(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の電子線照射による滅菌方法では、バイアルに電子線を照射することにより、バイアルの材料となるガラス表面の色が褐色化し、透明ではなくなってしまう。このため、目視又はカメラの映像等を通してバイアルを監視する際に、バイアル内の薬剤の量や状態を確認することができなくなるおそれがある。
【0006】
また、電子線照射ではなくガスによる滅菌も可能だが、上記特許文献1に記載の滅菌方法では、バイアルに蓋をした密閉状態で滅菌を行うため、バイアル内の滅菌をすることができず、滅菌性が低下するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアルを実現することができるバイアルの滅菌方法、滅菌バイアルパック、及び、滅菌バイアルの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るバイアルの滅菌方法は、袋の内部にバイアルと蓋とをそれぞれ配置する工程と、袋を密閉する工程と、袋の内部にガスを供給してバイアル及び蓋を滅菌する工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るバイアルの滅菌方法では、袋の内部にガスが供給されることにより滅菌されるので、電子線照射による滅菌とは異なり、バイアルの表面の色が褐色化されず、無色透明のままとすることができる。また、滅菌用のガスが供給される袋の内部にバイアルと蓋とがそれぞれ配置されているので、当該袋の内部において、バイアルの表面のみならず、バイアルの内部の滅菌を行うことができる。以上により、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアルを実現することができる。
【0010】
また、本発明に係るバイアルの滅菌方法では、バイアル及び蓋を滅菌する工程の前に、バイアルと蓋とを仕切る工程をさらに含んでもよい。この場合、バイアルと蓋とが仕切られることにより、それぞれが個別に区分けされるので、バイアルと蓋とが袋の内部で散乱するのを防ぐことができる。また、滅菌後に袋の内部でバイアルと蓋とを取り付けるときの作業性を向上することができる。
【0011】
また、本発明に係るバイアルの滅菌方法では、蓋は、弾性蓋と剛体蓋とを有し、バイアルと蓋とを仕切る工程では、バイアルと、弾性蓋と、剛体蓋とをそれぞれ別々に仕切ってもよい。この場合、バイアル、弾性蓋、及び剛体蓋が別々に仕切られるので、それぞれが袋の内部で散乱するのを防ぐことができる。また、滅菌後に袋の内部でバイアル、弾性蓋、及び剛体蓋を取り付けるときの作業性を向上することが可能となる。
【0012】
本発明に係る滅菌バイアルパックは、袋と、袋の内部に設けられた滅菌済のバイアルと、袋の内部に設けられた滅菌済の蓋と、バイアル及び蓋の滅菌を行うガスを袋の内部に封入可能な封入部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る滅菌バイアルパックによれば、封入部により袋の内部にガスが封入されることにより、バイアル及び蓋が滅菌されるので、電子線照射による滅菌とは異なり、バイアルの表面の色が褐色化されず無色透明のままとすることができる。また、バイアルと蓋とがそれぞれ袋の内部に設けられ、当該袋の内部で滅菌されるので、バイアルの表面のみならず、バイアルの内部の滅菌を行うことができる。以上により、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアルを実現できる。
【0014】
また、本発明に係る滅菌バイアルパックでは、袋の内部において、バイアルと蓋とが仕切られていてもよい。この場合、バイアルと蓋とが仕切られることにより、それぞれが個別に区分けされるので、バイアルと蓋とが袋の内部で散乱するのを防ぐことができる。また、滅菌後に袋の内部でバイアルと蓋とを取り付けるときの作業性を向上することが可能となる。
【0015】
