(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
低基準電圧を基準に動作する低電圧素子が形成された低電圧素子領域、および、前記低基準電圧よりも高い高基準電圧を基準に動作する高電圧素子が形成された高電圧素子領域を含む第1導電型の半導体層を、その表層部に有する半導体基板と、
前記低電圧素子領域を区画し、かつ、前記高電圧素子領域から前記低電圧素子領域を電気的に分離するように前記半導体基板の表層部に形成された第2導電型の素子分離ウェルと、
前記素子分離ウェルの表面を覆うフィールド絶縁膜と、
前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
平面視において前記低電圧素子領域を横切るように前記層間絶縁膜上に形成され、かつ、前記高電圧素子領域内の前記高電圧素子に電気的に接続された高電圧配線と、
前記フィールド絶縁膜において前記高電圧配線と対向する領域を横切るように前記フィールド絶縁膜の上に形成され、かつ、前記低基準電圧に固定された導体膜とを含む、半導体装置。
平面視において前記フィールド絶縁膜を横切るように前記層間絶縁膜内に形成され、かつ、前記低電圧素子領域内の前記低電圧素子に電気的に接続された低電圧配線をさらに含み、
前記導体膜は、前記フィールド絶縁膜において前記低電圧配線と対向する領域を横切るように前記フィールド絶縁膜の上に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように素子分離構造を有する半導体装置では、DMOSトランジスタは、他の素子と混載されることがある。このような半導体装置では、DMOSトランジスタに電気的に接続される配線だけでなく、他の素子に電気的に接続される配線が複数形成される。そして、複数の配線には、各素子に合わせた様々な電圧が印加されることとなる。
ここで、配線がフィールド絶縁膜の近くを通過していたり、フィールド絶縁膜と交差していたりすると、配線からの電界により半導体基板中の陰イオンがフィールド絶縁膜直下の領域(すなわち、素子形成領域を分離するp型ウェル領域の表面)に引き寄せられて、p型ウェル領域でフィールド反転が生じる。そのため、フィールド反転した領域がリークパスとなってリーク電流が発生し、素子分離不良が生じる。配線からの電界によるこのようなリーク電流の発生は、配線に印加される電圧が高くなるにつれてより顕著となる。
【0005】
この問題を回避するため、配線に印加される電圧に応じて、フィールド絶縁膜から一定の距離を空けて配線を形成するという設計規則を作り、それに従ってデバイス設計を行うこともできる。しかしながら、この方法では半導体チップ面積を有効に活用することができないばかりか、半導体チップの高シュリンク化の妨げになる。
そこで、本発明の第一の目的は、フィールド反転の発生を抑制して、より安定した素子分離を実現できる半導体装置を提供することである。
【0006】
また、本発明の第二の目的は、半導体チップ面積を有効活用でき、かつ高シュリンク化できる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、低基準電圧を基準に動作する低電圧素子が形成された低電圧素子領域、および、前記低基準電圧よりも高い高基準電圧を基準に動作する高電圧素子が形成された高電圧素子領域を含
む第1導電型の半導体層
を、その表層部に有する半導体基板と、前記低電圧素子領域を区画し、かつ、前記高電圧素子領域から前記低電圧素子領域を電気的に分離するように前記半導体
基板の表層部に形成された第2導電型の素子分離ウェルと、前記素子分離ウェルの表面を覆うフィールド絶縁膜と、前記半導体
基板上に形成された層間絶縁膜と、平面視において前記低電圧素子領域を横切るように前記層間絶縁膜上に形成され、かつ、前記高電圧素子領域内の前記高電圧素子に電気的に接続された高電圧配線と、前記フィールド絶縁膜において前記高電圧配線と対向する領域を横切るように前記フィールド絶縁膜の上に形成され、かつ、前記低基準電圧に固定された導体膜とを含む。
【0008】
この構成によれば、
高電圧配線からの電界による影響を
低基準電圧に固定された導体膜によって軽減することができる。具体的には、
低基準電圧に固定された導体膜が素子分離ウェルよりも
高電圧配線に近い位置に配置されているので、
高電圧配線からの電界を、導体膜によって効果的に終端させることができる。これにより、
高電圧配線からの電界によって素子分離ウェル中のイオンがフィールド絶縁膜の直下の領域に引き寄せられてフィールド反転が発生することを抑制することができる。その結果、素子分離ウェルを横切るリークパスが形成されてリーク電流が発生することを抑制できるので、より安定した素子分離を実現できる半導体装置を提供することができる。
【0009】
したがって、
高電圧配線をフィールド絶縁膜に近づけたり交差させたりすることができるので、
高電圧配線の設計規則が緩やかになり、設計の自由度を高めることができる。その結果、半導体チップ面積を有効に活用することができ、半導体チップを高シュリンク化することができ
る。
【0010】
高電圧素子領域に
接続された高電圧配線の場合、低電圧素子領域に接続され
る配線に比べて当該
高電圧配線による電界の大きさが相対的に大きくなるので、素子分離ウェルでのフィールド反転が生じやすい。したがって、この構成によれば、素子分離ウェル上のフィールド絶縁膜の近くを通過したり、フィールド絶縁膜と交差したりする
