(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、トウガラシ抽出物やショウガ抽出物等を含有し、かつ、満足できる眠気防止効果や覚醒効果を有するチューインガムを開発すべく、トウガラシ抽出物やショウガ抽出物等をガム生地に練合し、当該ガム生地を用いてチューインガムを作製した。しかしながら、当該チューインガムは、噛みはじめの刺激の立ち上がり及び刺激の持続性が良好であるとはいえず、そのため満足できる眠気防止効果や覚醒効果が得られないことが明らかとなった。
【0008】
そこで本発明は、トウガラシ抽出物やショウガ抽出物等を含有するチューインガムであって、噛みはじめの刺激の立ち上がり及び刺激の持続性が良好であるチューインガムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は噛みはじめの刺激の立ち上がり及び刺激の持続性が良好で、優れた眠気防止効果や覚醒効果を有するチューインガムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ガム生地からなる外殻とそれに包まれた中空を有し、当該外殻部にトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含有し、かつ当該中空部にトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含む粉末状の中身を含有することを特徴とする、チューインガムが、噛みはじめの刺激の立ち上がり及び刺激の持続性が共に良好であり、そして優れた眠気防止効果や覚醒効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] ガム生地からなる外殻とそれに包まれた中空を有し、該外殻部にトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含有し、かつ該中空部にトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含む粉末状の中身を含有することを特徴とする、チューインガム。
[2] 粉末状の中身がさらに重曹及び酸味料を含む、[1]のチューインガム。
[3] 外殻にカプサイシン類を3μg以上、及びジンゲロールを30μg以上、並びに/或いはピペリン類を0.2mg以上含有し、且つ粉末状の中身にカプサイシン類を0.005μg以上、及びジンゲロールを0.01mg以上、並びに/或いはピペリン類を0.35μg以上含有する、[1]又は[2]のチューインガム。
[4] 外殻にさらにカフェインを含有する、[1]〜[3]のいずれかのチューインガム。
[5] 外殻にカフェインを10mg以上含有する、[4]のチューインガム。
[6] ガム生地からなる外殻とそれに包まれた中空を有し、該外殻部にトウガラシ抽出物とショウガ抽出物を含有し、かつ該中空部にトウガラシ抽出物とショウガ抽出物を含む粉末状の中身を含有することを特徴とする、眠気防止剤。
[7] 粉末状の中身がさらに重曹及び酸味料を含む、[6]の眠気防止剤。
[8] 外殻にカプサイシン類を3μg以上、及び/またはジンゲロールを30μg以上、並びに/或いはピペリン類を0.2mg以上含有し、且つ粉末状の中身にカプサイシン類を0.005μg以上、及び/またはジンゲロールを0.01mg以上、並びに/或いはピペリン類を0.35μg以上含有する、[6]又は[7]の眠気防止剤。
[9] 外殻にさらにカフェインを含有する、[6]〜[8]のいずれかの眠気防止剤。
[10] 外殻にカフェインを10mg以上含有する、[6]〜[9]のいずれかに記載の眠気防止剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トウガラシ抽出物やショウガ抽出物等を含有するチューインガムであって、噛みはじめの刺激の立ち上がり及び刺激の持続性が共に良好であるチューインガムを提供することができる。
【0013】
また、噛みはじめの刺激の立ち上がり及び刺激の持続性が良好で、優れた眠気防止効果や覚醒効果を有するチューインガムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のチューインガムは、ガム生地からなる外殻とそれに包まれた中空を有し、当該中空部に粉末状の中身(以下、単に「中身」と記載する場合がある)を含有する。外殻部を構成するガム生地及び粉末状の中身がそれぞれ、トウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含有することにより、これら抽出物に由来する刺激的な風味(以下、単に「刺激」と記載する場合がある)を、噛みはじめから立ち上がりよく感じることができるとともに、当該刺激を持続的に良好に感じることができる。
