(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1から
図3を用いて第1の実施形態の画像処理装置(ビデオプロセッサ)を含む内視鏡システムの構成について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムの構成を示す図であり、
図2は、第1の実施形態の画像処理装置に接続される内視鏡の挿入部先端部の構成を示す斜視図である。また、
図3は、第1の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本第1の実施形態の画像処理装置(以下、ビデオプロセッサ3)を有する内視鏡システム1は、被検体の前方視野領域と側方視野領域との各々の領域を観察し撮像可能とする超広角内視鏡2(以下、内視鏡2)と、当該内視鏡2に接続され前記画像信号を入力し所定の画像処理を施すと共に、電子ズーム処理機能を有する当該ビデオプロセッサ3と、被検体を照明するための照明光を供給する光源装置4と、画像信号に応じた観察画像を表示するモニタ5と、を有している。
【0019】
なお、ビデオプロセッサ3には、上述した超広角内視鏡2の他に、単一視野による通常の内視鏡についても接続可能とする。また、以下に示す超広角内視鏡2の構成については、前記単一視野内視鏡と共通する構成もあるが、便宜上、超広角内視鏡2における構成として説明する。
【0020】
さらに、ビデオプロセッサ3には、電子ズーム拡大率の選択操作を含む各種の操作を行うためのキーボード39が接続されている(詳しくは、後述する)。
【0021】
内視鏡2は、上述したように、前方視野領域および側方視野領域を含む180度以上の視野を観察可能な超広角内視鏡であり、体腔内、特に大腸内において、襞の裏または臓器の境界等、前方方向の観察だけでは見難い場所の病変を見落とすことを防ぐことを可能とする。
【0022】
また内視鏡2は、被検体の体腔内等に挿入される細長の挿入部6と、挿入部6の基端側に配設され術者が把持して操作を行う内視鏡操作部10と、内視鏡操作部10の側部から延出するように一方の端部が設けられたユニバーサルコード41と、を有して構成されている。
【0023】
挿入部6は、先端側に設けられた硬質の先端部7と、先端部7の後端に設けられた湾曲自在の湾曲部8と、湾曲部8の後端に設けられた長尺かつ可撓性を有する可撓管部9と、を有して構成されている。湾曲部8は、内視鏡操作部10に設けられた湾曲操作レバー40の操作に応じた湾曲動作を行う。
【0024】
本実施形態に係る内視鏡2の前記挿入部6における先端部7には、前方視野の光学像を結像する第1の対物光学系と、前記前方視野の周囲の視野である側方視野の光学像を結像する第2の対物光学系と、を有する対物光学系21(
図3参照)と、当該対物光学系21における前記第1および第2の対物光学系において結像された光学像を撮像する撮像素子22(
図3参照)とが配設されている。なお、対物光学系21等、先端部7の詳細な構成については後述する。
【0025】
撮像素子22は、対物光学系21の視野中心F(
図5等参照)が撮像範囲の中心(
図5に示すズーム倍率1倍の場合には、切出領域の中心Oに一致する)からずれた位置となるように配置され、対物光学系21により結像された被写体の光学像を撮像して撮像信号を生成する撮像部である。
【0026】
また、内視鏡2の前記内視鏡操作部10には、各種操作指示を実行するためのスコープスイッチ23が配設され、前記ユニバーサルコード41を介してビデオプロセッサ3におけるCPU31(
図3参照)に接続されている。
【0027】
スコープスイッチ23は、内視鏡2に係る各種操作を行うためのスイッチであり、例えば、静止画像を撮像するためのフリーズスイッチ、送気/送水スイッチ、電子ズーム操作を行うためのズームスイッチ等の機能を有するが、本実施形態においてスコープスイッチ23は、電子ズーム処理の実行を指示するズーム操作部としての機能を果たす。
【0028】
前記ユニバーサルコード41の基端側にはコネクタ42が設けられ、当該コネクタ42は光源装置4に接続されるようになっている。すなわち、コネクタ42の先端から突出する流体管路の接続端部となる口金(図示せず)と、照明光の供給端部となるライトガイド口金(図示せず)とは光源装置4に着脱自在で接続されるようになっている。
【0029】
さらに、前記コネクタ42の側面に設けた電気接点部には接続ケーブル43の一端が接続されるようになっている。そして、この接続ケーブル43には、例えば内視鏡2における撮像素子22(
図3参照)からの撮像信号を伝送する信号線が内設され、また、他端のコネクタ部はビデオプロセッサ3に接続されるようになっている。
【0030】
なお、前記コネクタ42には、当該内視鏡2における固有の所定ID情報を記憶した識別情報記憶部24(
図3参照)が配設されている。
【0031】
識別情報記憶部24は、当該内視鏡2における固有の識別情報を不揮発に記憶する記憶部であり、内視鏡2の型番、シリアル番号、撮像素子22のサイズおよび画素数、並びに撮像素子22の撮像範囲の中心に対する対物光学系11の視野中心Fの設計上の位置を示す配置情報等が、製造時に予め記憶されている。
【0032】
次に、
図2を参照して、内視鏡2の挿入部6における先端部7の構成について説明する。
【0033】
挿入部6の先端部7には、先端面から挿入軸方向に突出する円筒部11が設けられている。この円筒部11内には、上述した対物光学系21が、前方視野の光学像を結像する第1の対物光学系と、前記前方視野の周囲の視野である側方視野の光学像を結像する第2の対物光学系と、を有した光学系として配設されている。