高電圧配線が高電圧素子領域に接続されていて、比較的フィールド反転が生じやすい条件下でも、当該高
電圧配線による電界を、導体膜によって効果的に終端させることができる。
【0011】
高電圧配線が素子分離ウェルに交差している場合、交差していない場合に比べて当該
高電圧配線と素子分離ウェルとの距離が短くなるので、素子分離ウェルは当該
高電圧配線による電界の影響を受けやすくなってフィールド反転を生じやすい。したがって、この構成によれば、
高電圧配線が素子分離ウェルに交差していて、比較的にフィールド反転が生じやすい条件下でも、当該
高電圧配線による電界を、導体膜によって効果的に終端させることができる。さらに、
高電圧配線を素子分離ウェルと交差させることによって、半導体チップ面積をより有効に活用することもできる。
前記半導体装置は、平面視において前記フィールド絶縁膜を横切るように前記層間絶縁膜内に形成され、かつ、前記低電圧素子領域内の前記低電圧素子に電気的に接続された低電圧配線をさらに含んでいてもよい。この構造において、前記導体膜は、前記フィールド絶縁膜において前記低電圧配線と対向する領域を横切るように前記フィールド絶縁膜の上に形成されていてもよい。
【0012】
前記半導体装置において、前記素子分離ウェルは、平面視において前記高電圧配線と交差する交差部を含み、前記素子分離ウェルが前記交差部で前記
高電圧配線と交差する方向に関して、前記導体膜の長さが前記交差部の長さ以上であ
ってもよい。
この構成によれば、
高電圧配線の形成時に、素子分離ウェルの延びる方向に沿って
高電圧配線の位置ずれ(アライメントずれ)が生じても、導体膜と
高電圧配線とを確実に交差させることができる。そのため、交差部におけるフィールド絶縁膜の直下の素子分離ウェルでのフィールド反転の発生を効果的に抑制することができる。
【0013】
前記半導体装置において、前記素子分離ウェルは、平面視において前記高電圧配線と交差する交差部を含み、前記
高電圧配線が前記交差部で前記素子分離ウェルと交差する方向に関して、
前記導体膜の長さが前記交差部の長さよりも短くてもよい。
前記半導体装置において、前記素子分離ウェルは、平面視において前記高電圧配線と交差する交差部を含み、前記
高電圧配線が前記交差部で前記素子分離ウェルと交差する方向に関して、前記導体膜の長さが前記交差部の長さ以上であ
ってもよい。
【0014】
この構成によれば、
高電圧配線の延びる方向において、フィールド絶縁膜を介して素子分離ウェルを導体膜によって完全に覆うことができる。これにより、フィールド絶縁膜の直下の素子分離ウェルでのフィールド反転の発生を効果的に抑制することができる。
前記半導体装置において、前記素子分離ウェルが
、前記低電圧素子領域の周縁に沿う帯状に形成されており、
前記フィールド絶縁膜が、前記低電圧素子領域の周縁に沿う帯状に形成されており、前記導体膜が、
前記低電圧素子領域の周縁に沿う帯状に形成されてい
てもよい。
【0015】
前記半導体装置において、前記素子分離ウェルが
、前記低電圧素子領域を取り囲む環状に形成されており、
前記フィールド絶縁膜が、前記低電圧素子領域を取り囲む環状に形成されており、前記導体膜が、
前記低電圧素子領域を取り囲む環状に形成されてい
てもよい。
この構成によれば、フィールド絶縁膜上の領域において、素子分離ウェルの直上には導体膜が必ず配置されている。したがって、素子分離ウェルに対する
高電圧配線の位置関係が交差関係、近傍関係等いかなる場合であろうと、
高電圧配線による電界を導体膜によって良好に終端させることができる。その結果、
高電圧配線の配線規則に依らず、素子分離ウェルにおけるフィールド反転の発生を抑制することができるので、設計規則の自由度をさらに高めることができる。
【0016】
前記半導体装置において、前記低電圧素子領域には、MOSトランジスタが前記低電圧素子として形成されており、前記導体膜は、前記MOSトランジスタのソースと同電位を成していてもよい。
前記半導体装置において、前記導体膜が、前記MOSトランジスタのゲートと同じ層に前記ゲートと同じ材料で形成されて
いてもよい。
この構成によれば、MOSトランジスタのゲートを形成する工程と同一の工程で導体膜を形成することができる。すなわち、半導体装置の製造工程においてレジストマスクのレイアウトを変更するだけでMOSトランジスタのゲートと導体膜とを同時に形成することができる。よって、新たな製造工程を追加する必要がないので、工程数の増加を防止することができる。
【0017】
前記半導体装置において、前記ゲートおよび前記導体膜は、ポリシリコンからなっていてもよい。
前記半導体装置において、前記層間絶縁膜が配線層を含み、前記導体膜が、前記配線層に配置された配線膜によって形成されてい
てもよい。
【0018】
この構成によれば、配線層を形成する工程と同一の工程で導体膜を形成することができる。すなわち、半導体装置の製造工程においてレジストマスクのレイアウトを変更するだけで配線層と導体膜とを同時に形成することができる。よって、新たな製造工程を追加する必要がないので、工程数の増加を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。また、
図2は、
図1の切断面線II−IIから見た断面図である。
半導体装置1は、本発明の半導体
基板の一例としてのエピタキシャル基板45と、エピタキシャル基板45の表層部に、電気的にフローティングされた本発明の素子形成領域の一例としての低電圧素子領域2を区画する素子分離ウェル7とを含む。