【0016】
また、本発明のチューインガムは高い覚醒効果を有し、本発明のチューインガムを摂取することにより眠気を防止することができる。
【0017】
1.外殻
外殻はガム生地からなりトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含有する。トウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を外殻に含めることによって、本発明のチューインガム咀嚼時においてこれら抽出物はガム生地より徐々に放出される。これによって、これら抽出物に由来する刺激を噛み終わりまで持続的に感じることができる。
【0018】
(1−1.ガム生地)
外殻を構成するガム生地は、チューインガムに一般的に使用されるものを使用することができ、すなわち、ガムベースに、甘味料、軟化剤、香料、酸味料、酸化防止剤、食塩、ビタミン類、その他の食品添加物等を必要に応じて適宜、添加・混合したものを使用することができる。
【0019】
ガムベースとしては、チクル等の植物性樹脂、酢酸ビニル樹脂、エステルガム、ポリイソブチレン、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0020】
甘味料としては、砂糖、ブドウ糖、水飴、マルチトール、キシリトール等が挙げられる。
軟化剤としては、水やグリセリン等が挙げられる。
香料としては、例えば、ペパーミント、スペアミントなどハーブ類の抽出物、果実(かんきつ類、イチゴ、モモなど)の香料等が挙げられる。
【0021】
酸味料としてはクエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸等が挙げられる。
酸化防止剤としてはビタミンC、酵素処理ルチン等が挙げられる。
ビタミン類としてはビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシン等が挙げられる。
【0022】
(1−2.抽出物)
トウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、及びカショウ抽出物はそれぞれ、トウガラシの果実部分、ショウガの地下茎部分、コショウの果実部分、サンショウの果皮部分、及びカホクザンショウの果皮部分を有機溶媒、水、超臨界流体または亜臨界流体である溶媒により抽出することにより得ることができる。アリルカラシ油はワサビ、カラシ、大根などアブラナ科の植物の茎、葉、果実部分及び地下茎部分より、水蒸気蒸留法により抽出して得ることができる。
【0023】
トウガラシ抽出物にはカプサイシン類が、ショウガ抽出物にはジンゲロールが、コショウ抽出物にはピペリンが、サンショウ抽出物及びカショウ抽出物にはサンショオールが、アリルカラシ油にはアリルイソチオシアネートが、それぞれ辛味成分として含まれる。
【0024】
各抽出物は溶媒による抽出液をそのまま使用することもできるし、抽出液を濃縮または希釈したものを使用することもできるし、抽出液から辛味成分を精製または粗精製したものを使用することもできる。また、抽出物は凍結乾燥させたものであってもよい。
【0025】
辛味成分はHPLC法により測定することができ、所定量の辛味成分を含む各抽出物を適宜、外殻に含めることができる。
【0026】
トウガラシ抽出物を用いる場合には、外殻に含まれるトウガラシ抽出物の量(チューインガム1粒あたりの量)は、カプサイシン類の量にして、3μg以上、より好ましくは10μg以上、特に好ましくは15μg〜60μgである。なお、カプサイシン類の量(カプサイシン量)はカプサイシンとジヒドロカプサイシンの総量である。本明細書では、カプサイシンおよびジヒドロカプサイシンを総称して「カプサイシン類」または単に「カプサイシン」と称することがある。
【0027】
上記トウガラシ抽出物は、ショウガ抽出物と組み合わせて配合することにより、経口摂取に適した辛味パターンとなる。
【0028】
