(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指定画像の位置をP(Pは実数)とし、画像厚をT(Tは実数)とし、前記第2画像の再構成範囲の開始位置をC(Cは実数)とし、画像厚をD(Dは実数)とし、再構成間隔をF(Fは実数)としたとき、前記第2画像は、(P−T/2)<(C+(n−1)F−D/2)<(P+T/2)、又は(P−T/2)<C+(n−1)F+D/2<(P+T/2)を満たす、
ことを特徴とする請求項4に記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る医用画像処理装置及び医用画像診断装置について図面を参照しながら説明する。医用画像診断装置は、たとえば、X線CT装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、デジタルアンギオ装置、又はX線診断装置等が該当する。以下では、一例として、実施形態に係る医用画像診断装置がX線CT装置である場合について説明する。また、「画像」と「画像データ」は一対一に対応するので、この実施形態においては、これらを同一視する場合がある。
【0014】
この実施形態に係るX線CT装置は、リアルタイム再構成の機能とバッチ再構成の機能とを有する。リアルタイム再構成は、撮影位置の確認等が可能な程度に粗く、かつ、高速に再構成するものである。リアルタイム再構成で生成された画像をリアルタイムに表示することにより、関心領域の撮影が正常に完了したか否か判断することができる。バッチ再構成は、被検体の広い範囲のデータの収集後に再構成条件等を設定して再構成するものである。バッチ再構成は、事前にスキャン条件や再構成条件等を設定してからデータの収集を行った後に再構成を行う場合と区別される。
【0015】
以下、リアルタイム再構成を行うためのリアルタイム再構成処理を「第1再構成処理」の一例とし、バッチ再構成を行うためのバッチ再構成処理を「第2再構成処理」の一例として、実施形態に係るX線CT装置を説明する。また、この実施形態において、リアルタイム再構成で生成された画像を「リアルタイム再構成画像」とし、バッチ再構成で生成された画像を「バッチ再構成画像」と表記する場合がある。
【0016】
図1及び
図2に、実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す。
図1は、この実施形態に係るX線CT装置1の全体構成を表す。
図2は、
図1の制御部等と共に、再構成処理部及びレンダリング処理部の構成の概要を表す機能ブロック図である。
図2において、
図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0017】
<装置構成>
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを含んで構成されている。
【0018】
[架台装置]
架台装置10は、被検体Eに対してX線を曝射し、被検体Eを透過した当該X線の検出データ(スキャンデータ)を収集する装置である。架台装置10は、X線発生部11と、X線検出部12と、回転体13と、高電圧発生部14と、架台駆動部15と、X線絞り部16と、絞り駆動部17と、データ収集部18とを有する。
【0019】
X線発生部11は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のX線ビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成されている。X線発生部11は、発生したX線を被検体Eに対して曝射する。
【0020】
X線検出部12は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成されている。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出する。具体的には、X線検出部12は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データをX線検出素子で検出し、その検出データを電気信号として生成し、生成された電気信号を増幅した後、デジタル信号に変換して出力する。X線検出部12には、たとえば、検出素子が互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)にそれぞれ複数配置された2次元のX線検出器(面検出器)が用いられる。複数のX線検出素子は、たとえば、スライス方向に沿って320列設けられている。このように複数のX線検出素子が多列に設けられたX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元の撮影領域を撮影することができる。なお、スライス方向は被検体Eの体軸方向に相当し、チャンネル方向はX線発生部11の回転方向に相当する。
【0021】
回転体13は、X線発生部11とX線検出部12とを被検体Eを挟んで対向するよう支持する部材である。回転体13は、スライス方向に貫通した開口部13aを有する。架台装置10内において、回転体13は、被検体Eを中心とした円軌道で回転するよう配置されている。すなわち、X線発生部11及びX線検出部12は、被検体Eを中心とする円軌道に沿って回転可能に設けられている。
【0022】
高電圧発生部14は、X線発生部11に対して高電圧を印加する(以下、「電圧」とは、X線管球におけるアノード−カソード間の電圧を意味する)。X線発生部11は、当該高電圧に基づいてX線を発生させる。
【0023】
