特許第6234588号(P6234588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234588
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20171113BHJP
   G01L 9/12 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G01L19/14
   G01L9/12
【請求項の数】25
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-540014(P2016-540014)
(86)(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-540986(P2016-540986A)
(43)【公表日】2016年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2014074618
(87)【国際公開番号】WO2015090757
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年8月5日
(31)【優先権主張番号】102013114407.1
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503144906
【氏名又は名称】エンドレス ウント ハウザー ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ENDRESS + HAUSER GMBH + CO.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】110000132
【氏名又は名称】大菅内外国特許事務所特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ベッヒャー,ライムント
(72)【発明者】
【氏名】タム,アン トゥアン
(72)【発明者】
【氏名】ロスベルク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,エルケ
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05939639(US,A)
【文献】 特開2001−050835(JP,A)
【文献】 特開2001−296198(JP,A)
【文献】 特開平09−189630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0301210(US,A1)
【文献】 特開平08−219917(JP,A)
【文献】 特表2000−515967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L 27/00−27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサであって、
前領域(3)と、該前領域に隣接する基盤(5)とを有する固体金属センサ体(1)であって、前記前領域(3)は、前記基盤(5)より大きな断面積を有し、前記前領域(3)は、前記圧力センサを使用位置に実装するために、固定デバイスによってクランプされ得る外縁(11)を有する、固体金属センサ体(1)と、
前記前領域(3)に設けられた凹部(7)であって前記前領域(3)における、前記基盤(5)から離れる方を向いた前面に向かって開いている凹部(7)と、
測定動作中、測定されるべき圧力(p)が外部から印加される金属測定ダイアフラム(9、9’)であって該金属測定ダイアフラムは、前記圧力に応じて弾性的に変形可能であり、前記センサ体(1)の前記前面上に配置され、前記外部に向かって前記凹部(7)を閉止し、前記センサ体(1)と同一の金属からなり、かつ、前記前領域(3)の前記外縁(11)から離間されている、金属測定ダイアフラム(9、9’)と、
前記測定ダイアフラム(9,9’)の圧力依存の変形を計測的に検出するための電気機械的トランスデューサであって、絶縁素子(51、53)によって前記測定ダイアフラム(9、9’)及び前記センサ体(1)から電気的に絶縁され少なくとも1つの測定素子(55、57)を有する電気機械的トランスデューサと、
を備える圧力センサ。
【請求項2】
前記測定ダイアフラム(9、9’)と前記外縁(11)との間の前記センサ体(1)の前記前面に、前記測定ダイアフラム(9,9’)を全方位から囲む溝(13)が設けられている、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記前領域(3)は、前記外縁(11)の前記前面に、金属カッティングリングシールの金属シーリングリップ(15)を有し、該金属シーリングリップは、前記測定ダイアフラム(9、9’)を全方位から囲み、前記測定ダイアフラム(9、9’)から離間しており、かつ、外側へ突出している、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記測定ダイアフラム(9、9’)は、−70℃より低い温度を含む温度範囲において10%以上のパーセント膨張(ε)を有する金属からなる、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記絶縁素子(51、53)は、−70℃より低い温度を含む温度範囲において前記センサ体(1)及び前記測定ダイアフラム(9、9’)の金属の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有する材料からなる、請求項1または4に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記絶縁素子(51)は、前記凹部(7)に挿入された物体であり該物体の前面は、前記測定ダイアフラム(9)に面し、前記測定ダイアフラム(9)に平行に走り、かつ、前記測定ダイアフラムから離間されており
