特許第6234815号(P6234815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234815凹状トーラスセグメントのメニスカス壁を有する液体メニスカスレンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234815
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】凹状トーラスセグメントのメニスカス壁を有する液体メニスカスレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/14 20060101AFI20171113BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20171113BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G02B3/14
   A61F2/16
   G02C7/06
【請求項の数】26
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-521869(P2013-521869)
(86)(22)【出願日】2011年7月25日
(65)【公表番号】特表2013-539066(P2013-539066A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011045155
(87)【国際公開番号】WO2012015725
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2014年6月10日
【審判番号】不服2016-3734(P2016-3734/J1)
【審判請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】61/368,868
(32)【優先日】2010年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/164,416
(32)【優先日】2011年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピュー・ランドール・ビー
(72)【発明者】
【氏名】オッツ・ダニエル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】トナー・アダム
(72)【発明者】
【氏名】カーニック・エドワード・アール
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ジェームズ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スヌーク・シャリカ
【合議体】
【審判長】 鉄 豊郎
【審判官】 樋口 信宏
【審判官】 中田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−186595(JP,A)
【文献】 特開2006−178469(JP,A)
【文献】 特表2007−522508(JP,A)
【文献】 特表2007−526517(JP,A)
【文献】 特表2008−521224(JP,A)
【文献】 特表2007−519016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 3/14
A61F 2/16
G02C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズであって、
前方湾曲レンズ外面及び前方湾曲レンズ内面を備える前方湾曲レンズであって、前記前方湾曲レンズ外面及び前記前方湾曲レンズ内面の両方が、弓形形状を有する、前方湾曲レンズと、
後方湾曲レンズ内面及び後方湾曲レンズ外面を備える後方湾曲レンズであって、前記後方湾曲レンズ内面及び前記後方湾曲レンズ外面の両方が、弓形形状を有し、前記後方湾曲レンズは、前記前方湾曲レンズ内面及び前記後方湾曲レンズ内面がそれらの間に空洞を形成し、また、前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズを通る光軸を形成するように、前記前方湾曲レンズに隣接して位置する、後方湾曲レンズと、
前記前方湾曲レンズ内面と前記後方湾曲レンズ内面との間に形成される前記空洞内に収容されるある容量の食塩水溶液及びある容量の油であって、それらの間にメニスカスを形成する、ある容量の食塩水溶液及びある容量の油と、
前記前方湾曲レンズで形成されて円錐台の一般的形状を有し、前記円錐台の少なくとも側面部分が前記空洞対して凹状であるメニスカス壁と、
前記メニスカス壁に隣接する鋭い部分とを備え、前記鋭い部分が、前記メニスカスの移動のための境界としての機能を果たす角度特徴を備える、コンタクトレンズ。
【請求項2】
前記メニスカス壁の少なくとも一部分の上に導電性コーティングを更に備える、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記油の容量が、前記空洞内に収容される前記食塩水溶液の容量未満である、請求項2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記油の容量が、前記食塩水溶液の容量と比較して、66%以上である、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記油の容量が、前記食塩水溶液の容量と比較して、90%以下である、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記油が、前記食塩水溶液の密度と等しい密度を有する、請求項2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記油の密度が、前記食塩水溶液の密度から±10%以内にある、請求項2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記油の密度が、前記食塩水溶液の密度から±5%以内にある、請求項2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
前記導電性コーティングが、前記空洞の内側の区域から前記空洞の外側の区域に延在する、請求項2に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記空洞の外側の前記導電性コーティングの区域が、前記液体メニスカスレンズに電荷を供給するための電気端子を形成する、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
