(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転伝達部材は、前記伸縮ロッドの外面に軸方向に沿って延びた凸条が嵌り込んで係脱自在に係合する係合溝と、前記最上部のケーシングに形成された係合凸部が係脱自在に係合する受凹部とを備えていることを特徴する請求項1又は2記載の掘削装置。
前記回転連結手段は、上下の一方のケーシングに形成された係合凸部と、他方のケーシングに形成され前記係合凸部が係脱自在に係合する係合凹部とによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の掘削装置。
オーガスクリュー及びオーガスクリューが連結された伸縮ロッドの外周に筒状のケーシングを配置した状態で前記伸縮ロッド及びケーシングを回転させることによりケーシングを押し込みながらオーガスクリュー及びケーシングによって地盤に縦穴を掘削する第1段階と、
伸縮ロッドを伸長させた状態でケーシングに次段のケーシングを継ぎ足し、ケーシングを押し込みながらオーガスクリュー及びケーシングによって縦穴の掘削を継続する第2段階と、
伸縮ロッドに次段の伸縮ロッドを継ぎ足すと共にケーシングにさらに次段のケーシングを継ぎ足し、ケーシングを押し込みながらオーガスクリュー及びケーシングによって縦穴の掘削を継続する第3段階と、
第2段階及び第3段階を繰り返して目的深度まで穴掘りした後、ケーシングだけを縦穴内に残置した状態で伸縮ロッド及びオーガスクリューを縦穴内から引き抜く第4段階と、
前記ケーシングの内部に縦長の地中熱交換管を挿入した後、前記縦穴内からケーシングを引き抜く第5段階と、を備えていることを特徴とする掘削方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載された従来の埋設方法は、延長ロッドを継ぎ足しながらの縦穴の掘削を行った後、ケーシングを継ぎ足しながらケーシングを縦穴内へ押し込むものであり、縦穴の掘削が先になされ、この掘削の後に縦穴内へのケーシングの押し込みがなされる工程順となっている。
しかしながら、この方法では、縦穴の掘削中に縦穴が崩れて土砂で埋まった場合、その後のケーシングの押し込みや地中熱交換管の送り込みができなくなる。このため、例えば湧水土質、砂質土等の軟弱地盤への適用ができない問題がある。又、縦穴の掘削では延長ロッドを継ぎ足し、ケーシングの押し込みではケーシングを継ぎ足すため、延長ロッドの継ぎ足し及びケーシングの継ぎ足しが別々の段階で行われる。このため掘削の作業性が悪い問題も有している。
【0007】
本発明は、このような従来の方法の問題点を考慮してなされたものであり、掘削中における縦穴の崩れを防止でき、しかも作業性を向上させることが可能な地中熱交換管の埋設に用いる掘削装置及び掘削方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の掘削装置は、縦長の地中熱交換管を埋設するための縦穴を地盤に対して掘削する掘削装置であって、ブームに取り付けられたドリルヘッドにオーガスクリューが着脱される構造の穴掘建柱車と、前記ドリルヘッドと前記オーガスクリューとの間に取り付けられてこれらを連結する伸縮構造の複数の伸縮ロッドと、最上部の伸縮ロッドを前記ドリルヘッドに回転可能に連結する屈曲自在なユニバーサルジョイントと、最下部の伸縮ロッドと前記オーガスクリューとを回転可能に連結すると共に上下の伸縮ロッド相互を回転可能に連結する連結継手と、前記伸縮ロッド及び前記オーガスクリューと共に回転することによりオーガスクリューと共に縦穴を掘削しながら縦穴内に押し込まれる複数の筒状のケーシングと、最上部のケーシングと前記伸縮ロッドとを係脱自在に連結し、当該連結によって前記伸縮ロッドの回転を最上部のケーシングに伝達する回転伝達部材と、上下のケーシングを回転可能に連結する回転連結手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この装置においては、前記複数のケーシングの内、最下部に位置するケーシングの下端部にチップが取り付けられていることを特徴とする。
