特許第6234736号(P6234736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234736
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】スピン処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20171113BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01L21/304 648K
   H01L21/304 643A
   H01L21/304 648L
   B05C11/08
   H01L21/30 569C
   H01L21/30 564C
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-179910(P2013-179910)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-50263(P2015-50263A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100118430
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 文彦
(72)【発明者】
【氏名】古矢 正明
【審査官】 柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−286833(JP,A)
【文献】 特開2001−351857(JP,A)
【文献】 特開2007−234882(JP,A)
【文献】 特開2007−324249(JP,A)
【文献】 特開2004−304138(JP,A)
【文献】 特開2002−159904(JP,A)
【文献】 特開2012−047793(JP,A)
【文献】 特開平10−281643(JP,A)
【文献】 特開2009−32777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B05C 11/08
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させて処理するスピン処理装置であって、
回転する前記基板をその外周から離間して囲むように環状に形成され、その回転する基板から飛散する液体を受けて収容する液受け部と、
前記液受け部をその外周から離間して囲むように環状に形成され、前記液受け部の上面から外周面に沿って気流を生じさせるための環状の外側排気流路を形成するカップ体とを有し、
前記液受け部は、
回転する前記基板の回転軸に対して所定の傾斜角度で傾斜するように前記液受け部の内周面に個別に設けられ、回転する前記基板から飛散する前記液体をそれぞれ受ける複数の傾斜板材と、
昇降可能に形成され、前記複数の傾斜板材を内周面に有する環状の可動液受け部と、
前記複数の傾斜板材により受けた液体を収容する環状の固定液受け部と、を備え、
前記複数の傾斜板材は、前記回転する前記基板の任意の基板端の点から前記可動受け部の前記内周面側を見ると、前記内周面が前記傾斜板材により覆われている状態となるように、前記内周面の周方向に沿って設けられ、
前記可動液受け部が液受け位置に上昇した場合には、回転する前記基板から飛散する前記液体が前記複数の傾斜板材に直接当たり、前記固定液受け部に収容され、前記可動液受け部が閉蓋位置に下降した場合には、回転する前記基板から飛散する前記液体が前記カップ体の内周面に当たり、前記外側排気流路を流れることを特徴とするスピン処理装置。
【請求項2】
前記複数の傾斜板材は、前記基板の端から基板回転の接線方向に伸ばした仮想線に対して前記液受け部の内周面よりも先に交差するようにそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピン処理装置。
【請求項3】
前記複数の傾斜板材は、前記回転する基板から飛散する前記液体が、前記液受け部の内周面に当たらないよう、前記液受け部の内周面の周方向に並べて設けられることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置
