(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
絶縁シートを用いた場合や絶縁部材に導体を埋め込んだ場合には一種類の絶縁シートや絶縁部材が用いられていた。そして、絶縁シートや絶縁部材はあくまでも絶縁性を担保するためのものとして用いられており、その他の機能を果たすことが想定されていなかった。このため、一種類の比較的低い熱伝導率の絶縁シートだけを用いたり一種類の比較的高い誘電率な絶縁シートだけを用いたりする場合には、例えば十分な放熱性を実現できないといった問題が生じ得た。他方、一種類の比較的高い熱伝導率の絶縁シートだけを用いたり一種類の比較的高い誘電率な絶縁シートだけを用いたりする場合には、十分な絶縁効果を期待できないこともあった。
【0004】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、絶縁性を担保しつつ、例えば十分な放熱性を実現できるコイル構造体及びトランスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるコイル構造体は、
導体からなるコイルと、
前記コイルを構成する前記導体の間に設けられる絶縁シートと、
を備え、
前記絶縁シートは2つ以上設けられ、
2つ以上の前記絶縁シートは、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の絶縁シートを有している。
【0006】
本発明によるコイル構造体において、
2つ以上の前記絶縁シートは、低熱伝導率絶縁シートと、前記低熱伝導率絶縁シートよりも高い熱伝導率である高熱伝導率絶縁シートとを有してもよい。
【0007】
本発明によるコイル構造体において、
前記絶縁シートは3つ以上設けられ、
前記高熱伝導率絶縁シートの数は前記低熱伝導率絶縁シートの数よりも多くてもよい。
【0008】
本発明によるコイル構造体において、
前記高熱伝導率絶縁シートの熱伝導率は前記低熱伝導率絶縁シートの熱伝導率の2倍以上となっていてもよい。
【0009】
本発明によるコイル構造体において、
前記高熱伝導率絶縁シートは最外面に位置してもよい。
【0010】
本発明によるコイル構造体において、
前記絶縁シートは3つ以上設けられ、
前記高熱伝導率絶縁シートは3つ以上の前記絶縁シートの厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0011】
本発明によるコイル構造体において、
2つ以上の前記絶縁シートは、低誘電率絶縁シートと、前記低誘電率絶縁シートよりも高い誘電率である高誘電率絶縁シートとを有してもよい。
【0012】
本発明によるコイル構造体において、
前記絶縁シートは3つ以上設けられ、
前記低誘電率絶縁シートの数は前記高誘電率絶縁シートの数よりも多くてもよい。
【0013】
本発明によるコイル構造体において、
前記高誘電率絶縁シートの厚みは、前記低誘電率絶縁シートの厚みよりも厚くてもよい。
【0014】
本発明によるコイル構造体において、
前記絶縁シートは3つ以上設けられ、
3つ以上の前記絶縁シートは、第1絶縁シート、第2絶縁シート及び第3絶縁シートを有し、
前記第1絶縁シートの熱伝導率は前記第2絶縁シートの熱伝導率よりも高く、
前記第2絶縁シートの熱伝導率は前記第3絶縁シートの熱伝導率よりも高くなってもよい。
【0015】
本発明によるコイル構造体において、
前記コイルを構成する前記導体の間に3つ以上の前記絶縁シートが設けられ、
3つ以上の前記絶縁シートは、2つの低熱伝導率絶縁シートと、前記低熱伝導率絶縁シートよりも高い熱伝導率である高熱伝導率絶縁シートとを有し、
2つの前記低熱伝導率絶縁シートの間に前記高熱伝導率絶縁シートが設けられ、
前記高熱伝導率絶縁シートの周縁部の厚みは、前記高熱伝導率絶縁シートの中心部の厚みよりも薄くなってもよい。
【0016】
本発明によるコイル構造体において、
前記コイルを構成する前記導体の間に3つ以上の前記絶縁シートが設けられ、
3つ以上の前記絶縁シートは、2つの高誘電率絶縁シートと、前記高誘電率絶縁シートよりも低い誘電率である低誘電率絶縁シートとを有し、
2つの前記高誘電率絶縁シートの間に前記低誘電率絶縁シートが設けられ、
前記低誘電率絶縁シートの周縁部の厚みは、前記低誘電率絶縁シートの中心部の厚みよりも薄くなってもよい。
【0017】
本発明による磁性部品は、
脚部を有するコアと、
前記脚部に巻かれた前述のコイル構造体と、
を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の絶縁シートを用いている。