(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記運転状態として検出される前記エンジンの負荷が高くなるほど前記吸気量調節弁の前記最終開度が小さくなるように前記最終開度を補正することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。
前記制御手段は、前記運転状態として検出される前記吸気通路における吸気圧が高くなるほど前記吸気量調節弁の前記最終開度が小さくなるように前記最終開度を補正することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<第1実施形態>
以下、本発明におけるエンジンの制御装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0037】
図1に、この実施形態におけるエンジンの排気還流装置(EGR装置)を含む過給機付エンジンシステムを概略構成図により示す。このエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に、吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
【0038】
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体的に回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
【0039】
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウェイストゲートバルブ12が設けられる。ウェイストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることにより、タービン9に供給される排気流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
【0040】
吸気通路3において、過給機7のコンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ13が設けられる。このインタークーラ13は、コンプレッサ8により昇圧されて高温となった吸気を適温に冷却するためのものである。インタークーラ13とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。また、インタークーラ13の下流側であってサージタンク3aの上流側の吸気通路3には、電動式のスロットル弁である電子スロットル装置14が設けられる。本発明の吸気量調節弁に相当するこの電子スロットル装置14は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁21と、そのスロットル弁21を開閉駆動するためのDCモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。この電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてスロットル弁21がDCモータ22により開閉駆動され、開度が調節されるように構成される。タービン9の下流側の排気通路5には、排気を浄化するための排気触媒としての触媒コンバータ15が設けられる。
【0041】
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するためのインジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。インジェクタ25は、燃料供給手段の一例に相当する。また、エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ29が設けられる。各点火プラグ29は、イグナイタ30から出力される高電圧を受けて点火動作する。各点火プラグ29の点火時期は、イグナイタ30による高電圧の出力タイミングにより決定される。点火プラグ29とイグナイタ30により点火装置が構成される。
【0042】
この実施形態において、大量EGRを実現するためのEGR装置は、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部を吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させる排気還流通路(EGR通路)17と、EGR通路17における排気流量(EGR流量)を調節するためにEGR通路17に設けられた排気還流弁(EGR弁)18とを備える。このEGR装置は低圧ループ式として構成され、EGR通路17は、触媒コンバータ15より下流の排気通路5と、コンプレッサ8より上流の吸気通路3との間に設けられる。すなわち、排気通路5を流れる排気の一部をEGRガスとしてEGR通路17を通じて吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させるために、EGR通路17の出口17aが、コンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。また、EGR通路17の入口17bは、触媒コンバータ15より下流の排気通路5に接続される。
