(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コレステリック液晶材料が、温度変化、光変化及び湿度変化のうちの少なくとも1つを適用することによって、反射状態と透明状態との間での変換が誘導され得るように構成されている、請求項1に記載の眼科用レンズ。
前記コンタクトレンズ、前記反転マーキング、又は前記コンタクトレンズ及び前記反転マーキングの両方のうちの少なくとも1つに組み込まれた、少なくとも1種の治療薬を更に備える、請求項1に記載の眼科用レンズ。
第1の材料と、前記第1の材料に組み込まれた第2の材料から形成されているマーキングと、を備えるレンズであって、前記第2の材料が、温度変化、光変化又は湿度変化のうちの少なくとも1つを適用することにより、可視状態と不可視状態との間での変換を経るように構成され、
第2の材料は、液晶材料であり、
前記液晶材料は、コレステリック液晶材料を含み、
前記コレステリック液晶材料は、前記マーキングの前面と後面が異なる色合いを示すように、異なるピッチのコレステリック液晶を含む、レンズ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
コンタクトレンズ(contact lenses)又はコンタクト(contacts)は、単に、眼上に設置されるレンズである。コンタクトレンズを医療装置と見なし、視力を矯正するために、及び/又は美容上若しくは他の治療上の理由から装着してもよい。コンタクトレンズは、視力を向上させるために、1950年以降商業的に利用されてきている。初期のコンタクトレンズは、硬質材料から作製又は製造され、比較的高価で脆弱であった。加えて、これらの初期のコンタクトレンズは、コンタクトレンズを通して結膜及び角膜に十分な酸素を透過しない材料から作製され、このことは、いくつかの臨床的副作用を引き起こす可能性があった。これらのコンタクトレンズが依然として利用されているが、それらは、初期快適性が低いため、全ての患者に適していない。当分野における最近の開発によって、ヒドロゲル系のソフトコンタクトレンズが生み出され、これは現在非常に好評であり、広く利用されている。具体的には、現在利用可能なシリコーンヒドロゲルのコンタクトレンズは、非常に高い酸素透過率を有するシリコーンの利点を、ヒドロゲルの実証された快適性及び臨床成績と組み合わせている。本質的には、これらのシリコーンヒドロゲルベースのコンタクトレンズは、以前の硬質材料で作製されたコンタクトレンズよりも高い酸素透過率を有し、概して、着け心地がよい。
【0013】
現在利用可能なコンタクトレンズは、依然として、視力矯正の対費用効果の高い手段である。薄いプラスチックレンズは、近視(myopia)又は近眼(nearsightedness)、遠視(hyperopia)又は遠眼(farsightedness)、乱視、すなわち、角膜における非球面性、及び老眼、すなわち、遠近調節をする水晶体の能力の喪失を含む、視力欠陥を矯正するために、眼の角膜にぴったり適合して利用される。コンタクトレンズには、様々な形態で入手可能であり、様々な材料で作製されて、異なる機能性を提供する。終日装用ソフトコンタクトレンズは、典型的には、酸素透過性を目的として水と合わせられた軟質ポリマー材料から作製される。終日装用ソフトコンタクトレンズは、1日使い捨て又は長期装用使い捨てであってもよい。1日使い捨てコンタクトレンズは、通常、1日装用された後、廃棄されるが、連続装用使い捨てコンタクトレンズは、通常、最大で30日間の期間装用される。カラーソフトコンタクトレンズは、異なる材料を使用して、異なる機能性を提供する。例えば、視認性カラーコンタクトレンズは明るい色合いを用いることで装用者が落としたコンタクトレンズを探す助けとなり、強調カラーコンタクトレンズは、装用者の自然の眼の色を強調することを目的とした半透明の色合いを有し、着色カラーコンタクトレンズは、装用者の眼の色を変えることを目的としたより濃く、不透明な色合いを含み、光濾過カラーコンタクトレンズは、所定の色を強調する一方で他の色を弱めるように機能する。硬質ガス透過性ハードコンタクトレンズは、シロキサン含有ポリマーから作製されるが、ソフトコンタクトレンズよりも硬く、したがって、それらの形状を保持し、より耐久性がある。二重焦点コンタクトレンズは、老眼を有する患者用に設計され、ソフトとハードの両方がある。円環状コンタクトレンズは、乱視を有する患者用に設計され、同様に、ソフトとハードの両方がある。上の異なる態様を合わせたコンビネーションレンズもあり、例えば、ハイブリッドコンタクトレンズが挙げられる。
