(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234816
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】多孔性球形二酸化チタン
(51)【国際特許分類】
C01G 23/047 20060101AFI20171113BHJP
B01J 2/04 20060101ALI20171113BHJP
C01G 23/053 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
C01G23/047
B01J2/04
C01G23/053
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-528514(P2013-528514)
(86)(22)【出願日】2011年9月19日
(65)【公表番号】特表2013-542160(P2013-542160A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】DE2011075226
(87)【国際公開番号】WO2012062303
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2013年11月29日
【審判番号】不服2016-2977(P2016-2977/J1)
【審判請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】102010041189.2
(32)【優先日】2010年9月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510113265
【氏名又は名称】サハトレーベン・ヒェミー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ローエ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】スピッツヴァイザー,クリスティアン
【合議体】
【審判長】
大橋 賢一
【審判官】
永田 史泰
【審判官】
宮澤 尚之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−65725(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/114667(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G23/053
B01J21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも99.0重量%のTiO2含有量を有し、かつ
−60〜350μmの範囲の粒子サイズd50
−最大120μmの範囲の狭い粒度分布(B90/10)
−1〜30nmの範囲の細孔直径
−少なくとも0.1cm3/gの細孔容積
−30〜300m2/g(BET)の表面積
を有する、粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセスであって、
少なくとも250m2/gの表面積を有する二酸化チタンを1〜50重量%含有する水性懸濁液を、噴霧塔に導入するステップ;
ここで、独立して分離された/独立した、即ち「隣接する滴」と接触しない、前記懸濁液の滴が、700〜1200μmのサイズで前記噴霧塔に導入されて乾燥されるように、前記懸濁液の運搬速度、ノズル形状、噴霧ドライヤの温度及び空気速度を選択し、そして、
ここで使用する、前記少なくとも250m2/gの表面積を有する二酸化チタンは、10OH基/nm2超の多数の遊離ヒドロキシル基を、懸濁粒子の表面に有する、
および、得られたTiO2噴霧粒をか焼するステップ;を含む、
粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項2】
粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンが60〜250μmの範囲の粒子サイズd50を有する、請求項1に記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項3】
粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンが60〜150μmの範囲の粒子サイズd50を有する、請求項1に記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項4】
粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンが80〜120μmの範囲の粒子サイズd50を有する、請求項1に記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項5】
粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンが1〜20nmの範囲の細孔直径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項6】
粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンが4〜20nmの範囲の細孔直径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項7】
