(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。更に、図面中、共通する要素については重複する説明は省略する。
【0014】
(積層体)
図1は、本実施形態の積層体の第1の態様の概略断面図を表す。本実施形態の積層体の第1の態様は、樹脂層11と、樹脂層11の表面上に形成された、下記式(1)で表されるシランカップリング剤を含有する接着層12と、を含む積層体1である。接着層12は、上述した式(1)で表されるシランカップリング剤を含有する。積層体1は、接着層12を介して、他の部材と接着することができる。他の部材としては、例えば、他の金属箔や樹脂等が挙げられる。さらに、本実施形態の積層体は、フィルム(シートと呼ばれることもある。)状の樹脂層11の上に接着層12が形成された、いわゆるポリマーフィルム等の態様をとることもできる。
(R
4O)
3Si−R
3−N−R
2R
1 (1)
(式中、R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜24の1価の炭化水素基、フェニル基、又はアミノアルキル基を表す。R
3は、炭素数1〜6の2価の炭化水素基を表す。R
4は、各々独立して、炭素数1〜24の1価の炭化水素基を表す。)
【0015】
反応性の観点から、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素数2又は3の直鎖の炭化水素基であることが好ましい。
【0016】
R
1及びR
2の具体例としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、アミノ基、アミノメチル基、アミノエチル基、フェニル基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水素原子、アミノ基、アミノメチル基が好ましい。また、接着力等の観点から、R
1及びR
2の少なくともいずれかが、水素原子であることが好ましい。
【0017】
溶解性及び反応性の観点から、R
3は、炭素数1〜3の直鎖の炭化水素基であることが好ましい。
【0018】
R
3の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、n−ヘキシレン基、i−ヘキシレン基、フェニル基等が挙げられる。これらの中でも、溶解性及び反応性の観点から、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
【0019】
溶解性及び反応性の観点から、R
4は、炭素数1〜4の直鎖の炭化水素基であることが好ましい。
【0020】
R
4の具体例としては、例えば、エチル基、メチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基が好ましい。さらに、溶解性及び反応性の観点から、エチル基、メチル基、n−プロピル基がより好ましく、n−プロピル基が更に好ましい。
【0021】
式(1)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、反応性の観点からアミノ基を有する、下記式(2)、式(3)、及び式(4)からなる群より選ばれるいずれか一種で表される化合物が好ましい。
(C
2H
6O)
3SiC
3H
6NH
2 (2)
(CH
3O)
3SiC
3H
6NH
2 (3)
(CH
3O)SiC
3H
6NHC
2H
4NH
2 (4)
なお、式(2)、式(3)及び式(4)のSi原子に結合している−C
3H
6−基は、n−プロピレン基でもよいし、i−プロピレン基でもよいが、反応性の観点から、n−プロピレン基であることがより好ましい。
【0022】
接着層12の厚みは、特に限定されないが、1nm〜500nmであることが好ましく、1nm〜400nmであることがより好ましく、5nm〜300nmであることが更に好ましい。
【0023】
本実施形態では、式(1)で表されるシランカップリング剤を含むことで接着層の接着性等を発現させることができるが、当該シランカップリング剤を用いることで単分子層(若しくはそれに近い薄層)の接着層12を形成することができる。これにより、式(1)で表されるシランカップリング剤と、樹脂層表面の分子や金属箔層表面の分子との間の分子間力が効率的に相互作用を及ぼし、より強固に接着できる(但し、本実施形態の作用はこれらに限定されない。)。
【0024】
接着層12は、式(1)で表されるシランカップリング剤の他に、各種溶剤、添加剤等を更に含んでいてもよい。なお、樹脂層11の表面上に接着層12を形成する方法としては、特に限定されず、種々の方法を採用することができる。例えば、溶剤を用いて式(1)で表されるシランカップリング剤の溶液とし、これを公知の手法によって樹脂層11に塗布すること等が挙げられる。塗布手段としては、例えば、スプレー、ローラーコーター等が挙げられる。
【0025】