【0014】
コンタクトレンズは、着け心地をよくするために、薄く、可撓性である必要がある。そのような可撓性は、コンタクトレンズを取り扱った後、コンタクトレンズの反転をもたらす場合がある。したがって、コンタクトレンズの通常の状態又は非反転状態を反転状態から容易に区別できるように、ある形態の印でコンタクトレンズをマーキングする必要がある。コンタクトレンズの美的及び光学的特性に影響を与えないように、反転マーキングは、各コンタクトレンズの周辺部における一連の小さい数字の形態で形成されている。このことはマーキングを殆ど見えなくするため、マーキングの位置を特定し及び識別するのに特別な努力と十分な照明を必要とする。コンタクトレンズが眼から外され又は離れた際に非常によく見え、容易に識別可能であるが、眼上では不可視である本発明によるような反転マーキングが非常に望ましい。
【0015】
本発明では、液晶材料中に示される相転移現象を利用することによって、そのような機能性を達成することができる。液晶状態は、材料の固体又は結晶性状態と、液体又は等方性状態との間に観察される、互いに異なる相である。位置付けられた秩序を有さないが、同一方向に向く傾向を有する分子により特徴付けられるネマチック相、分子がある程度の遷移的秩序を示すスメクチック相、分子に関して整列が存在するが、互いに僅かな角度にて整列するコレステリック又はキラルネマチック相、及び、分子の積み重ね円柱により特徴付けられるカラムナー相が存在する。特に、ネマチック−等方性又はコレステリック−等方性の相転移プロセスを使用して、ネマチック液晶材料の場合では拡散光散乱状態と透明状態との間の変換を誘導し、コレステリック液晶材料の場合では反射状態から透明状態への変換を誘導する。マーキングを形成する目的でコンタクトレンズ中に液晶材料を使用することにより多数の利点が提供され、その利点には、非常に薄い液晶材料層を使用して高いコントラストを得ることができること、液晶材料の相転移温度を角膜の温度に一致させるよう容易に調整することができること、液晶材料は高い汎用性を有する高コントラスト状態を提供すること、及び液晶材料は比較的安価であることが挙げられる。
【0016】
図1Aは、コンタクトレンズ100の周辺部分に組み込まれた反転マーキング102を含む、コンタクトレンズ100を示す。この例示的な実施形態では、反転マーキング102は、単に文字(letter)A、B及びCを含み、その文字は、眼から離れたとき、例えば着用者の指先又は掌上にある際にのみ可視であろう。反転マーキング102の文字が図示したように現れる場合、コンタクトレンズ100は反転されていず、眼上に配置することができる。
図1Bは、眼上で現れるであろうコンタクトレンズ100を示す。換言すれば、反転マーキング102(
図1A)は、もはや可視ではない。
【0017】
本発明によれば、例示的な反転マーキング102は、ABCの形態のポリマー分散液晶(PDLC)の層を含む。しかしながら、コンタクトレンズ着用者が、コンタクトレンズ100が反転していないか、又は反転しているかを示すパターンを認識するであろう限り、任意の好適なパターン又は印を使用することができる。本明細書で使用されるとき、上記に示したようなABC又は任意の他の印の形態は、ポリマー分散液晶及び/又は任意の好適な材料が、物理的にABCに成形されるか、又は材料上にABCとして印刷されるかのいずれかを意味すると解釈されるものとする。ポリマー分散液晶材料は液晶微小滴202を含み、液晶微小滴202は、
図2A及び2Bに示すように、ポリマーマトリクス中に封入されて反転マーキング200を形成する。液晶微小滴202は、任意の記号を形成(dorm)するように配置することができる。この例示的な実施形態では、約10μmのオーダーの厚さを有する薄フィルムは、
