特許第6234615号(P6234615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6234615
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】磁性部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/22 20060101AFI20171113BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20171113BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20171113BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01F27/22
   H01F30/10 S
   H01F37/00 S
   H01F27/28 F
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-567266(P2016-567266)
(86)(22)【出願日】2016年5月31日
(86)【国際出願番号】JP2016065987
【審査請求日】2016年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】池田 康亮
(72)【発明者】
【氏名】比留間 義明
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−198181(JP,A)
【文献】 特開2014−192517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 30/10
H01F 27/28
H01F 27/22
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部を有するコアと、
前記脚部の周りに巻かれた導体からなるコイルと、前記導体の間に設けられる2つ以上の放熱絶縁シートと、を有するコイル構造体と、
前記コアの端面に当接するとともに、前記放熱絶縁シートに向かって延びて前記放熱絶縁シートの表面に当接する放熱体と、
を備え、
2つ以上の前記放熱絶縁シートは、第1放熱絶縁シートと、前記第1放熱絶縁シートよりも面方向の面積が大きい第2放熱絶縁シートとを有し、
前記第1放熱絶縁シートは前記第2放熱絶縁シートよりも前記放熱体側に位置し、
前記放熱体は、前記第1放熱絶縁シート及び前記第2放熱絶縁シートの表面に当接することを特徴とする磁性部品。
【請求項2】
前記放熱絶縁シートは、前記第2放熱絶縁シートよりも面方向の面積が大きい第3放熱絶縁シートを有し、
前記第2放熱絶縁シートは前記第3放熱絶縁シートよりも前記放熱体側に位置し、
前記放熱体は、前記第1放熱絶縁シート、前記第2放熱絶縁シート及び前記第3放熱絶縁シートの表面に当接することを特徴とする請求項1に記載の磁性部品。
【請求項3】
2つ以上の前記放熱絶縁シートは、低伝導率絶縁シートと、前記低伝導率絶縁シートよりも高い伝導率である高伝導率絶縁シートとを有し、
少なくとも前記高伝導率絶縁シートの表面は前記放熱体と当接することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の磁性部品。
【請求項4】
前記放熱体は、前記コアの第一端面に当接する第一放熱体と、前記コアの第二端面に当接する第二放熱体とを有し、
前記第一放熱体は、前記放熱絶縁シートに向かって延びて前記放熱絶縁シートの前記第一放熱体側の表面に当接し、
前記第二放熱体は、前記放熱絶縁シートに向かって延びて前記放熱絶縁シートの前記第二放熱体側の表面に当接することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の磁性部品。
【請求項5】
前記コイル構造体は、第一コイル構造体と、前記第一コイル構造体と離隔して設けられた第二コイル構造体とを有し、
前記第一コイル構造体及び前記第二コイル構造体の各々は、前記コイルと、2つ以上の前記放熱絶縁シートとを有し、
前記放熱体は、前記コアの第一端面に当接する第一放熱体と、前記コアの第二端面に当接する第二放熱体とを有し、
前記第一放熱体は、前記第一コイル構造体の前記放熱絶縁シートに向かって延びて当該放熱絶縁シートの前記第一放熱体側の表面に当接し、
前記第二放熱体は、前記第二コイル構造体の前記放熱絶縁シートに向かって延びて当該放熱絶縁シートの前記第二放熱体側の表面に当接することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の磁性部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトランス、インダクタンス、チョークコイル等の磁性部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から磁性部品に用いられるトランス、チョークコイル等の磁性部品が知られている。トランスとしては、複数のコイル基板を重ねるものが知られており、コイル基板同士は絶縁シートで絶縁されている。特開2014−56868号では、第1のプリントコイル基板と第2のプリントコイル基板との間に絶縁シートが設けられたものが従来技術として挙げられている。そして、特開2014−56868号では、この絶縁シートの代わりに、電気絶縁性を有する樹脂等の絶縁部材からなる基板の内部に銅(Cu)等の金属からなる導体が埋め込まれたものが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から知られているトランスに関して、特に絶縁シートや絶縁部材を用いる場合には、発生する熱を逃がす効果が十分ではなかった。