ショウガ抽出物を用いる場合には、外殻に含まれるショウガ抽出物の量(チューインガム1粒あたりの量)は、ジンゲロールの量にして、30μg以上、より好ましくは40μg以上、特に好ましくは40μg〜3mgである。
【0029】
コショウ抽出物を用いる場合には、外殻に含まれるコショウ抽出物の量(チューインガム1粒当たりの量)はピペリン類の量にして0.2mg以上、より好ましくは0.7mg以上、特に好ましくは1mg〜100mgである。
【0030】
(1−3.その他の成分)
外殻には必要に応じて、カフェインを含めることができる。カフェインとしては市販のカフェインを使用することができる。例えば、コーヒー豆や茶葉から熱水抽出して製造される高濃度(例えば98.5重量%以上)のカフェインを使用することができる。
【0031】
外殻に含めるカフェインの量(チューインガム1粒あたりの量)は、10mg以上、より好ましくは20mg以上、特に好ましくは20mg〜100mgである。カフェインは自発運動興奮作用を有し、本発明のチューインガムが有する覚醒効果を高めることができる。
【0032】
2.粉末状の中身
粉末状の中身は、粉末状のトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を含有する。
【0033】
トウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上は上記「トウガラシ抽出物」、「ショウガ抽出物」、「コショウ抽出物」、「サンショウ抽出物」、「カショウ抽出物」及び「アリルカラシ油」をデキストリン、でんぷん、アラビアガムなどの多糖類、糖類、糖アルコール類などから選ばれる任意の粉末と一緒に粉末化して得られたものを使用することができる。粉末としてこれら抽出物を含めることによって、本発明のチューインガム咀嚼時においてこれら抽出物に由来する刺激を噛みはじめから、立ち上がりよく感じることができる。
【0034】
各抽出物に含まれる辛味成分はHPLC法により測定することができ、所定量の辛味成分を含む各抽出物を適宜、中身に含めることができる。
【0035】
中身にトウガラシ抽出物を用いる場合には、トウガラシ抽出物の量(チューインガム1粒あたりの量)は、カプサイシン類の量にして、0.005μg以上、より好ましくは0.01μg以上、特に好ましくは0.01μg〜9μgである。
【0036】
中身にショウガ抽出物を用いる場合には、ショウガ抽出物の量(チューインガム1粒あたりの量)は、ジンゲロールの量にして、0.01mg以上、より好ましくは0.015mg以上、特に好ましくは0.02mg〜4.0mgである。
【0037】
中身にコショウ抽出物を用いる場合には、コショウ抽出物の量(チューインガム1粒あたりの量)は、ピペリン類の量にして、0.35μg以上、より好ましくは0.7μg以上、特に好ましくは0.7μg〜6mgである。
【0038】
粉末状の中身はさらに、重曹および酸味料(固体の有機酸およびその塩:例としてクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸およびそれらの塩)を含有する。粉末状の重曹と酸味料を含めることによって、咀嚼時に重曹は炭酸ガスを発生するために、清涼感のある刺激を噛みはじめから、立ち上がりよく感じることができる。また、重曹(より詳細には炭酸ガス)によってもたらされる刺激は、トウガラシ抽出物および/またはショウガ抽出物が有する辛味を抑制することができる。
【0039】
中身に含まれる重曹および酸味料の量(チューインガム1粒あたりの量)は、0.05g以上、より好ましくは0.06g以上、特に好ましくは0.06g〜0.50gである。
【0040】
粉末状の中身は、必要に応じてさらに、上記したような、甘味料、軟化剤、香料、酸化防止剤、食塩、ビタミン類、その他の食品添加物等を含有することができる。
【0041】
3.製造方法
本発明のチューインガムは常法に従い、製造することができる。
すなわち、上記ガム生地原料とトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上を配合し均一に混合して、外殻を構成するガム生地を調製する。また、粉末状の中身を、上記粉末状のトウガラシ抽出物、ショウガ抽出物、コショウ抽出物、サンショウ抽出物、カショウ抽出物及びアリルカラシ油からなる群より選択される1種以上と重曹及び酸味料、並びにその他の原料を配合し均一に混合して調製する。得られたガム生地の中央に、粉末状の中身を封入し、適当な形状に成形することによって、本発明のチューインガムを得ることができる。