電圧を前記空洞の外側の前記導電性コーティングの区域に印加することにより、前記メニスカス壁と前記メニスカスとの間の接触位置に変化をもたらす、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記電圧が、直流電圧である、請求項11に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記前方湾曲レンズ外面が、0以外の屈折力を有する、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記前方湾曲レンズ内面が、0以外の屈折力を有する、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項15】
前記後方湾曲レンズ外面が、0以外の屈折力を有する、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項16】
前記後方湾曲レンズ内面が、0以外の屈折力を有する、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項17】
前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの1つ又は両方を通るチャネルを更に備え、前記チャネルは、導電材料で充填されている、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項18】
前記導電材料と電気的に導通している端子を更に備える、請求項17に記載のコンタクトレンズ。
【請求項19】
電荷を前記端子に印加することにより、前記メニスカスの形状に変化をもたらす、請求項18に記載のコンタクトレンズ。
【請求項20】
前記前方湾曲レンズの前記内面の少なくとも一部分に沿って絶縁体コーティングを更に備え、前記絶縁体コーティングが、電気絶縁体を備える、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項21】
前記絶縁体が、パリレンC(商標)及びテフロンAF(商標)のうちの1つを含む、請求項20に記載のコンタクトレンズ。
【請求項22】
前記絶縁体が、前記導電性コーティングと、前記空洞に収容される前記食塩水溶液との間の分離を維持するための境界区域を備える、請求項20に記載のコンタクトレンズ。
【請求項23】
前記メニスカス壁は、前記コンタクトレンズの前記光軸に対して、30°〜50°の角度である、請求項3に記載のコンタクトレンズ。
【請求項24】
前記鋭い部分が、半径方向の表面部分を備える、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項25】
前記半径方向の表面部分が、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲内の半径を備える、請求項24に記載のコンタクトレンズ。
【請求項26】
前記メニスカス壁が、前記食塩水溶液と油との間に形成される前記メニスカスの境界を形成する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年6月20日に出願された米国特許出願第13/164,416号及び2010年7月29日に出願された米国特許仮出願第61/368,868号に対して優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般に、液体メニスカスレンズに関し、より具体的には、凹状トーラスセグメントメニスカス壁を有する弓形液体メニスカスレンズ等の液体メニスカスレンズを含む。
【背景技術】
【0003】
液体メニスカスレンズは、様々な産業において公知である。図1A及び1Bを参しがら以下により詳細に説明されるように、既知の液体メニスカスレンズは、直線である軸線から固定された距離の点により形成される周囲表面によって円柱形状に設計されていた。既知の液体メニスカスレンズは、第1の内面が第2の内面に略平行であり、それぞれが円柱軸に対して垂直である設計に制限されてきた。液体メニスカスレンズの使用の既知の例としては、電子カメラ及び携帯電話装置等の装置が挙げられる。
【0004】
従来、コンタクトレンズ及び眼内レンズ等の眼科用装置には、矯正、美容、又は治療的性質を有する生体適合性装置が含まれていた。例えば、コンタクトレンズは、視力矯正機能、美容改善、及び治療効果のうちの1つ又は2つ以上を提供することができる。それぞれの機能は、レンズの物理的特性によって提供される。レンズに屈折性質を組み込む設計は、視力矯正機能を提供することができる。レンズに組み込まれる顔料は、美容強化を提供することができる。レンズに組み込まれる活性薬剤は、治療的機能を提供することができる。
【0005】
より最近では、電子成分がコンタクトレンズに組み込まれた。いくつかの成分は、半導体装置を含むことができる。しかしながら、液体メニスカスレンズの大きさ、形状、及び制御態様を含む物理的制約が、眼科用レンズにおけるそれらの使用を不可能にしてきた。一般に、「ホッケーパック」形状と呼ばれることがある、液体メニスカスレンズの円柱形状のために、ヒトの眼の中で機能し得るものがもたらされなかった。
【0006】
更に、湾曲液体メニスカスレンズは、平行な側壁を有する液体メニスカスレンズの従来の設計に必ずしも存在しない物理的課題を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、液体メニスカスレンズを提供する。いつくかの好ましい実施形態は、弓形前方湾曲レンズ及び弓形後方湾曲レンズを含む。本発明は、レンズ内に収容され、別の液体とメニスカスを形成する液体を引き寄せる、及び退けるのうちの1つ又は両方をもたらす物理的特徴を備えるメニスカス壁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、第1の光学部品が、第2の光学部品に隣接し、それらの間に空洞を形成する。好ましい実施形態としては、第1の弓形形状の光学部品が、第2の弓形形状の光学部品に隣接し、それらの間に空洞を形成することが挙げられる。食塩水溶液及び油は、空洞内に維持される。電荷を第1の光学部品及び第2の光学部品のうちの1つ又は両方の周囲区域に一般に位置するメニスカス壁に印加することにより、空洞内に維持された食塩水溶液と油との間に形成されるメニスカスの物理的形状が変化する。
【0009】
