特許第6234741号(P6234741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソシエテ ビックの特許一覧

<>
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000002
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000003
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000004
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000005
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000006
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000007
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000008
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000009
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000010
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000011
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000012
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000013
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000014
  • 特許6234741-人間工学に基づいた汎用性のある筆記具 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234741
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】人間工学に基づいた汎用性のある筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 3/00 20060101AFI20171113BHJP
   B43K 24/06 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B43K3/00 B
   B43K3/00 H
   B43K24/06
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-183109(P2013-183109)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-54840(P2014-54840A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】1258506
(32)【優先日】2012年9月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド,ボワドゥヴシ
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/97653(WO,A1)
【文献】 特開2012−166381(JP,A)
【文献】 特開2007−276312(JP,A)
【文献】 特開平10−100582(JP,A)
【文献】 特表2007−510565(JP,A)
【文献】 実公昭52−40833(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 3/00
B43K 24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1長手面(A)に関して非対称な人間工学に基づいた握りセグメント(4)を有する前部本体(2)と、
第2長手面(B)に関して非対称な後部本体(3)と、
を備え、
前記後部本体(3)は、右手で握るのに適した位置と左手で握るのに適した位置との間で、前記第1長手面(A)と前記第2長手面(B)との交線に対応する縦軸(X)を中心として、前記前部本体(2)に対して回転可能である、筆記具(1)。
【請求項2】
前記人間工学に基づいた握りセグメント(4)は、長手方向に向きが合わされ、かつ、前記セグメント(4)の握り面(8)に対して半径方向に突出しているリブ(6)を前記第1長手面(A)の一方の側に有する、請求項1に記載の筆記具(1)。
【請求項3】
前記リブ(6)は、前記セグメント(4)の前記握り面(8)に対して2mm以上突出している、請求項2に記載の筆記具(1)。
【請求項4】