又、前記回転伝達部材は、前記伸縮ロッドの外面に軸方向に沿って延びた凸条が嵌り込んで係脱自在に係合する係合溝と、前記最上部のケーシングに形成された係合凸部が係脱自在に係合する受凹部とを備えていることを特徴する。
さらに、前記回転連結手段は、上下の一方のケーシングに形成された係合凸部と、他方のケーシングに形成され前記係合凸部が係脱自在に係合する係合凹部とによって形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の掘削方法は、オーガスクリュー及びオーガスクリューが連結された伸縮ロッドの外周に筒状のケーシングを配置した状態で前記伸縮ロッド及びケーシングを回転させることによりケーシングを押し込みながらオーガスクリュー及びケーシングによって地盤に縦穴を掘削する第1段階と、伸縮ロッドを伸長させた状態でケーシングに次段のケーシングを継ぎ足し、ケーシングを押し込みながらオーガスクリュー及びケーシングによって縦穴の掘削を継続する第2段階と、伸縮ロッドに次段の伸縮ロッドを継ぎ足すと共にケーシングにさらに次段のケーシングを継ぎ足し、ケーシングを押し込みながらオーガスクリュー及びケーシングによって縦穴の掘削を継続する第3段階と、第2段階及び第3段階を繰り返して目的深度まで穴掘りした後、ケーシングだけを縦穴内に残置した状態で伸縮ロッド及びオーガスクリューを縦穴内から引き抜く第4段階と、前記ケーシングの内部に縦長の地中熱交換管を挿入した後、前記縦穴内からケーシングを引き抜く第5段階と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の掘削装置によれば、連結継手が上下の伸縮ロッド及びオーガスクリューを連結し、回転伝達部材が伸縮ロッドの回転をケーシングに伝達するため、ケーシングがオーガスクリューと共に回転する。このため、オーガスクリュー及びケーシングの双方によって地盤を掘削して縦穴を形成することができる。この掘削では、ケーシングが縦穴を内側から支えた状態で掘削するため、掘削中における縦穴の崩れを防止することができる。
又、上下の伸縮ロッドを回転可能に連結する連結継手と、上下のケーシングを回転可能に連結する回転連結手段と、伸縮ロッドとケーシングとを回転可能に連結する回転伝達部材とを備えているため、伸縮ロッドの継ぎ足しとケーシングの継ぎ足しとを縦穴の掘削に連動させることができる。これにより掘削の作業性が向上し、短時間での作業が可能となる。
【0012】
本発明の掘削方法によれば、伸縮ロッドに連結したオーガスクリューとオーガスクリューの外周に設けた筒状のケーシングとによって縦穴を掘削するため、ケーシングが縦穴を内側から支えた状態で掘削でき、掘削中における縦穴の崩れをケーシングによって防止することができる。このため、掘削途中で縦穴が土砂で埋まることがなく、縦穴内への地中熱交換管の挿入の作業性が向上する。従って、湧水土質、砂質土等の軟弱地盤にも好適に適用することができ、適用範囲を拡大させることができる。
又、縦穴を掘削しながら伸縮ロッドの継ぎ足しとケーシングの継ぎ足しとを行うため、これらの継ぎ足しと縦穴の掘削とを連動させることができる。このため掘削の作業性が向上し、短時間での作業が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示する一実施形態により具体的に説明する。
図1は本発明の実施形態の掘削装置に用いる穴掘建柱車1の背面図、
図2〜
図8は、穴掘建柱車1を用いて地盤2に縦穴3を掘削する工程を順番に示す背面図、
図9〜
図28は穴掘り掘削に用いる各部材を示す。
