(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の技術では、被処理物を保持した保持具(バスケット)をめっき液中に出し入れする際や、めっき液に浸漬しているときの液流により、被処理物のクランプ位置がずれて被処理物が撓んだり、場合によっては被処理物がクランパーから外れたりすることがある。このような場合、被処理物が傷ついたり、めっき不良の原因となったりすることがある。
【0007】
本発明の目的は、板状の被処理物のクランプ位置がずれたり、被処理物がクランパーから外れたりすることを抑制することができるクランパー、及びこれを備える保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、表面処理液に板状の被処理物を浸漬するときに用いられる保持具に設けられ、前記被処理物を挟持するクランパーである。前記クランパーは、第1挟持部材と、第2挟持部材と、挟持部材付勢手段と、を備える。前記第1挟持部材は、第1基部と、前記被処理物の一方の面に接する第1接触部とを有する。前記第2挟持部材は、前記被処理物の他方の面に接する第2接触部を有する。前記挟持部材付勢手段は、前記第1接触部と前記第2接触部が近づく方向に前記第1挟持部材及び前記第2挟持部材の少なくとも一方を付勢する。前記第1接触部は、前記第1基部から延びる複数の板ばね部を有し、前記複数の板ばね部は、互いに独立して弾性変形して前記被処理物に接する。
【0009】
この構成では、クランパーの第1挟持部材において、第1接触部は、第1基部から延びる複数の板ばね部を有する。この構成では、第1接触部は、複数の板ばね部が第1基部から分岐した構造を備える。すなわち第1接触部は複数の部分に分割された構造を備える。そして、複数の板ばね部は、被処理物に接するときに互いに独立して弾性変形する。したがって、本発明のクランパーは、複数の板ばね部のそれぞれが被処理物に対して確実に接した状態で被処理物を挟持することができる。これにより、被処理物のクランプ位置がずれたり、被処理物がクランパーから外れたりすることを抑制できる。具体的には次の通りである。
【0010】
クランパーがめっき処理などの表面処理に多数回用いられると、クランパーにおける被処理物に接する部分にはめっき液などの表面処理液に含まれる成分が固化した異物が付着し、堆積することが考えられる。特許文献4の
図3,4に開示されたクランパーでは、被処理物に接する部位である挟持部は、本発明のように複数に分割された構造ではないので、挟持部の一部に異物が堆積すると、次のような不具合が生じる。すなわち、異物が堆積した部分は、被処理物に接するが、異物が堆積していない部分は、被処理物との間に隙間ができて被処理物と接しない。このような場合、クランパーと被処理物との接触面積が小さくなって、被処理物のクランプ位置がずれたり被処理物がクランパーから外れたりしやすくなる。また、クランパーを長期間使用すると、クランパーの第1接触部の傾きが変動したり、第1接触部が摩耗したりすることがある。このような場合にも、クランパーと被処理物との接触面積が小さくなる。
【0011】
一方、本発明では、仮に、複数の板ばね部の一部に異物が堆積した場合であっても、複数の板ばね部は、互いに独立して弾性変形して被処理物に接するので、複数の板ばね部のそれぞれが被処理物に対して接した状態で被処理物を挟持することができる。これにより、クランパーによって被処理物を挟持する挟持力が低下するのが抑制されるので、被処理物のクランプ位置がずれたり被処理物がクランパーから外れたりすることを抑制することができる。
【0012】
(2)前記クランパーにおいて、各板ばね部は、前記第1基部から延びる延出部と、前記延出部の端部において折れ曲がる折り返し部と、を含み、前記折り返し部は、前記被処理物に接する接触面を有しているのが好ましい。
【0013】
この構成では、折り返し部を延出部に対して折り曲げる構造を採用することで、各板ばね部が弾性変形しやすくなる。すなわち、延出部を第1基部に対して弾性変形させるとともに、折り返し部を延出部に対して弾性変形させることができる。
【0014】
(3)前記クランパーにおける各板ばね部において、前記延出部に対する前記折り返し部の折れ曲がり角度は、前記接触面が前記被処理物に対して面接触するように調節されているのが好ましい。
【0015】
この構成では、上記のように面接触することにより、第1接触部と被処理物との接触面積を大きくすることができるので、被処理物を挟持するクランパーの挟持力を高めることができる。
【0016】
(4)前記クランパーにおいて、前記第2挟持部材の前記第2接触部は、前記第1挟持部材の前記第1接触部と同じ構造を有しているのが好ましい。
【0017】
この構成では、第2挟持部材の第2接触部が第1接触部と同じ構造を有しているので、第2挟持部材の第2接触部への異物の付着、第2接触部の傾きの変動、第2接触部の摩耗などが生じたとしても、第2接触部における複数の板ばね部が互いに独立して弾性変形して被処理物に接する。これにより、クランパーの挟持力の低下を抑制する効果をさらに高めることができる。具体的には次の通りである。
【0018】
第2挟持部材は、第2基部と、前記第2接触部とを有し、前記第2接触部は、前記第2基部から延びる複数の板ばね部を有し、前記複数の板ばね部は、互いに独立して弾性変形して前記被処理物に接する。また、第2接触部において、各板ばね部は、前記第2基部から延びる延出部と、前記延出部の端部において折れ曲がる折り返し部と、を含み、前記折り返し部は、前記被処理物に接する接触面を有しているのが好ましい。また、第2接触部の各板ばね部において、前記延出部に対する前記折り返し部の折れ曲がり角度は、前記接触面が前記被処理物に対して面接触するように調節されているのが好ましい。
【0019】
(5)本発明の保持具は、板状の複数の被処理物を互いに間隔をおいた状態で保持するためのものである。前記保持具は、上述した複数のクランパーと、前記被処理物の一側を挟持するクランパーが保持される複数の第1保持部材と、前記被処理物の他側を挟持するクランパーが保持される複数の第2保持部材と、前記第1保持部材及び前記第2保持部材によって保持された状態の前記複数の被処理物を互いに間隔をおいて配置する空間を形成する支持枠と、前記第1保持部材と前記第2保持部材が離れる方向に前記第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方を付勢する保持部材付勢手段と、を備える。
【0020】
この構成では、保持部材付勢手段によって第1保持部材と第2保持部材が離れる方向に第1保持部材及び前記第2保持部材の少なくとも一方が付勢されるので、支持枠の前記空間に配置された複数の被処理物のそれぞれが常に伸張された状態となる。これにより、各被処理物が撓むのを抑制できる。また、保持部材付勢手段によって被処理物が伸張された状態では、仮に挟持力の低い従来のクランパーを用いた場合、被処理物のクランプ位置がずれたり、被処理物がクランパーから外れたりする不具合が生じやすくなるが、この構成では、複数の板ばね部を有する上述のクランパーを採用しているので、被処理物のクランプ位置がずれたり、被処理物がクランパーから外れたりするのを抑制することができる。これにより、被処理物が伸張された状態を維持できる。
【0021】
(6)前記保持具がサイドクランプ式の保持具である場合、前記第1保持部材が前記支持枠の一方のサイドに設けられ、前記第1保持部材によって保持される前記クランパーが前記被処理物の一方の側縁部を挟持し、前記第2保持部材が前記支持枠の他方のサイドに設けられ、前記第2保持部材によって保持される前記クランパーが前記被処理物の他方の側縁部を挟持する。