前記測定素子(55)の一つは、前記絶縁素子(51)の前記前面に搭載された測定電極であり、前記測定電極は、対向電極として機能する前記測定ダイアフラム(9)と共に、前記測定ダイアフラム(9)の前記圧力依存の屈曲に依存する容量を有するキャパシタを形成する、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記絶縁素子(51)は、前記測定ダイアフラム(9)に面する前に、前記測定ダイアフラム(9)用のダイアフラムベッドを形成する波形プロファイルを有し該波形プロファイルは、前記測定ダイアフラム(9)の中心に対して同心円状に配置された複数の波からな
前記測定ダイアフラム(9)は、前記絶縁素子(51)の前記波プロファイルと同一の形状を有するプロファイルを有する波ダイアフムとして設計される、請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記絶縁素子(53)は、前記凹部の内部に面する前記測定ダイアフラム(9’)の内面上に配置されたディスクであり該ディスクは、前記測定ダイアフラム(9’)とラミネート接合されており
前記測定素子(57)は、前記絶縁素子(53)における、前記測定ダイアフラム(9’)から離れる方を向いた挿入されセンサである、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記絶縁素子(53)は、サファイアからなり、
前記絶縁素子(53)と前記測定ダイアフラム(9’)との前記ラミネート接合は、ハードはんだ接合である、請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記測定素子(55、57)の少なくとも1つに接続され少なくとも1つの接点(63)前記絶縁素子(51、53)における、前記測定ダイアフラム(9、9’)から離れる方を向いた側に設けられ、
接続ライン(65)、各接点(63)に接続され、
前記基盤(5)を通り且つ前記凹部(7)で終端する穴(75)、各接続ライン(65)に前記センサ体(1)に設けられ、
絶縁材料でできた小型ダクト(77)、各穴(75)に挿入され且つ該穴(75)に沿って走り
各接続ライン(65)は、前記小型ダクト(77)の一つを通って供給される、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記接続ライン(65)は、それぞれ、前記関連する接点(63)に、はんだ、または、ボンドによって接続されている、請求項10に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記電気機械的トランスデューサは、前記測定ダイアフラム(9、9’)から離間されて配置された電子部品(67)に、少なくとも1つの接続ライン(65)を介して接続されている、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項13】
前記測定ダイアフラムは、チタン、タンタル、チタン合金、または、タンタル合金からなり、前記圧力センサは、−165℃から−70℃の温度範囲で使用可能である、請求項4に記載の圧力センサ。
【請求項14】
前記絶縁素子は、セラミックまたはサファイアからなり、前記圧力センサは、−165℃から−70℃の温度範囲で使用可能である、請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項15】
前記絶縁素子は、活性ハードはんだ接合(59)によって前記凹部(7)内に固定されている、請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項16】
前記測定ダイアフラムの前記波形プロファイルは、前記測定ダイアフラム(9)を前記ダイアフラムベッド上に押圧することにより生成される、請求項7に記載の圧力センサ。
【請求項17】
前記センサはピエゾ抵抗シリコンセンサである、請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項18】
前記小型ダクトは、セラミックまたはサファイアでできている、請求項10に記載の圧力センサ。
【請求項19】
前記電子部品はヒータを備える、請求項12に記載の圧力センサ。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか一つに記載の圧力センサを有する圧力測定構成であって、
記測定ダイアフラム(9、9’)を露出する中央凹部(19)を有する接続素子(17、17’)と、
前記接続素子(17、17’)に前記圧力センサを取り付ける固定デバイスであって、前記圧力センサの前記前領域(3)の前記外縁(11)上にのみ載置される固定デバイスと、
を備える圧力測定構成。
【請求項21】
前記圧力センサは、請求項3に記載の圧力センサであり、
前記接続素子(17)は金属シーリング輪郭(21)を有し該金属シーリング輪郭は、前記センサ体(1)の前記シーリングリップ(15)と対向する領域において、前記シーリングリップ(15)と相補的であり
記シーリングリップ(15)及び前記シーリング輪郭(21)の金属よりも延性な金属によって作られた金属シール(23)、前記シーリングリップ(15)と前記シーリング輪郭(21)の間に配置され、
前記固定デバイスはスリーブ(25、39)を備え該スリーブは、前記測定ダイアフラム(9、9’)から離れる方を向いた側から前記圧力センサ上にスライドされ、且つ、ねじ接続によって前記接続素子(17)に接続される、請求項20に記載の圧力測定構成。
【請求項22】
前記接続素子(17’)は、前記外縁(11)と対向する前面上に、環状周縁溝(41)を備え、
環状周縁シーリングばね(43)前記溝(41)内に挿入され、
前記固定デバイスはスリーブ(45)を備え該スリーブは、前記測定ダイアフラム(9、9’)から離れる方を向いた側から前記圧力センサ上にスライドされ、且つ、ねじ接続によって前記接続素子(45)に接続される、請求項20に記載の圧力測定構成。
【請求項23】
前記接続素子は、接続パイプ、接続部品、または接続フランジであり、前記固定デバイスは、前記測定ダイアフラム(9、9’)に垂直な面に対して平行に作用する力を、前記縁(11)上にのみ及ぼす、請求項20に記載の圧力測定構成。
【請求項24】
前記金属シールは、金又は銅でできたシールであり、前記金属シールの外側が、ポリテトラフルオロエチレンのコーティングによって被覆されている、請求項21に記載の圧力測定構成。
【請求項25】