【0004】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、高い放熱効果を実現できる磁性部品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による磁性部品は、
脚部を有するコアと、
前記脚部の周りに巻かれた導体からなるコイルと、前記導体の間に設けられる2つ以上の放熱絶縁シートと、を有するコイル構造体と、
前記コアの端面に当接するとともに、前記放熱絶縁シートに向かって延びて前記放熱絶縁シートの表面に当接する放熱体と、
を備える。
【0006】
本発明による磁性部品において、
2つ以上の前記放熱絶縁シートは、第1放熱絶縁シートと、前記第1放熱絶縁シートよりも面方向の面積が大きい第2放熱絶縁シートとを有し、
前記第1放熱絶縁シートは前記第2放熱絶縁シートよりも前記放熱体側に位置し、
前記放熱体は、前記第1放熱絶縁シート及び前記第2放熱絶縁シートの表面に当接してもよい。
【0007】
本発明による磁性部品において、
前記放熱絶縁シートは3つ以上設けられ、
3つ以上の前記放熱絶縁シートは、第1放熱絶縁シートと、前記第1放熱絶縁シートよりも面方向の面積が大きい第2放熱絶縁シートと、前記第2放熱絶縁シートよりも面方向の面積が大きい第3放熱絶縁シートとを有し、
前記第1放熱絶縁シートは前記第2放熱絶縁シートよりも前記放熱体側に位置し、
前記第2放熱絶縁シートは前記第3放熱絶縁シートよりも前記放熱体側に位置し、
前記放熱体は、前記第1放熱絶縁シート、前記第2放熱絶縁シート及び前記第3放熱絶縁シートの表面に当接してもよい。
【0008】
本発明による磁性部品において、
2つ以上の前記放熱絶縁シートは、低伝導率絶縁シートと、前記低伝導率絶縁シートよりも高い伝導率である高伝導率絶縁シートとを有し、
少なくとも前記高伝導率絶縁シートの表面は前記放熱体と当接してもよい。
【0009】
本発明による磁性部品において、
前記放熱体は、前記コアの第一端面に当接する第一放熱体と、前記コアの第二端面に当接する第二放熱体とを有し、
前記第一放熱体は、前記放熱絶縁シートに向かって延びて前記放熱絶縁シートの前記第一放熱体側の表面に当接し、
前記第二放熱体は、前記放熱絶縁シートに向かって延びて前記放熱絶縁シートの前記第二放熱体側の表面に当接してもよい。
【0010】
本発明による磁性部品において、
前記コイル構造体は、第一コイル構造体と、前記第一コイル構造体と離隔して設けられた第二コイル構造体とを有し、
前記第一コイル構造体及び前記第二コイル構造体の各々は、前記コイルと、2つ以上の前記放熱絶縁シートとを有し、
前記放熱体は、前記コアの第一端面に当接する第一放熱体と、前記コアの第二端面に当接する第二放熱体とを有し、
前記第一放熱体は、前記第一コイル構造体の前記放熱絶縁シートに向かって延びて当該放熱絶縁シートの前記第一放熱体側の表面に当接し、
前記第二放熱体は、前記第二コイル構造体の前記放熱絶縁シートに向かって延びて当該放熱絶縁シートの前記第二放熱体側の表面に当接してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、放熱体が放熱絶縁シートに向かって延びて放熱絶縁シートの表面に当接する。このため、高い放熱効果を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施の形態による磁性部品の側方断面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様1を示した側方断面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様2を示した側方断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様3を示した側方断面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様4を示した側方断面図である。
図6図6は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様5を示した側方断面図である。
図7図7は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様6を示した側方断面図である。
図8図8は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様7を示した側方断面図である。
図9図9は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様8を示した側方断面図である。
図10図10は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様9を示した側方断面図である。
図11図11は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様10を示した側方断面図である。
図12図12は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様11を示した側方断面図である。
