特許第6234749号(P6234749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234749
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】医療用照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21L 4/00 20060101AFI20171113BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20171113BHJP
   F21W 131/20 20060101ALN20171113BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171113BHJP
【FI】
   F21L4/00 510
   F21V8/00 210
   F21V8/00 250
   F21V8/00 330
   F21W131:20
   F21Y115:10
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-188929(P2013-188929)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-56278(P2015-56278A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】505425878
【氏名又は名称】中村 正一
(73)【特許権者】
【識別番号】592248835
【氏名又は名称】日本エー・シー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正一
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/099332(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/061590(WO,A1)
【文献】 特開2011−224042(JP,A)
【文献】 特表2004−514514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニットと照明ユニットとを光ファイバーケーブルによって接続して成る医療用照明装置であって、
前記光源ユニットは、LED素子と、前記LED素子からの光を前記光ファイバーケーブルの入射端面に伝達する第1の導光路と、を備え、
前記照明ユニットは、照射レンズと、前記光ファイバーケーブルの出射端面からの入射光を軸部で受けてコリメータレンズから前記照射レンズに向けて照射する第2の導光路と、を備え、
前記第1の導光路及び前記第2の導光路の表面において、内部を伝搬していく光の漏れを防止するための反射膜を形成したことを特徴とする医療用照明装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記コリメータレンズ側の端面の径を前記光ファイバーケーブルからの光を受ける入射端面の径よりも大であることを特徴とする請求項に記載の医療用照明装置。
【請求項3】
前記反射膜は、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて形成した金属薄膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【請求項4】
前記反射膜は、ポリエステル系樹脂を用いて形成した反射フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【請求項5】
前記反射膜は、金属や樹脂による光反射塗料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【請求項6】
前記光源ユニットは一組のLED素子を備えて、
前記第1の導光路は、それぞれの前記LED素子からの光を受光する一対の受光部と、前記受光部のそれぞれが受光して出射する光を一つに集束する集束部とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【請求項7】
前記第1の導光路は、アクリル製の導光板であることを特徴とする請求項に記載の医療用照明装置。
【請求項8】
前記第1の導光路の光が入射される受光端面は、受光ケース内で前記LED素子からの光を受光することを特徴とする請求項に記載の医療用照明装置。
【請求項9】
前記受光ケースの内側表面に前記反射膜を形成したことを特徴とする請求項に記載の医療用照明装置。
【請求項10】
前記光ファイバーケーブルの表面に前記反射膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【請求項11】
前記第2の導光路は、前記光ファイバーケーブルの出射端面からの光を受けて複数の光束に分岐して、分岐した光をそれぞれの前記照射レンズから照射する多分岐ライトガイドであり、前記多分岐ライトガイドの側部の表面に前記反射膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【請求項12】