このため、絶縁性を担保しつつ、例えば十分な放熱性を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態による磁性部品の側方断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様1を示した側方断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様2を示した側方断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様3を示した側方断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様4を示した側方断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様5を示した側方断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様6を示した側方断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様7を示した側方断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様8を示した側方断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様9を示した側方断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様10を示した側方断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様11を示した側方断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様12を示した側方断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様1を示した側方断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様2を示した側方断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様3を示した側方断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の別の形態で用いられうるコイル構造体の態様1を示した側方断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の別の形態で用いられうるコイル構造体の態様2を示した側方断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第3の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様1を示した側方断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第3の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様2を示した側方断面図である。
【
図21】
図21は、本発明の第3の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様3を示した側方断面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施の形態で用いられうる磁性部品の別の例を示した側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の磁性部品は、胴体部82及び脚部81を有するコア80と、脚部81に巻かれたコイル構造体と、有している。磁性部品の一例としては、トランス、インダクタンス、チョークコイル等を挙げることができる。本実施の形態では、以下、磁性部品としてトランスを用いて説明するが、これに限られることはない。
【0022】
図2乃至
図13に示すように、本実施の形態のコイル構造体は、銅等の導体からなるコイル150と、コイル150を構成する導体の間に設けられる2つ以上の絶縁シート100と、を有している。2つ以上の絶縁シート100は、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の絶縁シート100を有している。コイル150は軸線(仮想の直線)に沿って巻かれており、絶縁シート100の表面には巻かれたコイル150が通過するための通過穴(図示せず)が設けられている。
【0023】
本実施の形態の磁性部品は、コア80の端面に当接する放熱フィン等の放熱体91,92も有している。
【0024】
図1に示す態様では、放熱体91,92が、コア80の第一端面(
図1の上側端面)に当接する第一放熱体91と、コア80の第二端面(
図1の下側端面)に当接する第二放熱体92とを有している。
【0025】
コイル構造体は、第一コイル構造体と、一コイル構造体と離隔して設けられた第二コイル構造体とを有している。第一コイル構造体及び第二コイル構造体の各々は、コイル150と、2つ以上の絶縁シート100とを有している。
図1に示す態様では、第一コイル構造体が一次側コイル10を構成しており、第二コイル構造体が二次側コイル20を構成している。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態のトランスは、一次側コイル10及び二次側コイル20を有している。そして、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々が、コア80の脚部81に巻かれている。