【請求項4】
前記複数の傾斜板材は、前記回転する基板から飛散する前記液体が、前記各傾斜板材の下面に当たるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスピン処理装置。
【請求項5】
前記液受け部の上端部は、前記液受け部の全周にわたって内側に傾斜するように形成されており、
前記複数の傾斜板材は、前記上端部の内周面まで延びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のスピン処理装置。
【請求項6】
前記液受け部は、網目状のフッ素樹脂体を内蔵し、全体がフッ素樹脂により覆われ樹脂部材により形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のスピン処理装置。
【請求項7】
前記液受け部の環内に設けられて環状に形成され、前記液受け部の内周面に沿って気流を生じさせるための環状の内側排気流路を形成する仕切り部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のスピン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スピン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体装置や液晶表示装置の製造過程には、ウェーハやガラス板などの基板に回路パターンを形成する成膜プロセスやフォトプロセスが存在している。これらのプロセスでは、スピン処理装置が用いられ、基板に対して薬液処理や洗浄処理、乾燥処理などが実行される。
【0003】
スピン処理装置は、基板の外周面を把持し、その基板の中心に垂直な軸を回転軸として基板を回転させ、その回転する基板に処理液(例えば、薬液や純水など)を供給してウエット処理を行う。このスピン処理装置は、回転する基板から飛散する処理液を受ける環状の液受け部などを備えている。この液受け部は、回転する基板の外周面(端面)から所定距離だけ離して設けられている。
【0004】
液受け部は、基板端より飛散する液を受け止める必要があり、さらに、液受け部の壁面に当たった液が基板側に跳ね返ることを抑止する必要がある。この基板側への液ハネ(液跳ね)を抑止するため、液受け部の壁面を基板端から離すことによって、液受け部の壁面で跳ねた液滴が基板面まで戻ることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−212493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のように、基板側への液ハネを抑止するため、環状の液受け部の壁面(内周面)を基板端から離す場合には、その分、液受け部の外形を大きくする必要があるため、スピン処理装置が大きくなり重くなってしまう。このため、基板側への液ハネを抑止しつつ、スピン処理装置の小型化及び軽量化を実現することが求められている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、基板側への液ハネを抑止しつつ装置の小型化及び軽量化を実現することができるスピン処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るスピン処理装置は、
基板を回転させて処理するスピン処理装置であって、
回転する前記基板をその外周から離間して囲むように環状に形成され、その回転する基板から飛散する液体を受けて収容する液受け部と、
前記液受け部をその外周から離間して囲むように環状に形成され、前記液受け部の上面から外周面に沿って気流を生じさせるための環状の外側排気流路を形成するカップ体とを有し、
前記液受け部は、
回転する前記基板の回転軸に対して所定の傾斜角度で傾斜するように前記液受け部の内周面に個別に設けられ、回転する前記基板から飛散する前記液体をそれぞれ受ける複数の傾斜板材と、
昇降可能に形成され、前記複数の傾斜板材を内周面に有する環状の可動液受け部と、
前記複数の傾斜板材により受けた液体を収容する環状の固定液受け部と、を備え、
前記複数の傾斜板材は、前記回転する前記基板の任意の基板端の点から前記可動受け部の前記内周面側を見ると、前記内周面が前記傾斜板材により覆われている状態となるように、前記内周面の周方向に沿って設けられ、
