーベスティング/貯蔵装置内に搭載できることが理解されよう。
【0048】
バッテリーセル装置は、電荷収集体を回路(外部回路または同じ基板に設けられた回路)に接続するためのコネクタを有してもよいことが理解されよう。
【0049】
互いに接続された上述の実施形態の装置を任意の配列で、単一の基板上に印刷可能であることが理解されよう。例えば、複数のバッテリーセル装置を直列接続することで、より高い電圧を形成可能となり得る。それに対して、複数のバッテリーセルを並列接続することで、複合装置においてより多くの電力が貯蔵可能となる。このような構成要素となる装置はそれぞれ、機能単位と捉えることができる。したがって、互いに接続された装置は累積的な効果が得られるよう連動する。
【0050】
図1gは、二次元基板(紙片等)に印刷された第1および第2電荷収集体102a、103aの平面図である。これら電荷収集体の間、更にその上に、互いに重複するプロトン生成電極層およびプロトン受容電極層が印刷される(図の明瞭性を優先して、これらの層は図示しない)。電荷収集体は階段状になっているため、接合領域が電荷収集体から離れ過ぎないことを保証しながら、接合部の面積を大きくできる。これは、電極層の比較的高い抵抗の影響を最小限に抑えながら、出力電圧を増加させることに寄与する。ここでは、電圧を外部回路に提供可能なように、電荷収集体102a、103aはそれぞれ2つのコネクタ142a、143aに接続されている。
【0051】
図1hは、二次元基板上に印刷された電荷収集体の別の配置を示す。ここでは、プロトン生成電極層(ここでは酸化グラフェンを含むプロトン生成電極層)に接続された電荷収集体103bは、中央に向かって延在し、プロトン受容電極層(ここでは、還元型酸化グラフェンを含むプロトン受容電極層)に接続された電荷収集体102bにほぼ全体的に囲繞されている。図の明瞭性を優先し、プロトン受容電極層とプロトン生成電極層との重複は図示していない。ここでは、接合領域は、電荷収集体102b、103bの起伏のある(あるいはギザギザの)同形縁の間に位置する。電荷収集体102b、103bの起伏のある同形縁は、接合部と電荷収集体との間の距離を小さくしながら、接合領域を大きくするように構成されたものである。ここでは、バッテリーセルが外部回路に接続可能となるよう、電荷収集体102b、103bはそれぞれ、コネクタ142b、143bに接続されている。ここでは、バッテリーセルの外部コネクタ間で形成される電圧は1.5Vとなる。
【0052】
図1iに示すように、
図1gに示すようなバッテリーセルを2つ相互接続されるように印刷してもよい。これによって、2つのセルから合わせて3.0Vの電圧が形成される。ここでは、2つのセルは、コネクタ142c、143cに接続されているため、当該電圧を外部回路に供給可能である。構成要素としてのセルが直列となるよう、その電荷収集体を適切に接続することでより大きな電圧が形成される。具体的には、第1セルのプロトン生成電極層に接続された電荷収集体103cは、第1コネクタ143cに接続される。第1セルのプロトン受容電極層に接続された電荷収集体102cは、第2セルのプロトン生成電極層に接続された電荷収集体103dに接続される。第2セルのプロトン受容電極層に接続された電荷収集体102dは、第2コネクタ142cに接続される。その他様々な構成も可能であることが理解されよう。
【0053】
ここでは、プロトン生成のため、ポリマー電解質が酸化グラフェン層に水分を提供するように構成される。
【0054】
図2a〜eは、センサ装置の一実施形態の製造方法を示す。当該装置は、
絶縁基板201と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体202、203と、
プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層205と、
前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層204とを備える。
プロトン生成電極層205およびプロトン受容電極層204はそれぞれ、電荷収集体202、203のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、プロトン生成電極層205とプロトン受容電極層204との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。
【0055】
ここでは、センサ装置は、大気の相対湿度を測定可能にするように構成される。
【0056】
図2aは、ここでは紙(セルロース)製の基板201を示す。紙製基板により、バッテリーセル装置は折り畳み可能となる。別の例示的実施形態では、別の素材を基板に使用可能であることが理解されよう。そのような別の素材としては、ガラス、シリコン、二酸化珪素、ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリジメチルシロキサン、またはポリウレタン)や、その他プラスチック類が挙げられる。
