特許第6234800号(P6234800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234800
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】流体回収装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20171113BHJP
   F17C 5/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   F25B45/00 A
   F17C5/02
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-260834(P2013-260834)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-117870(P2015-117870A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】597095120
【氏名又は名称】株式会社岡常歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】野田 一行
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−174286(JP,A)
【文献】 特開昭49−007810(JP,A)
【文献】 特開平04−093566(JP,A)
【文献】 特開2002−148108(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02375194(EP,A1)
【文献】 特開昭55−043452(JP,A)
【文献】 特開2012−135435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
F17C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪(31)を下部に有する枠体(3)と、該枠体(3)の内部に設けられる流体回収用のタンク本体(1)と、該タンク本体(1)の上部(1a)を懸下状に保持すると共にロードセル(21)を有する吊下部材(2)と、を備えた流体回収装置に於て、
上記タンク本体(1)の揺れ止めを行うためのロック手段(6)と、上記車輪(31)の走行を阻止するためのストッパ手段(8)と、上記ロック手段(6)と上記ストッパ手段(8)とを連動連結すると共に上記ロック手段(6)と上記ストッパ手段(8)とを操作するための連動操作手段(9)と、を備え、
上記連動操作手段(9)は、上記ロック手段(6)が上記タンク本体(1)を揺れ止めしたロック状態かつ上記ストッパ手段(8)が上記車輪(31)の走行を阻止しない非制止状態である流体回収禁止状態と、上記ロック手段(6)が上記タンク本体(1)を揺れ止めしていない非ロック状態かつ上記ストッパ手段(8)が上記車輪(31)の走行を阻止する制止状態である流体回収可能状態と、に切換えるための共通操作レバー(90)を備えていることを特徴とする流体回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロンガスやオイル等の流体を回収する流体回収装置は、車輪を下部に有する枠体の内部に設けられた流体回収用のタンク本体を、ロードセルを有する支持部材で吊り下げ、タンク本体に回収した流体の重量を計量していた。
そして、車輪にて枠体を走行させる際に、走行中にタンク本体が揺れてロードセルが破損して正確に機能しなくなるのを防止するため、タンク本体の揺れ止めを行うためのロック手段を設けていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−174286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来は、ロック手段にてタンク本体の揺れ止めを行わないまま(非ロック状態のまま)、枠体を移動するような誤操作が行われ、ロードセルが破損して正確に機能しなくなるといった問題があった。