架台駆動部15は、回転体13を回転駆動させる。X線絞り部16は、所定幅のスリット(開口)を有し、スリットの幅を変えることで、X線発生部11から曝射されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。絞り駆動部17は、X線発生部11で発生したX線が所定の形状となるようX線絞り部16を駆動させる。
【0024】
データ収集部18(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部12(各X線検出素子)からの検出データを収集する。そして、データ収集部18は、デジタル信号である検出データをコンソール装置40に送信する。
【0025】
[寝台装置]
寝台装置30は、撮影対象の被検体Eを載置・移動させる装置である。寝台装置30は、寝台31と寝台駆動部32とを備えている。寝台31は、被検体Eを載置するための寝台天板33と、寝台天板33を支持する基台34とを備えている。寝台天板33は、寝台駆動部32によって被検体Eの体軸方向及び体軸方向に直交する方向に移動することが可能となっている。すなわち、寝台駆動部32は、被検体Eが載置された寝台天板33を、回転体13の開口部13aに対して挿抜させることができる。基台34は、寝台駆動部32によって寝台天板33を上下方向(被検体Eの体軸方向と直交する方向)に移動させることが可能となっている。
【0026】
[コンソール装置]
コンソール装置40は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10によって収集された検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する機能等を有している。コンソール装置40は、処理部41と、スキャン制御部44と、表示制御部45と、記憶部46と、表示部47と、操作部48と、制御部49とを含んで構成されている。
【0027】
処理部41は、架台装置10(データ収集部18)から送信された検出データに対して各種処理を実行する。処理部41は、前処理部41aと、再構成処理部41bと、レンダリング処理部41cと、特定部41dと、マーキング処理部41eとを含んで構成されている。
【0028】
前処理部41aは、架台装置10(X線検出部12)で検出された検出データに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データ(生データ)を作成する。すなわち、投影データは、被検体Eを架台装置10によって撮影することにより得られる。以下では、「投影データ」が「撮影データ」の一例であるものとして説明するが、「投影データ」と「検出データ」とは一対一に対応するため、「検出データ」が「撮影データ」であってもよい。
【0029】
再構成処理部41bは、指定された再構成条件を用いて、前処理部41aで作成された投影データに対する再構成処理を行い、CT画像データを作成する。すなわち、再構成処理部41bは、再構成条件と前処理部41aで作成された投影データとを用いて再構成処理を行い、CT画像データを作成する。再構成条件は、変更することが可能である。断層画像データの再構成には、たとえば、2次元フーリエ変換法、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を採用することができる。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補間処理することにより作成される。ボリュームデータの再構成には、たとえば、コーンビーム再構成法、マルチスライス再構成法、拡大再構成法等、任意の方法を採用することができる。上述のように複数のX線検出素子が多列に設けられたX線検出器を用いたボリュームスキャンにより、広範囲のボリュームデータを再構成することができる。
【0030】
再構成処理部41bは、同一の投影データに対し、リアルタイム再構成処理と、バッチ再構成処理とを行う。再構成処理部41bは、リアルタイム再構成処理により得られた画像群の中から指定された画像の位置に基づいて設定された再構成範囲でバッチ再構成処理を行うことができる。なお、「画像の位置」は、「画像のスライス位置」に相当する。また、X線検出部12により検出された検出データの細かさ(X線検出素子のチャンネル方向の配列ピッチに対応)及びピクセル数(X線検出素子のチャンネル方向の配列数に対応)は、バッチ再構成画像を生成するのに十分なものであるものとする。
【0031】
このような再構成処理部41bは、
図2に示すように、第1再構成処理部411bと、第2再構成処理部412bとを含んで構成されている。
【0032】
第1再構成処理部411bは、投影データと第1再構成条件とを用いてリアルタイム再構成処理を行うことにより、第1ボリュームデータを作成する。第1再構成条件は、第1再構成スライス厚と、第1再構成範囲とを含む。第2再構成処理部412bは、第1再構成処理部411bにおいて用いられた投影データと第2再構成条件とを用いてバッチ再構成処理を行うことにより、第2ボリュームデータを作成する。より具体的には、第2再構成処理部412bは、第1ボリュームデータより精細な第2ボリュームデータを作成する。また、第2再構成処理部412bは、リアルタイム再構成画像群の中から指定されたリアルタイム再構成画像に対応した投影データを用いてバッチ再構成処理を行い、第2ボリュームデータを作成することができる。第2再構成条件は、第1再構成スライス厚より薄い第2再構成スライス厚と、第2再構成範囲とを含む再構成条件である。第2再構成範囲は、後述するように、指定したリアルタイム再構成画像の位置に応じて変更が可能である。
【0033】