本発明は、トーラスのセグメントを本質的に含む形状に形成されるメニスカス壁を含む。トーラスセグメントの断面は、凹形状の壁を含む。本発明は更に、メニスカス壁の凸状形成によって付与される効果を含む液体メニスカスレンズの独自の動作を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】第1の状態における円柱形液体メニスカスレンズの先行技術の例を図示する。
図1B】第2の状態における円柱形液体メニスカスレンズの先行技術の例を図示する。
図2】本発明の一部の実施形態による、代表的な液体メニスカスレンズのプロファイル切り出し断面を図示する。
図3】本発明の一部の実施形態による、代表的な弓形液体メニスカスレンズの一部分の断面を図示する。
図4】弓形液体メニスカスレンズの更なる代表的な態様を図示する。
図5】本発明の一部の実施形態による、弓形液体メニスカスレンズ内の液体メニスカス壁要素を図示する。
図6A】電力が供給されない状態の液体メニスカス境界を示す、液体メニスカスレンズ内の凹状メニスカス壁を図示する。
図6B】電力が供給された状態の液体メニスカス境界を示す、液体メニスカスレンズ内の凹状メニスカス壁を図示する。
図6C】比較のために単一略図で液体メニスカス境界の電力が供給された状態及び電力供給なしの状態を示す、液体メニスカスレンズ内の凹状メニスカス壁を図示する。
図7】弓形液体メニスカスレンズの残りから切り離して見られたとき、凹状メニスカス壁の形状である、凹状トーラスセグメントを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、液体メニスカスレンズのメニスカス空洞を画定する前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズのうちの少なくとも1つを有する液体メニスカスレンズを提供する。
【0012】
用語
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用され得る。
【0013】
接触角:液体メニスカス境界とも呼ばれる、油/食塩水溶液の境界面が、メニスカス壁と接触する角度。線状のメニスカス壁の場合、接触角は、メニスカス壁と、液体メニスカス境界がメニスカス壁と接触する点で液体メニスカス境界に接する線との間の角度として測定される。湾曲メニスカス壁の場合、接触角は、メニスカス壁に接する線とそれらが接触する点で液体メニスカス境界との間の角度として測定される。
【0014】
液体メニスカス境界:食塩水溶液と油との間の弓形表面境界面。一般に、この表面は、片側が凹状でもう片側が凸状であるレンズを形成する。
【0015】
メニスカス空洞:油及び食塩水溶液が維持される前方湾曲レンズと後方湾曲レンズとの間の弓形液体メニスカスレンズの空隙。
【0016】
メニスカス壁:メニスカス空洞内にあり、それに沿って液体メニスカス境界が移動する、前方湾曲レンズの内側上の特定区域。
【0017】
光学ゾーン:本明細書で使用する場合、眼科用レンズの装用者がそこを通して見ることになる、眼科用レンズの領域を指す。
【0018】
鋭角部:光学部品上の2つの所定の流体の接触線の位置を収容するために十分な、前方湾曲レンズ部品又は後方湾曲レンズ部品のいずれかの内側面の幾何学的特徴。鋭角部は通常、内角よりむしろ外角である。流体の観点からすれば、それは、180度を超える角度である。
【0019】
ここで図1Aを参照すると、シリンダ110内に収容される油101及び食塩水溶液102を有する先行技術のレンズ100の断面図が図示される。シリンダ110は、2つの光学材料106のプレートを含む。各プレート106は、平坦な内面113〜114を含む。シリンダ110は、本質的に回転対称である内面を含む。一部の先行技術の実施形態では、1つ又は2つ以上の表面は、疎水性コーティングを含むことができる。電極105も、シリンダの周囲上又はその周りに含まれる。電気絶縁体も、電極105に隣接して使用され得る。
【0020】
先行技術によると、内面113〜114のそれぞれは、本質的に平坦又は平面的である。境界面112Aは、食塩水102Aと油101との間に画定される。図1Aに図示されるように、境界面112Aの形状は、食塩水溶液102A及び油101の屈折率特徴と組み合わされて、第1の内面113を通して入射光108を受容し、第2の内面113を通して発散光109を提供する。油101と食塩水溶液102との間の境界面の形状は、電極105に電流を印加することにより変化され得る。
【0021】
先行技術のレンズ100Aは、100で図示される先行技術のレンズの斜視図を図示する。
【0022】
ここで図1Bを参照すると、先行技術のレンズ100は、電圧を印加した状態で図示される。電圧を印加した状態は、電極115にわたって電圧114を印加することによって達成される。油101と食塩水溶液102との間の境界面112Bの形状は、電極115に電流を印加することにより変化される。図1Bに図示されるように、油101及び食塩水溶液102Bを通過する入射光108Bは、収束光パターン111に収束される。
【0023】
ここで図2を参照すると、前方湾曲レンズ201及び後方湾曲レンズ202を有する液体メニスカスレンズ200の断面図が図示される。前方湾曲レンズ201及び後方湾曲レンズ202は、相互に隣接して位置し、それらの間に空洞210を形成する。前方湾曲レンズは、凹状弓形内側レンズ表面203と、凸状弓形外側レンズ表面204とを含む。凹状弓形レンズ表面203は、1つ又は2つ以上のコーティング(図2に図示せず)を有することができる。コーティングは、例えば、導電性の材料若しくは電気的に絶縁性の材料、疎水性材料若しくは親水性材料のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。凹状弓形レンズ表面203及びコーティングのうちの1つ又は両方は、空洞210内に収容される油208と液体及び光学連通状態にある。
【0024】
後方湾曲レンズ202は、凸状弓形内側レンズ表面205と、凹状弓形外側レンズ表面206とを含む。凸状弓形レンズ表面205は、1つ又は2つ以上のコーティング(図2に図示せず)を有することができる。コーティングは、例えば、導電性の材料若しくは電気的に絶縁性の材料、疎水性材料若しくは親水性材料のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。凸状弓形レンズ表面205及びコーティングのうちの少なくとも1つは、空洞210内に収容される食塩水溶液207と液体及び光学連通である。食塩水溶液207は、導電性である1つ又は2つ以上の塩又は他の成分を含み、そのため、電荷に引かれるか、又はそれによって退けられるかのいずれかであり得る。