前記人間工学に基づいた握りセグメント(4)は、前記前部本体(2)の前端部の方向において、指のための止めフランジ(7)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筆記具(1)。
【請求項5】
前記人間工学に基づいた握りセグメント(4)は、柔軟性のある握り面(8)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の筆記具(1)。
【請求項6】
前記柔軟性のある握り面(8)は、前記人間工学に基づいた握りセグメント(4)の上にオーバーモールドされている、請求項5に記載の筆記具(1)。
【請求項7】
筆記先端部(10)と、
前記前部本体と前記後部本体(2,3)との相対回転によって動作可能であって、前記右手で握るのに適した位置と前記左手で握るのに適した位置との間の中間位置に前記後部本体(3)及び前記前部本体(2)があるときに前記筆記先端部(10)が前記前部本体(2)に格納され、前記右手で握るのに適した位置又は前記左手で握るのに適した位置に前記後部本体(3)及び前記前部本体(2)があるときに前記筆記先端部(10)が前記前部本体(2)の前端部を越えて突出するように構成された、前記筆記先端部の格納伸長機構と、
をさらに備えた、請求項1〜6のいずれか1項に記載の筆記具(1)。
【請求項8】
前記格納伸長機構は、前記前部本体及び前記後部本体(2,3)の一方に対して回転的に固定されたカム面(21)と、前記前部本体及び前記後部本体(2,3)の他方に対して回転的に固定されるとともに前記カム面(21)に接する要素とを含み、
前記カム面(21)又は前記カム面に接する前記要素は、前記縦軸(X)に沿って前記筆記具(1)の内部で移動することができ、かつ、少なくとも前記縦軸(X)に沿った移動において前記筆記先端部(10)に対して固定される、請求項7に記載の筆記具(1)。
【請求項9】
弾性スナップフィットによって前記前部本体(2)と前記後部本体(3)とを軸方向に連結するための管状部品(14)をさらに備えた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の筆記具(1)。
【請求項10】
前記管状部品(14)は、前記前部本体及び前記後部本体(2,3)に対して前記管状部品(14)を軸方向に保持するために、前記前部本体及び前記後部本体(2,3)の複数の対応するショルダーに向かい合っている複数の半径方向ショルダーを有する、請求項9に記載の筆記具(1)。
【請求項11】
前記管状部品(14)は、前記筆記具(1)の内部に収容されている、請求項9又は10に記載の筆記具(1)。
【請求項12】
前記管状部品(14)は、前記前部本体及び前記後部本体(2,3)の一方に対して回転的に固定されており、前記前部本体及び前記後部本体(2,3)の他方に対する2つの回転止め(33)を有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の筆記具(1)。
【請求項13】
前記管状部品(14)は、長手方向スロット(29)を有する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の筆記具(1)。
【請求項14】
前記管状部品(14)は、前記前部本体又は前記後部本体(2,3)の一方に固定されたリブ(25)を前記長手方向スロット(29)に受け入れ、前記前部本体又は前記後部本体(2,3)の一方に対して前記管状部品(14)が回転的に固定される、請求項13に記載の筆記具(1)。
【請求項15】
前記リブ(25)は、前記長手方向スロット(29)に圧入されている、請求項14に記載の筆記具(1)。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の筆記具(1)を使用する方法であって、前記人間工学に基づいた握りセグメント(4)は、片方の手の人差し指又は中指の少なくとも1つの先端と親指の先端との間に保持され、前記人差し指と前記親指との間の握り角度で前記後部本体(3)の支持が確保されるように、前記後部本体(3)は、使用する手に応じて、右手で握るのに適した位置又は左手で握るのに適した位置に向けて、前記前部本体(2)に対して回転させられる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具の分野に関し、より具体的には、その人間工学に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、「筆記具」は、適合した表面に手でトレース書きするための如何なる道具をも意味する。筆記具としては、例えば、鉛筆、ペン、ボールペン又はフェルトペン、さらに適合スタイラスなどが挙げられる。全てのこれらの筆記具は、親指と人差し指との間の握り角度で後ろ部分を支持して筆記具を手の中で安定させつつ、人差し指及び中指の少なくとも1つの先端と親指の先端との間で筆記具の前部分を握るために、典型的には、細長い形を有する。握ることを容易にするために、特に、書くことを学ぶときの学校の児童のために、人間工学に基づいたデザインの種々の筆記具が提案されている。
【0003】