また、本発明に係る滅菌バイアルパックでは、蓋は、弾性蓋及び剛体蓋を有し、袋の内部において、バイアルと、弾性蓋と、剛体蓋とが、第1仕切り及び第2仕切りによってそれぞれ別々に仕切られ、バイアル、弾性蓋、剛体蓋、第1仕切り、及び第2仕切りは、袋の閉じ部の反対側から閉じ部に向かって順に、バイアル、第1仕切り、弾性蓋、第2仕切り、及び剛体蓋の順で配置されていてもよい。この場合、滅菌後に袋の内部でバイアル、弾性蓋、及び剛体蓋を取り付けるときの作業性をより向上することが可能となる。
【0016】
本発明に係る滅菌バイアルの組立方法は、ガスによる滅菌済のバイアルと、ガスによる滅菌済の蓋とがそれぞれ内部に設けられた袋を用意する工程と、袋を用意する工程の後に、袋の内部でバイアルに蓋を取り付ける工程と、バイアルに蓋を取り付ける工程の後に、袋を開封する工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る滅菌バイアルの組立方法によれば、ガスによる滅菌済のバイアルとガスによる滅菌済の蓋とがそれぞれ内部に設けられた袋が用意され、当該袋の内部でバイアルに蓋が取り付けられた後、当該袋が開封される。これにより、滅菌されたバイアルが組み立てられる。このようにして組み立てられた滅菌バイアルは、ガスにより滅菌済とされているので、電子線照射による滅菌済のバイアルとは異なり、バイアルの表面の色が褐色化されず無色透明のままとすることができる。また、滅菌済バイアルの滅菌済の蓋とは袋の内部にそれぞれ設けられているので、それぞれが取り付けられる前に滅菌されている。すなわち、バイアルの表面のみならずバイアルの内部の滅菌もされた状態で蓋が取り付けられてから袋から開封されるので、バイアルの内部における滅菌性が確保された滅菌バイアルが組み立てられる。以上により、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアルを実現できる。
【0018】
また、本発明に係る滅菌バイアルの組立方法では、袋を用意する工程において、バイアルと蓋とが袋の内部で仕切られた袋を用意してもよい。この場合、袋を用意する工程において用意した袋の内部でバイアルと蓋とがそれぞれ仕切られていることにより、それぞれが個別に区分けされるので、バイアルと蓋とが袋の内部で散乱するのを防ぐことができ、袋を用意する工程の後に袋内でバイアルと蓋とを取り付けるときの作業性を向上することが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る滅菌バイアルの組立方法では、蓋は、弾性蓋及び剛体蓋を有し、袋を用意する工程では、袋の内部において、バイアルと、弾性蓋と、剛体蓋とが、第1仕切り及び第2仕切りによってそれぞれ別々に仕切られ、バイアル、弾性蓋、剛体蓋、第1仕切り、及び第2仕切りが、袋の閉じ部の反対側から閉じ部に向かって順に、バイアル、第1の仕切り、弾性蓋、第2の仕切り、及び剛体蓋の順で配置された袋を用意し、袋の内部でバイアルに蓋を取り付ける工程は、第1の仕切りを解除してバイアルに弾性蓋を取り付ける工程と、バイアルに弾性蓋を取り付ける工程の後に、第2の仕切りを解除してバイアルに剛体蓋を取り付ける工程と、袋を開封する工程と、を含んでもよい。この場合、滅菌後に袋の内部でまずバイアルに弾性蓋を取り付け、バイアルの内部の滅菌性を確保した後、バイアルに剛体蓋を取り付けることができる。したがって、バイアルに弾性蓋を取り付けた段階でバイアルの内部の滅菌性は確保されているので、バイアルに剛体蓋を取り付けてかしめる作業を袋開封後でも行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアルを実現することができるバイアルの滅菌方法、滅菌バイアルパック、及び、滅菌バイアルの組立方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るバイアルの滅菌方法、滅菌バイアルパック、及び、滅菌バイアルの組立方法について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態に係る滅菌バイアルパックの構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る滅菌バイアルパックの概略構成を示す概略構成図である。