【0021】
より具体的には、エピタキシャル基板45はp型のシリコン基板4および当該シリコン基板4上に形成されたn
−型エピタキシャル層5を含んでいて、平面視で閉曲線を描く帯状のp型の素子分離ウェル7が、n
−型エピタキシャル層5の表面からシリコン基板4に達するように形成されている。n
−型エピタキシャル層5の層厚は、たとえば、5.0μm〜10μmである。
【0022】
この素子分離ウェル7は、この実施形態では、
図1に示すように平面視で四角環状に形成されているが、たとえば、円環状、三角環状等の他の閉曲線構造であってもよい。また、素子分離ウェル7は、上側に配置されたp
+型ウェル領域8と、下側に配置されたp
−型ローアイソレーション(L/I)領域9との2層構造からなり、これらの領域8,9の境界がn
−型エピタキシャル層5の厚さ方向途中部に設定されている。たとえば、領域8,9の境界は、エピタキシャル層5の表面から1.0μm〜2.0μmの深さ位置に設定されている。
【0023】
これにより、エピタキシャル基板45には、シリコン基板4上において素子分離ウェル7によって取り囲まれたn
−型エピタキシャル層5の一部からなる低電圧素子領域2が区画されている。
この低電圧素子領域2には、n
+型の埋め込み層(B/L)6が選択的に形成されている。埋め込み層6は、エピタキシャル基板45において、シリコン基板4とn
−型エピタキシャル層5との境界を跨ぐように形成されている。埋め込み層6の膜厚は、たとえば、2.0μm〜3.0μmである。
【0024】
また、エピタキシャル基板45において、低電圧素子領域2の外周領域には、低電圧素子領域2と同じく電気的にフローティングされた本発明の素子形成領域の一例としての高電圧素子領域3が区画されている。高電圧素子領域3は、素子分離ウェル7を隔てて低電圧素子領域2と隣接して形成されていてもよいし、
図1に示すように、低電圧素子領域2から離れた領域において、図示しない素子分離構造(たとえば、素子分離ウェル7と同様のウェル)によって形成されていてもよい。
【0025】
なお、低電圧素子領域2は、低基準電圧を基準に動作する領域であり、たとえば、5V〜100V程度の電圧が印加される。また、高電圧素子領域3は、たとえば、400V〜600V程度の高電圧が印加される。
素子分離ウェル7の表面には、閉曲線を描く帯状のフィールド絶縁膜10が形成されている。フィールド絶縁膜10は、素子分離ウェル7と同様に、低電圧素子領域2の周囲を取り囲むように平面視で四角環状に形成されている。フィールド絶縁膜10は、素子分離ウェル7よりも幅広で、素子分離ウェル7を完全に覆うように形成されている。フィールド絶縁膜10は、たとえば、n
−型エピタキシャル層5の表面を選択的に酸化させて形成したLOCOS膜である。
【0026】
フィールド絶縁膜10上には、フィールド絶縁膜10を介して素子分離ウェル7と対向する導体膜11が形成されている。導体膜11は、素子分離ウェル7と同様に、閉曲線を描く帯状に形成されている。すなわち、導体膜11は、低電圧素子領域2の周囲を取り囲むように平面視で四角環状に形成されている。導体膜11は、たとえば、ポリシリコン、アルミニウム等の導電材料を含み、その膜厚は、たとえば、0.4μm〜1.0μmである。導体膜11は、たとえば、後述する第1層間絶縁膜21、第2層間絶縁膜25等の層間絶縁膜上に形成された配線を介して、一定の電位に固定されている。この実施形態では、導体膜11は、グランド電位に固定されている。この場合、導体膜11は、後述するソース配線29に接続することによって、グランド電位に固定することができる。
【0027】
低電圧素子領域2には、DMOS(Double-Diffused MOSFET)35が形成されている。
DMOS35は、n
−型エピタキシャル層5の表面に、互いに間隔を空けて形成されたn
−型ウェル領域13とp
−型ウェル領域15とを含む。n
−型ウェル領域13は、p
−型ウェル領域15を取り囲むように、フィールド絶縁膜10に沿って平面視環状に形成されている。
【0028】
n
−型ウェル領域13の表面には、n
−型ウェル領域13よりも高い不純物濃度を有するn
+型ドレイン領域14が形成されている。また、p
−型ウェル領域15の表面には、p
−型ウェル領域15よりも高い不純物濃度を有するp
+型不純物領域16を取り囲むようにn
+型ソース領域17が形成されている。
n
+型ソース領域17の外周縁は、p
−型ウェル領域15の外周縁から内側に一定の距離を空けた位置に配置されている。n
+型ソース領域17は、たとえば、n
+型ドレイン領域14と同一濃度および同一深さで形成されている。また、p
+型不純物領域16は、n
+型ソース領域17と同一深さで形成されている。
【0029】
n
−型エピタキシャル層5の表面には、n
−型ウェル領域13とp
−型ウェル領域15との間の部分に、環状のフィールド絶縁膜12が形成されている。フィールド絶縁膜12は、前述のフィールド絶縁膜10と同一工程で平面視四角環状に形成されたLOCOS膜である。
フィールド絶縁膜12の外周縁は、n
+型ドレイン領域14の周縁上に配置され、フィールド絶縁膜12の内周縁は、p
−型ウェル領域15の外周縁から外側に一定の間隔を空けた位置に配置されている。n
+型ドレイン領域14は、フィールド絶縁膜12の外周縁とフィールド絶縁膜10とによって挟まれた領域に形成されている。
