(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
超速硬グラウト材料のポルトランドセメント、カルシウムアルミネート、無水セッコウ、膨張材、シリカフューム、水酸化カルシウムおよび炭酸リチウムからなる結合材の合計100部中、ポルトランドセメントが30〜50部、カルシウムアルミネートが20〜40部、無水セッコウが10〜30部、膨張材が1〜10部、シリカフュームが1〜10部、水酸化カルシウムが1〜10部、炭酸リチウム0.3〜2部である、請求項1に記載の超速硬グラウト材料を用いた連続練り施工方法。
超速硬グラウト材料のポルトランドセメント、カルシウムアルミネート、無水セッコウ、膨張材、シリカフューム、水酸化カルシウムおよび炭酸リチウムからなる結合材の合計100部に対して、炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩が0.05〜5部、有機酸が0.03〜2部、流動化剤が0.1〜1.5部、ガス発泡物質が0.05〜0.2部、細骨材が80〜130部である請求項1または2に記載の超速硬グラウト材料を用いた連続練り施工方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や%は、特に断らない限り質量規準で示す。
【0008】
本発明のポルトランドセメントとは、特に限定されるものではないが、JIS R 5210に規定されている各種ポルトランドセメント、JIS R 5211、JIS R 5212、及びJIS R 5213に規定された各種混合セメント、JISに規定された以上の混和材混入率で製造した高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、及び石灰石粉末等を混合したフィラーセメントから選ばれる一種又は二種以上等が挙げられる。
【0009】
本発明のカルシウムアルミネートとは、CaOとAl
2O
3を主成分とする化合物を総称するものである。本発明では、CaO/Al
2O
3モル比が0.75〜1.5のカルシウムアルミネートを用いる。カルシウムアルミネートの具体例としては、例えば、CaO・2Al
2O
3、CaO・Al
2O
3、12CaO・7Al
2O
3,11CaO・7Al
2O
3・CaF
2、3CaO・3Al
2O
3・CaSO
4等と表される結晶性のカルシウムアルミネート類や、CaOとAl
2O
3成分を主成分とする非晶質の化合物が挙げられる。CaO/Al
2O
3モル比が0.75未満では充分な強度発現性が得られない。また、逆にCaO/Al
2O
3モル比が1.5を超えると充分な流動性や可使時間が得られない。
【0010】
カルシウムアルミネートを得る方法としては、CaO原料とAl
2O
3原料をロータリーキルンや電気炉等によって熱処理して得る方法が挙げられる。カルシウムアルミネートを製造する際のCaO原料としては、例えば、石灰石や貝殻等の炭酸カルシウム、消石灰等の水酸化カルシウム、あるいは生石灰などの酸化カルシウムを挙げることができる。また、Al
2O
3原料としては、例えば、ボーキサイトやアルミ残灰と呼ばれる産業副産物のほか、アルミ粉等が挙げられる。
カルシウムアルミネートを工業的に得る場合、不純物が含まれることがある。その具体例としては、例えば、SiO
2、Fe
2O
3、MgO、TiO
2、MnO、Na
2O、K
2O、Li
2O、S、P
2O
5、およびF等が挙げられる。これらの不純物の存在は本発明の目的を実質的に阻害しない範囲では特に問題とはならない。具体的には、これらの不純物の合計が10%以下の範囲では特に問題とはならない。
【0011】
カルシウムアルミネートの化合物としては、4CaO・Al
2O
3・Fe
2O
3、6CaO・2Al
2O
3・Fe
2O
3、6CaO・Al
2O
3・2Fe
2O
3等のカルシウムアルミノフェライト、2CaO・Fe
2O
3やCaO・Fe
2O
3等のカルシウムフェライト、ゲーレナイト2CaO・Al
2O
3・SiO
2、アノーサイトCaO・Al
2O
3・2SiO
2等のカルシウムアルミノシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO
2、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO
2、モンチセライトCaO・MgO・SiO
2等のカルシウムマグネシウムシリケート、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO
2、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO
2、ランキナイト3CaO・2SiO
2、ワラストナイトCaO・SiO
2等のカルシウムシリケート、カルシウムチタネートCaO・TiO
2、遊離石灰、リューサイト(K
2O、Na
2O)・Al
2O
3・SiO
2等を含む場合がある。本発明ではこれらの結晶質または非晶質が混在していても良い。
【0012】
本発明のカルシウムアルミネートの粒度は、特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積で3000〜9000cm
2/gの範囲にあり、4000〜80000cm
2/g程度のものがより好ましい。3000cm
2/g未満では強度発現性が充分でない場合があり、9000cm
2/gを超えるようなものは流動性や可使時間の確保が困難になる場合がある。
【0013】
本発明の無水セッコウとは、特に限定されるものではないが、II型の無水セッコウを使用することが好ましく、中でも、pHが4.5以下の酸性無水セッコウを利用することが、可使時間の確保のしやすさと、その後の強度増進が良好なことから好ましい。ここで、無水セッコウのpHとは、純水100ccに無水セッコウ1gを入れて撹拌した際の上澄液のpHを意味する。
無水セッコウの粒度は、ブレーン比表面積で3000〜9000cm
2/gが好ましく、4000〜8000cm
2/gがより好ましい。
【0014】
本発明の膨張材とは、硬化体の収縮低減効果の他、まだ固まらないモルタルのブリーディングを抑止するために用いるもので、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、カルシウムアルミノフェライト系膨張材、石灰系膨張材、およびセッコウ系膨張材等が挙げられるが、本発明ではブリーディング抑止効果に優れるカルシウムサルフォアルミネート系膨張材を用いる。
カルシウムサルフォアルミネート系膨張材は、CaO原料、Al
2O
3原料、Fe
2O
3原料、およびCaSO
4原料を所定の割合になるように配合し、電気炉やロータリーキルンなどを用いて、一般的には、1100〜1600℃で熱処理をして製造される。熱処理温度が1100℃未満では得られた膨張材の膨張性能が充分でない場合があり、1600℃を超えると無水石膏が分解する場合がある。
CaO原料としては、石灰石や消石灰等が、Al
2O
3原料としてはボーキサイトやアルミ残灰等が、Fe
2O
3原料としては銅カラミや市販の酸化鉄等が、そしてCaSO
4原料としては二水石膏、半水石膏、および無水石膏等が挙げられる。
膨張材の粉末度は、ブレーン比表面積で7500cm
2/g以上が好ましい。7500cm
2/g未満ではブリーディングの発生が抑止できない。
【0015】
本発明のシリカフュームとは、高流動化、長期強度発現性の向上のために用いるもので、本発明では高流動化の効果に優れる酸性シリカフュームを用いる。
酸性シリカフュームとは、シリカフューム1gを純水100ccに入れて攪拌したときの上澄み液のpHが5.0以下の酸性を示すシリカフュームである。酸性シリカフュームのなかでは、優れた流動性が得られる面で、酸化ジルコニウムを含有するシリカフュームが好ましい。
酸化ジルコニウムを含有するシリカフュームは、例えば、以下の工程により製造される。まず、電気炉にて、ジルコンサンドをおよそ2200℃まで電融し、ジルコンサンドの微粒子の平均粒径をおよそ1μmとして略均一に安定化させ、二次凝集を防止するべく電融温度を段階的に上昇させる。次に所定のサイクロンを複数直列に連結させて粗粒子を除去し、粒子を回収した後、サイロ内で再攪拌し、粒径のばらつきを小さくする。このようにして製造された酸化ジルコニウムを含有するシリカフュームは、従来から使用されている、例えば、フェロシリコン製造時に副生するシリカフュームに比べて、粒径がおよそ2〜10倍大きくなりやすい。酸化ジルコニウムを含有するシリカフュームの酸化ジルコニウムの含有率は、1〜10%が好ましく、3〜6%がより好ましい。
シリカ質微粉末の粉末度は、特に限定されるものではないが、通常、BET比表面積値で8〜200m
2/gが好ましい。ただし、酸化ジルコニウムを含有するシリカフュームは8〜13m
2/gが好ましい
【0016】
本発明の水酸化カルシウムとは、特に限定されるものではない。Ca(OH)
2と表される化合物を総称するものである。その不純物も環境に有害なものを含まなければ特に限定されるものではない。Ca(OH)
2含有量で80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。不純物としては、炭酸カルシウムや酸化カルシウムを含む場合がある。
水酸化カルシウムの粉末度は、特に限定されるものではないが、通常、BET面積値で20m