この実施形態では、再構成条件を変更することにより、再構成処理部41bは、同一の投影データに対し、互いに異なる再構成処理を時系列で行うことができる。すなわち、再構成条件として第1再構成条件を設定することにより、再構成処理部41bは、第1再構成処理部411bとして機能する。また、再構成条件として第2再構成条件を設定することにより、再構成処理部41bは、第2再構成処理部412bとして機能する。
【0034】
レンダリング処理部41cは、指定されたレンダリング条件を用いて、再構成処理部41bで作成されたボリュームデータに対するレンダリング処理を行う。すなわち、レンダリング処理部41cは、レンダリング条件と再構成処理部41bで作成されたボリュームデータとを用いてレンダリング処理を行う。レンダリング条件は、変更することが可能である。たとえば、レンダリング処理部41cは、再構成処理部41bで作成されたボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR表示する(すなわち、レンダリング処理部41cは、MPR画像を生成する)。
【0035】
レンダリング処理部41cは、
図2に示すように、第1レンダリング部411cと、第2レンダリング部412cとを含んで構成されている。
【0036】
第1レンダリング部411cは、第1レンダリング条件と第1再構成処理部411bによって作成された第1ボリュームデータとを用いて第1レンダリング処理を行い、リアルタイム再構成画像(たとえば、アキシャル画像)を生成する。第2レンダリング部412cは、第2レンダリング条件と第2再構成処理部412bによって作成された第2ボリュームデータとを用いて第2レンダリング処理を行い、バッチ再構成画像(たとえば、アキシャル画像)を生成する。
【0037】
この実施形態では、レンダリング条件を変更することにより、レンダリング処理部41cは、互いに異なるレンダリング処理を時系列で行うことができる。すなわち、レンダリング条件として第1レンダリング条件を設定することにより、レンダリング処理部41cは、第1ボリュームデータに基づいてリアルタイム再構成画像を生成する第1レンダリング部411cとして機能する。また、レンダリング条件として第2レンダリング条件を設定することにより、レンダリング処理部41cは、第2ボリュームデータに基づいてバッチ再構成画像を生成する第2レンダリング部412cとして機能する。
【0038】
特定部41dは、リアルタイム再構成画像群の中から指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像のスライス位置やそのスライス位置を含む再構成範囲を特定する。特定部41dによって特定されたスライス位置等は、第2再構成処理部412bや第2マーキング部412eに送られる。
【0039】
マーキング処理部41eは、リアルタイム再構成画像群の中から指定されたリアルタイム再構成画像にマークを付与するとともに、マークが付与されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像にもマークを付与する。リアルタイム再構成画像やバッチ再構成画像に付与されるマークは、検索対象とすることが可能である。
【0040】
マーキング処理部41eは、
図2に示すように、第1マーキング部411eと、第2マーキング部412eとを含んで構成されている。
【0041】
第1マーキング部411eは、リアルタイム再構成画像群の中から操作部48を介して指定されたリアルタイム再構成画像にマークを付与する。第1マーキング部411eによるマークの付与は、たとえば、マーキングされたことを示す情報を生成して当該リアルタイム再構成画像に付帯させるとともに、当該リアルタイム再構成画像のスライス位置等を示すマーク情報を生成して図示しないマーク情報記憶手段(たとえば、記憶部46)に保存することにより実現される。マーク情報は、ユニークに付与されるスキャンID、マーキングした位置と画像スライス厚、マーク情報自体についてユニークに付与されるID等を含む情報である。これにより、マーク情報の内容を検索対象とし、ユーザが操作部48を介してマーク情報に含まれる内容に対して検索を行った場合に、リアルタイム再構成画像の検索が容易になる。なお、この実施形態では、「画像厚」を「画像スライス厚」と表記する場合がある。また、第1マーキング部411eは、「第1マーキング手段」の一例である。
【0042】
第2マーキング部412eは、第1マーキング部411eによってマークが付与されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像にマークを付与する。第2マーキング部412eは、対応するリアルタイム再構成画像を認識できるように、バッチ再構成画像に対してマークを付与することが可能である。第2マーキング部412eによるマークの付与は、たとえば、マーキングされたことを示す情報を生成して当該バッチ再構成画像に付帯させるとともに、当該バッチ再構成画像の位置等を示す情報を生成して図示しないマーク情報記憶手段(たとえば、記憶部46)に保存することにより実現される。第2マーキング部412eは、「第2マーキング手段」の一例である。
【0043】
スキャン制御部44は、X線スキャンに関する各種動作を制御する。たとえば、スキャン制御部44は、X線発生部11に対して高電圧を印加させるよう高電圧発生部14を制御する。スキャン制御部44は、回転体13を回動駆動(回転駆動)させるよう架台駆動部15を制御する。スキャン制御部44は、X線絞り部16を動作させるよう絞り駆動部17を制御する。スキャン制御部44は、寝台31を移動させるよう寝台駆動部32を制御する。
【0044】
