特許第6234582号(P6234582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6234582車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置、および、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法
<>
  • 特許6234582-車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置、および、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法 図000002
  • 特許6234582-車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置、および、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234582
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置、および、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B60T13/74 D
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-537190(P2016-537190)
(86)(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公表番号】特表2016-528108(P2016-528108A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2014066128
(87)【国際公開番号】WO2015028220
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】102013217443.8
(32)【優先日】2013年9月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】グゲンモス ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】フェルケル クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ ライナー
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02947228(FR,A1)
【文献】 国際公開第2010/069656(WO,A1)
【文献】 米国特許第04650363(US,A)
【文献】 特開昭64−047658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーストハウジング(12)と、
弁体(14)と、
を備え、前記弁体が、前記ブーストハウジング(12)に対し位置調整可能であるように前記ブーストハウジング(12)の貫通受容穴(16)内に配置されており、且つ貫通中央穴(18)を有し、該貫通中央穴内部に、弁ピストン(20)が前記弁体(14)に対し次のように位置調整可能に配置されまたは配置可能であり、すなわちドライバーブレーキ力が、前記弁ピストン(20)の第1の端部に直接または間接に配置されるまたは配置可能な入力棒(22)から、前記弁ピストン(20)の第2の端部に直接または間接に配置されるまたは配置可能な出力棒(24)へ伝達可能であるように、配置されまたは配置可能である、車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置において、
前記弁体(14)にボールセグメント(26)が配置または形成されており、該ボールセグメントが、前記電気機械式ブレーキ倍力装置のディスク(28)の円錐座部と接触し、前記ディスクが、前記ブーストハウジング(12)に対し位置調整可能であるように前記ボールセグメント(26)と前記ブーストハウジング(12)との間に配置されていることを特徴とする電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項2】
前記弁体(14)が、前記貫通受容穴(16)内に配置可能な第1の部分と、前記貫通受容穴(16)から前記出力棒(24)の方向に突出している第2の部分との間に、段部(32)を有し、前記ボールセグメント(26)が、前記段部(32)の、前記出力棒(24)から離れる方向に配向される面(34)に配置または形成されている、請求項1に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項3】
