特許第6234825号(P6234825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NKKスイッチズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000002
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000003
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000004
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000005
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000006
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000007
  • 特許6234825-額縁レス表示装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234825
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】額縁レス表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/18 20060101AFI20171113BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01H9/18 B
   H01H13/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-3883(P2014-3883)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-133226(P2015-133226A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230722
【氏名又は名称】NKKスイッチズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(72)【発明者】
【氏名】浦 広樹
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−016866(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/140537(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/042986(WO,A1)
【文献】 特開2003−270635(JP,A)
【文献】 実開昭60−155124(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0069273(US,A1)
【文献】 特開2003−297171(JP,A)
【文献】 特開2006−190598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/18
H01H 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズとボタンカバーで構成されるボタンと、前記レンズ下方に設けられる表示装置を備え、前記レンズは、前記ボタンの上面全体に配設されており、前記レンズの上面外周に形成される曲面と、前記レンズの底面外周に形成され前記ボタンカバーと当接する段部と、該段部に形成され前記ボタンカバーの内側で前記レンズの中央上方に向いた傾斜面とを有し、前記曲面が前記表示装置からの光を前記ボタンカバーの真上に屈折させ、且つ前記傾斜面が前記表示装置からの光を反射させることにより、前記ボタンの前記上面への表示において前記ボタンの前記上面の額縁をなくことを特徴とする額縁レス表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の額縁レス表示装置において、前記レンズ上面外周の曲面にブラスト処理を施すことを特徴とする額縁レス表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の額縁レス表示装置において、前記ボタンの操作により電路の開閉を行う小型スイッチを具備することを特徴とする額縁レス表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の額縁レス表示装置において、前記小型スイッチが押しボタンスイッチであることを特徴とする額縁レス表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、額縁レス表示装置に係り、特に額縁レス表示装置を備えた小型スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置における額縁が問題になるケースとしては、以下のようなものが提案されている。
【0003】
(1)ボタン上面の表示部周囲の額縁を1mm以下とした狭額縁表示装置付き押ボタンスイッチが提案されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
(2)また、ボタンの上面全体に拡大表示可能なレンズを表示板の上部に載置した表示機能付きスイッチが提案されている(下記特許文献2参照)。
【0005】
(3)更に、ボタンの上面に曲折可能なフィルム状の表示部材を配設した表示装置が提案されている(下記特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−059649号公報
【特許文献2】特開2003−077357号公報
【特許文献3】特許第4753225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のものでは、
(1)上記特許文献1によれば、額縁を極力小さくすることはできるが、額縁をなくすことはできない。
【0008】
(2)上記特許文献2によれば、ボタンを見る角度によって、表示が歪んで見える。
【0009】
(3)上記特許文献3によれば、表示部材を折り曲げるには、ある程度の径が必要(直角には曲げられない)であるため小形化には対応できない。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、表示部の外周部の額縁が見えなくなるようにした額縁レス表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕額縁レス表示装置であって、レンズとボタンカバーで構成されるボタンと、前記レンズ下方に設けられる表示装置を備え、前記レンズは、前記ボタンの上面全体に配設されており、前記レンズの上面外周に形成される曲面と、前記レンズの底面外周に形成され前記ボタンカバーと当接する段部と、この段部に形成され前記ボタンカバーの内側で前記レンズの中央上方に向いた傾斜面とを有し、前記曲面が前記表示装置からの光を前記ボタンカバーの真上に屈折させ、且つ前記傾斜面が前記表示装置からの光を反射させることにより、前記ボタンの前記上面への表示において前記ボタンの前記上面の額縁をなくことを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の額縁レス表示装置において、前記レンズ上面の外周の曲面にブラスト処理を施すことを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の額縁レス表示装置において、前記ボタンの操作により電路の開閉を行う小型スイッチを具備することを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔3〕記載の額縁レス表示装置において、前記小型スイッチは押ボタンスイッチであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ボタンの上面の額縁をなくし、ボタンの全面に表示媒体を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例を示す額縁レス表示装置の分解斜視図である。