【0043】
EGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。この実施形態で、EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
【0044】
図1に示すように、EGR弁18は、ポペット弁として、かつ、電動弁として構成される。すなわち、EGR弁18は、DCモータ31により駆動される弁体32を備える。弁体32は、略円錐形状をなし、EGR通路17に設けられた弁座33に着座可能に設けられる。DCモータ31は直進的に往復運動(ストローク運動)可能に構成された出力軸34を備え、その出力軸34の先端に弁体32が固定される。出力軸34は軸受35を介してEGR通路17を構成するハウジングに支持される。そして、DCモータ31の出力軸34をストローク運動させることにより、弁座33に対する弁体32の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸34は、弁体32が弁座33に着座する全閉状態から、弁体32が軸受35に当接する全開状態までの間でストローク運動可能に設けられる。この実施形態では、大量EGRを実現するために、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大されている。それに合わせて、弁体32が大型化されている。
【0045】
図1に示すように、この実施形態では、電子スロットル装置14より下流のサージタンク3aへ新気を導入するために、新気導入通路41が設けられる。新気導入通路41は、その入口41aが、エアクリーナ6より下流であってEGR通路17の出口17aより上流の吸気通路3に接続され、その出口41bが電子スロットル装置14より下流の吸気通路3に接続される。新気導入通路41の途中には、本発明の新気流量調節弁に相当する電動式の新気導入弁42が設けられる。新気導入弁42は、ソレノイドにより弁体を駆動することで弁座に対する弁体の開度が調節されるように構成される。新気導入弁42の開度が調節されることにより、新気導入通路41からサージタンク3aへ流れる新気流量が調節される。
【0046】
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御、EGR制御及び新気流量制御等をそれぞれ実行するために、インジェクタ25、イグナイタ30、電子スロットル装置14のDCモータ22、EGR弁18のDCモータ31及び新気導入弁42がそれぞれエンジン1の運転状態に応じて電子制御装置(ECU)50により制御されるようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。ECU50は、本発明の制御手段の一例に相当する。外部出力回路には、イグナイタ30、インジェクタ25、各DCモータ22,31及び新気導入弁42が接続される。外部入力回路には、スロットルセンサ23をはじめエンジン1の運転状態を検出するための本発明の運転状態検出手段の一例に相当する各種センサ27,51〜55が接続され、各種エンジン信号が入力されるようになっている。
【0047】
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転速度センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54及び空燃比センサ55が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCを検出する。アクセルペダル26は、エンジン1の動作を操作するための操作手段の一例に相当する。吸気圧センサ51は、サージタンク3aにおける吸気圧PMを検出する。すなわち、吸気圧センサ51は、吸気圧検出手段の一例に相当し、EGR通路17から吸気通路3へEGRガスが流れ込む位置より下流の吸気通路3(サージタンク3a)における吸気圧PMを検出するようになっている。回転速度センサ52は、エンジン1のクラックシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水温THWを検出する。すなわち、水温センサ53は、温度状態検出手段の一例に相当し、エンジン1の温度状態を示す冷却水温THWを検出するようになっている。エアフローメータ54は、吸気量測定手段の一例に相当し、エアクリーナ6の直下流の吸気通路3を流れる吸気量Gaを検出する。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5に設けられ、排気中の空燃比A/Fを検出する。
【0048】
この実施形態では、ECU50は、エンジン1の全運転領域において、エンジン1の運転状態に応じてEGRを実行するために、すなわちEGRガスを還流させるために、EGR弁18を開弁制御するようになっている。一方、ECU50は、エンジン1の減速時には、EGRを実行しないために、すなわちEGRガスの還流を遮断するために、EGR弁18を全閉に閉弁制御するようになっている。また、ECU50は、EGR弁18の制御に合わせて新気導入弁42を制御するようになっている。すなわち、EGR弁18が開弁されるときは、ECU50は、基本的に、新気導入弁42を全閉に制御するようになっている。一方、EGR弁18が全閉に制御されるときは、ECU50は、新気導入弁42を開弁するようになっている。