前記ディスク(28)が、前記ブーストハウジング(12)に形成された受容孔(36)の内部に配置されている、請求項1または2に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項4】
前記弁体(14)と前記ボールセグメント(26)とが一体に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項5】
前記電気機械式ブレーキ倍力装置が、前記出力棒(24)として堅牢な出力棒(24)を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項6】
前記ボールセグメント(26)がプラスチックから形成されており、および/または、前記ディスク(28)がプラスチックまたは鋼から形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項7】
前記弁体(14)が、前記ブーストハウジング(12)のほうへ配向されたその外面に、前記ブーストハウジング(12)の前記貫通受容穴(16)にあるガイド(52)に沿って案内されている少なくとも1つの膨出部(50)を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの膨出部(50)と前記ガイド(52)とが、前記入力棒(22)のほうへ配向されて取り付け可能な、前記電気機械式ブレーキ倍力装置の第1の領域に形成されており、前記出力棒(24)のほうへ配向されて取り付け可能な、前記電気機械式ブレーキ倍力装置の第2の領域では、前記ブーストハウジング(12)の前記貫通受容穴(16)が前記ブーストハウジング(12)と前記弁体(14)との間に遊びを有している、請求項7に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ倍力装置を備えたブレーキシステム。
【請求項10】
車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法であって、
前記電気機械式ブレーキ倍力装置のブーストハウジング(12)と弁体(14)とを取り付け(S1)、前記弁体(14)を前記ブーストハウジング(12)に対し位置調整可能であるように前記ブーストハウジング(12)の貫通受容穴(16)に配置する(S2)ステップを含んだ前記方法において、
前記弁体(14)に配置または形成されるボールセグメント(26)を、前記ブーストハウジング(12)に対し位置調整可能であるように前記ボールセグメント(26)と前記ブーストハウジング(12)との間に配置されるディスク(28)の円錐座部と接触させる、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置に関するものである。また本発明は、ブレーキシステムに関する。さらに本発明は、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気機械式ブレーキ倍力装置を備えたブレーキシステムが記載されている。この電気機械式ブレーキ倍力装置は、電気モータを用いて位置調整可能なブーストハウジングを含み、該ブーストハウジングは貫通受容穴を有し、該貫通受容穴は、位置調整可能にその中に配置されてブーストハウジングと一緒に位置調整可能な弁体を受容するものである。さらに、弁体は貫通中央穴を有し、該貫通中央穴内部では、弁ピストンがこれに伝達されるドライバーブレーキ力により弁体に対し位置調整可能である。弁体および/または弁ピストンの位置調整運動により、ブレーキマスタシリンダの少なくとも1つの圧力室内にあるブレーキ圧が上昇可能であるように出力ピストンが位置調整可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2947228A1号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明は、請求項1の構成を備えた、車両のブレーキシステム用電気機械式ブレーキ倍力装置と、請求項9の構成を備えたブレーキシステムと、請求項10の構成を備えた、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための方法を提供する。
【0005】
電気機械式ブレーキ倍力装置に、ディスクの円錐座部と接触しているボールセグメントを備えさせることにより、ブレーキシステムに付設した/ブレーキシステム内部に取り付けられる電気機械式ブレーキ倍力装置の、公差によって生じる傾斜状態を、(自動的に)補償することができる。従って、このケースでは、電気機械式ブレーキ倍力装置の傾斜状態が比較的大きい場合でも、電気機械式ブレーキ倍力装置のモータの作動により提供される動力を、ブレーキ圧を上昇させるためにも利用できる。同時に、電気機械式ブレーキ倍力装置の傾斜状態が比較的大きいにもかかわらず、弁ピストンの、これに伝達されるドライバーブレーキ力による好適な位置調整能がさらに保証されている。要約すると、本発明により、電気機械式ブレーキ倍力装置の傾斜状態が比較的大きい場合でも、電気機械式ブレーキ倍力装置をそのまま有利に使用可能であることを維持できる。
