(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長板状にそれぞれ構成されると共に互いに対向するように配設されて長さ方向に沿った各々の縁部で基板の外周部を挟持可能な一対の挟持部材と、前記各縁部が前記外周部を挟持する挟持力を前記各挟持部材の両端部に対して作用させる一対のエアシリンダとを備えた基板挟持機構であって、
前記各挟持部材における長さ方向の中央部には、当該中央部に対して前記挟持力を作用させる駆動機構が設けられ、
前記駆動機構は、前記各挟持部材のいずれか一方における前記中央部に形成されて外部から供給される圧縮空気を貯留可能な空気室と、前記各挟持部材同士が接離する向きに移動可能に前記空気室内に配設されると共に前記各挟持部材の他方に先端部が取り付けられたプランジャとを備えて、前記空気室に対する前記圧縮空気の供給に伴って前記プランジャが前記他方の挟持部材を前記いずれか一方の挟持部材に対して相対的に引っ張る力を前記挟持力として前記中央部に対して作用させる基板挟持機構。
請求項1から3のいずれかに記載の基板挟持機構と、当該基板挟持機構が配設される基台とを備えて、前記基板挟持機構によって挟持された前記基板を前記基台に固定可能に構成された基板固定装置。
請求項4記載の基板固定装置と、当該基板固定装置に固定された前記基板に対してプローブをプロービングさせるプロービング装置と、前記プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記基板を検査する検査部とを備えている基板検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のクランプ機構には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、このクランプ機構では、一方の挟持部材における長さ方向の両端部を他方の挟持部材に向けてエアシリンダで押圧することによって回路基板の挟み込みが行われる。この場合、長板状の部材では、長さ方向の中央部に向かうに従って剛性が低くなる。このため、挟持部材における長さ方向の両端部を押圧する上記のクランプ機構では、長さ方向の両端部においては、十分な力(挟持力)で回路基板を挟持することができるものの、長さ方向の中央部では、挟持力が不足して、回路基板を確実に固定することが困難となるおそれがある。この場合、大型のエアシリンダを用いて両端部に加える押圧力を十分に強めることで、中央部の挟持力を強める構成が考えられる。しかしながら、回路基板の外周に対してプロービングを行う際のプローブとエアシリンダとの衝突を防止するために、エアシリンダの大型化は制限される。また、回路基板検査装置を小形化するためには、クランプ機構を全体として小形化する必要があり、この観点からも、エアシリンダの大型化は制限される。
【0006】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、小形化を図りつつ基板を確実に挟持し得る基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板挟持機構は、長板状にそれぞれ構成されると共に互いに対向するように配設されて長さ方向に沿った各々の縁部で基板の外周部を挟持可能な一対の挟持部材と、前記各縁部が前記外周部を挟持する挟持力を前記各挟持部材の両端部に対して作用させる一対のエアシリンダとを備えた基板挟持機構であって、前記各挟持部材における長さ方向の中央部には、当該中央部に対して前記挟持力を作用させる駆動機構が設けられ、前記駆動機構は、前記各挟持部材のいずれか一方における前記中央部に形成されて外部から供給される圧縮空気を貯留可能な空気室と、前記各挟持部材同士が接離する向きに移動可能に前記空気室内に配設されると共に前記各挟持部材の他方に先端部が取り付けられたプランジャとを備えて、前記空気室に対する前記圧縮空気の供給に伴って前記プランジャが前記他方の挟持部材を前記いずれか一方の挟持部材に対して相対的に引っ張る力を前記挟持力として前記中央部に対して作用させる。
【0008】
また、請求項2記載の基板挟持機構は、請求項1記載の基板挟持機構において、前記空気室は、前記各挟持部材のうちの前記基板における前記外周部の下面側を挟持する挟持部材に形成されている。
【0009】
また、請求項3記載の基板挟持機構は、請求項1または2記載の基板挟持機構において、前記各エアシリンダは、前記各挟持部材の前記各縁部同士を離間させる動作が可能に構成されている。
【0010】