前記環状周縁シーリングばねは、弾性のある金属でできた、c形状断面プロファイルを有するシーリングばねであり、該シーリングばねの外側は、ポリテトラフルオロエチレンのコーティングで被覆されている、請求項22に記載の圧力測定構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサと、圧力センサを備える圧力測定構成に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサは、測定されるべき圧力を計測的に検出するための産業測定技術の殆ど全ての分野における圧力測定構成に用いられる。
【0003】
この目的のために、シリコンベースの圧力センサチップなどの、いわゆる半導体センサが、今日しばしば用いられる。しかし、これらの圧力センサは、機械的に敏感である。このため、これらは、圧力が測定されるべき媒体に直接曝されることが出来ない。むしろ、ダイヤフラムシールが、圧力センサの上流に設けられ、これが、圧力センサに、測定されるべき圧力を伝達する。ダイヤフラムシールは、油などの、圧力伝達流体で満たされる。圧力伝達流体は、低温で凍るので、これらの圧力センサは、使用される流体の氷点より十分上の温度においてのみ用いられることができる。これらの圧力センサの使用は、従って、一般に−70℃より上など、流体の選択に依存した最低温度より上の温度のみが発生する用途に限定される。
【0004】
−70℃より低い、極端な低温は、液化天然ガスを輸送するときと共に、天然ガスの液化のためのシステムなどの特定の用途において発生する。これらの場合、−165℃までの温度が発生しうる。
【0005】
従って、基本的に、−70℃未満の温度における圧力の測定のためには、ドライセンサとしばしば呼ばれる、圧力伝達流体を使用することなしに動作することが出来る圧力センサのみが考えられる。
【0006】
ドライ圧力センサの例は、基体から離された円筒形のセラミック基体上に配置され、基体と同じ直径を有するセラミック測定ダイアフラムを有する、セラミック圧力センサである。セラミック圧力センサは、セラミック測定ダイアフラムが、媒体に直接曝されることが出来るという利点を提供する。この点において、セラミックは、特に、圧力測定の用途に対する有利な化学的及び機械的特性を有する。セラミック圧力センサは、使用位置で実装されなければならない。このため、これらは、プロセス接続が搭載され、測定ダイアフラムの外縁と基体とが、軸方向、即ち、測定ダイアフラムに垂直な面に平行にクランプされるセンサ筐体に通常挿入される。圧力センサ内の機械的変形を防止するために、特に、測定ダイアフラムの領域において、圧力センサは、中間エラストマーを挿入することによってセンサ筐体内にクランプされる。しかし、エラストマーは、記述した低温においては機能しない。従って、これらのセラミック圧力センサの使用は、また、−70℃より高い温度に限定される。
【0007】
ドライ圧力センサの他の例は、DE 10 2006 035 230 A1に記載されている。この圧力センサは、その中に搭載され、抵抗ブリッジを形成するように相互接続されたピエゾ抵抗シリコンセンサを有するサファイアキャリアを含む。サファイアキャリアは、測定ダイアフロムとして用いられるチタンプレートの内面上に搭載される。測定動作の間、測定されるべき圧力は、チタンプレートの外部に直接印加され、プレートの圧力による屈曲は、シリコンセンサを用いて、計測的に検出される。チタンプレートは、チタンで作られたダイアフラムキャリア内に、フラッシュマウントされ、次に、ステンレススチールで作られた、ブラケット内に挿入され、ステンレススチールで作られたプロセス接続内にフラッシュマウントされる。ダイアフラムキャリアは、ステンレススチールで作られたプロセス接続のものと共に、チタンで作られた測定ダイアフラムと、ステンレススチールで作られたブラケットとの異なる熱膨張係数によって生じうる圧力を吸収するために用いられる。この目的のために、ダイアフラムキャリアは、圧力センサ内部に面する内部面上に、周縁環状凹部を含む。ダイアフラムキャリアは、このように、急激な温度変化の場合でさえも、変形に対して、測定ダイアフラムを保護することが出来る。しかし、キャリアは、異なる熱膨張によって生じる力を吸収するための凹部によって、自体が十分に弾性がある限りにおいてのみ、そのようにすることが出来る。これらの力は全て、温度が低いほど大きい。同時に、温度が低いほど、チタンの弾性は低い。ダイアフラムキャリアは、このように、それが使用される温度が低くなるほど、これらの力を吸収することが出来なくなる。
【0008】
ドライ圧力センサによって、低温における使用位置に圧力センサまたは測定ダイアフラムを可能な限り歪みなしで搭載することは、重要な問題を提起する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は、特に、−70℃より低い温度などの、低温において使用できる、圧力センサ及び該圧力センサを搭載する圧力測定構成を明示することである。
【0010】
このために、本発明は、
−前領域と、これに隣接する基盤とを有する固体金属センサ体であって、
――前領域は、基盤よりも大きい断面積を有しており、
――前領域は、使用位置に圧力センサを実装するための固定デバイスによってクランプされることが出来る、外縁を有する、固体金属センサ体と、
−前領域に設けられ、基盤から外に面する前領域の前方に向かって開いている凹部と、
−測定動作中に、外部から測定されるべき圧力が印加され、圧力によって弾性的に変形することが出来、センサ体の前方に配置され、外部に向かって凹部を閉止する金属測定ダイアフラムであって、
――センサ体と同じ金属からなり、
――前領域の外縁から離間されている金属測定ダイアフラムと、
−絶縁素子によって、測定ダイアフラムとセンサ体から電気的に絶縁されている、少なくとも1つの測定素子を有する、測定ダイアフラムの圧力による変形を、計測的に検出するための電気機械的トランスデューサと、
を備える圧力センサを含む。
【0011】
第1の開発によると、測定ダイアフラムの全方位を覆う溝が、測定ダイアフラムと外縁の間のセンサ体の前方に提供される。
【0012】
第2の開発によると、前領域は、外縁の前方の金属カッティングリングシールの金属シーリングリップを備え、シーリングリップは、測定ダイアフラムを全方位で覆い、測定ダイアフラムから離間されており、外部に突出する。
【0013】
第3の開発によると、測定ダイアフラムは、金属、特には、チタン、タンタル、チタン合金、または、タンタル合金などの、−70℃未満の温度を含む温度範囲で、特に、圧力センサが用いられる、−165℃から−70℃の温度範囲で、10%以上のパーセント拡張を有する金属からなる。