図13図13は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様12を示した側方断面図である。
図14図14は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様13を示した側方断面図である。
図15図15は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様14を示した側方断面図である。
図16図16は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様15を示した側方断面図である。
図17図17は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様16を示した側方断面図である。
図18図18は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様17を示した側方断面図である。
図19図19は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様18を示した側方断面図である。
図20図20は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様19を示した側方断面図である。
図21図21は、本発明の第1の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様20を示した側方断面図である。
図22図22は、本発明の第2の実施の形態による磁性部品の側方断面図である。
図23図23は、本発明の第3の実施の形態による磁性部品の側方断面図である。
図24図24は、本発明の第4の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様1を示した側方断面図である。
図25図25は、本発明の第4の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様2を示した側方断面図である。
図26図26は、本発明の第4の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様3を示した側方断面図である。
図27図27は、本発明の第4の実施の形態で用いられうるコイル構造体の態様4を示した側方断面図である。
図28図28は、本発明の実施の形態で用いられうる磁性部品の別の例を示した側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の実施の形態
《構成》
【0014】
図1に示すように、本実施の形態の磁性部品は、胴体部82及び脚部81を有するコア80と、脚部81に巻かれたコイル構造体と、有している。磁性部品の一例としては、トランス、インダクタンス、チョークコイル等を挙げることができる。本実施の形態では、以下、主に磁性部品としてトランスを用いて説明するが、これに限られることはない。
【0015】
図2乃至図21に示すように、本実施の形態のコイル構造体は、銅等の導体からなるコイル150と、コイル150を構成する導体の間に設けられる2つ以上の放熱絶縁シート100と、を有している。2つ以上の放熱絶縁シート100は、後述するように、少なくとも熱伝導率又は誘電率の異なる2種類以上の放熱絶縁シート100を有してもよい。コイル150は軸線(仮想の直線)に沿って巻かれており、放熱絶縁シート100の表面には巻かれたコイル150が通過するための通過穴(図示せず)が設けられている。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態のトランスは、一次側コイル10及び二次側コイル20を有している。そして、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々が、コア80の脚部81に巻かれている。図1に示す態様では、一次側コイル10が2つ設けられ、二次側コイル20も2つ設けられている態様を用いているが、これに限られることはなく、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々が一つずつ設けられている態様であってもよいし、一次側コイル10及び二次側コイル20の各々が三つ以上設けられている態様であってもよい。
【0017】
本実施の形態の磁性部品は、コア80の端面に当接するとともに、放熱絶縁シートに向かって延びて放熱絶縁シートの表面に当接する放熱フィン等の放熱体91,92も有している。
【0018】
図1に示す態様では、放熱体91,92が、コア80の第一端面(図1の上側端面)に当接する第一放熱体91と、コア80の第二端面(図1の下側端面)に当接する第二放熱体92とを有している。そして、第一放熱体91は、放熱絶縁シート100に向かって延びて放熱絶縁シート100の第一放熱体側の表面に当接する第一突出部91a(後述する)を有している。第二放熱体92は、放熱絶縁シート100に向かって延びて放熱絶縁シート100の第二放熱体92側の表面に当接する第二突出部92a(後述する)を有している。
【0019】
コイル構造体は、第一コイル構造体と、第一コイル構造体と離隔して設けられた第二コイル構造体とを有している。第一コイル構造体及び第二コイル構造体の各々は、コイルと、2つ以上の放熱絶縁シートとを有している。図1に示す態様では、第一コイル構造体が一次側コイル10を構成しており、第二コイル構造体が二次側コイル20を構成している。