2/g以下が好ましく、15m
2/g以下がより好ましい。水酸化カルシウムのBET面積値が20m
2/gを超えると、流動性が悪くなったり、可使時間の確保が困難になる傾向がある。
【0017】
本発明の炭酸リチウムとは、カルシウムアルミネートの硬化を促進し、短時間での強度発現性を実現する役割を担う。
炭酸リチウム以外のリチウム塩もカルシウムアルミネートの硬化を促進することは知られているが、炭酸リチウム以外のリチウム塩を使用すると、まず、流動化することができず、また、可使時間も確保できない。
【0018】
本発明の炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩とは、高流動化及び可使時間の確保に重要な役割を果たす。
アルカリ金属炭酸塩は、特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム等が挙げられる。
【0019】
本発明の有機酸とは、炭酸塩や流動化剤とともに流動化及び可使時間の確保に重要な役割を果たす。
有機酸は、特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、コハク酸等のオキシカルボン酸及びそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アルミニウム等の塩等が挙げられる。中でも、クエン酸やその塩が好ましい。本発明では、これらのうちの1種または2種以上を併用できる。
【0020】
本発明の流動化剤とは、材料の練り混ぜを容易にし、各材料の分散を助けるとともに、練りあがった材料の流動性を付与する役割を担う。
流動化剤は、特に限定されるものではないが、その具体例としては、ナフタレンスルホン酸系減水剤、メラミンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤、およびポリカルボン酸系減水剤等が挙げられ、減水剤の使用形態は、液体、粉体のいずれも使用可能であるが、プレミックス製品として使用する際には粉体が好ましい。
【0021】
本発明のガス発泡物質とは、グラウト工事を行った場合、グラウトモルタルと構造物を一体化させるために、まだ固まらない状態のモルタルが沈下や収縮するのを抑止する目的で用いる。
ガス発泡物質の具体例としては、例えば、植物油、鉱物油、またはステアリン酸などで表面処理したアルミニウム粉末やアトマイズアルミニウム粉末アルミ粉や炭素物質のほか、アゾ化合物、ニトロソ化合物及びヒドラジン誘導体等の窒素カス発泡物質、さらに、過炭酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩及び過マンガン酸塩等の過酸化物質等が挙げられる。
本発明では、過炭酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩及び過マンガン酸塩等の過酸化物質を用いることが、沈下抑制効果が大きいことから好ましい。中でも、過炭酸塩の使用が最も好ましい。
【0022】
本発明の細骨材とは、発熱量や寸法変化の低減や耐久性の確保の観点から重要な役割を果たす。
細骨材の具体例としては、例えば、ケイ砂系、石灰石系、高炉水砕スラグ系、再生骨材系等に分類される。プレミックス製品として使用する際にはそれらの乾燥砂が好ましい。
【0023】
本発明の超速硬グラウト材料における各原材料の配合割合は、ポルトランドセメントと、カルシウムアルミネート、無水セッコウ、膨張材、シリカフューム、水酸化カルシウムおよび炭酸リチウムからなる結合材の合計100部中、ポルトランドセメントが30〜50部、カルシウムアルミネートが20〜40部、無水セッコウが10〜30部、膨張材が1〜10部、シリカフュームが1〜10部、水酸化カルシウムが1〜10部、炭酸リチウム0.3〜2部であることが好ましい。
ポルトランドセメントが30部未満では、可使時間の確保が困難になる場合や長期耐久性が得られにくい場合がある。一方、50部を超えると、優れた初期強度発現性が得られない場合がある。
カルシウムアルミネートが20部未満では、優れた初期強度発現性が得られない場合があり、40部を超えて使用すると、可使時間の確保が困難になる場合や長期耐久性が得られない場合がある。
無水セッコウが10部未満では、可使時間の確保が困難になる場合があり、30部を超えると過膨張となり、強度が低下する場合がある。
膨張材が1部未満では、ブリーディングが発生する場合があり、10部を超えると過膨張となり、強度が低下する場合がある。
シリカフュームが1部未満では、充分な流動性が得られない場合や優れた長期強度発現性が得れらない場合があり、10部を超えても充分な流動性が得られない場合や、優れた初期強度発現性が得られない場合がある。