【0034】
すなわち、対物光学系21は、円筒部11の先端面に配設された前方観察窓12を介して視野中心Fの方向の視野である前方視野(従って、視野中心Fは前方視野の中心である)の被写体光による前方視野画像を取得すると共に、円筒部11の周面に配設された側方観察窓13を介して視野中心Fの方向の側方の視野である側方視野からの被写体光による側方視野画像を取得するようになっている。
【0035】
このように本実施形態に係る内視鏡2は、前方視野画像と側方視野画像とを取得する超広角内視鏡として構成されている。
【0036】
また、円筒部11の基端部には、側方観察窓13からの側方視野範囲へ照明光を出射する側方照明窓14が設けられ、先端部7の先端面には、前方観察窓12からの前方視野範囲へ照明光を出射する前方照明窓16が設けられている。
【0037】
さらに、先端部7の先端面には、処置具チャンネルのチャンネル開口部17が設けられていると共に、上述した円筒部11の周面の一部に沿って(
図2における円筒部11の下部側の周面に隣接して)挿入軸方向に突出する支持部15が設けられている。
【0038】
この支持部15の先端面には、例えば、前方観察窓12からの前方視野範囲へ照明光を出射する前方照明窓19と、前方観察窓19を洗浄する流体を射出するための前方観察窓用ノズル部18aと、が設けられている。また、支持部15の側面には、側方観察窓13を洗浄する流体を射出するための側方観察窓用ノズル部18bが設けられている。
【0039】
このように構成される内視鏡2は、被写体からの被写体光の一部が対物光学系21に入射されるのを遮る位置に設けられた構造物である支持部15を備えているために、すなわちここでは、支持部15が円筒部11の周面の一部を覆って、側方観察窓13による側方視野から入射される被写体光の一部を遮っているために、結像される光学像の一部(ここでは例えば側方視野の一部)に光学的なケラレが発生することが不可避となっている。
【0040】
図5は、第1の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムにおいて、撮像素子から出力された撮像信号があらわす画像を観察モニタ5に表示したときの画面50aの一例を示す図である。
【0041】
図に示すように、前方観察窓12からの被写体光により形成される前方視野画像51は視野中心Fを中心とした円形をなしている。また、側方観察窓13からの被写体光により形成される側方視野画像52は、前方視野画像51の外周部に、概略、円環形状に形成される。ここに、側方視野画像52の円環形状が概略であると述べた理由は、側方視野画像52の周方向の一部が、上述した支持部15によるケラレ52aとなっているからである。
【0042】
そこで撮像素子22は、撮像範囲に結像される被写体の光学像の、構造物である支持部15によるケラレ52aが小さくなるように、撮像範囲の中心を対物光学系21の視野中心Fからケラレ52aの反対方向にずらして配置されている。
【0043】
<ビデオプロセッサ3の構成>
次に、本第1の実施形態の画像処理装置であるビデオプロセッサ3および当該ビデオプロセッサ3を含む内視鏡システム1の電気的な構成について説明する。
【0044】
図3は、第1の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【0045】
図3に示すように、本第1の実施形態のビデオプロセッサ3は、当該ビデオプロセッサ3における各回路および接続された内視鏡2における各回路を制御するためのCPU31、前処理部33、スコープ識別部32、電子ズーム設定部34、切出位置設定部35、電子ズーム処理部36、メニュー画面生成部37および合成部38を備えている。
【0046】
また、上述したように、ビデオプロセッサ3には、ズーム処理パターンの設定等の電子ズーム拡大率の選択操作を含む、各種の操作を行うためのキーボード39が接続されている。
【0047】
前処理部33は、撮像素子22から出力された撮像信号に対して、所定のゲイン調整、A/D変換などの各種の前処理を行う。
【0048】
スコープ識別部32は、識別情報記憶部24から出力された識別情報に基づいてビデオプロセッサ3に接続された内視鏡の種別を識別し、当該識別結果に係る情報(スコープ識別情報)をCPU31に対して出力するようになっている。
【0049】
具体的にスコープ識別部32は、識別情報記憶部24に記憶されている識別情報の内の、例えば型番情報などに基づいて、ビデオプロセッサ3に現在接続されている内視鏡の撮像範囲の中心と対物光学系21の視野中心Fとが一致している内視鏡であるか否かを識別する。
【0050】
ここで、撮像範囲の中心と対物光学系21の視野中心Fとが一致していない内視鏡は、例えば
図2に示したような前方視野と側方視野とを有する超広角内視鏡2であり、撮像範囲の中心と対物光学系21の視野中心Fとが一致している内視鏡は、例えば通常の単一視野の内視鏡である。
【0051】
なお、本実施形態においてスコープ識別部32は、接続された内視鏡の種類を識別する識別部としての機能を果たす。
【0052】
電子ズーム設定部34は、前記キーボード39を接続可能とし、CPU31の制御下に当該キーボード39から所定の操作指示信号を入力するようになっている。
【0053】
すなわち、電子ズーム設定部34は、ユーザによるキーボード39操作により、ズーム処理モード設定指示、メニュー画面表示指示、処理パターン選択指示およびズーム操作指示を含む各種の操作指示信号を入力可能とする。
【0054】