【0020】
放熱体91,92は、胴体部82に面で当接し、その周縁部において放熱絶縁シート100の表面に向かって延びた突出部91a,92aを有している。図1では断面形状しか示されていないが、突出部91a,92aはコア80の周縁を断続的又は連続的に取り囲むようにして設けられてもよい。より具体的には、第一放熱体91は、第一コイル構造体(一次側コイル)10の放熱絶縁シート100に向かって延びて当該放熱絶縁シート100の第一放熱体91側の表面に当接する第一突出部91aを有している。同様に、第二放熱体92は、第二コイル構造体(二次側コイル)20の放熱絶縁シート100に向かって延びて当該放熱絶縁シート100の第二放熱体92側の表面に当接する第二突出部92aを有している。図1では断面形状しか示されていないが、第一突出部91aはコア80の周縁を断続的又は連続的に取り囲むようにして設けられてもよい。また、第二突出部92aはコア80の周縁を断続的又は連続的に取り囲むようにして設けられてもよい。
【0021】
また、図1に示すような態様に限られることはなく、図28に示すように、第一突出部91aが1つのコイル構造体15に含まれる放熱絶縁シート100の第一放熱体91側の表面に当接し、第二突出部92aが当該コイル構造体15に含まれる放熱絶縁シート100の第二放熱体92側の表面に当接してもよい。
【0022】
2つ以上の放熱絶縁シート100は、全てが同じ性質のシートからなってもよい。これに限られることはなく、2つ以上の放熱絶縁シート100は、低熱伝導率絶縁シート120と、低熱伝導率絶縁シート120よりも高い熱伝導率である高熱伝導率絶縁シート110とを有してもよい。また、2つ以上の放熱絶縁シート100は、低誘電率絶縁シート130と、低誘電率絶縁シート130よりも高い誘電率である高誘電率絶縁シート140とを有してもよい。
【0023】
以下では、特に断りがない限り、一次側コイル10及び二次側コイル20を区別することなく説明する。
【0024】
なお、高熱伝導率絶縁シート110はフィラーを有しており、このフィラーによって低熱伝導率絶縁シート120と比較して熱伝導率が高くなっていてもよい。また、高熱伝導率絶縁シート110及び低熱伝導率絶縁シート120の各々がフィラーを有しており、フィラーの性質、フィラーの配向方向、フィラーの含有量等が異なることで、高熱伝導率絶縁シート110の熱伝導率が低熱伝導率絶縁シート120の熱伝導率よりも高くなっていてもよい。また、低誘電率絶縁シート130はフィラーを有しており、このフィラーによって高誘電率絶縁シート140と比較して誘電率が低くなっていてもよい。また、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140の各々がフィラーを有しているが、フィラーの性質、フィラーの含有量等が異なることで、低誘電率絶縁シート130の熱誘電率が高誘電率絶縁シート140の誘電率よりも低くなっていてもよい。
【0025】
一般的には、窒化ほう素、窒化珪素等のセラミック又はセラミック類似材料からなるフィラーを用いた場合には、熱伝導率を高くしつつ誘電率を高くすることができる。他方、シリコン系、アクリル系等からなるフィラーを用いた場合には、熱伝導率を低く抑えつつ誘電率を低くすることができる。また、金属材料からなるフィラーを用いた場合には、熱伝導率を高くしつつ誘電率を低くすることができる。
【0026】
絶縁シート100が3つ以上設けられている場合には、高熱伝導率絶縁シート110の数が低熱伝導率絶縁シート120の数よりも多くなってもよい。但し、これに限られることはなく、低熱伝導率絶縁シート120の数が高熱伝導率絶縁シート110の数よりも多くなってもよい。
【0027】
高熱伝導率絶縁シート110の熱伝導率は低熱伝導率絶縁シート120の熱伝導率の2倍以上となってもよいし、さらに大きく10倍以上となってもよい。
【0028】
図2及び図4に示すように、高熱伝導率絶縁シート110は、複数の絶縁シート100における両端において、最外面に位置してもよい。また、このような態様に限ることはなく、図3及び図5に示すように、複数の絶縁シート100における両端において、低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置してもよい。また、図6及び図7に示すように、高熱伝導率絶縁シート110及び低熱伝導率絶縁シート120はコイル150の軸線に直交する面に対して対称に配置される必要はない。一例としては、コア80の胴体部82側では高熱伝導率絶縁シート110が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置してもよい。逆に、コア80の胴体部82側では低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では高熱伝導率絶縁シート110が最外面に位置してもよい。
【0029】
また、図3図4図6及び図7に示すように、高熱伝導率絶縁シート110は3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。なお、中央部分とは、3つ以上ある絶縁シート100の枚数の略半数の位置を意味し、例えば複数の絶縁シート100が偶数枚(n枚)ある場合にはn/2枚目又はn/2+1枚目が中央部分となり、複数の絶縁シート100が奇数枚(n枚)ある場合には(n+1)/2枚目が中央部分となる。具体例を挙げると、複数の絶縁シート100が6枚ある場合には3枚目又は4枚目が中央部分となり、複数の絶縁シート100が7ある場合には4枚目が中央部分となる。