【0015】
穴掘建柱車1は
図1に示すように、走行可能な車体21にブーム22が搭載されており、車体21からはアウトリガー23が張り出し可能となっている。ブーム22は車体21に対し、起伏可能、伸縮可能及び旋回可能に搭載される。ブーム22の頂部には、電柱等を吊り下げるための吊り下げ用ブラケット26が取り付けられている。このブーム22にはドリルヘッド24が取り付けられ、このドリルヘッド24に地盤2を掘削するオーガスクリュー4が連結されている。図示例においては、ドリルヘッド24に対し後述するユニバーサルジョイント5が連結されると共に、ユニバーサルジョイント5に対し後述する伸縮ロッド6が連結されており、オーガスクリュー4はこれらを介してドリルヘッド24に連結された状態となっている。
【0016】
オーガスクリュー4は
図9に示すように、掘削軸28の軸方向に沿って螺旋状のオーガブレード29が取り付けられている。掘削軸28の上端部は、
図18に示すように伸縮ロッド6に連結される多角形(六角形)の雄継手部30となっている。雄継手部30は伸縮ロッド6との連結だけでなく、オーガスクリュー4をユニバーサルジョイント5と連結する場合にも使用される。オーガブレード29の外周縁部には、排土板31が立ち上がり状に一体的に形成されている。排土板31を設けることによりオーガブレード29の排土量が多くなり、掘削時における地盤2内の土を効率良く排土することができる。
なお、穴掘建柱車1における電柱立設等の通常の使用状態では、ユニバーサルジョイント5、伸縮ロッド6を連結して使用することは任意である。
【0018】
ユニバーサルジョイント5はオーガスクリュー4と伸縮ロッド(最上部の伸縮ロッド)6aとを回転可能に連結するジョイント部材である。
図15及び
図16に示すように、ユニバーサルジョイント5は第1部材33と第2部材34とがジョイントピン35によって連結されている。第1部材33は最上部の伸縮ロッド6aに連結されるものであり、連結のための雌継手部37が端部に形成されている。雌継手部37には多角形(六角形)の穴が形成される。第2部材34は端部に多角形(六角形)の外形となった雄継手部36が形成されており、この雄継手部36がドリルヘッド24の駆動軸に連結される。
第1部材33と第2部材34とはジョイントピン35を中心に相互回動可能となっており、この回動により第1部材33及び第2部材34が一直線状となる状態(
図15)及び直角状に屈曲した状態(
図16)の間で変位可能となっている。一直線状の状態では、ドリルヘッド24の回転力により第1部材33及び第2部材34が一体的に回転する。これによりドリルヘッド24の回転を最上部の伸縮ロッド6aに伝達することができる。直角状に屈曲した状態では、伸縮ロッド6がドリルヘッド24の軸線上から退避する。これにより伸縮ロッド6を地盤2上に倒した状態とすることができる(
図2参照)。
【0019】
伸縮ロッド6は複数が上下に連結されて用いられるものであり、最上部の伸縮ロッド6a及びそれ以外の伸縮ロッド6はいずれも同じ構造となっている。
図10及び
図11は伸縮ロッド6を示す。伸縮ロッド6はアウターロッド38と、アウターロッド38の内部に挿入されたインナーロッド39とによって形成されており、インナーロッド39がアウターロッド38の内部に格納された状態では
図10の短縮状態となり、インナーロッド39がアウターロッド38から引き出された状態では
図11の伸長状態となる。インナーロッド39の外形は多角形(六角形)となっており、アウターロッド38の内部はインナーロッド39の外形に相応した多角形の穴形状となっている。これによりアウターロッド38及びインナーロッド39が一体となって回転する。