表示制御部45は、画像表示に関する各種制御を行う。表示制御部45は、たとえば、レンダリング処理部41cにより生成されたMPR画像(たとえば、アキシャル画像)等を表示部47に表示させる制御を行う。この実施形態では、表示制御部45は、リアルタイム再構成画像を表示部47にリアルタイムで順次に表示させる。この際、表示制御部45は、操作部48を介して指定されたリアルタイム再構成画像を固定して(画像が次の画像に切り替えられることなく)表示部47に表示させることが可能である。また、表示制御部45は、指定されたリアルタイム再構成画像を、表示部47において予め設けられた別の表示エリアに表示させ、リアルタイム再構成画像のリアルタイム表示を継続させることができる。
【0045】
記憶部46は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置によって構成される。記憶部46は、検出データや投影データ、再構成処理後のCT画像データ、或いは上記のマーク情報等を記憶する。
【0046】
表示部47は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。たとえば、表示部47には、ボリュームデータをレンダリング処理して得られるMPR画像が表示される。
【0047】
操作部48は、コンソール装置40に対する各種操作を行う入力デバイスとして用いられる。操作部48は、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック等により構成される。また、操作部48として、表示部47に表示されたGUI(Graphical User Interface)を用いることも可能である。この実施形態では、操作部48は、リアルタイム再構成処理やバッチ再構成処理の開始を指示するために用いられたり、再構成条件を設定するために用いられたり、リアルタイム再構成画像やバッチ再構成画像の生成を指示するために用いられたり、リアルタイム再構成画像を指定するために用いられたりする。
【0048】
制御部49は、架台装置10、寝台装置30およびコンソール装置40の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。たとえば、制御部49は、スキャン制御部44を制御することで、架台装置10に対して、たとえば予備スキャン及びメインスキャンを実行させ、検出データを収集させる。また、制御部49は、処理部41を制御することで、検出データに対する各種処理(前処理、再構成処理、MPR処理等)を行わせる。或いは、制御部49は、表示制御部45を制御することで、記憶部46に記憶された画像データ等に基づき、CT画像を表示部47に表示させる。
【0049】
この実施形態において、架台装置10は、「医用画像撮影手段」の一例であり、コンソール装置40は、「医用画像処理装置」の一例である。第1再構成処理部411bは、「第1再構成処理手段」の一例であり、第2再構成処理部412bは、「第2再構成処理手段」の一例である。第1レンダリング部411cは、「第1画像生成手段」の一例であり、第2レンダリング部412cは、「第2画像生成手段」の一例である。表示制御部45は、「表示制御手段」の一例である。表示部47は、「表示手段」の一例である。操作部48は、「指定手段」の一例である。また、リアルタイム再構成画像は、「第1画像」の一例であり、リアルタイム再構成画像群は、「第1画像群」の一例であり、バッチ再構成画像は、「第2画像」の一例である。
【0050】
<動作>
次に、この実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。この実施形態に係るX線CT装置1は、ヘリカルスキャン又はX線検出器の多列化により実現されたボリュームスキャンにより、被検体の広い範囲のデータを短時間で収集することが可能である。以下、実施形態に係るX線CT装置がヘリカルスキャンにより検出データを収集する場合について説明する。
【0051】
図3〜
図5に、この実施形態に係るX線CT装置1の動作説明図を示す。
図3は、この実施形態における投影データに基づいて作成されるボリュームデータや画像データの流れを表したものである。
図3において、
図1及び
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図4は、リアルタイム再構成画像が指定されたときの様子を模式的に表したものである。
図5は、指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を表示するときの様子を模式的に表したものである。
図4及び
図5は、表示制御部45により画像が表示される表示部47の表示エリアを模式的に表したものである。
【0052】
第1再構成処理部411bは、取得された投影データを用いてリアルタイム再構成処理を行い、第1ボリュームデータを作成する。第1レンダリング部411cは、第1ボリュームデータに基づいてリアルタイム再構成画像群を生成する。リアルタイム再構成画像群は、記憶部46に保存される。制御部49は、表示制御部45により、リアルタイム再構成中にリアルタイム再構成画像を表示部47に表示させる。
【0053】
制御部49は、リアルタイム再構成が完了した後でも表示制御部45を制御して、記憶部46に保存されたリアルタイム再構成画像を読み出し、読み出されたリアルタイム再構成画像を表示部47に表示させることができる。たとえば、制御部49は、操作部48を介した表示指示を受け付ける。表示指示が受け付けられると、制御部49は、表示指示に基づき、表示制御部45を制御して、リアルタイム再構成画像群を構成する各リアルタイム再構成画像を順番に表示部47に表示させる。また、リアルタイム再構成の完了後において、操作部48を介したスクロール操作により、リアルタイム再構成画像群の中から任意の画像が選択され、表示制御部45が、選択された画像を表示部47に表示させるようにしてもよい。
【0054】