【0022】
このサイドクランプ式の保持具では、保持部材付勢手段によって被処理物を横方向に引っ張る力を加えることができるので、支持枠の前記空間に配置された複数の被処理物のそれぞれが常に伸張された状態となる。これにより、各被処理物が撓むのを抑制できる。
【0023】
(7)前記サイドクランプ式の保持具は、前記支持枠に固定された固定部材を備え、前記固定部材は、水平方向に延びるガイド部を有し、前記第1保持部材が前記固定部材に対して前記ガイド部に沿って水平方向に相対移動可能であり、前記保持部材付勢手段は、前記第1保持部材が前記第2保持部材に対して離れる水平方向に前記第1保持部材を付勢するのが好ましい。
【0024】
この構成では、第1保持部材が固定部材に対してガイド部に沿って水平方向に案内されるので、例えば第1保持部材が固定部材に対して水平方向から傾斜した方向に移動して被処理物がねじれるなどの不具合が生じるのを抑制できる。
【0025】
(8)前記サイドクランプ式の保持具において、前記支持枠は、前記空間に前記被処理物が挿入される挿入口を有し、前記被処理物が前記空間に挿入されるときには、前記支持枠は、前記挿入口が前記空間の上方に位置する姿勢で配置され、前記空間に配置された前記複数の被処理物が前記表面処理液に浸漬されるときには、前記支持枠は、前記挿入口が前記空間の側方に位置し、且つ、前記第1保持部材が前記第2保持部材よりも下方に位置する姿勢で配置されるのが好ましい。
【0026】
この構成では、被処理物が前記空間に挿入されるときには、挿入口が前記空間の上方に位置する姿勢で支持枠が配置されるので、例えば製造ラインにおいて保持具の上方に搬送された被処理物を下方に移動させるだけで、被処理物を支持枠内に挿入することができる。そして、前記空間に配置された複数の被処理物が表面処理液に浸漬されるときには、挿入口が前記空間の側方に位置し、且つ、第1保持部材が第2保持部材よりも下方に位置する姿勢で支持枠が配置される。この姿勢では、第1保持部材と第2保持部材が上下方向に並ぶように配置されるので、第1保持部材が第2保持部材から離れる方向に第1保持部材に重力が作用する。これにより、被処理物がさらに伸張される方向に引っ張られて伸張状態が維持されやすくなる。このような伸張状態で被処理物を表面処理液に浸漬して処理することができる。
【0027】
(9)保持具が上下クランプ式の保持具である場合、前記第1保持部材によって保持される前記クランパーが前記被処理物の上縁部を挟持し、前記第2保持部材によって保持される前記クランパーが前記被処理物の下縁部を挟持し、前記第1保持部材と前記第2保持部材は、前記支持枠とは別体の外枠の一部を構成しているのが好ましい。
【0028】
この上下クランプ式の保持具では、保持部材付勢手段によって被処理物を上下方向に引っ張る力を加えることができるので、支持枠の前記空間に配置された複数の被処理物のそれぞれが常に伸張された状態となる。これにより、各被処理物が撓むのを抑制できる。また、上下クランプ式の保持具では、第1保持部材と第2保持部材が上下方向に並ぶように配置されるので、第1保持部材が第2保持部材から離れる方向に第1保持部材又は第2保持部材に重力が作用する。これにより、被処理物がさらに伸張される方向に引っ張られて伸張状態が維持されやすくなる。また、この構成では、予め被処理物が保持された複数の外枠を支持枠に挿入するだけで、複数の被処理物を保持具に保持することができる。
【0029】
(10)前記上下クランプ式の保持具は、前記第1保持部材の両サイドから下方に延びる上縦枠部材と、前記第2保持部材の両サイドから上方に延びる下縦枠部材と、を備え、前記上縦枠部材及び前記下縦枠部材の一方には、上下方向に延びる外枠ガイド部が設けられており、前記上縦枠部材及び前記下縦枠部材の他方には、前記外枠ガイド部に係合した状態で前記外枠ガイド部に対して上下方向に相対移動する第1ピンが固定されており、前記保持部材付勢手段は、前記第1保持部材と前記第2保持部材が離れる上下方向に前記第1ピンを付勢するという形態であるのが好ましい。
【0030】
この構成では、第1ピンは、外枠ガイド部に係合した状態で上下方向に案内されるので、例えば上縦枠部材が下縦枠部材に対して上下方向から傾斜した方向に移動して被処理物がねじれるなどの不具合が生じるのを抑制できる。
【0031】
(11)前記上縦枠部材及び前記下縦枠部材の前記他方には、前記第1ピンに対して上下方向に間隔をあけた位置に第2ピンが固定されており、前記第2ピンは、前記外枠ガイド部に係合した状態で前記外枠ガイド部に対して上下方向に相対移動するという形態であるのが好ましい。
【0032】
この構成では、第1ピンに対して上下方向に間隔をあけた位置に固定された第2ピンを備えており、この第2ピンが外枠ガイド部に係合して上下方向に案内される。すなわち、この構成では、第1ピンだけでなく第2ピンも外枠ガイド部に係合しているので、第1保持部材が第2保持部材に対して上下方向に相対移動するときに、第1保持部材又は第2保持部材が横方向にぶれるのが抑制され、相対移動時の動作が安定する。
【0033】
(12)前記上下クランプ式の保持具において、前記支持枠は、水平方向に延びる前記第1保持部材の一端部と他端部を支持するために前記第1保持部材の延びる方向に互いに間隔をあけて配置された一対の上枠支持部と、水平方向に延びる前記第2保持部材が係止されて前記第2保持部材の横ぶれを抑制する下枠係止部と、を有しているのが好ましい。
【0034】
この構成では、一対の上枠支持部によって第1保持部材の一端部と他端部を支持することができ、下枠係止部によって第2保持部材を係止して第2保持部材の横ぶれを抑制することができる。
【0035】
(13)前記上下クランプ式の保持具において、前記一方の上枠支持部は、上方に開口して前記第1保持部材の前記一端部が挿入される上溝を有し、前記他方の上枠支持部は、上方に開口して前記第1保持部材の前記他端部が挿入される上溝を有し、前記下枠係止部は、上方に開口して前記第2保持部材が挿入される下溝を有しているのが好ましい。
【0036】
この構成では、第1保持部材及び第2保持部材を支持枠の上方から下方に向かって下降させるだけで、第1保持部材の一端部及び他端部を上枠支持部の上溝の挿入し、第2保持部材を下枠係止部の下溝に挿入することができる。
【0037】
(14)前記上下クランプ式の保持具において、前記上溝に挿入された前記第1保持部材の前記一端部及び前記他端部が前記上溝の底部に接する状態のときに、前記下溝に挿入された前記第2保持部材と前記下溝の底部との間には隙間が形成されているのが好ましい。
【0038】
この構成では、下溝に挿入された第2保持部材と下溝の底部との間に隙間が形成されている。仮に、第2保持部材が下溝の底部に接している場合には、第2保持部材がそれ以上下方に移動するのが規制されるが、本構成では、下溝に挿入された第2保持部材と下溝の底部との間に隙間が形成されているので、第2保持部材が第1保持部材から離れる方向に相対移動するのが妨げられない。したがって、被処理物に撓みが生じるのをさらに抑制できる。
【0039】
(15)前記上下クランプ式の保持具において、前記第1保持部材の長さは、前記一方の上枠支持部の前記上溝と前記他方の上枠支持部の前記上溝との間隔よりも大きく、前記第1保持部材の前記一端部及び前記他端部のそれぞれは、前記上溝よりも水平方向外側に突出しており、前記第2保持部材の長さは、前記一方の上枠支持部の前記上溝と前記他方の上枠支持部の前記上溝との間隔よりも小さく、前記第2保持部材の両端部は、前記上溝よりも水平方向内側に位置しているのが好ましい。
