【実施例】
【0011】
図1は、本実施形態のボルテージレギュレータのブロック図である。本実施形態のボルテージレギュレータは、エラーアンプ110と、PMOSトランジスタ120と、抵抗131、132、133と、オーバーシュート検出回路130と、I−V変換回路135と、電源端子100と、グラウンド端子101と、基準電圧端子102と、出力端子103で構成されている。PMOSトランジスタ120は出力トランジスタとして動作する。
図2は、本実施形態のボルテージレギュレータの回路図である。オーバーシュート検出回路130はPMOSトランジスタ115、116と、NMOSトランジスタ117で構成されている。I−V変換回路135は、PMOSトランジスタ111と、NMOSトランジスタ112で構成されている。
【0012】
次に本実施形態のボルテージレギュレータの接続について説明する。エラーアンプ110は、非反転入力端子は基準電圧端子102に接続され、反転入力端子は抵抗131と抵抗132の接続点に接続され、出力端子はNMOSトランジスタ112のゲートに接続される。抵抗131のもう一方の端子は出力端子103とPMOSトランジスタ120のドレインに接続される。NMOSトランジスタ112は、ドレインはPMOSトランジスタ111のゲート及びドレインに接続され、ソースはグラウンド端子101に接続される。PMOSトランジスタ111のソースは電源端子100に接続される。PMOSトランジスタ120は、ゲートはPMOSトランジスタ111のゲートに接続され、ソースは電源端子100に接続される。PMOSトランジスタ115は、ゲートはPMOSトランジスタ116のゲート及びドレインに接続され、ドレインはPMOSトランジスタ111のゲートに接続され、ソースは電源端子100に接続される。PMOSトランジスタ116のソースは電源端子100に接続される。NMOSトランジスタ117は、ゲートは抵抗132と抵抗133の接続点に接続され、ドレインはPMOSトランジスタ116のドレインに接続され、ソースはグラウンド端子101に接続される。抵抗133のもう一方の端子はグラウンド端子101に接続される。
【0013】
動作について説明する。基準電圧端子102は基準電圧回路に接続され基準電圧Vrefが入力される。
抵抗131と抵抗132、133は、出力端子103の電圧である出力電圧Voutを分圧し、分圧電圧Vfbを出力する。エラーアンプ110は、基準電圧Vrefと分圧電圧Vfbとを比較し、出力電圧Voutが一定になるようNMOSトランジスタ112のゲート電圧を制御する。出力電圧Voutが狙い値よりも高いと、分圧電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高くなり、エラーアンプ110の出力信号(NMOSトランジスタ112のゲート電圧)が低くなる。そして、NMOSトランジスタ112に流れる電流を減少させる。PMOSトランジスタ111とPMOSトランジスタ120はカレントミラー回路を構成しており、NMOSトランジスタ112に流れる電流が減少するとPMOSトランジスタ120に流れる電流も減少する。PMOSトランジスタ120に流れる電流と抵抗131、132、133の積によって出力電圧Voutが設定されるため、PMOSトランジスタ120に流れる電流が減少することで出力電圧Voutが低くなる。
【0014】
出力電圧Voutが狙い値よりも低いと、分圧電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低くなり、エラーアンプ110の出力信号(NMOSトランジスタ112のゲート電圧)が高くなる。そして、NMOSトランジスタ112に流れる電流を増加させ、PMOSトランジスタ120に流れる電流も増加させる。PMOSトランジスタ120に流れる電流と抵抗131、132、133の積によって出力電圧Voutが設定されるため、PMOSトランジスタ120に流れる電流が増加することで出力電圧Voutが高くなる。こうして、出力電圧Voutが一定になるように制御される。
このように動作して、I−V変換回路135はエラーアンプ110の出力で制御される電流を基に出力トランジスタ120に流れる電流を制御している。
【0015】
出力端子103にオーバーシュートが現れ、出力電圧Voutが過渡的に大きくなる場合を考える。出力電圧Voutを抵抗131、132と抵抗133で分圧した電圧をVoとする。出力電圧Voutが過渡的に大きくなると、電圧Voも大きくなりNMOSトランジスタ117をオンさせ電流を流す。PMOSトランジスタ116とPMOSトランジスタ115はカレントミラー回路を構成しており、NMOSトランジスタ117が電流を流すとPMOSトランジスタ115も電流を流す。
【0016】