そこで、本発明は、タンク本体の揺れ止めを行わないまま、枠体が移動されるのを確実に防止可能な流体回収装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の流体回収装置は、車輪を下部に有する枠体と、該枠体の内部に設けられる流体回収用のタンク本体と、該タンク本体の上部を懸下状に保持すると共にロードセルを有する吊下部材と、を備えた流体回収装置に於て、上記タンク本体の揺れ止めを行うためのロック手段と、上記車輪の走行を阻止するためのストッパ手段と、上記ロック手段と上記ストッパ手段とを連動連結すると共に上記ロック手段と上記ストッパ手段とを操作するための連動操作手段と、を備え、上記連動操作手段は、上記ロック手段が上記タンク本体を揺れ止めしたロック状態かつ上記ストッパ手段が上記車輪の走行を阻止しない非制止状態である流体回収禁止状態と、上記ロック手段が上記タンク本体を揺れ止めしていない非ロック状態かつ上記ストッパ手段が上記車輪の走行を阻止する制止状態である流体回収可能状態と、に切換えるための共通操作レバーを備えているものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使用者が枠体を移動させようとして、車輪の走行を阻止するストッパ手段を解除すると、ロック手段によるタンク本体の揺れ止めが行われ、タンク本体のロック忘れを確実に防止し、ロードセルを確実に保護できる。回収作業前に車輪の制止忘れを防止し、流体回収作業中に枠体を移動させるような誤操作を防止できる。ロック手段の操作と、ストッパ手段の操作を、個別に行う必要がなく、容易かつ迅速に作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の一形態を示し、非ロック状態かつ制止状態の要部断面正面図である。
図2】非ロック状態を説明するための要部断面側面図である。
図3】非ロック状態と制止状態を示す要部断面側面図である。
図4】ロック状態かつ非制止状態の要部断面正面図である。
図5】ロック状態を説明するための要部断面側面図である。
図6】ロック状態かつ非制止状態を示す要部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示の実施形態に基づき本発明を詳説する。
本発明に係る流体回収装置は、図1に示すように、複数の車輪31,31を下部に有する枠体3と、枠体3の内部に設けられる円筒型の流体回収用のタンク本体1と、タンク本体1を懸下状に保持する吊下部材2と、を備えている。
【0009】
図1及び図2に示すように、吊下部材2は、角棒型(ビーム型)のロードセル21と、ロードセル21とタンク本体1の上部1a側を連結する門型(倒立ひの字状)の取付部材22と、を備えている。
ロードセル21は、矩形ブロック状の基端部(固定部)21aの下面(固定基準面)が、枠体3の側壁から突設された取付平面部32に固着されている。
また、矩形ブロック状の先端部(荷重受け部)21bの上面(荷重受け基準面)に、取付部材22が固着されている。また、取付部材22は、タンク本体1の上面に固着されている。ロードセル21の基端部21aの下面と取付平面部32は、図示のように枠体3を水平面状の設置面Gに設置した基準姿勢で水平面状である。
吊下部材2は、ロードセル21の変形(撓み及び捩じれ等)によって、タンク本体1の上部1aを360°首振自在に懸下状に保持している。
【0010】
そして、図1乃至図6に示すように、タンク本体1の揺れ止めを行って固定するためのロック手段6と、図1及び図3と、図4及び図6に示すように車輪31の走行(回転)を阻止するためのストッパ手段8と、を備えている。
さらに、図1及び図4に示すように、ロック手段6とストッパ手段8とを手動操作にて連動させる連動操作手段9と、を備えている。
【0011】
ロック手段6は、タンク本体1の下部1b側に取着された受け部材64と、水平状軸心Le廻りに揺動して受け部材64を介してタンク本体1の下部1b側を押圧し、図5に示すようにタンク本体1をロック傾斜角度αをもった傾斜状姿勢にさせる押圧部材63と、押圧部材63によってタンク本体1がロック傾斜角度αまで傾斜するとタンク本体1の側面(外周面)に当接する当り部材68と、を備えている。つまり、ロック状態においてタンク本体1は傾斜状姿勢に保持され上下前後左右に移動不可能に固定される。