【0030】
また、n
−型エピタキシャル層5の表面には、n
−型エピタキシャル層5とp
−型ウェル領域15との間に跨るようにゲート絶縁膜18が形成されている。そして、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極19が形成されている。ゲート電極19は、ゲート絶縁膜18の一部およびフィールド絶縁膜12の一部を選択的に覆うように形成されている。
ゲート電極19は、たとえば、前述の導体膜11と同一材料および同一の膜厚で形成されている。ゲート絶縁膜18は、たとえば、n
−型エピタキシャル層5の表面を酸化させて形成したシリコン酸化膜である。
【0031】
ゲート電極19がゲート絶縁膜18を介してp
−型ウェル領域15と対向する領域が、DMOS35のチャネル領域20である。チャネル領域20のチャネルの形成は、ゲート電極19によって制御されている。
そして、低電圧素子領域2全体を覆うように第1〜第4層間絶縁膜21,25,27,36が形成されている。第1〜第4層間絶縁膜21,25,27,36は、たとえば、酸化膜、窒化膜等の絶縁膜によって形成されている。なお、この実施形態では、第1〜第4層間絶縁膜21,25,27,36が形成されているが、第4層間絶縁膜36の上層にさらに第5、第6またはそれ以上の層間絶縁膜が形成された構成であってもよい。
【0032】
第1層間絶縁膜21には、低電圧用コンタクト23,24が形成されている。低電圧用コンタクト23,24は、第1層間絶縁膜21を貫通して形成されたドレイン用コンタクト23と、ソース用コンタクト24とを含む。以下では、ドレイン用コンタクト23およびソース用コンタクト24をまとめて低電圧用コンタクト23,24ということがある。ドレイン用コンタクト23は、n
+型ドレイン領域14と電気的に接続され、ソース用コンタクト24は、p
+型不純物領域16およびn
+型ソース領域17と電気的に接続されている。低電圧用コンタクトは、ゲート電極19に電気的に接続された図示しないゲート用コンタクトを含んでいてもよい。
【0033】
第1層間絶縁膜21上には、低電圧用コンタクト23,24を覆うように第2層間絶縁膜25と第3層間絶縁膜27とがこの順に形成されている。そして、第3層間絶縁膜27上には、低電圧用コンタクト23,24と電気的に接続された本発明の配線の一例としての低電圧配線28,29が選択的に形成されている。
低電圧配線28,29は、
図1に示すようにドレイン配線28と、ソース配線29とを含む。以下では、ドレイン配線28およびソース配線29をまとめて低電圧配線28,29ということがある。ドレイン配線28は、ドレイン用コンタクト23を介してn
+型ドレイン領域14と電気的に接続され、ソース配線29は、ソース用コンタクト24を介してn
+型ソース領域17と電気的に接続されている。低電圧配線は、ゲート用コンタクトを介してゲート電極19に電気的に接続される図示しないゲート配線を含んでいてもよい。
【0034】
ドレイン配線28およびソース配線29は、この実施形態では、外周領域から素子分離ウェル7を幅方向に横切って、ドレイン用コンタクト23およびソース用コンタクト24上に引き回され、当該コンタクト23,24にそれぞれ接続されている。
ソース配線29は、一定の電位、たとえばグランド電位に固定されることが好ましい。ソース配線29は、たとえば、導体膜11に接続されていてもよい。また、ドレイン配線28には、たとえば、5V〜100V程度の電圧が印加され、ゲート配線(図示せず)には、たとえば、0V〜30V程度の電圧が印加される。このように、低電圧配線は比較的に低い電圧が印加される低圧配線である。そして、第3層間絶縁膜27上に形成された低電圧配線28,29を覆うように、第4層間絶縁膜36が第3層間絶縁膜27上に形成されている。
【0035】
第4層間絶縁膜36上には、本発明の配線の一例としての高電圧配線30が形成されている。高電圧配線30は、低電圧配線28,29よりも比較的に高い電圧(たとえば、400V〜600V)が印加される高圧配線である。高電圧配線30は、この実施形態では、低電圧素子領域2を二分割するように素子分離ウェル7を幅方向に横切る直線状に形成されており、高電圧素子領域3の各部(たとえば、図示しない高電圧素子領域3のドレインコンタクト等)に接続されている。
【0036】
次に、
図3A〜
図3Cを参照して、導体膜11のレイアウトについて、より具体的に説明する。
図3A〜
図3Cは、
図1の導体膜11のレイアウトの一例を示す拡大平面図である。
図3Aのレイアウトを参照すれば、導体膜11は、素子分離ウェル7と高電圧配線30とが交差する交差部31とフィールド絶縁膜10との間に介在している。このとき、フィールド絶縁膜10の幅W
1は、たとえば、5.0μm〜10μmである。また、導体膜11の幅W
2は、フィールド絶縁膜10の幅W
1よりも幅狭に形成されており、たとえば、2.0μm〜3.0μmである。
【0037】
素子分離ウェル7が交差部31で高電圧配線30と交差する方向(素子分離ウェル7の延びる方向)に関して、導体膜11の長さは、当該交差部31の長さL
1以上に形成されている。
高電圧配線30が交差部31で素子分離ウェル7と交差する方向(高電圧配線30の延びる方向)に関して、導体膜11の長さ(つまり、導体膜11の幅W
2)は、交差部31の長さL
2よりも短い(すなわち、W
2<L
2)。換言すれば、導体膜11は、導体膜11と高電圧配線30とが交差する交差部34の面積S