【0049】
ここで、エンジン1の減速時にEGR弁18を閉弁しても、EGR通路17の出口17aから電子スロットル装置14までの吸気通路3の経路が比較的長いことから、そこにEGRガスが残留することがあり、その残留したEGRガスが燃焼室16へ流れ込むことにより、エンジン1に減速失火が起きるおそれがある。そこで、この実施形態では、EGR弁18が開弁され(EGRが実行されている状態)、かつ、過給機7により吸気が昇圧された状態からのエンジン1の減速運転時であるとき、吸気通路3に残留するEGRガスの流入により不足する吸気量を補うべく、電子スロットル装置14(スロットル弁21)と新気導入弁42の制御を協調させるために、ECU50が以下のような制御を実行するようになっている。
【0050】
図2に、ECU50が実行する新気導入制御の処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU50は、エンジン回転速度NEと、エンジン負荷KLと、吸気量Gaを取り込む。ECU50は、回転速度センサ52の検出値に基づきエンジン回転速度NEを取り込むことができる。ECU50は、エンジン回転速度NEと吸気圧センサ51の各検出値に基づいてエンジン負荷KLを求めることができる。また、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを求めることができる。
【0051】
次に、ステップ110で、ECU50は、EGR率Eegrを取り込む。ここで、EGR率Eegrとは、燃焼室16に吸入される全ガス量に対するEGRガスの量の比率を意味する。ECU50は、吸気量Ga、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに基づいてこのEGR率Eegrを別途求めることができる。
【0052】
次に、ステップ120で、ECU50は、エンジン1が定常運転又は加速運転であるか否かを判断する。ECU50は、この判断を、例えば、アクセル開度ACC及びエンジン回転速度NEに基づいて行うことができる。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ130へ移行する。この判断結果が否定となる場合、エンジン1の減速運転又はアイドル運転であるとして、ECU50は処理をステップ180へ移行する。
【0053】
ステップ130で、ECU50は、エンジン負荷KLが高負荷に当たる所定値K1より高いか否かを判断する。この所定値K1として、例えば「80%」を当てはめることができる。この判断結果が肯定となる場合、エンジン1の過給域(過給機7が作動している運転領域)であるとして、ECU50は処理をステップ140へ移行する。この判断結果が否定となる場合、エンジン1の非過給域(過給機7が作動していない運転領域)であるとして、ECU50は処理をステップ190へ移行する。
【0054】
ステップ140では、ECU50は、新気導入弁42の目標開度TCAVを「0」に設定する。
【0055】
次に、ステップ150では、ECU50は、EGRオンか否かを判断する。すなわち、ECU50は、EGR制御が実行されているか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をそのままステップ170へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は、処理をステップ160へ移行する。
【0056】
ステップ160で、ECU50は、EGR実行フラグXEGRを「1」に設定し、処理をステップ170へ移行する。このフラグXEGRは、EGR制御が実行されている場合に「1」に、実行されていない場合に「0」に設定されるようになっている。
【0057】
そして、ステップ150又はステップ160から移行してステップ170では、ECU50は、新気導入弁42を目標開度TCAVに制御し、処理をステップ100へ戻す。
【0058】
一方、ステップ180では、ECU50は、EGR実行フラグXEGRが「1」であるか否かを判断する。この判断が否定となる場合、吸気通路3におけるEGRガスの掃気が完了したものとして、ECU50は処理をステップ190へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、吸気通路3にEGRガスが残留しているものとして、ECU50は処理をステップ200へ移行する。
【0059】
ステップ130又はステップ180から移行してステップ190では、ECU50は、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた目標開度TCAVを求めた後、処理をステップ150へ移行する。ECU50は、