【0040】
この構成では、被処理物を保持した第1保持部材及び第2保持部材を、支持枠の上方から前記空間に挿入する際に、第2保持部材の下方への移動が一対の上枠支持部によって妨げられない。また、上溝よりも水平方向外側に突出している第1保持部材を、支持枠の上方から前記空間に向かって下降させるだけで、第1保持部材の一端部と他端部を一方の上枠支持部の上溝と他方の上枠支持部の上溝に挿入することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明のクランパーによれば、板状の被処理物のクランプ位置がずれたり、被処理物がクランパーから外れたりすることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態に係るクランパー1,2及びこれを備える保持具101,102について図面を参照しながら詳細に説明する。クランパー1,2は、板状の被処理物Wの縁部を挟持して被処理物Wを安定した姿勢に保持するためのものである。クランパー1,2は、表面処理液に被処理物Wを浸漬するときに用いられる保持具101,102に設けられる。保持具101,102は、板状の複数の被処理物Wを互いに間隔をおいた状態で保持するためものである。
【0044】
前記表面処理液には、めっき液、前処理液、後処理液、デスミア液、洗浄液、触媒付与液、エッチング液、活性化液、還元液が含まれる。以下では、前記表面処理液がめっき液である場合を例に挙げて説明するが、これに限られない。前記表面処理液は、めっき液以外の上述の何れかの液であってもよい。
【0045】
[クランパー]
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るクランパー1の第1挟持部材10及び第2挟持部材20を示す斜視図である。
図2(A)は、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を示す正面図であり、
図2(B)は、その平面図であり、
図2(C)は、その左側面図である。
図3(A)は、第1実施形態のクランパー1を示す正面図であり、
図3(B)は、その平面図であり、
図3(C)は、その左側面図である。
図4(A)は、クランパー1の挟持部材付勢手段30を示す正面図であり、
図4(B)は、その側面図である。
【0046】
第1実施形態に係るクランパー1は、第1挟持部材10と、第2挟持部材20と、一対の挟持部材付勢手段30,30と、一対の支持部材40,40と、一対の連結軸45,45とを備える。
【0047】
図3(B),(C)に示すように、クランパー1は、例えば保持部材50に支持される。保持部材50には、複数のクランパー1が取り付けられる。保持部材50としては、例えば平板状の部材、棒状の部材などが挙げられる。複数のクランパー1を一方向に間隔をあけて配列する場合には、保持部材50は一方向に長い形状であるのが好ましい。保持部材50としては、例えば、後述する保持具101,102の第1保持部材51や第2保持部材52などが挙げられる。
【0048】
図3(B),(C)に示す第1実施形態では、第1挟持部材10は、平板状の保持部材50の一方の主面50a側に設けられ、第2挟持部材20は、保持部材50の他方の主面50b側に設けられている。本実施形態では、第1挟持部材10は、支持部材40及び連結軸45によって保持部材50の主面50aに支持されており、第2挟持部材20は、支持部材40及び連結軸45によって保持部材50の主面50bに支持されている。
【0049】
図5(A)は、クランパー1の支持部材40を示す平面図であり、
図5(B)は、その背面図であり、
図5(C)は、その側面図である。
図5(D)は、支持部材40に挟持部材10,20を連結する連結軸45を示す正面図である。
図5(A)−(C)に示すように、支持部材40は、平板状の主壁41と、主壁41の両サイドから同じ方向に起立する一対の側壁42,42とを有する。主壁41の一方の主面41aは、第1挟持部材10又は第2挟持部材20と対向する対向面41aである。主壁41の他方の主面41bは、保持部材50の主面50a又は主面50bに接合される接合面41bである。主壁41の接合面41bは、例えば溶接などの接合手段を用いて保持部材50の主面50a又は主面50bに接合される。一対の側壁42,42のそれぞれには、
図5(D)に示すような連結軸45が挿通される貫通孔42aが設けられている。
【0050】
第1挟持部材10及び第2挟持部材20は、互いに協働して被処理物Wを挟む機能を有する。第1挟持部材10と第2挟持部材20は、被処理物Wの縁部を挟持する方向と被処理物Wから離れる方向に互いに相対移動可能に構成されている。本実施形態では、一方の挟持部材付勢手段30が第1挟持部材10を付勢し、他方の挟持部材付勢手段30が第2挟持部材20を付勢する。ただし、1つの挟持部材付勢手段30によって第1挟持部材10と第2挟持部材20を付勢するような形態であってもよい。
【0051】
図3に示すように、第1実施形態では、第2挟持部材20は、第1挟持部材10と同じ構造を有する。したがって、
図1−3において、第1挟持部材10及び第2挟持部材20の細部の構造に関する符号は、同じものが付されている。なお、第2挟持部材20は、後述する第2実施形態のように第1挟持部材10と異なる構造を有していてもよい。
【0052】
図1及び
図2(A)−(C)に示すように、第1挟持部材10は、基部11(第1基部11)と、接触部12(第1接触部12)とを有する。同様に、第2挟持部材20は、基部11(第2基部11)と、接触部12(第2接触部12)とを有する。
【0053】
基部11は、第1挟持部材10と第2挟持部材20とを連結するための機能を有する。また、基部11は、挟持部材付勢手段30による付勢力を受けることによって、第1接触部12と第2接触部12とを互いに近づく方向に移動させる機能を有する。また、基部11は、接触部12を支持する機能を有する。
【0054】
基部11は、平板状の主壁13と、主壁13の両サイドから同じ方向に起立する一対の側壁14,14とを有する。主壁13の一方の主面13aは、支持部材40の主壁41の主面41aと対向する対向面13aである。一対の側壁14,14のそれぞれには、連結軸45が挿通される貫通孔14aが設けられている。
図3(A)−(C)に示すように、連結軸45は、基部11の貫通孔14aと支持部材40の貫通孔42aとが同一軸上に並んだ状態でこれらの貫通孔14a,42aに挿通される。これにより、第1挟持部材10(第2挟持部材20)は、保持部材50(支持部材40)に対して連結軸45を中心に回動可能な状態で保持部材50(支持部材40)に支持される。
【0055】
基部11と支持部材40との間の空間には、挟持部材付勢手段30が配置される。本実施形態では、挟持部材付勢手段30は、
図4(A),(B)に示すような捩りばね(コイルばね)である。捩りばね30は、その内側に連結軸45が挿通されることによって連結軸45に支持されている。
【0056】
なお、挟持部材付勢手段30は、第1挟持部材10及び第2挟持部材20を付勢することができるものであればよく、ばね以外の付勢手段であってもよい。また、第1実施形態では、挟持部材付勢手段30は、捩りばねであるが、これに限られず、例えば板ばねなどの他の付勢手段であってもよい。
【0057】