【0057】
センサ装置を製造するため、第2電荷収集体203が基板の表面上に印刷される(
図2a参照)。ここでは、第2電荷収集体203は、基板の表面上に印刷される銅インクを含む。
【0058】
電荷収集体は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、孔版印刷、フレキソ印刷、蒸着、またはスパッタリングで設けてもよいことが理解されよう。電荷収集体に適した素材としては、金、銀、銅のような金属や、銀ナノ粒子のような印刷用金属が挙げられる。
【0059】
次に、一方の電極層が印刷される(
図2c参照)。ここでは、プロトン生成電極層より先に、プロトン受容電極層204が印刷される。別の実施形態では、プロトン生成電極層の後に、プロトン受容電極層が印刷されてもよいことが理解されよう。ここでは、プロトン受容電極層204はグラフェン系インクを含む(ここでは還元型酸化グラフェンを含む)。
図2cに示すように、プロトン受容電極層204は、第2電荷収集体203に接続される。
【0060】
酸化グラフェンは、様々な官能基が付着した、複数の完全または部分酸化グラフェンフレークを含んでもよい。酸化グラフェン層の大きさおよび数量は可変であってもよい。グラフェンスクエア社から入手可能な酸化グラフェン溶液(濃度=1g/L、組成=炭素(79%)および酸素(20%)、フレークサイズ=0.5〜0.7μm、厚さ=1原子層(60%以上))を吹き付けコーティング、ドロップキャスト、スピンコーティング、またはインクジェット印刷により塗布してもよい。
【0061】
次に、
図2dに示すように、他方の電極層(ここではプロトン生成電極層205)が印刷される。プロトン生成電極層205は第2電荷収集体203と直接接触しない。ここでは、プロトン生成電極層はグラフェン系インクを含む。
【0062】
プロトン受容電極層は、部分的にプロトン生成電極層上に印刷されるため、プロトン受容電極層とプロトン生成電極層との間に重複領域が存在する。この重複領域が接合領域となる。
【0063】
最後に、
図2eに示すように、プロトン生成電極層205からの電荷を収集する第1電荷収集体層202が印刷される。このように、二次元平坦構造によると、例えばロールツーロール処理、インクジェット印刷、スクリーン印刷等の印刷処理により、センサを製造可能となる。第1電荷収集体層202は基板に直接接することないが、基板に支持されて、基板上に配置されている。第1電荷収集体層202は、基板の表面上の第2電荷収集体203からは離間しているため、電荷収集体間の短絡が防止される。
【0064】
図2fは、完成したセンサ装置を示す。プロトン生成電極層とプロトン受容電極層との間の接合領域221の重複面積が大きいほど、利用可能な電流が大きくなることが確認された。即ち、バッテリーセルの貯蔵可能電力量は、重複面積に左右される(例えば比例する)。一方、接合により生じる電圧は、重複面積よりむしろ、電極の状態および素材に左右される。
【0065】
上述のように、水分が存在すれば、プロトン生成電極層の酸化グラフェン内でプロトン化が生じる。このようにして得られたプロトンは、プロトン生成電極層には負帯電官能基(例えばCOO
−)が残るよう、プロトン受容電極層に移動し得る。即ち、プロトン受容電極層とプロトン生成電極層との間の電荷分離の結果として、電圧が生じるのである。この電荷分離は、プロトン生成電極層とプロトン受容電極層との間のpH勾配や電気化学ポテンシャルの差によるものであり得る。pH勾配は、プロトン生成電極層が酸性で、プロトン受容電極層がアルカリ性であることによるものであり得る。
【0066】
したがって、プロトン生成電極層内に存在する流体に応じて、第1電荷収集体202の負電荷と第2電荷収集体203の正電荷との間で電圧が生じる。このようにして、生じた電圧によりセンサ周囲の大気内の流体量を測定できる。即ち、センサは例えば大気の相対湿度の測定に使用できる。所定温度下での、流体の蒸気分圧とその飽和蒸気圧との比を指すものとして「相対蒸気圧」という用語を使用する場合がある。より高精度、高感度に大気内の湿度が判定できるよう、(本実施形態のように)プロトン生成電極層205を大気に露出させることが有利な場合もある。
【0067】
上述の装置は、電荷収集体を回路(外部回路または同じ基板上の回路であってもよい)に接続するためのコネクタを有してもよいことが理解されよう。この外部回路は、プロセッサや、コンピュータプログラムコードを記憶するメモリであってもよい。この場合、当該プロセッサは、メモリとコンピュータプログラムコードにより、形成された電圧値を湿度測定値に変換してもよい。
【0068】
プロトン生成電極層205に水分が供給されるのであれば、その結果得られる電圧を別の電子装置の電力に利用してもよい。このように、このセンサの構造をバッテリーセル装置として使用可能である。
【0069】
大抵の基板であればグラフェンインクをコーティングできるため、実施形態としてウェアラブル電子装置を含み得る。例えば、手袋やその他衣服の一部となる布またはゴム製基板に電極を設けてもよい。