図2Aに示すように、2つの互いに異なる光学的状態、即ち、1000cm
−1以上のオーダーの消光定数(消光定数又はモル消光定数は、材料が、所定の波長範囲における光をどのくらい強く吸収又は散乱させるかの測定値である)を有する、可視文字(letter)Aを示す強い光散乱状態と、
図2Bに示すような、内部を伝搬する光の感知し得る減衰を有さない、不可視文字(letter)Aを示す透明状態と、を有する。強い拡散光散乱は、異なる小滴中の液晶材料の光学軸のランダムな配向、ポリマーと液晶材料小滴との間の屈折率の不一致、及び/又はそれらの両方により生じる。
【0018】
図3は、温度の関数としてのポリマー分散液晶フィルムの光学的状態の例示的な変化をグラフにより示す。より詳細には、
図3は、温度が角膜温度付近に上昇する際の、低透過/高光散乱状態から透明状態へのポリマー分散液晶フィルムの光学的状態の変化を示す。本質的に、等方性状態にある液晶材料の実効屈折率がポリマーの屈折率と一致する場合、ポリマーマトリクス中の液晶材料を、それらの等方性状態まで加熱することにより、
図3に示すように、材料が光学的に均質な透明状態に変換される。
【0019】
ポリマー分散液晶材料を得るための多数の異なる技術/方法論が存在し、それにより、これらの材料を、異なるコンタクトレンズ生産システムに組み込むための自由度が提供される。例示的な一実施形態によれば、重合誘起相分離(PIPS)を利用して、ポリマー分散液晶材料を得ることができる。重合誘起相分離は、液晶が、重合を経ていない材料、例えばプレポリマーと混合された際に生じる。均質溶液を形成した後、重合反応を開始させる。反応が進行するにつれて、液晶分子が小滴を形成し始める。小滴は、ポリマーバインダーの分子が捕捉され、もはや移動できないよう十分に固形化するまで、成長を継続する。多数の要因が重合誘起相分離における液晶小滴のサイズに影響を与え、前記要因には、重合の速度とポリマー中での液晶の拡散速度及び溶解度とに影響する硬化温度、硬化光強度、並びに使用する材料の化学組成が挙げられる。本質的に、これらの要因は、液晶小滴のサイズに多大な影響を与えることができ、このことは次に、ポリマー分散液晶の拡散光−散乱特性に影響する。
【0020】
本発明により用いられる例示的な重合誘起相分離プロセスは、以下のように数個の工程で記述することができる。第1の工程では、45重量パーセントのネマチック液晶E−7又はE7(Merck,Poole,U.K.により製造及び販売)と、55重量パーセントの新たなNOA−65フレポリマーとの混合物を調製する。Norland Optical Adhesive 65、即ちNOA−65は、紫外光により硬化可能な、透明な無色フォトポリマーである。第2の工程では、混合物を光学的に均一となるまで連続的かつ徹底的に混合する。第3の工程では、光重合を用いると想定して、この光学的に均一な混合物でセルを満たし、365nmの波長とおよそ10mW/cm
2の光強度を有するUVランプに30秒間〜1分間暴露する。重合は、熱的に行われてもよく、又は任意の他の好適な方法でも行われ得る。代替的に、ポリマー分散液晶材料は、液晶とポリマーとの混合物からの溶媒蒸発により得ることができる。硬化及び冷却後、又は溶媒蒸発後、サンプルは外観不透明に現れ、これは相分離が生じたことを示す。次いで、ポリマーを自立フィルム(free-standing film)として剥離し得る。代替的な例示的実施形態では、混合物は、70重量パーセントの5CBと、30重量パーセントのプレポリマーとを含んでもよい。5CB又は4−シアノ−4’−ペンチルビフェニルは、別のネマチック液晶材料である。
【0021】
波長、光強度及び時間が上述した例示的なプロセスに具体的に示されているが、波長、光強度及び時間は、異なるプロセスにおいて変動してもよく、異なる結果を達成し得ることに留意することが重要である。
【0022】
拡散性、透明化温度及びコントラストを含む、ポリマー分散液晶材料の光学的及び熱力学特性は、材料パラメーター、厚さ、及び重合条件を変更することにより、特定の用途の目標に合致するよう最適化することができる。材料パラメーターには、ポリマーのタイプ、液晶材料、及び混合物中のそれらの比が挙げられる。ポリマー分散液晶材料の薄膜は、標準的な室温よりも高く、角膜の温度よりも低い透明化温度により特徴付けることができる。ポリマー分散液晶材料の光透過状態は、