【0014】
本発明の一実施形態、または、第3の開発によると、絶縁素子は、特に、セラミックまたはサファイアなどの材料からなり、これらは、−70℃未満の温度を含む温度範囲、特に、圧力センサが用いられることができる、−165℃から−70℃の温度範囲で、センサ体と測定ダイアフラムの金属の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有する。
【0015】
本発明の第1の変形例によると、
−絶縁素子は、凹部に挿入され、特に、活性ハードはんだ(active hard solder)接合によって凹部に取り付けられ、その前面は、測定ダイアフラムに面し、測定ダイアフラムと平行して走り、それから離間されており、
−測定素子の一つは、絶縁素子の前面に搭載された測定電極であり、測定電極は、対向電極として機能する測定ダイアフラムと共に、測定ダイアフラムの圧力による屈曲に依存した容量を有するキャパシタを形成する。
【0016】
第1の変形例の一実施形態によると、
−絶縁素子は、測定ダイアフラムに面する前面上に、測定ダイアフラム用のダイアフラムベッドを形成し、測定ダイアフラムの中心に同心円に配置された波からなる波プロファイルを有し、
−測定ダイアフラムは、絶縁素子の波プロファイルと同一形状を有し、特に、ダイアフラムベッドに測定ダイアフラムを押し付けることにより生成される波プロファイルを有する波ダイアフラムとして設計される。
【0017】
本発明の第2の変形例によると、
−絶縁素子は、凹部の内部に面する測定ダイアフラムの内面上に配置され、測定ダイアフラムとラミネート接合されるディスクであり、
−測定素子は、測定ダイアフラムから外に面する絶縁素子の一面上の絶縁素子に挿入されるセンサ、特に、ピエゾ抵抗シリコンセンサである。
【0018】
第2の変形例の好適な一実施形態によると、
−絶縁素子は、サファイアからなり、
−絶縁素子と測定ダイアフラムのラミネート接合は、ハードはんだ接合である。
【0019】
本発明の第4の開発によると、
−測定素子の少なくとも1つに接続された少なくとも1つの接点は、測定ダイアフラムから外に面する絶縁素子の側面上に設けられ、
−接続ラインは、各接点に接続され、
−基盤と凹部の端を通る穴が、各接続ラインのセンサ体に設けられ、
−絶縁材料、特に、セラミックまたはサファイアから作られる小型ダクトは、各穴に挿入され、穴を繋ぎ、
−各接続ラインは、小型ダクトの一つを介して供給される。
【0020】
第4の開発の一実施形態によると、接続ラインのそれぞれは、はんだ、または、ボンドにより関連する接点に接続される。
【0021】
第5の開発によると、電気化学的トランスデューサは、少なくとも1つの接続ラインによって、測定ダイアフラムと離間して配置された、電子部品、特に、ヒータを搭載した電子部品に接続される。
【0022】
更に、本発明は、本発明による圧力センサを有する圧力測定構成を備え、これは、
−接続素子、特に、接続パイプ、接続部品、または、接続フランジであって−
――測定ダイアフラムを曝す中央凹部を有するものと、
−圧力センサを接続素子に取り付ける固定デバイスであって、
――圧力センサの前領域の外縁上に排他的に配置され、特に、測定ダイアフラムに垂直な面に平行に作用する縁への力を排他的に加えるものと、
を有する。
【0023】
更に、本発明は、第2の開発による圧力センサを有する、本発明による圧力測定構成の一実施形態を備え、これは、
−接続素子が、シーリングリップと対向する領域において、センサ体のシーリングリップと相補的な、金属シーリング輪郭を有し、
−金属シール、特に、シーリングリップとシーリング輪郭の金属より延性な金属、特に、金または銅で作られた、特に、ポリテトラフルオロエチレンの被覆で外部が被覆されたシールは、シーリングリップとシーリング輪郭との間に配置され、
−固定デバイスは、測定ダイアフラムから外に面する側から圧力センサ上にスライドされ、ねじ接続によって接続素子に接続されるスリーブを備える。
【0024】
更に、本発明は、本発明による圧力測定構成の別の一実施形態を備え、これは、
−接続素子が、外縁と対向する前面上に、環状周縁溝を備え、
−特に、弾性のある金属、特に、ポリテトラフルオロエチレンの被覆で外面が被覆された金属から作られる、環状周縁シーリングばね、特に、c形状の断面プロファイルを有するシーリングばねは、溝に挿入され、
−固定デバイスは、測定ダイアフラムから外に面する面から圧力センサ上にスライドされ、ねじ接続によって接続素子に接続されるスリーブを備える。
【0025】
本発明による圧力センサは、測定ダイアフラムとセンサ体が同一の金属で作られ、圧力センサが、測定ダイアフラムから離間された固体センサ体の前領域の外縁の軸方向クランプにより、使用位置に実装されることが出来る、という利点を提供する。このように、圧力センサのクランプによる測定ダイアフラムの領域の変形の結果として、測定がこれらの温度によって阻害されることなく、低温、特に、−165℃から−70℃の範囲の温度において、圧力センサを使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以降、本発明とその利点が、実施形態の3つの例を示す図面を用いて、詳細に説明されるだろう。同一の要素は、図において、同一の参照番号によって示される。
【0027】
図1】容量型電気機械的トランスデューサを有する圧力センサを有する圧力測定構成を示す。
図2図1の圧力センサを有する他の圧力測定構成を示す。
図3】ピエゾ抵抗型電気機械的トランスデューサを有する圧力センサを有する圧力測定構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による圧力センサを有する圧力測定構成の分解立体図を介した断面を示す。圧力センサは、前領域3と、これに隣接し、圧力センサの縦軸に平行に走る基盤5と、を有する固体金属センサ体1を備える。前領域3は、ディスクの基本形状を有しており、その中央を介して、圧力センサの縦軸が走る。
【0029】
センサ体1の前領域3には凹部7が設けられこの凹部7は、前領域3における、基盤5から離れる方を向き且つセンサ体1の前面と同一平面にある前面に向かって開いている
【0030】