1(この実施形態では、W
2×L
1)が、素子分離ウェル7と高電圧配線30とが交差する交差部31の面積S
2(この実施形態では、L
1×L
2)よりも小さく(すなわち、S
1<S
2)なるように形成されている。
【0038】
次に、
図3Bのレイアウトを参照すれば、導体膜11の幅W
2は、前述の
図3Aの場合と異なり、高電圧配線30の延びる方向に関して、フィールド絶縁膜10の内側の領域に、交差部31の長さL
2以上(すなわち、W
2≧L
2)に形成されている。このとき、導体膜11の幅W
2は、フィールド絶縁膜10の幅W
1とほぼ等しくなるように形成されていてもよい。
【0039】
また、導体膜11は、導体膜11と高電圧配線30とが交差する交差部34の面積S
1(この実施形態では、W
2×L
1)が、素子分離ウェル7と高電圧配線30とが交差する交差部31の面積S
2(この実施形態では、L
1×L
2)以上(すなわち、S
1≧S
2)になるように形成されていることが好ましい。このような構成であれば、導体膜11は、フィールド絶縁膜10を介して素子分離ウェル7が形成された領域を確実、かつ完全に覆うことができる。
【0040】
次に、
図3Cのレイアウトを参照すれば、導体膜11は、閉曲線を描く帯状に形成されておらず、高電圧配線30と素子分離ウェル7とが交差する領域およびその周辺部にのみ形成されている点で前述の
図3Aおよび
図3Bと異なる。
この場合、導体膜11は、素子分離ウェル7の延びる方向に関して、導体膜11の長さL
3が交差部31の長さL
1以上(L
3≧L
1)になるように形成されていることが好ましい。また、
図3Cでは、導体膜11の幅W
2は、高電圧配線30の延びる方向に関して、交差部31の長さL
2以下(すなわち、W
2≦L
2)に形成されている構成を示しているが、
図3Bの場合と同様に、交差部31の長さL
2以上(すなわち、W
2≧L
2)に形成されていることが好ましい。
【0041】
つまり、導体膜11が形成される領域の面積S
3(この実施形態では、W
2×L
3)は、
図3Cに示すように導体膜11と高電圧配線30との交差部34の面積S
1(この実施形態では、W
2×L
1)よりも大きく形成されていることが好ましい。このような構成であれば、高電圧配線30直下の素子分離ウェル7だけでなく、高電圧配線30から離れた領域に位置する素子分離ウェル7も確実に覆うことができる。導体膜11が形成される領域の面積S
3(この実施形態では、W
2×L
3)は、交差部34の面積S
1(この実施形態では、W
1×L
1)と同面積(すなわちS
1=S
3)であってもよいし、交差部31の面積S
2(この実施形態では、L
1×L
2)と同面積(すなわちS
2=S
3)であってもよい。
【0042】
なお、
図3A〜
図3Cでは、高電圧配線30および導体膜11のレイアウトの一例を示したが、これらのレイアウトは、高電圧配線30に限定されるものではなく、たとえば、低電圧配線28,29にも適用できる。
このように、半導体装置1では、高電圧配線30と低電圧配線28,29とが素子分離ウェル7と交差している。したがって、各配線28,29,30と素子分離ウェル7とが交差していない場合に比べて、素子分離ウェル7と各配線28,29,30との距離は近くなる。さらに、高電圧配線30は、低電圧配線28,29よりも高い電圧が印加されるため、低電圧配線28,29よりも相対的に高い電界が発生する。したがって、このような構造の下では、フィールド絶縁膜10の直下の領域、すなわち、素子分離ウェル7においてフィールド反転が比較的に生じやすい。
【0043】
しかし、半導体装置1によれば、低電圧配線28,29および高電圧配線30からの電界による影響を導体膜11によって軽減することができる。具体的には、グランド電位に固定された導体膜11が素子分離ウェル7よりも低電圧配線28,29および高電圧配線30に近い位置に配置されているので、高電圧配線30および低電圧配線28,29の両方からの電界を、導体膜11によって効果的に終端させることができる。
【0044】
これにより、低電圧配線28,29および高電圧配線30の両方からの電界によって素子分離ウェル7中のイオンがフィールド絶縁膜10の直下の領域に引き寄せられてフィールド反転が発生することを抑制することができる。その結果、素子分離ウェル7を横切るリークパスが形成されてリーク電流が発生することを抑制できるので、より安定した素子分離を実現できる半導体装置を提供することができる。
【0045】
また、導体膜11が閉曲線を描く帯状に形成される場合(
図3Aおよび
図3Bの構成)には、フィールド絶縁膜10上の領域において、素子分離ウェル7の直上には導体膜11が必ず配置されている。したがって、素子分離ウェル7と低電圧配線28,29および高電圧配線30が交差していても、低電圧配線28,29および高電圧配線30による電界を導体膜11によって良好に終端させることができる。
【0046】
その結果、低電圧配線28,29および高電圧配線30の配線規則に依らず、素子分離ウェル7におけるフィールド反転の発生を抑制することができるので、設計規則の自由度をさらに高めることができる。その結果、半導体チップ面積を有効に活用することができ、半導体チップを高シュリンク化することができる。
次に、
図4A〜
図4Hを参照して、半導体装置1の製造工程について説明する。
【0047】
図4A〜
図4Hは、半導体装置1の製造工程の一例を説明するための断面図である。なお、