撮像装置を備えて、前記撮像装置の撮影レンズの周囲に前記照射レンズを配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施術者の頭部に光源を装着して施術者の視線方向に光を照射することで、医療施術時での施術対象部を局所的に照明できるようにした医療用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等の手術環境においては、例えば、患者に近づいて施術作業をする必要がある場合等では、医療施術者自身の影で手元の手術部位で周辺光が不足して見えにくくなることがある。そのため、光源を医療施術者の頭部に装着して、医療施術者の視線方向と同じ方向に光源からの光を照射することで、施術対象部での充分な照度を確保できるようにした医療用照明装置は従来から多数存在している(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
【0003】
しかし、このような頭部装着型の医療用照明装置は、医療施術者の眼と近い位置に照明装置を取り付けるために、医療施術が長時間にも及ぶと照明装置の光源からの発熱の影響で作業がしづらくなるという問題がある。また、照明装置によって施術者の視界が邪魔されて視野が狭くなることから、周囲の施術補助者に指示するために会話をしたり医療用器具を受け渡ししたりする際に、光源装置が邪魔となることがある。
【0004】
そのため、照明装置をLEDから成る光源ユニットとレンズ等による光照射部とを別体にして、光源ユニットと光照射部との間を光ファイバーケーブルによって接続する構成のヘッドライトも知られている(例えば、特許文献3を参照)。このような特許文献3によるタイプのヘッドライトは、光源ユニットにLEDと共にヒートシンクや熱絶縁部材が組み込まれているためにその分光照射部の容積が小さく、光源ユニットを施術者の眼の近くに取り付けても、それにより施術者の視界が制限されることがなく、また眼の周りがLEDからの発熱によって熱くなることも防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−107846号公報
【特許文献2】特開2006−175235号公報
【特許文献3】国際公開WO02/099332A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、光源ユニットと光照射部とを別にして光ファイバーケーブル等で接続すると、光ファイバーケーブルを含めた導光部の部分が長くなることから光の漏れ量が大きく、光照射部からの光の照度が低下する欠点がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、導光部から外部に光が漏えいするのを防止した医療用光源装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による医療用照明装置は、光源ユニットと照明ユニットとを光ファイバーケーブルによって接続して成る医療用照明装置であって、前記光源ユニットは、LED素子と、前記LED素子からの光を前記光ファイバーケーブルの入射端面に伝達する第1の導光路と、を備え、前記照明ユニットは、照射レンズと、前記光ファイバーケーブルの出射端面からの入射光を軸部で受けてコリメータレンズから前記照射レンズに向けて照射する第2の導光路と、を備え、前記第1の導光路及び前記第2の導光路の表面において、内部を伝搬していく光の漏れを防止するための反射膜を形成したことを特徴としている。このときの前記軸部は、前記コリメータレンズ側の端面の径を前記光ファイバーケーブルからの光を受ける入射端面の径よりも大きくして、入射光のビーム径を拡大して前記コリメータレンズへ伝達する構成にするとよい。
【0009】
このとき、前記反射膜は、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて金属薄膜により形成することができる。また、ポリエステル系樹脂による反射フィルムを表面に接着して前記反射膜を形成してもよい。さらには、反射塗料を表面に塗布して形成して前記反射膜を形成する等の方法もある。このような反射膜を前記光ファイバーケーブルの表面にも形成することで、装置からの光の漏れを防止する上で一層効果的となる。
【0010】
そして、前記光源ユニットは一組のLED素子を備えて、前記第1の導光路は、それぞれの前記LED素子からの光を受光する一対の受光部と、前記受光部のそれぞれが受光して出射する光を一つに集束する集束部とを備えている。前記第1の導光路は、アクリル製の導光板で構成するとよい。
【0011】
また、前記第1の導光路の光が入射される受光端面は、受光ケース内で前記LED素子からの光を受光するようにするとよい。更に、前記受光ケースの内側表面に前記反射膜を形成するとよい。
【0014】
また、前記第2の導光路は、前記光ファイバーケーブルの出射端面からの光を受けて複数の光束に分岐して、分岐した光をそれぞれの前記照射レンズから照射する多分岐ライトガイドであり、前記多分岐ライトガイドの側部の表面に前記反射膜を形成する。このとき医療用照明装置に撮像装置を設けて、撮像装置の撮影レンズの周囲に前記照射レンズを配置する構成も可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による医療用照明装置は、導光部の外周面内側に光を反射するための反射膜を形成することで、同じ照度を得るのに、低消費電力のLEDを使用でき又は複数のLEDを使用している場合にはその数を削減することができるため効率のよい医療用照明装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る医療用照明装置の外観を示す斜視図。
