特許第6234806号(P6234806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6234806-舗装工事用仮蓋 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234806
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】舗装工事用仮蓋
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   E02D29/14 E
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-266298(P2013-266298)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-121062(P2015-121062A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】502230701
【氏名又は名称】株式会社シー・エス・ケエ
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】村木 雅朗
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−016510(JP,A)
【文献】 実開平06−008456(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0078381(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/14
E01C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの開口を閉鎖してその上に舗装を可能とする舗装工事用仮蓋であって、仮蓋の蓋体中心回りの同心円上で周方向の複数箇所に当該蓋体を表裏方向へ貫通する装着孔を形成するとともに、蓋体の表面側から各装着孔にそれぞれ装着される位置決め部材を設け、これら位置決め部材には、装着孔に装着した状態で蓋体の裏面側から突出するとともに装着孔の孔中心に対し偏心して位置するガイド片を形成して、位置決め部材の装着孔への装着回転角を変更することによってこれら位置決め部材のガイド片を連ねた蓋体中心回りの同心円の外径が大小変更されるようにしたことを特徴とする舗装工事用仮蓋。
【請求項2】
前記装着孔は蓋体の径方向へ延びる長方形断面であり、前記位置決め部材は仮蓋の表面に当接する頭部と装着孔内に挿通される脚部とを備え、脚部は装着孔と同形の長方形断面の端部と、当該端部の長方形断面の半部から突出するガイド片とから構成されている請求項1に記載の舗装工事用仮蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舗装工事用仮蓋に関し、特に、マンホール設置部における舗装補修工事に使用する仮蓋の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンホール設置部の舗装工事、特に舗装補修工事を円滑に行う方法として特許文献1に示すようなマンホール枠設置工法が提案されている。本工法では舗装補修時にマンホール枠を撤去してマンホール開口を仮蓋(支持蓋)で塞ぎ、その上に舗装材を打設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4877838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のマンホール枠設置工法において、マンホールは電話用あるいは電気用等に応じてその開口内径が50mm程度づつ異なる複数種のものがある。そこで従来は鋳鉄製の仮蓋を、マンホールの開口内径の種類に応じて必要数用意しているが、その製造や保管に手間を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、開口内径の異なる複数種のマンホールに対して単一の仮蓋を良好に位置決めして装着でき、これによって仮蓋の製造・保管の手間を大幅に軽減した舗装工事用仮蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明では、マンホール(H1〜H3)の開口を閉鎖してその上に舗装を可能とする舗装工事用仮蓋(1)であって、仮蓋(1)の中心回りの同心円上で周方向の複数箇所に当該仮蓋(1)を表裏方向へ貫通する装着孔(17)を形成するとともに、仮蓋(1)の表面側から各装着孔(17)にそれぞれ装着される位置決め部材(2)を設け、これら位置決め部材(2)には、装着孔(17)に装着した状態で仮蓋(1)の裏面側から突出するとともに装着孔(17)の孔中心に対し偏心して位置するガイド片(222)を形成して、位置決め部材(2)の装着孔(17)への装着回転角を変更することによってこれら位置決め部材(2)のガイド片(222)を連ねた仮蓋中心回りの同心円の外径が大小変更されるようにする。
【0007】
本第1発明においては、使用するマンホールの内径に応じて位置決め部材の装着孔への装着回転角を変更することによって、これら位置決め部材のガイド片を連ねた仮蓋中心回りの同心円の外径をマンホール内径に最も近いものに変更設定することができる。したがって、開口内径の異なる複数種のマンホールに対して単一の仮蓋を良好に位置決めして装着できるから、仮蓋の製造・保管の手間を大幅に軽減することができる。
【0008】
本第2発明では、装着孔(17)は仮蓋(1)の径方向へ延びる長方形断面をなし、位置決め部材(2)は仮蓋(1)の表面に当接する頭部(21)と装着孔(17)内に挿通される脚部(22)とを備え、脚部(22)は装着孔(17)と同形の長方形断面の端部(221)と、当該端部(221)の長方形断面の半部から突出する前記ガイド片(222)とから構成されている。