例えば国際特許出願WO01/97653に開示されているような、これらの人間工学に基づいた筆記具は、第1長手面に関して非対称な人間工学に基づいた握りセグメントを持った前部本体と、第1長手面とは異なる第2長手面に関して非対称な後部本体とを有する場合がある。握りセグメントは、指の先端の間で握られるように構成されており、後部本体の非対称性は、握り角度の形、つまり、一方の手の親指と人差し指との間の空間により良く適合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第01/97653号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、そのような人間工学に基づいた筆記具の1つの欠点は、それらの非対称性が原因で、左手のみ又は右手のみでの使用にしかそれらを適合させることができないことにある。従って、ユーザにとっての欠点だけでなく、生産コスト及び保管コストの観点でこの問題に随伴する全てについて言えば、種々の筆記具は、右利き及び左利きの人のために生産されている必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これらの欠点を克服することを目的としている。具体的に、本発明の目的は、第1長手面に関して非対称な人間工学に基づいた握りセグメントを有する前部本体と、第2長手面に関して非対称な後部本体と、を備えているが、右手と左手のどちらでも使用できる筆記具を提案することにある。
【0007】
少なくとも1つの実施形態において、本目的は、後部本体が、右手で握るのに適した位置と左手で握るのに適した位置との間で、第1長手面と第2長手面との交線に対応する縦軸を中心として、前部本体に対して回転可能であるという事実によって達成される。
【0008】
これらの配置のために、筆記具の形は、右手又は左手での人間工学に基づいた使用に二者択一的に適したものとなり、この筆記具の人間工学は、その汎用性と相容れるものとなる。
【0009】
人間工学に基づいた握りセグメントの上で人差し指と親指とを離すために、人間工学に基づいた握りセグメントは、長手方向に向きが合され、かつ、セグメントの握り面に対して半径方向に突出しているリブを第1長手面の一方の側に有することができる。具体的に、このリブは、セグメントの握り面に対して2mm以上突出することができる。このリブは、人間工学に基づいた握りセグメントの上の正しい位置に生徒が指を置くことを手助けし、書くことを学ぶのを容易にしうる。また、リブは、筆記具をより安定して握ることを可能にする。
【0010】
また、ユーザの視野をさっぱりさせる目的で筆記面に対する指の距離を十分に確保するために、人間工学に基づいた握りセグメントは、前部本体の前端部の方向において、例えば先端から10mm以上離れて、指のための止めフランジを有することができる。このことは、生徒が書くことを学ぶときの利点となるだけでなく、他のユーザもより快適にする。より優れた人間工学では、このフランジを特に縦軸に対して傾斜させることができる。
【0011】
筆記具の握りをより快適なものにするために、人間工学に基づいた握りセグメントは、また、柔軟性のある握り面を有することができる。握り面は、好ましくは、前部本体の上にオーバーモールドされている。
【0012】
手の握り角度において筆記具をより安定させるために、後部本体は、第2長手面の一方の側において、人差し指のつけ根で支持されるように構成された凹面を備えることができる。
【0013】
一般的に、格納できるペン先を筆記具に設けることは知られており、これにより、特に、筆記具を使用しないときに、汚れがついたり、ペン先が乾燥したりすることを避けるために、ペン先を格納することが可能である。ペン先を格納及び伸長するために使用される種々の機構の中でも、当業者は、筆記具の2つの部分の相対回転によって動かされる機構についての詳しい知識を持っている。
【0014】
右手で握るのに適した位置と左手で握るのに適した位置との間で、縦軸を中心として互いに対して相対的に回転することができる、前部本体及び後部本体を筆記具が有している場合、この筆記具は、また、筆記先端部と、筆記先端部の格納伸長機構とを備えることができる。格納伸長機構は、前部本体と後部本体との相対回転によって動作可能であって、右手で握るのに適した位置と左手で握るのに適した位置との間の中間位置に後部本体及び前部本体があるときに筆記先端部が前部本体に格納され、右手で握るのに適した位置又は左手で握るのに適した位置に後部本体及び前部本体があるときに筆記先端部が前部本体の前端部を越えて突出するように構成されている。これにより、右手又は左手での使用に適合するように後部本体を前部本体に対して回転させる動きは、同時に、筆記具を使用できる突出位置に筆記先端部を移動させることを助ける。
【0015】