前記可動液受け部が液受け位置に上昇した場合には、回転する前記基板から飛散する前記液体が前記複数の傾斜板材に直接当たり、前記固定液受け部に収容され、前記可動液受け部が閉蓋位置に下降した場合には、回転する前記基板から飛散する前記液体が前記カップ体の内周面に当たり、前記外側排気流路を流れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板側への液ハネを抑止しつつ装置の小型化及び軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係るスピン処理装置の概略構成を示す断面図である。
図2】実施形態に係る可動液受け部が閉蓋位置にある場合のスピン処理装置の概略構成を示す断面図である。
図3】実施形態に係る可動液受け部を示す斜視図である。
図4】実施形態に係る可動液受け部が備える傾斜板材を拡大して示す斜視図である。
図5】実施形態に係る可動液受け部の一部を拡大して基板と共に示す斜視図である。
図6図5の5A−5A線断面図である。
図7図5の6A−6A線断面図である。
図8図5の基板面で可動液受け部を切断して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、実施形態に係るスピン処理装置1は、ベースとなるベース体2と、上面が開口するカップ体3と、そのカップ体3内で回転する回転体4と、その回転体4を回転させる駆動モータ5と、回転体4を囲む環状(本実施形態では円環状であり、以下同じである)の液受け部6と、ベース体2と回転体4との間の空間を囲む環状の仕切り部材7と、各部を制御する制御部(例えば、マイクロコンピュータなど)8とを備えている。
【0014】
ベース体2は、板形状に形成されており、このベース体2の底面の中心部には、貫通孔2aが形成されている。また、このベース体2の周縁部には、排液を流出させるための複数の排出管2bが周方向に所定間隔で接続されている。
【0015】
カップ体3は、上面及び下面開口の筒状(環状)に形成されており、その内部に回転体4や液受け部6などを収容する。このカップ体3の上端部は、全周にわたって径方向内方に向かって傾斜するように形成されている。カップ体3は、例えばシリンダなどの昇降機構(図示せず)により昇降可能に構成されている。
【0016】
回転体4は、駆動モータ5からの動力を伝える円筒状の伝動体4aと、基板Wを把持する複数(例えば、六個)のクランプ部4bと、それらのクランプ部4bを保持する回転プレート4cと、各クランプ部4bに個別に取り付けられた複数の子歯車4dと、それらの子歯車4dに噛み合う親歯車4eと、親歯車4eの回転を制限する停止位置決め部4fと、各部を覆うカバー4gとを備えている。
【0017】
駆動モータ5は、筒状の固定子5aと、この固定子5a内に回転可能に挿入された筒状の回転子5bとにより構成されている。この駆動モータ5は、各クランプ部4bにより把持(クランプ)された基板Wを回転させる駆動源となるモータである。駆動モータ5は電気的に制御部8に接続されており、制御部8の制御に応じて駆動する。
【0018】
伝動体4aは、その中心軸である回転軸が駆動モータ5の回転軸に一致するように駆動モータ5の回転子5bに固定されており、その回転子5bと共に回転する。このため、伝動体4aは駆動モータ5によって回転することになる。
【0019】
ここで、伝動体4a及び回転子5bの内部空間には、回転しない固定状態の固定軸11が設けられている。この固定軸11の上部には、ノズルヘッド12が設けられており、このノズルヘッド12には、各クランプ部4bにより把持された基板Wの裏面に向けて処理液(例えば、薬液や純水など)を吐出するノズル12aが形成されている。このノズル12aには、処理液が流れる供給配管13が接続されている。なお、基板Wの表面に処理液(例えば、薬液や純水など)を供給するノズル(図示せず)も回転体4の上方に設けられている。
【0020】
各クランプ部4bは、伝動体4aの回転軸を中心とする円周上に所定間隔、例えば等間隔で設置されている。これらのクランプ部4bを動作させることで、基板Wの中心を伝動体4aの回転軸の中心に位置付けるセンタリングを行って基板Wを把持する機構が実現されている。