溶剤を用いてシランカップリング剤の溶液とする場合、溶液中における式(1)で表されるシランカップリング剤の含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜2質量%であることが更に好ましい。シランカップリング剤の含有量を上記範囲とすることで、一層極薄な塗膜を形成することができる。
【0026】
溶剤としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、セルソルブ、カルビトール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデンカン、オクタデカン等)、エステル(例えば、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フタル酸メチル等)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、エチルブチルエーテル、アニソール等)等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点から、水、アルコール等が好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本実施形態の積層体1は、接着層12を介して他の部材を更に積層させることもでき、種々の構成の積層体とすることができる。以下、本実施形態がとり得る種々の態様について、更に例示する。
【0028】
図2は、本実施形態の積層体の第2の態様の概略断面図を表す。本実施形態の積層体の第2の態様は、積層体1の樹脂層11が積層された表面と反対側の接着層12の表面上に形成された金属箔層23を、更に含む積層体2である。すなわち、積層体2は、金属箔層23、接着層12、及び樹脂層11をこの順に含む積層体2であり、1層の金属箔層23が形成されている片面積層体である。積層体2は、積層体1に更に金属箔層23を積層させることで得ることができる。あるいは、積層体2は、樹脂層11と金属箔層23を、接着層12を介して接着することでも得ることができる。
【0029】
積層体2の作製方法としては、例えば、積層体1の接着層12の表面と、金属箔層23の表面とを重ね合わせて熱圧着することで、一体化する方法等が挙げられる。熱圧着の条件は、特に限定されず、適宜好適な条件を採用することができる。加熱温度は、30〜400℃であることが好ましく、100〜400℃であることがより好ましく、150〜300℃であることが更に好ましい。また、熱圧着の際には、減圧してもよい。これにより熱圧着の際に層間に侵入した気体等の除去が容易になる。
【0030】
なお、
図2では金属箔層23/接着層12/樹脂層11の層構成を有する態様を例示したが、図示はしないが樹脂層/接着層12/樹脂層11といった層構成を有する態様も本実施形態では採用することができる。これは、金属箔層23の替わりに樹脂層とした態様である。すなわち、積層体1の樹脂層11が積層された表面と反対側の接着層12の表面に、別の樹脂層が形成された積層体とすることもできる。このような積層体は、例えば、樹脂層の厚さが薄いフィルムを、接着層12によって貼り合わせ、補強フィルム(あるいは補強板)等として使用することができる。
【0031】
図3は、本実施形態の第2の態様の応用例の概略断面図である。すなわち、積層体2aは、積層体2に更に金属箔層24が形成された積層体である。積層体2aは、2層の金属箔層23、24が形成されている両面積層体である。なお、積層体2aは、必ずしも積層体1や積層体2の構造を前提とする必要はなく、例えば、接着層12、樹脂層11、及び金属箔層24をこの順で含む積層体25に、金属箔層23が更に形成された態様であってもよい。この積層体25は、1層の金属箔層24が形成されている片面積層体である。
【0032】
積層体25の作製方法としては、例えば、金属箔層24と樹脂層11を有する銅箔積層体の樹脂層11の表面に、式(1)で表されるシランカップリング剤を含有する溶液を塗布し、乾燥させることによって、樹脂層11の表面上に接着層12を形成させる方法等が挙げられる。かかる積層体25は、接着層12を接着面として、金属箔層や樹脂層を含む他の部材等と強固に接着することができる。よって、積層体2aも、多層の金属張積層体の部材としても好適に用いることができる。
【0033】
なお、図示はしないが、積層体1の樹脂層11が積層された表面と反対側の接着層12の表面に、金属箔層23の替わりに別の樹脂層を形成することもできる。この場合の樹脂層の表面に別の金属箔層を更に積層させることもできる。
【0034】
図4は、本実施形態の積層体の第3の態様の概略断面図を表す。本実施形態の積層体の第3の態様は、金属箔層31と、金属箔層31の表面上に形成された、下記式(1)で表されるシランカップリング剤を含有する接着層32と、を含む積層体3である。接着層32は上述した式(1)で表されるシランカップリング剤を含有するため、接着層32を介して、積層体3と他の部材を接着することができる。他の部材としては、例えば、樹脂等が挙げられる。
【0035】