図4A〜
図4Hは、それぞれ
図2に対応している。
半導体装置1を製造するには、
図4Aに示すように、p
−型のシリコン基板4が用意される。次に、シリコン基板4の表面にn型の不純物とp型の不純物とが選択的に注入される。そして、たとえば1100℃以上の温度下で、n型の不純物を添加しながらシリコン基板4のシリコンをエピタキシャル成長させる。これにより、
図4Bに示すように、シリコン基板4とn
−型エピタキシャル層5とを含むエピタキシャル基板45が形成される。
【0048】
シリコン基板4のエピタキシャル成長に際して、シリコン基板4に注入されたn型の不純物およびp型の不純物は、n
−型エピタキシャル層5の成長方向に拡散する。これにより、シリコン基板4とn
−型エピタキシャル層5との境界を跨ぐ埋め込み層6とp
−型ローアイソレーション領域9とが形成される。なお、p型の不純物としては、たとえば、B(ホウ素),Al(アルミニウム)等を挙げることができ、n型の不純物としては、たとえば、P(リン),As(砒素)等を挙げることができる。
【0049】
次に、
図4Cに示すように、p
+型ウェル領域8を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)がn
−型エピタキシャル層5上に形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がn
−型エピタキシャル層5に注入される。これにより、p
+型ウェル領域8とp
−型ローアイソレーション領域9との2層構造からなる素子分離ウェル7が形成される。素子分離ウェル7が形成された後、イオン注入マスクは除去される。
【0050】
次に、フィールド絶縁膜10,12を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク32がn
−型エピタキシャル層5上に形成される。そして、ハードマスク32を介してn
−型エピタキシャル層5の表面に熱酸化処理が施されてLOCOS膜からなるフィールド絶縁膜10,12が形成される。その後、ハードマスク32は除去される。
次に、
図4Dに示すように、n
−型エピタキシャル層5の表面に熱酸化処理が施されてゲート絶縁膜18が形成される。このとき、ゲート絶縁膜18はフィールド絶縁膜10,12と連なるように形成される。次に、導体膜11およびゲート電極19用のポリシリコンがn
−型エピタキシャル層5上に堆積されて、ポリシリコン層33が形成される。
【0051】
次に、
図4Eに示すように、導体膜11およびゲート電極19を形成すべき領域に選択的に開口を有するレジストマスク(図示せず)がポリシリコン層33上に形成される。そして、当該レジストマスクを介してポリシリコン層33の不要な部分がエッチングによって除去される。これにより、導体膜11とゲート電極19とが同時に形成される。なお、このとき、レジストマスクのレイアウトを変更するだけで、
図3A〜
図3Cに示した各導体膜11のレイアウトを得ることができる。その後、レジストマスクは除去される。
【0052】
次に、ゲート絶縁膜18の不要な部分を除去するため、選択的に開口を有するハードマスク(図示せず)がn
−型エピタキシャル層5上に形成される。そして、当該ハードマスクを介してゲート絶縁膜18の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、所定のゲート絶縁膜18が形成される。ゲート絶縁膜18を形成した後、ハードマスクは除去される。
【0053】
次に、
図4Fに示すように、n
−型ウェル領域13とp
−型ウェル領域15とが形成される。n
−型ウェル領域13を形成するには、まず、n
−型ウェル領域13を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がn
−型エピタキシャル層5に注入される。これにより、n
−型ウェル領域13が形成される。n
−型ウェル領域13が形成された後、イオン注入マスクは、除去される。また、同様の手順で、p
−型ウェル領域15を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がn
−型エピタキシャル層5に注入される。これにより、p
−型ウェル領域15が形成される。p
−型ウェル領域15が形成された後、イオン注入マスクは、除去される。
【0054】
次に、p
−型ウェル領域15の内方領域にp
+型不純物領域16が形成される。p
+型不純物領域16を形成するには、まず、p
+型不純物領域16を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してp型の不純物がp
−型ウェル領域15に注入される。これにより、p
−型ウェル領域15の内方領域にp
+型不純物領域16が形成される。p
+型不純物領域16が形成された後、イオン注入マスクは、除去される。
【0055】
次に、n
−型ウェル領域13およびp
−型ウェル領域15の各内方領域にn
+型ドレイン領域14およびn
+型ソース領域17がそれぞれ選択的に形成される。n
+型ドレイン領域14およびn
+型ソース領域17を形成するには、まず、n
+型ドレイン領域14およびn
+型ソース領域17を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型の不純物がn
−型ウェル領域13およびp