図1に示すように、滅菌バイアルパック1は、袋4と、バイアル5と、弾性蓋6と、剛体蓋7と、を備えている。バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7は、袋4の内部10に配置されている。
【0025】
袋4は、菌が透過できない素材からなる無菌袋である。袋4は、例えばビニール素材、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等で構成された透明な袋である。袋4は、例えばバイアル5の本体部5aの外径と略同径、または本体部5aの外径より大きい径の円筒状である。袋4は、円筒状の側部4cと、側部4cの一端を塞ぐ底部4aと、底部4aに対向して側部4cの他端を塞ぐ閉じ部4bと、を有している。袋4の内部10は、底部4a、閉じ部4b、及び側部4cにより、密閉空間とされている。本実施形態においては、袋4の閉じ部4bは、袋4の内部10にバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が配置された後、側部4cと隙間なく接合されることで形成される。なお、閉じ部4bは、側部4cとの接合による形成に限られず、袋4の内部10を密閉空間とすることができる限り、いずれの方法で形成されてもよい。
【0026】
袋4の内部10は、第1仕切り8及び第2仕切り9によって多層に仕切られている。第1仕切り8及び第2仕切り9は、袋4の内部10を区分けする手段である。第1仕切り8及び第2仕切り9は、袋4の内部10の空間を物理的に区分けできていればよく、区分けされた空間をバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が互いに行き交うことができない程度の隙間を有していてもよく、隙間を有していなくてもよい。例えば、第1仕切り8及び第2仕切り9は、袋4の側部4cにおける、対向する内側面同士を固定することで形成される。固定方法としては、接着又は溶着、袋4自体の捩じり止め、又はクリップ等の別部材を用いた固定等が挙げられる。本実施形態においては、接着による固定方法を用いており、袋4の側部4cの内側面同士を、袋4の軸線周りの方向で一直線上に点付けで接着している。なお、接着強度が所定の条件を満たす限り、ベタ付け(接着部分が一定範囲連続した固定方法)としてもよく、または、一部を点付けにしてその他の部分をベタ付けにする等、点付けとベタ付けとを組み合わせて接着してもよい。第1仕切り8及び第2仕切り9を形成するための接着強度は、第1仕切り8及び第2仕切り9を解除する際に、第1仕切り8及び第2仕切り9の解除に伴って袋4が破れない程度の強度で接着されている。
【0027】
袋4の内部10は、第1仕切り8及び第2仕切り9により、第1収容部10a、第2収容部10b、及び第3収容部10cを有している。第1収容部10a、第2収容部10b、第3収容部10cは、袋4の底部4aから閉じ部4bへ向かって、第1収容部10a、第2収容部10b、及び第3収容部10cの順で位置している。
【0028】
図2は、
図1の滅菌バイアルパック1におけるガスを封入可能な封入部を示す図である。
図2に示すように、滅菌バイアルパック1の袋4には、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7の滅菌を行うガス(以下、単に「滅菌ガス」という)を袋4の内部10に封入可能な封入部11が設けられている。即ち、滅菌バイアルパック1は、封入部11を備えている。本実施形態においては、封入部11(
図2の梨地で示す部分)は、袋4の側部4cの一部として構成されている。封入部11は、袋4の底部4aから袋4の閉じ部4bまで延在し、袋4の側部4c全体の面積の略半分の大きさの面積を有している。
【0029】
封入部11は、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7の滅菌を行うガスを袋4の内部10に封入する手段である。封入部11は、例えば滅菌ガスを通過させ、且つ、菌を通過させることができない材質からなる。封入部11は、例えば、滅菌ガスを通過させ、且つ、菌を通過させることができない大きさの穴を有する不織布等の医療用滅菌包材を用いることができる。滅菌バイアルパック1では、封入部11を介して、密閉された袋4の外部から内部10へ滅菌ガスが導入される。滅菌ガスとしては、例えばEОG(エチレンオキサイトガス)を用いることができる。導入された滅菌ガスは、袋4の内部10の菌を死滅させる。滅菌後、袋4に導入された滅菌ガスは、封入部11を通過して袋4の外部へ排気される。このようにして滅菌された袋4の内部10は、袋4を開封しない限り、袋4の内部10は滅菌された状態が一定期間保たれる。