図5は、本実施形態の積層体の第4の態様の概略断面図を表す。本実施形態の積層体の第4の態様は、例えば、積層体3の金属箔層31が積層された表面と反対側の接着層32の表面上に形成された樹脂層43を、更に含む積層体4である。積層体4は、樹脂層43と金属箔層31が、接着層32を介して接着された、積層体として用いることができる。なお、積層体4は、必ずしも、積層体1の構造を前提する必要はなく、例えば、樹脂層43、接着層32、及び金属箔層31をこの順で含み、接着層32は、式(1)で表されるシランカップリング剤を含む構成であってもよい。この場合、積層体3は、樹脂層43/接着層32/金属箔層31の構成を有する積層体である。このような積層体3は、1層の金属箔層31が形成されている片面積層体である。
【0036】
図6は、本実施形態の積層体の第5の態様の概略断面図を表す。積層体5は、金属箔層531/接着層521/樹脂層51/接着層522/金属箔層532の順に積層された積層体であり、2層の金属箔層531、532が形成されている両面積層体である。
【0037】
積層体5は、例えば、以下の方法によって製造できる。まず、樹脂層51の両面に式(1)で表されるシランカップリング剤を含む溶液を塗布し、乾燥させることによって、樹脂層51の両面に接着層521、522を形成させる。そして、接着層521と金属箔層531を重ね合わせ、かつ、接着層522と金属箔層532を重ね合わせるようにして、熱圧着することで一体化する方法等が挙げられる。あるいは、積層体2(
図2参照)の樹脂層11の表面に式(1)を含む接着層を形成させ、それと他の金属箔層を熱圧着する方法等も挙げられる(図示せず)。
【0038】
図7は、本実施形態の積層体の第6の態様の概略断面図を表す。積層体6は、第1の金属箔層631と、第1の金属箔層631の表面上に形成された第1の樹脂層611と、第1の樹脂層611の表面上に形成された接着層62と、接着層62の表面上に形成された第2の樹脂層612と、第2の樹脂層612の表面上に形成された第2の金属箔層632と、をこの順で含み、接着層62は、式(1)で表されるシランカップリング剤を含有する、積層体である。すなわち、積層体6は、金属箔層631/樹脂層611/接着層62/樹脂層612/金属箔層632の順に積層された積層体であり、2層の金属箔層631、632が形成されている両面積層体である。
【0039】
積層体6の作製方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。まず、金属箔層631と樹脂層611を有する銅箔積層体と、金属箔層632と樹脂層612を有する銅箔積層体とを用意する。これらの銅箔積層体は銅箔積層樹脂フィルムや片面銅張積層体等の市販品を用いることもできる。銅箔積層体の樹脂層611の表面に式(1)で表されるシランカップリング剤を含む溶液を塗布し、乾燥させることによって、樹脂層611の表面に接着層62を形成させる。そして、接着層62と樹脂層612を重ね合わせるようにして、2枚の銅箔積層体を熱圧着させる方法等が挙げられる。
【0040】
あるいは、接着層12/樹脂層11/金属箔層24の層構成である積層体25(
図3参照)を用意し、上述した金属箔層631と樹脂層611を有する銅箔積層体と熱圧着する方法等も挙げられる。この場合、接着層12と樹脂層611を重ね合わせるように熱圧着する(図示せず)。
【0041】
図8は、本実施形態の積層体の第7の態様の概略断面図を表す。積層体7は、金属箔層73/接着層12/樹脂層11/金属箔層24の順に積層された積層体であり、2層の金属箔層73、24が形成されている両面積層体である。
【0042】
積層体7の作製方法としては、例えば、接着層12/樹脂層11/金属箔層24の層構成である積層体25(
図3参照)を用意し、その接着層12と金属箔層73を重ね合わせるようにして、熱圧着することで一体化する方法等が挙げられる。
【0043】
上述した、本実施形態の各積層体は、その接着層に式(1)で表されるシランカップリング剤を含有することで、ポリイミド等をはじめとする種々の樹脂や、銅等をはじめとする種々の金属に対して接着力を発揮できる。銅等の金属に対して接着力を発揮できる理由としては、定かではないが、以下のように推測される。まず、銅等の金属表面に存在するヒドロキシ基(OH)と、式(1)の−Si(OR
4)
3基が加水分解することによって生じるシラノール基(−Si(OH)
3)とが、縮合反応により結合すると推測される。
【0044】
さらに、窒素原子に結合するR
1及びR
2のうちの少なくともいずれかが水素原子である場合には、以下のような理由により、ポリイミド等の樹脂に対する接着力が向上するものと推測される。銅等の金属表面と同様に樹脂表面に存在するヒドロキシ基とシラノール基との縮合反応による結合や、式(1)のアミノ基の水素とポリイミド等の樹脂に存在するカルボニル基(例えば、−CO−N−結合等)の水素との間で生じる水素結合によるものが考えられる。
【0045】
上述したように、式(1)で表されるシランカップリング剤は、その1分子中で、樹脂と金属の両方と新たな結合が形成可能であるため、接着層は十分な接着力を有するとともに、単分子膜であっても十分な接着力を発現させることができる。すなわち、単分子接着層は、厚みが薄い接着層でありながら、樹脂や金属を接着することができる。
【0046】