圧力センサの前面には金属の測定ダイアフラム9が配置されこの測定ダイアフラム9は、圧力に応じて弾性的に変形されることができ、凹部7を完全に覆い且つ外部に向かってそれを遮断する。ここで、測定ダイアフラム9の外縁は、凹部7をその外側でみ、例えば、電子ビーム溶接などの接合によってセンサ体1の前面に接続される。
【0031】
測定ダイアフラム9が、−70℃よりも低い低温、特に、−165℃から−70℃の温度範囲においても、十分な程度に弾性的に変形可能であるために、この温度範囲において、十分高い弾性、十分高い降伏強度、及び、十分高いパーセント膨張を有する金属が用いられる。パーセント膨張εは、初期長さに対する、引っ張り応力の下の物体に発生する長さの変化の比を示し、従って、計測的に検出されるべき、測定ダイアフラム9の屈曲の決定的変数である。
【0032】
列挙した金属の弾性係数と降伏強度は、温度が下がると増加し、この場合、問題ではないが、パーセント膨張εは、温度が下がると減少する。好ましくは、圧力センサが用いられる温度範囲において、10%以上のパーセント膨張εを有する金属が用いられる。
【0033】
この点において、タンタル及びタンタル合金と共に、オーステナイト系ステンレス鋼、チタン、チタン合金は、測定ダイアフラム9の材料として適している。好ましくは、測定ダイアフラム9は、チタンまたはチタン合金からなる。
【0034】
好適な金属は、純度2のチタン(グレード2のチタン)である。グレード2のチタンは、−165℃以上の温度において、18%以上のパーセント膨張εを有する。直径15mmで、0.4mmの比較的厚い厚さを有するグレード2のチタンから作られる測定ダイアフラムは、弾性屈曲を経験し、測定ダイアフラムの中心は、−165℃で、1MPa(10bar)の圧力が加えられたとき、10μmより大きく屈曲される。数マイクロメータ、特に、2μmより大きいオーダのダイアフラムの屈曲は、既に、計測的に検出できるので、このオーダの屈曲は、容易に計測的に検出されることが出来る。
【0035】
異なる熱膨張係数による測定ダイアフラム9の変形を防止するために、固体センサ体1は、測定ダイアフラム9と同一の金属のみからなる。このように、圧力センサが、非常に広い温度範囲を通過するとしても、熱膨張による変形は、測定ダイアフラム9とセンサ体1との間には発生しない。
【0036】
更に、同一の材料間の接合は、高品質で、異なる材料間の接合よりも、その温度範囲にわたって、より機械的な耐性がある。
【0037】
測定動作中、測定されるべき圧力pは、凹部7から外に面する測定ダイアフラム9の外面に印加され、その圧力による変形は、電気機械的トランスデューサによって検出される。この結果、圧力センサは、低温、特に、−70℃未満の温度においても、測定を邪魔する変形が、測定ダイアフラム9の領域で発生しないように、使用位置に実装される。
【0038】
この目的のため、固体センサ体1の前領域3は、それに隣接する基盤5よりもかなり大きい断面積を有し、前領域3は、図において、両方向矢印で示されるように、測定ダイアフラム9から離間された、外縁11を備える。
【0039】
これによって、固定デバイスが、測定ダイアフラム9から離間された前領域3の外縁11だけをクランプすることにより、圧力測定構成における使用位置に圧力センサが実装されることが出来るという効果を有する。この目的のため、固定デバイスは、それが、好ましくは、外縁11のみに作用し、測定ダイアフラム9に垂直な面に平行な方向にのみ作用する力を外縁11上にかけるように、設計される。
【0040】
固定デバイスによって圧力センサに掛けられる力は、このように、測定ダイアフラム9から離間された、前領域3の外縁11に制限される。これは、変形に対し、測定ダイアフラム9の効果的な保護を提供する。このようにすることによって、測定ダイアフラム9と、前領域3のクランプされた外縁11との間の空間距離は、既に、機械的分離を引き起こしている。これは、前領域3がより厚く、縁11が、測定ダイアフラム9からより離間されていると、より効果的である。
【0041】
測定ダイアフラム9の、圧力センサの外縁11の機械的クランプからの分離は、前領域3の前面において、外部から、測定ダイアフラム9を全方位で囲む溝13を提供することによって、更にまた改善されることが出来る。
【0042】
このように、本発明による圧力センサは、−70℃よりも低い温度で用いられることができるが、圧力センサのクランプによって生じる測定ダイアフラム9の変形によって、これらの温度における測定が邪魔されることない。
【0043】
固定デバイスにより、低温で、圧力センサの外縁11の圧力を掛けたクランプを達成するために、金属カッティングリングシーリングの金属シーリングリップ15が、センサ体1の前領域3の外縁11の前面上に提供され、このシーリングリップは、好ましくは、圧力センサの縦軸に平行に、外に向かって突出する。シーリングリップ15は、全方位で、測定ダイアフラム9を囲み、測定ダイアフラム9から離間される。
【0044】
圧力測定構成は、接続素子17、特に、接続パイプ、接続部品、または、接続フランジを備え、その上に固定デバイスによって圧力センサが搭載される。接続素子17は中央凹部19を有しこの中央凹部19は測定ダイアフラム9を露出し、測定動作中、測定されるべき圧力pが中央凹部19を介して測定ダイアフラム9に印加される。更に、接続素子17は、シーリングリップ15に対向する前面において、センサ体1のシーリングリップ15に相補的な金属シーリング輪郭21を有する。この目的のために、シーリングリップ15と、それに相補的シーリング輪郭21は、カッティングリングシール用の真空技術において用いられるプロファイルに類似したプロファイルを有することが出来る。センサ体1のシーリングリップ15と、接続素子13の相補的シーリング輪郭21との間に、金属シール23が挿入され、これは、シーリングリップ15とシーリング輪郭21の金属より延性の金属から作られる。この目的のために適したものは、特に、金または銅によって作られたシール23である。極度の低温において、カッティングリングシールのシーリング効果を改善するために、シール23は、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンの被覆(コーティング)が、外部に設けられる。
【0045】
固定デバイスは、それが、接続素子17に対し、センサ体1の前領域3の外縁11を押圧するように設計される。これは、シーリングリップ15とシーリング輪郭21が、それらの間にクランプされる金属シール23に切り込むという効果を有する。