【0025】
本発明によると、導電性のコーティング209は、前方湾曲レンズ201及び後方湾曲レンズ202のうちの1つ又は両方の周辺部の少なくとも一部分に沿って位置する。導電性のコーティング209は、金又は銀を含むことができ、好ましくは生体適合性である。電荷を導電性のコーティング209に印加することにより、食塩水溶液中の導電性の塩又は他の成分を引き寄せるか、又は退けるかのいずれかを生じさせる。
【0026】
前方湾曲レンズ201は、凹状弓形内側レンズ表面203及び凸状弓形外側レンズ表面204を通過する光に関して屈折力を有する。屈折力は、0であるか、又は正若しくは負の力であってもよい。一部の好ましい実施形態では、屈折力は、非限定的な例として、−8.0〜+8.0ジオプターの度数等の矯正コンタクトレンズに典型的に見られる度数である。
【0027】
後方湾曲レンズ202は、凸状弓形内側レンズ表面205及び凹状弓形外側レンズ表面206を通過する光に関して屈折力を有する。屈折力は、0であるか、又は正若しくは負の力であってもよい。一部の実施形態では、屈折力は、非限定的な例として、−8.0〜+8.0ジオプターの度数等の矯正コンタクトレンズに典型的に見られる度数である。
【0028】
様々な実施形態は、食塩水溶液207と油との間に形成される液体メニスカス211の形状の変化に関連する屈折力の変化も含むことができる。一部の実施形態では、屈折力の変化は、例えば、0〜2.0ジオプターの変化等、比較的小さくてもよい。他の実施形態では、液体メニスカスの形状の変化に関連する屈折力の変化は、最大約30又はそれ以上のジオプターの変化であってもよい。一般に、液体メニスカス211の形状の変化に関連するより大きな屈折力の変化は、比較的より厚いレンズ厚210に関連する。
【0029】
本発明の一部の実施形態によると、コンタクトレンズ等の眼科用レンズに含まれ得るそれらの実施形態のように、弓形液体メニスカスレンズ200の横断レンズ厚210は、最大約1,000マイクロメートルの厚さである。比較的より薄いレンズ200の代表的なレンズ厚210は、最大約200マイクロメートルの厚さである。好ましい実施形態は、約600マイクロメートルの厚さのレンズ厚210を有する液体メニスカスレンズ200を含むことができる。一般に、前方湾曲レンズ201の横断厚は、約35マイクロメートル〜約200マイクロメートルであってもよく、後方湾曲レンズ202の横断厚も、約35マイクロメートル〜約200マイクロメートルであってもよい。
【0030】
本発明によると、集合屈折力は、前方湾曲レンズ201、後方湾曲レンズ202、及び油208と食塩水溶液207との間に形成される液体メニスカス211の屈折力の集合である。一部の実施形態では、レンズ200の屈折力は、前方湾曲レンズ201、後方湾曲レンズ202、油208、及び食塩水溶液207のうちの1つ又は2つ以上の間での屈折率の差も含む。
【0031】
コンタクトレンズに組み込まれる弓形液体メニスカスレンズ200を含むそれらの実施形態では、コンタクト着用者が動くため、食塩水207及び油208にとって、湾曲した液体メニスカスレンズ200内のそれらの相対位置で安定した状態を保つことが、更に望ましい。一般に、着用者が動くとき、油208が、食塩水207に対して浮動かつ移動するのを防止することが好ましく、したがって、油208及び食塩水溶液207の組み合わせは、好ましくは、同一又は類似する密度で選択される。加えて、油208及び食塩水溶液207は、食塩水207及び油208が混合しないように、好ましくは、比較的低い不混和性を有する。
【0032】
一部の好ましい実施形態では、空洞内に収容される食塩水溶液の容量は、空洞内に収容される油の容量を超える。加えて、一部の好ましい実施形態は、後方湾曲レンズ200の内面205全体と本質的に接触する食塩水溶液207を含む。一部の実施形態は、食塩水溶液207の量と比較して、約66容量%以上である油208の容量を含むことができる。一部の更なる実施形態は、油208の容量が食塩水溶液207の量と比較して、約90容量%以下である、弓形液体メニスカスレンズを含むことができる。
【0033】
ここで図3を参照すると、弓形液体メニスカスレンズ300の縁部分の断面が図示される。上述のように、弓形液体メニスカスレンズ300は、組み合わされた前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302成分を含む。前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302は、少なくとも部分的に透明である1つ又は2つ以上の材料で形成され得る。一部の実施形態では、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方は、例えば、PMMA、Zeonor(商標)、及びTPX等のうちの1つ又は2つ以上の一般に光学的に明澄なプラスチックを含む。
【0034】
前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方は、例えば単刃ダイヤモンド旋盤加工、射出成形、デジタルミラー装置自由形成等のうちの1つ以上のプロセスを介して成形され得る。
【0035】
前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のちの1つ又は両方は、図示される導電性コーティング303を含むことができ、導電性コーティング303は、309から310までの周囲部分に沿って延在する。一部の好ましい実施形態では、導電性コーティング303は金を含む。金は、スパッタプロセス、蒸着、又は他の公知のプロセスを介して適用され得る。代替的な導電性コーティング303は、非限定的な例として、アルミニウム、ニッケル、及びインジウムとスズの酸化物を含むことができる。一般に、導電性コーティング303は、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方の周囲区域に適用される。
【0036】
本発明の一部の実施形態では、後方湾曲レンズ302は、特定の区域に適用される導電性コーティング304を有する。例えば、後方湾曲レンズ302の周囲の周りの部分は、第1の境界304−1から第2の境界304−2まで被覆され得る。金コーティングは、例えば、スパッタプロセス又は蒸着を介して適用され得る。一部の実施形態では、前方湾曲レンズ301又は後方湾曲レンズ302の1つ又は2つ以上の周囲部分の周りに所定のパターンで金又は他の導電材料を適用するために、マスクが使用され得る。代替の導電材料は、様々な方法を使用し、かつ後方湾曲レンズ302の様々な区域を被覆することにより適用され得る。