−型ウェル領域15に注入される。これにより、n
+型ドレイン領域14およびn
+型ソース領域17が形成される。n
+型ドレイン領域14およびn
+型ソース領域17が形成された後、イオン注入マスクは、除去される。
【0056】
次に、
図4Gに示すように、導体膜11およびゲート電極19を覆うように絶縁材料が堆積されて第1層間絶縁膜21が形成される。次に、第1層間絶縁膜21を貫通するようにドレイン用コンタクト23とソース用コンタクト24を含む低電圧用コンタクトが形成されて、n
+型ドレイン領域14およびn
+型ソース領域17とそれぞれ電気的に接続される。次に、ドレイン用コンタクト23とソース用コンタクト24を覆うように第2層間絶縁膜25および第3層間絶縁膜27がこの順で第1層間絶縁膜21上に形成される。
【0057】
次に、
図4Hに示すように、ドレイン用コンタクト23とソース用コンタクト24と電気的に接続されるドレイン配線28、ソース配線29を含む低電圧配線(
図1参照)が第3層間絶縁膜27上に選択的に形成される。低電圧配線28,29を形成するには、低電圧配線28,29を形成すべき領域に所定の開口を有するレジストマスクを形成する。そして、当該レジストマスクを介して電極材料を堆積させることによって、低電圧配線28,29を形成することができる。
【0058】
次に、低電圧配線28,29を覆うように第4層間絶縁膜36が第3層間絶縁膜27上に形成される。次に、第4層間絶縁膜36上に、高電圧素子領域3と電気的に接続される高電圧配線30が形成される。以上の工程を経て、第1実施形態に係る半導体装置1が製造される。
以上のように、半導体装置1の製造方法によれば、DMOS35のゲート電極19を形成する工程と同一の工程で導体膜11を形成することができる。すなわち、半導体装置1の製造工程(
図4E参照)においてレジストマスクのレイアウトを変更するだけでDMOS35のゲート電極19と導体膜11とを形成することができる。よって、新たな製造工程を追加する必要がないので、工程数の増加を防止することができる。
【0059】
また、
図4Eの製造工程時において、素子分離ウェル7の延びる方向に関して、導体膜11の長さを交差部31の長さL
1以上に形成することによって(
図3A〜
図3C参照)、素子分離ウェル7の延びる方向に沿って低電圧配線28,29および高電圧配線30の位置ずれ(アライメントずれ)が生じても、導体膜11と低電圧配線28,29および高電圧配線30とを確実に交差させることができる。その結果、交差部31におけるフィールド絶縁膜10の直下の素子分離ウェル7でのフィールド反転の発生を効果的に抑制することができる半導体装置1を製造することができる。
【0060】
次に、
図5を参照して、本発明の第2実施形態の半導体装置41について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置41の模式的な断面図である。
第2実施形態に係る半導体装置41が、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と異なる点は、第1層間絶縁膜21上に導体膜42が形成されている点である。すなわち、フィールド反転を抑制するための導体膜は、フィールド絶縁膜10の表面に接するように形成されている必要はなく、フィールド絶縁膜10上の層間絶縁膜上に形成されていてもよい。その他の構成は、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と同様の構成である。
図5において、前述の
図2に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0061】
導体膜42は、この実施形態では、第1層間絶縁膜21上にドレイン用コンタクト23およびソース用コンタクト24と同一の層に形成されている。このとき、導体膜42は、第1層間絶縁膜21およびフィールド絶縁膜10を介して素子分離ウェル7と対向している。導体膜42のレイアウトとしては、前述の第1実施形態の
図3A〜
図3Cで説明した各レイアウトと同様のレイアウトを適用することができる。
【0062】
導体膜42は、たとえば、ドレイン用コンタクト23およびソース用コンタクト24と同一材料および同一膜厚で形成されている。導体膜42の材料としては、たとえば、アルミニウム、銅、タングステン等を挙げることができ、また、その膜厚は、たとえば、0.4μm〜2.0μmである。導体膜42は、たとえば、ソース配線29と同電位(たとえば、グランド電位)に固定されている。この場合、導体膜42は、ソース配線29と一体的に連なるように形成されていてもよい。
【0063】
以上のように、第2実施形態に係る半導体装置41によっても、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と同様の効果を奏することができる。
また、半導体装置41では、低電圧用コンタクト23,24を形成する工程と同一工程で導体膜42を形成することができる。すなわち、半導体装置41の製造工程(
図4Hの工程参照)においてレジストマスクのレイアウトを変更するだけで低電圧用コンタクト23,24と導体膜42とを形成することができる。よって、新たな製造工程を追加する必要がないので、工程数の増加を防止することができる。
【0064】
次に、