図3に示すマップを参照することにより、エンジン回転速度NEとエンジン負荷KLに応じた目標開度TCAVを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが高くなるほど、かつ、エンジン負荷KLが高くなるほど、目標開度TCAVが増加するように設定されている。
【0060】
ステップ200では、ECU50は、エンジン回転速度NEに応じた減速時目標開度Tcavneを求める。ECU50は、
図4に示すマップを参照することにより、エンジン回転速度NEに応じた減速時目標開度Tcavneを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが高くなるほど減速時目標開度Tcavneが増加するように設定されている。
【0061】
次に、ステップ210で、ECU50は、減速時目標開度Tcavneを目標開度TCAVとして設定する。
【0062】
次に、ステップ220で、ECU50は、EGR率Eegrが所定値A1より低いか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、吸気通路3にEGRガスが残留しているものとして、ECU50は処理をステップ170へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、吸気通路3におけるEGRガスの掃気が完了したものとして、ECU50は処理をステップ230へ移行する。
【0063】
ステップ230では、ECU50は、EGR実行フラグXEGRを「0」に戻し、処理をステップ170へ移行する。
【0064】
上記制御によれば、ECU50は、エンジン1の運転状態に応じて新気導入弁42を制御することにより、スロットル弁21より下流の吸気通路3(サージタンク3aを含む。)へ新気を導入するようになっている。
【0065】
図5に、エンジン1の減速運転時に、新気導入弁42の制御に対してECU50が実行する電子スロットル装置14の協調制御の処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、先ず、ステップ300で、ECU50は、アクセル開度ACCと、アクセル開閉速度ΔACC/4msを取り込む。ECU50は、アクセルセンサ27の検出値に基づきアクセル開度ACCを取り込む。また、ECU50は、「4ms」毎に取り込まれた今回のアクセル開度ACCと前回のアクセル開度ACCとの差からアクセル開閉速度ΔACC/4msを求めることができる。ここで、アクセルペダル26が踏み込まれる加速時には、アクセル開閉速度ΔACC/4msは正の値となり、アクセルペダル26が踏み戻される減速時には、アクセル開閉速度ΔACC/4msは負の値となる。
【0066】
次に、ステップ310で、ECU50は、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL及び吸気量Gaを取り込む。ECU50は、回転速度センサ52の検出値に基づきエンジン回転速度NEを取り込むことができる。また、ECU50は、エンジン回転速度NEと吸気圧センサ51の各検出値に基づいてエンジン負荷KLを求めることができる。また、ECU50は、エアフローメータ54の検出値に基づき吸気量Gaを取り込むことができる。
【0067】
次に、ステップ320で、ECU50は、EGR率Eegrを取り込む。ECU50は、吸気量Ga、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに基づいてこのEGR率Eegrを別途求めることができる。
【0068】
次に、ステップ330で、ECU50は、アクセル開閉速度ΔACC/4msに応じたスロットル開閉速度ΔTA/4msを求める。ECU50は、
図6に示すマップを参照することにより、アクセル開閉速度ΔACC/4msに応じたスロットル開閉速度ΔTA/4msを求めることができる。このマップでは、アクセル開閉速度ΔACC/4msが負の値から正の値へ増えるに連れて、スロットル開閉速度ΔTA/4msが、最大閉弁速度から最大開弁速度ΔTAmax/4msまでの間で直線的に増加するように設定されている。この実施形態で、スロットル開閉速度ΔTA/4msは、本発明のスロットル弁21の閉弁速度及び開弁速度の一例に相当する。
【0069】
次に、ステップ340で、ECU50は、EGR率Eegrに応じたスロットル開閉速度ΔTA/4msに係る第1補正係数KΔTAを求める。ECU50は、
図7に示すマップを参照することにより、EGR率Eegrに応じた第1補正係数KΔTAを求めることができる。このマップでは、スロットル開閉速度ΔTA/4msが負の値となる場合(減速の場合)、EGR率Eegrが増えるに連れて、第1補正係数KΔTAが、「1.0」から最小値の間で直線的に減少するように設定される。これは、閉弁時のスロットル開閉速度ΔTA/4msが遅くなるようにするための設定を意味する。
【0070】
次に、ステップ350で、ECU50は、エンジン回転速度NEに応じたスロットル開閉速度ΔTAに係る第2補正係数KΔTANEを求める。ECU50は、