【0037】
一部の実施形態では、例えば、後方湾曲レンズ302の1つ又は2つ以上の穴又はスロット等を通る導電性通路は、例えば、導電性エポキシ等の導電性充填剤材料で充填され得る。導電性充填剤は、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方の内面上の導電性コーティングに電気的導通を提供することができる。
【0038】
本発明の別の態様において、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方は、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302(図示せず)の一般に中央区域の光学ゾーンが光学的に透明な材料を含むことができ、周辺部ゾーンが導電性の材料を含む光学的に不透明な区域を含むことができる、複数の異なる材料から作製され得る。光学的に不透明な区域は、制御回路及びエネルギー源のうちの1つ又は2つ以上も含むこともできる。
【0039】
更に別の態様において、一部の実施形態では、絶縁体コーティング305が前方湾曲レンズ301に適用される。非限定的な例として、絶縁体コーティング305は、第1の領域305−1から第2の領域305−2に延在する区域に適用される。絶縁体は、例えば、パリレンC(商標)、テフロンAF(商標)、又は様々な電気及び機械特徴並びに電気抵抗を備える他の材料を含んでもよい。
【0040】
一部の実施形態では、絶縁体コーティング305は、導電性コーティング303と、前方湾曲レンズ301と後方湾曲レンズ302との間の空洞に収容される食塩水溶液306との間の分離を維持するための境界区域を作り出す。したがって、一部の実施形態は、正帯電した導電体303及び負帯電した食塩水溶液306が接触するのを防止するために、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方の1つ又は2つ以上の区域でパターン化され、位置付けられた絶縁体コーティング305を含み、導電体303及び食塩水溶液306の接触は、電気的短絡をもたらす。実施形態は、正帯電した食塩水溶液306及び負帯電した導電体303を含むことができる。
【0041】
更に他の実施形態は、レンズ300の操作に関連する回路のリセット機能として、導電体303と食塩水溶液306との間の短絡を可能にすることができる。例えば、短絡状態は、レンズへの電源を分断し、食塩水溶液306及び油307をデフォルト位置に回復させる。
【0042】
一部の好ましい実施形態は、空洞311の内側上の区域309から空洞311の外側の区域310に延在する導電体303を含む。他の実施形態は、例えば、防水導電性エポキシ等の導電材料313で充填され得る、前方湾曲レンズ又は後方湾曲レンズを通るチャネル312を含むことができる。導電材料313は、空洞の外側の電気端子を形成する、又はそれに接続され得る。電荷は、端子に印加され、チャネル312の導電材料313を介してコーティングに伝導され得る。
【0043】
絶縁体コーティング305の厚さは、レンズ性能のパラメータとして変化し得る。本発明によると、食塩水溶液306及び導電体303を含む帯電した成分は、一般に、絶縁体コーティング305のいずれかの側に維持される。本発明は、絶縁体コーティング305の厚さと、食塩水溶液306と導電体303との間の電場との間の間接的関係を提供し、食塩水溶液306及び導電体303がより遠く離れて維持されるほど、電場は弱くなる。
【0044】
一般に、本発明は、絶縁体コーティング305の厚さが増すと、電場の強さが劇的に減少し得ることを提供する。場がより近ければ、一般に球状液体メニスカス境界308を移動するためのエネルギーがより利用可能になる。食塩水溶液306と導電体303との間の距離が増すと、食塩水溶液306及び導電体コーティング303の電場がより遠くに離れ、したがって、球状メニスカス境界308を移動することがより困難になる。反対に、絶縁体コーティング305がより薄ければ、球状液体メニスカス308の移動が絶縁体コーティング305の欠点に対してより敏感になる。一般に、絶縁体コーティング305の比較的小さい穴でも、レンズ300を短絡させる。
【0045】
一部の実施形態では、同様にレンズ300内に収容される油307の密度と一般に同じである密度で食塩水溶液306を含むことが望ましい。例えば、食塩水溶液306は、好ましくは、油307の密度から±10%以内である密度を含み、より好ましくは、食塩水溶液306は、油の密度から±5%以内の密度、最も好ましくは油の密度から±約1%以内の密度を含む。一部の実施形態では、食塩水溶液306内の塩又は他の成分の濃度は、食塩水溶液306の密度を調節するように調節され得る。
【0046】
本発明によると、弓形液体メニスカスレンズ300は、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302に対する油307の移動を制限することにより、より安定した光学品質を提供する。弓形前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302のうちの1つ又は両方に対する油307の移動の安定性を維持する一方法は、油307及び食塩水溶液306の相対的一致密度を維持することである。加えて、前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302の両方の内面の湾曲設計により、食塩水溶液306の層の相対深度又は厚さは、従来の円柱レンズ設計と比較して減少する。したがって、油の移動及び油306と食塩水溶液307との間のメニスカスの破損の可能性を回避するために、レンズ300内の油の位置の安定性が増す。
【0047】
一部の好ましい実施形態では、食塩水溶液306は、比較的高い屈折率を提供する油307と比較して、低い屈折率を提供する。しかしながら、一部の実施形態では、油307と比較してより高い屈折率を有する食塩水溶液306を含むことが可能だが、そのような場合、油は比較的低い屈折率を提供する。
【0048】
前方湾曲レンズ301及び後方湾曲レンズ302を相互に隣接した位置に固定するために接着剤308が使用され得、それによって、油307及び食塩水溶液306をそれらの間に保持する。接着剤308は、湾曲液体メニスカスレンズ300から食塩水306又は油307の漏れがないように、シールとしての機能を果たす。
【0049】