【0030】
再び
図1に戻り、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7の構成について説明する。バイアル5は、その内部5cに薬剤を収容するガラス製の無色透明な容器である。バイアル5は、本体部5aと、開口部5bとを有している。バイアル5は、袋4の内部10に収容された状態で、封入部11から導入された滅菌ガスによって滅菌される。滅菌後、バイアル5は、第1仕切り8によって、袋4の内部10における第1収容部10a内に配置される。
【0031】
弾性蓋6(蓋)は、バイアル5の開口部5bを封止するための栓である。弾性蓋6は、弾性を有する物質で構成された蓋であり、例えば弾性体からなるゴムキャップである。弾性蓋6は、バイアル5の開口部5bを封止する際に当該開口部5bと嵌合する凸部6aを有している。弾性蓋6は、凸部6aが袋4の内部10に配置されたバイアル5の開口部5b側に位置する向きで配置されている。弾性蓋6は、袋4の内部10に収容された状態で、封入部11から導入された滅菌ガスによって滅菌される。滅菌後、弾性蓋6は、第1仕切り8及び第2仕切り9によって、袋4の内部10における第2収容部10b内に配置される。
【0032】
剛体蓋7(蓋)は、バイアル5の開口部5bを弾性蓋6の上からさらに封止するための栓である。剛体蓋7は、剛性を有する物質で構成された蓋であり、例えばアルミ等の金属からなるアルミキャップである。剛体蓋7は、バイアルの開口部5bを封止する際に当該開口部5bに接する部分7aを有している。剛体蓋7は、この開口部5bに接する部分7aが、袋4の内部10に配置されたバイアル5の開口部5b側に位置する向きで配置されている。剛体蓋7は、袋4の内部10に収容された状態で、封入部11から導入された滅菌ガスによって滅菌される。滅菌後、剛体蓋7は、第2仕切り9によって、袋4の内部における第3収容部10c内に配置される。
【0033】
バイアル5と、弾性蓋6と、剛体蓋7とは、第1仕切り8及び第2仕切り9によってそれぞれ別々に仕切られている。これにより、バイアル5が第1収容部10a内に設けられ、弾性蓋6が第2収容部10b内に設けられ、剛体蓋7が第3収容部10c内に設けられている。バイアル5、弾性蓋6、剛体蓋7、第1仕切り8、及び第2仕切り9は、袋4の閉じ部4bの反対側の底部4aから閉じ部4bに向かって順に、バイアル5、第1仕切り8、弾性蓋6、第2仕切り9、及び剛体蓋7の順で配置されている。
【0034】
次に、
図3を参照して、滅菌バイアルパック1を構成してバイアル5を滅菌する方法について説明する。
図3は、滅菌バイアルパック1を構成する方法を示すフローチャートである。
【0035】
まず、袋4の閉じ部4bが無く袋4が開口された状態において、袋4の内部10に、バイアル5と、弾性蓋6と、剛体蓋7とを配置する(工程S1)。続いて、閉じ部4bを袋4の側部4cに隙間なく接合させて、袋4を密閉する(工程S2)。これにより、菌が袋4の外部から内部10へ侵入しないようにする。
【0036】
続いて、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7をそれぞれ別々に仕切る(工程S3)。具体的には、袋4の外部から、袋4の側部4cの内側面同士を、袋4の軸線周りの方向で一直線上に点付けで接着することにより、第1仕切り8及び第2仕切り9を形成し、袋4の内部10を第1収容部10a、第2収容部10b、及び第3収容部10cに区分けする。これにより、バイアル5が第1収容部10a内に設けられ、弾性蓋6が第2収容部10b内に設けられ、第3収容部10cが剛体蓋7内に設けられる。
【0037】
