(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記湾曲操作レバーは、前記カバー部によって囲繞される領域に形成され、前記基端側に向かって外径が小さくなるテーパ面を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の湾曲操作機構。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、
図1は内視鏡装置の構成を示す斜視図、
図2は湾曲操作機構の断面図、
図3は湾曲操作レバーの連結部材にインサート成型された弾性カバーの断面図、
図4は連結部材の側面図、
図5は連結部材を他の方向から見た側面図、
図6は湾曲操作レバーを傾倒動作させたときの湾曲操作機構の要部断面図、
図7は内視鏡のリークテスト時における湾曲操作機構の要部断面図、
図8は湾曲操作機構の変形例を示す断面図、
図9はリークテスト時における弾性カバーの動作説明図である。
【0011】
図1に示すように、内視鏡装置1は、内視鏡2と、光源装置を兼ねた外部機器となる画像処理装置3(照明光源内蔵型ビデオプロセッサまたはカメラコントロールユニットとも言う)と、を医療機器として有して構成されている。
【0012】
内視鏡2は、長尺な挿入部12と、この挿入部12の基端に連設された操作部13と、画像処理装置3に接続する内視鏡コネクタ20と、を有して主に構成されている。
【0013】
なお、内視鏡2の操作部13と内視鏡コネクタ20は、軟性ケーブル16(ユニバーサルコード)を介して接続されている。
【0014】
挿入部12は、主にステンレスなどの金属製部材から形成された先端部21と、柔軟に湾曲自在な湾曲部22と、ステンレスなどの金属管によって形成された長尺な硬性管23と、を先端側から順に有して構成されている。すなわち、本実施の形態の内視鏡2は、挿入部12に湾曲部22を備えた外科用の硬性鏡となっている。
【0015】
先端部21は、図示しないCCDセンサ、CMOSセンサなどを用いた撮像部が内蔵されており、この撮像部から、駆動制御用の通信ケーブルおよび撮像信号を伝送する高速伝送用の光伝送用ファイバ等が延設されている。
【0016】
湾曲部22の内部には、図示しない複数の湾曲駒が長手方向に沿って一列に並んで配設されている。これら複数の湾曲駒は、図示しない複数(例えば、4本)の湾曲操作ワイヤが牽引或いは弛緩されることによって相互に回転され、これにより、湾曲部22は撮像部の上下左右方向を含む任意の方向に湾曲することが可能となっている。また、湾曲部22には、複数の湾曲駒を覆う外皮として湾曲ゴム22aが設けられている。
【0017】
硬性管23の内部には、先端部21の撮像部から延設された通信ケーブル及び光伝送用ファイバ、先端部21に照明光を伝送するためのライトガイド等が湾曲部22を経て挿通されているとともに、湾曲部22内の最先端の湾曲駒に先端が接続された各湾曲操作ワイヤ60(
図2参照)が挿通されている。
【0018】
操作部13には、湾曲操作ワイヤ60を介して湾曲部22を遠隔操作するための湾曲操作機構25、および、画像処理装置3などを操作するための各種スイッチ26が備えられている。
【0019】
また、操作部13の内部には、挿入部12から延在する上述の通信ケーブル、光伝送用ファイバ、および、ライトガイド等の内蔵物が挿通され、これらの内蔵物は、軟性ケーブル16の内部を経て内視鏡コネクタ20に接続されている。
【0020】
画像処理装置3は、当該画像処理装置3の操作部である前面部30に、内視鏡コネクタ20が接続されるレセプタクル部31と、操作および状態表示のためのパネル部32と、電源スイッチ33と、が設けられている。なお、画像処理装置3内には、内視鏡2に照明光を供給するための光源として、図示しないハロゲンランプなどが内蔵されている。
【0021】
次に、湾曲操作機構25の構成について、以下に詳しく説明する。
図2に示すように、本実施形態の湾曲操作機構25は、操作部13の操作部本体40に保持されたベース部45と、ベース部45に傾倒可能に支持された湾曲操作レバー47と、ベース部45と湾曲操作レバー47との間に配設された弾性カバー48と、を有して構成されている。
【0022】
ベース部45は、例えば、略円筒形状をなす金属部材によって構成され、このベース部45の先端側の開放端が湾曲操作レバー47を挿通可能な開口部45aとして設定されている。
【0023】
このベース部45の基端側は、操作部本体40に開口されたベース部挿入孔40aを通じて、操作部本体40内に挿入されている。
【0024】