ここで図4を参照すると、食塩水溶液406と油407との間の液体メニスカス境界401を備える湾曲液体メニスカスレンズ400が図示される。一部の好ましい実施形態によると、メニスカス壁405は、402と403との間に延在する弓形壁の第1の角度破断によって前方湾曲レンズ404に画定される。液体メニスカス境界401は、電荷が1つ又は2つ以上の導電体コーティング又は導電材料408に沿って印加され、除去されると、メニスカス壁405を上下に移動させる。
【0050】
一部の好ましい実施形態では、導電性コーティング403は、食塩水溶液406及び油407を保有する空洞409の内側の区域から食塩水溶液406及び油407を収容する空洞409の外側の区域に延在する。そのような実施形態では、導電性コーティング403は、空洞409の外側の点の導電性コーティング403に印加された電荷の、空洞内の導電性コーティングの区域への管路であり、食塩水溶液406と接触してもよい。
【0051】
ここで図5を参照すると、前方湾曲レンズ501及び後方湾曲レンズ502を備える弓形液体メニスカスレンズ500の縁部分の断面図が示される。弓形液体メニスカスレンズ500は、食塩水溶液503及び油504を収容するために使用されてもよい。弓形液体メニスカスレンズ500の幾何学形状並びに食塩水溶液503及び油504の特徴が、食塩水溶液503と油504との間の液体メニスカス境界505の形成を容易にする。
【0052】
一般に、液体メニスカスレンズは、導電性のコーティング、絶縁体コーティング、経路、及び前方湾曲レンズ501及び後方湾曲レンズ502上に、又はそれらを通して存在する材料を含んでもよい。本発明によると、液体メニスカス境界505の形状、それによる液体メニスカス境界505と前方湾曲レンズ501との間の接触角は、前方湾曲レンズ501及び後方湾曲レンズ502のうちの1つ又は両方の少なくとも一部分の表面に印加される電荷に反応して変化する。
【0053】
本発明によると、導電性のコーティング又は材料を介して食塩水溶液に印加される電流の変化は、メニスカス壁506に沿って液体メニスカス境界505の位置を変化する。第1の鋭角部506−1と第2の鋭角部506−2との間で移動が生じる。
【0054】
好ましい実施形態では、液体メニスカス境界505は、第1の大きさの電流、例えば、電力供給がない状態又は休止状態と相関する電圧及び電流等がレンズに印加されるとき、第1の鋭角部506−1の位置又はその付近になるだろう。
【0055】
第2の大きさの電流の印加は、時として電力が供給された状態と呼ばれ、一般に第2の鋭角部506−2の方向の、メニスカス壁506に沿った液体メニスカス境界505の移動と相関し得、液体メニスカス境界の形状の変化を引き起こす。
【0056】
一部の実施形態では、メニスカス壁506は、滑らかな表面である。滑らかなメニスカス壁506は、絶縁体コーティングの欠陥を最小化してもよい。更に、表面テクスチャーのランダム不規則性は、不均一な流体動作を生じ、それによりレンズに印加又は印加しないとき、不均一又は予期しないメニスカス動作を生じてもよいため、滑らかなメニスカス壁506が好ましい。一部の好ましい実施形態では、滑らかなメニスカス壁は、約1.25ナノメートル〜5.00ナノメートルの範囲内のメニスカス壁506に沿った山から谷までの測定値を含む。
【0057】
別の態様、一部の実施形態では、ナノ加工した表面等の規定テクスチャーが弓形液体メニスカスレンズの設計に組み込まれてもよい場合、メニスカス壁506は、疎水性であることが望ましい。
【0058】
更に、別の態様、一部の実施形態では、メニスカス壁506は、レンズの光軸に対する角度であってもよい。角度は、0°から、又は光軸に平行に、90°の位置若しくは90°付近まで、又は光軸に垂直に及び得る。図示されるように、一部の好ましい実施形態では、メニスカス壁506角度は一般的に、弓形液体メニスカスレンズが、液体メニスカス境界505と絶縁体コーティングされたメニスカス壁506との間の所定の電流接触角を機能するために約30°〜50°である。入れ子式視覚等の異なる材料又は異なる光学的目的の使用により、メニスカス壁506の角度は、0°又は90°により近くなってよい。
【0059】
本発明によれば、メニスカス壁506の角度は、特定の電圧及び電流の印加時に、メニスカス壁506に沿ったある規模の移動に対応するように設計されてもよい。一部の実施形態では、メニスカス壁506の角度が増大すると、レンズの度を変更する能力が一般に所定のレンズの大きさ及び電圧パラメータ内に減少する。更に、メニスカス壁506が光軸に対して0°の位置又はその付近である場合、液体メニスカス境界505は、前方光学部品上にほぼ真っ直ぐに誘導される。メニスカス壁の角度は、レンズの性能の様々な結果を提供するように調整され得るいくつかのパラメータのうちの1つである。
【0060】
一部の好ましい実施形態では、メニスカス壁506は、約0.265mmの長さである。しかし、レンズ全体のサイズとともにメニスカス壁506の角度は自然に、様々な設計のメニスカス壁506の長さに影響を与える。
【0061】
弓形液体メニスカスレンズ500は、油504が後方湾曲レンズ502に接触する場合、故障すると一般に考慮されてもよい。したがって、好ましい実施形態では、メニスカス壁506は、第1の鋭角部506−1と後方湾曲レンズ502との間に50マイクロメートルの最小限の離隔距離が可能になるように設計される。他の実施形態では、離隔距離が減少すると、レンズ破損の危険性が増加するが、最小限の離隔距離は、50マイクロメートル未満であってもよい。他の実施形態では、離隔距離は、レンズ故障の危険性を軽減するために増大されてもよいが、レンズ全体の厚さもまた増大をし、これも望ましくない。
【0062】
更に、本発明の一部の好ましい実施形態の別の態様では、メニスカス壁506に沿って移動するように、液体メニスカス境界505の挙動は、ヤングの式を使用して、外挿されてもよい。ヤングの式は、乾いた表面上の湿った滴によって引き起こされる力の平衡を定義し、完全に平らな表面を仮定するが、基本的特徴は、弓形液体メニスカスレンズ500内に生成される電気的に浸水されたレンズ環境に印加され得る。
【0063】
第1の大きさの電気エネルギーがレンズに印加されるとき、例えば、レンズに電力が供給されていない状態などのとき、本明細書では液体メニスカス境界505と呼ばれる、油504と食塩水溶液503との間、油504とメニスカス壁506との間、及び食塩水溶液503とメニスカス壁506との間に界面エネルギーの平衡が達成され、液体メニスカス境界505とメニスカス壁506との間に平衡接触角を生じる。電圧の大きさの変化が弓形液体メニスカスレンズ500に適用されるとき、界面エネルギーの平衡が変化し、液体メニスカス境界505とメニスカス壁506との間の接触角に対応する変化が生じる。
【0064】