続いて、封入部11を介して袋4の内部10に滅菌ガスを供給して、袋4の内部10を滅菌する(工程S4)。具体的には、次のように行われる。まず、工程S3においてバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7がそれぞれ別に仕切られた状態の袋4を箱に入れる。なお、入れる袋4は複数でも1つでもよい。続いて、袋4が入った箱を滅菌装置のチャンバー内に入れる。なお、チャンバー内に入れる箱は複数でも1つでもよい。このとき、箱内へ滅菌ガスが流入できるように、箱の蓋は開けたままとし、又は、蓋を閉じる場合には箱に孔を開けた状態にしておく。続いて、チャンバー内へ滅菌ガスを流入させて、箱ごと袋4を滅菌する。この際、例えばチャンバー内に滅菌ガスを充填した状態を18時間以上維持する。これにより、滅菌ガスが袋4の内部10に拡散され、袋4の内部10に配置されたバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が滅菌される。バイアル5は、弾性蓋6及び剛体蓋7が取り付けられていない状態で滅菌されるので、バイアル5の表面のみならず、バイアル5の内部5cも滅菌される。
【0038】
以上のようにして、滅菌バイアルパック1が構成され、バイアル5が滅菌される。なお、チャンバー内の滅菌ガスは、ポンプによる排気を例えば3日ほど続けることで、強制的に排出される。また、ポンプによる排気後も袋4内に残っている滅菌ガスは、チャンバー内から袋4が入った箱が取り出されて大気に曝されることで放出される。
【0039】
次に、
図4及び
図5を参照して、バイアル5の内部5cにおける滅菌性が確保された滅菌バイアル(以下、単に「滅菌バイアル」という)を、滅菌バイアルパック1を用いて組み立てる方法を説明する。
図4は、滅菌バイアルパック1を用いて滅菌バイアルを組み立てる方法を示すフローチャートである。
図5は、
図4のフローチャートに対応する滅菌バイアルの組立工程を示す図である。
【0040】
まず、
図5の(a)に示すように、滅菌バイアルパック1を用意する(工程S5)。即ち、滅菌ガスによる滅菌済のバイアル5、滅菌ガスによる滅菌済の弾性蓋6、及び滅菌ガスによる滅菌済の剛体蓋7が、それぞれ内部10に設けられた袋4を用意する。この袋4の内部10では、バイアル5と、弾性蓋6と、剛体蓋7とが、第1仕切り8及び第2仕切り9によって仕切られている。
【0041】
続いて、
図5の(b)に示すように、第1仕切り8を解除し(工程S6)、バイアル5に弾性蓋6を取り付ける(工程S7)。工程S6において、第1仕切り8の解除は、例えば点付けで接着されていた部分を袋4の外部から取り外すことにより行われる。工程S7において、弾性蓋6の取り付けは、例えば袋4の外部から袋4越しで弾性蓋6を掴む等して、袋4の内部において弾性蓋6をバイアル5の開口部5bに嵌めることにより行われる。これにより、バイアル5の内部5cにおける滅菌性が確保される。
【0042】
続いて、
図5の(c)に示すように、第2仕切り9を解除し(工程S8)、バイアル5に剛体蓋7を取り付ける(工程S9)。工程S8において、第2仕切り9の解除は、例えば点付けで接着されていた部分を取り外すことにより行われる。工程S9において、剛体蓋7の取り付けは、例えば袋4の外部から袋4越しで剛体蓋7を掴む等して、袋4の内部において剛体蓋7をバイアル5の開口部5bに取り付けることにより行われる。この際、剛体蓋7は、バイアル5の開口部5bに嵌められた弾性蓋6を覆うように取り付けられ、更に工具等を用いて袋4越しにかしめられる。これにより、バイアル5は完全封止される。なお、工程S7によりバイアル5の内部5cにおける滅菌性が確保されているので、剛体蓋7を取り付けてかしめる作業は、後述する袋4を開封する工程の後に行ってもよい。
【0043】
続いて、
図5の(d)に示すように、袋4を開封する(工程S10)。以上のようにして、バイアル5の内部5cにおける滅菌性が保たれた滅菌バイアル12が得られる。
【0044】