【0006】
本発明により、取り付けられた電気機械式ブレーキ倍力装置の、公差によって生じる傾斜状態を、確実に比較的簡単に補償可能であるので、取り付けを予め実施する際に特別な配慮は必要ない。従って、本発明は電気機械式ブレーキ倍力装置の取り付けの簡潔化に寄与する。
【0007】
好適な実施態様では、弁体は、貫通受容穴内に配置可能な第1の部分と、貫通受容穴から出力棒の方向に突出している第2の部分との間に、段部を有し、ボールセグメントは、段部の、出力棒から離れる方向に配向される面に配置または形成されている。従って、公差によって電気機械式ブレーキ倍力装置に傾斜状態が生じても、ディスクの半径方向運動により確実に補償することができる。
【0008】
好ましくは、ディスクは、ブーストハウジングに形成された受容孔の内部に配置されている。従って、ディスクの望ましくないスリップを懸念する必要がない。
【0009】
弁体とボールセグメントとはたとえば一体に形成されていてよい。このようにして、弁体とは別個に製造されるボールセグメントを弁体に配置するための作業ステップを省略できる。しかしながら、本発明を実現するために、弁体とは別個に製造されるボールセグメントも使用可能であることを指摘しておく。
【0010】
更なる好適な実施形態では、電気機械式ブレーキ倍力装置は、出力棒として堅牢な出力棒を有している。従って、電気機械式ブレーキ倍力装置のために比較的コスト上好ましい出力棒を使用できる。これにより、特に、電気機械式ブレーキ倍力装置に、傾斜状態補償要素を備えたより複雑な出力棒を装着するという、従来の必要性がなくなる。従って、電気機械式ブレーキ倍力装置の作動時に、より複雑な出力棒の傾斜状態補償要素によって生じる望ましくない横力を懸念する必要もない。
【0011】
好適には、ボールセグメントがプラスチックから形成されていてよく、および/または、ディスクがプラスチックおよび/または鋼から形成されていてよい。特に、ボールセグメントおよび/またはディスクに対してプラスチック射出成形部材を使用できる。従って、ボールセグメントおよびディスクは簡単に形成可能/製造可能である。特に、ボールセグメントは弁体に簡単に射出成形できる。
【0012】
好適な態様によれば、弁体は、ブーストハウジングのほうへ配向されたその外面に、ブーストハウジングの貫通受容穴にあるガイドに沿って案内されている少なくとも1つの膨出部を有している。特に、少なくとも1つの膨出部とガイドとは、入力棒のほうへ配向されて取り付け可能な、電気機械式ブレーキ倍力装置の第1の領域に形成されていてよく、出力棒のほうへ配向されて取り付け可能な、電気機械式ブレーキ倍力装置の第2の領域では、ブーストハウジングの貫通受容穴はブーストハウジングと弁体との間に遊びを有している。このようにして実現可能な、ブーストハウジングの、第2の領域内にある部分の、弁体に対し半径方向の自在な運動性により、もしくは、弁体の、第2の領域内にある部分の、ブーストハウジングに対し半径方向の自在な運動性により、公差によって生じる比較的大きな傾斜状態ですらも相殺するための有利な補償運動が可能になる。
【0013】
上述した利点は、この種の電気機械式ブレーキ倍力装置を備えたブレーキシステムでも保障されている。
【0014】
車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるための対応する方法も、上述した利点を実現させる。この方法は、本発明による電気機械式ブレーキ倍力装置の実施態様に対応して更なる構成が可能であることを指摘しておく。
【0015】
次に、本発明の更なる構成および利点を図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】電気機械式ブレーキ倍力装置の1実施形態の部分概略図である。
図2】電気機械式ブレーキ倍力装置を車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に取り付ける方法の1実施形態を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、電気機械式ブレーキ倍力装置の1実施形態の部分概略図である。
【0018】
図1に一部を概略的に図示した電気機械式ブレーキ倍力装置は、車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部で使用可能である。なお、電気機械式ブレーキ倍力装置の使用可能性は特定のタイプのブレーキシステムに限定されているものではなく、特にブレーキマスタシリンダ、少なくとも1つのブレーキ回路、またはブレーキ操作要素/ブレーキペダルの特定の構成に限定されているものではないことを指摘しておく。
【0019】