【0046】
センサ体1の外縁11にのみ作用する固定デバイスとして適しているものは、特にはスリーブ25であり、このスリーブ25は、測定ダイアフラム9から離れる方に向いた(すなわち、測定ダイアフラム9の方に面している側とは反対側)から圧力センサ上にスライドされ、搭載状態においては、前領域3の外縁11の、測定ダイアフラム9から離れる方に向いた後部面の外縁上に載置され、例えば、ここに両方向矢印で示されるねじ接続によって、接続素子17に接続されることが出来る。スリーブ25は、例えば、接続素子17の外部ねじ山27にねじ込まれるスリーブナットである。この変形例図1の左半分に示されている。ねじ込みプロセスによって掛けられる回転力に対してセンサ体1を保護するために、スリーブナットは、好ましくは挿入部29を有しこの挿入部29は、センサ体1上に直接載置され、その上に内部ねじ山を有するブッシング31が配置される。挿入部29は、好ましくは、センサ体1と同一の金属のみからなる。好ましくは、ブッシング31と、搭載状態において、センサ体1に隣接する接続素子17の少なくとも一領域また、この金属のみからなる。この温度範囲にわたって発生し、異なる熱膨張係数によって引き起こされる変形は、これによって、排除される。
【0047】
スリーブ25は中央穴33を有しこの中央穴33を通って基盤5が走り、この中央穴33の断面積は、搭載状態において、スリーブ25が前領域3の外縁11上にのみ載置されるど十大きい。
【0048】
あるいは、接続素子17スリーブナット35を設けることができこのスリーブナット35は、内部ねじ山37を有し、そして、測定ダイアフラム9から離れる方を向いた側からセンサ体1上にスライドする、外部ねじ山を有するスリーブ39上にねじ込まれる。この変形例は、図1の圧力測定構成の右半分に示されている。スリーブ39は、挿入部29と全く同様に、測定ダイアフラム9から離れる方を向いている側からセンサ体1上にスライドされ、また、中央穴33をも有し、この中央穴33を通って基盤5が走り、この中央穴33の断面積は、搭載状態において、スリーブ39が前領域3の外縁11上にのみ載置されるど十大きい。
【0049】
あるいは、スリーブと接続素子は、また、その外縁を通るボルトねじによって、共にねじ込まれるフランジとしても設計されることが出来る。
【0050】
図1の測定構成に示されるカッティングリングシールによる圧力を掛けた固定ではなく、低温での使用に適した他のシーリング原理も使用可能である。この一例が図2に示されている。そこに示される測定構成は、シーリングリップを有していないという点でのみ図1に示される圧力センサと異なる圧力センサを備える。図2に示される圧力測定構成は、また、接続素子17’を備え、この接続素子17’は、測定ダイアフラム9を露出する中央凹部19を備え、接続素子17’上に、圧力センサが、固定デバイスによって搭載される。接続素子17’は、前領域3の外縁11に対向する前面に環状周縁溝41を有しこの環状周縁溝41の中に、弾性のある金属で作られ環状周縁シーリングばね43が挿入される。シーリングばね43は、例えば、c形状断面プロファイルを有し、脱押圧状態において、溝41から突出する。図1のシール23と同様に、シーリングばね43また、好ましくは、その外部にポリテトラフルオロエチレンの被覆(コーティング)が提供される。
【0051】
ここにおいて、固定デバイスは、また、測定ダイアフラム9に垂直な面に平行に、接続素子17’に対し、センサ体1の前領域3の外縁11を押圧するようにも設計される。接続素子17’に面する外縁11の平坦前面は、これにより、シーリングばね43に対して押圧される。シーリングばね43は、これにより、張力が発生し、シーリング効果を有する。出来る限り広い温度範囲で、最適なシーリング効果を有するために、シーリングばね43は、好ましくは、接続素子17’とセンサ体1の熱膨張係数と同一、または、少なくとも非常に近い熱膨張係数を有する金属のみからなる。好ましくは、接続素子17’の溝41と、センサ体1、シーリングばね43含む領域は、チタンまたはチタン合金からなる。
【0052】
ここで、固定デバイスまた、スリーブ45を備え、このスリーブ45は、搭載状態において、前領域3の外縁11上にのみ載置され、ここに両方向矢印で示されるように、ねじ接続によって接続素子17’に接続されることが可能である図1に示される例示的実施形態とは対照的に、スリーブ45と接続素子17’は、ここでは、フランジの形状に設計される。従って、ねじ接続は、ここでは、スリーブ45と接続素子17’が共にねじ込まれる、ボルトねじ(図2には不図示)によってなされる。この目的のために、接続素子17’及びスリーブ45は連続穴47、49を有しこれらの連続穴47、49は、外縁に配置され、搭載状態において、連続穴47、49をボルトねじが通る。あるいは、接続素子17’とスリーブ45の接続は、また、図1に示されるねじ接続によってなされることも出来る。
【0053】
測定動作中、測定ダイアフラム9は、接続素子17または17’によって、測定されるべき圧力pに曝される。この圧力pは、圧力に依存する測定ダイアフラム9の弾性変形を引き起こし、これが、電気機械的トランスデューサによって計測的に検出され、電気信号に変換される。
【0054】
図1及び図2に示される例示的実施形態においては、容量型電気機械的トランスデューサが、この目的のために設けられる。図3は、膨張測定素子が搭載されたトランスデューサが提供される他の例示的一実施形態を示す。
【0055】
それら両方の場合において、トランスデューサは、絶縁素子51、53と、少なくとも1つの電気的に絶縁された測定素子55、57とを備え、この測定素子55、57は、絶縁素子51、53によって金属測定ダイアフラム9、9’から絶縁され、また、センサ体1が、純粋に金属的な接合を介して測定素子55、57に導電的に接続される。絶縁素子51または53は、圧力センサが用いられることができる温度範囲において、センサ体1と測定ダイアフラム9、9’の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有する電気的絶縁材料のみからなる。このために、これらの温度で可能な限り金属の熱膨張係数と類似する熱膨張係数を有する材料が選択される。この目的のためには、センサ体1と測定ダイアフラム9用の材料として、チタンまたはタンタル合金、及び、チタンまたはタンタルとの関連で、セラミックとサファイア適している。