図4に示すように、表示部47の表示エリアは、第1表示エリアAR1と、第2表示エリアAR2とを有する。表示制御部45は、リアルタイムでリアルタイム再構成画像を第1表示エリアAR1に表示させる。制御部49は、第1表示エリアAR1に順次に表示されるリアルタイム再構成画像に対する操作部48を介した指定(選択)を受け付ける。操作部48を介して指定を受け付けると、制御部49は、表示制御部45を制御して、指定されたリアルタイム再構成画像を指定画像として第2表示エリアAR2に表示させる。この際、表示制御部45は、
図4に示すように、指定されたリアルタイム再構成画像のサイズを縮小させた縮小画像を第2表示エリアAR2に表示させることができる。
【0055】
また、続いて、別のリアルタイム再構成画像が操作部48を介して指定されると、制御部49は、表示制御部45を制御して、指定されたリアルタイム再構成画像を第2表示エリアAR2に表示させる。このとき、表示制御部45は、第2表示エリアAR2を
図4に示すように水平方向及び垂直方向の双方に2分割し、該当する分割エリアに、指定されたリアルタイム再構成画像を表示させる。たとえば、指定されたリアルタイム再構成画像がすべての分割エリアに表示された場合、次のリアルタイム再構成画像が指定されたときに分割エリア数を増やしてスクロール表示させることが可能である。
【0056】
なお、表示部47が、第1表示エリアAR1を有する第1画面と、第2表示エリアAR2を有する第2画面とを備え、表示制御部45は、別個に設けられた画面に上記の指定画像を表示させてもよい。
【0057】
第1マーキング部411eは、リアルタイム再構成中に、リアルタイム再構成画像群の中から指定された画像に対しマークを付与する。これにより、マークが付与されたリアルタイム再構成画像は、リアルタイム再構成が終了した後であっても検索して探し出すことが容易となる。また、マークが付与されたリアルタイム再構成画像を第1表示エリアAR1に固定して表示したり、第1表示エリアAR1とは別の第2表示エリアAR2に表示したりすることにより、指定されたリアルタイム再構成画像を容易に把握することが可能になる。更に、第1マーキング部411eによりマークが付与されたことを示すオブジェクトを、マークが付与されたリアルタイム再構成画像と同一画面に表示させてもよい。
【0058】
また、第2再構成処理部412bは、第1再構成処理部411bで用いた投影データに対しバッチ再構成処理を行い、第2ボリュームデータを作成する。この際、第2再構成処理部412bは、指定されたリアルタイム再構成画像の位置に対応した再構成範囲でバッチ再構成処理を行う。
【0059】
たとえば、
図5に示すように、表示部47の表示エリアは、第3表示エリアAR3と、第4表示エリアAR4とを有する。表示制御部45は、第3表示エリアAR3に、指定されたリアルタイム再構成画像(又はその縮小画像)を表示させる。第3表示エリアAR3は、
図4の第2表示エリアAR2と同一のエリアであってもよい。制御部49は、第3表示エリアAR3に表示されるリアルタイム再構成画像に対する操作部48を介した指定(選択)を受け付ける。操作部48を介してリアルタイム再構成画像の指定を受け付けると、制御部49は、表示制御部45を制御して、指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を第4表示エリアAR4に表示させる。リアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像とは、リアルタイム再構成画像と同じ位置におけるバッチ再構成画像である。
【0060】
第4表示エリアAR4に表示されるバッチ再構成画像は、次のように生成される。
【0061】
再構成処理部41bは、
図3に示すように、キュー制御部413bを含んで構成される。キュー制御部413bは、第2再構成処理部412bにおいて行われるバッチ再構成処理の再構成範囲を変更することができる。第3表示エリアAR3に表示されたリアルタイム再構成画像の指定を受け付けると、特定部41dは、操作部48を介して指定されたリアルタイム再構成画像のスライス位置等を含むマーク情報を第1マーキング部411eから取得する。特定部41dは、このマーク情報を記憶部46から取得するようにしてもよい。特定部41dは、取得されたマーク情報に含まれるスライス位置に基づいて、マークの付与対象として指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像のスライス位置やそのスライス位置を含む再構成範囲を特定する。特定部41dは、特定されたスライス位置や再構成範囲を含むマーク情報をキュー制御部413bに送る。キュー制御部413bは、特定部41dから取得されたマーク情報に基づいて、バッチ再構成処理の再構成範囲を、バッチ再構成画像のスライス位置を含む再構成範囲に変更する。従って、第2再構成処理部412bは、指定されたリアルタイム再構成画像のスライス位置に対応した再構成範囲でバッチ再構成処理を行うことができる。
【0062】
この結果、第2レンダリング部412cは、マークが付与されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を生成することができる。この際、第2レンダリング部412cは、特定部41dから取得されたマーク情報に基づいて、リアルタイム再構成画像の位置におけるバッチ再構成画像を生成することができる。第2レンダリング部412cによって生成されたバッチ再構成画像は、記憶部46に保存された後に、表示部47の第4表示エリアAR4に表示される。
【0063】
第2マーキング部412eは、第2レンダリング部412cによって生成されたバッチ再構成画像であって、マークが付与されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像にマークを付与する。