【0021】
クランプ部4bは、基板Wに接触するクランプピン21と、そのクランプピン21を保持して回転する回転板22と、その回転板22を保持して回転するピン回転体23とを備えている。クランプピン21は、逆テーパ状に形成されており、ピン回転体23の回転軸から一定距離偏心させて回転板22上に固定され、回転板22と一体になっている。このクランプピン21は、ピン回転体23の回転に応じて偏心回転する。なお、ピン回転体23は回転プレート4cが備える支持筒部24によって回転可能に保持されている。
【0022】
クランプ部4bでは、ピン回転体23が、基板Wを把持するクランプ方向に回転すると、回転板22上のクランプピン21が偏心回転し、基板Wの外周面(端面)に当接する。他のクランプ部4bでも同じようにクランプピン21が基板Wの外周面に当接し、各クランプピン21は基板Wを伝動体4aの回転軸の中心にセンタリングしつつ把持する。一方、ピン回転体23がクランプ方向の逆の開放方向に回転すると、回転板22上のクランプピン21が前述と逆方向に偏心回転し、基板Wの外周面から離れる。他のクランプ部4bでも同じようにクランプピン21が基板Wの外周面から離れ、把持状態の基板Wが開放されることになる。
【0023】
回転プレート4cは、伝動体4aの外周面に固定されて一体となっており、各クランプ部4bを保持して伝動体4aと共に回転する。この回転プレート4cが伝動体4aの回転によって伝動体4aと一緒に回転するため、各クランプ部4bも伝動体4aの回転軸を中心として回転することになる。
【0024】
各子歯車4dは、それぞれクランプ部4bのピン回転体23の下部に個別に固定され、対応するピン回転体23と共に回転するように形成されている。これらの子歯車4dは親歯車4eに噛み合うように形成されており、その親歯車4eの回転によって回転する構造になっている。
【0025】
親歯車4eは、各子歯車4dと噛み合うように伝動体4aの外周面に軸受25によって回転可能に設けられている。この親歯車4eは、クランプバネなどの付勢部材26によって例えば反時計回り方向に付勢されている。このため、各子歯車4dが時計回り方向に回転し、その回転に各ピン回転体23が連動して時計回り方向(クランプ方向)に回転し、各クランプピン21が偏心回転して基板Wの外周面に当接する。これにより、基板Wは各クランプピン21によって把持され、回転体4と共に回転することになる。
【0026】
停止位置決め部4fは、親歯車4eの回転を制限するための停止ピン(シリンダピン)27と、その停止ピン27を上下させる上下シリンダ28とを備えている。停止ピン27は、上下シリンダ28により上昇して親歯車4eのいずれかの歯に係合し、親歯車4eの回転を禁止する。上下シリンダ28は電気的に制御部8に接続されており、制御部8の制御に応じて上昇又は下降する。前述の停止ピン27により親歯車4eの回転が制限されている状態で、駆動モータ5によって回転プレート4cが反時計回り方向に回転すると、各子歯車4dが反時計回り方向に回転する。この回転に各ピン回転体23が連動して反時計回り方向(開放方向)に回転し、各クランプピン21による基板Wの保持状態が解除されることになる。
【0027】
カバー4gは、下面開口のケース状に形成されており、伝動体4aの回転と共に回転する前述の各部を覆って乱流の発生を防止する。このカバー4gには、ノズルヘッド12のノズル12aから吐出された処理液を上部に通過させるための開口部31と、各クランプ部4bの個々の回転板22が挿入される複数の貫通孔32とが形成されている。
【0028】
液受け部6は、環状の可動液受け部(第1の液受け部)6aと、環状の固定液受け部(第2の液受け部)6bとを具備している。これらの可動液受け部6a及び固定液受け部6bは、回転体4の外周にその回転体4の回転軸を中心として回転体4を囲むようにそれぞれ設けられている。
【0029】
可動液受け部6aは、環状の内壁41と、環状の外壁42と、それらの上端部をつなぐ環状の上面壁43とにより構成されている。内壁41の上端部は、全周にわたって径方向内方に向かって傾斜するように形成されている。その傾斜に合わせて上面壁43の外面(上面)も回転体4から離れる方向に沿って徐々に低くなるように形成されている。なお、環状の内壁41と環状の外壁42との間には、所定間隔の環状の空間が存在している。