図2図1に示す医療用照明装置で光源ユニットの外装ケースの一部を切り欠いてその内部を示す斜視図。
図3】光源ユニットの要部を側面から示す断面図。
図4】照明ユニットを側面から示す断面図。
図5】本発明に係る医療用照明装置に撮像装置を組み込んだ場合の照明ユニットの構成を概略的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の最適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る医療用照明装置の構成を示すものである。図1に示すように、医療用照明装置1は、医療施術者の頭部に装着されるためのヘッドバンド2を備えて、このヘッドバンド2に光源ユニット3と照明ユニット4とを取り付けている。光源ユニット3は、装着した施術者の頭上を前頭部から後頭部へ跨るようにヘッドバンド2に取り付けられて、照明ユニット4は、ヘッドバンド2の施術者の額と接する部分に取り付けられている。よって、照明ユニット4は、施術者の視線方向に沿って光を照射することができる。また、光源ユニット3と照明ユニット4とは光ファイバーケーブル5によって接続されている。このような医療用照明装置1は、施術者の側頭部の周囲に固定されるヘッドバンド2に装着されているが、ヘッドバンド2に限らず施術者の頭部に被せる帽子の形状でもよい。
【0019】
光源ユニット3の外装ケース10は合成樹脂の一体成型品からなるが、図2は、外装ケース10の内部の一部を切り欠いて示しており、図3は、光源ユニット3の一部を側面で切断した断面図を示している。これらの図で示すように、光源ユニット3は、一組のLED素子6が実装されている回路基板7が配置されている。本実施例では、LED素子6は組ごとに一個ずつ配置しているが、必要な光度に応じてそれぞれ複数個を配置してもよい。また、LED素子6の発光色は、医療照明用としては白色が好適である。回路基板7には各LED素子6に電力を供給するための配線パターンが形成され、また回路基板7のLED素子6が実装される面と反対の面には、各LED素子6に対応してヒートシンク8(図3では図示を省略)が装着されてLED素子6に発生する熱を放熱する。
【0020】
そして、光源ユニット3は、LED素子6からの光を光ファイバーケーブル5に送り込むためのアクリル製の板によって形成される導光路であるライトガイド13を備えている。ライトガイド13は、一組のLED素子6のそれぞれから光を受光する一対の受光部13Aと、各受光部13Aが受光して出射する光を一つに集束する集束部13Bとから構成されており、平面から見ると「Y」字の形状を有している。
【0021】
各受光部13Aの受光側の端部とLED素子6とは、受光ケース15内で対向して配置されて、受光側の端部は受光端面13aの面積が拡大するようテーパが形成されている。これにより、ライトガイド13は、LED素子6から発光された光を受光端面13aで効率的に受光することができる。受光ケース15は、回路基板7と共に取付板28に取り付けられており、ライトガイド13の受光部13Aは受光ケース15によって外装ケース10内に保持されている。
【0022】
また、外装ケース10には、開口14に臨ませて連結部16が設けられており、ライトガイド13の出射端面13bは、外装ケース10に形成した開口14を介して挿入される光ファイバーケーブル5と連結部16で接続される。
【0023】
ライトガイド13は、受光端面13a及び出射端面13b以外の表面には反射膜が形成されている。この反射膜には、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて形成した金属薄膜やポリエステル系樹脂を用いて形成した反射フィルム等の従来周知の種々の反射体を使用することができる。また、反射塗料を表面に塗布して反射膜を形成してもよく、金属塗料や、ポリエステル塗料、アクリル塗料、アクリルウレタン塗料、アクリルシリコン塗料、エポキシ系塗料等の樹脂塗料を適用することができる。
【0024】
例えば、スパッタリング法により形成される金属薄膜を用いて反射膜を形成する場合には、真空中に主にアルゴンガス等の不活性ガスを導入しながらライトガイド13とターゲットであるアルミニュームや銀等の光反射率の高い金属との間に直流高電圧を印加し、イオン化したアルゴンをターゲットに衝突させることで、はじき飛ばされたターゲットをライトガイド13に成膜させて反射膜を形成する。
【0025】
このように、ライトガイド13の表面に反射膜を形成することで、ライトガイド13の受光端面13aにいろいろな角度で入射されたLED素子6からの光は、反射膜で反射しながらライトガイド13内を伝搬して光ファイバーケーブル5の入射面に集光される。よって、ライトガイド13内での光の損失量が低減されるため、光源ユニット3は、効率良く光ファイバーケーブル5に光を伝達することができる。さらに、同じ効果から受光ケース15内の内側表面にも反射膜を形成するとよい。
【0026】
そして、光源ユニット3は、外装ケース10の内部を冷却するためのファン装置9を備えている。ファン装置9は、共に図示していないがファンとモータとを有しており、モータの駆動によりファンが回転することで、外装ケース10内には、吸込口11から吸い込まれた外気がヒートシンク8を通過して吐出口12から再び外へ吐き出される空気通路が形成される。この熱交換により光源ユニット3でのLED素子6による温度上昇が抑制でき、施術者の頭部が熱くなることが防止できる。