図4(A),(B)に示す捩りばね30は、複数のコイル31,32が連結された構造を有するが、これに限られない。捩りばね30は、単一のコイル31だけを有していてもよい。捩りばね30の第1のコイル31の一端部33と第2のコイル32の一端部36は、例えば主面13a及び主面41aの一方に接するように配置され、捩りばね30の第1のコイル31の他端部34と第2のコイル32の他端部35は、例えば主面13a及び主面41aの他方に接するように配置される。これにより、捩りばね30は、基部11と支持部材40とが互いに遠ざかる方向にこれらを付勢することができる。すなわち、基部11は、外側に広がる方向に付勢される。したがって、連結軸45に対して基部11の反対側に位置する接触部12は、内側方向に付勢される。その結果、第1接触部12と第2接触部12が互いに近づく方向に付勢される。なお、本実施形態では、第1のコイル31の他端部34と第2のコイル32の他端部35は、連結部37によって接続されているが、これに限られず、接続されていなくてもよい。
【0058】
図4(B)において、実線で示された第1のコイル31の他端部34と第2のコイル32の他端部35は、
図3(C)において実線で示されるように第1接触部12と第2接触部12が互いに近づいたとき、すなわち被処理物Wが挟持された後の状態を示している。
図4(B)において、二点鎖線で示された第1のコイル31の他端部34と第2のコイル32の他端部35は、
図3(C)において二点鎖線で示されるように第1接触部12と第2接触部12が互いに遠ざかったとき、すなわち被処理物Wが挟持される前の状態を示している。
【0059】
第1挟持部材10の第1接触部12及び第2挟持部材20の第2接触部12は、被処理物Wを挟んで保持する機能を有する。
図3(C)に示すように、第1接触部12は、被処理物Wの一方の面S1に接して、第2接触部22は、被処理物Wの他方の面S2に接する。
【0060】
各接触部12は、基部11から延びる複数の板ばね部15(本実施形態では3つの板ばね部15)を有する。複数の板ばね部15は、互いに同じ方向に延びている。複数の板ばね部15は、互いに独立して弾性変形して被処理物Wに接する。
【0061】
図1−
図3に示すように、複数の板ばね部15は、互いに間隔をあけて設けられている。
図1−
図3に示す実施形態では、両サイドの板ばね部15,15の幅は、これらの間に位置する板ばね部15の幅よりも小さいが、これに限られない。
【0062】
各板ばね部15は、基部11から延びる延出部16と、延出部16の端部において折れ曲がる折り返し部17とを含む。折り返し部17は、被処理物Wに接する接触面17aを有する。各板ばね部15は、
図2(C)に示す側面視において、略U字形状、略V字形状などの折曲形状を呈している。
図3(C)に示すように、第1挟持部材10の折り返し部17と第2挟持部材20の折り返し部17とが対面するように第1挟持部材10と第2挟持部材20が配置されている。
【0063】
延出部16は、基部11の主壁13から遠ざかる方向に延びている。延出部16は、主壁13とのなす角度が鈍角となる方向に延びている。すなわち、延出部16の延びる方向は、主壁13の延びる方向に対して内側(被処理物W側)に傾斜している。
【0064】
折り返し部17は、延出部16の端部から基部11に近づく方向に延びている。延出部16に対する折り返し部17の折れ曲がり角度θ(
図2(C)参照)は、接触面17aが被処理物Wに対して面接触するように調節されているのが好ましい。本実施形態では、折り返し部17は、主壁13とほぼ平行であるが、これに限られない。
【0065】
(第2実施形態)
図6(A)は、第2実施形態のクランパー1を示す正面図であり、
図6(B)は、その平面図であり、
図6(C)は、その右側面図である。
図6(A)−(C)に示すように、第2実施形態のクランパー1は、第2挟持部材20の構造が第1実施形態と異なっている。第2実施形態では、第1挟持部材10は、第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0066】
第2挟持部材20は、被処理物Wの他方の面S2に接する第2接触部22を有する。第1接触部12は、第2接触部22に対して近づく方向と遠ざかる方向に相対移動可能である。本実施形態では、第2接触部22はほぼ静止した状態であり、第1接触部12が第2接触部22に対して近づく方向と遠ざかる方向に移動する。
【0067】
第2挟持部材20の第2接触部22は、第1挟持部材10の第1接触部12のような板ばね部15を有していない。
図6(A)−(C)に示す第2実施形態では、第2接触部22は、平板形状を有する。
図6(C)に示すように、第2接触部22は、例えば保持部材50の下端部に接続されているが、これに限られない。
【0068】
この第2実施形態では、クランパー1において一方の挟持部材(第2挟持部材20)を単純な形状にすることができるので、コストダウンを図ることができる。
【0069】
[保持具]
次に、本発明の一実施形態に係る保持具101,102について説明する。保持具101,102に用いられるクランパー1としては、上述の第1実施形態のクランパー1、第2実施形態のクランパー1などを用いることができるが、これらの実施形態のクランパー1に限られず、他のクランパー1を用いることもできる。
【0070】
(サイドクランプ式の保持具)
次に、本発明の一実施形態に係るサイドクランプ式の保持具101について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係るサイドクランプ式の保持具を示す斜視図である。
図8(A)は、サイドクランプ式の保持具101を示す正面図であり、
図8(B)は、その平面図であり、
図8(C)は、その側面図である。
【0071】
図7及び
図8(A)−(C)に示すように、サイドクランプ式の保持具(バスケット)101は、板状の複数の被処理物Wを互いに間隔をおいた状態で保持するための保持具である。保持具101は、上述した複数のクランパー1と、複数の第1保持部材51と、複数の第2保持部材52と、複数の固定部材53と、支持枠60と、保持部材付勢手段70と、を備える。
【0072】
支持枠60は、第1保持部材51及び第2保持部材52によって保持された状態の複数の被処理物Wを互いに間隔をおいて配置する空間Sを形成する。支持枠60は、複数のフレーム部材が直方体状に組み合わされた構成のものであり、支持枠60内には直方体形状の空間Sが形成されている。この空間Sは、プリント基板などの被処理物Wの大きさに対応するとともに、この被処理物Wを厚み方向に多数配列できるような大きさに形成されている。被処理物Wがプリント基板である場合、その形状は矩形状である。そして、前記空間においてプリント基板がその厚み方向に並べられる。このため、支持枠60の前記空間は直方体形状となっている。そして、支持枠60の上面が開放されている。支持枠60の上面は、被処理物Wの挿入口60aとなっている。これにより、支持枠60の挿入口60aを通じて、被処理物Wの出し入れ、具体的には自動ロード及び自動アンロードを行うことができる。
【0073】
前記複数のフレーム部材は、矩形状に組み合わされた下部フレーム61と、この下部フレーム61の上方において矩形状に組み合わされた上部フレーム62と、下部フレーム61と上部フレーム62の一方のサイド(例えば左サイド)を接続する一対のサイドフレーム63,63と、下部フレーム61と上部フレーム62の他方のサイド(例えば右サイド)を接続する一対のサイドフレーム64,64とを含む。各サイドフレームは、上下方向に延びている。
【0074】