前記噴霧ドライヤは、噴水状の構成で動作する、請求項1〜6のいずれかに記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【請求項8】
ここで使用する、前記少なくとも250m2/gの表面積を有する二酸化チタンは、20OH基/nm2超の多数の遊離ヒドロキシル基を、懸濁粒子の表面に有する、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子の形態の多孔性球形二酸化チタンの製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の二酸化チタン材料、その製造プロセス、及び多相系における担体材料としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
基本的に、粒子材料は物理的及び化学的な影響にさらされ、これは材料の抵抗力及び長期安定性に影響を及ぼす。したがって、特に多孔性金属酸化物粒子は、それが圧力下で作用する場合には、粒子の安定性を失う傾向を有し、特にそれが水溶液系、具体的には酸性又は塩基性系で作用する場合には、金属酸化物の表面が再水和する傾向を有する。粒子の不安定性及びその結果としての粒子の破損、並びにまた表面の再水和の結果、粒子が塊を形成することになる。この結果、粒子の送達の流れはより困難になり、よって、時間の経過と共に送達に詰まりが発生し、送達が不可能になる。
【0003】
更に、粒子の分離が必要なプロセスでは、粒子の破損の結果生成された微粒子のこのような分離は、複雑かつ高コストな技術を用いなければ不可能であり、懸濁効果によって、材料の再使用がほぼ不可能になる。
【0004】
原則として、特に材料の粒子安定性に関して、例えばフィッシャー−トロプシュプロセス、例えばトランスエステル化反応、またクロマトグラフィーにおいてなど、大きな工業規模での応用及びプロセスが数多く必要とされている。
【0005】
これらのプロセスでは、細孔サイズ及び細孔の分布は、一方では安定性に関しても、また他方ではプロセス技術に対する反応性及び適合性に関しても、重要である。
【0006】
化学的及び触媒的応用のための数多くの金属酸化物材料が、当該技術分野で公知である。よって、特許文献1は、重炭化水素油の水素処理のための粒子材料を開示しており、この材料は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素−酸化アルミニウム、二酸化ケイ素−酸化マグネシウム、酸化アルミニウム−酸化マグネシウム、酸化アルミニウム−二酸化チタン、二酸化ケイ素−二酸化チタン、及び酸化アルミニウム−酸化ホウ素を含む金属酸化物である。
【0007】
特許文献1の出願により、金属酸化物をベースとする粒子の特性を改善することを目的とする数多くの研究及び発明がなされた。しかし、管理可能な範囲でしか満足な結果が得られなかったことに留意されたい。従って、特に改善された粒子安定性を、最適化された孔サイズ及び孔の分布と共に有する粒子材料が必要とされている。
【0008】
本発明者らはこの度、極めて厳しい水熱条件下並びに水性及びプロトン性媒体中において、化学的及び物理的に驚くほど安定である、金属酸化物をベースとする粒子材料を開発することに成功した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4422960号
【発明の概要】
【0010】
よって、本発明により、これらの要求を満たす材料が提供される。より正確には本発明は、少なくとも99.0重量%のTiO
2含有量を有し、かつ
−30〜350μmの粒子サイズd
50
−最大120μmの範囲の狭い粒度分布(B90/10)
−1〜30nmの細孔直径
−少なくとも0.1cm
3/gの細孔容積
−30〜300m
2/g(BET)の表面積
を有する、多孔性球形二酸化チタンに関する。
【0011】
本発明による粒子材料は、0〜14のpH範囲全体にわたる水溶液中で機械的及び化学的に安定である。本発明による材料は、安定性に悪影響を与え得るいずれの添加物も含有しないため、本発明による材料は、99重量%超のTiO
2含有量を特徴とする。
【0012】
本発明による材料は特に、結着剤を使用せずに、及び製造時に有機化合物を使用せずに、化学的安定性及び物理的安定性を達成できる点を特徴とし、よって、本発明による材料はこのような化合物又はその残留物を含有しない。水熱安定性に関する本発明者らの研究により、本発明による材料は、250℃超の温度における40bar超の厳しいHT条件下でさえ安定であり、いかなる微粒子も形成されることはないことがわかっている。
【0013】
40〜250μmの範囲、具体的には60〜150μmの範囲、特に具体的には80〜120μmの粒子サイズd
50を有する材料が有利である。従って、本発明による材料の粒子サイズは、上述の限界が観察される限りにおいて、特に上述のd
50値付近の、d
50値の0.25〜1.5倍の範囲であるということができる。従って、本発明者らは、最大120μmの範囲の狭い粒度分布(B90/10)が有利であると理解した。
【0014】
本発明による材料は、1〜30nmの範囲の細孔直径を有し、ここで、1〜20nmの範囲、特に4〜20nmの範囲の細孔サイズは、一方では本発明の材料の送達構造及び安定性を補助する効果を有し、他方では所望の使用法に対して適当な細孔容積を提供する。
【0015】
一般に、本発明の材料の細孔容積は少なくとも0.1cm
3/g、特に少なくとも0.12cm
3/gである。一般に、本発明による製造プロセスは、本発明による材料の細孔容積に対して0.4cm