また、ベース部45の先端側の外周とベース部挿入孔40aとの間には、ベース部45を操作部本体40に対して水密に保持するためのシール部50が介装されている。
【0025】
具体的に説明すると、本実施形態のシール部50は、ベース部45の先端側の外周部に配設された第1ホルダリング51と、第1ホルダリング51の外周部とベース部挿入孔40aの内周部との間に配設された第2ホルダリング52と、を有して構成されている。
【0026】
第1ホルダリング51の内周面とベース部45の先端側の外周部との間には、弾性カバー48の一部が介装され(後述する)、これにより、第1ホルダリング51はベース部45に対して水密な状態にて保持されている。
【0027】
第2ホルダリング52の内周部にはシール溝52aが周設されている。このシール溝52aにはOリング等からなるシールリング53aが保持され、このシールリング53aが第1ホルダリング51の外周面に圧接されることにより、第2ホルダリング52は第1ホルダリング51に対して水密に接続されている。
【0028】
また、第2ホルダリング52の外周部にはシール溝52bが周設されている。このシール溝52bにはOリング等からなるシールリング53bが保持され、このシールリング53bがベース部挿入孔40aの内周面に対して圧接されることにより、第2ホルダリング52は操作部本体40に対して水密に保持されている。
【0029】
湾曲操作レバー47は、軸部材55と、この軸部材55の長手軸の一端側(基端側)に配設されたワイヤ牽引部材56と、軸部材55の他端側(先端側)に配設された連結部材57と、連結部材57を軸部材55に固定するための締付部材58と、連結部材57を介して軸部材55に保持された指当部59と、を有して構成されている。
【0030】
軸部材55は、長手軸方向の一端側(基端側)がベース部45の内側に配設されるとともに、他端側(先端側)が開口部45aを通じてベース部45の外側(先端側)に突出されている。
【0031】
この軸部材55の中途部(例えば、ワイヤ牽引部材56と連結部材57との間)には球体55aが設けられ、この球体55aは、ベース部45の内部に設けられた球体受け45cと摺動自在に連結されている。これにより、軸部材55は、球体55aを支点として回動自在に保持され、ベース部45の中心軸に沿って起立するニュートラル状態(
図2参照)から所定の角度(最大傾倒角度θ:
図6参照)までの任意の方向に傾倒することが可能となっている。
【0032】
ワイヤ牽引部材56は、例えば、4本のアーム部56aが互いに異なる方向に延出された板状の部材によって構成されている。本実施形態において、より具体的には、ワイヤ牽引部材56は、互いに隣接するアーム部56aのなす角度が90度に設定された十字状の板状部材によって構成され、その中心部が軸部材55の基端側に固定されている。これにより、各アーム部56aの先端側は、軸部材55の傾倒動作に連動して変位可能となっている。なお、
図2においては、4本のアーム部56aのうち2本のアーム部56aのみを図示している。
【0033】
これら各アーム部56aの先端側には、挿入部12側から延在する各湾曲操作ワイヤ60の基端が接続されている。これにより、ワイヤ牽引部材56は、軸部材55(湾曲操作レバー47)の傾倒動作に連動して各湾曲操作ワイヤ60を牽引或いは弛緩させ、湾曲部22を任意の方向に湾曲動作させることが可能となっている。すなわち、ワイヤ牽引部材56は、例えば、軸部材55(湾曲操作レバー47)が操作部13の前後方向に傾倒されたとき湾曲部22を上下方向に湾曲動作させ、軸部材55(湾曲操作レバー47)が操作部13の左右方向に傾倒されたとき湾曲部22を左右方向に湾曲動作させることが可能となっている。
【0034】
例えば、
図3〜
図5に示すように、連結部材57は、指当部59が固定されるヘッド部61と、弾性カバー48の一部に埋め込まれるインサート部62と、軸部材55の先端側が挿入される筒状部63と、が先端側から順に連設された金属製の一体成形品によって構成されている。
【0035】
ヘッド部61は略円柱形状をなし、このヘッド部61の頂部には、指当部59を固定するための突起部61aが設けられている。
【0036】
インサート部62には、ヘッド部61よりも大径の第1環状面62aと、第1環状面62aとは異径の第2環状面62bと、第2環状面62bとは異径の第3環状面62cと、が先端側から順に隣接して形成されている。
【0037】