図1に一部を図示した電気機械式ブレーキ倍力装置は、その制動軸線10(例えば中心長手軸線)に対し回転対称に構成されている。しかし、電気機械式ブレーキ倍力装置の回転対称な構成は例として説明したにすぎない。電気機械式ブレーキ倍力装置は、ブーストハウジング12と、該ブーストハウジング12に対し位置調整可能に該ブーストハウジング12の貫通受容穴16内に配置されている弁体14とを含んでいる。弁体14は貫通中央穴18を有し、該貫通中央穴内部に、電気機械式ブレーキ倍力装置の弁ピストン20が配置されており、または、電気機械式ブレーキ倍力装置と協働する弁ピストン20を配置可能である。
【0020】
弁ピストン20は、ドライバーブレーキ力により弁体14に対し位置調整可能である。このため、弁ピストン20の第1の端部に直接または間接に、電気機械式ブレーキ倍力装置の入力棒22が配置されており、または、電気機械式ブレーキ倍力装置と協働する入力棒22を配置可能である。入力棒22が制動軸線10に沿って制動方向へ移動すると、弁ピストン20が一緒に位置調整可能であるようにドライバーブレーキ力を弁ピストン20へ伝達可能である。さらに、弁ピストン20の第2の端部に直接または間接に、電気機械式ブレーキ倍力装置の出力棒24が配置されており、または、電気機械式ブレーキ倍力装置と協働する出力棒24を配置可能であり、該出力棒にドライバーブレーキ力を伝達可能である。加えて、ブーストハウジング12を、これに直接または間接に結合されている(ブレーキ倍力装置固有の、または、外部の)モータを用いて、(実質的に制動軸線10に沿って)少なくとも制動方向に位置調整することができる。このようにして、ブーストハウジング12が少なくとも一時的に接触する弁体14も一緒に位置調整可能である。このようにして発生する、制動軸線10に沿った制動方向への弁体の位置調整運動は、出力棒24の付加的な位置調整運動を起動させることができる。ドライバーブレーキ力および/またはモータにより生じる位置調整運動は、出力棒24に直接または間接に配置されている(図示していない)ブレーキマスタシリンダ内のブレーキ圧を上昇させることができる。従って、図1の電気機械式ブレーキ倍力装置は、少なくとも従来のブレーキ倍力装置の課題を満たしている。電気機械式ブレーキ倍力装置のモータに対しては多数の制御戦略を実施可能であるので、ここではこれに関して立ち入らない。
【0021】
弁体14には、さらに、ボールセグメント26が配置されており、または、形成されている。ボールセグメント26は電気機械式ブレーキ倍力装置のディスク28の円錐座部と接触し、ディスクは、ボールセグメント26およびブーストハウジング12に対し位置調整可能にボールセグメント26とブーストハウジング12との間に配置されている。特に、ボールセグメント26とブーストハウジング12との間に配置されているディスク28は、制動軸線10に対し半径方向に変位可能であってよい。このことは、ディスク28が(実質的に)制動軸線10に対し垂直に向く方向に変位可能であると理解してよい。ディスク28のこのような位置調整運動は、円錐座部でのボールセグメント26の滑動運動を生じさせ、このことはブーストハウジング12に対する弁体14、弁ピストン20および/または出力棒24の、矢印30で概略的に図示した傾動運動を頻繁に生じさせる。このようにして、公差によって生じるすべての方向でのブーストハウジング12の傾斜状態を補償でき、ブレーキマスタシリンダおよびブーストハウジング12に対する弁体14、弁ピストン20および/または出力棒24の理想的な配向を達成できる。従って、図1に概略的に図示した電気機械式ブレーキ倍力装置は、電気機械式ブレーキ倍力装置の比較的大きな傾斜状態すらも相殺する有利な補償運動を生じさせる。これは電気機械式ブレーキ倍力装置の使用可能性を増大させるとともに、その組立ての際の作業コストを低減させる。
【0022】
図1の実施形態では、弁体は、貫通受容穴16内に配置可能な第1の部分と、貫通受容穴16から突出している第2の部分との間に、段部32を有している。ボールセグメント26は、段部32の、出力棒24から離間する方向に配向された面34に配置されており、または、形成されている。図1の実施形態では、ボールセグメント26は弁体14とは別個に製造される構成要素である。しかしながら、これとは択一的な実施形態として、弁体14とボールセグメント26とは一体に形成されていてもよい。このようにして、ボールセグメント26を弁体14の有利な装着点に簡単に形成させることができる。従って、この有利な装着点にボールセグメント26を配置するための作業ステップを省略することができる。
【0023】
円錐座部を備えたディスク28は、図1に示したように、ブーストハウジング12に形成された受容孔36の内部に配置されていてよい。特に、ディスク28の、円錐座部から離間する方向に配向された背面38は、受容孔36の底面と接触することができる。ディスク28のこの種の配置により、電気機械式ブレーキ倍力装置からディスク28が抜け出るような不具合を確実に阻止することができる。