図1に示す態様では、一次側コイル10が2つ設けられ、二次側コイル20も2つ設けられている態様を用いているが、これに限られることはなく、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々が一つずつ設けられている態様であってもよいし、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々が三つ以上設けられている態様であってもよい。以下では、特に断りがない限り、一次側コイル10及び二次側コイル20を区別することなく説明する。本実施の形態の態様は、一次側コイル(つまり第一コイル構造体)10で採用することもできるし、二次側コイル20(つまり第二コイル構造体)で採用することもできるし、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々で採用することもできる。なお、一次側コイル10及び二次側コイル20も1つずつ設けられている態様としては、例えば
図22に示すような態様を採用することができる。
【0027】
2つ以上の絶縁シート100は、低熱伝導率絶縁シート120と、低熱伝導率絶縁シート120よりも高い熱伝導率である高熱伝導率絶縁シート110とを有してもよい。なお、高熱伝導率絶縁シート110はフィラーを有しており、このフィラーによって低熱伝導率絶縁シート120と比較して熱伝導率が高くなっていてもよい。また、高熱伝導率絶縁シート110及び低熱伝導率絶縁シート120の各々がフィラーを有しており、フィラーの性質、フィラーの配向方向、フィラーの含有量等が異なることで、高熱伝導率絶縁シート110の熱伝導率が低熱伝導率絶縁シート120の熱伝導率よりも高くなっていてもよい。
【0028】
一般的には、窒化ほう素、窒化珪素等のセラミック又はセラミック類似材料からなるフィラーを用いた場合には、熱伝導率を高くしつつ誘電率を高くすることができる。他方、シリコン系、アクリル系等からなるフィラーを用いた場合には、熱伝導率を低く抑えつつ誘電率を低くすることができる。また、金属材料からなるフィラーを用いた場合には、熱伝導率を高くしつつ誘電率を低くすることができる。
【0029】
絶縁シート100が3つ以上設けられている場合には、高熱伝導率絶縁シート110の数が低熱伝導率絶縁シート120の数よりも多くなってもよい。但し、これに限られることはなく、低熱伝導率絶縁シート120の数が高熱伝導率絶縁シート110の数よりも多くなってもよい。
【0030】
高熱伝導率絶縁シート110の熱伝導率は低熱伝導率絶縁シート120の熱伝導率の2倍以上となってもよいし、さらに大きく10倍以上となってもよい。
【0031】
図2及び
図4に示すように、高熱伝導率絶縁シート110は、複数の絶縁シート100における両端において、最外面に位置してもよい。また、このような態様に限ることはなく、
図3及び
図5に示すように、複数の絶縁シート100における両端において、低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置してもよい。また、
図6及び
図7に示すように、高熱伝導率絶縁シート110及び低熱伝導率絶縁シート120はコイル150の軸線に直交する面に対して対称に配置されていなくてもよい。一例としては、コア80の胴体部82側では高熱伝導率絶縁シート110が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置してもよい。逆に、コア80の胴体部82側では低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では高熱伝導率絶縁シート110が最外面に位置してもよい。
【0032】
また、
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように、高熱伝導率絶縁シート110は3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。なお、中央部分とは、3つ以上ある絶縁シート100の枚数の略半数の位置を意味し、例えば複数の絶縁シート100が偶数枚(n
0枚)ある場合にはn
0/2枚目又はn
0/2+1枚目が中央部分となり、複数の絶縁シート100が奇数枚(n
1枚)ある場合には(n
1+1)/2枚目が中央部分となる。具体例を挙げると、複数の絶縁シート100が6枚ある場合には3枚目又は4枚目が中央部分となり、複数の絶縁シート100が7ある場合には4枚目が中央部分となる。
【0033】
また、
図4、
図6及び
図7に示すように、高熱伝導率絶縁シート110は、最外面にも位置し、かつ、3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0034】
2つ以上の絶縁シート100は、低誘電率絶縁シート130と、低誘電率絶縁シート130よりも高い誘電率である高誘電率絶縁シート140とを有してもよい。なお、低誘電率絶縁シート130はフィラーを有しており、このフィラーによって高誘電率絶縁シート140と比較して誘電率が低くなっていてもよい。また、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140の各々がフィラーを有しているが、フィラーの性質、フィラーの含有量等が異なることで、低誘電率絶縁シート130の熱誘電率が高誘電率絶縁シート140の誘電率よりも低くなっていてもよい。
【0035】
絶縁シート100が3つ以上設けられている場合には、低誘電率絶縁シート130の数が高誘電率絶縁シート140の数よりも多くなってもよい。但し、これに限られることはなく、低誘電率絶縁シート130の数が高誘電率絶縁シート140の数よりも多くなってもよい。