【0064】
なお、指定されたリアルタイム再構成画像に対応するバッチ再構成画像は、複数の画像であってもよい。この場合、表示制御部45は、複数のバッチ再構成画像の1つを代表画像として表示部47の第4表示エリアAR4に表示させることが可能である。代表画像は、当該リアルタイム再構成画像の位置に最も近いものが選択される。また、代表画像が表示された場合、指定されたリアルタイム再構成画像に対応する複数のバッチ再構成画像のそれぞれを、操作部48を介して任意に選択して切り替えて表示させるようにしてもよい。
【0065】
このように、X線CT装置1は、リアルタイム再構成画像に付与されたマークを、対応するバッチ再構成に引き継ぐことにより、リアルタイム再構成と対応するバッチ再構成画像とを関連付けることができる。この実施形態では、X線CT装置1は、マークが付与されたリアルタイム再構成画像に関連付けられたバッチ再構成画像を生成することができる。また、X線CT装置1は、マークが付与されたリアルタイム再構成画像の位置に対応した再構成範囲でバッチ再構成を行うことができる。
【0066】
これにより、リアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を探し出す手間を省くことができ、所望のリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を短時間で確認することが可能になる。また、所望のバッチ再構成画像を確認するための操作性やスループットを向上させることができる。バッチ再構成処理による再構成処理時間の短縮化が可能になるため、逐次近似再構成処理等の処理時間が長くなる再構成処理を行う場合には顕著な効果を得ることができる。更に、所望の再構成範囲だけでバッチ再構成を行うことができるので、無駄な画像の生成を抑制し、バッチ再構成画像の保存領域を小さくすることができる。
【0067】
次に、この実施形態に係るX線CT装置1の動作例について説明する。以下では、リアルタイム再構成画像群の中から1以上のリアルタイム再構成画像を指定し、指定されたリアルタイム再構成画像の位置に対応した再構成範囲でバッチ再構成を行うことにより、指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を表示する場合について説明する。
【0068】
図6及び
図7に、この実施形態に係るX線CT装置1の動作例の動作フローを示す。
【0069】
(S01)
X線CT装置1は、予め定められたスキャン条件でスキャンを開始する。スキャンが開始されると、X線CT装置1は、被検体Eに対してX線スキャンを行い、複数の断層画像データを作成する。すなわち、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出する。X線検出部12で検出されたX線に基づく検出データは、データ収集部18で収集され、処理部41(前処理部41a)に送られる。
【0070】
(S02)
X線CT装置1は、投影データを作成する。すなわち、前処理部41aは、取得された検出データに対して、対数変換処理等の前処理を行い、投影データを作成する。作成された投影データは、制御部49の制御に基づき、再構成処理部41bに送られる。
【0071】
(S03)
X線CT装置1は、S02にて取得された投影データを用いてリアルタイム再構成処理を行う。すなわち、第1再構成処理部411bは、予め決められたリアルタイム再構成用の再構成条件に基づいて、S02にて取得された投影データを用いてリアルタイム再構成処理を行い、第1ボリュームデータを作成する。作成された第1ボリュームデータは、制御部49の制御に基づき、レンダリング処理部41cに送られる。
【0072】
(S04)
X線CT装置1は、リアルタイム再構成画像を生成する。すなわち、第1レンダリング部411cは、S03にて作成された第1ボリュームデータに基づいてリアルタイム再構成画像を生成する。
【0073】
(S05)
X線CT装置1は、リアルタイム再構成画像を表示する。すなわち、表示制御部45は、
図4に示すように、S04にて生成されたリアルタイム再構成画像を表示部47(第1表示エリアAR1)に表示させる。
【0074】
(S06)
X線CT装置1は、リアルタイム再構成画像群の中から注目するリアルタイム再構成画像の指定を受け付ける。すなわち、制御部49は、表示されたリアルタイム再構成画像が操作部48を介して指定されたか否かを監視する。操作部48を介してリアルタイム再構成画像が指定されたとき(S06:Y)、X線CT装置1の動作は、S07に移行する。操作部48を介してリアルタイム再構成画像が指定されなかったとき(S06:N)、X線CT装置1の動作は、S08に移行する。
【0075】
(S07)
X線CT装置1は、S06にて指定されたリアルタイム再構成画像に対してマーキングを行う。すなわち、第1マーキング部411eは、S06にて指定されたリアルタイム再構成画像に対してマークを付与する。これにより、指定されたリアルタイム再構成画像に、マーキングされたことを示す情報を付帯させるとともに、指定されたリアルタイム再構成画像のマーク情報がマーク情報記憶手段に保存される。
【0076】
(S08)
操作部48を介してリアルタイム再構成画像が指定されなかったとき(S06:N)、又はS07に続いて、次のリアルタイム再構成画像があるとき(S08:Y)、X線CT装置1の動作は、S05に移行する。次のリアルタイム再構成画像がないとき(S08:N)、X線CT装置1の動作は、S09に移行する。
【0077】
(S09)