【0030】
ここで、環状の内壁41の回転体4側の内周面には、その内壁41の環方向に沿って複数の傾斜板材41aが設けられている(詳しくは、後述する)。これらの傾斜板材41aは、基板Wの端部から飛散した液滴が環状の内壁41の内周面に当たる前に、その液滴を受けるように設けられている。
【0031】
この可動液受け部6aは、例えばシリンダなどの昇降機構(図示せず)により昇降可能に構成されている。このため、可動液受け部6aは、その上端部が回転体4上の基板Wの高さよりも高い位置であって各傾斜板材41aが基板Wからの液体を受け取る液受け位置(図1参照)と、その上端部が回転体4上の基板Wの高さよりも低い位置であって固定液受け部6bへの液の流入を防止する閉蓋位置(図2参照)とに移動することが可能である。したがって、薬液を回収する場合には、可動液受け部6aが液受け位置に上昇し、回転体4上の基板Wからの液を受け取って固定液受け部6bの中に流すことになる。
【0032】
固定液受け部6bは、環状の内壁51と、環状の外壁52と、それらの下端部をつなぐ環状の底面壁53とにより構成されている。この底面壁53には、薬液を回収するための複数の回収配管53aが周方向に所定間隔で接続されている。なお、環状の内壁51と環状の外壁52との間には、所定間隔の環状の空間が存在している。
【0033】
この固定液受け部6bは、環状の内壁51と環状の外壁52との間に可動液受け部6aの内壁41が位置するように設けられており、可動液受け部6aの各傾斜板材41aによって受けた液体を収容することが可能になっている。したがって、固定液受け部6bは、可動液受け部6aの各傾斜板材41aに当たった液を二つの環状壁である内壁51及び外壁52の間の空間(領域)に収容することができる。
【0034】
また、固定液受け部6bは、可動液受け部6aが閉蓋位置まで下降すると、その可動液受け部6aが固定液受け部6bの開口を塞ぐ蓋となる構造になっている。なお、可動液受け部6aが閉蓋位置まで下降した場合には、その可動液受け部6aにより固定液受け部6bの開口が塞がれ、固定液受け部6bの内部に液が流れ込むことが防止される。特に、環状の外壁52が可動液受け部6aの外壁42によって覆われ、固定液受け部6bへの液の流れ込みが確実に抑えられるので、液混合を防ぐことが可能となる。
【0035】
ここで、前述の可動液受け部6aを液受け位置に上昇させた状態においては、基板Wの端部から飛散した液は可動液受け部6aの各傾斜板材41aに当たり、それらの傾斜板材41aに沿って流れて固定液受け部6bに収容され、その後、各回収配管53aから回収される。また、可動液受け部6aを閉蓋位置に下降させた状態においては、基板Wの端部から飛散した液はカップ体3の内周面からベース体2につながる流路を流れ、その後、各排出管2bから排出される。このようにして、例えば液種類に応じて液流路(回収流路と排出流路)を切り替えることができる。
【0036】
なお、可動液受け部6aを閉蓋位置に下降させた状態では、基板Wの端部から飛散した液は、カップ体3の内周面に当たるが、基板Wの端部からカップ体3の内周面までの間には液受け部6を設けるための空間が必要となるため、基板Wの端部からカップ体3の内周面までの距離は長く、さらに、排気流れも存在するため、カップ体3の内周面に当たった液が基板Wの面に戻ることは防止されている。
【0037】
仕切り部材7は、液受け部6の環内(環の中)に設けられて環状に形成され、ベース体2上に設けられている。この仕切り部材7は、液受け部6の外面における内周面から下面に沿って気流を生じさせるための環状の内側排気流路A1を形成するようにベース体2に固定されている。なお、回転体4のカバー4gの外周面と固定液受け部6bの内壁51との間には、環状の隙間が設けられており、その隙間につながる環状の空間が仕切り部材7と固定液受け部6bの内壁51との間に設けられ、内側排気流路A1が形成されている。
【0038】
ここで、カップ体3は、液受け部6をその外周から離間して囲むように環状に形成されており、液受け部6の外面における上面から外周面に沿って気流を生じさせるための環状の外側排気流路A2を形成するように設けられている。カップ体3と可動液受け部6aの外壁42と間には、環状の隙間が設けられており、その隙間の空間が外側排気流路A2として形成されている。