3/gの上限をもたらす。
【0016】
従って、少なくとも30m
2/g、特に少なくとも60m
2/g、上限300m
2/g、具体的には70〜150m
2/g(BET)の比表面積がもたらされる。本発明による製造プロセスで得られる噴霧粒を更に▲か▼焼する(calcine)場合、比表面積は▲か▼焼(calcination)操作の後、噴霧粒に比べて小さな値となり得る。このような比表面積の低下は、初期値の20〜50%の範囲であり得る。
【0017】
本発明による粒子材料は、本発明によるプロセスを用いて製造することができる。細かく分割され、表面積が極めて大きい二酸化チタンを1〜50重量%含有する水溶液を用い、これを、様々な変形形態、特に噴水状の構成で動作可能な噴霧塔内に入れ、そして溶媒を蒸発させる。
【0018】
この場合、独立して分離された/独立した、即ち「隣接する滴」と接触しない、懸濁液の滴が、700〜1200μmのサイズで噴霧塔に導入されて乾燥されるように、懸濁液の運搬速度、ノズル形状、噴霧ドライヤの温度及び空気速度を選択する。
【0019】
二酸化チタンを使用する代わりに、Al
2O
3、SiO
2若しくはZnOまたはこれらの混合物等の、その他の金属酸化物の水和型前駆形態を用いることもでき、また、独立して分離された/独立した、即ち「隣接する滴」と接触しない、懸濁液の滴が、700〜1200μmのサイズで噴霧塔に導入され乾燥されて、噴霧粒となり、その後、材料それぞれの要件に応じて篩にかけられる及び/又は▲か▼焼されるように、懸濁液の運搬速度、ノズル形状、噴霧ドライヤの温度及び空気速度といったパラメータを調節することもできる。
【0020】
好ましくはここで開始材料として使用される二酸化チタンの水性懸濁液は、特に、中性に洗浄された市販のメタチタン酸から得ることができ、このメタチタン酸は、必要であれば、直径<0.5mm、特に0.1mmのZrO
2ビーズを用いたビーズミル等の湿式研削装置を用いて再分散される。一般には乾式研削は不要である。
【0021】
使用する懸濁液中の、細かく分割され、表面積が極めて大きい二酸化チタンの含有量は、所望の粒子サイズに応じて選択され、有利には5〜25重量%である。この場合、本発明によると、表面積が極めて大きい二酸化チタンは、少なくとも250m
2/g、有利には少なくとも280m
2/g、かつ最大400m
2/g、具体的には350m
2/gの表面積を有する。
【0022】
ここで使用する、細かく分割され、表面積が極めて大きい二酸化チタンが、多数の遊離ヒドロキシル基、一般には6OH基/nm
2超、有利には10OH基/nm
2超の遊離ヒドロキシル基を、懸濁粒子の表面に有すると、特に有利である。OH基の数は、ツェレビチノフ法に従って決定することができる。この目的のために、所定の量の乾燥したTiO
2を、容器に保護気体を入れた状態で不活性有機溶媒に供給し、形成された水素の量を、メチルリチウムの添加後に決定する。こうして、使用するTiO
2の比表面積に関する知識から、1nm
2当たりのOH基の数を算出することができる。
【0023】
噴水状構成内において、乾燥塔内で上方を向き、乾燥塔に対して対向流となる少なくとも1つの加圧ノズルから、水性懸濁液を噴霧し、乾燥用不活性気体媒体を乾燥塔内に導入するが、この気体媒体はバーナを用いて加熱されている。好ましくは空気である気体媒体の流入温度は、この場合一般には400〜600℃、好ましくは450〜550℃である。
【0024】
乾燥された粒子を、乾燥塔内で収集デバイスを用いて捕集し、引き込んだ粒子を少なくとも1つのセパレータ内で捕集する。セパレータは例えばサイクロン式、湿式、乾式又は電子フィルタであることができる。
【0025】
水性懸濁液を噴霧ドライヤに導入する際、独立して分離された/独立した、即ち「隣接する滴」と接触しない、一般に700〜1200μmのサイズの懸濁液の滴が、噴霧塔に導入されて乾燥されるように、懸濁液の運搬速度、ノズル形状、噴霧ドライヤの温度及び空気速度を選択する。使用する水性懸濁液の濃度に応じて、所望の粒子サイズを、上述のパラメータに従って調節することができる。従って、当業者は、懸濁液の運搬速度、ノズル形状、噴霧ドライヤの温度及び空気速度からなるパラメータを、使用する噴霧乾燥装置に応じて決定することができ、使用する懸濁液に応じて調節することができる。例えば、噴霧乾燥設備は、4〜12bar、具体的には8barの供給ポンプ圧、1〜4mm、具体的には2〜3mmのノズル直径、1〜50重量%、具体的には5〜20重量%、特に具体的には8〜15重量%の溶液/懸濁液濃度、及び、0.3〜0.8m
3/h、具体的には0.4〜0.6m
3/hの懸濁液スループットで動作することができる。また、12°〜75°、具体的には45°〜60°の噴霧コーン角度を有する噴霧ノズルを噴霧塔内で使用すると有利である。高温気体を噴霧塔内へあらゆる側から供給することができるが、高温気体を上から供給するのが有利である。
【0026】
滴のサイズを決定する操作は、Gea−Niro製の乾燥動力学アナライザ、又は位相ドップラー流速計(PDA)を、球形粒子/滴の速度と直径を非接触で同時に測定する光学測定システムとして用いて行うことができる。測定プロセス及びパラメータは、当業者には公知である。
【0027】
噴霧塔内での乾燥によって、微細粒(<30μm)と粗粒(>350μm)の比率が5重量%未満である材料がもたらされない場合、乾燥操作に続いて、極微粒子(<30μm)と粗粒子(>350μm)の分離を行うことができ、これは望ましくは篩分け/篩選別又は沈降によって行われる。
【0028】
必要であれば、得られるTiO