具体的に、格納伸長機構は、前部本体及び後部本体の一方に対して回転的に固定されたカム面と、前部本体及び後部本体の他方に対して回転的に固定されるとともにカム面に接する要素とを備えていてもよく、カム面又はカム面に接する要素は、縦軸に沿って筆記具の内部で移動することができ、かつ、少なくとも縦軸に沿った移動においてペン先に対して固定される。従って、カム面は、前部本体と後部本体との間の回転運動が軸線に沿ったペン先の並進運動に変換されることを可能にする。中間位置から各方向に回転する間にペン先に同一の伸長運動を行わせるために、このカム面は、対称であってもよい。さらに、カム面に対する第2部分の接触を確実なものにするために、格納伸長機構は、カム面に逆らって第2部分を押すように配置された弾性要素を備えていてもよい。
【0016】
本発明のさらなる側面は、筆記具のアセンブリに関する。前部本体及び後部本体は、筆記具の寿命がくるまでの間、縦軸を中心として、互いに頻繁に両回転方向に回転させられるので、ねじ接続が適切であるようには見えない。しかし、頑丈な接続と工業的な生産のしやすさとを提供し、縦軸を中心として前部本体及び後部本体の相対回転を許容するために、この筆記具は、さらに、互いを軸方向に連結する、すなわち、弾性スナップフィットによって前部本体と後部本体とをの方向において連結する管状部品をさらに備えていてもよい。スナップフィット(又はスナップロック)は、はめ合わせ及び弾性変形(一般的には局所的な変形、例えば、タブの)によって2つの部品を組み立てる方法である。2つの部品がスナップフィット位置ではめ合されているとき、これらの部品は、通常、それらの初期形状を取り戻しており、もはや弾性的に変形はしていない(又は、弾性的に殆ど変形していない)。2つの部品がスナップフィット位置で互いにはめ合されているとき、これらの部品は、離脱方向(はめ合わせ方向とは逆方向)へのこれらの部品の相対的な動きに抵抗する、さらには阻止するように、互いに協働する。スナップフィット位置において、2つの部品は、スナップフィット位置を越えた、さらなるはめ合わせ方向への相対的な動きに抵抗する、さらには阻止するように、協働するものであってもよい。具体的に、管状部品は、前部本体及び後部本体に対して管状部品を軸方向に保持するために、前部本体及び後部本体の複数の対応するショルダーに向かい合っている複数のショルダーを有していてもよい。この構成は、筆記具の機械的な組み立てを簡単なものとし、その結果、前部本体と後部本体とを管状部品に対して軸方向に反対向きにはめ合わせるだけで、筆記具を組み立てることができる。管状部品は、スナップフィットを許容するように、ある程度の半径方向への弾性を持っていてもよく、管状部品が弾性復帰した後、管状部品を軸方向に保持するように、半径方向ショルダーは、前部本体及び後部本体のショルダーに支持されることになる。この管状部品は、特に、筆記具の内部に収容されていてもよく、これにより、前部本体と後部本体との目に見えない接続が可能になる。
【0017】
管状部品は、前部本体及び後部本体の一方に対して回転的に固定されていてもよく、前部本体及び後部本体の他方に対する2つの回転止めを有していてもよい。従って、この部品は、2つの本体の間の相対回転を制限するのに使用されてもよい。
【0018】
弾性スナップフィットを容易にするために、この弾性部品は、長手方向スロットを備えていてもよい。この場合、弾性部品は、前部本体又は後部本体の1つに固定されたリブをこの長手方向スロットに受け入れることもできる。従って、長手方向スロットは、前部本体又は後部本体の1つに対して管状部品を回転的にロックするために使用されうる。さらに、管状部品の半径方向の拡張を生じさせるとともに、前部本体又は後部本体の少なくとも1つにおいて内部ショルダーと管状部品とのはめ合わせが生じるように、リブは、長手方向スロットに圧入されてもよく、これにより、管状部品を介した前部本体と後部本体との軸方向の接続が確保される。
【0019】
また、本発明は、この筆記具を使用する方法であって、人間工学に基づいた握りセグメントは、片方の手の人差し指及び中指の少なくとも1つの先端と親指の先端との間に保持され、人差し指と親指との間の握り角度で後部本体の支持が確保されるように、後部本体は、使用する手に応じて、右手で握るのに適した位置又は左手で握るのに適した位置に向けて、前部本体に対して回転させられる、方法に関する。
【0020】
非限定的な例として示されている実施形態の以下の詳細な説明から、本発明をより明確に理解できるとともに、その利点をより明確にすることができる。説明では、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る筆記具の斜視図である。
図2図2は、右手での使用に適合する位置にある図1の筆記具の斜視図である。
図3図3は、左手での使用に適合する位置にある図1及び2の筆記具の斜視図である。
図4図4は、先の図の筆記具の分解斜視図である。
図5図5は、図1の筆記具のV-V面における横断面図である。
図6図6は、図1の位置にあるときの先の図の筆記具の縦断面図である。
図7図7は、図3の位置にあるときの先の図の筆記具の縦断面図である。
図8図8は、先の図の筆記具の後部本体の切り欠き図である。
図9図9は、IX-IX線に沿った、図8の後部本体の縦断面図である。
図10図10は、先の図の筆記具の前部本体の縦断面図である。
図11図11は、図10の前部本体の背面図である。
図12図12は、前部本体及び後部本体を接続するように設計された管状部品の平面図である。