図6を参照して、本発明の第3実施形態に係る半導体装置51について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置51の模式的な平面図である。第3実施形態に係る半導体装置51が、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と異なる点は、高電圧配線30に替えて、高電圧配線52が形成されている点である。その他の構成は、前述の半導体装置1と同様である。
図6において、前述の
図1に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0065】
高電圧配線52は、低電圧素子領域2から一定の距離を空けた位置において、素子分離ウェル7に沿うように形成されている。
このように、素子分離ウェル7と高電圧配線52とが交差しない構成によっても、高電圧配線52からの電界による影響を導体膜11によって軽減することができる。なお、この実施形態では、前述の第1実施形態と同様に、平面視四角環状に導体膜11が形成されているが、導体膜11は、少なくとも高電圧配線52が形成されている領域に沿うように形成されていればよい。
【0066】
より具体的には、
図6のように、低電圧素子領域2から一定距離を空けて高電圧配線52が形成される場合には、高電圧配線52に隣接している素子分離ウェル7が電界の影響を受けやすい。したがって、少なくとも高電圧配線52に隣接している素子分離ウェル7を覆うように、導体膜11を形成すればよい。これにより、素子分離ウェル7におけるフィールド反転の発生を効果的に抑制することができる。
【0067】
次に、
図7を参照して、本発明の第4実施形態に係る半導体装置61について説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置61の模式的な平面図である。第4実施形態に係る半導体装置61が、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と異なる点は、高電圧配線30に替えて、高電圧配線62が形成されている点である。その他の構成は、前述の半導体装置1と同様である。
図7において、前述の
図1に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0068】
高電圧配線62は、フィールド絶縁膜10が形成されている領域に沿って、フィールド絶縁膜10の一部を完全に覆うように形成されている。つまり、高電圧配線62は、フィールド絶縁膜10が形成された領域(素子分離ウェル7が形成された領域)に倣って、フィールド絶縁膜10を覆うように形成されている。
このような構成によっても、高電圧配線62からの電界による影響を導体膜11によって軽減することができる。なお、この実施形態では、前述の第1実施形態と同様に、平面視四角環状に導体膜11が形成されているが、導体膜11は、少なくとも高電圧配線62と素子分離ウェル7とが対向する領域に形成されていればよい。したがって、導体膜11は、高電圧配線62が形成されている領域の直下のフィールド絶縁膜10上に高電圧配線62と対向するように形成されていればよい。
【0069】
これにより、高電圧配線62がフィールド絶縁膜10が形成された領域に沿って、フィールド絶縁膜10の一部を完全に覆うように形成されている場合であっても、素子分離ウェル7におけるフィールド反転の発生を確実に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第1実施形態では、導体膜11がフィールド絶縁膜10の中央部上に形成された構成を示しているが、導体膜11は、素子分離ウェル7におけるフィールド反転を抑制できる範囲で、素子分離ウェル7が形成された領域の一部または全部を覆うように形成されていれば、高電圧配線30の延びる方向にずれた位置に形成されていてもよい。
【0070】
また、前述の第1〜第4実施形態では、半導体素子の一例としてDMOS35が低電圧素子領域2に形成された構成について説明したが、これに限定されるものではない。したがって、DMOS35の他に、CMOS(Complementary MOS),BJT(BipolarJunctionTransistor),IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor),JFET(Junction Field Effect Transistor)、コントロールゲートおよびフローティングゲートを有する不揮発性メモリ等が形成された構成であってもよい。
【0071】
また、低電圧素子領域2には、コンデンサ、抵抗等の各種回路素子が形成されていてもよい。さらに、これらの半導体素子および回路素子等の組み合わせによって、LSI(Large Scale Integration)、SSI(Small Scale Integration)、MSI(Medium Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)、ULSI(Ultra-Very Large Scale Integration)等の集積回路を構成していてもよい。
【0072】
また、前述の第1〜第4実施形態では、p型のシリコン基板4が形成されているが、導電型を反転させたn型のシリコン基板4が形成された構成であってもよい。この場合、他の不純物領域等の導電型も反転された構成となる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。