【0012】
なお、本発明に於て、ロック傾斜角度αは、押圧部材63によってタンク本体1の下部1b側が一方向に押圧された傾斜状姿勢のタンク軸心Lbと、基準姿勢(鉛直状)のタンク軸心Laと、の間の角度である。ロック傾斜角度αは、ロードセル21を破壊(正常に機能させなくする)虞のある傾斜角度よりも小さく設けている。
【0013】
図2及び図5に示すように、受け部材64は、タンク本体1の下面から吊り下げ支持された取付板65に垂設されている。そして、水平状軸心Le廻りに揺動する押圧部材63の先端部63bが摺接するガイド面64aと、ガイド面64aを通過した先端部63bが嵌まり込んで押圧部材63の先端部63bを係止する(先端部63bと係合する)凹部64bと、を有している。
当り部材68は、タンク軸心Lを挟んで押圧部材63の180度反対位置で、枠体3に固定されている。
【0014】
図2に示すように、押圧部材63の先端部63bの自由状態(非揺動状態)から、図5に示すように、押圧部材63の先端部63bが上昇揺動するように操作した上昇揺動操作状態となると、押圧部材63が受け部材64を押圧して、タンク本体1の下部1b側が一方向に押圧された傾斜状姿勢となり、タンク本体1の上部1a側を当り部材68に当接させ、平面的に見て、当り部材68と押圧部材63とがタンク本体1を(互いに180度反対方向から)挟持状に固定して揺れ止めを行うロック状態となる。
【0015】
次に、図1及び図3と、図4及び図6に示すように、ストッパ手段8は、複数の車輪31,31の内1つの車輪31(31A)を押圧して走行を阻止するための丸棒状の制止部材81と、制止部材81の基端部(上端部)81aに固着された横断面コの字状の伝達部材82と、伝達部材82を介して制止部材81を常時下方へ(制止部材81の先端部81bが車輪31を押圧するように)弾発付勢する弾発付勢部材83と、制止部材81の上下方向移動(軸心方向移動)を案内するガイド部材84と、水平状軸心Le廻りに揺動して弾発付勢部材83の弾発力に抗して伝達部材82を上方へ持ち上げるカム部材85と、を備えている。
【0016】
伝達部材82は、板状部材であって、水平面状の上板部(上部)82a及び下板部(下部)82bと、上板部82aと下板部82bを連結する連結板部(連結部)82dと、を有している。
伝達部材82の下板部82bに制止部材81の基端部81aが固着され、上板部82a(の先端縁部側)を、カム部材85の先端部85bの揺動軌跡上に配設している。カム部材85の先端部85bが上昇揺動すると、その先端部85bが上板部82aの下面に当接して伝達部材82を上昇させるように設けている。つまり、伝達部材82は、カム部材85の先端部85bを水平状軸心Le廻りに上昇揺動させる回転操作力を、鉛直状の上昇力(引上げ力)に方向変換して制止部材81に伝達するものである。
【0017】
弾発付勢部材83は、引張りバネから成り、下端部(一端部)83bは、枠体3に固定部材39を介して取着され、上端部(他端部)83aは伝達部材82の下板部82bに取着している。
つまり、伝達部材82は、弾発付勢部材83の弾発力(引張り力)を、車輪31への押圧力として制止部材81に常時伝達している。
【0018】
ガイド部材84は、制止部材81の上部(上端部81a寄りの部位)が挿通する第1ガイド孔84aと、制止部材81の中間部81dが挿通する第2ガイド孔84bと、を有し、制止部材81の軸心を鉛直状に保持(支持)し、枠体3に固定部材39を介して固着されている。制止部材81が傾倒することなくスムーズに上下移動するように支持している。
制止部材81は、先端部(下端部)81bを先細テーパ形状に形成している。
【0019】
そして、図1及び図3に示すように、自由状態(カム部材85が伝達部材82を持ち上げていない非上昇揺動操作状態)では、弾発付勢部材83の弾発力が伝達部材82を介して制止部材81を押し下げて、制止部材81の先端部81bが車輪31を押圧して、車輪31の走行を阻止する制止状態となるように構成している。
図4及び図6に示すように、カム部材85の先端部85bが上昇揺動するように操作した上昇揺動操作状態では、カム部材85の先端部85bが、伝達部材82の上板部82aに当接し、弾発付勢部材83の弾発力に抗して、伝達部材82を上昇させ、その上昇により、制止部材81を車輪31から上方へ離間させ、非制止状態(走行可能状態)となるように構成している。なお、非制止状態において制止部材81の下端部81bが枠体3内に収納される(側面視及び正面視で枠体3から露出しない)ように設けるのが望ましい。