【0039】
外側排気流路A2の太さ(断面サイズ)は、可動液受け部6aの昇降により変わり、例えば、可動液受け部6aが上昇すると徐々に細くなり、下降すると徐々に太くなる。このため、外側排気流路A2の太さをコントロールすることも可能である。このコントロールの一例としては、基板Wの回転が高速回転時である場合(乾燥処理)、内側の排気量を大きくするために外側排気流路A2の太さを小さくし、基板Wの回転が低速回転時である場合(薬液処理)には、外側排気流路A2の太さを大きくする。
【0040】
また、前述の内側排気流路A1及び外側排気流路A2は、ダクトに接続されている排気流路A3に接続されている。この排気流路A3は、ベース体2と仕切り板61により空間を仕切った排気空間である。したがって、内側排気流路A1の気流と外側排気流路A2の気流とは、排気流路A3で混合されて排気流路A3の気流となる。なお、基板Wの回転時には、空気が基板W側から内側排気流路A1を通って流れ、さらに、基板W側から外側排気流路A2を通って流れるような気流が生じるため、基板Wの端部から飛散した液が基板W側に戻るような液ハネを抑止することができる。
【0041】
次いで、可動液受け部6aについて詳しく説明する。
【0042】
図3に示すように、可動液受け部6aは、環状の内壁41と、環状の外壁42と、それらの上端部をつなぐ環状の上面壁43とにより構成されている。なお、内壁41の上端部は、全周にわたって径方向内方に向かって傾斜するように形成されている。
【0043】
環状の内壁41の内周面の上部側には、回転する基板Wから放出された液滴が直接当たる傾斜板材41aが周方向に沿って複数個、等間隔に配置されている。これらの傾斜板材41aは、板状の平面部材(液受け板材)であり、基板Wの中心に垂直な基板Wの回転軸に対して所定の傾斜角度で、環状の内壁41の円周方向(基板Wの円周方向)に沿って徐々に傾斜するようにそれぞれ形成されている。
【0044】
また、環状の外壁42の外周面には、昇降軸(図示せず)が取り付けられる取付部42aが外周方向に沿って複数個(例えば、三個)設けられている。昇降軸は、シリンダなどの昇降機構(図示せず)により上下方向に昇降する軸である。これにより、可動液受け部6aは上下方向に昇降することになる。
【0045】
ここで、傾斜板材41aは、図4に示すように、スピン回転軸Zに対して、図に示す角度α及びβ傾斜した平面C3に含まれるように配置されている。また、この傾斜板材41aは、所定のピッチ角度γで環状の内壁41に順次配置されている。
【0046】
また、図5に示すように、基板Wが矢印B1の方向に回転している場合において、基板W上を流れて基板端の点Pから放出された液滴は、矢印B2の方向(点Pを通る接線方向)に飛散する。この飛散した液滴は傾斜板材41aに当たることになる。この傾斜板材41aは、液滴が飛散する矢印B2の方向に対して浅い角度(例えば45度以下)で当たるように形成されている。
【0047】
さらに、図6に示すように、点Pから内壁41側を見ると、内壁41の内周面が各傾斜板材41aにより覆われている状態になっている。例えば、傾斜板材41aは、基板端の点Pから基板回転の接線方向(図5の矢印B2の方向)に伸ばした仮想線に対して内壁41の内周面よりも先に交差するようにそれぞれ設けられている。これにより、点Pから放出された液滴を傾斜板材41aによって確実に受け取ることが可能となり、その点Pから放出された液滴が内壁41の内周面に当たることを防止することができる。
【0048】
また、図7に示すように、基板端の点Pから放出された液滴は矢印B2の方向に飛散し、傾斜板材41aの下面(下に向かって傾斜する傾斜面)に点Qで当たり、そのまま下面に沿って移動するか、あるいは、その一部が下面で跳ね返り下方の傾斜板材41aの上面(下に向かって傾斜する傾斜面)に移動することになる。なお、液滴は前述の下面で分離しても、回転方向の成分を残して飛散するため、基板W側に戻るような跳ね方をすることは殆どなく、前述の傾斜板材41aによって、基板W側に戻るような液ハネを抑止することができる。
【0049】