図2】本発明の実施例を示す額縁レス表示装置のA−A線断面図である。
図3】本発明の実施例を示す額縁レス表示装置の上面図である。
図4】本発明の実施例を示す額縁レス表示装置の表示態様を示す図である。
図5】本発明の他の実施例を示す額縁レス表示装置を備えた小型スイッチとしての押ボタンスイッチの分解斜視図である。
図6】本発明の他の実施例を示す額縁レス表示装置を備えた小型スイッチとしての押ボタンスイッチの断面図である。
図7】本発明の複数のボタンが配置された表示装置と従来の複数のボタンが配置された表示装置のそれぞれを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の額縁レス表示装置は、レンズとボタンカバーで構成されるボタンと、前記レンズ下方に設けられる表示装置を備え、前記レンズは、前記ボタンの上面全体に配設されており、前記レンズの上面外周に形成される曲面と、前記レンズの底面外周に形成され前記ボタンカバーと当接する段部と、この段部に形成され前記ボタンカバーの内側で前記レンズの中央上方に向いた傾斜面とを有し、前記曲面が前記表示装置からの光を前記ボタンカバーの真上に屈折させ、且つ前記傾斜面が前記表示装置からの光を反射させることにより、前記ボタンの前記上面への表示において前記ボタンの前記上面の額縁をなくようにした。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施例を示す額縁レス表示装置の分解斜視図、図2はその額縁レス表示装置のA−A線断面図、図3はその額縁レス表示装置の上面図、図4はその額縁レス表示装置の表示態様を示す図であり、図4(a)は額縁部分を真上から見た態様を示す図、図4(b)は額縁部分を斜め方向から見た態様を示す図である。
【0020】
これらの図において、1はベース、2は枠部材、3はコネクタ収納部、4はコネクタ、5はホルダ、6は表示装置、6Aは表示装置発光エリア、7はフレキシブルプリント基板、8はボタン、8Aはボタンカバー、9は表示装置6の上部に配置されるレンズ、9Aはレンズの外周部に形成される曲面、9Bはボタンカバー8Aに当接するレンズの段部、9Cは発光を反射するレンズの傾斜面、9Dはレンズの底に形成される凹部、9Eは表示媒体である。
【0021】
本発明の額縁レス表示装置の表示媒体の表示態様を、図4を参照しながら説明する。
【0022】
図4(a)のように真上から額縁部分を見ると、表示装置発光エリア6Aから屈折された光で額縁部分の真上に像ができるため、額縁がないように見える。
【0023】
また、図4(b)のように斜め方向から額縁部分を見ると、傾斜面9Cで反射した表示装置発光エリア6Aからの像が見えるため、額縁部分が見えない。
【0024】
このように、ボタンの外周面には額縁部分が見えないので、図3に示すように、ボタンの上面の額縁をなくし、ボタンの全面に表示媒体を表示することができる。
【0025】
なお、レンズ上面の外周に形成される曲面9Aにはブラスト処理を施すことが望ましい。ブラスト処理を施すことにより、レンズ外周部分に生じるギラツキをなくし、良好な表示を行うことができる。
【0026】
次に、本発明の他の実施例を示す額縁レス表示装置を有する小型スイッチとしての押ボタンスイッチについて説明する。
【0027】
図5は本発明の他の実施例を示す額縁レス表示装置を備えた小型スイッチとしての押ボタンスイッチの分解斜視図、図6は本発明の他の実施例を示す額縁レス表示装置を備えた小型スイッチとしての押ボタンスイッチの断面図である。
【0028】
これらの図において、21はケース、21Aはラバードーム、21Bはコネクタ、21Cはスイッチ素子、22はケース21内に装着されるプランジャ、23はケースカバー、24はガイド、25はパッキン、26はオサエ板、27は表示装置、28はボタン、28Aはボタンカバー、29は表示装置27の上部に配置されるレンズ、29Aはレンズの曲面である。
【0029】
ここで、ボタン28はレンズ29とボタンカバー28Aで構成されている。レンズ29はボタンカバー28Aと一体成形され、ボタン28の上面全体に装着されている。ボタンカバー28Aはボタン28をオサエ板26に固定している。ケース21はラバードーム21Aやコネクタ21Bやスイッチ素子21C等を内蔵している。ケースカバー23はケース21を覆い、ケース21に嵌合している。プランジャ22は上下動してスイッチ素子21Cを操作するようにケース21に配設されている。ガイド24はオサエ板26を搭載し、プランジャ22に嵌合している。パッキン25はオサエ板26とガイド24を嵌合する際のクッションとなり、オサエ板26とガイド24で挟着されている。オサエ板26は表示装置27を搭載し、ガイド24に嵌合している。表示装置27は画像などを表示し、ボタン28とオサエ板26で挟持している。なお、ここでは、典型的な押しボタンスイッチについて説明したが、これに限定されるものではなく、表示装置を有する他の種類の小型スイッチにも提要できることは言うまでもない。
【0030】
この実施例においても、図4(a)のように真上から額縁部分を見ると、表示装置発光エリアから屈折された光で額縁部分の真上に像ができるため、額縁がないように見える。また、図4(b)のように斜め方向から額縁部分を見ると、傾斜面9Cで反射した表示装置発光エリアからの像が見えるため、額縁部分が見えない。
【0031】
なお、レンズ上面外周の曲面29Aにはブラスト処理を施すことが望ましい。ブラスト処理を施すことにより、レンズ外周部分に生じるギラツキをなくし、良好な表示を行うことができる。
【0032】
図7は本発明の複数のボタンが配置された表示装置と従来の複数のボタンが配置された表示装置のそれぞれを示す上面図であり、図7(a)は本発明の表示装置の上面図、図7(b)は従来の表示装置の上面図である。
【0033】
これらの図から明らかなように、従来の表示装置によれば、図7(b)のように、表示媒体31は額縁32によって区切られた表示態様となり、本発明によれば、図7(a)のように、表示媒体31はレンズの外周の額縁は見えず良好な表示態様となる。
【0034】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の額縁レス表示装置は、表示部の外周部の額縁が見えなくなるようにした額縁レス表示装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 ベース
2 枠部材
3 コネクタ収納部
4,21B コネクタ
5 ホルダ
6,27 表示装置
6A 表示装置発光エリア
7 フレキシブルプリント基板
8,28 ボタン
8A,28A ボタンカバー
9,29 レンズ
9A,29A レンズの曲面
9B レンズの段部
9C レンズの傾斜面
9D レンズの底に形成される凹部
9E,31 表示媒体
21 ケース
21A ラバードーム
21C スイッチ素子
22 プランジャ
23 ケースカバー
24 ガイド
25 パッキン
26 オサエ板
32 額縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7