【0042】
本発明のチューインガムに含まれる粉末状の中身の量は、当該チューインガムの全重量を基準として、好ましくは5重量%〜20重量%とすることができる。
【0043】
本発明のチューインガムの大きさは4〜10g、好ましくは6〜9g程度とすることができ、粉末状の中身が外殻によって包まれている限り、球状、ブロック状、粒状等何れの形態であってもよい。
【0044】
4.眠気防止剤
本発明のチューインガムは、高い覚醒効果を有し、眠気防止作用を有する食品組成物または医薬品組成物として使用することができる。
【実施例】
【0045】
(1−1)チューインガムの製造
表1に示す配合にて、常法に従い、原料を混練、均質化し、ガム生地及び中身をそれぞれ製造した。
【0046】
【表1】
【0047】
ガム生地及び/又は中身にトウガラシ抽出物及びショウガ抽出物を配合し、各成分を表2に示す配合で含有するチューインガムを製造した。チューインガムの製造は常法に従い行い、ガム生地の中央に中身を封入し、型抜きで粒状に成形してチューインガムを製造した。
【0048】
【表2】
【0049】
なお、本実施例において「カプサイシン」はカプサイシンとジヒドロカプサイシンを包含する。チューインガム1粒(7g)は、ガム生地6.2g、中身0.8gを含む。
【0050】
実施例1のチューインガムには、ガム生地と中身の双方にトウガラシ抽出物とショウガ抽出物を配合した。
【0051】
比較例1のチューインガムには、ガム生地にのみ実施例1のチューインガム全体における含量と同量のトウガラシ抽出物及びショウガ抽出物を配合し、中身にはトウガラシ抽出物及びショウガ抽出物のいずれも配合しなかった。
【0052】
比較例2のチューインガムには、ガム生地中にはトウガラシ抽出物とショウガ抽出物を配合せず、中身にのみ実施例1のチューインガムの中身における含量と同量のトウガラシ抽出物及びショウガ抽出物を配合した。
【0053】
使用したカフェイン原料は市販品である。コーヒー豆を原体とし、カフェイン含量は98.5重量%以上である。
【0054】
(1−2)刺激感の評価
専門パネル2名で、実施例、比較例1、及び比較例2の刺激感の評価を行った。
【0055】
【表3】
【0056】
次に、実施例1、比較例1及び比較例2の噛みはじめから、かみ終わりまでの各時点における刺激の強度と刺激の好ましさについて評価した。
【0057】
評価は専門パネル5名により行い、実施例1、比較例1及び比較例2のチューインガム1粒をそれぞれ咀嚼し、かみ始め(0〜30秒)、中間(30秒〜3分)、かみ終わり(3分以降)の3つのタイミングで刺激の強度を評価し、また各チューインガムについて刺激の出方の好ましさを評価した。
【0058】
「刺激の強度」の評価は、最も刺激が強い場合を5点とし、もっとも刺激が弱い場合を1点とする5段階評価にて行った。「刺激の出方の好ましさ」の評価は、もっとも好ましい場合を5点とし、もっとも好ましくない場合を1点とする5段階評価にて行った。なお、各チューインガムの評価はそれぞれ30分間以上の間隔を設けて行われ、各チューインガムの評価の順番はランダムに割りつけを行った。
結果を表4−1〜3に示す。
【0059】
【表4-1】
【0060】
【表4-2】
【0061】
【表4-3】
【0062】
以上の結果より、比較例1及び比較例2と異なり、実施例1は噛み始めから刺激を感じることができ、そして噛み終わりまで、持続して刺激を感じられることが明らかとなった。
【0063】
(2−1)チューインガムの製造
表1に示すガム生地及び/又は中身にコショウ抽出物を配合し、各成分を表5に示す配合で含有するチューインガムを製造した。チューインガムの製造は常法に従い行い、ガム生地の中央に中身を封入し、型抜きで粒状に成形してチューインガムを製造した。
【0064】
【表5】
【0065】
チューインガム1粒(7g)は、ガム生地6.2g、中身0.8gを含む。
実施例3のチューインガムには、ガム生地と中身の双方にコショウ抽出物を配合した。
比較例4のチューインガムには、ガム生地及び中身のいずれにもコショウ抽出物を配合しなかった。
【0066】
(2−2)刺激感の評価
専門パネル6名で、実施例3、及び比較例4の刺激感の評価を行った。実施例3、及び比較例4のチューインガム1粒をそれぞれ咀嚼し、かみ始め(0〜30秒)、及びかみ終わり(3分後)の2つのタイミングで刺激の強度を評価し、強い刺激が感じられた方のチューインガムを挙げてもらった。なお、各チューインガムの評価はそれぞれ30分間以上の間隔を設けて行われ、各チューインガムの評価の順番はランダムに割りつけを行った。