【0030】
また、図4図6及び図7に示すように、高熱伝導率絶縁シート110は、最外面にも位置し、かつ、3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0031】
2つ以上の絶縁シート100は、低誘電率絶縁シート130と、低誘電率絶縁シート130よりも高い誘電率である高誘電率絶縁シート140とを有してもよい。
【0032】
絶縁シート100が3つ以上設けられている場合には、低誘電率絶縁シート130の数が高誘電率絶縁シート140の数よりも多くなってもよい。但し、これに限られることはなく、低誘電率絶縁シート130の数が高誘電率絶縁シート140の数よりも多くなってもよい。
【0033】
高誘電率絶縁シート140の誘電率は低誘電率絶縁シート130の誘電率の2倍以上となってもよい。
【0034】
図8及び図10に示すように、複数の絶縁シート100における両端において、低誘電率絶縁シート130は最外面に位置してもよい。また、このような態様に限ることはなく、図9及び図11に示すように、複数の絶縁シート100における両端において、高誘電率絶縁シート140が最外面に位置してもよい。また、図12及び図13に示すように、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140はコイル150の軸線に直交する面に対して対称に配置される必要はない。一例としては、コア80の胴体部82側では低誘電率絶縁シート130が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では高誘電率絶縁シート140が最外面に位置してもよい。逆に、コア80の胴体部82側では高誘電率絶縁シート140が最外面に位置するが、他方、コア80の胴体部82と反対側では低誘電率絶縁シート130が最外面に位置してもよい。
【0035】
また、図9図10図12及び図13に示すように、低誘電率絶縁シート130は3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0036】
また、図10図12及び図13に示すように、低誘電率絶縁シート130は、最外面にも位置し、かつ、3つ以上の絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置してもよい。
【0037】
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。なお、「作用・効果」で記載された態様を、上記「構成」において適用することもできる。
【0038】
本実施の形態によれば、図1及び図28に示すように、放熱体91,92が放熱絶縁シート100に向かって延びて放熱絶縁シート100の表面に当接する。このため、高い放熱効果を実現できる。
【0039】
高熱伝導率絶縁シート110を最外面に位置づける態様を採用した場合には、この高熱伝導率絶縁シート110及び放熱体91,92を介して外部へ熱を逃がすことができるので、高い放熱特性を有することを期待できる。とりわけ、高熱伝導率絶縁シート110が放熱体91,92と当接する場合には、その効果が大きい。
【0040】
なお、高熱伝導率絶縁シート110は、複数の放熱絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置づけられてもよい。中央部分ではコイル150から発生する熱が籠りやすいことがあるが、高熱伝導率絶縁シート110を採用することで、籠りやすい熱を効率よく伝導することができるためである。
【0041】
また、本実施の形態では、放熱体91,92が放熱絶縁シート100と当接するので、低熱伝導率絶縁シート120が最外面に位置づけられた場合であっても、一定程度の放熱効果を期待できる。
【0042】
さらに、高熱伝導率絶縁シート110を複数の放熱絶縁シート100の厚み方向の中央部分に位置づけ、かつ、高熱伝導率絶縁シート110を最外面に位置づけて放熱体91,92と当接する態様を採用した場合には、熱が籠りやすい箇所から効率よく放熱体91,92へと熱を伝達できる点で有益である。
【0043】
また、低熱伝導率絶縁シート120が放熱体91,92に当接する側の最外面に位置し、高熱伝導率絶縁シート110が放熱体91,92に当接しない側の最外面に位置する場合には、両方向から一定程度の熱を放熱できる点で有益である。
【0044】
第一放熱体91が、放熱絶縁シート100に向かって延びて放熱絶縁シート100の第一放熱体側の表面に当接し、第二放熱体92は、放熱絶縁シート100に向かって延びて放熱絶縁シート100の第二放熱体92側の表面に当接している態様を採用した場合には、第一放熱体91及び第二放熱体92の各々による放熱効果を期待できる点で有益である。図1に示すように、第一放熱体91の第一突出部91aが第一コイル構造体(一次側コイル)10の放熱絶縁シート100に当接し、第二放熱体92の第二突出部92aが第二コイル構造体(二次側コイル)20の放熱絶縁シート100に当接する態様によれば、第一コイル構造体(一次側コイル)10及び第二コイル構造体(二次側コイル)20の各々に対する放熱効果を期待できる。他方、図28のように、第一放熱体91の第一突出部91aがコイル構造体15の一つの放熱絶縁シート100に当接し、第二放熱体92の第二突出部92aがコイル構造体15の当該放熱絶縁シート100に当接する態様によれば、一つのコイル構造体15における熱を第一放熱体91及び第二放熱体92の各々によって放熱することを期待できる。