水酸化カルシウムが1部未満では、充分な初期強度発現性が得られない場合があり、10部を超えると可使時間の確保が困難になる場合がある。
炭酸リチウムが0.3部未満では、充分な初期強度発現性が得られない場合があり、2部を超えても更なる効果の増進が期待できない。
【0024】
また、結合材の合計100部に対して、炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩が0.05〜5部、有機酸が0.03〜2部、流動化剤が0.1〜1.5部、ガス発泡物質が0.05〜0.2部、細骨材が80〜130部であることが好ましい。
炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩が0.05部未満では、充分な流動性が得られない場合や可使時間の確保が困難になる場合があり、5部を超えると凝結遅延が大きくなり、充分な初期強度発現性が得られない場合がある。
有機酸が0.03部未満では、可使時間の確保が困難になる場合があり、2部を超えると凝結遅延が大きくなり、充分な初期強度発現性が得られない場合がある。流動化剤が0.1部未満では、充分な流動性が得られない場合があり、1.5部を超えると材料分離を起こす場合がある。
ガス発泡物質が0.05部未満では、充分な沈下抑制効果が得られない場合があり、0.2部を超えると発泡による膨張が大きくなりすぎ、充分な強度発現性が得られない場合がある。
細骨材が80部未満では、硬化体の収縮が大きくなり、ひび割れが生じる場合があり、130部を超えると充分な強度発現性が得られない場合がある。
【0025】
本発明に用いる連続練りシステムは、モルタル混合機まで自動的に超速硬グラウト材料を供給し、混合機の先端に設けられた撹拌羽根で、圧入された水と練り混ぜて超速硬グラウトモルタルを製造し、混合機の先端に連結しているスネーク式のポンプによりモルタルを連続的に圧送する施工装置である。このような施工装置としては、ドイツPFT社製G4連続ミキサポンプ等が挙げられる。
本発明では、連続練りシステムにおいて、モルタルの圧送中断、停止時に自動的にポンプ内に洗浄水を流し、その洗浄水が圧送モルタルと混合されないように、ホース手前に設置した自動弁により外部に洗浄水を排出できるシステムとしているため、作業効率が良く、洗浄水が圧送モルタルに混合されて物性を低下させることもない。
【0026】
水の添加量は、使用する目的、用途や各原材料の配合割合によって変化するため、特に限定されるものではないが、通常、水/材料比で15%〜20%が好ましい。15%未満では充分な流動性が得られない場合があり、20%を超えると充分な強度発現性が得られない場合がある。
【0027】
本発明の超速硬グラウト材料は、本発明の施工装置の水量調整バルブにより、モルタルの流動性をJ
14漏斗流下値で8±2秒の範囲に合わせると、水/材料比が15%〜20%の好ましい範囲に入る。
【実施例】
【0028】
以下、実験例にて詳細に説明する。
【0029】
「実験例1」
セメント40部、無水セッコウ(a)20部、膨張材(α)2部、シリカフューム(I)3部、水酸化カルシウム4部、炭酸リチウム1部および表1に示すカルシウムアルミネートからなる結合材を調製し、結合材100部に対して、炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩1.5部、有機酸0.5部、流動化剤0.5部、ガス発泡物質(イ)0.1部、細骨材100部を配合して超速硬グラウト材料を調製した。
この超速硬グラウト材料を連続練りシステムを用いて、モルタル混合機まで自動的に供給し、混合機の先端に設けられた撹拌羽根で、圧入された水と練り混ぜて超速硬グラウトモルタルを製造し、混合機の先端に連結しているスネーク式のポンプによりモルタルを圧送し,ホース先のモルタルの流動性がJ
14漏斗流下値で8±2秒の範囲になるよう水量を合わせた場合の流動性、可使時間および圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
【0030】
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
カルシウムアルミネート(A):CaO/Al
2O
3モル比0.75、結晶質、CaO・Al
2O
3とCaO・2Al
2O
3が主成分、ブレーン比表面積5000cm
2/g
カルシウムアルミネート(B):CaO/Al
2O
3モル比1.00、結晶質、CaO・Al
2O
3が主成分、ブレーン比表面積5000cm
2/g
カルシウムアルミネート(C):CaO/Al
2O
3モル比1.50、結晶質、CaO・Al