以上、本実施形態に係るバイアル5の滅菌方法及び滅菌バイアルパック1によれば、袋4の内部10に滅菌ガスが供給されることにより滅菌されるので、電子線照射による滅菌とは異なり、バイアル5の表面の色が褐色化されず、無色透明のままとすることができる。また、滅菌ガスが供給される袋4の内部10にバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7がそれぞれ配置されているので、当該袋4の内部10において、バイアル5の表面のみならず、バイアル5の内部5cにおける滅菌を行うことができる。以上により、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアル12を実現することができる。
【0045】
バイアル5の滅菌方法によれば、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7を滅菌する工程S4の前に、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7をそれぞれ仕切る工程S3を含んでいる。また、滅菌バイアルパック1によれば、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7がそれぞれ仕切られることにより個別に区分けされている。したがって、バイアル5の滅菌方法及び滅菌バイアルパック1によれば、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が第1収容部10a、第2収容部10b、及び第3収容部10cにそれぞれが個別に区分けされることにより、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が袋4の内部10で散乱するのを防ぐことができる。また、滅菌後に袋4の内部10でバイアル5と弾性蓋6及び剛体蓋7とを取り付けるときの作業性を向上することができる。さらに、滅菌する工程S4時において、確実にバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7をそれぞれ離間させた状態とすることができるので、バイアル5の内部5c、弾性蓋6の外側面、及び剛体蓋7の外側面の全てを確実に滅菌することが可能となる。
【0046】
滅菌バイアルパック1は、バイアル5、弾性蓋6、剛体蓋7、第1仕切り8、及び第2仕切り9が、袋4の閉じ部4bの反対側の底部4aから閉じ部4bに向かって順に、バイアル5、第1仕切り8、弾性蓋6、第2仕切り9、及び剛体蓋7の順で配置されている。したがって、滅菌後に袋4の内部10でバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7を取り付けるときの作業性をより向上することが可能となる。
【0047】
本実施形態に係る滅菌バイアル12の組立方法によれば、ガスによる滅菌済のバイアル5、ガスによる滅菌済の弾性蓋6、及びガスによる滅菌済の剛体蓋7がそれぞれ内部10に設けられた袋4が用意され、当該袋4の内部10でバイアル5に弾性蓋6及び剛体蓋7が取り付けられた後、当該袋4が開封される。これにより、滅菌された滅菌バイアル12が組み立てられる。このようにして組み立てられた滅菌バイアル12は、ガスにより滅菌済とされているので、電子線照射による滅菌済のバイアルとは異なり、表面の色が褐色化されず無色透明のままとすることができる。また、滅菌済のバイアル5、滅菌済の弾性蓋6、及び滅菌済の剛体蓋は袋4の内部10にそれぞれ設けられているので、それぞれが取り付けられる前に滅菌されている。すなわち、バイアル5の表面のみならずバイアル5の内部5cの滅菌もされた状態で弾性蓋6及び剛体蓋7が取り付けられてから袋4から開封されるので、バイアル5の内部5cにおける滅菌性が確保された滅菌バイアル12が組み立てられる。以上より、無色透明で滅菌性の高い滅菌バイアル12を実現できる。
【0048】
滅菌バイアル12の組立方法によれば、工程S5において用意した袋4の内部10でバイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7がそれぞれ仕切られていることにより、それぞれが個別に区分けされるので、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が袋の内部10で散乱するのを防ぐことができる。したがって、袋4を用意する工程S5の後に袋4の内部10でバイアル5、弾性蓋6及び剛体蓋7を取り付けるときの作業性を向上することが可能となる。さらに、このような組立方法で組み立てられた滅菌バイアル12は、使用者がバイアル5の内部5cへ薬剤を収容する段階で初めて弾性蓋6及び剛体蓋7が開けられるので、使用者が使用する直前まで高い滅菌性が維持される。例えば、バイアル5の製造段階からバイアル5の内部5cへ薬剤を収容する段階まで常にバイアル5が菌に曝され続けている場合よりも、菌の混入を圧倒的に減らすことができる。