図8に示すマップを参照することにより、エンジン回転速度NEに応じた第2補正係数KΔTANEを求めることができる。このマップでは、スロットル開閉速度ΔTA/4msが負の値となる場合(減速の場合)、エンジン回転速度NEが増えるに連れて、第2補正係数KΔTANEが、「1.0」から最小値の間で直線的に減少するように設定される。これは、閉弁時のスロットル開閉速度ΔTA/4msが遅くなるようにするための設定を意味する。
【0071】
次に、ステップ360で、ECU50は、補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msを求める。ECU50は、次式(1)に従って補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msを求めることができる。ここで、補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msは、
EGR弁18が開弁され(EGR制御が実行されているとき。)、かつ、過給機7により吸気が昇圧された状態(過給時)からのエンジン1の減速運転時であるときに適用されるパラメータであって、EGR弁18が閉弁され(EGR制御が実行されていないとき。)、かつ、過給機7により吸気が昇圧された状態(過給時)からのエンジン1の減速運転時であるときに適用されるスロットル開閉速度ΔTA/4msに対して補正されたものである。
ΔKTA/4ms=ΔTA/4ms*KΔTA*KΔTANE ・・・(1)
【0072】
次に、ステップ370で、ECU50は、求められた補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msが、最大閉弁速度ΔTAmax/4msよりも小さいか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ380へ移行し、この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ390へ移行する。
【0073】
ステップ380では、ECU50は、最大閉弁速度ΔTAmax/4msを補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msとして設定し、処理をステップ390へ移行する。
【0074】
ステップ370又はステップ380から移行して、ステップ390では、ECU50は、アクセル開度ACCに応じた目標スロットル開度TTAを求める。ECU50は、所定のマップを参照することにより、アクセル開度ACCに応じた目標スロットル開度TTAを求めることができる。
【0075】
次に、ステップ400で、ECU50は、エンジン回転速度NEに応じた減速基準となるスロットル弁閉弁開度TAoffを求める。ECU50は、
図9に示すマップを参照することにより、エンジン回転速度NEに応じたスロットル弁閉弁開度TAoffを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが増えるに連れて、スロットル弁閉弁開度TAoffが、最小値から直線的に増加するように設定される。この実施形態では、スロットル弁閉弁開度TAoffは本発明の最終開度の一例に相当する。
【0076】
次に、ステップ410で、ECU50は、スロットルセンサ23の検出値に基づきスロットル開度TAを取り込む。
【0077】
次に、ステップ420で、ECU50は、EGR率Eegrに応じた減速時の全閉嵩上げ補正量KTAoff1を求める。ECU50は、
図10に示すマップを参照することにより、EGR率Eegrに応じた全閉嵩上げ補正量KTAoff1を求めることができる。このマップでは、EGR率Eegrが増えるに連れて、この補正量KTAoff1が「0」から直線的に増加するように設定される。これは、EGR率Eegrが大きくなるほどスロットル弁閉弁開度TAoffが大きくなるようにスロットル弁閉弁開度TAoffを補正するための設定を意味する。
【0078】
次に、ステップ430で、ECU50は、新気導入弁42の実際の開度Ecavを取り込む。ECU50は、新気導入弁42に対する指令値に基づいてこの開度Ecavを取り込むことができる。
【0079】
次に、ステップ440で、ECU50は、新気導入弁42の開度Ecavに応じた減速閉弁開度の補正量KTAoff2を求めることができる。ECU50は、
図11に示すマップを参照することにより、開度Ecavに応じたこの補正量KTAoff2を求めることができる。このマップでは、開度Ecavが増えるに連れて、この補正量KTAoff2が「0」から直線的に増加するように設定される。これは、新気導入弁42の開度Ecavが大きくなるほどスロットル弁閉弁開度TAoffが小さくなるようにスロットル弁閉弁開度TAoffを補正するための設定を意味する。
【0080】
次に、ステップ450で、ECU50は、補正後のスロットル弁閉弁開度TAOFFを求める。ECU50は、次式(2)に従って補正後のスロットル弁閉弁開度TAOFFを求めることができる。
TAOFF=TAoff+KTAoff1−KTAoff2 ・・・(2)
【0081】