アウターロッド38の下端部には、差し込みブロック43が設けられている。差し込みブロック43はインナーロッド39をアウターロッド38に差し込むための部材である。インナーロッド39の差し込み状態で位置決めピンを差し込んでインナーロッド39に係合させることによりインナーロッド39の引き出し長さを調整することができる。また、位置決めピンを抜き取ることによりインナーロッド39の引き出しが可能となる。これにより伸縮ロッド6、6aの伸長を段階的に調整しながら行うことができる。
【0020】
アウターロッド38の上端部は多角形穴(六角形穴)の雌継手部40となっており、インナーロッド39の下端部は多角形(六角形)の外形の雄継手部41となっている。従って、上側に位置する伸縮ロッド6の雄継手部41を下側に位置する伸縮ロッド6の雌継手部40に嵌め込むことにより上下2本の伸縮ロッド6の連結を行うことができる。アウターロッド38の外面には、外側に突出する凸条42が軸方向に沿って形成されている。この凸条42は後述する回転伝達部材11の係合溝55と係合するものであり、この係合により回転伝達部材11と伸縮ロッド6との連結が行われる(
図24参照)。
【0021】
連結継手7、8は最上部の伸縮ロッド6aとユニバーサルジョイント5との連結及び連結ロッド6とオーガスクリュー4との連結を行うものであり、連結継手7は雄型連結継手、連結継手8は雌型連結継手となっている。雄型連結継手7は
図19に示すように、多角形(六角形)の外形となった雄継手部7aが軸方向の両端部に形成され、雌型連結継手8は
図20に示すように、多角形(六角形)の穴形状となった雌継手部8aが軸方向の両端部に形成されている。
【0022】
雄型連結継手7は
図17に示すようにユニバーサルジョイント5と最上部の伸縮ロッド6aとの連結に用いられる。この雄型連結継手7は一方の雄継手部7aをユニバーサルジョイント5の第1部材33における雌継手部37に嵌め込み、他方の雄継手部7aを最上部の伸縮ロッド6aの雌継手部40に嵌め込むことにより、これらを連結することができる。かかる嵌め込みの後、ピンを軸方向との直交方向に差し込んで抜け止めする。
【0023】
雌型連結継手8は
図18に示すように伸縮ロッド6とオーガスクリュー4との連結に用いられる。すなわち、一方の雌型継手部8aを伸縮ロッド6の雄継手部41に嵌め込み、他方の雌継手部8aをオーガスクリュー4の雄継手部30に嵌め込むことによりこれらを連結する。嵌め込みの後においては、ピンを軸方向との直交方向に差し込んで抜け止めする。
【0024】
ケーシング9、10は複数が上下に連結されて用いられものであり、
図12に示すように、最下部に位置する下部ケーシング9と、最上部及び中間に位置する中間ケーシング10とによって形成されている。これらの下部ケーシング9及び中間ケーシング10は同径で円筒状に延びたケーシング本体44を有している。
最下部に位置する下部ケーシング9におけるケーシング本体44の下端部には複数のチップ45が円周方向に沿って取り付けられている。これにより下部ケーシング9は縦穴3の掘削の際に、オーガスクリュー4と共に地盤2を掘削する。
【0025】
上下に連結されるケーシング9、10は相互に回転可能に連結される。この連結は回転連結手段12によってなされる。
図12、
図23に示すように、回転連結手段12は上下における一方(下方)のケーシングのケーシング本体44に形成された係合凸部47と、他方(上方)のケーシングのケーシング本体44に形成された係合凹部48とによって形成されている。係合凸部47は一方のケーシングのケーシング本体44の内面から矩形ブロック状となって突出している。係合凹部48はこの係合凸部47が係合可能な矩形凹部に形成されており、係合凸部47が係合凹部48に係合することにより、上下のケーシングが連結されて上下のケーシングが一体的に回転する。