そして、電子ズーム設定部34は、これらの指示に応じて、それぞれズーム処理設定信号、メニュー画面生成指示信号、処理パターン選択指示信号またはズーム操作信号をCPU31に対して送出するようになっている。
【0055】
より具体的に電子ズーム設定部34は、キーボード39からズーム処理モード設定指示を受けると「ズーム処理モード設定指示信号」を生成し、CPU31に対して送出するようになっている。この「ズーム処理モード設定指示信号」は、後述する第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)または第2の処理モード(単一視野内視鏡用ズーム処理モード)のうちいずれかを選択的に設定するための指示信号である。
【0056】
そして、この「ズーム処理モード設定指示信号」を受けたCPU31は、指示されたズーム処理モードの種類に応じて、例えば、メニュー画面生成部37に対して所定情報を送出する等の所定の制御を行うようになっている(ズーム処理モードについては、後に詳述する)。
【0057】
また、電子ズーム設定部34は、上述したユーザによるキーボード39の操作により、ズーム処理モードとして第1の処理モードを設定するよう指示され、かつ、メニュー画面表示指示を受けると「メニュー画面生成指示信号」を生成し、CPU31に対して送出するようになっている。この「メニュー画面生成指示信号」は、モニタ5に超広角内視鏡専用メニュー画面を表示するための操作指示信号である。
【0058】
そして、この「メニュー画面生成指示信号」を受けたCPU31は、メニュー画面生成部37に対して、所定の「メニュー画面生成情報」を送出するようになっている(詳しくは、後述する)。
【0059】
さらに、電子ズーム設定部34は、ユーザの操作によりキーボード39から処理パターン選択指示を受けると、「処理パターン選択指示信号」を生成し、CPU31に対して送出するようになっている。この「処理パターン選択指示信号」は、複数種の処理パターン(電子ズーム拡大率の変更ステップ数を変更に係る処理パターン)のうち一の処理パターンを選択的に切り換えるための指示信号である。
【0060】
また、電子ズーム設定部34は、ユーザの操作によりキーボード39からズーム操作指示を受けると、「ズーム操作信号」を生成し、CPU31に対して送出するようになっている。この「ズーム操作信号」は、上述した内視鏡2におけるズームスイッチ23から送出される「ズーム操作信号」と同様の操作指示信号である。
【0061】
すなわち、電子ズーム設定部34およびキーボード39は、上述した内視鏡2におけるズームスイッチ23と同様にCPU31の制御下に、電子ズーム処理の実行を指示するズーム操作部としての機能を果たし、ズーム拡大率の倍率を設定するための操作信号である“ズーム操作信号”を当該CPU31に対して出力するようになっている。
【0062】
なお、上述したように前記電子ズーム設定部34または前記スコープスイッチ23において生成された前記ズーム操作信号はCPU31に入力されることとなり、ここにCPU31は、ズーム操作信号を入力するズーム操作信号入力部としての機能を果たす。
【0063】
また、CPU31は、前記ズーム操作信号を入力した場合、当該ズーム操作信号を入力する毎に、後述する処理パターン情報に基づく処理パターンにおけるステップ数に対応する電子ズーム倍率情報を都度生成し、切出位置設定部35に対して出力するようになっている(ズーム操作信号および処理パターンについては、後に詳述する)。
【0064】
なお、上述したように、本実施形態においては、キーボード39がユーザーの操作により前記ズーム処理モード設定指示、メニュー画面表示指示、ズーム操作指示および処理パターン選択指示を含む各種の操作指示信号を出力し、電子ズーム設定部34がこれらの指示に応じて、ズーム処理モード設定指示信号、メニュー画面生成指示信号、ズーム操作信号または処理パターン選択指示信号をCPU31に対して送出するものとしたが、前記各指示は電子ズーム設定部34が自ら行うものであってもよい。
【0065】
例えば、前記電子ズーム設定部34をビデオプロセッサ3に配設された操作パネルとして構成し、当該操作パネルの操作により、前記ズーム処理モード設定指示、メニュー画面表示指示、ズーム操作指示および処理パターン選択指示を含む各種の操作指示信号を出力するものとしてもよい。
【0066】
さらに、電子ズーム設定部34に接続されるキーボード39の代わりに、例えば、図示しないフットスイッチ等の操作手段を接続し、当該フットスイッチ等が、上述したズーム操作部としての機能を果たしてもよい。
【0067】
切出位置設定部35は、CPU31の制御下に、CPU31から取得した前記電子ズーム倍率情報に基づいて、撮像信号があらわす画像である撮像画像の一部である切出領域を設定するようになっている。
【0068】
また、切出位置設定部35は、CPU31の制御下に、スコープ識別部32からのスコープ識別情報を入力し、接続された内視鏡が例えば超広角内視鏡2であると判定された場合には、スコープ識別部32から取得した撮像素子22の撮像範囲の中心に対する対物光学系21の視野中心Fの設計上の位置を示す配置情報を用いて、設定する切出領域の補正を行う。
【0069】
そして、切出位置設定部35は、後述するように、ズーム倍率が1倍(すなわち、電子ズーム処理の非実行状態)から、たとえば、1.2倍、1.4倍・・・と増加するに従って、切出領域の中心Oが視野中心Fに近付くように、切出領域の位置および大きさを設定するようになっている(なお、切出位置設定部35は、さらに支持部15の位置情報に基づいて、切出領域の位置および大きさを指定するようにしても構わない)。