また、請求項4記載の基板固定装置は、請求項1から3のいずれかに記載の基板挟持機構と、当該基板挟持機構が配設される基台とを備えて、前記基板挟持機構によって挟持された前記基板を前記基台に固定可能に構成された。
【0011】
また、請求項5記載の基板検査装置は、請求項4記載の基板固定装置と、当該基板固定装置に固定された前記基板に対してプローブをプロービングさせるプロービング装置と、前記プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記基板を検査する検査部とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の基板挟持機構、請求項4記載の基板固定装置、および請求項5記載の基板検査装置によれば、各挟持部材における長さ方向の中央部に対して挟持力を作用させる駆動機構を中央部に設けたことにより、各エアシリンダの押圧力を挟持力として各挟持部材の両端部に対して作用させることに加えて、駆動機構の引っ張り力を挟持力として各挟持部材の中央部に対して作用させることができる。このため、この基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置によれば、各挟持部材の両端部に対して作用させる挟持力だけで基板の外周部を挟持する構成とは異なり、大型のエアシリンダを用いることなく、各挟持部材の中央部に対して十分な挟持力を作用させることができる。また、この基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置では、挟持部材の中央部に形成した空気室と、空気室内に配設されたプランジャとを備えて駆動機構が構成されている。つまり、この基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置では、駆動機構が挟持部材の一部(挟持部材の内部構造)として構成されている。このため、この基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置によれば、挟持部材とは別体の(挟持部材から独立した)駆動機構を中央部に配設する構成とは異なり、基板挟持機構を小形化(薄型化)することができる。したがって、この基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置によれば、小形化を図りつつ基板の外周部を確実に挟持することができる。
【0013】
また、請求項2記載の基板挟持機構、請求項4記載の基板固定装置、および請求項5記載の基板検査装置では、基板における外周部の下面側を挟持する挟持部材に空気室が形成されている。この場合、一般的に、外周部の上面側を挟持する挟持部材(上側の挟持部材)は、外周部の下面側を挟持する挟持部材(下側の挟持部材)に対して移動させる必要があるため、基板固定装置の基台に固定される下側の挟持部材と比較して小型に構成されている。つまり、下側の挟持部材は、上側の挟持部材よりも大型に構成されている。このため、この基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置によれば、下側の挟持部材に空気室を形成することで、上側の挟持部材に空気室を形成する構成と比較して、空気室を大型化することができ、その分、挟持部材の中央部に対して大きな挟持力を作用させることができる結果、基板の外周部をより確実に挟持することができる。
【0014】
また、請求項3記載の基板挟持機構、請求項4記載の基板固定装置、および請求項5記載の基板検査装置によれば、各挟持部材の縁部同士を離間させる動作が可能に各エアシリンダを構成したことにより、縁部同士を離間させるためのバネなどの付勢部材を不要とすることができるため、その分、各挟持部材の構造を簡略化することができる結果、さらなる小形化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
最初に、
図1に示す基板検査装置1の構成について説明する。基板検査装置1は、基板検査装置の一例であって、同図に示すように、基板固定装置2、プロービング装置3および処理部4を備えて、基板100(
図7参照)に対する電気的な検査を実行可能に構成されている。この場合、基板100は、一例として、表面に導体パターン(図示せず)が形成されて、全体として矩形に構成されている。
【0018】
基板固定装置2は、基板固定装置の一例であって、
図2に示すように、基台11および基板挟持機構12a,12b(以下、区別しないときには「基板挟持機構12」ともいう)を備えて構成されている。
【0019】
基台11は、