具体的に説明すると、インサート部62の先端側には、ヘッド部61よりも大径の外向フランジ62dが周設され、この外向フランジ62dの外周面が第1環状面62aとして設定されている。また、インサート部62には、外向フランジ62dよりも小径の凹溝62eが、当該外向フランジ62dよりも基端側に隣接して周設され、この凹溝62eの底面が第2環状面62bとして設定されている。さらに、インサート部62には、凹溝62eよりも大径の外向フランジ62fが、当該凹溝62eよりも基端側に隣接して周設され、この外向フランジ62fの外周面が第3環状面62cとして設定されている。
【0038】
ここで、弾性カバー48をインサート成型する際の界面の密着性を向上させるため、第1〜第3環状面62a〜62cの表面粗さは、少なくとも他の部分以上、すなわち、連結部材57(湾曲操作レバー47)の他の部分の表面粗さと同じか粗く設定されていることが望ましい。
【0039】
なお、第1〜第3環状面62a〜62cの外径は互いに隣接するもの同士が異径であればよく、このため、例えば、第2環状面62bを、第1,第3環状面62a,62cを形成する各外向フランジ62d、62fよりも大径の外向フランジの外周面によって形成することも可能である。さらに、第3環状面62cは、適宜省略することも可能である。
【0040】
図2,3に示すように、筒状部63は、締付部材58と共に、所謂コレットチャック式の固定具を構成するものである。このため、筒状部63の先端側外周には雄ネジ部63aが設けられている。また、筒状部63の基端側外周には、基端側から先端側に向けて拡径するテーパ面63bが形成されている。さらに、筒状部63の基端側には、当該部位の径方向への変形を許容するためのスリット63cが設けられている(
図4,5参照)。
【0041】
締付部材58は、連結部材57の筒状部63に外装される筒状の金属部材によって構成されている。この締付部材58の先端側の内周には、筒状部63の雄ネジ部63aと螺合する雌ネジ部58aが設けられている。
【0042】
また、締付部材58の雌ネジ部58aよりも基端側の内周には、基端側から先端側に向けて拡径するテーパ面58bが設けられている。このテーパ面58bは、雌ネジ部58aが筒状部63の雄ネジ部63aに螺合された際に筒状部63のテーパ面63bに当接され、雄ネジ部63aに対する雌ネジ部58aの螺合が進むにつれて筒状部63を内径方向に変形させるように設定されている。これにより、締付部材58は、軸部材55に対して連結部材57を強固に固定することが可能となっている。この場合、軸部材55の先端側および筒状部63にセレーション加工を施し、軸回りの回転方向の固定を強化させてもよい。
【0043】
さらに、締付部材58の基端部の外周には、雄ネジ部63aとの螺合時等に図示しない工具が係合されるナット部58cが設けられている。さらに、ナット部58cよりも先端側において、締付部材58の外周には、基端側から先端側に向けて拡径するテーパ面58dが設けられている。
【0044】
そして、このような締付部材58が連結部材57に締結されることにより、湾曲操作レバー47は、インサート部62よりも基端側(すなわち、後述のように弾性カバー48によって囲繞される領域)に、先端側から基端側に向かって外径が小さくなるテーパ面(テーパ面58d)を有する。
【0045】
ここで、締付部材58の外周側に設けられたナット部58c及びテーパ面58dの各端部は、面取等によってR形状に加工されていることが望ましい。
【0046】
指当部59は、操作者の指を当接可能な傘状の部材によって構成され、連結部材57のヘッド部61に設けられた突起部61aを介して、軸部材55に固定されている。この指当部59は軸部材55よりも大きい外径に形成され、指当部59の裏面側には、弾性カバー48との干渉を回避するための凹部59aが設けられている。
【0047】
弾性カバー48は、ベース部45の開口部45aを塞ぐように配設される柔軟なゴム成型品によって構成されている。この弾性カバー48は、当該弾性カバー48の周縁部に形成されてベース部45に水密固定される水密固定部65と、水密固定部65から第1の高さH1に設定された頂部66aまで立ち上がる外周壁部66と、外周壁部66の内周側に連設された谷部67と、谷部67の内周側に連設されて第1の高さH1よりも高い第2の高さH2まで立ち上がる内周壁部68と、内周壁部68の内周側に連設されて湾曲操作レバー47に固定される中央部69と、を外周側から順に備えた一体成型品によって構成されている。なお、これら弾性カバー48の各構成のうち、外周壁部66から内周壁部68までの一連の部位は、湾曲操作レバー47を囲繞するカバー部を構成する。
【0048】