【0070】
さらに、切出位置設定部35は、設定した切出領域の位置および大きさに関する情報を、切出位置情報として電子ズーム処理部36に対して出力する。
【0071】
電子ズーム処理部36は、前処理部33により処理された内視鏡画像信号から、切出位置設定部35により設定された切出領域を切り出して、電子ズーム倍率に応じた拡大または縮小を行い、ズーム画像を生成する。
【0072】
ここで、
図4を参照して電子ズーム処理部36の構成について説明する。
図4は、第1の実施形態の画像処理装置における電子ズーム処理部の構成を示すブロック図である。
【0073】
図4に示すように、電子ズーム処理部36は、切出部36aと、拡大縮小部36bと、を備えている。
【0074】
切出部36aは、切出位置情報(切出領域が矩形領域である場合には、切出位置情報は、例えば切出領域の左上角の位置情報と右下角の位置情報とを含んで構成される、あるいは切出領域の左上角の位置情報と水平方向の画素数および垂直方向の画素数とを含んで構成される、等となる)に基づき、前処理部33から入力される画像から、切出領域を切り出す。
【0075】
拡大縮小部36bは、切出位置設定部35を介して取得した電子ズーム倍率情報に基づき、切出部36aから切り出された切出領域の画像データの画素構成(縦方向の画素数および横方向の画素数)が、観察モニタ5に表示する画像データの画素構成に一致するように、画素補間等を行う。
【0076】
ここで、電子ズーム処理部36は、内視鏡画像信号に対して、少なくとも第1の拡大率(例えば、1.2倍)と、当該第1の拡大率よりも大きい第2の拡大率(例えば、1.6倍)を含む複数の拡大率により前記画像信号にかかる画像を拡大する電子ズーム処理を実行可能な電子ズーム処理部としての機能を果たす。
【0077】
メニュー画面生成部37は、CPU31の制御下に、超広角内視鏡専用メニュー画面信号を生成する機能を有する。
【0078】
すなわち、このメニュー画面生成部37は、前記キーボード39の操作等に応じてCPU31からの前記「メニュー画面生成情報」を受け、超広角内視鏡専用のメニュー画面を生成するようになっている。
【0079】
具体的にメニュー画面生成部37は、CPU31からのメニュー画面生成情報を受けて、たとえば、
図11および
図12に示す如き超広角内視鏡専用のメニュー画面信号を生成し、合成部38に向けて送信する(なお、超広角内視鏡専用のメニュー画面については、後に詳述する)。
【0080】
合成部38は、電子ズーム処理部36における処理を経た内視鏡画像信号とメニュー画面生成部37において生成されたメニュー画面信号とを合成またはこれらを切り換えて観察モニタ5に対して出力する。
【0081】
<電子ズーム拡大率の変化による内視鏡画像表示の具体例>
次に、本実施形態における電子ズーム処理によるズーム拡大率のステップ変化による内視鏡画像の具体例について説明する。
【0082】
図6は、第1の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムにおいて、ズーム倍率の変化に応じて、視野中心が切出領域の中心に近接し、前方視野の視野率が100%に近付く様子を示す線図であり、
図7〜
図10は、第1の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムにおいて、ズーム倍率がそれぞれ、1倍(
図7)、1.2倍(
図8)、1.4倍(
図9)、1.6倍(
図10)のときの観察モニタ50の画面50aの一表示例を示す図である。
【0083】
本実施形態における電子ズーム処理部36において、ズーム処理が非実行状態のとき、すなわちズーム拡大が行われておらずズーム倍率が1倍のときには、
図5および
図7に示すように、前方視野の中心位置である視野中心Fは、切出領域の中心O(この1倍のときには撮像範囲の中心に一致する)の、例えば下方にずれた位置にあり、前方視野画像が画面50aの内視鏡画像表示領域に占める割合である視野率も例えば50%もしくはそれ以下の程度にとどまっている。
【0084】
前記電子ズーム処理部36において、ズーム倍率が前記の1倍からアップすると、
図5の矢印に示すように、観察モニタ50の観察者側から見て視野中心Fが切出領域の中心Oに近付くように(ビデオプロセッサ30側の処理としては、切出領域の中心Oが視野中心Fに近付くように切出領域が設定されて)ズーム拡大が行われ、前方視野の視野率もズーム倍率の増加に従って増加する(
図8も併せて参照)。
【0085】
そして、電子ズーム処理部36において、ズーム倍率が
図6に示すZCになったところで、視野中心Fが切出領域の中心Oに一致し、例えば
図9に示すような画面表示が行われる。その後のズーム倍率がZC以上のズーム領域では、視野中心Fは切出領域の中心Oに一致したままとなる。
【0086】
さらに、電子ズーム処理部36において、ズーム倍率が
図6に示すZ1になったところで、前方視野の視野率が100%に到達する。その後のズーム倍率がZ1以上のズーム領域では、前方視野の視野率は100%のままとなる。従って、画面50aの内視鏡画像表示領域には、例えば
図10に示すように、前方視野画像のみが表示されることになる。
【0087】
なお、
図6に示す例ではZ1>ZCとなっているが、これは、被写体光により形成される前方視野画像51が例えば円形をなしているのに対して、画面50aの内視鏡画像表示領域が、例えば8角形をなしているために、前方視野の視野率が100%になる前にケラレ52aが内視鏡画像表示領域の視野外へ移動していくことがあり、ケラレ52aが視野外となれば視野率が100%未満であっても視野中心Fが切出領域の中心Oからずれている必要はなくむしろ一致させた方が良いからである。