【0045】
2つ以上の放熱絶縁シート100が、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140を有する態様を採用した場合には、MHzやGHzといった高周波を採用したときであっても、その影響を小さくすることができる。
【0046】
この点について説明する。高周波を採用した場合には、表面にしか電流が流れない表皮効果が発生してしまうことがある。この表皮効果が発生すると、抵抗はさらに高くなり(一例としては抵抗値が10倍以上となり)、発熱も多くなってしまう。また、高周波を採用した場合には誘電正接が大きくなってしまうこともある。
【0047】
誘電率εは、ε=δD/δEで示される(Dは電束密度であり、Eは電場の強度である。)。そして、複数の絶縁シート100を採用した場合にはその誘電率は、各絶縁シート100の誘電率の和になる。しかしながら、低い誘電率の絶縁シート100(低誘電率絶縁シート130)が含まれていれば、当該低い誘電率の絶縁シート100による影響を強く受ける。つまり、誘電率の低い絶縁シート100によって、高周波を採用したときの表皮効果による影響を小さくしたり、誘電正接が大きくなることを防止できたりする。
【0048】
したがって、2つ以上の絶縁シート100が低誘電率絶縁シート130を有する態様を採用した場合には、表皮効果による影響を小さくすることができ、また、誘電正接が大きくなってしまうことを防止できる。
【0049】
低誘電率絶縁シート130の数が高誘電率絶縁シート140の数よりも多くなっている態様を採用した場合には、高周波を採用したときであっても、数の多い低誘電率絶縁シート130によって、表皮効果による影響をより確実に小さくし、また誘電正接が大きくなることをより確実に防止できる。また、低誘電率絶縁シート130の数を多くすることで、絶縁シート100全体が持つ容量を小さくすることができる点でも有益である(とりわけ高周波を採用した場合に有益な効果を有している。)。
【0050】
なお、放熱絶縁シート100の厚みを持たせることで耐圧を高めることは比較的容易である。このため、高熱伝導率絶縁シート110の数を多くしたり低誘電率絶縁シート130の数を多くしたりしても、これらの合計の厚みを一定程度維持することで、耐圧が下がり過ぎることを防止できる。
【0051】
また、図14乃至図18に示すように、放熱絶縁シート100が3つ以上設けられており、3つ以上の放熱絶縁シート100は、第1絶縁シート160、第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180を有してもよい。そして、第1絶縁シート160の熱伝導率は第2絶縁シート170の熱伝導率よりも高く、第2絶縁シート170の熱伝導率は第3絶縁シート180の熱伝導率よりも高くなっていてもよい。
【0052】
前述した高熱伝導率絶縁シート110及び低熱伝導率絶縁シート120の関係、並びに、低誘電率絶縁シート130及び高誘電率絶縁シート140の関係は相対的なものである。このため、例えば、低熱伝導率絶縁シート120と高誘電率絶縁シート140が同一のシートであることは当然あり得る。また、同様に、高熱伝導率絶縁シート110及び低誘電率絶縁シート130が同一のシートであることも当然あり得る。図14乃至図18に示す態様では、一例として、低熱伝導率絶縁シート120と高誘電率絶縁シート140が同一の第3絶縁シート180であり、第1絶縁シート160として高熱伝導率絶縁シート110を用い、第2絶縁シート170として低誘電率絶縁シート130を用いた態様を示している。
【0053】
図14に示すように、第1絶縁シート160を最外面に配置し、第3絶縁シート180を中央部分に配置し、第2絶縁シート170を第1絶縁シート160と第3絶縁シート180との間に配置してもよい。このような態様を採用した場合には、外部からの冷却効果を熱伝導率の高い順にコイル150の中央部に向かってもたらすことができる点で有益である。
【0054】
また、図15に示すように、第1絶縁シート160を最外面に配置しつつ中央部分にも配置し、これらの間に第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180を配置してもよい。このような態様を採用した場合には、外部からの冷却効果を熱伝導率の高い第1絶縁シート160によってもたらしつつ、熱の籠りやすいコイル150の中央部分からの熱を第1絶縁シート160によって伝達できる点で有益である。
【0055】
また、図16に示すように、第3絶縁シート180を最外面に配置し、第1絶縁シート160を中央部分に配置し、第2絶縁シート170を第1絶縁シート160と第3絶縁シート180との間に配置してもよい。この場合には、熱の籠りやすいコイル150の中央部分からの熱をより効率よく第1絶縁シート160によって伝達できる点で有益である。
【0056】
第1絶縁シート160、第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180のうちのいずれか2つ以上において、厚みが異なっていてもよい。この厚みは、誘電率に基づいて決定されてもよく、誘電率の高い絶縁シート100については厚みが厚くなり、誘電率の低い絶縁シート100については厚みが薄くなってもよい。
【0057】