図3に示すように、温度が1度C未満で変化した際に、急に切り替わることができることに留意することが重要である。温度がなだらかに上昇した場合でも、光透過における変化は非常に速く、例えば、ミリ秒から秒の範囲内であり得る。この特性は、材料の消光定数に対する、光透過の指数関数的依存性(exponential dependence)によりもたらされる。
【0023】
本発明の代替的な例示的実施形態では、コンタクトレンズの反転マーキングは、
図4に示すように、波長の可視範囲内に反射バンドギャップを有するコレステリック液晶材料を含んでもよい。
図4は、中心波長が緑色の、反転マーキングとして使用し得るコレステリック液晶材料の反射スペクトルを示す。コレステリック液晶材料は、人の眼に不可視である約800nmを超える、又は400nm未満の波長範囲への反射バンドギャップシフトにより、角膜温度に近い温度に加熱した際にその反射を失い得る。眼の感度は、青色及び赤色と比較して、緑色波長においてより高いため、初期の低温での緑色は、意図される用途の目的、即ち、反転マーキングの目的に好ましい。
【0024】
本発明の更なる別の代替的な例示的実施形態では、コンタクトレンズの反転マーキングは、コレステリック液晶材料を含んでもよく、前記コレステリック液晶材料は、コレステリック液晶が等方性状態に相転移することにより、角膜温度に近い温度に該材料を加熱した際にその反射を失う。そのような機能性のために作製されたコレステリック液晶混合物は、即ち、ネマチック液晶ホスト、コレステリック液晶構造に可視反射を誘導するキラル剤、及び透明化温度を角膜温度付近の値に調整する化合物の主要構成成分に基づくものであってもよい。コレステリック液晶材料の特性は、温度値が角膜温度を下回る際に前記材料が感知し得る色変化を有さないが、
図5に示すように、角膜温度付近での小さい温度変化に非常に敏感となり、該変化により有色から無色への推移を経るように選定又は選択されることが好ましい。
図5は、温度が角膜温度値の付近に上昇した際に、反転マーキングに使用されるコレステリック液晶材料の反射が500nmブラッグ波長を有する反射状態から透明状態へ変化することを示す。
【0025】
本発明の更なる別の代替的な例示的実施形態では、異なるピッチを有する例えば赤色及び青色の反射色を生じるコレステリック液晶材料の2層は、1つのピッチの層がレンズ内側面に最も接近し第2のピッチの層がレンズ外側面に最も接近するようにレンズに組み込まれてもよく、したがってこれらの表面は、異なる色を有するように視認される。代替的な例示的実施形態では、コレステリック液晶材料は、レンズの表面上に存在し得ることに留意することが重要である。2つのピッチ層の間の色クロストークは、2つのピッチ層の間に配置された、同様に薄い、温度応答性のポリマー分散液晶材料拡散スペーサを使用することにより防止される。この系における個々のコレステリック液晶層は、3〜5μmの厚さであり、周囲の無偏光において好ましくは約10〜約50パーセントの範囲内である、楽に読み取り可能なコントラストを提供する効率性を有するコレステリック液晶反射バンドギャップ内のスペクトル構成成分の反射を示してもよい。ポリマー分散液晶スペーサフィルムは、10μm未満の厚さであってもよい。
【0026】
以下
図6を参照すると、ブロック又は層、即ちマーカー材料602が示されている。より詳細には、
図6は、マーカー材料602上での入射光600の作用を示す。コレステリック液晶バンドギャップの赤色縁よりも長い波長の入射光600は、短いピッチの螺旋606で表されるコレステリック液晶層604を通って伝搬し、ポリマー分散液体材料スペーサ層608中の光散乱により遮断される。より短い波長の入射光610は、コレステリック液晶層604により強く反射(refelcedted)される。反射光は、ベクトル又は矢印612により示される。コレステリック液晶614の第2のフィルム又は層は、螺旋616で示されるより長いピッチを有し、それにより、より長い波長の光を反射し、より短い波長を透過させ、後者はポリマー分散液晶材料スペーサ層608により遮断される。したがって、観察者には、コレステリック層604からの光は青色に見える一方、コレステリック液体層614からの光は赤色に見えるであろう。