【0024】
ボールセグメント26(もしくはボールセグメント26を備えた弁体14)とディスク28とは、有利にはプラスチックから成っている。従って、要素26と28は、簡単に実施可能でコスト上好ましい射出成形法を用いて製造することができる。しかしながら、これとは択一的に、ディスク28は鋼から形成されていてもよい。
【0025】
図1の実施形態では、電気機械式ブレーキ倍力装置は、付加的な要素としてさらに入力棒座部40と、突起42と、リアクションディスク44と、出力棒基部46と、弁ピストン20を弁体14によって支持するためのばね48とを有している。入力棒座部40は、一部のみを図示した入力棒22と弁ピストン20との間に配置されている。突起42とリアクションディスク44と出力棒基部46とを介して、ドライバーブレーキ力は弁ピストン20から出力棒24へ伝達される。しかし、電気機械式ブレーキ倍力装置に要素40ないし48を備えさせることは、例として説明したにすぎないことを指摘しておく。
【0026】
電気機械式ブレーキ倍力装置は、出力棒24として堅牢な出力棒24を有している。公差によって生じる電気機械式ブレーキ倍力装置の傾斜状態を補償するための有利な可能性のために、出力棒24に傾斜状態補償要素を備えさせること、または、これをフレキシブルに形成することは必要ない。この代わりに、電気機械式ブレーキ倍力装置のためにコスト上好ましい堅牢な出力棒24を使用してよい。さらに、出力棒24を堅牢に構成することには、傾斜状態補償要素を備えさせる際に考慮せねばならない横力が、電気機械式ブレーキ倍力装置の作動中に発生しないという利点がある。
【0027】
図1の電気機械式ブレーキ倍力装置は、有利には、ブーストハウジング12のほうへ配向された外面に少なくとも1つの膨出部50を持つ弁体14も有している。図1の実施形態では、膨出部50は円環セグメントである。しかし、少なくとも1つの膨出部50のこの種の構成は例として説明したものである。少なくとも1つの膨出部50は、ブーストハウジング12の貫通受容穴16に設けたガイド52に沿って案内されている。ガイド52は、たとえば、少なくとも1つの膨出部50の少なくとも1つの接触面および/または少なくとも1つの案内溝であってよい。有利な態様では、少なくとも1つの膨出部50とガイド52とは、電気機械式ブレーキ倍力装置の、入力棒22のほうへ配向して取り付け可能な第1の領域に形成されている。ブーストハウジング12の貫通受容穴16は、出力棒24のほうへ配向して取り付け可能な、電気機械式ブレーキ倍力装置の第2の領域に、好ましくはブーストハウジング12と弁体14との間に遊びを有している。従って、弁体14の位置は、ブーストハウジング12に関し、制動軸線10に対し半径方向に出力棒24に隣接するように変更可能である。同時に、さらに、構成物50と52により、構成要素12と14との間での接触が保証されている。
【0028】
電気機械式ブレーキ倍力装置の上述の利点は、これを備えたブレーキシステムでも保障されている。これらの利点の実現はブレーキシステムの特定の構成を前提としていないので、ここでは電気機械式ブレーキ倍力装置を備えたブレーキシステムに対する実施形態は説明しない。
【0029】
図2は、電気機械式ブレーキ倍力装置を車両のブレーキシステムに付設しておよび/またはブレーキシステム内部に取り付ける方法の1実施形態を説明するためのフローチャートである。
【0030】
この方法は、少なくとも、方法ステップS1と方法ステップS2とを含んでいる。方法ステップS1では、電気機械式ブレーキ倍力装置のブーストハウジングを取り付ける。方法ステップS2では、電気機械式ブレーキ倍力装置の弁体の取り付けを行い、弁体を、ブーストハウジングに対し位置調整可能であるようにブーストハウジングの貫通受容穴内に配置する。さらに、弁体に配置または形成されるボールセグメントを、電気機械式ブレーキ倍力装置のディスクの円錐座部と接触させ、ディスクをブーストハウジングに対し位置調整可能であるようにボールセグメントとブーストハウジングとの間に配置する。
【0031】
方法ステップS1とS2は任意の順番でまたは同時に実施してよい。方法ステップS1とS2を実施するため、たとえば上述の電気機械式ブレーキ倍力装置の少なくともいくつかの構成要素を使用することができる。しかし、この方法の実施可能性はこれら構成要素の使用に限定されるものでないことを指摘しておく。さらに、電気機械式ブレーキ倍力装置を取り付けるためのこの方法は多数の異なるタイプのブレーキシステムで実施可能であることをもう一度指摘しておく。
【符号の説明】
【0032】
12 ブーストハウジング
14 弁体
16 貫通受容穴
18 貫通中央穴
20 弁ピストン
22 入力棒
24 出力棒
26 ボールセグメント
28 ディスク
32 段部
34 面
36 受容孔
50 膨出部
52 ガイド
図1
図2