次に、ステップ460で。ECU5は、目標スロットル開度TTAが、補正後のスロットル弁閉弁開度TAOFF以上であるか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ470へ移行し、この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ480へ移行する。
【0082】
ステップ470では、ECU50は、補正後のスロットル弁閉弁開度TAOFFを目標スロットル開度TTAとして設定し、処理をステップ480へ移行する。
【0083】
ステップ460又はステップ470から移行してステップ480では、ECU50は、目標スロットル開度TTAがスロットル開度TAより小さいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ490へ移行し、この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ500へ移行する。
【0084】
そして、ステップ490では、ECU50は、電子スロットル装置14を、負の補正スロットル開閉速度−ΔKTA/4msで目標スロットル開度TTAへ追従制御し、処理をステップ300へ戻す。すなわち、ECU50は、スロットル弁21が閉弁されるときの通常の閉弁速度よりも補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msだけ遅い速度でスロットル弁21を閉弁させるのである。
【0085】
一方、ステップ500では、ECU50は、目標スロットル開度TTAがスロットル開度TAより大きいか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ510へ移行し、この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ520へ移行する。
【0086】
ステップ510では、ECU50は、スロットル開度TAを目標スロットル開度TTAに維持し、処理をステップ100へ戻す。すなわち、ECU50は、スロットル開度TAが目標スロットル開度TTAを維持するように電子スロットル装置14を制御するのである。
【0087】
一方、ステップ520では、ECU50は、電子スロットル装置14を、正の補正スロットル開閉速度+ΔKTA/4msで目標スロットル開度TTAへ追従制御し、処理をステップ300へ戻す。すなわち、ECU50は、スロットル弁21が開弁されるときの通常の開弁速度よりも補正スロットル開閉速度ΔKTA/4msだけ速い速度でスロットル弁21を開弁させるのである。
【0088】
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの制御装置によれば、EGRが行われ、かつ、過給状態からのエンジン1の減速運転時であるときは、EGR弁18が全閉へ向けて閉弁制御されると共に電子スロットル装置14(スロットル弁21)が閉弁制御される。ここで、スロットル弁21が閉弁される過程では、スロットル弁21の閉弁速度が補正されるので、その補正の分だけ、EGRガスの流入により不足する吸気量が補われる。このため、低圧ループ式のEGR装置を備えた過給機7を備えたエンジン1において、エンジン1の減速運転時にスロットル弁21が閉弁する過程で、吸気通路3に残留していたEGRガスの流入による吸気量不足を補って燃焼室16における失火を防止することができる。
【0089】
この実施形態では、EGRが行われ、かつ、過給状態からのエンジン1の減速運転時であるときには、新気導入弁42が開弁されるので、スロットル弁21がある程度閉弁されてスロットル弁21より下流の吸気通路3に負圧が発生することにより、新気導入通路41から吸気通路3へ新気が導入される。このため、燃焼室16に取り込まれた吸気における新気の割合を増加させることができ、EGR率を更に低減させることができ、残留EGRガスに起因する吸気量不足を更に補って燃焼室16における失火をより確実に防止することができる。
【0090】
この実施形態では、エンジン1の減速運転時には、EGR率Eegrが大きくなるほど、スロットル弁21の閉弁速度が遅くなるようにスロットル開閉速度ΔTA/4msが補正されるので、補われる吸気量は、EGR率Eegrが大きくなるほど増加方向へ調整される。ここで、スロットル開度TAが同じであれば、EGR率Eegrが大きいほど吸気量Gaは低下する。エンジン1の減速途中では、スロットル弁21を通過する空気量や残留EGR量が多いため、残留EGRガスによる吸気量不足を補うことができない。そこで、この実施形態では、減速運転時には、スロットル弁21の閉弁速度を遅くすることにより、スロットル弁21を通過する空気量をできるだけ増やすようにしている。この結果、減速運転時の残留EGRガスに起因する吸気量不足による失火をより精密に防止することができる。
【0091】
この実施形態では、エンジン1の減速運転時には、エンジン回転速度NEが高くなるほど、スロットル弁21の閉弁速度が遅くなるようにスロットル開閉速度ΔTA/4msが補正されるので、補われる吸気量は、エンジン回転速度NEが高くなるほど増加方向へ調整される。これは、エンジン回転速度NEが高いほど減速時のエンジン負荷KLの降下速度が速くなり、残留EGRガスによる吸気量不足の影響が出やすいので、それを対策するためのものである。この結果、減速運転時の残留EGRガスに起因する吸気量不足による失火をより精密に防止することができる。