【0027】
別の態様によれば、コレステリック液晶小滴は、コレステリック液晶ピッチを有する単一のポリマーマトリクスに組み込まれてもよく、得られる反射色は、得られたフィルムの前面から後面へ変化する。
図7は、ポリマー分散液晶材料上のコレステリック液晶小滴を全般的に示す。楕円702は、ポリマー704中のコレステリック液晶小滴を表す。螺旋706は、小滴702中の異なるピッチのコレステリック液晶を表す。反射された色は、ピッチと直接関係する。螺旋702aのピッチがより短く又はより密になるほど、反射光の波長がより短くなり、螺旋702bのピッチがより長くなるほど、反射光の波長がより長くなる。そのようなフィルムの前面及び後面は、異なる色合いを示す。異なる色の間のクロストークは、コレステリック液晶−ポリマー界面における拡散光散乱、及び小滴中のコレステリック液晶軸のランダムな配向により、それらのフィルム中で防止される。
【0028】
ピッチ勾配は、例えばポリマーネットワークの補助により、又はコレステリック液晶の組成物中に液晶の螺旋誘起力を不可逆的に変化させるキラルドーパントを有することにより得ることができ、また安定化され得る。そのようなフィルムを特にUV光にさらすことによって、吸収及び散乱により生じる光減衰を原因として、フィルムの前面から後面へ、キラルドーパントの螺旋誘起力の変化がもたらされる。色勾配フィルムの生成は、光重合プロセスに付随し得る。
【0029】
上述した温度応答性材料をパターン化して、コンタクトレンズの正常な配向の識別を容易にするであろう数字、図形又は表記を示すことができる。パターン化は、異なるプロセスを用いて実現することができる。好ましい例示的な実施形態では、透明な、温度に無反応の背景に対する拡散光散乱ポリマー分散液晶材料のパターン化は、マスクを通って伝搬し、モノマーと液晶材料との混合物上に投射されるUV光を用いて実現することができる。水蒸気凝縮を避けるために一定の窒素流下にて、15度Cのような低温で行われる上述した液晶材料とポリマー組成物との(NOA−65中の5CB)重合プロセスにより、強い光散乱性の所望のパターンの形態を有するポリマー分散液晶がもたらされる。第2の工程では、混合物を保持するセルの温度を例えば25度Cを超えて上昇させ、マスクを除去し、サンプル全体をUV光にさらす。かくして、第1の工程で光にさらされなかった材料の全部が、周囲温度に無関係に冷却後に透明のまま残留する透明ポリマーフィルムとして重合される。代替的に(Alternately)、フォトリソグラフィーにて実行されるように、材料の非重合部分を洗浄除去し、温度感応性パターンを無傷のまま残してもよい。このポリマー分散液晶技術は、容易かつ安価な製造と、拡散光散乱による幅広い視野角と、の利点を提供する。コレステリック液晶技術は、微光条件下でも可視であり得る鏡様反射と、異なる色の実現可能性と、の利点を提供する。
【0030】
一例として、光応答性液晶材料に対する周囲光の効果により、可視と不可視状態との間の同様の推移を得ることができる。しかしながら、周囲光とは異なり、角膜は、正常なヒトでは34.2度Cである平均値を有する、よく制御された温度環境を提供する。この温度は、コンタクトレンズが眼内に挿入される可能性がより高い室温よりも10度Cを超えて高く、熱応答性材料を殆どの状況においてより好ましいものとする。温度応答性材料はまた、周囲光内で行われるプロセスと比較した際のその材料の温度応答速度に起因してより好ましい。
【0031】