図13図13は、XIII-XIII線に沿った、図12の管状部品の縦断面図である。
図14図14は、XIV-XIV線に沿った、図13の管状部品の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
筆記具1の概略の配置を図1〜3に示す。この筆記具1は、図示された実施形態においてより具体的にはボールペンの形をなしており、縦軸Xを中心として互いに回転可能な前部本体2及び後部本体3を備えている。
【0023】
前部本体2は、人間工学に基づいた握りセグメント4と、前部本体2の先端を形成している末端部分5との2つの部分を備えている。セグメント4は、特に、長手面Aの片面において、半径方向に突出しているリブ6を有することから、長手面Aに関して非対称である。筆記具1の使用時において、このリブ6は、人差し指から親指を隔てることによって握ることを容易にするためのキーとして働く。また、セグメント4は、前部本体2の前端部の方向において指に対向する、半径方向に突出しているフランジ7を有し、これにより、人差し指、中指及び親指でセグメント4を取り巻いて握ることが容易になる。図に示す実施形態では、このフランジ7は、セグメント4をより快適に握れるように、軸方向に傾斜している。また、セグメント4は、セグメント4の他の部分よりも柔軟な材料でできたオーバーモールド握り面8を有する。この握り面8は、僅かにくぼんでおり、確実な握りのために、際立った又は突出した質感を有することもできる。末端部分5は、円錐状の外面と、セグメント4の前端部に末端部分5を固定するために、セグメント4の内部の雌ねじに相補的なねじ山とを有している。
【0024】
後部本体3は、特に、長手面Bの片面において、ユーザの手の握り角度での人差し指のつけ根で後部本体を支持することを容易にする凹状支持面9を有することから、長手面Bに関して非対称である。ただし、使用されている手が右手であるか左手であるかに応じて、人差し指は、リブ6の一方の側又は他方の側にある。右手又は左手での使用に筆記具1を適合させるために、後部本体3は、図2に示す位置と図3に示す位置との間で、縦軸Xを中心として、前部本体2に対して回転することができる。図2に示す位置は、リブ6の右側に凹状面9がある状態で右手を使って使用することに適合している。図3に示す位置は、リブ6の左側に凹状面9がある状態で左手を使って使用することに適合している。
【0025】
これらの2つの位置の間において、長手面A及びBは、軸線Xに沿ったそれらの交線を中心として、互いに対して回転する。結果として、筆記具1は、図2の位置と図3の位置との間の位置であって、前部本体2の長手面Aが後部本体3の長手面Bに一致する、図1に示す中間位置もとることができる。図示された実施形態において、筆記具1は、格納可能な筆記先端部10と、筆記先端部10の格納伸長機構とを備えている。格納伸長機構は、前部本体及び後部本体2,3の相対回転によって動作可能であって、図1に示す中間位置に前部本体及び後部本体2,3があるときに筆記先端部10が前部本体2に格納され、図2及び図3に示す位置に前部本体及び後部本体2,3があるときに筆記先端部10が前部本体2の前端部を越えて突出するように構成されている。前部本体2に対する後部本体3の回転角度αは、図1に示す中間位置と図2及び図3に示す各位置との間で、例えば、120°とすることができる。
【0026】
図4は、筆記具1の分解斜視図であって、その内部の構成要素を示している。このように、筆記具1は、コイルばねの形を有する弾性要素11、標準ボールペンリフィル12、スライド13及び管状部品14を内部に含む。リフィル12は、筆記先端部10及びインクタンク15を備えており、前方に向かって開放かつ後方に向かって少なくとも部分的に閉じているスライド13の内部に収容される。弾性要素11は、前部本体2の前端部において末端部分5の内面によって支持され、スライド13の底部に向けてリフィル12を押す。
【0027】
図1のV-V面に沿った筆記具1の横断面図である図5から明らかなように、前部本体2の内面上のリブ16,17は、縦軸Xの周りでスライド13が前部本体2に回転的に接続されるようにスライド13の外面上の溝18,19と協働するとともに、縦軸Xに沿ったスライド13の軸方向の変位を可能にしている。
【0028】
スライド13は、また、その外面上にフィンガー20を有している。図6から明らかなように、このフィンガー20は、後部本体3の内面に形成されたカム面21に接しており、カム面21とともに筆記先端部10の格納伸長機構を構成している。カム面21は、後部本体3が図1に示す中間位置から一方又は他方の方向に回転するときにフィンガー20を前方に押すことができる、らせん状の外形を有する。スライド13及びリフィル12を介してフィンガー20が筆記先端部10に接続されているので、縦軸Xを中心として前部本体2に対して一方又は他方の方向に後部本体3が回転すると、筆記先端部10は、図6に示すその格納位置と、図7に示すその筆記位置との間で変位する。図6に示す格納位置において、筆記先端部10は、前部本体2、より詳細には、図示された実施形態における末端部分5に収容されている。図7に示す筆記位置において、筆記先端部10は、前部本体2の前端部を越えて突出する。