【0056】
チタン及びタンタル合金と共に、チタン、タンタルは、−165℃から−70℃の範囲の温度で、8×10−6/℃のオーダの熱膨張係数を有する。サファイアは、この温度範囲で、6×10−6/℃のオーダの熱膨張係数を有する。
【0057】
セラミックとして、マイカ結晶及び、ホウケイ酸ガラスからなるガラスセラミックを用いるのが好適である。この点の例は、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化カリウム、酸化ボロン、及び、フッ素を含む、MACORというブランド名の下に、EuropTec社が提供しているガラスセラミックである。これらは、−200℃から−25℃の温度範囲で、7.4×10−6/℃の範囲の熱膨張係数を有し、加えて、機械加工によって、低い製造ばらつきで作成することができ、高い表面品質を有し、穴が無いので如何なるガスも放散することがなく、金属で被覆することができ、ハードはんだ付けすることが出来る、という利点を提供する。
【0058】
サファイアとセラミックは、機械的に安定で、−70℃未満の温度でも、特に、−165℃から−70℃の範囲の温度でも、良い電気的絶縁性を提供する。
【0059】
サファイアまたはセラミックで作られた絶縁素子51、53に加えて、センサ体1と測定ダイアフラム9用に、チタンまたはタンタル合金と共に、チタン、タンタルを用いることにより、−165℃までの温度範囲で圧力センサを用いることが可能である。
【0060】
サファイアまたはセラミックは、オーステナイト系ステンレス鋼によって作られるセンサ体1と測定ダイアフラム9と共に、絶縁素子51または53用の材料として用いられることが出来る。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は、16×10−6/℃のオーダの熱膨張係数を有し、ここに列挙した他の金属との適合性が顕著に悪化し、圧力センサが用いられることができる温度範囲の下限を制限する。タンタル及びタンタル合金は、チタン及びチタン合金に比較し、膨張的であるので、測定ダイアフラム9、9’、及び、センサ体1は、好ましくは、チタンまたはチタン合金からなり、サファイアまたはセラミックで作られた絶縁素子51、53と共に用いられる。
【0061】
図1に示される容量型トランスデューサにおいては、絶縁素子51は、凹部7に挿入され、測定ダイアフラム9から離れる方を向いた裏面に固定される物体である。この体は、測定ダイアフラム9に面する前面を有し、測定ダイアフラム9に平行に走り、これから離間されている。この結果、裏面で固定される絶縁素子51は、凹部7の高さより低い高さを有する。
【0062】
固定は、好ましくは、基盤5に面する絶縁素子51の裏面の外縁と、絶縁素子51に対向し且つセンサ体1によって形成される凹部7の底面領域とによって生成される接合部59によって発生する。特に、活性ハードはんだ接合は、特に、チタンなどの金属、及び、セラミック、またはサファイアを接合するために適している。この目的のため、三級活性ハードはんだ(ternary active hard solder)が、好適に用いられ、これは、Zr−Ni合金とチタンを備える。そのような活性ハードはんだは、例えば、EP0490807B1に記述されている。
【0063】
絶縁素子51は、好ましくは、基盤5に面する裏面上の閉止された外縁に沿った周縁凹部を備え、この凹部には、活性ハードはんだで作られるはんだリングが挿入される。はんだリングは、絶縁素子51と共に、凹部7に挿入され、それから、凹部7の底面領域に直接接触し、そこにはんだ付けされる。
【0064】
容量型トランスデューサの測定素子55は、電極であり、測定ダイアフラム9に面する絶縁素子51の前面上に配置される。これらの電極は、測定ダイアフラム9までの距離によって測定ダイアフラム9から電気的に絶縁され、かつ、絶縁素子51によってセンサ体1から電気的に絶縁される。測定素子55の一つは、測定電極であり、対向電極として機能する測定ダイアフラム9と共に、測定ダイアフラム9の圧力に応じた屈曲に依存した容量を有するキャパシタを形成する。基準電極のような、追加の電極(不図示)が、また、絶縁素子51に設けられることが出来る。測定電極は、例えば、金属被覆として、絶縁素子51の前面上に、例えば、スパッタリングにより、適用される電極である。好ましくは、電極は、金属のみからなり、その熱膨張係数は、絶縁素子51の熱膨張係数と出来る限り近いものである。絶縁素子51の材料は、センサ体1の金属の熱膨張係数に依存して選択されるので、電極は、好ましくは、センサ体1と同一の金属、好ましくは、チタンのみからなる。
【0065】
測定素子55の電気接続は接触ピン61を介して行われこの接触ピン61は、絶縁素子51を通って供給され、かつ、測定ダイアフラム9から離れる方を向いた絶縁素子51の裏面上に配置される関連する接点63各測定素子55を接続する。接触ピン61は、例えば、チタンまたはタンタルピンとすることが出来る。タンタルは、チタン及び、絶縁素子51の熱膨張係数と非常に近い熱膨張係数を有する。
【0066】
各接63は、電気接続ライン65によって電子部品67に接続され、この電子部品67は、測定ダイアフラム9から離間して配置され、測定動作中、トランスデューサによって計測的に検出される測定ダイアフラム9、9’の圧力依存屈曲に基づいて、測定されるべき圧力pを判定し、かつ、この圧力pを表示するか又は適切な出力信号の形式で提供する。この目的のため、接続ライン65は、例えば、はんだ、またはボンドによって、接点63に接続される。
【0067】
図1に示される例示的実施形態においては、測定ダイアフラム9によって形成される対向電極の電子部品67への電気的接続69が、追加的に提供される。金属測定ダイアフラム9は、金属センサ体1に導電的に接続され、対向電極の接続69は、例えば、測定ダイアフラム9から離れる方を向いた基盤5の前面に適用される接点71を介してなされる。
【0068】