また、図8に示すように、各傾斜板材41aは、基板端の点P1の接線(仮想線)L1が傾斜板材41aの端点R1を通り、さらに、次の傾斜板材41a(基板Wの回転方向に隣接する傾斜板材41a)の傾斜面上の点R2を通るようなピッチ(間隔)で、配置されている。このピッチで傾斜板材41aが配置されると、点R2がある傾斜板材41aの端点R3を通る基板端からの接線(仮想線)L2は基板端の点P2を通る。このため、点P1から点P2までの角度が傾斜板材41aの配置角度になる。
【0050】
したがって、点P1から点P2の間で基板Wの回転により放出された液滴は、点R2から点R3の間に当たることになり、点P1から点P2の間の全液滴を傾斜板材41aが受け止めることになる。これにより、基板Wの端部から飛散した液滴は可動液受け部6aの内壁41の内周面に直接当たることがなくなるので、基板W側に戻る液ハネを大幅に低減することができる。このように可動液受け部6aの内壁41の内周面に各傾斜板材41aを配置することによって、液ハネ方向を基板W側に向けない構成を取ることが可能となる。このため、可動液受け部6aと基板Wの端部との距離を短くし、可動液受け部6aの外形を小さくすることが可能となるので、装置サイズの小型化さらに軽量化を達成することができる。
【0051】
なお、液ハネの確実な防止のためには、隣接する傾斜板材41aの間隔を狭くする必要があり、その枚数が増えることになる。複数の傾斜板材41aを等間隔でかつ所定角度で配置するためには、可動液受け部6aの内壁41に板材固定と角度規制を可能とする構造が必要になるため、傾斜板材41aの板厚を厚くすることになり、可動液受け部6aが重くなってしまう。なお、基板W上からの液体が流れる液流路を切り替える構造では、液受け部(可動液受け部)を昇降させる機構が必要となるため、液受け部は軽量であることが望まれている。
【0052】
ここで、可動液受け部6aの製造手段としては、機械加工や樹脂溶接などの各種の手段を用いることが可能である。なお、液受け部6は薬液に接するため、耐薬品性が高い部材で製作されているが、半導体や液晶などの製造工程において処理を行う薬品に耐性がある部材としては、フッ素系樹脂を用いることが望ましい。ところが、機械加工などによりフッ素系樹脂から可動液受け部6aを製造することは困難、すなわち薄肉や複雑な形状の成形が困難である。
【0053】
このため、前述の板材固定と角度規制を可能とし、さらに、可動液受け部6aの軽量化を達成するためには、三次元積層造形法(3Dプリンタ)による製造手段を用いることが望ましい。この場合には、複雑な三次元形状を成形することが可能であり、薄肉でありかつ正確な傾斜を保持した形状の傾斜板材41aを形成することができる。
【0054】
詳しくは、三次元積層造形法により樹脂部材(可動液受け部6aの本体)を形成し、その形成した樹脂部材をフッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)によりコートすることによって、可動液受け部6aを製造する。このフッ素樹脂によるコートによって薬液に対する耐薬品性を大幅に向上させることができる。三次元積層造形法では、樹脂が順次積層されるように樹脂部材が成形されるため、完成した樹脂部材は網目状の隙間を有することになり、例えば、微細な連続気泡を有する連続気泡構造体のような部材となる。このため、フッ素樹脂によりコートが行われると、樹脂部材の網目状の隙間にはフッ素樹脂が充填されることになり、コート後の樹脂部材は、フッ素樹脂により覆われており、網目状のフッ素樹脂体を内蔵する樹脂部材となる。
【0055】
次に、前述のスピン処理装置1のスピン処理動作について説明する。
【0056】
スピン処理動作では、基板Wが各クランプピン21により把持されている状態で、駆動モータ5により回転体4が回転し、回転する基板Wの上面及び下面の両面(表裏)に処理液(例えば、薬液や純水など)が供給される。所定時間後その供給が停止され、その後、回転体4は液供給時よりも速い速度で回転する。この処理液の供給や振り切り時には、基板Wの上下面に供給された処理液は、回転により発生する遠心力及び気流によって基板Wの径方向外方へ流れ、その外周縁から飛散する。このような処理では、可動液受け部6aの移動(昇降)によって、処理液を回収する回収流路とその処理液を排出する排出流路とを切り替えることが可能である。