下部フレーム61は、一方のサイドから他方のサイドまで延びる一対の長尺フレーム61a,61aと、短尺フレーム61b,61bとを含む。一方の短尺フレーム61bは、一方のサイドにおいて長尺フレーム61a,61aの端部同士を接続し、他方の短尺フレーム61bは、他方のサイドにおいて長尺フレーム61a,61aの端部同士を接続する。
【0075】
上部フレーム62は、一方のサイドから他方のサイドまで延びる一対の長尺フレーム62a,62aと、短尺フレーム62b,62bとを含む。一方の短尺フレーム62bは、一方のサイドにおいて長尺フレーム62a,62aの端部同士を接続し、他方の短尺フレーム62bは、他方のサイドにおいて長尺フレーム62a,62aの端部同士を接続する。
【0076】
補強フレーム65,65は、一対のサイドフレーム63,63を接続しており、補強フレーム66,66は、一対のサイドフレーム64,64を接続している。また、補強フレーム67,67は、下部フレーム61における対向するフレーム同士を接続している。
【0077】
複数(本実施形態では3つ)の固定部材53は、支持枠60の一方のサイドに設けられている。すなわち、複数の固定部材53は、支持枠60において、長尺フレーム61a,62aの延びる方向D1の一方のサイドに設けられている。具体的に、各固定部材53は、上下方向D3に延びる平板状のフレームであり、複数の固定部材53は、一方のサイドにおいて短尺フレーム61b,62bの延びる方向D2に沿って、互いに間隔をあけて並んでいる。各固定部材53は、一方のサイドにおいて支持枠60に固定されている。
【0078】
複数(本実施形態では3つ)の第1保持部材51は、支持枠60の一方のサイドに設けられている。具体的に、各第1保持部材51は、上下方向D3に延びる平板状のフレームである。各第1保持部材51は、対応する固定部材53に隣り合う位置に配置されている。各第1保持部材51は、固定部材53よりも第2保持部材52側に設けられている。
【0079】
複数(本実施形態では3つ)の第2保持部材52は、支持枠60の他方のサイドに設けられている。具体的に、各第2保持部材52は、上下方向D3に延びる平板状のフレームである。複数の第2保持部材52は、他方のサイドにおいて短尺フレーム61b,62bの延びる方向D2に沿って、互いに間隔をあけて並んでいる。各第2保持部材52は、他方のサイドにおいて支持枠60に固定されている。
【0080】
各第1保持部材51には、複数のクランパー1が保持されている。各第1保持部材51において、複数のクランパー1は、互いに間隔をあけて上下方向に並んでいる。各第2保持部材52には、複数のクランパー1が保持されている。各第2保持部材52において、複数のクランパー1は、互いに間隔をあけて上下方向に並んでいる。各被処理物Wの一方の側縁部(例えば左側の縁部)は、第1保持部材51に設けられた複数のクランパー1によって挟持され、被処理物Wの他方の側縁部(例えば右側の縁部)は、第2保持部材52に設けられた複数のクランパー1によって挟持される。これにより、
図8(A)−(C)に示すように、複数の被処理物Wは、支持枠60の空間Sにおいて安定して保持される。
【0081】
取付方法の具体例を挙げると、次の通りである。まず、被処理物Wの他方の側縁部に第2保持部材52に設けられた複数のクランパー1を取り付ける。次に、被処理物Wの一方の側縁部にクランパー1を取り付けるときには、保持部材付勢手段70の付勢力に抗して、固定部材53から第1保持部材51を遠ざける方向(第1保持部材51を被処理物W側に近づける方向)に第1保持部材51を移動させた状態で、第1保持部材51に設けられた複数のクランパー1を被処理物Wの一方の側縁部に取り付ける。
【0082】
各第1保持部材51は、少なくとも1つの保持部材付勢手段70によって、対応する固定部材53に近づく方向に付勢されている。言い換えると、保持部材付勢手段70は、第1保持部材51と第2保持部材52が離れる水平方向に第1保持部材51を付勢している。本実施形態では、保持部材付勢手段70は、捩りばねであるが、これに限られない。保持部材付勢手段70の一端部は、固定部材53に固定されており、保持部材付勢手段70の他端部は、第1保持部材51に固定されている。
【0083】
本実施形態では、固定部材53は、水平方向に延びる1つ又は複数のガイド部58を有する。本実施形態では、ガイド部58は、第2保持部材52側に水平方向に延びる溝形状を有する。第1保持部材51は、水平方向に延び、ガイド部58に係合する1つ又は複数の係合部55を有する。本実施形態では、係合部55は、固定部材53側に水平方向に延びる棒形状(レール状)を有する。これにより、第1保持部材51は、固定部材53に対してガイド部58に沿って水平方向に安定して移動できる。
【0084】
以上の構成を備えることによって、複数の被処理物Wは、
図8(A)−(C)に示すように支持枠60の空間Sにおいて伸張された状態で保持される。
【0085】
なお、本実施形態では、支持枠60は、被処理物Wが空間Sに挿入されるときには、支持枠60は、
図7に示すように挿入口60aが空間Sの上方に位置する姿勢で配置され、空間Sに配置された複数の被処理物Wが図略のめっき液に浸漬されるときには、支持枠60は、90度回転させた姿勢、すなわち挿入口60aが空間の側方に位置し、且つ、第1保持部材51が第2保持部材52よりも下方に位置する姿勢で配置されるのが好ましい。ただし、めっき液への浸漬時には、必ずしも90度回転させる必要はなく、挿入口60aが空間Sの上方に位置する姿勢で支持枠60がめっき液に浸漬されてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、保持部材付勢手段70が支持枠60の一方のサイドにのみ設けられているが、これに限られない。保持部材付勢手段70は、支持枠60の両サイドに設けられていてもよい。
【0087】
(上下クランプ式の保持具)
次に、本発明の一実施形態に係る上下クランプ式の保持具102について説明する。
図9は、本発明の一実施形態に係る上下クランプ式の保持具102を示す斜視図である。
図10(A)は、上下クランプ式の保持具を102示す正面図であり、
図10(B)は、その平面図であり、
図10(C)は、その側面図である。
図11(A)は、上下クランプ式の保持具102における支持枠60を示す正面図であり、
図11(B)は、支持枠60を示す平面図であり、
図11(C)は、支持枠60を示す側面図である。
図12は、上下クランプ式の保持具102における外枠54を示す正面図である。
【0088】
図9及び
図10(A)−(C)に示すように、上下クランプ式の保持具(バスケット)102は、板状の複数の被処理物Wを互いに間隔をおいた状態で保持するための保持具である。保持具101は、上述した複数のクランパー1と、複数の第1保持部材51と、複数の第2保持部材52と、支持枠60と、保持部材付勢手段70と、を備える。上下クランプ式の保持具102は、第1保持部材51と第2保持部材52が、支持枠60とは別体の外枠54の一部を構成している点で、サイドクランプ式の保持具101と異なる。
【0089】
図12に示すように、外枠54は、第1保持部材51(上枠部材51)と、第1保持部材51に対して下方に間隔をあけて設けられた第2保持部材52(下枠部材52)と、一対の上縦枠部材56,56と、一対の下縦枠部材57,57とを含む。一対の上縦枠部材56,56は、第1保持部材51の両サイドに接続されており、下方に延びている。一対の下縦枠部材57,57は、第2保持部材52の両サイドに接続されており、上方に延びている。本実施形態では、上縦枠部材56の長さが下縦枠部材57の長さよりも大きいが、これに限られない。上縦枠部材56の長さは、下縦枠部材57の長さより小さくてもよく、下縦枠部材57の長さと同じであってもよい。一方のサイドの上縦枠部材56と下縦枠部材57とは、上下方向に相対移動可能な状態で連結されており、他方のサイドの上縦枠部材56と下縦枠部材57とは、上下方向に相対移動可能な状態で連結されている。具体的には、次の通りである。