図2に示すように、一例として、複数(この例では、8本)の柱状部材を連結して構成されている。また、基台11の上部を構成する2つの柱状部材の上面には、基板挟持機構12aを移動させるためのレール21a,21bがそれぞれ配設されている。また、レール21a,21bには、同図に示すように、レール21a,21bに沿って移動(スライド)するスライダ22a,22bがそれぞれ配設され、さらに、スライダ22a,22bには、基板挟持機構12aの両端部を支持する支持部材23a,23bがそれぞれ取り付けられている。また、基台11の上部を構成する2つの柱状部材の上面には、基板挟持機構12bの両端部を支持する支持部材23c,23dがそれぞれ配設されている。
【0020】
この場合、この基板固定装置2では、図外の移動機構によってスライダ22a,22bがレール21a,21bに沿って移動させられ、これによってスライダ22a,22bに取り付けられた支持部材23a,23b、および支持部材23a,23bに支持されている基板挟持機構12aが、基板挟持機構12bに近接する向き、および基板挟持機構12bから離反する向きに移動させられる。
【0021】
基板挟持機構12a,12bは、
図3,4に示すように、互いに対向するように配設された挟持部材31a,31b(以下、区別しないときには「挟持部材31」ともいう)、エアシリンダ32a,32b(以下、区別しないときには「エアシリンダ32」ともいう)、および駆動機構33をそれぞれ備えて、
図8に示すように、基板100の外周部101を挟持可能に構成されている。なお、基板挟持機構12a,12bは、同様に構成されているため、以下の説明においては、基板挟持機構12a,12bを代表して基板挟持機構12aの構成について説明する。
【0022】
挟持部材31aは、
図3,4に示すように、本体部41、挟持部42a〜42d(以下、区別しないときには「挟持部42」ともいう)およびガイド部43a,43b(以下、区別しないときには「ガイド部43」ともいう)を備えて全体として長板状(梁状)に構成されている。
【0023】
本体部41は、
図3,4に示すように、断面が矩形の棒状に形成されている。挟持部42は、両図に示すように、平面視略長方形の板状に形成されて、先端部が本体部41から突出するようにして、基端部が本体部41に固定されている(
図6も参照)。また、挟持部42は、
図8に示すように、基板100の外周部101を挟持する際に、各々の先端部の縁部E1(挟持部材31aの長さ方向に沿った縁部)が外周部101の下面102に当接するように構成されている。
【0024】
ガイド部43は、
図3,4に示すように、平面視略長方形の板状に形成されて、先端部が本体部41から突出するようにして、基端部が本体部41に固定されている。このガイド部43は、基板100が基板固定装置2に搬入される際、および基板固定装置2から搬出される際に、各々の先端部の縁部E2で基板100における外周部101の下面102をスライドさせてガイドする機能を有している。
【0025】
挟持部材31bは、
図3,4に示すように、本体部51および挟持部52a〜52c(以下、区別しないときには「挟持部52」ともいう)を備えて全体として長板状(梁状)に構成されている。
【0026】
本体部51は、
図3,4に示すように、断面が矩形の棒状に形成されている。挟持部52は、両図に示すように、平面視略長方形の板状に形成されて、先端部が本体部51から突出するようにして、基端部が本体部51に固定されている(
図6も参照)。また、挟持部52は、
図8に示すように、基板100の外周部101を挟持する際に、各々の先端部の縁部E3(挟持部材31bの長さ方向に沿った縁部)が外周部101の上面103に当接するように構成されている。
【0027】
エアシリンダ32a,32bは、
図3に示すように、挟持部材31aの本体部41における長さ方向の端部41a,41bにシリンダ部が取り付けられると共に、挟持部材31bの本体部51における長さ方向の端部51a,51bにピストンの先端部が取り付けられている。また、エアシリンダ32a,32bは、図外のエア供給装置から供給されるエア(圧縮空気)によって作動する。
【0028】
この場合、エアシリンダ32a,32bは、
図3,4に示すように、2つのエア供給口(エアカプラ)71,72を備え、エア供給口71にエアが供給されたときにピストンを下向きに移動させることにより、挟持部材31a(各挟持部材31のいずれか一方)に向けて、挟持部材31b(各挟持部材31の他方)における長さ方向の両端部(本体部41の端部41a,41b)をそれぞれ押圧する。これにより、各挟持部材31a,31bの縁部E1,E3が基板100の外周部101を挟持する挟持力が発生する。つまり、エアシリンダ32a,32bは、挟持力としての押圧力を各挟持部材31の両端部に作用させる。また、エアシリンダ32a,32bは、エア供給口72にエアが供給されたときにピストンを上向きに移動させることにより、挟持部材31a,31bの各縁部E1,E3同士が離間する向きの力を各挟持部材31a,31bに対して作用させる動作が可能に構成されている。