【0092】
この実施形態では、エンジン1の減速運転時には、スロットル弁21が全閉に近いスロットル弁閉弁開度TAOFFまで制御されると共に、EGR率Eegrが大きくなるほど、そのスロットル弁閉弁開度TAOFFが大きくなるようにそのスロットル弁閉弁開度TAOFFが補正されるので、補われる吸気量が、EGR率Eegrが大きくなるほど増加方向へ調整される。この結果、減速運転時の残留EGRガスに起因する吸気量不足による失火をより精密に防止することができる。
【0093】
図12に、エンジン1の減速運転時における(a)スロットル開度TA、(b)新気導入弁42の開度Ecav、(c)吸気量Ga、(d)EGR率Eegr及び(e)エンジントルクの挙動の一例をタイムチャートにより示す。
図12(a)において、太線は、本実施形態に係り、EGRオンからの減速運転時におけるスロットル開度TAを示す。破線は、EGRオフからの減速運転時におけるスロットル開度TAを示す。2点鎖線は、従来例に係り、EGRオンからの減速運転時におけるスロットル開度TAを示す。
図12(c)において、太線は、本実施形態に係り、EGRオンからの減速運転時における吸気量Gaを示す。破線は、EGRオフからの減速運転時における吸気量Gaを示す。2点鎖線は、従来例に係り、EGRオンからの減速運転時における吸気量Gaを示す。
図12(e)において、太線は、本実施形態に係り、EGRオンからの減速運転時におけるエンジントルクを示す。破線は、EGRオフからの減速運転時におけるエンジントルクを示す。2点鎖線は、従来例に係り、EGRオンからの減速運転時におけるエンジントルクを示す。
【0094】
図12において、時刻t1にて、太線で示すように、スロットル開度TAが減少し始めると、新気導入弁42の開度Ecavが増加し始める。その後、時刻t2にて、太線で示すように、吸気量Gaとエンジントルクが減少し始める。その後、時刻t5にて、太線で示すように、スロットル開度TAが全閉に近いある閉弁開度に達するが、その直前の時刻t4にて、太線で示すように、吸気量Gaが最小値で一定となり、エンジントルクが「0」で一定となる。また、時刻t6にて、新気導入弁42の開度Ecavが最大値に達し、その後に減少し始め、時刻t7にて全閉に達する。
図12(b)にハッチングで示す部分は、EGRオンからのエンジン1の減速運転時に、新気導入弁42の開弁によっても新気の応答が不足する部分を示す。これに対し、本実施形態では、
図12(a)にハッチングで示す分だけ、従来例に対してスロットル弁21の閉弁速度が遅くなるように補正されるので、
図12(c)にハッチングで示す分だけ吸気量Gaが補正され、
図12(e)にハッチングで示す分だけエンジントルクが補正される。この結果、
図12(d)で示すように、時刻t1〜t6の間でEGR率Eegrを増大させることなく一定に保つことができる。この結果、エンジン1の減速運転時に吸気量不足による失火を防止することができるのである。
【0095】
<第2実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの制御装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0096】
なお、以下に説明する各実施形態においては、前記第1実施形態と同等の構成要素について同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0097】
この実施形態では、新気導入弁42に係る構成と、電子スロットル装置14(スロットル弁21)と新気導入弁42の制御を協調させるための減速時制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。
【0098】
図13には、この実施形態におけるエンジンのEGR装置を含む過給機付エンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、
図13に示すように、新気導入弁42の下流側にて新気導入通路41に同通路41における気体の逆流を防止する逆止弁43が設けられる点で
図1のエンジンシステムと構成が異なる。
【0099】
図14に、ECU50が実行する新気導入制御の処理内容の一例をフローチャートにより示す。この実施形態では、新気導入通路41に逆止弁43が設けられることから、
図14のフローチャートは、
図2のフローチャートにおけるステップ130とステップ140の処理が省略される点で
図2のフローチャートと構成が異なる。すなわち、
図14において、ステップ120とステップ150の間で、ステップ130とステップ140が省略される代わりにステップ190が設けられる。
【0100】
図15に、エンジン1の減速時に新気導入弁42の制御に合わせてECU50が実行する電子スロットル装置14の協調制御の処理内容の一例につき、
図5のフローチャートと異なる部分のみをフローチャートにより示す。
図15に示すように、この実施形態では、