【0057】
液流路が回収流路である場合、すなわち、可動液受け部6aが液受け位置に上昇し、処理液を回収する場合には(図1参照)、基板Wの端部から飛散した液は可動液受け部6aの各傾斜板材41aに当たり、それらの傾斜板材41aに沿って流れて固定液受け部6bに収容され、その後、各回収配管53aから回収される。
【0058】
このとき、基板W側から内側排気流路A1を通って流れる気流、さらに、基板W側から外側排気流路A2を通って流れる気流が生じるため、基板Wの端部から飛散した液が基板W側に戻るような液ハネを抑止することができる。詳しくは、液受け部6の回転体4側とその反対側との両方に環状の排気流路、すなわち内側排気流路A1及び外側排気流路A2が存在することで、基板Wの回転に伴って放出される気流がそれらの内側排気流路A1及び外側排気流路A2を流れることになる。このため、液受け部6で液のミストが発生しても、そのミストが基板W側に戻ることを抑えることができる。
【0059】
さらに、各傾斜板材41aは、環状の内壁41の内周面に設けられているため、基板Wの端部から飛散した液滴が環状の内壁41の内周面に当たる前に、その液滴を受けることになる。これにより、基板Wの端部から飛散した液滴が可動液受け部6aの内壁41の内周面に直接当たることがなくなるので、その内周面に当たって基板W側に戻る液ハネを大幅に低減することができる。
【0060】
一方、液流路が排出流路である場合、すなわち、可動液受け部6aが閉蓋位置に下降し、処理液を排出する場合には(図2参照)、基板Wの端部から飛散した液はカップ体3の内周面に当たり、カップ体3からベース体2につながる流路を流れ、その後、各排出管2bから排出される。
【0061】
このとき、基板Wの端部から飛散した液は、カップ体3の内周面に当たるが、基板Wの端部からカップ体3の内周面までの距離は十分に長く、さらに、排気流れがあるため、カップ体3の内周面に当たった液が基板Wの面まで戻ることを抑止することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、前述の内側排気流路A1及び外側排気流路A2を設けることによって、基板Wの回転に伴って放出される気流がそれらの内側排気流路A1及び外側排気流路A2を流れることになるため、基板Wの端部から飛散した液が基板W側に戻るような液ハネを抑止することが可能となる。これにより、基板Wの端部と液受け部6との離間距離を短くし、液受け部6の外形を小さくすることが可能となるので、基板W側への液ハネを抑止しつつ装置の小型化及び軽量化を実現することができる。
【0063】
さらに、液受け部6、すなわち可動液受け部6aの環状の内壁41の内周面に各傾斜板材41aを設けることによって、基板Wの端部から飛散した液滴が内壁41の内周面に当たる前にその液滴を受けることが可能となる。これにより、飛散した液滴が可動液受け部6aの内壁41の内周面に直接当たることがなくなるため、基板W側に戻る液ハネを大幅に低減することができる。このため、基板Wの端部と液受け部6との離間距離を短くし、液受け部6の外形を小さくすることが可能となるので、基板W側への液ハネを抑止しつつ装置の小型化及び軽量化を実現することができる。
【0064】
なお、前述の実施形態においては、基板Wとして、円形のウェーハのような円板状の基板に対して処理を行っているが、基板Wの形状は限定されるものではなく、例えば、基板Wとして、液晶パネルのような矩形板状のガラス基板に対して処理を行っても良い。
【0065】
また、前述の実施形態においては、一つの可動液受け部6aにより一種類の液を回収する実施形態について説明したが、例えば、固定液受け部6bの中間に環状の仕切り板を設け、二つの可動液受け部6aを並べて(上下に二重に)設けることで、切り分ける液(回収する液)を二種類に増やすことも可能であり、その回収する液の種類数は特に限定されるものではない。
【0066】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 スピン処理装置
3 カップ体
6 液受け部
6a 可動液受け部
6b 固定液受け部
7 仕切り部材
41a 傾斜板材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8