【0049】
滅菌バイアル12の組立方法によれば、滅菌後に袋4の内部10でまずバイアル5に弾性蓋6を取り付け、バイアル5の内部5cにおける滅菌性を確保した後、バイアル5に剛体蓋7を取り付けることができる。したがって、バイアル5に弾性蓋6を取り付けた段階でバイアル5の内部5cにおける滅菌性は確保されているので、バイアル5に剛体蓋7を取り付けてかしめる作業を袋4の開封後でも行うことが可能となる。
【0050】
次に、上記実施形態に係る滅菌バイアルパック1の変形例について説明する。
図6は、一実施形態に係る滅菌バイアルパック1の封入部11に関する変形例について示す図である。
【0051】
図2に示すように、上記実施形態に係る滅菌バイアルパック1では、封入部11は、袋4の底部4aから袋4の閉じ部4bまで延在し、袋4の側部4c全体の面積の略半分の大きさの面積を有している。これに対し、
図6の(a)に示すように、変形例に係封入部13は、封入部11同様、袋4の底部4aから袋4の閉じ部4bまで延在しているが、封入部11よりも面積が小さい。また、
図6の(b)に示すように、別の変形例に係る封入部15では、封入部11とは異なり、袋4の底部4aから袋4の閉じ部4bまでは延在せず、袋4の側部4cを、袋4の軸線周りの方向で一周囲むようにして延在している。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0053】
例えば、第1仕切り8及び第2仕切り9は、必ずしも形成されていなくてもよい。即ち、バイアル5を滅菌する方法においては、工程S3を含まなくてもよく、滅菌バイアル12を組み立てる方法においては、工程S5において用意する袋4の内部10で、バイアル5と、弾性蓋6と、剛体蓋7とが、第1仕切り8及び第2仕切り9によって仕切られていなくてもよく、第1仕切り8を解除する工程S6及び第2仕切り9を解除する工程S8を含まなくてもよい。なお、袋4は、バイアル5の本体部5aの外径と略同径の円筒状である場合には、袋4とバイアル5との間に隙間が大きく形成されることがない。これにより、第1仕切り8及び第2仕切り9が形成されていなくても、バイアル5、弾性蓋6、及び剛体蓋7が袋4の内部10で散乱するのを防ぐことができる。
【0054】
第2仕切り9が形成されておらず、第1仕切り8だけが形成されていてもよい。この場合、弾性蓋6と剛体蓋7とは一体化されていることが好ましい。弾性蓋6と剛体蓋7とが一体化されていることにより、滅菌バイアル12を組み立てる際に弾性蓋6及び剛体蓋7を一体的にバイアル5に取り付けることができ、作業性を向上することが可能となる。
【0055】
上記実施形態においては、第1仕切り8及び第2仕切り9は、点付けで接着されて形成されるとしたが、これに限定されず、袋4の内部10を区分けできさえすればいずれの方法で形成されてもよい。第1仕切り8及び第2仕切り9を解除する際に、第1仕切り8及び第2仕切り9の解除に伴って袋4が破れない程度の強度であれば、例えば溶着等で形成されてもよい。
【0056】
上記実施形態においては、封入部11は、袋4の側部4cの一部として構成されているとしたが、これに限られず、袋4の側部4cの全体として構成されていてもよい。また、底部4a及び閉じ部4bを含んで構成されていてもよく、袋4の全体として構成されていてもよい。封入部11の形状は、上記実施形態に示す形状に限定されるものではなく、滅菌ガスが袋4の内部10へ導入可能であれば、どのような形状であってもよい。
【0057】
上記実施形態においては、滅菌バイアルパック1は弾性蓋6及び剛体蓋7を備えるとしたが、これに代えて、バイアル5を封止できる蓋を1つ備えてもよい。
【0058】
上記実施形態においては、袋4は円筒状としたが、形状はこれに限られず、例えば平袋、角底袋等であってもよい。