2O
3と12CaO・7Al
2O
3が主成分、ブレーン比表面積5000cm
2/g
カルシウムアルミネート(D):CaO/Al
2O
3モル比1.00、非晶質、カルシウムアルミネートBに、試薬1級のシリカを5%添加して、1650℃で溶融後、急冷して合成、ブレーン比表面積5000cm
2/g
カルシウムアルミネート(E):CaO/Al
2O
3モル比1.50、非晶質、カルシウムアルミネートCに、試薬1級のシリカを3%添加して、1650℃で溶融後、急冷して合成、ブレーン比表面積5000cm
2/g
カルシウムアルミネート(F):CaO/Al
2O
3モル比0.60、結晶質、CaO・Al
2O
3とCaO・2Al
2O
3が主成分、ブレーン比表面積5000cm
2/g
カルシウムアルミネート(G):CaO/Al
2O
3モル比1.60、結晶質、CaO・Al
2O
3と12CaO・7Al
2O
3が主成分、ブレーン比表面積5000cm
2/g
無水セッコウ:II型無水セッコウ、PH3.0、ブレーン比表面積5000cm
2/g
膨張材(α):カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、市販品、ブレーン比表面積9000cm
2/g
シリカフューム(I):酸化ジルコニウムを含有するシリカフューム、市販品、酸化ジルコニウムの含有率5%、BET面積値12m
2/g、pH3.0、市販品
水酸化カルシウム:BET面積値10m
2/g、市販品
炭酸リチウム:試薬1級、市販品
炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩:炭酸カリウム、試薬1級、市販品
有機酸:酒石酸、試薬1級、市販品
流動化剤:ナフタレンスルホン酸系減水剤、粉末、市販品
ガス発泡物質(イ):過炭酸ナトリウム、試薬1級、市販品
細骨材:石灰石系、最大粒径4mm、市販品
【0031】
<使用機械>
連続練りシステム(1):G4連続ミキサポンプ、ドイツPFT社製に自動洗浄水排出システムを設置したもの。
【0032】
<試験方法>
流動性:JSCE−F 541に準拠した。J
14漏斗流下値
可使時間:モルタル温度により測定した。カップにモルタルを採取し、練り上がり温度から2℃上昇した時点を可使時間とした。
圧縮強度:JSCE−G 505に準拠した。供試体サイズφ50×100mm、材齢3時間、28日
【0033】
【表1】
【0034】
表1より、本発明の超速硬グラウト材料は、流動性に優れ、充分な可使時間が確保でき、強度発現性が良好であることが分かる。
【0035】
「実験例2」
カルシウムアルミネート(A)30部を使用し、結合材100部中、表2に示す量の無水石コウを配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0036】
【表2】
【0037】
表2より、本発明の超速硬グラウト材料は、充分な可使時間が確保でき、強度発現性が良好であることが分かる。
【0038】
「実験例3」
カルシウムアルミネート(A)30部を使用し、結合材100部中、表3に示す膨張材2部を配合し、ブリーディング率を測定した以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0039】
<使用材料>
膨張材(β):カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、ブレーン比表面積3000cm
2/g
膨張材(γ):カルシウムアルミノフェライト系膨張材、ブレーン比表面積9000cm
2/g、市販品
膨張材(δ):石灰系膨張材、ブレーン比表面積9000cm
2/g
膨張材(ε):セッコウ系膨張材、ブレーン比表面積9000cm
2/g
【0040】
<試験方法>
ブリーディング率:JSCE−F 542に準拠した。
【0041】
【表3】
【0042】
表3より、本発明の超速硬グラウト材料は、ブリーディング抑止効果に優れていることが分かる。
【0043】
「実験例4」
カルシウムアルミネート(A)30部を使用し、結合材100部中、表4に示すシリカフューム3部を配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0044】
<使用材料>
シリカフューム(II):フェロシリコン製造時、副生するシリカフューム、BET面積19m
2/g、市販品
【0045】
【表4】
【0046】
表4より、本発明の超速硬グラウト材料は、流動性に優れていることが分かる。
【0047】
「実験例5」