図示例において、係合凹部48はケーシング本体44から相手側のケーシングに向かって延びた短尺筒状のサブケーシング49に形成されており、このサブケーシング49を一方のケーシングのケーシング本体44に溶接、ボルト止め等によって固定することにより、係合凹部48が同ケーシングに設けられる。なお、サブケーシング49には相手側のケーシングの係合凸部47が入り込むための開口部50が形成され、係合凹部48はこの開口部50に連設されている。
【0026】
上下に連なる複数のケーシングのうち最上部に位置するケーシング10は、回転伝達部材11によって伸縮ロッド(最上部の伸縮ロッド)6aと連結され、この連結により最上部のケーシング10に伸縮ロッド6aの回転が伝達される。
【0027】
図21は回転伝達部材11を示し、下面が開口された伝達本体部52と伝達本体部52の上部に凸状となって形成された係合筒部53とによって形成されている。伝達本体部52には最上部のケーシング10に形成された係合凸部47が係脱自在に係合する受凹部54が形成されている。係合筒部53には伸縮ロッド6aのアウターロッド38外面に形成された凸条42が入り込んで係合する係合溝55が形成されている。
図24に示すように、回転伝達部材11はヒンジ部56を中心に回動することにより開閉可能となっており、回転伝達部材11の開き状態に対して最上部の伸縮ロッド6aが回転伝達部材11に挿通される。
【0028】
回転伝達部材11と最上部の伸縮ロッド6aとの連結は、
図22及び
図24に示すように、回転伝達部材11を開いた状態とし(
図22(A)、(B))、係合筒部53に伸縮ロッド6aを挿通させる。このとき、伸縮ロッド6aの凸条42を回転伝達部材11の係合溝55に入り込ませる。その後、回転伝達部材11を閉じることにより、伸縮ロッド6aの2本の凸条42と係合溝55とを係合させて伸縮ロッド6aと回転伝達部材11とを連結する。
回転伝達部材11と最上部のケーシング10との連結は、
図22及び
図23に示すように、回転伝達部材11が閉じた状態に対し最上部のケーシング10の上部を伝達本体部52に挿入して回転させ、ケーシング10の係合凸部47を回転伝達部材11の受凹部54に入り込ませることにより行われる。
【0029】
このように回転伝達部材11を介して最上部の伸縮ロッド6aと最上部のケーシング10とが連結されることにより、伸縮ロッド6aの回転が回転伝達部材11を介して最上部のケーシング10に伝達される。このため、上下で連結された複数のケーシング9、10と上下で連結された複数の伸縮ロッド6a、6とが回転することができる。これにより、伸縮ロッド6に取り付けられたオーガスクリュー4とビット45を備えた状態で最下部に位置したケーシング9とが共に回転するため、オーガスクリュー4と最下部のケーシング9とによって縦穴3の掘削を行うことができる。
【0030】
図13及び
図14は本発明を適用するための地中熱交換管20を示す。地中熱交換管20は縦長構造となっており、後述する埋設方法により掘削された縦穴3に埋め込まれる。
【0031】
この実施形態の地中熱交換管20は、水や不凍液などの熱媒体が流動する流路を螺旋状の熱交換管61によって形成するものである。螺旋状の熱交換管61には熱媒体が導入される導入管部62と、熱媒体を地上の負荷装置に供給する導出管部63とが流路の両端部から引き出されている。螺旋状の熱交換管61は縦方向に延びる枠ロッド64に巻き付けられるようにして形成されている。枠ロッド64の下端部には、重みによって縦穴3への挿入を円滑に行うための錘プレート65が取り付けられている。さらに、熱交換管61の内部には、空気管66が挿入されている。空気管66の下端部は錘プレート65を貫通しており、貫通した端部が空気(圧縮空気)の噴出を行う噴出口67となっている。これにより、空気を縦穴3の底部に向けて噴出させることができるため、縦穴3内に湧き出た泥水をかき混ぜるように作用し、地中熱交換管20の縦穴3内への送り込みを円滑に行うことができる。