【0088】
ただし、内視鏡画像表示領域が例えば円形をなしている場合などには、Z1=ZCとしても構わない。一方、前方視野の視野率が100%になっていれば、ケラレ52aは内視鏡画像表示領域の視野内にはないことになるために、視野中心Fが切出領域の中心Oからずれている必然性がなく、Z1<ZCとなる必要はない。
【0089】
このように本実施形態によれば、ズーム倍率が増加するに従って切出領域の中心Oが視野中心Fに近付くように切出領域を設定してズーム画像を生成するようにしたために、視野中心Fが撮像範囲の中心からずれた撮像信号から見易い電子ズーム画像を得ることができる。
【0090】
すなわち、ズーム倍率が低い場合にはケラレ52aがなるべく表示されないようにすることができ、ズーム倍率が高い場合にはケラレ52aが全く表示されずかつ視野中心Fが切出領域の中心O(つまり、表示される画面50aの中心)に近付いて一致するために、表示のバランスを保って電子ズームを行うことができる。
【0091】
そして、前方視野の視野率が100%になった場合には、通常の単一視野の内視鏡と同様の視野で観察することができる。
【0092】
次に、本実施形態における電子ズーム処理に係るズーム処理パターンとズーム処理モードについて説明する。
【0093】
<ズーム処理パターンの種別>
上述したように、本実施形態のビデオプロセッサ3は、複数種の拡大率による電子ズーム処理を可能とする。
【0094】
具体的には、たとえば、1倍(電子ズーム処理の非実行状態)、1.2倍、1.4倍、1.6倍のズーム拡大率(ズーム倍率)による電子ズーム処理を可能とし、これら複数の拡大率の種類から、任意の複数ステップ数に対応する拡大率を選択し、所定の操作に応じて循環的に拡大率を切り換えてズーム処理を行うことができる。
【0095】
また、本実施形態のビデオプロセッサ3は、ズーム処理に関し2通りの処理パターンを有する。
【0096】
具体的に本実施形態は、
・第1の処理パターン:電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第2の拡大率(例えば1.6倍)での電子ズーム処理と、を交互に切り換え可能な2ステップの処理パターン、
・第2の処理パターン:電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第1の拡大率(例えば、1.2倍)での電子ズーム処理と、第2の拡大率(例えば、1.6倍)での電子ズーム処理、とが循環的に切り換えられる3ステップの処理パターン、
の2通りの処理パターンを有する。
【0097】
また、上述した第1の処理パターンおよび第2の処理パターンのいずれにおいても、スコープスイッチ23またはキーボード39(電子ズーム設定部34)が操作される毎に、換言すれば、スコープスイッチ23または電子ズーム設定部34からCPU31に対して“ズーム操作信号”が入力される毎に、それぞれの拡大率がステップ数に応じて切り換わるようになっている。
【0098】
具体的には、第1の処理パターンにおいては、スコープスイッチ23またはキーボード39(電子ズーム設定部34)が操作される毎に、CPU31の制御下に、切出位置設定部35および電子ズーム処理部36が作用し、電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第2の拡大率(例えば1.6倍)での電子ズーム処理と、が交互に切り換えられる(2ステップでの切り換え処理)。
【0099】
また、第2の処理パターンにおいては、スコープスイッチ23またはキーボード39(電子ズーム設定部34)が操作される毎に、上記同様に、CPU31の制御下に、切出位置設定部35および電子ズーム処理部36が作用し、電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第1の拡大率(例えば、1.2倍)での電子ズーム処理と、第2の拡大率(例えば、1.6倍)での電子ズーム処理、とが循環的に切り換えられる(3ステップでの循環切り換え処理)。
【0100】
なお、本実施形態においては、上述した2通りの処理パターンを採用するが、これに限らず、4ステップでの処理パターンまたは、それぞれズーム倍率を変更しての処理パターンを採用してもよい。
【0101】
<ズーム処理モードの設定>
本実施形態のビデオプロセッサ3におけるCPU31および電子ズーム設定部34は、キーボード39からのズーム処理モード設定指示を受けて以下に示す如くズーム処理モードを選択的に設定するようになっている。
【0102】
ここで、具体的に本実施形態は、
・第1の処理モード:ビデオプロセッサ3に接続された内視鏡が超広角内視鏡2である場合における超広角内視鏡用ズーム処理モード、
・第2の処理モード:ビデオプロセッサ3に接続された内視鏡が超広角内視鏡2以外の単一視野の内視鏡である場合における単一視野内視鏡用ズーム処理モード、
との2通りのズーム処理モードを有する。
【0103】
<第1の処理モード>
まず、上述した第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)について説明する。
【0104】
ビデオプロセッサ3における電子ズーム設定部34は、キーボード39等からのズーム処理モード設定指示を受けて、電子ズーム処理として前記第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)を設定する指示を受けたとする。