なお、単分子膜の厚さよりも厚い場合(複数の分子が存在する場合)であっても、十分な接着力を発現する。具体的には、式(1)で表されるシランカップリング剤が被着体間複数存在する場合、基材表面に存在する官能基と直接結合に寄与しないアミノ基同士の水素結合やシラノール基同士の縮合反応による結合によって、単分子膜以上の厚みの接着層であっても接着力を発揮できると考えられる(但し、本実施形態の作用はこれらに限定されない。)。
【0047】
(樹脂層)
本実施形態の樹脂層に用いられる材料としては、特に限定されず、種々の樹脂を用いることができる。例えば、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらの中でも、接着力や積層体としての機能性向上といった観点から、ポリイミドであることが好ましい。イミド骨格は、式(1)で表されるシランカップリング剤と強固に結合することができるため、より強く接着することが可能となる。
【0048】
ポリイミドとしては、イミド骨格を有するものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸との縮合重合体、芳香族ジアミンとビスマレイミドとの付加重合体であるビスマレイミド樹脂、アミノ安息香酸ヒドラジドとビスマレイミドとの付加重合体であるポリアミノビスマレイミド樹脂、ジシアネート化合物とビスマレイミド樹脂とにより構成されるビスマレイイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
【0049】
なお、従来のポリイミドベースの銅張積層体では、例えば、金属箔層とポリイミド層を接着させるためには、ガラス転移点(Tg)が低い熱可塑性ポリイミド(TPI;Thermoplastic polyimide)を接着面に介在させる必要があった。しかし、熱可塑性ポリイミドは、Tgが低く、熱膨張率(CTE)が高いため、熱硬化性ポリイミドと比べて耐熱性や寸法安定性に劣るという問題があり、熱圧着する際等で不具合が生じやすい。この点、本実施形態のポリイミドフィルムは、式(1)で表されるシランカップリング剤を接着層に配合することで、種々のポリイミドであっても優れた接着力を発揮でき、かつ、接着後の表面外観にも優れる。そのため、ポリイミドの種類についても制限を受けることがない。
【0050】
上記観点から、本実施形態で用いられるポリイミドは、非熱可塑性ポリイミド又は熱硬化性ポリイミドであることが好ましい。ここでいう、非熱可塑性ポリイミドとは、一定の温度(例えば、200℃)以上において温度の上昇と共に弾性率が徐々に低下するが流動性を伴わないものをいい、熱硬化性ポリイミドとは、一定の温度以上において温度の上昇があってもほとんど弾性率の低下が起こらないものをいう。
【0051】
式(1)で表されるシランカップリング剤を接着層に配合することで、非熱可塑性ポリイミドや熱硬化性ポリイミドであっても金属箔層と接着させることができる。非熱可塑性ポリイミドや熱硬化性ポリイミドはTgが300℃以上と高く、かつCTEが低いことから、耐熱性と寸法安定性に一層優れる。そのため、電子部品とした場合には、パターン精度が高く、優れた電気的特性を安定的に発揮することができる。よって、ファインパターン回路の形成等といった要望にも応えることができる。
【0052】
樹脂層表面には、プラズマ処理やコロナ処理等が施されていてもよい。
【0053】
樹脂層の厚さは、特に限定されず、適宜好適な厚さを選択することができる。樹脂層の厚さとしては、5〜125μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが更に好ましい。本実施形態では、式(1)で表されるシランカップリング剤を接着層に配合することで強固な接着力を発揮できるため、樹脂層の厚さの制限を受けない。
【0054】
(金属箔層)
金属箔層としては、特に限定されず、種々の材料を用いることができる。本実施形態では、金属箔層に関する材料上の制限を緩和することができる。例えば、従来、樹脂層との接着力を向上させる観点等から、金属箔層には表面粗化等の表面処理が行われていた。しかしながら、このような表面粗化を行うと、電子部品としての電気的特性が安定しなくなる場合がある。また、表面粗化等の表面処理を施さない方が、金属箔層の電気的活性等が高いため、かかる観点からも極力表面粗化をしないことが望まれている。この点、式(1)で表されるシランカップリング剤を接着層に配合することで、表面粗度が低い金属箔層(フラットな金属箔層)であっても、種々の樹脂層等と接着できる。
【0055】
本実施形態では、表面粗化が施された金属箔層を用いることもできるが、表面粗化が施されていない金属箔層であることが好ましい。さらには、金属箔層は、酸洗処理が施されていることが好ましい。本実施形態において表面粗化が施された金属箔層を用いる場合は、予め、酸やエッチング液等を用いて、余分な銅成分を除去し、表面粗度を低くしておくことが好ましい。酸やエッチング液としては、特に限定されず、例えば、公知のものを使用することができる。
【0056】