なお、地中熱交換管20としては、縦長構造であれば螺旋構造以外の構造のものを適用することができる。
【0032】
次に、地中熱交換管20を埋設するための掘削作業について
図2〜
図8及び
図25〜
図28を参照して説明する。掘削作業は以下の段階によってなされる。
第1段階・・オーガスクリュー4及びオーガスクリュー4が連結された伸縮ロッド(最上部の伸縮ロッド)6aの外周に筒状のケーシング(最下部のケーシング)9を配置した状態で伸縮ロッド6a及びケーシング9を回転させることによりケーシング9を押し込みながらオーガスクリュー4及びケーシング9によって地盤2に縦穴3を掘削する。
第2段階・・伸縮ロッド6aを伸長させた状態でケーシング9に次段のケーシング(中間ケーシング)10を継ぎ足し、ケーシング9、10を押し込みながらオーガスクリュー4及びケーシング9,10によって縦穴3の掘削を継続する。
第3段階・・伸縮ロッド6aに次段の伸縮ロッド6を継ぎ足すと共にケーシング10にさらに次段のケーシング(中間ケーシング)10を継ぎ足し、ケーシング10を押し込みながらオーガスクリュー4及びケーシング9,10によって縦穴3の掘削を継続する。
第4段階・・第2段階及び第3段階を繰り返して目的深度まで穴掘りした後、ケーシング9、10だけを縦穴3内に残置した状態で伸縮ロッド6a、6及びオーガスクリュー4を縦穴3内から引き抜く。
第5段階・・ケーシング9、10の内部に縦長の地中熱交換管20を挿入した後、縦穴3内からケーシング9、10を引き抜く。
【0033】
図2は縦穴掘削の準備段階を示す。図示を省略するが、
図2における雄型連結継手7の後ろ側(左側)には、伸縮ロッド6aが連結され、この連結ロッド6aにオーガスクリュー4が連結されている。さらに伸縮ロッド6aの外周にケーシング9が回転伝達部材11を介して配置されている。雄型連結継手7はユニバーサルジョイント5を介してドリルヘッド24に連結されるが、この準備段階では、ユニバーサルジョイント5が屈曲された状態となっている。従って、雄型連結継手7、これに続く伸縮ロッド6a、オーガスクリュー4やケーシング9を地盤2上に倒した状態としたままで雄型連結部材7をユニバーサルジョイント5に連結することができるため、重量物の持ち上げや保持、移動が不要となり、連結作業を容易に行うことができる。この状態でブーム22を押し上げることにより、
図3に示す掘削可能状態に移行する。
【0034】
図3は第1段階の状態を示す。
図3では、ブーム22によってオーガスクリュー4、伸縮ロッド6a、ケーシング9を地盤2に対して立設した状態とし、ブーム22を押し下げながらドリルヘッド22を駆動する。これにより伸縮ロッド6aが回転し、オーガスクリュー4及びケーシング(最下部のケーシング)9を回転するため、オーガスクリュー4及びケーシング9により地盤2に縦穴3が掘削される。その後、掘削を停止し、回転伝達部材11を取り外し、伸縮ロッド6a及びオーガスクリュー4を引き上げて排土する。この掘削及び排土を繰り返して所定深度まで縦穴3を掘削する。
【0035】
図4は第2段階の状態を示す。第1段階での回転伝達部材11の取り外し状態で伸縮ロッド6aを伸長させ、伸縮ロッド6aとドリルヘッド24との連結を切り離す。そして、ケーシング9に対し、回転連結手段12を介して次段のケーシング(中間ケーシング)10を継ぎ足し、中間ケーシング10の上部に回転伝達部材11を取り付ける。又、ドリルヘッド24と伸縮ロッド6aとをユニバーサルジョイント5によって連結する。その後、ブーム22を押し下げながらドリルヘッド24を駆動して伸縮ロッド6aを回転させ、これによりオーガスクリュー4とケーシング(最下部のケーシング)9とを共に回転させて地盤2を掘削する。この掘削及び上述した排土を繰り返す。
【0036】