可能な限り、使用位置における条件と、接続ライン65の結果的に要求される長さとに基づいて、電子部品67は、電子部品67の動作に十分な温かさの場所における使用位置に配置されるような、測定ダイアフラム9、9’からの距離に配置されるべきである。電子部品は、典型的には、−40℃より高い温度においてのみ使用されることが出来る。トランスデューサ上に直接配置されるオンサイト(on−site)電子部品なしで動作するトランスデューサの接続ライン65の長さは、典型的には、10cmのオーダの長さに制限される。10℃/cmの接続ライン65に沿った温度勾配が仮定されるなら、測定ダイアフラム9、9’は、10cmのライン長で、−140℃より高い温度に曝されることが出来る。より低い温度勾配、より短いライン長、または、測定ダイアフラム9、9’において優勢なより低い温度で圧力センサを用いることも出来るために、電子部品67は、好ましくは、ヒータ73が設けられる。
【0069】
各接続ライン65については、基盤5を通って凹部7に進む、各接続ライン65が関連する接点63まで走る穴75が、センサ体1に設けられる。接続ライン65を、センサ体1から電気的に絶縁するために、各穴75は、電気的に絶縁する材料で作られる小型ダクト77と接続される。小型ダクト77は、好ましくは、センサ体1の金属の熱膨張係数に適合された熱膨張係数を有する材料からなる。好ましくは、ここでは、絶縁素子51または53のための材料と同一の材料が用いられる。
【0070】
測定ダイアフラムは、好ましくは、例えば、1MPa(10bar)のオーダのより低い圧力を測定するための平坦測定ダイアフラムとして設計され、測定ダイアフラム9は、好ましくは、例えば、10MPa(100bar)までのオーダの圧力を測定するためのより高い圧力測定範囲における測定のための波形(なみがた)のダイアフラムとして設計される。この変形例は、図1に示されている。この目的のために、凹部7を覆い、好ましくは、円形ディスクの形状をしている測定ダイアフラム9の領域は、測定ダイアフラム9の中心に対して同心円状に配置された複数のからなるプロファイルを有する。波ダイアフラムは、同一の材料及び厚さのディスク形状ダイアフラムより硬く、また、ダイアフラムの圧力依存の屈曲が、ディスク形状の測定ダイアフラムより、それに作用する圧力pに対して、より線形な依存性を有する、という高圧力における利点を提供する。
【0071】
この場合、波ダイアフラムに面する絶縁素子51の前面は、好ましくは、波ダイアフラムのダイアフラムベッドとして設計され、このダイアフラムベッドは、過剰な負荷がかかったときに、測定ダイアフラム9を支持する。このため、測定ダイアフラム9に面する絶縁素子51の前面は、その上に配置された測定ダイアフラム9と同一の波プロファイルを有する。
【0072】
測定ダイアフラム9の波プロファイルは、好ましくは、測定ダイアフラム9の材料で作られた平坦金属ディスクが、センサ体1の前面に溶接され、絶縁素子51の波プロファイル上に少なくとも一回押圧されるようにして生成される。この目的のため、圧力が、金属ディスクに印加され、押圧圧力まで連続的に増加され、絶縁素子51の形状が、金属ディスクに押圧され、ある期間、この押圧圧力で維持される。押圧圧力が、測定ダイアフラム9に続けて印加されなくなるとすぐに、押圧された測定ダイアフラム9は、測定ダイアフラム自体の復元力のために、ダイアフラムベッドから、絶縁素子51から離間した位置まで戻る。
【0073】
図3に示される圧力測定構成は、電気機械的トランスデューサと測定ダイアフラム9’の形状の設計においてのみ、図1に示される例示的実施形態と異なっている。以前の例示的実施形態と異なり、トランスデューサの絶縁素子53は、ここで、凹部7の内部に面する測定ダイアフラム9’の内面に直接適用される。
【0074】
このプロセスにおいて、測定素子57は、測定ダイアフラム9’から離れる方を向いた側で、絶縁素子53内に挿入される。測定素子57は、例えば抵抗測定ブリッジを形成するように相互接続され、例えば長尺抵抗、特にピエゾ抵抗素子である。
【0075】
この目的のため、シリコンオンサファイア技術から知られるトランスデューサチップを用いることが出来このチップは、サファイアキャリアとその中に囲まれるシリコンセンサとを有する。サファイアは、シリコンの結晶構造と適合する結晶構造を有し、低温においても、囲まれたシリコンセンサの良好な絶縁を保証する。
【0076】
ここで、サファイアキャリアは、測定素子57を測定ダイアフラム9’から絶縁する、ディスク形状の絶縁素子53を形成する。センサ体1からの測定素子57の絶縁は、測定素子が、センサ体1の材料から離間した凹部7内に配置されることによって達成される。ここで、トランスデューサの電気接続は、また、絶縁素子53における、測定ダイアフラム9’から離れる方を向いた側に配置され接点63に接続され接続ライン65によってなされる。接続ライン65は、ここでまた、穴75を通って供給され、これは、絶縁材料で作られる小型ダクト77と繋がり、センサ体1を通る。しかしながら、以前の例示的実施形態とは対照的に、小型ダクト77は、好ましくは、ここでは、凹部7内に延伸する。
【0077】
絶縁素子53内に挿入される測定素子57に対する、測定ダイアフラム9’の圧力依存の屈曲の最適な伝達を達成するために、ディスク形状絶縁素子53は、好ましくは、測定ダイアフラム9’と、ラミネート接合される。このため、測定ダイアフラム9’は、好ましくは、平坦金属ディスクとして設計される。ラミネート接合は、例えば、ハードはんだによって達成される。
【0078】
測定ダイアフラム9’に取り付けられ絶縁素子53は、測定ダイアフラム9’を補強する。従って、図3に示される圧力センサは、好ましくは、より高い圧力pを測定するために用いられる。あるいは、補強は、測定ダイアフラム9’用に、より高いパーセント膨張εを有する材料を選択することにより、補償されることが出来る。温度が下がると、パーセント膨張εは減少するので、これは、しかし、通常、圧力センサを使うことが出来る温度範囲の下限の増加を結果として生じることとなる。
【符号の説明】
【0079】
1 センサ体
3 前領域
5 基盤
7 凹部
9、9’ 測定ダイアフラム
11 縁
13 溝
15 シーリングリップ
17 接続素子
19 凹部
21 シーリング輪郭
23 シール
25 スリーブ
27 外部ねじ山
29 挿入部
31 ブッシング
33 穴
35 スリーブナット
37 内部ねじ山
39 スリーブ
41 溝
43 シーリングばね
45 スリーブ
47 穴
49 穴
51 絶縁素子
53 絶縁素子
55 測定素子
57 測定素子
59 接合部
61 接触ピン
63 接点
65 接続ライン
67 電子部品
69 接続
71 接点
73 ヒータ
75 穴
77 小型ダクト
図1
図2
図3