また、絶縁シートの数は当然6枚、7枚に限られず、それ以外の枚数となっていてもよく、2枚〜5枚となってもよいし、例えば100枚程度となってもよい。一例としては、図17に示すように、第1絶縁シート160が両端の最外面に設けられ、その間に第2絶縁シート170及び第3絶縁シート180が設けられてもよいし、図18に示すように、第2絶縁シート170が両端の最外面に設けられ、その間に第1絶縁シート160及び第3絶縁シート180が設けられてもよい。
【0058】
また、3つ以上の絶縁シート100が、2つの低熱伝導率絶縁シート120と、低熱伝導率絶縁シート120よりも高い熱伝導率である高熱伝導率絶縁シート110とを有しており、2つの低熱伝導率絶縁シート120の間に高熱伝導率絶縁シート110が設けられていてもよい(図19参照)。また、高熱伝導率絶縁シート110の周縁部の厚みは、高熱伝導率絶縁シート110の中心部の厚みよりも薄くなってもよい。
【0059】
また、3つ以上の絶縁シート100が、2つの高誘電率絶縁シート140と、高誘電率絶縁シート140よりも低い誘電率である低誘電率絶縁シート130とを有してもよい(図20参照)。そして、2つ高誘電率絶縁シート140の間に低誘電率絶縁シート130が設けられ、低誘電率絶縁シート130の周縁部の厚みは、低誘電率絶縁シート130の中心部の厚みよりも薄くなっていてもよい。
【0060】
一例としては、図19に示すように、コイル150を構成する導体の間の各々に、2つの低熱伝導率絶縁シート120と、1つの高熱伝導率絶縁シート110が設けられてもよい。そして、高熱伝導率絶縁シート110の中心部の厚みが周縁部の厚みより厚くなり、極端な場合には、周縁部には高熱伝導率絶縁シート110が存在しない(厚みが「0」)となってもよい。
【0061】
また、図20に示すように、コイル150を構成する導体の間の各々に、2つの高誘電率絶縁シート140と、1つの低誘電率絶縁シート130が設けられてもよい。そして、低誘電率絶縁シート130の中心部の厚みが周縁部の厚みより厚くなり、極端な場合には、周縁部には低誘電率絶縁シート130が存在しない(厚みが「0」)となってもよい。
【0062】
さらに図21に示すように、コイル150を構成する導体の間の各々に、2つの高誘電率絶縁シート140及び1つの低誘電率絶縁シート130、又は、2つの低熱伝導率絶縁シート120及び1つの高熱伝導率絶縁シート110が設けられてもよい。
【0063】
安全規格のため、周縁部から一定の距離(例えば0.4mm)以上では、高熱伝導率絶縁シート110又は低誘電率絶縁シート130を使用できない又はその厚みを薄くする必要があることも考えられる。この点、図19乃至図21に示す態様によれば、安全規格を満たしつつ、熱伝導性を高くしたり誘電率を低くしたりすることができる点で有益である。
【0064】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0065】
図22に示すように、本実施の形態では、2つ以上の放熱絶縁シート100が、第1放熱絶縁シート210と、第1放熱絶縁シート210よりも面方向の面積が大きい第2放熱絶縁シート220とを有している。第1放熱絶縁シート210は第2放熱絶縁シート220よりも放熱体91,92側に位置し、放熱体91,92が第1放熱絶縁シート210及び第2放熱絶縁シート220の表面に当接するようになっている。
【0066】
本実施の形態の第2放熱絶縁シート220は、第1放熱絶縁シート210よりも面方向の面積が大きければよく、その性質は、第1放熱絶縁シート210と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0067】
一例を挙げると、図2乃至図16に示す態様では、図2乃至図16の上から1番目からn番目(nは1以上6以下の任意の整数である。)までの放熱絶縁シート100の面方向の面積の値をA1とすると、n+1番目から7番目までの放熱絶縁シート100の面方向の面積の値がA2(A2>A1)となっていればよい。
【0068】
また、図17及び図18に示す態様では、図17及び図18の上から1番目からn番目(nは1以上3以下の任意の整数である。)までの放熱絶縁シート100の面方向の面積の値をA3とすると、n+1番目から4番目までの放熱絶縁シート100の面方向の面積の値がA4(A4>A3)となっていればよい。
【0069】
第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0070】
本実施の形態によれば、第1放熱絶縁シート210及び第2放熱絶縁シート220の2つの放熱絶縁シート100の表面に放熱体91,92が接触できる。このため、より高い放熱効果を実現できる。なお、本実施の形態は、図28に示すような態様に利用することもできる。
【0071】
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0072】
図23に示すように、本実施の形態では、放熱絶縁シート100は3つ以上設けられている。3つ以上の放熱絶縁シート100は、第1放熱絶縁シート210と、第1放熱絶縁シート210よりも面方向の面積が大きい第2放熱絶縁シート220と、第2放熱絶縁シート220よりも面方向の面積が大きい第3放熱絶縁シート230とを有している。第1放熱絶縁シート210は第2放熱絶縁シート220よりも放熱体91,92側に位置し、第2放熱絶縁シート220は第3放熱絶縁シート230よりも放熱体91,92側に位置している。そして、放熱体91,92は、第1放熱絶縁シート210、第2放熱絶縁シート220及び第3放熱絶縁シート230の表面に当接するようになっている。