X線CT装置1は、バッチ再構成を行うか否かを判定する。すなわち、制御部49は、操作部48を介してバッチ再構成の開始指示の有無を監視する。操作部48を介してバッチ再構成の開始が指示されたと判断されたとき(S09:Y)、X線CT装置1の動作は、S10に移行する。操作部48を介してバッチ再構成の開始が指示されなかったと判断されたとき(S09:N)、X線CT装置1の動作は、一連の処理を終了する(エンド)。
【0078】
(S10)
X線CT装置1は、S05にて指定されたリアルタイム再構成画像の中から、バッチ再構成画像の生成を所望するリアルタイム再構成画像の指定を受け付ける。すなわち、制御部49は、S05にて指定され表示部47(第2表示エリアAR2)に表示されたリアルタイム再構成画像が操作部48を介して指定されたか否かを監視する。操作部48を介してリアルタイム再構成画像が指定されたとき(S10:Y)、X線CT装置1の動作は、S11に移行する。操作部48を介してリアルタイム再構成画像が指定されなかったとき(S10:N)、X線CT装置1の動作は、S18に移行する。
【0079】
(S11)
X線CT装置1は、S10にて指定されたリアルタイム再構成画像のマーク情報を取得する。すなわち、第1マーキング部411eは、図示しないマーク情報記憶手段から、S06にて指定されたリアルタイム再構成画像のマーク情報を取得する。この際、第1マーキング部411eは、S10にて指定された複数のリアルタイム再構成画像のマーク情報を一斉に取得するようにしてもよい。
【0080】
(S12)
X線CT装置1は、バッチ再構成処理で用いる再構成範囲を特定する。すなわち、特定部41dは、S11に取得されたマーク情報を第1マーキング部411eから取得する。特定部41dは、取得されたマーク情報に基づいて、S10にて指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像の位置やその位置を含む再構成範囲を特定する。たとえば、S11にて複数のリアルタイム再構成画像のマーク情報が取得された場合、特定部41dは、取得された複数のリアルタイム再構成画像の位置をすべて含む再構成範囲を特定する。
【0081】
(S13)
X線CT装置1は、バッチ再構成処理の再構成条件を設定する。すなわち、キュー制御部413bは、バッチ再構成処理の再構成範囲を、特定部41dによって特定された再構成範囲に変更する。これにより、バッチ再構成処理の再構成条件に含まれる再構成範囲が変更される。
【0082】
(S14)
X線CT装置1は、S13にて設定された再構成条件に基づいて、S02にて取得された投影データを用いてバッチ再構成処理を行う。すなわち、第2再構成処理部412bは、上記の再構成条件に基づいて、S02にて取得された投影データを用いてバッチ再構成処理を行い、第2ボリュームデータを作成する。作成された第2ボリュームデータは、制御部49の制御に基づき、レンダリング処理部41cに送られる。
【0083】
(S15)
X線CT装置1は、バッチ再構成画像を生成する。すなわち、第2レンダリング部412cは、S14にて作成された第2ボリュームデータに基づいてバッチ再構成画像を生成する。第2レンダリング部412cは、特定部41dからのマーク情報を受けて、S10にて指定されたリアルタイム再構成画像の位置におけるバッチ再構成画像を生成することができる。
【0084】
(S16)
X線CT装置1は、S10にて指定されたバッチ再構成画像に対してマーキングを行う。すなわち、第2マーキング部412eは、S10にて指定されたバッチ再構成画像に対してマークを付与する。なお、S16の処理は、S11〜S15のいずれかの直前、又はS17の後に行われてもよい。S16では、指定されたバッチ再構成画像に、マーキングされたことを示す情報を付帯させるとともに、指定されたバッチ再構成画像のマーク情報がマーク情報記憶手段に保存される。その結果、リアルタイム再構成画像に付与されたマークを、対応するバッチ再構成に引き継ぐことができ、リアルタイム再構成と対応するバッチ再構成画像とを関連付けることができる。
【0085】
(S17)
X線CT装置1は、バッチ再構成画像を表示する。すなわち、表示制御部45は、
図5に示すように、S15にて生成されたバッチ再構成画像を表示部47(第4表示エリアAR4)に表示させる。
【0086】
(S18)
X線による撮影を終了するとき(S18:Y)、X線CT装置1は、一連の動作を終了する(エンド)。撮影を終了しないとき(S18:N)、X線CT装置1の動作は、S10に移行する。
【0087】
この実施形態における特定部41dは、次のようにリアルタイム再構成画像に対応するバッチ再構成画像を特定することが可能である。
【0088】
(特定部の処理の具体例)
図8に、この実施形態における特定部41dの動作説明図を示す。
図8は、横軸に画像の位置(スライス位置)を表し、リアルタイム再構成画像と、バッチ再構成の再構成範囲の開始位置からn(nは自然数)枚目〜(n+2)枚目のバッチ再構成画像との関係を模式的に表したものである。
【0089】
図8において、マークが付与されたリアルタイム再構成画像(指定画像)の位置がP(Pは実数)、幅(画像スライス厚)がT(Tは実数)であるものとする。従って、当該リアルタイム再構成画像の範囲は、Pを中心とした(P−T/2)〜(P+T/2)の範囲である。
【0090】
また、同一の投影データを用いて生成されるバッチ再構成画像の再構成範囲の開始位置をC(Cは実数)、再構成スライス厚(画像厚)をD(Dは実数)、再構成間隔をF(Fは実数)とする。n枚目のバッチ再構成画像の範囲は、(C+(n−1)F)を中心とした(C+(n−1)F−D/2)〜(C+(n−1)F+D/2)の範囲である。(n+1)枚目のバッチ再構成画像の範囲は、(C+nF)を中心とした(C+nF−D/2)〜(C+nF+D/2)の範囲である。(n+2)枚目のバッチ再構成画像の範囲は、(C+(n+1)F)を中心とした(C+(n+1)F−D/2)〜(C+(n+1)F+D/2)の範囲である。