図5のフローチャートのステップ440とステップ450との間の構成が
図5のフローチャートと異なる。すなわち、
図15に示すように、ステップ440の処理を実行した後、ステップ600で、ECU50は、エンジン負荷KLに応じた負荷補正係数KKLを求める。ECU50は、
図16に示すマップを参照することにより、エンジン負荷KLに応じた負荷補正係数KKLを求めることができる。このマップで、負荷補正係数KKLは、エンジン負荷KLが低い領域では所定値で一定となり、エンジン負荷KLが中程度へ高くなるにつれて「0」へ向けて小さくなり、エンジン負荷KLが高い領域では「0」で一定となるように設定されている。
【0101】
次に、ステップ610で、ECU50は、ステップ440で求められた減速閉弁開度の補正量KTAoff2に負荷補正係数KKLを乗算することにより補正後の補正量KTAOFF2とする。これは、エンジン負荷KLが高くなるほどスロットル弁閉弁開度TAOFFが小さくなるようにスロットル弁閉弁開度TAOFFを補正するための設定を意味する。
【0102】
そして、ステップ450では、ECU50は、上記した補正後の補正量KTAOFF2を次式(3)に当てはめることにより、補正後のスロットル弁閉弁開度TAOFFを求める。
TAOFF=TAoff+KTAoff1−KTAOFF2 ・・・(3)
【0103】
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの制御装置によれば、第1実施形態の作用効果に加えて次のような作用効果を有する。すなわち、新気導入通路41に逆止弁43が設けられるので、吸気通路3から新気導入通路41へのガスの逆流が規制される。このため、エンジン1の過給時にも新気導入弁42を開弁することができ、新気導入弁42の開弁遅れによる新気導入遅れを回避することができる。
【0104】
また、この実施形態では、エンジン1の減速運転時には、スロットル弁21が全閉に近いスロットル弁閉弁開度TAOFFまで制御されると共に、新気導入弁42の開度が大きくなるほどスロットル弁閉弁開度TAOFFが小さくなるようにスロットル弁閉弁開度TAOFFが補正されるので、補われる吸気量Gaが、吸気通路3に導入される新気量が増えるほど減少方向へ調整される。この結果、エンジン1の減速運転時に燃焼室16へ空気が過剰に供給されることを防止することができ、エンジントルクを安定化させることができ、エンジン1のドライバビリティの悪化を防止することができる。
【0105】
この実施形態では、エンジン負荷KLが高くなるほどスロットル弁閉弁開度TAOFFが小さくなるようにスロットル弁閉弁開度TAOFFが補正されるので、補われる吸気量Gaが、エンジン負荷KLが高くなるほど減少方向へ調整される。これは、エンジン負荷KLが高くなるほどスロットル弁21を通過する吸気量Gaが増えることから、燃焼室16へ空気が過剰に供給されることになるので、それを対策するためのものである。この結果、減速運転時に空気量過剰によるドライバビリティの悪化をより精密に防止することができる。
【0106】
図17に、
図12に準ずるものであって、エンジン1の減速運転時における(a)スロットル開度TA、(b)新気導入弁42の開度Ecav、(c)吸気量Ga、(d)EGR率Eegr及び(e)エンジントルクの挙動の一例をタイムチャートにより示す。このタイムチャートでは、
図17(a)に太線で示すスロットル開度TAの挙動と、
図17(b)に示す新気導入弁42の開度Ecavの挙動の点で、
図12のタイムチャートと異なる。特に、この実施形態では、新気導入弁42の下流側に逆止弁43が設けられることから、
図17(b)に示すように、新気導入弁42の開度Ecavは、時刻t1にて、スロットル開度TAが減少し始めてもある一定の開度で開いたままの状態を維持し、
図17(d)に示すように、時刻t6でEGR率Eegrが減少し始めると同時に開度Ecavが減少し始めている。これは、新気導入通路41に逆止弁43が設けられることで、エンジン1の過給時や減速運転時にかかわらず吸気通路3から新気導入通路41へガスが逆流することがないので、新気導入弁42を減速運転前から減速運転完了までの間で開弁状態のままとすることで新気導入弁42の開弁遅れによる新気導入遅れを回避するようにしたものである。
【0107】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0108】
例えば、前記第2実施形態では、エンジン負荷KLが高くなるほどスロットル弁閉弁開度TAOFFが小さくなるようにスロットル弁閉弁開度TAOFFを補正するように構成したが、吸気圧PMが高くなるほどスロットル弁閉弁開度TAOFFが小さくなるようにスロットル弁閉弁開度TAOFFを補正するように構成することもできる。これにより、補われる吸気量Gaが、吸気圧PMが高くなるほど減少方向へ調整される。これは、吸気圧PMが高くなるほどスロットル弁21を通過する吸気量Gaが増えることから、燃焼室16へ空気が過剰に供給されることになるので、それを対策するためのものである。この結果、減速運転時に空気量過剰によるドライバビリティの悪化をより精密に防止することができる。