図5は第3段階の状態を示す。第3段階では、ドリルヘッド24と伸縮ロッド6aとの連結を切り離した後、回転伝達部材11を取り外し、伸縮ロッド6aに次段(2本目)の伸縮ロッド6を継ぎ足す。又、ケーシング10に対して次段のケーシング(中間ケーシング)10を回転連結手段12を介して継ぎ足す。そして、次段のケーシング10に回転伝達部材11を取り付けた後、2本目の伸縮ロッド6をドリルヘッド24に連結する。
その後、ブーム22を押し下げながらドリルヘッド24を駆動して伸縮ロッド6a、6を回転させ、オーガスクリュー4とケーシング9とによって地盤2に対する縦穴3の掘削を継続する。かかる掘削及び排土を繰り返すことにより目的の深度まで縦穴3を掘削する。
【0037】
以上の第2段階及び第3段階においては、オーガスクリュー4と共に最下部のケーシング9が地盤2を掘削する。このため、ケーシング9、10が縦穴3を内側から支えた状態で掘削することができ、掘削中における縦穴3の崩れをケーシング9、10によって防止できる。これにより掘削途中で縦穴3が土砂で埋まることがない。又、縦穴3を掘削しながら伸縮ロッド6a、6の継ぎ足しとケーシング9、10の継ぎ足しとを行うため、これらの継ぎ足しと縦穴3の掘削とを連動させることができる。これにより縦穴掘削の作業性が向上し、短時間での作業が可能となる。
【0038】
図6は第4段階の状態を示す。第4段階では、伸縮ロッド6a、6の縦穴3内からの引き抜き及びオーガスクリュー4の縦穴3内からの引き抜きを行う。伸縮ロッド6a、6及びオーガスクリュー4を引き抜くことにより縦穴3内には継ぎ足しされたケーシング10、9だけが残置された状態となる。残置されたケーシング10、9は縦穴3を内側から支えた状態を保持するため、不用意に縦穴3が崩れることがない。
【0039】
第4段階では、回転伝達部材11を取り外して伸縮ロッド6を地盤2上に引き出す。このとき
図27及び
図28に示すように、縦穴3から抜き出ているケーシング10の頭部に対し、ケーシングホルダ57(
図26)を固定し、ケーシング10の縦穴3内への落下を防止する。又、ケーシング10の頭部上にロッドホルダ13(
図25)を支持させる。ロッドホルダ13は引き出された伸縮ロッド6を保持して縦穴3内への落下を防止する。
【0040】
ロッドホルダ13は
図25に示すように、開閉可能な一対のホルダアーム14、14と、ホルダアーム14、14を連結するロックバー15とを備えている。このロッドホルダ13は、一対のホルダアーム14、14の間で伸縮ロッド6を挟み、ロックバー15によってホルダアーム14、14を固定することにより伸縮ロッド6を挟持する。
【0041】
ケーシングホルダ57は
図26に示すように、第1ホルダ58と第2ホルダ59とによってケーシング10を挟むことによりケーシング10を保持する構造となっている。第1ホルダ58及び第2ホルダ59の内側の面には、当接片60が円周上に複数形成されており、この当接片60がケーシング10の外面に当接し、この当接状態で当接片60とケーシング10とを溶接することによりケーシング10との結合を行う。一方、当接片60の溶接部分を除去することによりケーシングホルダ57によるケーシング10の保持が解除される。なお、当接片60とケーシング10との結合は、ボルト等によって行うことも可能である。
【0042】
第4段階における伸縮ロッド6及びオーガスクリュー4の引き抜きは、
図27及び
図28に示すように、ロッドホルダ13によって伸縮ロッド6を保持した状態で、上側(2本目)の伸縮ロッド6を短縮させて2本目の伸縮ロッド6を取り外す。そしてドリルヘッド24と下側(1本目)の伸縮ロッド6とを連結し、ロッドホルダ13を取り外して1本目の伸縮ロッド6を引き出し、同ロッド6を短縮させる。この状態で、伸縮ロッド6及びオーガスクリュー4をケーシング10内から引き抜く。その後、伸縮ロッド6とオーガスクリュー4とを切り離すと共に伸縮ロッド6とドリルヘッド24とを切り離す。これにより縦穴3内には継ぎ足し状態のケーシング9、10だけが残置した状態となる。