【0105】
このとき電子ズーム設定部34は、第1の処理モードを選択的に設定するための「ズーム処理モード設定指示信号」を生成し、CPU31に対して送出する。
【0106】
CPU31は、第1の処理モードを選択的に設定するとした「ズーム処理モード設定指示信号」を受け、かつ、電子ズーム設定部34からの前記「メニュー画面生成指示信号」を受けると、モニタ5に超広角内視鏡専用メニュー画面を表示すべく、メニュー画面生成部37に対して、所定の「メニュー画面生成情報」を送出する。
【0107】
この後メニュー画面生成部37は、前記「メニュー画面生成情報」を受けて、CPU31の制御下に、例えば、
図11または
図12に示す如き超広角内視鏡専用のメニュー画面信号を生成し、合成部38に向けて送信する。
【0108】
合成部38は、電子ズーム処理部36における処理を経た内視鏡画像信号に代えて、メニュー画面生成部37において生成されたメニュー画面信号を切り換えて観察モニタ5に対して出力する。このとき、観察モニタ5には、
図11または
図12に示す如き、超広角内視鏡専用のメニュー画面が表示されている。
【0109】
ここで、本実施形態のビデオプロセッサ3においては、CPU31等により電子ズーム処理モードとして超広角内視鏡用ズーム処理モード(第1の処理モード)に設定されると、ズーム処理に関し上述した2通りの処理パターン、すなわち、第1の処理パターン(2ステップの処理パターン)と第2の処理パターン(3ステップの処理パターン)のいずれかを選択できるようになっている。
【0110】
以下、この処理パターンの選択操作について説明する。
【0111】
図11は、第1の処理パターンが選択された際の超広角内視鏡専用メニュー画面60aを示し、
図12は、第2の処理パターンが選択された際の超広角内視鏡専用メニュー画面60bを示している。
【0112】
図11、
図12に示すように、超広角内視鏡専用メニュー画面60a、60bには、第1の拡大率である倍率Bの値を示す第1の拡大率表示部61と、第2の拡大率である倍率Cの値を示す第2の拡大率表示部62とが表示されるようなっている。
【0113】
ここで、
図11、
図12は、いま、第1の拡大率(倍率B)として“1.2倍”が、また、第2の拡大率(倍率C)として“1.6倍”が設定された際の状態を示している。なお、本実施形態においては、これら拡大率の具体的な値は、ユーザ操作によるキーボード39の操作により任意の値、または、予め用意された値から選択できるようになっている。
【0114】
また、超広角内視鏡専用メニュー画面60a、60bには、第1の拡大率である倍率Bを使用するか否かについて表示する表示部63が表示されるようになっている。そして、
図11に示すように、第1の処理パターン(2ステップでの切り換え処理)に対応する超広角内視鏡専用メニュー画面60aでは、表示部63は、第1の拡大率である倍率Bを使用しないことを示し、一方、
図12に示すように、第2の処理パターン(3ステップでの循環切り換え処理)に対応する超広角内視鏡専用メニュー画面60bでは、表示部63は、第1の拡大率である倍率Bを使用することを示す。
【0115】
上述したように、CPU31の制御下に、ビデオプロセッサ3における電子ズーム処理が、超広角内視鏡用ズーム処理モード(第1の処理モード)に設定されると、観察モニタ5には超広角内視鏡専用メニュー画面が表示される。
【0116】
いま、この第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)が設定されている状態において、キーボード39(または電子ズーム設定部34)の操作により第1の処理パターン(2ステップの処理パターン)が選択されたとする。
【0117】
このとき、CPU31は、観察モニタ5に表示される超広角内視鏡専用メニュー画面として、第1の処理パターンに対応した超広角内視鏡専用メニュー画面60a(
図11参照)を表示すべく所定のメニュー画面生成情報をメニュー画面生成部37に伝送する。
【0118】
ここで、
図11に示す超広角内視鏡専用メニュー画面60aにおける処理パターン選択表示部63には、第1の拡大率である倍率Bを使用しないことが明示されており、使用者は、現在の処理パターンが、電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第2の拡大率(いまは1.6倍)での電子ズーム処理との2ステップでの処理を行う第1の処理パターンが選択されていることを認識することができる。
【0119】
このように、CPU31の制御により、上述した第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)が設定されている状態において、ビデオプロセッサ3に内視鏡が接続されると、CPU31の制御下にスコープ識別部32が内視鏡2における識別情報記憶部24に格納されている識別情報を取得し、当該内視鏡の種別を識別した後、識別結果をスコープ識別情報としてCPU31に送信する。
【0120】
この後CPU31は、スコープ識別部32からのスコープ識別情報に基づいて接続された内視鏡が超広角内視鏡2であると判断した場合には、上述した作用により設定された超広角内視鏡用ズーム処理モード(第1の処理モード)により、所定のズーム制御を実行する。
【0121】
具体的にCPU31は、例えば、上述した作用により、現在の処理パターンとして第1の処理パターンが選択されている場合、電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第2の拡大率(いまは1.6倍)での電子ズーム処理との2ステップでの処理を行うよう各回路を制御する。