【0029】
カム面21は、図8及び図9により明確に現れており、これらの図は、それぞれ、後部本体3の部分切り欠き図と、面Bに垂直な面IX-IXに沿った部分縦断面とを示している。これは、図3及び6に示す中間位置から一方又は他方の方向に後部本体3が回転するときに、筆記先端部10の同一の伸長運動を生じさせるように、長手面Bに関してカム面21がどのように対称であるのかを具体的に表している。また、このカム面は、それぞれの側において、フィンガー20を引っ掛けて筆記先端部10をその筆記位置に固定するように設計された、端部のノッチ22を有する。ただし、各ノッチ22の内縁23の傾斜角度は、この位置から筆記先端部10を前部本体2に格納するための中間位置へとユーザが前部本体2に対して後部本体3を回すときに、後部本体3の回転に対する僅かな抵抗だけを提供するものになっている。
【0030】
後部本体3は、また、その内面において、複数の半径方向ショルダー24と、管状部品14と協働するように設計された長手方向リブ25とを備えている。図10及び図11に示すように、セグメント4は、また、管状部品14と協働するように設計されたリップ26,27をその後端部に有し、回転止め28も有する。この管状部品14は、図12図14に詳細に示されている。これらの図は、どのようにして管状部品が長手方向スロット29を有しているのかを表している。一方、この長手方向スロットのおかげで、管状部品14は、半径方向の面内において、より簡単に弾性的に変形することができる。ただし、図5に詳細に示すように、このスロット29は、また、リブ25と協働して管状部品14を後部本体3に回転的に接続するように、後部本体3のリブ25を受け入れることが可能である。ただし、管状部品14に圧力が加えられていないときのスロット29の幅は、リブ25の幅よりも小さく、リブ25がスロット29に導入されたときに、リブ25は、管状部品14の半径方向の拡張を引き起こす。図12図14は、また、管状部品14がその外面において、どのようにして複数の半径方向ショルダー30を有しているのかを表している。図6及び図7に詳細に示すように、スロット29にリブ25が圧入されることによって半径方向に拡張された管状部品14におけるこれらの半径方向ショルダー30は、弾性スナップフィットによって管状部品14を後部本体3の中に保持するように、半径方向ショルダー24と協働する。管状部品14及び後部本体3に対して前部本体2が回転することを阻むことなく、弾性スナップフィットによって前部本体2を軸方向に保持するように、管状部品14の後縁31は、また、セグメント4のリップ26,27を支持する半径方向ショルダーを形成している。ただし、図12図14に示すように、管状部品14は、また、回転止め33を形成する複数の軸方向突起をその前縁32において有し、それらは、前部本体2の対応する回転止め28に突き当たって前部本体2に対する後部本体3の相対的な回転を制限する。このように、管状部品14は、前部本体2と後部本体3とを軸方向に接続するとともに、それらの相対的な回転を図2及び3に示す位置間に収めている。
【0031】
筆記具1の組立時において、スライド13は、セグメント4の後部に導入され、管状部品14は、リップ26の前面にその後縁31が支持されうるまで、半径方向の弾性により、セグメント4の後端部の上に通される。次に、管状部品14のスロット29が後部本体3のリブ25に揃い、かつ、スライド13の溝18,19がセグメント4の内面上の対応するリブ16,17に揃った状態にて、セグメント4の後端部が管状部品14及びスライド13とともに後部本体3に導入される。管状部品14の半径方向の弾性と、管状部品14及び後部本体3のそれぞれにおける面34及び35の傾斜とにより、セグメント4の後端部及び管状部品14は、スロット29へのリブ25の強制的なはめ合いによって管状部品14の半径方向の拡張が引き起こされるまで、後部本体の前端部に入ることができ、これにより、その半径方向ショルダー30は、後部本体3の半径方向ショルダー24に支持されて、セグメント4が後部本体2に対して軸方向に固定される。リフィル12及びばね11は、セグメント4の前端部を通じて、筆記具1に導入することができ、前部本体2及び筆記具1を完成させるように、セグメント4は、末端部分5で閉じることができる。以降は、後部本体3から前部本体2の全体を分離させる必要はなく、末端部分5を回して外すことによってリフィル12を容易に詰め替えることができる。
【0032】
詳細な実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲によって定義される本発明の一般的範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更がこれらの例に対してなされてもよいことは明らかである。従って、明細書及び図面は、限定的ではなく、例示的に与えられているものと考えるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14