【0020】
次に、図1及び図4に示すように、連動操作手段9は、枠体3の側壁部に一端部91a側が枢支され、他端部91b側が枠体3に固着された軸支部材92に枢支され、水平状軸心Le廻りに回転自在な連動軸部材91と、枠体3の側壁部の外面側で連動軸部材91の一端部91aに固着され連動軸部材91を水平状軸心Le廻りに回転させるための共通操作レバー90と、を備えている。そして、連動軸部材91の中間部に、押圧部材63とカム部材85を外嵌状に固着して、共通操作レバー90を操作することで、押圧部材63とカム部材85とを連動させて(ほぼ同時に)水平状軸心Le廻りに揺動操作可能としている。
【0021】
図1及び図3に示すように、自由状態(非上昇揺動操作状態)では、共通操作レバー90と押圧部材63とカム部材85は、それらの自重等により、各先端部が下方へ垂れ下がった垂下状姿勢となり、押圧部材63は受け部材64を押圧しない非押圧姿勢とし、カム部材85は伝達部材82の上板部82aを下方から押上げない非持上げ姿勢となるように、連動軸部材91に固着している。
【0022】
そして、図4及び図6に示すように、使用者の人力(手動)による操作力が共通操作レバー90に付与されて水平状軸心Le廻りに回転した上昇揺動操作状態では、押圧部材63は受け部材64を押圧している押圧姿勢とし、カム部材85は伝達部材82を上昇させた持上げ姿勢となるように、連動軸部材91に固着している。
【0023】
つまり、連動操作手段9は、ロック手段6がタンク本体1を揺れ止めして固定していない非ロック状態(ロック解除状態)で、ストッパ手段8が車輪31の走行を阻止する制止状態とし、ロック手段6がタンク本体1を揺れ止めして固定したロック状態で、ストッパ手段8が車輪31の走行を阻止しない非制止状態となるように、ロック手段6とストッパ手段8を連動・連結させている。
言い換えると、連動操作手段9は、共通操作レバー90にて、移動許可操作(上昇揺動操作)と、移動禁止操作(降下揺動操作)とに、切換操作することで、ロック手段6及びストッパ手段8を、非ロック状態かつ制止状態である移動禁止状態(流体回収可能状態)と、ロック状態かつ非制止状態である移動許可状態(流体回収禁止状態)とに、切換え可能としている。このように人力レバー式の連動とすることで、電気制御や電動による連動に比べて、構造が簡素で、製造が容易になると共に、装置の軽量化や小型化が実現できる。
【0024】
なお、移動許可状態(ロック状態かつ非制止状態)となるように共通操作レバー90を上昇揺動操作した後に、人力を解除しても(手を離しても)、押圧部材63の先端部63bと受け部材64の凹部64bとが係合した係合力が、共通操作レバー90と押圧部材63とカム部材85による自重及び弾発付勢部材83の弾発力(引張りバネの引張り力)に抗して、共通操作レバー90の戻りを(非ロック状態かつ制止状態になるのを)阻止するように構成している。枠体3の移動を迅速に開始できると共に人や物が不用意に共通操作レバー90に当たってロックが解除されるのを防止している。
【0025】
なお、枠体3の下部には、車輪31と、車軸37と、車軸37の両端部を支持する車軸支持部材(ヨーク)38と、を備えた、車輪ユニット(キャスター)30を、複数、例えば4つ、有している。そして、複数の車輪ユニット30,30の内の1つを、制止部材81が車輪31に接触・離間する連動制止用の車輪ユニット30Aとし、鉛直状軸心周りに非旋回に設けている(固定キャスター型である)。また、残りの複数(3つ)の車輪ユニット30(30B)は、フットペダル等によって走行阻止・走行可能操作が可能なブレーキ機構36を車軸支持部材38に付設したブレーキ付きが好ましく、さらに、旋回キャスター型が好ましい。
【0026】