【0091】
特定部41dは、リアルタイム再構成画像の画像スライス厚(画像厚)の範囲に、その画像スライス厚の範囲の少なくとも一部が含まれるバッチ再構成画像を、当該リアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像として特定する。その具体例として、特定部41dは、次の式(1)又は式(2)を満たすn枚目のバッチ再構成画像を特定することができる。
(P−T/2)<(C+(n−1)F−D/2)<(P+T/2) ・・・(1)
(P−T/2)<(C+(n−1)F+D/2)<(P+T/2) ・・・(2)
【0092】
特定部41dは、当該リアルタイム再構成画像に対応して複数のバッチ再構成画像を特定することができる。このとき、当該リアルタイム再構成画像のマーク情報が、特定部41dによって特定された複数のバッチ再構成画像に引き継がれる。なお、
図8は、3枚のバッチ再構成画像に引き継がれる例を表している。
【0093】
<作用・効果>
この実施形態の作用及び効果について説明する。
【0094】
実施形態に係るX線CT装置1は、第1再構成処理部411bと、第2再構成処理部412bと、第1レンダリング部411cと、第2レンダリング部412cとを含んで構成される。第1再構成処理部411bは、被検体Eに対してX線スキャンを行うことにより得られた投影データ(撮影データ)を用いてリアルタイム再構成処理を行い、第1ボリュームデータを作成する。第1レンダリング部411cは、第1ボリュームデータに基づいてリアルタイム再構成画像群を生成する。第2再構成処理部412bは、第1再構成処理部411bで用いた投影データを用いてバッチ再構成処理を行い、第2ボリュームデータを作成する。リアルタイム再構成画像群は、操作部48を介してリアルタイム再構成画像の指定が可能である。第2レンダリング部412cは、リアルタイム再構成画像群の中から、操作部48を介して指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を、第2ボリュームデータに基づいて生成する。
【0095】
また、指定されたリアルタイム再構成画像の位置に対応した再構成範囲を、バッチ再構成処理における再構成範囲に設定することが可能である。更に、指定されたリアルタイム再構成画像にマークを付与するとともに、マークが付与されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像にもマークを付与することができる。
【0096】
このように、リアルタイムに得られるリアルタイム再構成画像群のうち、指定されたリアルタイム再構成に対応したバッチ再構成画像を生成することができるので、所望のリアルタイム再構成画像に対応する位置におけるバッチ再構成画像の観察が容易となり、操作性を向上させ、スループットを向上させることができる。
【0097】
また、指定されたリアルタイム再構成画像の位置を含む再構成範囲でバッチ再構成処理を行うことが可能になるため、再構成処理時間を短縮するとともに、バッチ再構成画像の保存領域を小さくすることができる。
【0098】
更に、注目したリアルタイム再構成画像に付与したマークを、対応するバッチ再構成画像に引き継ぐことにより関連付けるようにしたので、注目したリアルタイム再構成画像に対応する位置におけるバッチ再構成画像の検索が容易となり、スループットを向上させることができる。
【0099】
(変形例)
実施形態は、上記のX線CT装置1の構成や動作に限定されるものではない。
【0100】
(第1変形例)
上記の実施形態では、X線CT装置がヘリカルスキャンによりデータを収集する場合について説明したが、X線CT装置がボリュームスキャンにより検出データを収集する場合も同様である。
【0101】
たとえば、X線CT装置は、ボリュームスキャンにより、連続的に、又は間欠的に被検体Eを複数回曝射する。従って、X線CT装置は、リアルタイム再構成処理を行うことにより、第1ボリュームデータに時間情報(撮影タイミング、又は、撮影開始時刻及び撮影終了時刻等)を加えた4次元データを取得することが可能になる。この場合、第1マーキング部411e及び第2マーキング部412eは、上記のマーク情報に時間情報が追加された新たなマーク情報を生成する。特定部41dは、時間情報を含むマーク情報に基づいてバッチ再構成処理の再構成範囲等を特定し、時間情報及び再構成範囲を含むマーク情報をキュー制御部413bに送る。第2再構成処理部412bは、時間情報が反映された再構成条件で、バッチ再構成処理を行うことができる。
【0102】
(第2変形例)
実施形態又は第1変形例では、主として、リアルタイム再構成画像を指定した後に、対応するバッチ再構成画像を生成して表示部47に表示する場合について説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、リアルタイム再構成画像を指定した時点で、バッチ再構成画像群が既に生成されている場合、生成されたバッチ再構成画像群の中から、指定されたリアルタイム再構成画像に対応したバッチ再構成画像を選択して表示部47に表示させるようにしてもよい。
【0103】
(第3変形例)
実施形態、第1変形例、又は第2変形例において、マークが、1枚のリアルタイム再構成画像に付与されるのではなく、連続した領域に付与されるようにしてもよい。この場合、連続した領域の幅を
図8の幅Tとすることにより、特定部41dは、同様に、バッチ再構成画像にマークを引き継ぐことが可能である。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。