【0009】
本第2発明においては、位置決め部材を径方向で反転させて装着孔へ装着することによって開口内径の異なる二種のマンホールに対して単一の仮蓋を良好に位置決めして装着できる。
【0010】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の舗装工事用仮蓋によれば、開口内径の異なる複数種のマンホールに対して単一の仮蓋を良好に位置決めして装着できるから、仮蓋の製造・保管の手間を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】仮蓋表面側の平面図である。
図2】仮蓋裏面側の平面図である。
図3図1のIII−III線に沿った仮蓋の断面図である。
図4】位置決め部材の側面図である。
図5】位置決め部材の下方から見た端面図である。
図6】仮蓋の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1には仮蓋1の表面図を示し、図2には仮蓋1の裏面図を示す。また図3には仮蓋1の断面図を示す。仮蓋1は鋳鉄製の円盤体で、その中心には、舗装補修作業で使用する押圧具(図示略)から延びる係止棒の先端を係止するための横長係止孔11が貫通形成されている。すなわち、当該係止孔11は中心部111が円形で、当該中心部111の径方向対称位置は外方へ矩形をなして延出する拡径部112となっている。仮蓋1の裏面には係止孔11を挟んで一対の壁部12が突出形成されており、各壁部12の端面中央にはこれを横断して溝条121が形成されている。これにより、丸棒体の先端両側に突出ピンを設けた上記係止棒を係止孔11から差し込み、90°回転させて突出ピンを壁部12の溝条121に嵌合させることによって、係止棒を仮蓋1に止めることができる。
【0014】
仮蓋1の表面には係止孔11の中心(すなわち仮蓋1の中心)に対して同心円状に複数の環状凸部13が形成されている。このような凸部13の存在により、仮蓋1上に舗装路を形成した後、係止棒を通す作業穴を舗装路に掘削する際に上記凸部13の円弧部分の湾曲方向や湾曲程度を観察することによって、仮蓋1の中心にある係止孔11の位置を速やかに推測することができる。仮蓋1の裏面には上記係止孔11を中心にして格子状に補強壁14が突出形成されており、補強壁14はその外周端が、仮蓋1の裏面にその中心と同心に突出形成された円形のガイド壁15に達している。
【0015】
また、仮蓋1には外周縁の周方向複数個所に当該仮蓋1を吊り上げる際に使用する円形の吊上げ孔16が設けられている。そして、これら吊上げ孔16の内方位置で、仮蓋1の外周部には周方向の三箇所に、径方向へ延びる長方形断面の装着孔17が貫通形成されている。そして、これら装着孔17には、仮蓋1が覆着されるマンホールの内径に応じて詳細を以下に説明するように位置決め部材2が装着される(図1参照)。
【0016】
位置決め部材2の詳細を図4図5に示す。ここで、図4は位置決め部材2の側面図、図5は位置決め部材2を下方から見た平面図である。位置決め部材2は上方へ円弧状に膨出湾曲する大径の頭部21を備え、当該頭部21の平坦な下面が仮蓋の表面に当接している。頭部21の下面中央部からは装着孔17に挿通されて下方へ脚部22が突出している。脚部22は、装着孔17と同形の長方形断面の上端部221と、上端部221の長方形断面の半部から、すなわち装着孔17の孔中心に対し偏心して、下方へ突出するガイド片222から構成されている。ここで、上端部の長辺の長さをLとし、この方向でのガイド片222の長さをl(=L/2)とする。
【0017】
このような構造の仮蓋1において、最も内径の小さいマンホールH1に対しては、図6(1)に示すように装着孔17に位置決め部材2を装着することなく、マンホールH1の内径に対してやや小さい外径Dのガイド壁15によって仮蓋1はマンホールH1の開口に良好に位置決めされる。
【0018】
内径のより大きいマンホールH2に対しては、図6(2)に示すようにガイド片222が内側へ来るようにして三つの各装着孔17(図1)に位置決め部材2をそれぞれ装着する。これにより、各位置決め部材2のガイド片222を連ねた係止孔11の中心(すなわち蓋体1の中心)に対する同心円の外径はD+2(l+α)(αはガイド壁15とガイド片222の間の隙)となって、より大きなマンホールH2の内径に対してやや小さい大きさとなり、これらガイド片222によって仮蓋1をマンホールH2の開口に良好に位置決めすることができる。
【0019】
内径のさらに大きいマンホールH3に対しては、図6(3)に示すようにガイド片222が外側へ来るように、装着孔17への位置決め部材2の装着回転角を180°変更して三つの各装着孔17にそれぞれ装着する。これにより、各位置決め部材2のガイド片222を連ねた係止孔11の中心(すなわち蓋体1の中心)の同心円の外径はD+2(L+α) となって、さらに大きなマンホールH3の内径に対してやや小さい大きさとなり、これらガイド片222によって仮蓋1をマンホールH3の開口に良好に位置決めすることができる。
【0020】
このようにして、位置決め部材2の装着孔17への装着回転角を変更することによって、開口内径の異なるマンホールH1〜H3に対して単一の仮蓋1を良好に位置決めして装着できる。なお、上記実施形態では位置決め部材2の装着回転角を180°変更する、すなわち位置決め部材2を反転して装着するようにしたが、装着回転角は180°に限られないことはもちろんである。この場合、位置決め部材2の装着回転角を複数から選択できるようにすれば、さらに多種の開口内径のマンホールに対応することができる。
【符号の説明】
【0021】
1…仮蓋、17…装着孔、2…位置決め部材、21…頭部、22…脚部、221…上端部(端部)、222…ガイド片、H1,H2,H3…マンホール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6