【0043】
図7及び
図8は第5段階の状態を示す。まず、
図7に示すように吊り下げブラケット26によって地中熱交換管20を吊り下げて縦穴3上に移動させ、ブーム22を押し下げて地中熱交換管20を縦穴3内に押し込む。この押し込みに際しては、空気管66の噴出口67から空気を縦穴3の底部に向けて噴出させる。空気の噴出によって縦穴3内に泥水が湧き出ていても、空気がこれをかき混ぜるため、泥水の抵抗が少なくなり、地中熱交換管20を円滑に押し込むことができる。
【0044】
図8は
図7に続く作業を示す。この作業では、縦穴3に残置しているケーシング9、10を引き抜く。ケーシング9、10の引き抜きは、最上部のケーシング10に取り付けた回転伝達部材11とドリルヘッド24とをユニバーサルジョイント5を介して連結し、ドリルヘッド24を回転させながらブーム22を押し上げることにより最上部のケーシング10を縦穴3から引き出すことにより行う。下側に続くケーシング10の引き抜きも同様であり、回転伝達部材11を次のケーシング10に取り付けて回転伝達部材11をドリルヘッド24に連結し、ドリルヘッド24を回転しながらブーム22を押し上げることにより引き出す。これを繰り返して全てのケーシング9、10を縦穴3内から引き抜く。
全てのケーシング9、10の引き抜きの後、縦穴3を土で埋め戻すことにより地中熱交換管20の埋設が終了する。
【0045】
以上説明した掘削装置によれば、連結継手7、8が上下の伸縮ロッド6a、6及びオーガスクリュー4を連結し、回転伝達部材11が伸縮ロッド6a、6の回転をケーシング9、10に伝達するため、ケーシング9、10がオーガスクリュー4と共に回転して縦穴3を掘削する。このような掘削では、ケーシング9、10が縦穴3を内側から支えた状態で掘削するため、掘削中における縦穴3の崩れを防止することができる。
又、上下の伸縮ロッド6a、6を回転可能に連結する連結継手7,8と、上下のケーシング9、10を回転可能に連結する回転連結手段12と、伸縮ロッド6a、6とケーシング9、10とを回転可能に連結する回転伝達部材11とを備えているため、伸縮ロッド6a、6の継ぎ足しとケーシング9、10の継ぎ足しとを縦穴3の掘削とを連動させることができ、縦穴掘削の作業性を向上させることが可能で、短時間での作業が可能となる。
【0046】
以上説明した掘削方法によれば、伸縮ロッド6a、6に連結したオーガスクリュー4と、オーガスクリュー4の外周に設けたケーシング9、10とによって縦穴3を掘削するため、ケーシング9、10が縦穴3を内側から支えた状態で掘削でき、縦穴3の崩れを防止する。このため、掘削途中で縦穴3が土砂で埋まることがなく、縦穴3内への地中熱交換管20の挿入の作業性が向上する。このため、湧水土質、砂質土等の軟弱地盤だけなく、粘性土、礫質土等の種々の地盤に適用することができ、適用範囲を拡大させることができる。
又、縦穴3を掘削しながら伸縮ロッド6a、6の継ぎ足しとケーシング9、10の継ぎ足しとを行うため、これらの継ぎ足しと縦穴3の掘削とを連動させることができ、縦穴掘削の作業性が向上し、短時間で作業することができる。
【解決手段】伸縮ロッド6a及びケーシング9を回転により押し込みながらオーガスクリュー4及びケーシング9によって地盤に縦穴3を掘削する第1段階と、伸縮ロッド6aを伸した状態でケーシング9に次段のケーシング10を継ぎ足し、オーガスクリュー4及びケーシング9、10によって掘削を継続する第2段階と、さらに次段の伸縮ロッド6a及びケーシング9、10を継ぎ足して縦穴3の掘削を継続する第3段階と、第2段階及び第3段階を繰り返して目的深度まで穴掘りした後、ケーシング9、10だけを縦穴3内に残置した状態とする第4段階と、ケーシング9、10の内部に縦長の地中熱交換管を挿入した後、縦穴3内からケーシング9、10を引き抜く第5段階と、を備える。