【0122】
すなわち、第1の処理パターンが選択されている状態において、電子ズーム設定部34またはスコープスイッチ23が操作されると、操作される毎に“ズーム操作信号”がCPU31に入力される。
【0123】
そして、当該“ズーム操作信号”を入力する毎にCPU31は、切出位置設定部35および電子ズーム処理部36を駆動し、電子ズーム処理の非実行状態と第2の拡大率(1.6倍)での電子ズーム処理とが交互に切り換えられることとなる。
【0124】
一方、本実施形態において、当該第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)が設定されている状態においては、CPU31は、電子ズーム設定部34からの前記“処理パターン選択指示信号”を受けて、上述したように、第1の処理パターン(2ステップの処理パターン)の他に第2の処理パターン(3ステップの処理パターン)を選択的に切り換えることができる。
【0125】
具体的にいま、第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)が設定されている状態において、電子ズーム設定部34の操作により第2の処理パターン(3ステップの処理パターン)が選択されたとする。
【0126】
このとき、CPU31は、観察モニタ5に表示される超広角内視鏡専用メニュー画面として、第2の処理パターンに対応した超広角内視鏡専用メニュー画面60b(
図12参照)を表示すべく所定のメニュー画面生成情報をメニュー画面生成部37に伝送する。
【0127】
ここで、
図12に示す超広角内視鏡専用メニュー画面60bにおける表示部63には、第1の拡大率である倍率Bを使用することが明示されており、使用者は、現在の処理パターンが、電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と、第1の拡大率(いまは1.2倍)での電子ズーム処理と、第2の拡大率(いまは1.6倍)での電子ズーム処理との3ステップでの処理を行う第2の処理パターンが選択されていることを認識することができる。
【0128】
また、第2の処理パターンが選択されている状態において、電子ズーム設定部34またはスコープスイッチ23が操作されると、上記同様に、操作される毎に“ズーム操作信号”がCPU31に入力されることとなる。
【0129】
そして、当該“ズーム操作信号”を入力する毎にCPU31は、切出位置設定部35および電子ズーム処理部36を駆動し、電子ズーム処理の非実行状態と第1の拡大率(1.6倍)での電子ズーム処理と第2の拡大率(1.6倍)での電子ズーム処理とが循環的に切り換えられることとなる。
【0130】
<第2の処理モード>
次に、上述した第2の処理モード(単一視野内視鏡用ズーム処理モード)について説明する。
【0131】
ビデオプロセッサ3における電子ズーム設定部34は、キーボード39等からのズーム処理モード設定指示を受けて、電子ズーム処理として前記第2の処理モード(単一視野内視鏡用ズーム処理モード)を設定する指示を受けたとする。
【0132】
このとき電子ズーム設定部34は、第2の処理モードを選択的に設定するための「ズーム処理モード設定指示信号」を生成し、CPU31に対して送出する。
【0133】
CPU31は、第2の処理モードを選択的に設定するとした「ズーム処理モード設定指示信号」を受け、各回路を第2の処理モードに応じて動作するよう制御する。
【0134】
一方、CPU31の制御により、上述した第2の処理モード(単一内視鏡用ズーム処理モード)が設定されている状態において、ビデオプロセッサ3に内視鏡が接続され、CPU31が、スコープ識別部32からのスコープ識別情報に基づいて接続された内視鏡が超広角内視鏡2以外の単一視野内視鏡であると判断した場合には、ビデオプロセッサ3における電子ズーム処理を単一視野内視鏡用ズーム処理モードで実行するよう、各回路を制御する。
【0135】
すなわち、本実施形態のビデオプロセッサ3は、CPU31により電子ズーム処理モードが単一視野用ズーム処理モード(第2の処理モード)に設定されると、電子ズーム処理については前記第2の処理パターン(3ステップの処理パターン)に設定されるようになっている。
【0136】
そして、第2の処理パターンが選択されている状態において、電子ズーム設定部34またはスコープスイッチ23が操作されると、操作される毎に“ズーム操作信号”がCPU31に入力され、当該CPU31は、切出位置設定部35および電子ズーム処理部36を駆動し、電子ズーム処理の非実行状態と第1の拡大率(1.6倍)での電子ズーム処理と第2の拡大率(1.6倍)での電子ズーム処理とを循環的に切り換えられることとなる。
【0137】
このように、ビデオプロセッサ3に単一視野の通常の内視鏡が接続された場合は、本実施形態のビデオプロセッサ3は、もともと備えている3ステップでの拡大率切り換え処理機能を有効に利用することができる。
【0138】
以上説明したように、本第1の実施形態のビデオプロセッサ3によると、ビデオプロセッサに接続される内視鏡の種別を識別し、いわゆる前方視野画面と側方視野画面とを取得する超広角内視鏡が接続された場合には、電子ズーム処理の非実行状態(1倍を含む)と第2の拡大率(例えば1.6倍)での電子ズーム処理とを交互に切り換える、2ステップの拡大率切り換え処理を可能とすることで、通常の超広角画面(前方視野画面+側方視野画面)と前方視野のみの画面とをワンタッチで切り換えることを可能とする。