水密固定部65は、例えば、弾性カバー48の最外周に形成されたOリング状の部材によって構成されている。この水密固定部65は、ベース部45の先端側の外周部に周設されたシール溝45bに保持されている。そして、シール溝45bに保持された水密固定部65が第1ホルダリング51の内周面に圧接されることにより、ベース部45が操作部本体40に対して水密な状態にて連結され、且つ、弾性カバー48がベース部45(操作部本体40)に対して脱落不能に保持されている。
【0049】
外周壁部66は、水密固定部65から湾曲操作レバー47の中心軸の先端側に向けて立ち上がるように一体形成された略円筒状の部材によって構成されている。
【0050】
谷部67は、外周壁部66の内周側において、頂部66aから開口部45aに向けて窪みを形成するように一体形成された略ドーナツ盤状の部材によって構成されている。
【0051】
この谷部67は、外周壁部66の頂部66aから下降する方向に延在する下降部67aと、この下降部67aの内周側に平面部を形成する底部67bと、を有して構成されている。
【0052】
ここで、例えば、
図3に示すように、下降部67aの深さは、第1の高さH1よりも浅い所定の深さDに設定されている。また、底部67bの径方向の幅は、例えば、全周にわたって(操作部13の前後左右方向にわたって)均一な所定の幅Wに設定されている。
【0053】
内周壁部68は、谷部67の内周から湾曲操作レバー47の中心軸の先端側に向けて立ち上がるように一体形成された略円筒形状の部材によって構成されている。
【0054】
中央部69は、連結部材57のインサート部62が、インサート成型によって内周側に埋め込まれている。これにより、湾曲操作レバー47は、弾性カバー48と水密に連結されている。
【0055】
具体的には、例えば、
図3に示すように、中央部69は、内周側に、インサート部62に形成された第1環状面62aに密着固定される第1固定部69aと、第2環状面62bに密着固定される第2固定部69bと、第3環状面62cに密着固定される第3固定部69cと、を有して構成されている。
【0056】
第1〜第3固定部69a〜69cはインサート成型時にインサート部62の形状に倣って形成されるものであり、これら第1〜第3固定部69a〜69cが第1〜第3環状面62a〜62cにそれぞれ密着固定されることにより、弾性カバー48は湾曲操作レバー47に対して高い水密性を有して強固に連結されている。
【0057】
この場合において、インサート部62と中央部69との終端(先端)において、第1環状面62aに対して第1固定部69aが密着固定することにより、これらの接合界面は、湾曲操作レバー47の軸心方向に延在されている。また、第1環状面62aと第1固定部69aとの接合部の基端側に、異径をなす第2環状面62bと第2固定部69bとの接合部及び第3環状面62cと第3固定部69cとの接合部が連設されていることから、インサート部62と中央部69との接合界面は断面形状がラビリンス構造をなしている。なお、インサート部62の第3環状面62cが省略されている場合には、中央部69の第3固定部69cについても省略される。
【0058】
ここで、このような弾性カバー48において、外周壁部66の頂部66aまでの第1の高さH1は、ニュートラル時における頂部66aが、湾曲操作レバー47の傾倒時における指当部59の軌跡Lよりも内側に位置するよう設定されている(
図2参照)。
【0059】
また、外周壁部66の頂部66aまでの第1の高さH1は、湾曲操作レバー47による所定の角度(最大傾倒角度θ)までの傾倒に伴って弾性カバー48が変形された場合にも、指当部59が頂部66aに接触しない高さに設定されている(
図6参照)。
【0060】
さらに、外周壁部66の頂部66aまでの第1の高さH1は、湾曲操作レバー47による所定の角度θまでの傾斜に伴って弾性カバー48が変形された場合にも、外周壁部66と下降部67aとが接触しない高さに設定されている(
図6参照)。
【0061】
さらに、本実施形態の弾性カバー48は、外周壁部66と谷部67と内周壁部68とを伸展させたときの周縁部(水密固定部65)から中央部69までの合計長さ(道のり)が、軸部材55を所定の角度(最大傾倒角度θ)まで傾倒させたときの周縁部(水密固定部65)と中央部69との間の直線距離よりも大きくなるよう設定されている(
図6参照)。
【0062】
なお、上述のような第1の高さH1の設定は、例えば、下降部67aの深さD、底部67bの幅W、弾性カバー48を構成する樹脂材料の弾性及び形状等の諸元を基に、実験やシミュレーション等に基づいて行われる。換言すれば、特に、第1の高さH1、下降部67aの深さD、底部67bの幅Wは、湾曲操作レバー47の傾倒時に上述の各要件を満たすよう、相互に関連付けて設定されている。
【0063】