【0036】
高誘電率絶縁シート140の誘電率は低誘電率絶縁シート130の誘電率の2倍以上となってもよい。
【0037】
図8及び
図10に示すように、複数の絶縁シート100における両端において、低誘電率絶縁シート130は最外面に位置してもよい。また、このような態様に限ることはなく、
図9及び
図11に示すように、複数の絶縁シート100における両端において、高誘電率絶縁シート140が最外面に位置してもよい。また、
図12及び
図13に示すように、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140はコイル150の軸線に直交する面に対して対称に配置されていなくてもよい。一例としては、コア80の胴体部82側では低誘電率絶縁シート130が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では高誘電率絶縁シート140が最外面に位置してもよい。逆に、コア80の胴体部82側では高誘電率絶縁シート140が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では低誘電率絶縁シート130が最外面に位置してもよい。
【0038】
また、
図9、
図10、
図12及び
図13に示すように、低誘電率絶縁シート130は3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0039】
また、
図10、
図12及び
図13に示すように、低誘電率絶縁シート130は、最外面にも位置し、かつ、3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0040】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。なお、「作用・効果」で記載された態様を、上記「構成」において適用することもできる。
【0041】
本実施の形態によれば、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の絶縁シート100を用いている。このため、絶縁性を担保しつつ(高耐圧を実現しつつ)、例えば十分な放熱性を実現できる。
【0042】
熱伝導率が低く誘電率の高い絶縁シートを複数枚用いる態様を採用した場合には、コイル150から発生する熱を十分に放熱することができず、高周波で用いる場合には表皮効果が発生する結果、高温化して特性が劣化したり、誤作動したりする可能性を否定できなかった。
【0043】
このような点に鑑み、放熱性を高めるために熱伝導率が低く誘電率の高い絶縁シートの厚みを薄くすると、耐圧が不十分なものとなり、軸線方向で隣接するコイル150を構成する導体間で突入電流が発生し、大きな損失が生じることがあった。
【0044】
この点、本実施の形態では、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の絶縁シート100を用いている。このため、例えば、熱伝導率が高い絶縁シート100によって放熱性を高めつつ、熱伝導率が低い絶縁シート100によって耐圧を高めることができる。また、例えば、誘電率が低い絶縁シート100によって表皮効果が発生することを防止して発熱を防止しつつ、誘電率が高い絶縁シート100によって耐圧を高めることができる。
【0045】
2つ以上の絶縁シート100が、低熱伝導率絶縁シート120と高熱伝導率絶縁シート110とを有する態様を採用した場合には、高熱伝導率絶縁シート110によって熱を伝達しやすくできるので、コイル150で発生した熱を放熱しやすくなる。一般的に、熱伝導率が高いと絶縁性が低く、熱伝導率が低いと絶縁性が高い。この態様では、低熱伝導率絶縁シート120が採用されているので、低熱伝導率絶縁シート120によって高い絶縁性を担保することができる。
【0046】
絶縁シート100が3つ以上設けられ、高熱伝導率絶縁シート110の数が低熱伝導率絶縁シート120の数よりも多くなった態様を採用した場合には、数の多い高熱伝導率絶縁シート110によって放熱をより促進しつつ、低熱伝導率絶縁シート120によって高い絶縁性を担保することができる。
【0047】
高熱伝導率絶縁シート110の熱伝導率が低熱伝導率絶縁シート120の熱伝導率の2倍以上となっているものを採用することで、効率よく熱を伝導させることができる。また、高熱伝導率絶縁シート110の熱伝導率が低熱伝導率絶縁シート120の熱伝導率の10倍以上となっているものを採用することで、さらに効率よく熱を伝導させることができる。
【0048】
高熱伝導率絶縁シート110を最外面に位置づけることで、この高熱伝導率絶縁シート110を介して外部へ熱を逃がすことができるので、高い放熱特性を有することを期待できる。
【0049】
また、高熱伝導率絶縁シート110は、複数の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置づけられてもよい。中央部分ではコイル150から発生する熱が籠りやすいことがあるが、高熱伝導率絶縁シート110を採用することで、籠りやすい熱を効率よく伝導することができるためである。
【0050】
2つ以上の絶縁シート100が、低誘電率絶縁シート130と高誘電率絶縁シート140とを有する態様を採用した場合には、MHzやGHzといった高周波を採用したときであっても、その影響を小さくすることができる。