カルシウムアルミネート(A)30部を使用し、結合材100部中、表5に示すガス発泡物質を配合し、膨張収縮率を測定した以外は実験例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
【0048】
<使用材料>
ガス発泡物質(ロ):過ホウ酸ナトリウム、試薬1級、市販品
ガス発泡物質(ハ):アルミニウム粉末、市販品
ガス発泡物質(ニ):流動コークス、市販品
ガス発泡物質(ホ):アゾジカルボンアミド、市販品
<試験方法>
膨張収縮率:JSCE−F 542に準拠した。
【0049】
【表5】
【0050】
表5より、本発明の超速硬グラウト材料は、まだ固まらない状態のモルタルが沈下や収縮するのを抑止する効果に優れていることが分かる。
【0051】
「実験例6」
カルシウムアルミネート(A)30部を使用し、結合材100部中、表6に示す量の水酸化カルシウム、炭酸リチウムを配合したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表6に併記する。
【0052】
【表6】
【0053】
表6より、本発明の超速硬グラウト材料は、充分な可使時間が確保でき、初期強度発現性が良好であることが分かる。
【0054】
「実験例7」
カルシウムアルミネート(A)30部を使用し、結合材100に対して、表7に示す量の炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩、有機酸、流動化剤、および細骨材を配合し、長さ変化率を測定したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表7に併記する。
【0055】
<試験方法>
長さ変化率:JIS A 1129−3に準拠した。材齢28日。
【0056】
【表7】
【0057】
表7より、本発明の超速硬グラウト材料は、流動性に優れ、充分な可使時間が確保でき、初期強度発現性が良好で,乾燥収縮量が小さく、ひび割れ抵抗性に優れているのが分かる。
【0058】
「実験例8」
セメント40部、カルシウムアルミネート(A)30部、無水セッコウ(a)20部、膨張材(α)2部、シリカフューム(I)3部、水酸化カルシウム4部、炭酸リチウム1部からなる結合材を調製し、結合材100部に対して、炭酸リチウム以外のアルカリ金属炭酸塩1.5部、有機酸0.5部、流動化剤0.5部、ガス発泡物質(イ)0.1部、細骨材100部を配合して超速硬グラウト材料を調整した。この超速硬グラウト材料100部に対して、水を17.5部加えてハンドミキサにより練り混ぜた場合と、連続練りシステムを用いて、モルタル混合機まで自動的に超速硬グラウト材料を供給し、混合機の先端に設けられた撹拌羽根で、圧入された水と練り混ぜて超速硬グラウトモルタルを製造し、混合機の先端に連結しているスネーク式のポンプによりモルタルを圧送し,ホース先のモルタルの流動性がJ
14漏斗流下値で8±2秒の範囲になるよう水量を合わせた場合の、流動性、単位容積質量、可使時間および圧縮強度を測定した。結果を表8に示す。
また、連続練りシステムを用いた場合は、ホース先のモルタルの1時間当りの吐出量も測定した。結果を表8に併記する。
【0059】
<試験方法>
単位容積質量:JIS A 1116に準拠した。
モルタル吐出量:モルタル圧送中に、ホース先を20リットルペール缶内に挿入したと同時にストップウォッチによる時間計測を開始。15秒経過後にホースを抜き、ペール缶内のモルタル質量を計測。以下式により1時間当りのモルタル吐出量を算出した。
モルタル吐出量(m
3/hr)=15秒当りのモルタル質量(kg)×4×60÷単位容積質量(t/m
3)÷1000
【0060】
【表8】
【0061】
表8より、本発明の連続練りシステムは、水量調整バルブにより、モルタルの流動性をJ
14漏斗流下値で8±2秒の範囲に合わせられ、その場合の単位容積質量はハンドミキサでバッチ練りした場合と同等であることから,同等の水/材料比で練り混ぜられていると考えられ、可使時間と圧縮強度も同等の値が得られているのが分かる。
また、バッチ練りの場合と同等の性能を示す超速硬グラウトモルタルが、1時間当り2m
3の大容量吐出でき、早やかな施工が可能であることが分かる。
【0062】
「実験例9」
自動洗浄水排出システムを設置した連続練りシステムを用いて、モルタルを連続圧送し、5分間の中断、停止を10回繰り返して施工性を確認した以外は実験例8と同様に行った。結果を表9に示す。
【0063】
<使用機械>
連続練りシステム(2):G4連続ミキサポンプ、ドイツPFT社製、自動洗浄水排出システムなし
【0064】
【表9】
【0065】
表9より、本発明の連続練りシステムは、自動洗浄水排出システムを設置しているため、連続運転中に停止して洗浄しなくてもポンプの閉塞等の問題が起きにくいことが分かる。