PMOSトランジスタ115からの電流はNMOSトランジスタ112へ流れるように動作するが、エラーアンプ110の出力は変化しないためNMOSトランジスタ112へ流せる電流量は変わらずPMOSトランジスタ115からの電流を流すことができない。このため、PMOSトランジスタ111がPMOSトランジスタ111からNMOSトランジスタ112へ流れる電流を減少させるように動作し、PMOSトランジスタ115からの電流をNMOSトランジスタ112へ流せるようにする。PMOSトランジスタ111に流れる電流が減少するためPMOSトランジスタ120へ流れる電流も減少する。こうして出力電圧Voutがこれ以上上昇しないように制御され、出力電圧Voutのオーバーシュートの上昇を止めることができる。
【0017】
オーバーシュートが発生後、出力電圧Voutが制御され低くなっていくと、NMOSトランジスタ117に流れる電流も徐々に減少し、PMOSトランジスタ115の電流も徐々に減少する。そして、PMOSトランジスタ111の電流は徐々に増え、通常の電流値へ戻り出力電圧Voutが一定になるように制御される。この制御の間、PMOSトランジスタ120はオフすることなく出力電圧Voutを制御し続けるように動作する。このため、出力電圧Voutは出力電流が不足して低下することはなくオーバーシュートが解消された直後も安定的に制御できる。
このように動作して、I−V変換回路135はオーバーシュート検出回路130からの電流も基に出力トランジスタ120に流れる電流を制御している。
【0018】
図4は、本実施形態のボルテージレギュレータの他の例を示す回路図である。オーバーシュート検出回路130とI−V変換回路135は、
図2の回路とは異なる構成とした。即ち、PMOSトランジスタ115、116を削除し、カスコードトランジスタであるNMOSトランジスタ401を追加した。
【0019】
NMOSトランジスタ401は、ソースはNMOSトランジスタ112のドレインとNMOSトランジスタ117のソースに接続され、ゲートはカスコード電圧Vcasが入力されるカスコード電圧入力端子402に接続され、ドレインがPMOSトランジスタ111のドレインとゲート、そして、PMOSトランジスタ120のゲートに接続されている。他の回路構成は、
図2で示した回路構成と同じであるで、説明を省略する。
【0020】
図4のボルテージレギュレータは、
図2の回路と同様に、NMOSトランジスタ117に流れる電流に応じて、PMOSトランジスタ120の電流が減少するよう動作する。ここでは、NMOSトランジスタ117とNMOSトランジスタ401は同一特性のトランジスタとして、説明する。
【0021】
NMOSトランジスタ401のゲートに入力されるカスコード電圧Vcasは、出力端子103の出力電圧Voutが正常な電圧のときの電圧Voよりも高く設定される。従って、出力電圧Voutが正常な電圧のときは、NMOSトランジスタ117は電流を流さないので、PMOSトランジスタ120の電流はNMOSトランジスタ112の電流によって制御される。
【0022】
ここで、出力端子103の出力電圧Voutにオーバーシュートが発生すると、電圧Voもそれに応じて高くなる。そして、カスコード電圧Vcasと電圧Voの関係により、NMOSトランジスタ401の電流が減少し、NMOSトランジスタ117の電流が増加する。従って、電圧Voが高くなることによって、PMOSトランジスタ120の電流が減少するので、出力電圧Voutのオーバーシュート電圧が低減される。電圧Voが減少すると、PMOSトランジスタ120の電流はNMOSトランジスタ112の電流によって制御される通常状態になる。そして、出力電圧Voutは所望の電圧に安定する。
ここで、カスコード電圧Vcasは、出力電圧Voutのオーバーシュートを検出したいときの電圧Voに応じて適宜設定される。
【0023】
このように構成した
図4のボルテージレギュレータは、NMOSトランジスタ117電流を電流ミラー回路を介さずにPMOSトランジスタ120へ伝えることができるので、より早く伝えることができる。従って、
図2のボルテージレギュレータに比べて、オーバーショートの抑制速度が速くなるので、オーバーシュート電圧量が小さくなるというメリットがある。更に、トランジスタの数が減るので、回路を小型化できるという効果もある。
【0024】
なお、オーバーシュート検出回路130の構成として
図2と
図4を用いて説明したが、この構成に限定することなく、オーバーシュートを感知しオーバーシュート量に応じた電流を出力する構成であればどのような構成であってもよい。
【0025】
以上により、本実施形態のボルテージレギュレータは、出力電圧に発生したオーバーシュートの上昇を止めることができ、オーバーシュートの上昇を止めた後、出力電圧が低下することなく安定的に制御することができる。