【0067】
結果を表6に示す。
【表6】
【0068】
以上の結果より、比較例4と異なり、実施例3は噛み始めから刺激を感じることができ、そして噛み終わりまで、持続して刺激を感じられることが明らかとなった。
【0069】
(3)眠気防止効果
3−1.チューインガムの製造
表1に示すガム生地及び中身にトウガラシ抽出物及びショウガ抽出物を配合し、各成分を表7に示す配合で含有するチューインガム(実施例2)を製造した。一方、比較例3(プラセボ)にはトウガラシ抽出物及びショウガ抽出物を配合しなかった。チューインガムの製造は常法に従い行い、ガム生地の中央に中身を封入し、型抜きで粒状に成形してチューインガムを製造した。
【0070】
【表7】
【0071】
なお、本実施例において「カプサイシン」はカプサイシンとジヒドロカプサイシンを包含する。チューインガム1粒(7g)は、ガム生地6.2g、中身0.8gを含む。
【0072】
実施例2のチューインガムには、ガム生地と中身の双方にトウガラシ抽出物とショウガ抽出物を配合した。
【0073】
比較例3のチューインガムには、ガム生地と中身のいずれにも、トウガラシ抽出物及びショウガ抽出物を配合しなかった。
【0074】
3−2.試験方法
試験は、20歳以上49歳以下の特定疾患を持たない健常男性9名を対象として、無作為割り付けによる2群のクロスオーバー試験(単回投与)により実施した。ウォッシュアウト期間を24時間とし、試験時間は15〜17時半の間とした。
【0075】
試験場所として、騒音のない仕切られた部屋(室温25度前後に調整)を用意し、リラックスできるような薄暗い状態にした。
【0076】
被験者は椅子に着席させ、机に置いた雑誌を読ませた。それ以外は特に作業を行わせなかった(検査時を除く)。
【0077】
3−3.試験項目
・自覚症状の評価
VAS(Visual Analog Scale)法とは、自覚的症状の程度を数値化して評価する検査である。直線状に、考えられうる最高の状態を右端、最低を左端としてその線分上に自分の状態の程度を示してもらう方法である。主観的な評価のために臨床医学でも広く用いられており、特に同被験者間の投与前後の状態の比較などに使われる。VAS法により「眠気」、「頭がぼーっとする」について評価した。
被験食摂取前、摂取直後、並びに摂取後15分、30分、及び60分に測定した。
【0078】
・フリッカー検査(下降法)
フリッカー検査(下降法)とは、視覚の疲労を通じて大脳疲労の度合いを評価する検査のことであり、点滅する光のサイクルを徐々に遅くして、それが点滅している光に見える時の1秒当たりのサイクル数を調べる。フリッカー値は主に覚醒水準を反映することが知られている。数値が高いほど、覚醒水準が高いことを示す。
被験食摂取前、並びに摂取後15分、30分、及び60分に測定した。
【0079】
・統計解析
統計処理は摂取前後の比較として対応のあるt−検定を用い、対照との群間比較には対応のあるt−検定を用いて行った。いずれも両側検定で有意水準を危険率5%とし、10%以下の場合は傾向ありとして判断した。
【0080】
3−4.試験プロトコル
試験プロトコルを
図1に示す。
【0081】
3−5.結果
・自覚症状の評価
VAS法による「眠気」及び「頭がぼーっとする」の評価結果を
図2、
図3に示す。
【0082】
ガム摂取直後には、実施例2及び比較例3(プラセボ)のいずれであっても、「眠気」及び「頭がぼーっとする」体感は共に低下した。
【0083】
摂取30分後、60分後の「眠気」の評価において、実施例2は、比較例3(プラセボ)と比較して有意に低値(眠気が少ない)を示した。
【0084】
また、摂取15分後、30分後、60分後の「頭がぼーっとする」の評価において、実施例2は、比較例3(プラセボ)と比較して有意に低値(眠気が少ない)を示した。
【0085】
・フリッカー検査
フリッカー検査(下降法)の結果を
図4に示す。
摂取15分後30分後、60分後において、実施例2は、比較例3(プラセボ)と比較してフリッカー値が有意に高い値を示した。
【0086】
これらの結果より、実施例2のチューインガムは「眠気」「頭がぼーっとする」体感を低減し、覚醒水準を上昇させる効果を有することが示された。また、その効果は摂取後60分間後においても確認され、持続性を有することが示された。