このような実施形態によれば、ベース部45に水密固定される周縁部としての水密固定部65と、軸部材55を所定の角度θまで傾倒したときに指当部59が接触しない第1の高さH1に形成される頂部66aに向けて水密固定部65から立ち上がる外周壁部66と、外周壁部66の内周側に連設された谷部67と、谷部67の内周側に連設されて第1の高さH1よりも高い第2の高さH2まで立ち上がる内周壁部68と、内周壁部68の内周側に連設されて湾曲操作レバー47に固定される中央部と、を備えて弾性カバー48を構成し、このような弾性カバー48を用いてベース部45の開口部45aを水密に塞ぐことにより、湾曲操作レバー47に対する湾曲操作を良好な操作性にて行うことができる。
【0064】
すなわち、谷部67を介して外周側及び内周側に外周壁部66及び内周壁部68が設けられた弾性カバー48において、周縁部である水密固定部65から外周壁部66の頂部66aまでの高さを、軸部材55を所定の最大傾倒角度θまで傾倒したときに指当部59が頂部66aに接触しない第1の高さH1に設定することにより、湾曲操作レバー47の傾倒時に弾性カバー48と指当部59とが干渉することを防止できる。従って、湾曲操作レバー47の傾倒時に、湾曲操作レバー47が指当部59を介して弾性カバー48から受ける反力を軽減することができ、湾曲操作レバー47に対する湾曲操作を良好な操作性にて行うことができる。
【0065】
また、指当部59等との干渉が想定されにくい内周壁部68の高さを第1の高さH1よりも高い第2の高さH2に設定し、内周壁部68における弾性変形可能な領域を十分に確保することにより、内周壁部68が湾曲操作レバー47から傾倒時に直接的に受ける加重を効率的に分散させることができ、湾曲操作レバー47の傾倒操作に対する抵抗をより軽減することができる。
【0066】
この場合において、湾曲操作レバー47による所定の角度θまでの傾倒に伴って弾性カバー48が変形された場合に、内周壁部68と下降部67aとを接触させない高さであることを条件に加味して第1の高さH1を設定することにより、湾曲操作レバー47の傾倒時に内周壁部68と下降部67aとが干渉して弾性カバー48の変形による反力が増大することを防止できる。従って、湾曲操作レバー47の傾倒時に弾性カバー48から軸部材55を介して受ける反力を軽減することができ、湾曲操作レバー47に対する湾曲操作をより良好な操作性にて実現することができる。
【0067】
さらに、外周壁部66と谷部67と内周壁部68とを伸展させたときの周縁部(水密固定部65)から中央部69までの合計長さ(道のり)が、軸部材55を所定の角度(最大傾倒角度θ)まで傾倒させたときの周縁部(水密固定部65)と中央部69との間の直線距離よりも大きくなるよう設定することにより、弾性カバー48の変形により発生する張力を軽減することができ、湾曲操作レバー47に対する湾曲操作をより良好な操作性にて実現することができる。
【0068】
また、このような実施形態によれば、先端側の所定の位置に形成された第1環状面62aと、第1環状面62aの基端側に隣接して形成された第1環状面とは異径の第2環状面62bと、を有する湾曲操作レバー47に対し、第1環状面62aに密着固定される第1固定部69aと、第2環状面62bに密着固定される第2固定部69bと、第2固定部69bよりも基端側に延設されて湾曲操作レバー47を囲繞するカバー部(外周壁部66、谷部67、及び、内周壁部68)と、を有する弾性カバー48を水密に連結することにより、内視鏡2に付与される圧力の変化に対しても十分な耐久性を確保することができる。
【0069】
すなわち、湾曲操作レバー47と弾性カバー48との接続部の終端(先端)において、湾曲操作レバー47に形成した第1環状面62aに弾性カバーの第1固定部69aを密着固定することにより、これらの接合界面を湾曲操作レバー47の軸心方向に沿って設定することができる。加えて、第1環状面62aと第1固定部69aとの接合部の基端側に、異径をなす第2環状面62bと第2固定部69bとの接合部を連設することにより、湾曲操作レバー47と弾性カバー48との接続界面にラビリンス構造をなす断面形状を形成することができる。これらにより、インサート部62と中央部69との接合部よりも基端側に延在するカバー部が内視鏡2に付与される外圧や内圧等によって大きく弾性変形した場合にも、この弾性変形による応力が接続界面の終端まで伝達することを防止できる。従って、湾曲操作レバー47と弾性カバー48との接続界面において剥離等が発生することを防止でき、内視鏡2に付与される圧力の変化に対しても十分な耐久性を確保することができる。
【0070】