絶縁体コーティングされたメニスカス壁506を有する液体メニスカス境界505の接触角は、液体メニスカス境界505の移動ヤングの式の役割に起因するだけではなく、接触角がメニスカス移動を制限するために弓形液体メニスカスレンズ500の他の特徴と連結して使用されるため、弓形液体メニスカスレンズ500の設計及び機能の重要な要素である。
【0065】
メニスカス壁506の両端部で鋭角部506−1、506−2等の不連続部は、液体メニスカス接触角の十分大きな変化をもたらす電圧の大きな変化を必要とし、鋭角部のうちの1つを超えて液体メニスカス境界505を移動させるため、液体メニスカス505の移動のための境界としての機能を果たす。限定されない例として、一部の実施形態では、第2の鋭角部506−2より下の工程507を有する液体メニスカス境界505の接触角が恐らく90°〜130°の範囲内であり、一部の好ましい実施形態では、約110°である一方、メニスカス壁506を有する液体メニスカス境界505の接触角は、15°〜40°の範囲内である。
【0066】
レンズに印加される電圧は、第2の鋭角部506−2に向かってメニスカス壁506に沿った液体メニスカス境界505の移動を生じてもよい。絶縁体コーティングされたメニスカス壁506を有する液体メニスカス境界505の自然な接触角は、より大きな電圧が供給されない場合、第2の鋭角部506−2で液体メニスカス境界505を停止させる。
【0067】
メニスカス壁506の1つの端部で、第1の鋭角部506−1は一般に、液体メニスカス境界505が典型的に超えて移動しない1つの制限を画定する。一部の実施形態では、第1の鋭角部506−1は、鋭角部縁として構成される。他の好ましい実施形態では、第1の鋭角部506−1は、故障のより少ない可能性で生成され得る画定された小さな半径方向の表面を有する。導電性、絶縁体、及び他の可能性がある望ましいコーティングは、半径方向の表面の画定された縁半径がより確実にコーティングされ得る一方、鋭角部縁の上に均一に、予想通りに付着しなくてもよい。
【0068】
一部の実施形態では、第1の鋭角部506−1は、約10マイクロメートルの画定された半径で約90°角として構成される。鋭角部は、90°角未満で生成されてもよい。一部の実施形態では、90°より大きな角度を有する鋭角部が、鋭角部の丈夫さを向上させるように使用されてもよいが、設計は、より多くのレンズ空隙を占める。
【0069】
様々な実施形態では、鋭角部506−1、506−2の画定された半径は、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲内であってもよい。より大きな画定された半径は、レンズ設計の厳しい精度内のより多くの空隙の使用を費やすが、コーティングの信頼性を向上させるように使用されてもよい。この点では、レンズ設計の多くの他の区域にあるように、構成の容易さとレンズ機能の最適化と最小化サイズとの間にトレードオフが存在する。機能的、信頼性のある弓形液体メニスカスレンズ500は、幅広い変数を使用して作製されてもよい。
【0070】
第2の鋭角部506−2は、弓形液体メニスカスレンズ500に電圧が印加されるとき、油の移動を制限するように設計される特徴を含む。第2の鋭角部506−2は、一部の実施形態では、鋭角部も含んでよく、又は他の実施形態では、第2の鋭角部506−2は、5〜25マイクロメートル、最も好ましくは、10マイクロメートルの画定された半径を含んでもよい。半径10マイクロメートルは、鋭角部としてよく機能し、単刃ダイヤモンド旋削旋盤加工又は射出成形のプロセスに使用して生成され得る。
【0071】
前方湾曲レンズ501の光学区域508の始まりに伸びる垂直、又はほぼ垂直な工程507は、メニスカス壁506に対向する第2の鋭角部506−2の側面上に含まれてもよい。一部の実施形態では、工程507は、50〜200マイクロメートルの範囲内であり得るが、高さ120マイクロメートルである。
【0072】
一部の実施形態では、工程507は、光軸から約5°の角度であってもよい。他の実施形態では、工程507は、ほんの1°又は2°であってもよく、又は5°以上の角度であってもよい。光軸からより小さな角度である工程507は一般に、液体メニスカス境界505の接触角のより大きな変化を必要とし、メニスカス壁506から工程507に移動させるため、メニスカス移動のより有効なリミッタとしての機能を果たす。工程507から光学区域508の始まりまでの遷移は、半径25マイクロメートルである。より大きな半径は、レンズ設計内のより多くの空隙を不必要に消費する。より小さな半径は、可能であり、空隙を得るために必要な場合、実行されてもよい。レンズ内の他のものと同様にこの区域内の理論的鋭角部よりむしろ画定された半径を使用する決定は、部分的に、レンズ要素のための射出成形プロセスへの可能性のある移動に基づく。工程507と光学区域508の始まりとの間の曲線は、射出成形プロセスの間、塑性流れを向上させ、最適強度及び応力ハンドリングを有するレンズを生じる。
【0073】
ここで図6Aを参照すると、多くの可能な実施形態のうちの1つでは、凹状メニスカス壁601が描写される。弓形液体メニスカスレンズの残りから切り離して見られる場合、弓形液体メニスカスレンズの凹状メニスカス壁601の成分は、図7の斜視図として示されるように、トーラスのセグメントである。図7に描写されるように、この実施形態では、メニスカス壁701は、光軸から、かつレンズ全体の周囲の第1の鋭角部702−1と第2の鋭角部702−2との間の一貫した長さの凹状である。
【0074】
図6Aは、光軸から凹状である、メニスカス壁601が、油602及び食塩水溶液603を収容する弓形液体メニスカスレンズ内の光軸から約45°の角度で配置される、可能な実施形態を描写する。液体メニスカス境界604Aは、第1の鋭角部608に最も近いメニスカス壁601の端部に一般に近い、605Aでメニスカス壁601と接触する。接触角は、606Aによって示される。電圧が印加された後、図6Bで見られるように、液体メニスカス境界は、一般に前方湾曲レンズ607に向かって、メニスカス壁601に沿って605Bに移動し、接触角606Bを生じる。
【0075】
一般に、図6Cに示されるように、凹状メニスカス壁が光軸に対して所定の角度で配置される液体メニスカスレンズは、線状メニスカス壁が光軸に対して類似の角度で配置される液体メニスカスレンズより、所定の印加電圧の量に対してより少ないレンズの度の変化を呈する。線状メニスカス壁を有する液体メニスカスレンズは、2010年6月29日に出願された、「LENS WITH CONICAL FRUSTUM MENISCUS WALL」と題する、米国特許出願第61/359,548号に更に詳細に記載される。