【0090】
図13は、第1保持部材51と第2保持部材52の連結部分を拡大した斜視図である。
図12及び
図13に示すように、下縦枠部材57には、上下方向に延びる外枠ガイド部としてのスリット90が設けられている。上縦枠部材56には、第1ピン91と、第2ピン92とが固定されている。第2ピン92は、第1ピン91に対して下方に間隔をあけて設けられている。第1ピン91及び第2ピン92は、スリット90に挿入されている。第1ピン91及び第2ピン92のそれぞれには、抜け止め部材94(Eリング94)が取り付けられている。下縦枠部材57は、上縦枠部材56と抜け止め部材94の間に配置されている。これにより、上縦枠部材56と下縦枠部材57との連結状態が維持される。
【0091】
下縦枠部材57には、スリット90の上方でスリット90と間隔をあけた位置に第3ピン93が固定されている。第1ピン91、第2ピン92及び第3ピン93は、同じ方向に延びている。第1ピン91と第3ピン93との間には、保持部材付勢手段70が架け渡される。すなわち、保持部材付勢手段70の一端が第1ピン91に取り付けられ、保持部材付勢手段70の他端が第3ピン93に取り付けられる。これにより、保持部材付勢手段70は、第1保持部材51と第2保持部材52が離れる上下方向に第1ピン91を付勢することができる。本実施形態では、保持部材付勢手段70は、捩りばねであるが、これに限られない。
【0092】
支持枠60は、複数の被処理物Wを互いに間隔をおいて配置する空間Sを形成する。各被処理物Wは、外枠54に設けられた複数のクランパー1によって保持される。複数の外枠54は、支持枠60に支持される。
【0093】
支持枠60は、複数のフレーム部材が直方体状に組み合わされた構成のものであり、支持枠60内には直方体形状の空間Sが形成されている。この空間Sは、プリント基板などの被処理物Wの大きさに対応するとともに、この被処理物Wを厚み方向に多数配列できるような大きさに形成されている。支持枠60の上面は開放されており、被処理物Wの挿入口60aとなっている。
【0094】
前記複数のフレーム部材は、矩形状に組み合わされた下部フレーム61と、この下部フレーム61の4つの角部のそれぞれから上方に延びるサイドフレーム63,63,64,64と、サイドフレーム63とサイドフレーム64の上端部同士を接続する上部フレーム(長尺フレーム)62,62とを含む。
【0095】
下部フレーム61は、一方のサイドから他方のサイドまで延びる一対の長尺フレーム61a,61aと、短尺フレーム61b,61bとを含む。一方の短尺フレーム61bは、一方のサイドにおいて長尺フレーム61a,61aの端部同士を接続し、他方の短尺フレーム61bは、他方のサイドにおいて長尺フレーム61a,61aの端部同士を接続する。
【0096】
補強フレーム65,65は、一対のサイドフレーム63,63を接続しており、補強フレーム66,66は、一対のサイドフレーム64,64を接続している。
【0097】
支持枠60は、一対の上枠支持部81,81と、少なくとも1つの下枠係止部82と有する。本実施形態では、支持枠60は、複数の下枠係止部82を有する。一対の上枠支持部81,81は、水平方向に延びる第1保持部材51の一端部51aと他端部51bを支持するためのものである。下枠係止部82は、水平方向に延びる第2保持部材52が係止されて第2保持部材52の横ぶれを抑制する機能を有する。
【0098】
一対の上枠支持部81,81は、第1保持部材51の延びる方向に互いに間隔をあけて配置されている。一方の上枠支持部81は、支持枠60の一方のサイドに設けられており、他方の上枠支持部81は、支持枠60の他方のサイドに設けられている。一方の上枠支持部81は、支持枠60の一方のサイドにおいて、長尺フレームである上部フレーム62と上部フレーム62との間に架け渡されている。他方の上枠支持部81は、支持枠60の他方のサイドにおいて、長尺フレームである上部フレーム62と上部フレーム62との間に架け渡されている。
【0099】
一方の上枠支持部81は、上方に開口して第1保持部材51の一端部51aが挿入される上溝81aが複数設けられており、他方の上枠支持部81は、上方に開口して第1保持部材51の他端部51bが挿入される上溝81aが複数設けられている。
【0100】
複数の下枠係止部82は、第2保持部材52の延びる方向に互いに間隔をあけて配置されている。各下枠係止部82は、長尺フレームである下部フレーム61の長尺フレーム61aと長尺フレーム61aとの間に架け渡されている。各下枠係止部82は、上方に開口して第2保持部材52が挿入される複数の下溝82aを有する。
【0101】
図10(A),(B)に示すように、第1保持部材51の長さは、一方の上枠支持部81の上溝81aと他方の上枠支持部81の上溝81aとの間の間隔よりも大きい。第1保持部材51の一端部51a及び他端部51bのそれぞれは、上溝81aよりも水平方向外側に突出している。
【0102】
第2保持部材52の長さは、一方の上枠支持部81の上溝81aと他方の上枠支持部81の上溝81aとの間隔よりも小さい。第2保持部材52の両端部は、上溝81aよりも水平方向内側に位置している。
【0103】
図14は、上下クランプ式の保持具102において、支持枠60に外枠が装着された状態を示す拡大図である。
図14に示すように、上枠支持部81の各上溝81aは、溝下部81bと、溝上部81cとを含む。溝下部81bは、溝幅が一定の部分であり、溝上部81cは、溝下部81bの上端につながっており、上方に向かうにつれて溝幅が拡大する部分である。これにより、第1保持部材51の一端部51a及び他端部51bを上溝81aに挿入しやすくなる。
【0104】
また、下枠係止部82の各下溝82aは、溝下部82bと、溝上部82cとを含む。溝下部82bは、溝幅が一定の部分であり、溝上部82cは、溝下部82bの上端につながっており、上方に向かうにつれて溝幅が拡大する部分である。これにより、第2保持部材52を下溝82aに挿入しやすくなる。
【0105】
また、
図14に示すように、上溝81aに挿入された第1保持部材51の一端部51a及び他端部51bが上溝81aの底部81dに接する状態のときに、下溝82aに挿入された第2保持部材52と下溝82aの底部82dとの間には隙間が形成されているのが好ましい。
【0106】
各第1保持部材51には、複数のクランパー1が保持されている。各第1保持部材51において、複数のクランパー1は、互いに間隔をあけて水平方向に並んでいる。各第2保持部材52には、複数のクランパー1が保持されている。各第2保持部材52において、複数のクランパー1は、互いに間隔をあけて水平方向に並んでいる。各被処理物Wの上縁部は、第1保持部材51に設けられた複数のクランパー1によって挟持され、被処理物Wの下縁部は、第2保持部材52に設けられた複数のクランパー1によって挟持される。これにより、
図10(A)−(C)に示すように、複数の被処理物Wは、支持枠60の空間Sにおいて安定して保持される。
【0107】
取付方法の具体例を挙げると、次の通りである。まず、被処理物Wの上縁部に第1保持部材51に設けられた複数のクランパー1を取り付ける。次に、被処理物Wの下縁部にクランパー1を取り付けるときには、保持部材付勢手段70の付勢力に抗して、第2保持部材52を被処理物W側に近づける方向に第2保持部材52を移動させた状態で、第2保持部材52に設けられた複数のクランパー1を被処理物Wの一方の側縁部に取り付ける。