上述した観点から、金属箔層は、十点平均粗度(Rz)が、2.0μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましい。十点平均粗度は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。
【0057】
また、金属箔層の材料としては、特に限定されず、種々の金属を用いることができる。例えば、アルミニウムやステンレス等が挙げられる。これらの中でも、積層体としての機能性向上といった観点から、銅箔層であることが好ましい。銅箔層であることで、上述したように、式(1)で表されるシランカップリング剤と結合を形成することができ、接着することが可能となる。銅箔層である積層体は、FPC基板等に用いられる銅張積層体(CCL)等として、好適に用いることができる。
【0058】
金属箔層の厚さは、特に限定されず、適宜好適な厚さを選択することができる。本実施形態では、式(1)で表されるシランカップリング剤を接着層に配合することで強固な接着力を発揮できるため、金属箔層の厚さの制限を受けない。金属箔層の厚さとしては、2〜400μmであることが好ましく、2〜70μmであることがより好ましく、2〜35μmであることが更に好ましい。
【実施例】
【0059】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0060】
<銅箔層/(接着層)/ポリイミド層の片面積層体の作製(実施例1〜9、比較例1)、
図2参照>
【0061】
(実施例1)
コロナ処理が施されたポリイミドフィルム(非熱可塑性ポリイミド、カネカ社製、「アピカル50NPI」、厚さ50μm)を、アセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた。このポリイミドフィルムに3−アミノプロピルトリメトキシシラン、「KBM−903」(信越化学工業社製;式(2)で表されるシランカップリング剤)の2%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いてフィルム全体に均一に伸ばした。そして、これを60℃に設定した乾燥機に10分間保存して、ポリイミドフィルム1を得た。
また、10cm×12cmの電解銅箔(福田金属箔粉工業社製、「CF−T9DA−SV」、厚さ18μm)に防錆処理を施したものをアセトン洗浄し、60℃に設定した乾燥機に10分保存して銅箔表面を乾燥させて、電解銅箔1を得た。
そして、プレス機を用いて、180℃×9MPa×10分(Hot−Hot)、真空度0.1MPaの条件で、ポリイミドフィルム1と電解銅箔1とを熱圧着した。熱圧着した後、室温で放冷して、片面銅張積層体1(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0062】
(実施例2)
「KBM−903」の2%水溶液から「KBM−903」の0.5%水溶液に変更した点以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム2を得た。
また、電解銅箔として、実施例1で作製した電解銅箔1を用いた。
そして、実施例1と同様の手法によって、ポリイミドフィルム2と電解銅箔1とから片面銅張積層体2(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0063】
(実施例3)
ポリイミドフィルム(カネカ社製、「アピカル50NPI」、厚さ50μm)を、アセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させ、ポリイミドフィルム3を得た。
また、電解銅箔(福田金属箔粉工業社製、「CF−T9DA−SV」、厚さ18μm)に防錆処理を施したものをアセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた。この電解銅箔に「KBM−903」の0.5%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いて銅箔全体に均一に伸ばした。そして、これを60℃に設定した乾燥機に10分保存して、電解銅箔3を得た。
そして、実施例1と同様の手法によって、ポリイミドフィルム3と電解銅箔3から片面銅張積層体3(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0064】
(実施例4)
未処理のポリイミドフィルム(東レデュポン社製、「カプトン200EN」、厚さ50μm)を、アセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させ、ポリイミドフィルム4を得た。
また、電解銅箔として、実施例3で作製した電解銅箔3を用いた。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム4と電解銅箔3から片面銅張積層体4(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た
【0065】
(実施例5)