本発明は、レンズが眼から離れ又は外された際に可視であり、レンズが眼上に存在する際に不可視となるマークを有する反転マーキング層を含むコンタクトレンズに関する。反転マーキング(masking)層の、色、光遮蔽、散乱、光回折及び光反射を含んでもよい光学的特性は、コンタクトレンズの正常な状態と反転状態との容易で明白な識別のために、少なくとも部分的にパターン化されてもよい。任意の好適なパターンを使用することができ、また、光学的諸特性を妨げない任意の好適な位置においてコンタクトレンズに組み込まれる反転マーキング層が、その反転マーキング層の反対側上で異なる光学的特性を有し得ることに留意することが重要である。可視マークから不可視マークへの変換は、角膜温度付近までの身体からの熱により、周囲光により、及び、コンタクトレンズが保管溶液から取り出された場合のような湿度変化を含む、多数の要因又はプロセスを介して誘導されてもよい。
【0032】
液晶材料及びポリマーの多くの例が本明細書に示されているが、任意の数の材料が使用できることに留意することが重要である。例えば、反転マーキングフィルムは、ポリマー、液晶、染料、ゲル、ポリマー分散液晶の形態を有するポリマーと液晶との複合材料、ポリマーネットワーク型(polymer networked)液晶の形態を有するポリマーと液晶との複合材料、ポリマー−液晶−ポリマーの連続の形態を有するポリマーと液晶との複合材料、及びナノ材料を含む複合材料を含んでもよい。
【0033】
加えて、屈折率、吸収、光学異方性及び光学軸の配向を含む、反転マーキング層を形成する材料の所定の光学的特性を制御又は調節して、様々な機能性/効果を達成することができる。例えば、これらの特性を、300nm〜1000nmの空間規模において、周期的に、ランダムに、又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の様式で調節することができる。コレステリック液晶におけるような分子自己秩序化プロセス、ポリマー分散液晶におけるような相分離プロセス、ホログラフィックポリマー分散液晶におけるような光学的記録プロセス、ポリマー−液晶−ポリマーのスライス又はポリマー化回折格子(polymerization grating)、並びに印刷及びリソグラフィーを、光学的特性の調節に用いることができる。
【0034】
反転マーキングの可視性と不可視性の間の変化は、反転マーキング層の光学的特性の調節のコントラストの低下を含む数個のプロセス及び/又はプロセスの組み合わせにより促進され又は引き起こすことができ、これは最終的に光学的に均質な構造をもたらし、また反転マーキング層の光学的特性の調節の空間規模を、より短い、典型的には300nm未満に、又はより長い、典型的には800nmもの長い波長に変化させる。
【0035】
反転マーキング層は、本明細書に示した薄フィルムを含んでもよく、また、1つ以上の保護層を含んでもよい。1つ以上の保護層は、それ自体が薄フィルムであってもよい。反転マーキング層は、フォトクロミック材料及び治療薬を含む、機能性材料も含み得る。
【0036】
感染症、炎症、緑内障、その他の眼疾患を治療するために、眼に薬物を投与することがしばしば必要になる。従来の薬物送達の方法は、眼の表面に局所適用することによるものである。眼は、この薬物投与表面経路に特に好適である。なぜなら、適切に構成された薬物は、角膜を通して浸透し、眼の内部で濃度を治療レベルに上昇させ、薬物の有益効果をもたらすことができるからである。実際には、点眼薬は、現在、薬物を眼に送達する方法の95パーセントを超える割合を占めている。眼治療薬は、所望の薬理効果を有するには低すぎる濃度で眼に届くため、又はそれらの使用が著しい全身的な副作用によって複雑化されるためのいずれかの理由から、経口投与又は注入投与されることは殆どない。
【0037】
点眼薬は、効果的であるが、洗練されておらず、効率が悪い。点眼薬が眼に滴下注入されるとき、それは、典型的には、眼と眼瞼との間のポケットである結膜嚢を過剰に充填し、眼瞼辺縁から頬に流れ出て、かなりの部分の点眼薬を失う原因となる。加えて、眼表面上に残存するかなりの部分の点眼薬は、涙によって流失されて排涙系に入り、それによって、薬物の濃度を希釈する。これらの機能によって角膜を通過し得る前に薬物投与量のこの分配が失われるだけでなく、過剰な薬物が鼻及びのどへと運ばれ、全身循環に吸収されることがあり、これによって場合により重篤な全身性副作用が生じることがある。角膜に浸透するごく一部の点眼液中の薬物が、組織中初期ピーク濃度をもたらし、これは薬理学的初期効果をもたらすのに必要な濃度よりも高い。この組織中濃度は徐々に減少し、次の点眼予定の時刻に至る前に、組織中濃度及びその意図された薬理学的効果が低すぎるようになってしまう可能性がある。