【0051】
この点について説明する。高周波を採用した場合には、表面にしか電流が流れない表皮効果が発生してしまうことがある。この表皮効果が発生すると、抵抗はさらに高くなり(一例としては抵抗値が10倍以上となり)、発熱も多くなってしまう。また、高周波を採用した場合には誘電正接が大きくなってしまうこともある。
【0052】
誘電率εは、ε=δD/δEで示される(Dは電束密度であり、Eは電場の強度である。)。そして、複数の絶縁シート100を採用した場合にはその誘電率は、各絶縁シート100の誘電率の和になる。しかしながら、低い誘電率の絶縁シート100(低誘電率絶縁シート130)が含まれていれば、当該低い誘電率の絶縁シート100による影響を強く受ける。つまり、誘電率の低い絶縁シート100によって、高周波を採用したときの表皮効果による影響を小さくしたり、誘電正接が大きくなることを防止できたりする。
【0053】
したがって、2つ以上の絶縁シート100が低誘電率絶縁シート130を有する態様を採用した場合には、表皮効果による影響を小さくすることができ、また、誘電正接が大きくなってしまうことを防止できる。
【0054】
また、容量Cは、C=ε×S/dで示される(Sはある面の表面積であり、dは厚みである。)。このため、誘電率εが大きい絶縁シート100であっても、厚みを厚くすることで容量Cを小さくすることができる。このため、例えば、高誘電率絶縁シート140の厚みを、低誘電率絶縁シート130の厚みよりも厚くしてもよい。高誘電率絶縁シート140の誘電率がε
0であり、低誘電率絶縁シート130の誘電率がε
1とするならば、例えば、低誘電率絶縁シート130の厚み/高誘電率絶縁シート140の厚み=ε
0/ε
1としてもよいし、例えば、低誘電率絶縁シート130の厚み/高誘電率絶縁シート140の厚み=ε
0/ε
1±0.30×ε
0/ε
1としてもよい。このような厚みを採用することで、誘電率に差があったとしても、容量としては概ね同じ値とすることができる点で有益である。
【0055】
低誘電率絶縁シート130の数が高誘電率絶縁シート140の数よりも多くなっている態様を採用した場合には、高周波を採用したときであっても、数の多い低誘電率絶縁シート130によって、表皮効果による影響をより確実に小さくし、また誘電正接が大きくなることをより確実に防止できる。また、低誘電率絶縁シート130の数を多くすることで、絶縁シート100全体が持つ容量を小さくすることができる点でも有益である(とりわけ高周波を採用した場合に有益な効果を有している。)。
【0056】
なお、絶縁シート100の厚みを持たせることで耐圧を高めることは比較的容易である。このため、高熱伝導率絶縁シート110の数を多くしたり低誘電率絶縁シート130の数を多くしたりしても、これらの合計の厚みを一定程度維持することで、耐圧が下がり過ぎることを防止できる。
【0057】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0058】
本実施の形態では、絶縁シート100が3つ以上設けられており、3つ以上の絶縁シート100は、第1絶縁シート160、第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180を有している。そして、第1絶縁シート160の熱伝導率は第2絶縁シート170の熱伝導率よりも高く、第2絶縁シート170の熱伝導率は第3絶縁シート180の熱伝導率よりも高くなっている。
【0059】
第1の実施の形態における高熱伝導率絶縁シート110及び低熱伝導率絶縁シート120の関係、並びに、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140の関係は相対的なものである。このため、例えば、低熱伝導率絶縁シート120と高誘電率絶縁シート140が同一のシートであることは当然あり得る。また、同様に、高熱伝導率絶縁シート110及び低誘電率絶縁シート130が同一のシートであることも当然あり得る。
図14乃至
図18に示す態様では、一例として、低熱伝導率絶縁シート120と高誘電率絶縁シート140が同一の第3絶縁シート180であり、第1絶縁シート160として高熱伝導率絶縁シート110を用い、第2絶縁シート170として低誘電率絶縁シート130を用いた態様を示している。
【0060】
第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0061】
図14に示すように、第1絶縁シート160を最外面に配置し、第3絶縁シート180を中央部分に配置し、第2絶縁シート170を第1絶縁シート160と第3絶縁シート180との間に配置してもよい。このような態様を採用した場合には、外部からの冷却効果を熱伝導率の高い順にコイル150の中央部に向かってもたらすことができる点で有益である。
【0062】
また、
図15に示すように、第1絶縁シート160を最外面に配置しつつ中央部分にも配置し、これらの間に第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180を配置してもよい。このような態様を採用した場合には、外部からの冷却効果を熱伝導率の高い第1絶縁シート160によってもたらしつつ、熱の籠りやすいコイル150の中央部分からの熱を第1絶縁シート160によって伝達できる点で有益である。