【0027】
また、光源ユニット3は、ハーネス36によって外部のコントロールユニット24に接続されている。そして、コントロールユニット24は、バッテリー等による電源部25に接続されており、ハーネス36内のそれぞれの電源ラインを通してのLED素子6及びファン装置9のモータの通電端子への電源の供給を制御する。すなわち、コントロールユニット24は、LED素子6の駆動とファン装置9の駆動とを関連付けて、LED素子6が不動作のときはファン装置9も停止状態とする。また、LED素子6を不動作にした一定時間後にファン装置9を停止してもよい。さらに、一組のLED素子6への給電ラインを別々にして、両方同時又は片方のみを選択的に駆動することで光源ユニット3の光度を制御することもできる。また、組ごとに複数のLED素子6を配置している場合には、それぞれ発光させるLED素子6を制御するように構成してもよい。
【0028】
そして、コントロールユニット24の表面にはスイッチ12Aが設けられており、施術者がこのスイッチ24Aを操作することで電源のオン/オフを行うことができる。このときの操作性を考慮して、コントロールユニット24は施術者の腰のベルトに装着できるようにするとよい。
【0029】
光源ユニット3と照明ユニット4とを接続する光ファイバーケーブル5には、コア部材とクラッド部材のそれぞれが正方形の断面形状であるタイプのものを使用している。そして、光ファイバーケーブル5は、頭上に配置されている光源ユニット3と顔の眼の近傍に配置される照明ユニット4とを接続するためには、頭長部から顔に沿って略90度の角度で曲げられており、曲げが強い箇所ではそこから光が漏れ出して損失となる。したがって、光ファイバーケーブル5の表面にも、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて形成した金属薄膜、ポリエステル系樹脂を用いて形成した反射フィルム、反射塗料等による前述の反射膜を形成するとよい。
【0030】
次に、照明ユニット4について説明する。図4は、照明ユニット4を側面で切断した断面図を示しており、照明ユニット4は、光ファイバーケーブル5とコリメータ18とを接続する光コネクタ3Aと、光ファイバーケーブル5からコリメータ18に伝搬された光を外部に照射する照射レンズ29を備えた照射部3Bとから構成されている。
【0031】
光コネクタ3Aは、光ファイバーケーブル5が挿入される開口17を基端側に備え、中空の外装ケース19の内部には、光ファイバーケーブル5の周囲を取り囲むように内壁から中心方向に向けて環状に突出している係止部26が形成されている。よって、挿入された光ファイバーケーブル5は、その出射側端面がコリメータ18の入射側と密接した状態で開口17の周縁と係止部26とによって保持される。また、外装ケース19の外側には取付部27が設けられ、この取付部27をヘッドバンド2にビス止めすることで照明ユニット4は固定される。
【0032】
コリメータ18は、光ファイバーケーブル5の出射端面からの光を照射レンズ29に伝達する導光路であり、軸の部分であるコリメータ本体18aとコリメータレンズ18bとからなる。コリメータ本体18aの出射側の端面の径は入射側の端面の径よりも大きくなるよう構成されており、コリメータ本体18aの軸方向での前半の部分は同一径、すなわち円筒形状であるが、後半の部分では径を漸次大きくして側面を放物線形状としている。したがって、光ファイバーケーブル5からコリメータ18に入射された光は、コリメータ本体18aでビーム径が拡大されて、コリメータレンズ18bで平行光に変換される。また、コリメータ18には、コリメータ本体18aとコリメータレンズ18bとの間に鍔部18cが形成されている。鍔部18cの径はコリメータレンズ18bの基部の径よりも大きく設定されている。
【0033】
そして、コリメータ18の表面には、コリメータレンズ18b及びコリメータ本体18aのファイバーケーブル5の出力端との接触面を除いて、光源ユニット3のライトガイド13と同様に、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて形成した金属薄膜、ポリエステル系樹脂を用いて形成した反射フィルム、反射塗料等による前述の反射膜を形成するとよい。
【0034】
また、光コネクタ3Aにおいて、開口17を備える基端側と反対側の端部には複数の係止片20を円環状に配置しており、係止片20が環状に配置される円の最大径の部分は、照射部3Bの外装ケース21に形成された開口22の内径より若干大きめに設定されている。そして、係止片20は弾性を有しているために、この弾性に抗して係止片20を開口22に嵌め込むことで、係止片20と開口22の内周壁に当接して光コネクタ3Aと照射部3Bとは結合される。
【0035】
照射部3Bの外装ケース21は、上部に開口22が形成される円筒体21Aとレンズ保持体21Bとが一体となって形成されている。円筒体21Aとレンズ保持体21Bとの境目には、外装ケース21の内面から中心方向に環状に突出して形成される受け部30を設けている。よって、光コネクタ3Aと照射部3Bとを結合したとき、コリメータ18の鍔部18cは受け部30に係止されて、コリメータ本体18aは円筒体21A内に保持されて、光ファイバーケーブル5との密着状態は維持される。一方、コリメータレンズ18bは、受け部30によって形成される開口からレンズ保持体21Bの空間内に露出する。