【0038】
上述の課題に加えて、患者は、多くの場合、処方された点眼薬を使用しない。この服薬コンプライアンスの低下は、多くの場合、点眼による刺痛感又は灼熱感に起因するものである。一つには眼を保護するための正常な反射神経によって、使用者が自身の眼に点眼液を滴下することは確実に困難になり得る。高齢患者は、関節炎、不安定さ、及び視力低下に起因し、点眼液の滴下が更に困難になる場合があり、並びに小児患者及び精神病患者群も同様に姿勢を取ることが困難であり得る。したがって、任意の数の疾患を処置するための任意の数の治療薬を、コンタクトレンズ、反転マーキング層、又はそれらの両方に組み込んで、任意のこれらの疾患を治療することができる。適切に組み込まれた薬剤は、特定の投与量により、所定の時間にわたってコンタクトレンズから溶出して、様々な疾患を治療することができる。
【0039】
本明細書に図示及び説明した実施形態は、最も実用的かつ好ましい実施形態であると考えられるが、当業者であれば、本明細書に説明及び図示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、本発明は、記載及び図示された特定の構成に限定されず、添付の特許請求の範囲内に含まれ得る全ての変更物と一致すると解釈されるべきである。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用レンズであって、前記レンズが、
第1の材料から形成され、かつ少なくとも光学ゾーンと周辺部ゾーンとを含むコンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズに組み込まれた反転マーキングであって、眼から離れた際に可視であり、前記眼上に存在する際に不可視であるように構成されている第2の材料を含む、反転マーキングと、を備える、眼科用レンズ。
(2) 前記反転マーキングが液晶材料を含む、実施態様1に記載の眼科用レンズ。
(3) 前記液晶材料が、前記コンタクトレンズの前記周辺部ゾーンに組み込まれる、実施態様2に記載の眼科用レンズ。
(4) 前記液晶材料が、前記コンタクトレンズの正常な状態と反転状態との識別のためにパターン化されている、実施態様3に記載の眼科用レンズ。
(5) 前記液晶材料が、薄フィルムとして構成されている、実施態様2に記載の眼科用レンズ。
【0041】
(6) 前記液晶材料がネマチック液晶材料を含む、実施態様2に記載の眼科用レンズ。
(7) 前記ネマチック液晶材料が、温度変化、光変化及び湿度変化のうちの少なくとも1つを適用することにより、拡散光散乱状態と透明状態との間での変換が誘導され得るように構成されている、実施態様6に記載の眼科用レンズ。
(8) 前記液晶材料がコレステリック液晶材料を含む、実施態様2に記載の眼科用レンズ。
(9) 前記コレステリック液晶材料が、温度変化、光変化及び湿度変化のうちの少なくとも1つを適用することによって、反射状態と透明状態との間での変換が誘導され得るように構成されている、実施態様8に記載の眼科用レンズ。
(10) 前記液晶材料が、ネマチック液晶材料、コレステリック液晶材料、高分子材料、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施態様2に記載の眼科用レンズ。
【0042】
(11) 前記コンタクトレンズ、前記反転マーキング、又は前記コンタクトレンズ及び前記反転マーキングの両方のうちの少なくとも1つに組み込まれた、少なくとも1種の治療薬を更に備える、実施態様1に記載の眼科用レンズ。
(12) 第1の材料と、前記第1の材料に組み込まれた第2の材料から形成されているマーキングと、を備えるレンズであって、前記第2の材料が、温度変化、光変化又は湿度変化のうちの少なくとも1つを適用することにより、可視状態と不可視状態との間での変換を経るように構成されている、レンズ。
(13) 眼科用レンズを含む、実施態様12に記載のレンズ。
(14) 前記眼科用レンズがコンタクトレンズを含む、実施態様13に記載のレンズ。