【0073】
本実施の形態の第2放熱絶縁シート220は、第1放熱絶縁シート210よりも面方向の面積が大きければよく、その性質は、第1放熱絶縁シート210と同じであってもよいし異なっていてもよい。また、本実施の形態の第3放熱絶縁シート230は、第2放熱絶縁シート220よりも面方向の面積が大きければよく、その性質は、第1放熱絶縁シート210及び/又は第2放熱絶縁シート220と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0074】
一例を挙げると、図2乃至図16に示す態様では、図2乃至図16の上からm番目(mは1以上5以下の任意の整数である。)までの放熱絶縁シート100は面方向の面積の値がS1となっている場合には、m+1番目からm番目(mはm+1以上6以下の任意の整数である。)までの放熱絶縁シート100は面方向の面積の値がS2(S2>S1)となっており、m+1番目から7番目までの放熱絶縁シート100は面方向の面積の値がS3(S3>S2)となっていればよい。
【0075】
また、図17及び図18に示す態様では、図17及び図18の上から1番目からm番目(mは1又は2である。)までの放熱絶縁シート100の面方向の面積の値をS4とすると、m+1番目からm番目(mはm+1以上3以下の整数である。)までの放熱絶縁シート100の面方向の面積の値がS5(S5>A4)となりっており、m+1番目から4番目までの放熱絶縁シート100は面方向の面積の値がS6(S6>S5)となっていればよい。
【0076】
第3の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0077】
本実施の形態によれば、第1放熱絶縁シート210、第2放熱絶縁シート220及び第3放熱絶縁シート230の3つの放熱絶縁シート100の表面に放熱体91,92が接触できる。このため、さらにより高い放熱効果を実現できる。なお、本実施の形態は、図28に示すような態様に利用することもできる。
【0078】
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0079】
本実施の形態では、各放熱絶縁シート100の大きさが異なっており、放熱体91,92と反対側に位置する放熱絶縁シート100は放熱体91,92側に位置する放熱絶縁シート100よりも面方向の面積が大きくなっている。そして、放熱体91,92は、各放熱絶縁シート100の表面に当接するようになっている。
【0080】
一例を挙げると、図2乃至図16に示す態様では、図2乃至図16の上から下に向かうにつれて放熱絶縁シート100の面方向の面積が大きくなってもよい。また、図17及び図18に示す態様でも、図17及び図18の上から下に向かうにつれて放熱絶縁シート100の面方向の面積が大きくなってもよい。また、図19乃至図21に示す態様でも、図19乃至図2の上から下に向かうにつれて放熱絶縁シート100の面方向の面積が大きくなってもよい。
【0081】
第1の実施の形態における図4に示す態様を本実施の形態における態様に変更すると、図24に示すような態様になる。第1の実施の形態における図10に示す態様を本実施の形態における態様に変更すると、図25に示すような態様になる。第1の実施の形態における図15に示す態様を本実施の形態における態様に変更すると、図26に示すような態様になる。第1の実施の形態における図17の態様を本実施の形態における態様に変更すると、図27に示すような態様になる。
【0082】
本実施の形態によれば、各放熱絶縁シート100の表面に放熱体91,92が接触できる。このため、より一層高い放熱効果を実現できる。
【0083】
なお、本実施の形態は、図28に示すような態様に利用することもできる。この場合には、図24乃至図27に示したように、図2乃至図21の上から下に向かうにつれて放熱絶縁シート100の面方向の面積が大きくなるようにしてもよいが、第一放熱体91側から中央部分に向かうにつれて放熱絶縁シート100の面方向の面積が大きくなり、同様に、第二放熱体92側から中央部分に向かうにつれて放熱絶縁シート100の面方向の面積が大きくなることで、各放熱絶縁シート100の表面に放熱体91,92が接触できるようになっていてもよい。
【0084】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0085】
80 コア
91 第一放熱体(放熱体)
92 第二放熱体(放熱体)
110 高熱伝導率絶縁シート(絶縁シート)
120 低熱伝導率絶縁シート(絶縁シート)
130 低誘電率絶縁シート(絶縁シート)
140 高誘電率絶縁シート(絶縁シート)
150 コイル
160 第1絶縁シート(絶縁シート)
170 第2絶縁シート(絶縁シート)
180 第3絶縁シート(絶縁シート)
210 第1放熱絶縁シート
220 第2放熱絶縁シート
230 第3放熱絶縁シート

【要約】
磁性部品は、脚部81を有するコア80と、脚部81の周りに巻かれた導体からなるコイル10,20と、導体の間に設けられる2つ以上の放熱絶縁シート100と、を有するコイル構造体と、コア80の端面に当接するとともに、放熱絶縁シート100に向かって延びて放熱絶縁シート100の表面に当接する放熱体91,92と、を有している。
図1
図2
図3
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