2噴霧粒を、400℃〜600℃の範囲の温度で30〜300分間▲か▼焼し、細孔構造を強化することができる。TiO
2粒子の塊は、▲か▼焼操作中には実質的に形成されない。一般に5重量%未満の少量の、350μm超の粒サイズを有する粗粒が形成され得るが、これは既に上で述べたように分離することができる。
【0029】
噴霧粒及び▲か▼焼した材料の両方における、微細粒(<30μm)と粗粒(>350μm)の、5重量%未満という低い比率は、本発明によって開発された、製造プロセスと開始材料との組み合わせの優位性を示している。
【0030】
得られる二酸化チタン粒は、例えばクロマトグラフィー又は触媒作用といった多相系における活性物質の担体として使用するのに適している。従って、粒子の真円度及び均一性は、粉末の送達及びこのような多相系における通過流にとって、並びに懸濁液系及び固定床に関しても、プラスの効果を有する。
【0031】
本発明に従ってパラメータを決定するために使用される測定プロセスは、以下のようなものである。粒子サイズ及び粒子サイズ分布は、ISO規格13320と同様のレーザ回折を用いて測定される。試料調製のために、ガラス撹拌器を用いて1%の水性懸濁液を生成する。粒子サイズはまた、光学顕微鏡及びREM画像の評価によって決定することもできる。ここで、写真に撮影された粒子を個別に測定し、データを統計的に処理する。粒子の表面積は、ISO9277と同様のBET多点法に従って決定される。細孔直径及び細孔容積は、DIN66135と同様の気体吸収を用いて決定される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本願の球体粒子のREM画像であり、粒子の均一な球形構造と、微細粒及び粗粒の含有量の少なさを示す。
【
図2】
図2は、本願の球体粒子の粒サイズ分布を示す。
【0033】
以下の実施例を用いて、本発明を更に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
50%苛性ソーダ液を用いてpH7に中和された、洗浄したメタチタン酸濾過ケークを、0.5mmのサイズの酸化ジルコニウムビーズを用いたビーズミルを用いて分散させる。得られた分散物に水を添加して、二酸化チタンの固体比率を20重量%とし、その後、以下の条件下で噴霧塔を用いて乾燥させる:
−気体流入温度500℃
−空熱天然ガス燃焼システム
−粗材料の放出
−サイクロン放出
−噴水状構成における、懸濁液の噴霧微粒化。
【0035】
得られた噴霧粒は、以下の物理的特性を特徴とする:
d
50:112μm
B90/10:104μm
比表面積(BET):97.7m
2/g。
【0036】
個々の粒子は球形をしており、微粒子成分はほぼ無く、構造が破損した粒子の比率は極めて低いことがわかる(
図1参照)。
【0037】
次に、噴霧粒をバッチ式炉で450℃で3.5時間▲か▼焼し、その後、分画篩選別を用いて、▲か▼焼した噴霧粒から、30μm未満及び200μm超の粒子を除去する。
【0038】
このようにして生成された▲か▼焼した材料は、以下の物理的特性を有する:
d
50:106μm
B90/10:111μm
細孔容積:0.21cm
3/g
細孔直径:5.8nm。
【0039】
図1は、このようにして得られた材料のREM画像であって、材料の均一な球形構造と、微細粒及び粗粒の含有量の少なさも示す。粒サイズ分布を
図2に示す。
【0040】
実施例1で製造した材料の安定性の研究
実施例1で製造した材料の物理的及び化学的安定性を研究するために、材料を水熱条件下で2つの安定性試験に供した。
【0041】
この目的のために、上に示した実施例におけるように▲か▼焼した後で得られた、粒子サイズ(d
50)110μm、細孔サイズ60Å(d
p/Å)の材料140gを、密閉した容器内で振盪する(30秒間)ことによって、TE溶液1200ml中に懸濁した。
【0042】
結果として得られた懸濁液をすぐに、2Lオートクレーブのガラス製受容器に移し、撹拌することなく、10bar及び180℃の条件下で6時間のHT処理(HT1)に供した。このようにして得られた材料の一部の分量を除去して、この一部の分量を強度研究に供した。
【0043】
材料の別の一部を、更に振盪する(30秒間)ことによって再懸濁させ、再びオートクレーブのガラス製受容器に移し、撹拌することなく、40bar及び255℃の条件下で8時間の更なるHT処理(HT2)に供した。
【0044】
HT処理(HT1及びHT2)の後にそれぞれ得られた懸濁液を、沈降後の水性上澄液に基づいて視覚的に評価した。
両者の場合において、粒子の非常に速やかな沈降の後、透き通った、最も上質の、粒子を含まない上澄液が見られた。通常は、まさに最小限の微粒子成分によって
さえ乳濁した上澄液がもたらさ
れるので、これらの研究は、本発明による材料が、極めて厳しい水熱条件下で、水性及びプロトン性媒体中において化学的及び物理的に安定であることを証明している。これらの特性のおかげで、本発明による材料は粒子の破損又は表面の再水和の傾向を有さないため、多相系における担体材料として極めて適切である。従って、これによって粒子の塊の形成が防止され、粒子の送達の流れが影響されないままとなる。
【0045】
従って、本発明によるプロセスを用いて、本発明によるTiO
2噴霧粒を得ることができ、このプロセスでは、滴サイズ及び従って噴霧粒サイズも明確に目標通りに調節でき、また、本発明によるTiO
2噴霧粒を、結着剤を用いず、有機添加物を添加することなく生成することができる。このようなプロセス及び材料は驚くべきものであり、当該技術分野で知られていない。