【0070】
実施形態は安価に印刷可能であるため、分散型センサシステムや、分散型センサシールやタグに使用してもよい。例えば、実施形態を、アクティブ表示画面の電力供給のために、印刷されたポスターに組み込んでもよい。
【0071】
図3は、プロトン接合部を搭載したchemFETの実施形態を示す。
図3に示す実施形態は、
図2fに示すものと同様であるが、接合部で形成された電圧を測定するのではなく、形成された電圧を用いてチャネル356内の電子の流れを制御する点で異なる。
【0072】
図3の実施形態のchemFETは、
ここでは紙製である絶縁基板301と、
前記基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体302、303と、
プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層305と、
前記生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層304とを備える。
プロトン生成電極層305およびプロトン受容電極層304はそれぞれ、電荷収集体302、303のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、プロトン生成電極層305とプロトン受容電極層304との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。
【0073】
ここでは、センサ装置は更に膜357とヒドロゲル358とを有する。大気湿度(またはpH)が上昇すると、酸化グラフェンプロトン生成電極層により生成されるプロトンが増加する。これに伴い、ソース電荷キャリアとドレイン電荷キャリアとの間の電圧も変化する。即ち、(湿度やpHの変化による)接合領域の変化により、ゲート電圧が変化するのである。別のchemFETの実施形態として、溶液中のpHを測定してもよい。
【0074】
図4は、本開示の例示的実施形態に係る処理フローを示す。本処理は、絶縁基板を設ける工程481と、基板の表面上で互いに離間した少なくとも2つの電荷収集体を設ける工程482と、プロトン電荷キャリアを生成するように構成されたプロトン生成電極層を設ける工程483と、生成されたプロトン電荷キャリアを受容するように構成されたプロトン受容電極層を設ける工程484とを含む。ここで、前記プロトン生成電極層および前記プロトン受容電極層はそれぞれ、前記電荷収集体のうちの対応するものに電気的に接続されるように構成され、前記プロトン生成電極層と前記プロトン受容電極層との間で電荷キャリアの移動が可能となるように接合領域において重複するように構成されることで電圧が形成される。別の実施形態では、各電荷収集体を設ける工程および各電極層を設ける工程は任意の順序で実施されてもよいことが理解されよう。
【0075】
図5は、一実施形態に係る、コンピュータプログラムを提供するコンピュータ/プロセッサ読取り可能媒体500を概略的に示す。この例では、コンピュータ/プロセッサ読取り可能媒体500は、DVD(Digital Versatile Disc)またはCD(Compact Disc)等のディスクである。その他実施形態では、コンピュータ/プロセッサ読取り可能媒体500は、発明の機能を実現するようにプログラムされた任意の媒体であってもよい。コンピュータ/プロセッサ読取り可能媒体500は、メモリスティックまたはメモリカード(SD、ミニSD、マイクロSD、またはナノSD)のような着脱式メモリ装置であってもよい。
【0076】
前記コンピュータプログラムは、
図4の方法の工程481〜484の1つまたは複数を実施、制御、または実現可能とするように構成されたコンピュータコードを含んでもよい。センサの実施形態では、前記コンピュータプログラムは形成された電圧を測定/算出し、この測定/算出された電圧に基づき、環境中の流体の相対蒸気圧力を判定してもよい。これに替えて、または加えて、前記コンピュータプログラムは、上述の製造プロセスを制御するものであってもよい。
【0077】
図示されたその他の実施形態では、上述の実施形態と同様の要素には、対応する参照符号が付されている。例えば、要素符号1は、符号101、201、301等にも対応するものである。図示された符号付きの要素の中には、上述の具体的な実施形態で直接触れられていないものも存在する。それらは、上述の実施形態と同様の要素との関係から、更なる実施形態を理解しやすくなるよう図面に記載されたものである。
【0078】