この場合において、第2環状面62bと第2固定部69bとの接合部の基端側に、異径をなす第3環状面62cと第3固定部69cとの接合部をさらに連設することにより、より効果的に耐久性を向上することができる。
【0071】
また、湾曲操作レバー47が弾性カバー48のカバー部によって囲繞される領域に、基端側に向かって外径が小さくなるテーパ面58dを有することにより、湾曲操作レバー47上において、弾性カバー48との接合部であるインサート部62よりも基端側に、外径を急激に変化させる段差等が形成されることを防止することができる。従って、例えば、オートクレーブ滅菌等を行う際に、内視鏡2に付与された外圧等によって弾性カバー48が湾曲操作レバー47に押し当てられた場合にも、段差等との接触による弾性カバー48の破損等を防止することができる。
【0072】
また、例えば、
図7に示すように、内視鏡2に対するリークテスト等を行う際には、内視鏡2に付与された内圧等によって弾性カバー48が膨張するが、本実施形態の弾性カバー48は、外周壁部66と内周壁部68との間に、平面状の底部67bを備えた谷部67が介装されていることから、付与された内圧に対する急激な変形を防止して耐久性を向上することができる。
【0073】
すなわち、例えば、
図9に示すように、平面状の底部67bを有する弾性カバー48は、当該底部67bが内圧を受けて比較的低い圧力状態から変形を開始するため、圧力の上昇に応じて徐々に変形が進んでいく(タイミングT0〜T3参照)。また、内圧を解放する場合、弾性カバー48は、圧力の減少に応じて徐々に変形から復帰する。その結果、リークテスト終了時に弾性カバー48は初期の形状に確実に復元する。
【0074】
これに対し、例えば、
図10の比較例に示すように、谷部167が全体として凹曲面によって形成された弾性カバー148は、内圧が比較的低い状態における変形が抑制され(タイミングT0,T1参照)、ある圧力を超えた瞬間に谷部167の形状が急激に反転する(タイミングT2,T3参照)。また、内圧を解放する場合、圧力が減少しても弾性カバー148の変形は維持される。その結果、リークテスト完了時に弾性カバー148は初期の形状に復元せず、膨張したままになる。この状態で湾曲操作レバーを操作すると、弾性カバー148は指当部159と第1,第2ホルダリング151,152の間に挟まれる。このとき、湾曲操作レバー147が指当部159を介して弾性カバー148から受ける反力が増大するだけでなく、弾性カバー148が破損するおそれがある。
【0075】
さらに、リークテスト等によって内視鏡2に付与した内圧を解放した際に、弾性カバー48を元の形状に速やかに復元させるため、例えば、
図8に示すように、指当部59の基端側に突出する凸面部59bを、内周壁部68に近接させて設けることも可能である。
【0076】
ここで、上述の湾曲操作機構25は、ベース部45を円筒形状に形成する等、平面視形状が全周にわたって略対称な略円形に形成されるものであるが、例えば、操作部13を把持した状態において湾曲操作レバー47を操作する際の操作性が、一般に、前後方向の操作性に比べて左右方向の操作性が低いこと等を勘案し、前後方向と左右方向とで非対称な平面視形状とすることも可能である。すなわち、特に、湾曲操作レバー47に対する左右方向への傾倒操作の操作性を向上するため、例えば、湾曲操作機構25の平面視形状を、操作部13の前後方向を長径、左右方向を短径とする略楕円形に形成することも可能である
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。
【0077】
例えば、上述の実施形態においては、挿入部12に硬性管23を備えた硬性鏡に本発明を適用した場合の一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、挿入部に12に軟性管を備えた軟性鏡に対しても適用が可能であることは勿論である。
【0078】
本出願は、2016年7月25日に日本国に出願された特願2016−145723号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。
先端側の所定の位置に形成された第1環状面62aと、第1環状面62aの基端側に隣接して形成された第1環状面とは異径の第2環状面62bと、を有する湾曲操作レバー47に対し、第1環状面62aに密着固定される第1固定部69aと、第2環状面62bに密着固定される第2固定部69bと、第2固定部69bよりも基端側に延設されて湾曲操作レバー47を囲繞するカバー部(外周壁部66、谷部67、及び、内周壁部68)と、と有する弾性カバー48を水密に連結する。