【0139】
一方、ビデオプロセッサに接続される内視鏡が、いわゆる単一視野の通常の内視鏡である場合は、ビデオプロセッサが本来備えている3ステップでの拡大率切り換え処理機能を有効に利用することができる。
【0140】
このように、本第1の実施形態のビデオプロセッサ3は、接続される内視鏡の種別に応じて電子ズーム拡大率の変更ステップ数を変更可能とする画像処理装置を提供することができる。
【0141】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0142】
本発明の本第2の実施形態のビデオプロセッサは、その基本的な構成は第1の実施形態と同様であるが、第1の処理パターンと第2の処理パターンの選択手法を異にするものである。
【0143】
したがって、ここでは、第1の実施形態と異なる部分の説明にとどめ、第1の実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0144】
図13は、本発明の第2の実施形態の画像処理装置を含む内視鏡システムにおいて、メニュー画面生成部において生成されるメニュー画面の一例を示す図である。
【0145】
本第2の実施形態におけるビデオプロセッサ3においては、第1の実施形態と同様に、ビデオプロセッサ3に接続された内視鏡が超広角内視鏡2であるとCPU31が判断した際には、当該CPU31は、メニュー画面生成部37を制御して、
図13に示す如き超広角内視鏡専用メニュー画面160を観察モニタ5に表示せしめる。
【0146】
本第2の実施形態においても、
図13に示すように超広角内視鏡専用メニュー画面160には、第1の拡大率である倍率Bの値を示す表示部161と、第2の拡大率である倍率Cの値を示す表示部162とが表示されるようなっている。
【0147】
また、本第2の実施形態においては、第1の拡大率である倍率Bとして、前方視野の視野率が100%に到達するズーム倍率(例えば、1.6倍)の設定を可能とする。
【0148】
そして、第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)が設定されている状態において、電子ズーム設定部34の操作等により、第1の拡大率である倍率Bとして上述した前方視野の視野率が100%に到達するズーム倍率(例えば、1.6倍)が設定されると、CPU31は、第1の処理パターン(2ステップでの処理パターン)が選択されたと判断する。
【0149】
その後、本第2の実施形態のビデオプロセッサ3は、第1の処理パターンが選択されている状態において、電子ズーム設定部34またはスコープスイッチ23が操作されると、操作される毎に“ズーム操作信号”がCPU31に入力され、これによりCPU31は、切出位置設定部35および電子ズーム処理部36を駆動し、電子ズーム処理の非実行状態と第1の拡大率(1.6倍)での電子ズーム処理とが交互に切り換えられることとなる。
【0150】
なお、第1の拡大率である倍率Bとして上述した前方視野の視野率が100%に到達するズーム倍率(例えば、1.6倍)が設定されると、第2の拡大率である倍率Cについては、未設定であるとして、その旨が表示部162に表示されるようになっている。
【0151】
その他の、作用・効果は第1の実施形態と同様である。
【0152】
以上説明したように、本第2の実施形態のビデオプロセッサによると、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏し、接続される内視鏡の種別に応じて電子ズーム拡大率の変更ステップ数を変更可能とする画像処理装置を提供することができる。
【0153】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0154】
本発明の本第3の実施形態のビデオプロセッサは、その基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、ここでは、第1の実施形態と異なる部分の説明にとどめ、第1の実施形態と同様の部分についての説明は省略する。
【0155】
上述した第1、第2の実施形態においては、ビデオプロセッサ3に接続された内視鏡の種別を識別し、超広角内視鏡2が接続されたと判断された場合には、第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)に設定し、超広角内視鏡専用メニュー画面を表示すると共に、上述した第1の処理パターンと第2処理パターンと、電子ズーム設定部34の操作により選択するものとしたが、第3の実施形態のビデオプロセッサ3は、内視鏡の種別の識別結果に応じて、自動的に第1の処理モード(超広角内視鏡用ズーム処理モード)に設定する共に、かつ、前記第1の処理パターンを選択することを特徴とする。
【0156】
なお、第3の実施形態においても、自動的に第1の処理モードが設定され、かつ、第1の処理パターンが選択された後は、手動操作により処理パターンを変更するように構成してもよい。
【0157】
以上説明したように、本第3の実施形態のビデオプロセッサによると、接続される内視鏡の種別に応じて、より簡便に電子ズーム拡大率の変更ステップ数を変更可能とする画像処理装置を提供することができる。
【0158】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【0159】
本出願は、2015年12月17日に日本国に出願された特願2015−246466号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。