【0108】
なお、本実施形態では、保持部材付勢手段70が外枠54の下部に設けられているが、これに限られない。保持部材付勢手段70は、外枠54の上部に設けられていてもよく、上下方向の中間部に設けられていてもよい。
【0109】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、第1実施形態及び第2実施形態では、クランパー1の第1挟持部材10において、第1接触部12は、第1基部11から延びる複数の板ばね部15を有する。この構成では、第1接触部12は、複数の板ばね部15が第1基部11から分岐した構造を備える。すなわち第1接触部12は複数の部分に分割された構造を備える。そして、複数の板ばね部15は、被処理物Wに接するときに互いに独立して弾性変形する。したがって、本発明のクランパー1は、複数の板ばね部15のそれぞれが被処理物Wに対して確実に接した状態で被処理物Wを挟持することができる。これにより、被処理物Wのクランプ位置がずれたり、被処理物Wがクランパー1から外れたりすることを抑制できる。
【0110】
第1実施形態及び第2実施形態では、各板ばね部15は、第1基部11から延びる延出部16と、延出部16の端部において折れ曲がる折り返し部17と、を含み、折り返し部17は、被処理物Wに接する接触面17aを有しているのが好ましい。
【0111】
この構成では、折り返し部17を延出部16に対して折り曲げる構造を採用することで、各板ばね部15が弾性変形しやすくなる。すなわち、延出部16を第1基部11に対して弾性変形させるとともに、折り返し部17を延出部16に対して弾性変形させることができる。
【0112】
第1実施形態及び第2実施形態では、各板ばね部15において、延出部16に対する折り返し部17の折れ曲がり角度θは、接触面17aが被処理物Wに対して面接触するように調節されているのが好ましい。
【0113】
この構成では、上記のように面接触することにより、第1接触部12と被処理物Wとの接触面積を大きくすることができるので、被処理物Wを挟持するクランパー1の挟持力を高めることができる。
【0114】
第1実施形態では、第2挟持部材20の第2接触部12は、第1挟持部材10の第1接触部12と同じ構造を有しているのが好ましい。
【0115】
この構成では、第2挟持部材20の第2接触部12が第1接触部12と同じ構造を有しているので、第2挟持部材20の第2接触部12への異物の付着、第2接触部12の傾きの変動、第2接触部12の摩耗などが生じたとしても、第2接触部12における複数の板ばね部15が互いに独立して弾性変形して被処理物Wに接する。これにより、クランパー1の挟持力の低下を抑制する効果をさらに高めることができる。具体的には次の通りである。
【0116】
第2挟持部材20は、第2基部11と、第2接触部12とを有し、第2接触部12は、第2基部11から延びる複数の板ばね部15を有し、複数の板ばね部15は、互いに独立して弾性変形して被処理物Wに接する。また、第2接触部12において、各板ばね部15は、第2基部11から延びる延出部16と、延出部16の端部において折れ曲がる折り返し部17と、を含み、折り返し部17は、被処理物Wに接する接触面17aを有しているのが好ましい。また、第2接触部12の各板ばね部15において、延出部16に対する折り返し部17の折れ曲がり角度は、接触面17aが被処理物Wに対して面接触するように調節されているのが好ましい。
【0117】
保持具101,102は、板状の複数の被処理物Wを互いに間隔をおいた状態で保持するためのものである。保持具101,102は、上述した複数のクランパー1と、被処理物Wの一側を挟持するクランパー1が保持される複数の第1保持部材51と、被処理物Wの他側を挟持するクランパー1が保持される複数の第2保持部材52と、第1保持部材51及び第2保持部材52によって保持された状態の複数の被処理物Wを互いに間隔をおいて配置する空間Sを形成する支持枠60と、第1保持部材51と第2保持部材52が離れる方向に第1保持部材51及び第2保持部材52の少なくとも一方を付勢する保持部材付勢手段70と、を備える。
【0118】
この構成では、保持部材付勢手段70によって第1保持部材51と第2保持部材52が離れる方向に第1保持部材51及び第2保持部材52の少なくとも一方が付勢されるので、支持枠60の空間Sに配置された複数の被処理物Wのそれぞれが常に伸張された状態となる。これにより、各被処理物Wが撓むのを抑制できる。また、保持部材付勢手段70によって被処理物Wが伸張された状態では、仮に挟持力の低い従来のクランパー1を用いた場合、被処理物Wのクランプ位置がずれたり、被処理物Wがクランパー1から外れたりする不具合が生じやすくなるが、この構成では、複数の板ばね部15を有する上述のクランパー1を採用しているので、被処理物Wのクランプ位置がずれたり、被処理物Wがクランパー1から外れたりするのを抑制することができる。これにより、被処理物Wが伸張された状態を維持できる。
【0119】
保持具がサイドクランプ式の保持具101である場合、第1保持部材51が支持枠60の一方のサイドに設けられ、第1保持部材51によって保持されるクランパー1が被処理物Wの一方の側縁部を挟持し、第2保持部材52が支持枠60の他方のサイドに設けられ、第2保持部材52によって保持されるクランパー1が被処理物Wの他方の側縁部を挟持する。
【0120】
このサイドクランプ式の保持具101では、保持部材付勢手段70によって被処理物Wを横方向に引っ張る力を加えることができるので、支持枠60の空間Sに配置された複数の被処理物Wのそれぞれが常に伸張された状態となる。これにより、各被処理物Wが撓むのを抑制できる。
【0121】
サイドクランプ式の保持具101は、支持枠60に固定された固定部材53を備え、固定部材53は、水平方向に延びるガイド部58を有し、第1保持部材51が固定部材53に対してガイド部58に沿って水平方向に相対移動可能であり、保持部材付勢手段70は、第1保持部材51が第2保持部材52に対して離れる水平方向に第1保持部材51を付勢するのが好ましい。
【0122】
この構成では、第1保持部材51が固定部材53に対してガイド部58に沿って水平方向に案内されるので、例えば第1保持部材51が固定部材53に対して水平方向から傾斜した方向に移動して被処理物Wがねじれるなどの不具合が生じるのを抑制できる。
【0123】
サイドクランプ式の保持具101において、支持枠60は、空間Sに被処理物Wが挿入される挿入口60aを有し、被処理物Wが空間Sに挿入されるときには、支持枠60は、挿入口60aが空間Sの上方に位置する姿勢で配置され、空間Sに配置された複数の被処理物Wがめっき液に浸漬されるときには、支持枠60は、挿入口60aが空間Sの側方に位置し、且つ、第1保持部材51が第2保持部材52よりも下方に位置する姿勢で配置されるのが好ましい。
【0124】
この構成では、被処理物Wが空間Sに挿入されるときには、挿入口60aが空間Sの上方に位置する姿勢で支持枠60が配置されるので、例えば製造ラインにおいて保持具101の上方に搬送された被処理物Wを下方に移動させるだけで、被処理物Wを支持枠60内に挿入することができる。そして、空間Sに配置された複数の被処理物Wがめっき液に浸漬されるときには、挿入口60aが空間Sの側方に位置し、且つ、第1保持部材51が第2保持部材52よりも下方に位置する姿勢で支持枠60が配置される。この姿勢では、第1保持部材51と第2保持部材52が上下方向に並ぶように配置されるので、第1保持部材51が第2保持部材52から離れる方向に第1保持部材51に重力が作用する。これにより、被処理物Wがさらに伸張される方向に引っ張られて伸張状態が維持されやすくなる。このような伸張状態で被処理物Wをめっき液に浸漬して処理することができる。