プラズマ処理が施されたポリイミドフィルム(東レデュポン社製、「カプトン200EN」、厚さ50μm)を、アセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させ、ポリイミドフィルム5を得た。
また、電解銅箔として、実施例3で作製した電解銅箔3を用いた。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム5と電解銅箔3から片面銅張積層体5(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0066】
(実施例6)
ポリイミドフィルムとして、実施例3で作製したポリイミドフィルム3を用いた。
圧延銅箔(JX日鉱社製、「GHSN」、厚さ12μm)にコロナ処理を施したものをアセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた。この圧延銅箔に「KBM−903」の0.5%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いて銅箔全体に均一に伸ばした。そして、これを60℃に設定した乾燥機に10分保存して、圧延銅箔6を得た。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム3と圧延銅箔6から片面銅張積層体6(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0067】
(実施例7)
ポリイミドフィルムとして、実施例3で作製したポリイミドフィルム3を用いた。
粗化処理が施された圧延銅箔(JX日鉱社製、「BHY」、厚さ12μm)をアセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた。この圧延銅箔に「KBM−903」の0.5%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いて銅箔全体に均一に伸ばした。そして、これを60℃に設定した乾燥機に10分保存して、圧延銅箔7を得た。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム3と圧延銅箔7から片面銅張積層体7(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0068】
(実施例8)
ポリイミドフィルムとして、実施例3で作製したポリイミドフィルム3を用いた。
「KBM−903」の0.5%水溶液から3−アミノプロピルトリエトキシシラン、「KBE−903」(信越化学工業社製;式(3)で表されるシランカップリング剤)の2%水溶液に変更した点以外は、実施例3と同様にして、電解銅箔8を得た。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム3と電解銅箔8から片面銅張積層体8(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0069】
(実施例9)
ポリイミドフィルムとして、実施例3で作製したポリイミドフィルム3を用いた。
「KBM−903」の0.5%水溶液から「KBM−603」(信越化学工業社製;式(4)で表されるシランカップリング剤)の2%水溶液に変更した以外は、実施例3と同様にして、電解銅箔9を得た。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム3と電解銅箔9から片面銅張積層体9(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層)を得た。
【0070】
(比較例1)
ポリイミドフィルムとして、実施例3で作製したポリイミドフィルム3を用いた。
電解銅箔に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、「KBM−403」(信越化学工業社製)の2%水溶液を1mL垂らした点以外は、実施例3と同様にして、電解銅箔aを得た。
そして、実施例3と同様の手法によって、ポリイミドフィルム3と電解銅箔aから片面銅張積層体aを得た。
【0071】
<銅箔層/(接着層)/ポリイミド層/(接着層)/銅箔層の両面積層体の作製(実施例10〜12)、
図6参照>
(実施例10)
コロナ処理が施されたポリイミドフィルム(非熱可塑性ポリイミド、カネカ社製、「アピカル50NPI」、厚さ50μm)を、アセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた。このポリイミドフィルムの片面に「KBM−903」の0.5%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いてフィルム全体に均一に伸ばした。そして、これを60℃に設定した乾燥機に10分保存した。乾燥機から取り出した後、ポリイミドフィルムのもう一方の表面にも「KBM−903」の0.5%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いてフィルム全体に均一に伸ばした。そして、これを60℃に設定した乾燥機に10分保存して、ポリイミドフィルム10を得た。