【0036】
そして、レンズ保持体21Bには、コリメータレンズ18bからの光量を調整するための絞り25が配置されている。ここでの絞り25は、外装ケース21に回動自在に嵌め込まれている絞りリング26を回すとピン28が円周方向に移動し、これにより複数枚が重なり合って配置された絞り羽根25aが開閉することで、コリメータレンズ18bからの光が通過する通過口の径を調整可能とする従来周知の構成となっている。
【0037】
レンズ保持体21Bの外周壁は、円筒体21Aの軸に対し傾斜させている部分と折り曲げた部分とから構成されて、傾斜させた部分の内壁の表面にはミラー23を配置している。そして、レンズ保持体21Bの先端開口には、照射レンズ29が取り付けられている。したがって、円筒体21Aの軸方向に照射されるコリメータレンズ18bからの光は、ミラー23で反射されて照射レンズ29で集光されて外部に出射される。このとき、円筒体21Aの軸方向に沿って照射されるコリメータレンズ18bからの光の向きがヘッドバンド2を頭部に装着した医療施術者の視線方向に一致するように、レンズ保持体21Bの外周壁の傾斜面の傾斜角度とその他の部分の折曲角度とは設定される。この場合、レンズ保持体21Bの内壁の全面に、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて形成した金属薄膜、ポリエステル系樹脂を用いて形成した反射フィルム、反射塗料等による前述の反射膜を形成すれば、コリメータレンズ18bからの光を照射レンズ29に屈折させると共にレンズ保持体21Bでの光の損失も抑制される。
【0038】
上記構成の医療用照明装置は、光源ユニット3においては一組のLED素子6からの光をライトガイド13で受光して一つの光束に集束した後、光ファイバーケーブル5を通して照明ユニット4に伝達する。照明ユニット4では、コリメータ18に光が入射されると、この光はコリメータレンズ18bで平行光に変換されてレンズ保持体21Bに出射される。そして、レンズ保持体21Bに出射された光は絞り25で光量が調整されるが、絞り25を通過した光はミラー23で反射し照射レンズ29で集光されて照明光となって外部に出射される。
【0039】
このような光伝送経路において、ライトガイド13とコリメータ18にはそれぞれ反射膜が形成されているために光の漏れを抑制でき、コリメータレンズ18bからの光の出射効率を大きくすることができる。よって、照射レンズ29側において高い照度を得ることができることから小容量のLED素子6を使用できる。これにより、LED素子6からの発熱量が減少するために、それに応じてファン装置9も小さくてすみ小型化された医療用照明装置となる。
【0040】
次に、本発明に係る医療用照明装置を利用して、照明ユニット4に撮像装置を取り付けたときの実施形態を説明する。
【0041】
図5は、施術者が行う施術の様子を撮像するための外装ケース35内に撮像装置31を組み込んだ照明ユニット4の構成を概略的に示している。撮像装置31は、被写体からの光を入射させる撮影レンズ32と、撮影レンズ32を通しての被写体からの反射光をアナログの電気信号に光電変換して画像信号を生成するCCDやCMOSによる撮像素子等を含む従来より種々の分野で用いられている小型化されたデジタルのビデオカメラ又はスチルカメラである。
【0042】
第2の導光路である多分岐ライトガイド33は、コネクタ33bによって受光端面が光ファイバーケーブル5の出射端面に密着して接続されている。そして、多分岐ライトガイド33は、図5(a)で示すように光ファイバーで構成される4本のケーブル33aを備えて、各ケーブル33aの出力端には照射レンズ34が取り付けられる。そして、照射レンズ34は、図5(b)で示すように撮影レンズ32を取り囲むように環状に等間隔で配置されている。また、多分岐ライトガイド33の側部の表面には、スパッタリング法又は真空蒸着法を用いて形成した金属薄膜、ポリエステル系樹脂を用いて形成した反射フィルム、反射塗料等による前述の反射膜が形成されている。
【0043】
このような多分岐ライトガイド33は、光ファイバーケーブル5から出射される光をケーブル33aにより4方向に分岐して、各照射レンズ34を通して照射する。これにより、施術者は、施術対象部の照度を確保しながら撮像装置31によって鮮明な画像を撮像することができる。そして、撮影装置31が撮影する画像情報を記録手段により記録するが、記録手段としては、種々のタイプのディスクやメモリ等による各種の記録メディアが使用される。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、医療施術の際に医療施術者の頭部に光源を装着して施術対象部に光を効果的に照射な可能な医療用照明装置に関し、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0046】
1 医療用照明装置
2 ヘッドバンド
3 光源ユニット
4 照明ユニット
5 光ファイバーケーブル
6 LED素子
13 ライトガイド(第1の導光路)
13A 受光部
13B 集束部
18 コリメータ(第2の導光路)
18a 軸部(コリメータ本体)
18b コリメータレンズ
29 照射レンズ
31 撮像装置
33 多分岐ライトガイド(第2の導光路)
34 照射レンズ
図1
図2
図3
図4
図5