【0076】
印加された電圧の特定の変化により、界面エネルギーの平衡の変化を引き起こし、そのため液体メニスカス境界とメニスカス壁との間の接触角の対応する変化を引き起こす。図6Cの凹状メニスカス壁上では比較的大きくない移動である一方、線状メニスカス壁上では、接触角の変化は、メニスカス壁に沿った液体メニスカス境界の比較的より大きな移動を生じる。
【0077】
本発明は、特定の実地形態を参照して説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ、要素が同等のものと置き換えられることがあり得ることは、当業者によって理解されるであろう。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対し、特定の状況又は材料を適合するように、多くの修正が行われ得る。
【0078】
したがって、本発明は、本発明を実施するうえで考えられる最良の態様として開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、付属の請求項の範囲及び趣旨に包含されるすべての実施形態を含むものである。
【0079】
〔実施の態様〕
(1) 光学レンズであって、
前方湾曲レンズ外面及び前方湾曲レンズ内面を備える前方湾曲レンズであって、前記前方湾曲レンズ外面及び前記前方湾曲レンズ内面の両方が、弓形形状を有する、前方湾曲レンズと、
後方湾曲レンズ内面及び後方湾曲レンズ外面を備える後方湾曲レンズであって、前記後方湾曲レンズ内面及び前記後方湾曲レンズ外面の両方が、弓形形状を有し、前記後方湾曲レンズは、前記前方湾曲レンズ内面及び前記後方湾曲レンズ内面がそれらの間に空洞を形成し、また、前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズを通る光軸を形成するように、前記前方湾曲レンズに隣接して位置する、後方湾曲レンズと、
前記前方湾曲レンズ内面と前記後方湾曲レンズ内面との間に形成される前記空洞内に収容されるある容量の食塩水溶液及び油であって、それらの間にメニスカスを構成する、ある容量の食塩水溶液及び油と、
円錐台の一般的形状を備え、前記円錐台の少なくとも一部分が前記光軸に向かって凹状であるメニスカス壁と、を備える、光学レンズ。
(2) 前記メニスカス壁の少なくとも一部分の上に導電性コーティングを更に備える、実施態様1に記載の光学レンズ。
(3) 前記油の容量が、前記空洞内に収容される前記食塩水溶液の容量未満である、実施態様2に記載の光学レンズ。
(4) 前記油の容量が、食塩水溶液の量と比較して、約66容量%以上を構成する、実施態様3に記載の光学レンズ。
(5) 前記油の容量が、食塩水溶液の量と比較して、約90容量%以下を構成する、実施態様3に記載の光学レンズ。
(6) 前記油の容量が、前記食塩水溶液の密度とほぼ等しい密度を含む、実施態様2に記載の光学レンズ。
(7) 前記油の容量が、前記食塩水溶液の密度の約10%以内の密度を含む、実施態様2に記載の光学レンズ。
(8) 前記油の容量が、前記食塩水溶液の密度の約5%以内の密度を含む、実施態様2に記載の光学レンズ。
(9) 前記導電性コーティングが、前記空洞の内側の区域から前記空洞の外側の区域に延在する、実施態様2に記載の光学レンズ。
(10) 前記空洞の外側の前記導電性コーティングの区域が、前記液体メニスカスレンズに電荷を供給するための電気端子を形成する、実施態様9に記載の光学レンズ。
【0080】
(11) 前記食塩水溶液及び前記油がメニスカスを形成し、電荷を前記空洞の外側の前記導電性コーティングの区域に印加することにより、前記メニスカス壁に沿った前記メニスカスの接触位置に変化をもたらす、実施態様9に記載の光学レンズ。
(12) 前記電荷が、直流を構成する、実施態様9に記載の光学レンズ。
(13) 前記電荷が、約20.0ボルトを含む、実施態様9に記載の光学レンズ。
(14) 前記電荷が、約18.0ボルト〜22.0ボルトを含む、実施態様9に記載の光学レンズ。
(15) 前記電荷が、約5.0ボルトを含む、実施態様9に記載の光学レンズ。
(16) 前記電荷が、約3.5ボルト〜約7.5ボルトを含む、実施態様9に記載の光学レンズ。
(17) 前記前方湾曲レンズ外面が、約0以外の屈折力を有する、実施態様3に記載の光学レンズ。
(18) 前記前方湾曲レンズ内面が、約0以外の屈折力を有する、実施態様3に記載の光学レンズ。
(19) 前記後方湾曲レンズ外面が、約0以外の屈折力を有する、実施態様3に記載の光学レンズ。
(20) 前記後方湾曲レンズ内面が、約0以外の屈折力を有する、実施態様3に記載の光学レンズ。
【0081】
(21) 前記前方湾曲レンズ及び前記後方湾曲レンズのうちの1つ又は両方を通るチャネルと、前記チャネルを充填する導電材料とを更に備える、実施態様3に記載の光学レンズ。
(22) 前記チャネルを充填する前記導電材料と電気的に導通している端子を更に備える、実施態様21に記載の光学レンズ。
(23) 電荷を前記端子に印加することにより、前記メニスカスの形状に変化をもたらす、実施態様22に記載の光学レンズ。
(24) 前記前方湾曲レンズの前記内面の少なくとも一部分に沿って絶縁体コーティングを更に備え、前記絶縁体コーティングが、電気絶縁体を備える、実施態様3に記載の光学レンズ。
(25) 前記絶縁体が、パリレンC(商標)及びテフロンAF(商標)のうちの1つを含む、実施態様24に記載の光学レンズ。
(26) 前記絶縁体が、前記導電性コーティングと、前記前方湾曲レンズと前記後方湾曲レンズとの間の前記空洞に収容される食塩水溶液との間の分離を維持するための境界区域を備える、実施態様24に記載の光学レンズ。
(27) 円錐台の少なくとも一部分が光軸に向かって凹状である前記円錐台の角度が、約30°〜50°を含む、実施態様3に記載の光学レンズ。
(28) 前記メニスカス壁に隣接するメニスカス鋭角部(meniscus sharp)を更に備え、前記鋭角部が、前記ある容量の食塩水溶液及び油を収容するための角度特徴を備える、実施態様27に記載の光学レンズ。
(29) 前記鋭角部が、半径方向の表面部分を備える、実施態様27に記載の光学レンズ。
(30) 前記半径方向の表面部分が、5マイクロメートル〜25マイクロメートルの範囲内の半径を備える、実施態様28に記載の光学レンズ。
【0082】
(31) 前記メニスカス壁が、前記前方湾曲レンズ及び後方湾曲レンズのうちの1つ又は両方で形成され、前記食塩水溶液と油との間に形成される前記メニスカスの境界を形成する、実施態様1に記載の光学レンズ。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7