【0063】
また、
図16に示すように、第3絶縁シート180を最外面に配置し、第1絶縁シート160を中央部分に配置し、第2絶縁シート170を第1絶縁シート160と第3絶縁シート180との間に配置してもよい。この場合には、熱の籠りやすいコイル150の中央部分からの熱をより効率よく第1絶縁シート160によって伝達できる点で有益である。
【0064】
本実施の形態でも、第1絶縁シート160、第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180のうちのいずれか2つ以上において、厚みが異なっていてもよい。この厚みは、誘電率に基づいて決定されてもよく、誘電率の高い絶縁シート100については厚みが厚くなり、誘電率の低い絶縁シート100については厚みが薄くなってもよい。一例として、第1絶縁シート160の誘電率がε
2であり、第2絶縁シート170の誘電率がε
3であり、第3絶縁シート180の誘電率がε
4であるならば、第2絶縁シート170の厚み/第1絶縁シート160の厚み=ε
2/ε
3±0.30×ε
2/ε
3としてもよいし、第3絶縁シート180の厚み/第2絶縁シート170の厚み=ε
3/ε
4±0.30×ε
3/ε
4としてもよい。このような厚みを採用することで、誘電率に差があったとしても、容量としては概ね同じ値とすることができる点で有益である。
【0065】
例えば、絶縁シートの数は当然6枚、7枚に限られず、それ以外の枚数となっていてもよく、2枚〜5枚となってもよいし、例えば100枚程度となってもよい。一例としては、
図17に示すように、第1絶縁シート160が両端の最外面に設けられ、その間に第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180が設けられてもよいし、
図18に示すように、第2絶縁シート170が両端の最外面に設けられ、その間に第1絶縁シート160及び第3絶縁シート180が設けられてもよい。
【0066】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0067】
本実施の形態では、コイル150を構成する導体の間に3つ以上の絶縁シート100が設けられている。そして、3つ以上の絶縁シート100は、2つの低熱伝導率絶縁シート120と、低熱伝導率絶縁シート120よりも高い熱伝導率である高熱伝導率絶縁シート110とを有しており、2つの低熱伝導率絶縁シート120の間に高熱伝導率絶縁シート110が設けられていてもよい。また、高熱伝導率絶縁シート110の周縁部の厚みは、高熱伝導率絶縁シート110の中心部の厚みよりも薄くなってもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、3つ以上の絶縁シート100が、2つの高誘電率絶縁シート140と、高誘電率絶縁シート140よりも低い誘電率である低誘電率絶縁シート130とを有してもよい。そして、2つ高誘電率絶縁シート140の間に低誘電率絶縁シート130が設けられ、低誘電率絶縁シート130の周縁部の厚みは、低誘電率絶縁シート130の中心部の厚みよりも薄くなっていてもよい。
【0069】
第3の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0070】
一例としては、
図19に示すように、コイル150を構成する導体の間の各々に、2つの低熱伝導率絶縁シート120と、1つの高熱伝導率絶縁シート110が設けられてもよい。そして、高熱伝導率絶縁シート110の中心部の厚みが周縁部の厚みより厚くなり、極端な場合には、周縁部には高熱伝導率絶縁シート110が存在しない(厚みが「0」)となってもよい。
【0071】
別の例としては、
図20に示すように、コイル150を構成する導体の間の各々に、2つの高誘電率絶縁シート140と、1つの低誘電率絶縁シート130が設けられてもよい。そして、低誘電率絶縁シート130の中心部の厚みが周縁部の厚みより厚くなり、極端な場合には、周縁部には低誘電率絶縁シート130が存在しない(厚みが「0」)となってもよい。
【0072】
さらに別の例としては、
図21に示すように、コイル150を構成する導体の間の各々に、2つの高誘電率絶縁シート140及び1つの低誘電率絶縁シート130、又は、2つの低熱伝導率絶縁シート120及び1つの高熱伝導率絶縁シート110が設けられてもよい。
【0073】
安全規格のため、周縁部から一定の距離(例えば0.4mm)以上では、高熱伝導率絶縁シート110又は低誘電率絶縁シート130を使用できない又はその厚みを薄くする必要があることも考えられる。この点、本実施の形態によれば、安全規格を満たしつつ、熱伝導性を高くしたり誘電率を低くしたりすることができる点で有益である。
【0074】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
コイル構造体は、導体からなるコイル150と、前記コイル150を構成する前記導体の間に設けられる絶縁シート100と、を有している。前記絶縁シート100は2つ以上設けられている。2つ以上の前記絶縁シート100は、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の絶縁シート100を有している。