当業者が読めば、前述した任意の装置/デバイスや、具体的に記載された装置/デバイスのその他の特徴は、動作可能になった場合(例えば、電源が入れられた状態)にのみ所望の動作を実行可能となるように構成された装置等により実現可能であることが理解されよう。このような場合、動作不能状態(例えば、電源が入っていない状態)ではアクティブメモリに適切なソフトウェアをロードする必要はなく、動作可能状態(例えば、電源が入れられた状態)でのみ適切なソフトウェアをロードするものであってもよい。装置は、ハードウェア回路やファームウェアを備えてもよい。装置は、メモリにロードされたソフトウェアを備えてもよい。そのようなソフトウェア/コンピュータプログラムは、同一のメモリ、プロセッサ、機能単位に記録されていてもよいし、1つまたは複数のメモリ、プロセッサ、機能単位に記録されていてもよい。
【0079】
実施形態によっては、前述の装置/デバイスのうちの特定のものは、所望の動作を実行するよう、適切なソフトウェアにより予めプログラムされていてもよい。ここで適切なソフトウェアは、例えば当該ソフトウェアおよびその関連機能をロック解除/動作可能とするための「鍵」をダウンロードしたユーザにより使用可能である。このような実施形態は、デバイスに追加の機能が必要になった際に、データダウンロードの必要が生じる可能性を低減する効果がある。これは、ユーザにより使用されない可能性がある機能用にも、上述の予めプログラムされたソフトウェアを記憶するために十分な容量があるとデバイスが認識されているような例で有用となり得る。
【0080】
上述の装置、回路、要素、プロセッサは全て、上述されていない更なる機能を有してもよく、そのような更なる機能は上述と同様の装置、回路、要素、プロセッサにより実現されてもよいことが理解されよう。開示の1つまたは複数の態様は、関連するコンピュータプログラム、および適切なキャリア(例えばメモリ、信号)に記録されたコンピュータプログラム(ソース/トランスポート符号化可)の電子配布を包含し得る。
【0081】
本明細書に記載された「コンピュータ」は、1つまたは複数の独立したプロセッサ/処理部の集合を含んでもよい。当該プロセッサ/処理部は同一の回路基板または回路基板の同一の領域/位置、更には同一の装置に配置されても、されなくてもよい。実施形態によっては、上述の1つまたは複数のプロセッサは、複数のデバイスに分散されていてもよい。同一または別々のプロセッサ/処理部が、本明細書で説明された1つまたは複数の機能を実行してもよい。
【0082】
「信号伝達」という用語は、1つまたは複数の信号が、一連の送信信号や受信信号として送信されることを指すものであってもよい。信号伝達を成立させる一連の信号は、1、2、3、4、またはそれ以上の数の独立した信号成分または独立した信号を含んでもよい。これら独立した信号の一部または全ては、同時に、順々に、更には一時的に信号間で重複しながら送受信されてもよい。
【0083】
前述した任意のコンピュータやプロセッサ、およびメモリ(ROM、CD−ROM等を含む)についてのあらゆる記載に関して、これらがコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array:FPGA)や、本発明の機能を実行するようにプログラムされたその他のハードウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0084】
本願において出願人は、本願に記載された個別の特徴の各々を分けて開示してきたが、当業者に共通の一般知識に照らして、本発明全体に基づいてこれらの特徴またはその組合せを実行することが可能な範囲で、こうした特徴を2つ以上組み合せることができる。その際、こうした特徴またはその組合せが本願で開示された課題のいずれを解決するかは問わず、また、本願の特許請求の範囲に限定されることはない。本出願人は、開示した態様/実施形態が個別の特徴またはその組合せのいずれかから成り得ることを示唆している。前述の記載に照らせば、本開示の範囲内で様々な変形が可能であることは、当業者には明白であろう。
【0085】
本願において、種々の実施形態に適用されるような基本的で新規性を有する特徴が示され、記載され、指摘されてきたが、記載したデバイスおよび方法の形態と細部において、様々な削除や代用、変更を行うことは、当業者であれば本発明の精神を逸脱しない限り可能であることも理解されよう。例えば、実質的に同じ方法で同一の結果を達成するために、実質的に同じ機能を実行するこうした要素や方法のステップのあらゆる組合せも本発明の範囲内であることは自明である。また、開示したいずれかの形態または実施形態に関連して示されたか記載された構造や、要素や、方法のステップは、設計上の一般的事項として、開示または記載または示唆したその他いずれの形態または実施形態に埋め込まれてもよい。更に、特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションの節は、記載した機能を実行するものとして本願で記載した構造を包含することを意図しており、構造的な等価物だけではなく、等価な構造も包含するものである。例えば、釘と螺旋の場合、釘は木材部分を一緒に固定するために円柱面を備えているが、螺旋は螺旋面を備えているから、両者は構造的に等価ではない可能性があるが、木材部分を締め付ける環境において釘と螺旋は等価な構造であると言える場合がある。