また、電解銅箔として、実施例1で作製した電解銅箔1を用いた。
そして、プレス機を用いて、180℃×3MPa×10分(Hot−Hot)、真空度0.1MPaの条件で、ポリイミドフィルム10の両面に電解銅箔1をそれぞれ熱圧着した。熱圧着した後、室温で放冷して、両面銅張積層体10(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層/(接着層)/銅箔層)を得た。
【0072】
(実施例11)
ポリイミドフィルムとして、ポリイミドフィルム3を用いた。
電解銅箔として、実施例3で作製した電解銅箔3を2枚用いた。
そして、プレス機を用いて、180℃×9MPa×10分(Hot−Hot)、真空度0.1MPaの条件で、ポリイミドフィルム3の両面に電解銅箔11をそれぞれ熱圧着した。熱圧着した後、室温で放冷して、両面銅張積層体11(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層/(接着層)/銅箔層)を得た。
【0073】
(実施例12)
「KBM−903」の0.5%水溶液1mLから「KBM−603」の0.5%水溶液1mLに変更した点以外は、実施例11と同様にして、両面銅張積層体12(銅箔層/(接着層)/ポリイミド層/(接着層)/銅箔層)を得た。
【0074】
<銅箔ポリイミド積層体/(接着層)/銅箔ポリイミド積層体の両面積層体の作製(実施例13〜14)、
図7参照>
(実施例13)
10cm×12cmのポリイミド層/銅箔層の片面積層体(有沢製作所社製、「PNS H1035RA」)を2枚用意し、これらをアセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた。そのうちの1枚の片面積層体に「KBM−903」の2%水溶液を1mL垂らし、ガラス棒を用いてフィルム全体に均一に伸ばした。これらを60℃に設定した乾燥機に10分保存した。
プレス機を用いて、180℃×9MPa×10分(Hot−Hot)、真空度−0.1MPaの条件で、2枚の片面積層体のポリイミド層同士を貼り合わせて熱圧着した。そして、室温で放冷して、両面銅張積層体13(銅箔ポリイミド積層体/(接着層)/銅箔ポリイミド積層体)を得た。
【0075】
(実施例14)
「KBM−903」の2%水溶液から「KBM−903」の0.5%水溶液に変更した点以外は、実施例13と同様にして、両面銅張積層体14(銅箔ポリイミド積層体/(接着層)/銅箔ポリイミド積層体)を得た。
【0076】
<銅箔/(接着層)/銅箔ポリイミド積層体の両面積層体の作製(実施例15)、
図8参照>
(実施例15)
電解銅箔として、実施例3で作製した電解銅箔3を用いた。
10cm×12cmのポリイミド層/銅箔層の片面積層体(有沢製作所社製、「PNS H1035RA」)を1枚用意し、これらをアセトン溶剤に浸漬した後、80℃に設定した乾燥機にて乾燥させた片面積層体15を得た。
そして、プレス機を用いて、180℃×9MPa×10分(Hot−Hot)、真空度−0.1MPaの条件で、電解銅箔3と片面積層体15のポリイミド層とが重なるように貼り合わせ、熱圧着した。そして、室温で放冷して、両面銅張積層体15(銅箔/(接着層)/銅箔ポリイミド積層体)を得た。
【0077】
(引き剥がし強さの評価)
各実施例及び各比較例で作製した積層体の引き剥がし強さの評価は、JIS C6471に準拠して行った。作製した積層体の銅箔表面に10mm幅のエッチングレジストRをパターニングした後、エッチングにより残余の銅箔を除去したものを、サンプルとした。
図7は、実施例の引き剥がし強さの評価で用いたサンプルの上面概略図を表す。このサンプルを、両面テープで補強板に固定し、サンプルを補強板から180°方向に引き剥がし、その際の接着強度を測定した。そして、以下の基準に基づき評価した。
5N以上であった場合:◎
5N未満〜3N以上であった場合:○
3N未満であった場合:△
接着せず測定不可であった場合:×
【0078】
(積層体の表面粗さ;Rz)
JIS B0601−1976に準拠して積層体の表面の十点平均粗さ(Rz)を測定し、その値を表面粗さとした。
【0079】
各実施例及び各比較例の構造及び評価結果を、下記表1〜4に示す。
【0080】
【表1】
※1:「◎」5N以上、「○」5N未満〜3N以上、「△」3N未満、「×」接着せず測定不可
【0081】
【表2】
※1:引き剥がし強さは、(表面)/(裏面)の結果を表す。
「◎」5N以上、「○」5N未満〜3N以上、「△」3N未満、「×」接着せず測定不可
【0082】
【表3】
※1:「◎」5N以上、「○」5N未満〜3N以上、「△」3N未満、「×」接着せず測定不可
【0083】
【表4】
※1:「◎」5N以上、「○」5N未満〜3N以上、「△」3N未満、「×」接着せず測定不可
【0084】
以上より、各実施例の積層体は、いずれも十分な接着強度を有し、かつ、接着対象の材料選択の制限が緩和できたことが少なくとも確認された。さらには、積層体とした際も構造上の制限を受けないことも確認された。