【0125】
保持具が上下クランプ式の保持具102である場合、第1保持部材51によって保持されるクランパー1が被処理物Wの上縁部を挟持し、第2保持部材52によって保持されるクランパー1が被処理物Wの下縁部を挟持し、第1保持部材51と第2保持部材52は、支持枠60とは別体の外枠54の一部を構成しているのが好ましい。
【0126】
この上下クランプ式の保持具102では、保持部材付勢手段70によって被処理物Wを上下方向に引っ張る力を加えることができるので、支持枠60の空間Sに配置された複数の被処理物Wのそれぞれが常に伸張された状態となる。これにより、各被処理物Wが撓むのを抑制できる。また、上下クランプ式の保持具102では、第1保持部材51と第2保持部材52が上下方向に並ぶように配置されるので、第1保持部材51が第2保持部材52から離れる方向に第1保持部材51又は第2保持部材52に重力が作用する。これにより、被処理物Wがさらに伸張される方向に引っ張られて伸張状態が維持されやすくなる。また、この構成では、予め被処理物Wが保持された複数の外枠54を支持枠60に挿入するだけで、複数の被処理物Wを保持具102に保持することができる。そして、複数の被処理物Wを一度に表面処理することができる。
【0127】
上下クランプ式の保持具102は、第1保持部材51の両サイドから下方に延びる上縦枠部材56と、第2保持部材52の両サイドから上方に延びる下縦枠部材57と、を備え、上縦枠部材56及び下縦枠部材57の一方には、上下方向に延びる外枠ガイド部90が設けられており、上縦枠部材56及び下縦枠部材57の他方には、外枠ガイド部90に係合した状態で外枠ガイド部90に対して上下方向に相対移動する第1ピン91が固定されており、保持部材付勢手段70は、第1保持部材51と第2保持部材52が離れる上下方向に第1ピン91を付勢するという形態であるのが好ましい。
【0128】
この構成では、第1ピン91は、外枠ガイド部90に係合した状態で上下方向に案内されるので、例えば上縦枠部材56が下縦枠部材57に対して上下方向から傾斜した方向に移動して被処理物Wがねじれるなどの不具合が生じるのを抑制できる。
【0129】
上縦枠部材56及び下縦枠部材57の他方には、第1ピン91に対して上下方向に間隔をあけた位置に第2ピン92が固定されており、第2ピン92は、外枠ガイド部90に係合した状態で外枠ガイド部90に対して上下方向に相対移動するという形態であるのが好ましい。
【0130】
この構成では、第1ピン91に対して上下方向に間隔をあけた位置に固定された第2ピン92を備えており、この第2ピン92が外枠ガイド部90に係合して上下方向に案内される。すなわち、この構成では、第1ピン91だけでなく第2ピン92も外枠ガイド部90に係合しているので、第1保持部材51が第2保持部材52に対して上下方向に相対移動するときに、第1保持部材51又は第2保持部材52が横方向にぶれるのが抑制され、相対移動時の動作が安定する。
【0131】
上下クランプ式の保持具102において、支持枠60は、水平方向に延びる第1保持部材51の一端部と他端部を支持するために第1保持部材51の延びる方向に互いに間隔をあけて配置された一対の上枠支持部81と、水平方向に延びる第2保持部材52が係止されて第2保持部材52の横ぶれを抑制する下枠係止部82と、を有しているのが好ましい。
【0132】
この構成では、一対の上枠支持部81によって第1保持部材51の一端部と他端部を支持することができ、下枠係止部82によって第2保持部材52を係止して第2保持部材52の横ぶれを抑制することができる。
【0133】
上下クランプ式の保持具102において、一方の上枠支持部81は、上方に開口して第1保持部材51の一端部が挿入される上溝81aを有し、他方の上枠支持部81は、上方に開口して第1保持部材51の他端部が挿入される上溝81aを有し、下枠係止部82は、上方に開口して第2保持部材52が挿入される下溝82aを有しているのが好ましい。
【0134】
この構成では、第1保持部材51及び第2保持部材52を支持枠60の上方から下方に向かって下降させるだけで、第1保持部材51の一端部及び他端部を上枠支持部81の上溝81aの挿入し、第2保持部材52を下枠係止部の下溝82aに挿入することができる。
【0135】
上下クランプ式の保持具102において、上溝81aに挿入された第1保持部材51の一端部及び他端部が上溝81aの底部に接する状態のときに、下溝82aに挿入された第2保持部材52と下溝82aの底部との間には隙間が形成されているのが好ましい。
【0136】
この構成では、下溝82aに挿入された第2保持部材52と下溝82aの底部との間に隙間が形成されているので、第2保持部材52が下溝82aの底部に接することによって第2保持部材52が第1保持部材51から離れる方向に相対移動するのが妨げられない。したがって、被処理物Wに撓みが生じるのを抑制できる。
【0137】
上下クランプ式の保持具102において、第1保持部材51の長さは、一方の上枠支持部81の上溝81aと他方の上枠支持部81の上溝81aとの間隔よりも大きく、第1保持部材51の一端部及び他端部のそれぞれは、上溝81aよりも水平方向外側に突出しており、第2保持部材52の長さは、一方の上枠支持部81の上溝81aと他方の上枠支持部81の上溝81aとの間隔よりも小さく、第2保持部材52の両端部は、上溝81aよりも水平方向内側に位置しているのが好ましい。
【0138】
この構成では、被処理物Wを保持した第1保持部材51及び第2保持部材52を、支持枠60の上方から空間Sに挿入する際に、第2保持部材52の下方への移動が一対の上枠支持部81によって妨げられない。また、上溝81aよりも水平方向外側に突出している第1保持部材51を、支持枠60の上方から空間Sに向かって下降させるだけで、第1保持部材51の一端部と他端部を一方の上枠支持部81の上溝81aと他方の上枠支持部81の上溝81aに挿入することができる。
【0139】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、クランパー1において、接触部12の板ばね部15が延出部16と折り返し部17とを含む場合を例示したが、これに限られない。板ばね部15は、例えば折り返し部17を省略することもできる。この場合、板ばね部15の延出部16が被処理物Wと接する。
【0140】
前記サイドクランプ式の保持具101において、固定部材53が水平方向に延びるガイド部58を有し、第1保持部材51(可動部材51)が係合部55を有する場合を例示したが、これに限られない。これらのガイド部58及び係合部55は省略することができる。
【0141】
前記上下クランプ式の保持具102において、第1ピン91,第2ピン92及びスリット90によって上縦枠部材56が下縦枠部材57に対して相対的にスライド移動する場合を例示したが、スライド移動の形態は、これに限られず、他の形態を採用することもできる。
【0142】
前記上下クランプ式の保持具102において、上溝に挿入された第1保持部材51が上溝の底部に接する状態のときに、下溝に挿入された第2保持部材52と下溝の底部との間には隙間が形成されている場合を例示したが、これに限られない。上溝に挿入された第1保持部材51が上溝の底部に接する状態のときに、下溝に挿入された第2保持部材52が下溝の底部に接していてもよい。