タンク本体1は上面で、回収すべき流体を吸込する入口配管と接続されているが、その配管によってタンク本体1(の荷重)を吊り持ち支持しないように構成されている。また、タンク本体1の下面で、タンク本体1内の回収した流体(液体)を排出する出口配管と接続されているが、その配管によってタンク本体1(の荷重)を持ち上げ支持しないように構成されている。具体的には、タンク本体1側に固着される配管と、枠体3側に固着される配管の間の配管部を、可撓性を有するゴム製等のホース配管とし、撓み等によって自由度を持たせている。このようにタンク本体1の上部1aを吊り持ちし、タンク本体1の下部1bを支持しない(自由にする)ことで、回収した流体の荷重が配管等他部材に支持されず、ロードセル21による計量を高精度に行うことが可能となる。
【0027】
次に、本発明の流体回収装置の実施の一形態の使用方法(作用)について説明する。
水平面状の設置面Gに設置して流体回収作業を行っている間は、図1乃至図3に示すように、(共通操作レバー90は非上昇揺動操作状態であり、)非ロック状態のタンク本体1の軸心Lが鉛直状になるように吊り下げ支持され、ロードセル21による高精度な計量が行われる。また、制止部材81が車輪31の走行を阻止した制止状態であり、流体回収作業中であるにも関わらず枠体3(装置)を移動させるような誤操作(誤作業)を防止する。
【0028】
そして、枠体3を移動させる場合は、使用者が、共通操作レバー90にて移動許可操作(上昇揺動操作)すると、図4及び図6に示すように、ストッパ手段8のカム部材85の先端部85bが上昇揺動して伝達部材82を介して制止部材81を上昇させて車輪31から離間させて非制止状態にすると共に、ロック手段6の押圧部材63の先端部63bが上昇揺動し、タンク本体1を揺れ止めして固定するロック状態となる。車輪31を走行させて枠体3を移動しても、タンク本体1が揺れ止め(固定)されているため振動や衝撃等がロードセル21に伝達されず確実に保護される。
【0029】
なお、本発明は、設計変更可能であって、ロック手段6及びストッパ手段8は、図示した以外のものでも良い。例えば、ストッパ手段8は、制止部材81の下端部81bを車輪31の外周面に面状接触可能な円弧状(凹曲状)に形成しても良い。また、弾発付勢部材83を圧縮コイルスプリングとして、制止部材81を常時下方へ弾発付勢するように配設(構成)しても良い。また、モータやアクチュエータ等を用いても良く、電気制御部を介して電動(電気動力)にて連動させても良い。
また、本発明に係る流体回収装置は、車両用流体の回収装置に適用するのが望ましく、具体的には、車両空調部(カーエアコン)等からフロンガスを回収再生する装置や、エンジンオイルやトルクコンバーターオイル等を回収する装置に適用するのが望ましい。
【0030】
以上のように、本発明の流体回収装置は、車輪31を下部に有する枠体3と、枠体3の内部に設けられる流体回収用のタンク本体1と、タンク本体1の上部1aを懸下状に保持すると共にロードセル21を有する吊下部材2と、を備えた流体回収装置に於て、タンク本体1の揺れ止めを行うためのロック手段6と、車輪31の走行を阻止するためのストッパ手段8と、を備え、ロック手段6がタンク本体1を揺れ止めしたロック状態で、ストッパ手段8が車輪31の走行を阻止しない非制止状態となり、ロック手段6がタンク本体1を揺れ止めしていない非ロック状態で、ストッパ手段8が車輪31の走行を阻止する制止状態となるように、ロック手段6とストッパ手段8を連動させたので、使用者が枠体3を移動させようとして、車輪31の走行を阻止するストッパ手段8を解除すると、ロック手段6によるタンク本体1の揺れ止めも行われ、ロック忘れを確実に防止し、ロードセル21を保護できる。また、回収作業前に使用者がロック手段6を解除すると、車輪31の走行が阻止され、流体回収作業中に枠体3を移動させるような誤操作を防止できる。ロック手段6のロック・解除操作と、ストッパ手段8の制止・解除操作を、個別に行う必要がなく、容易かつ迅速に作業を行うことができる。タンク本体1のロック忘れや、車輪31の制止忘れを防止し、適切な状態で流体回収作業を行うことができると共に、走行の振動によるロードセル21への悪影響を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0031】
1 タンク本体
1a 上部
2 吊下部材
3 枠体
6 ロック手段
8 ストッパ手段
連動操作手段
21 ロードセル
31 車輪
90 共通操作レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6