【0029】
駆動機構33は、
図3に示すように、各挟持部材31における長さ方向の中央部Cに設けられて、中央部Cに対して挟持力を作用させる機構であって、
図5に示すように、凹部61、閉塞部材62およびプランジャ63を備えて構成されている。
【0030】
凹部61は、
図5,6に示すように、挟持部材31a(各挟持部材31のいずれか一方)の本体部41における長さ方向の中央部41c(挟持部材31の中央部Cに相当する)に形成されている。なお、中央部41cの位置は、本体部41における長さ方向の中心であってもよいし、中心からややずれた位置であってもよい。この場合、凹部61は、円筒状に形成されている。また、
図6に示すように、凹部61を構成する内壁には、挟持部材31aに取り付けられているエア供給口(エアカプラ)65を介して外部(図外のエア供給装置)から供給されるエア(圧縮空気)の流入、エアの排出を行うための通気口61aが形成されている。
【0031】
閉塞部材62は、
図5に示すように、凹部61の開口部を閉塞可能な円板状に構成されて、
図6に示すように、凹部61の開口部を覆った状態で固定ねじ64によって本体部41に固定されている。また、閉塞部材62の中心部には、
図5に示すように、プランジャ63の軸部63bを挿通させる挿通孔62aが形成されている。この場合、
図6に示すように、凹部61と閉塞部材62とにより、エア供給口65を介して外部から供給されるエアを貯留可能な空気室Sが構成される。
【0032】
プランジャ63は、
図5,6に示すように、本体部63aと軸部63bとを備えて構成されている。また、プランジャ63は、凹部61と閉塞部材62とによって構成される空気室S内に本体部63aが位置し、閉塞部材62の挿通孔62aに軸部63bが挿通するように配設されている。また、
図6に示すように、軸部63bの先端部は、固定ねじ66によって挟持部材31b(各挟持部材31の他方)における長さ方向の中央部(挟持部52bの中央部)に取り付けられている。
【0033】
このプランジャ63は、空気室S内における本体部63aよりも閉塞部材62側の領域に通気口61aからエアが供給されることによって本体部63aが下向き(凹部61の底部向き)に押圧されて、下向きに移動する。また、プランジャ63の移動により、軸部63bの先端部が取り付けられている挟持部材31bにおける長さ方向の中央部が下向き(各挟持部材31a,31bが互いに近接する向き)に引っ張られ、この引っ張り力が挟持力として各挟持部材31における長さ方向の中央部Cに対して作用する。
【0034】
プロービング装置3は、基板固定装置2によって固定されている基板100に対して図外のプローブをプロービングさせるプロービング処理を実行する。
【0035】
処理部4は、基板固定装置2における図外の移動機構を制御して、基板挟持機構12bに近接する向き、および基板挟持機構12bから離反する向きに基板挟持機構12aを移動させる。また、処理部4は、図外のエア供給装置を制御して、基板固定装置2の各基板挟持機構12における各エアシリンダ32のエア供給口71,72に対するエアの供給および停止を行わせる。また、処理部4は、エア供給装置を制御して、駆動機構33に対するエアの供給および停止を行わせる。さらに、処理部4は、プロービング装置3によるプロービング処理を制御する。また、処理部4は、検査部として機能して、プローブを介して入出力する電気信号に基づいて基板100を検査する検査処理を実行する。
【0036】
次に、基板検査装置1を用いて基板100を検査する方法について、添付図面を参照して説明する。なお、初期状態では、基板挟持機構12a,12bが互いに近接しているものとする。
【0037】
まず、検査対象の基板100を基板固定装置2に固定させる。具体的には、図外の操作部を操作して、基板100の大きさ等の各種設定値を入力する。次いで、処理部4が、基板固定装置2における図外の移動機構を制御して、基板挟持機構12bから離反する向きに基板挟持機構12aを移動させ、入力した基板100の大きさに応じた距離だけ基板挟持機構12aが移動した時点で移動を停止させる。
【0038】
続いて、処理部4は、図外のエア供給装置を制御して、基板固定装置2の各基板挟持機構12における各エアシリンダ32のエア供給口71に対してエアを供給させる。この際に、エア供給口71に対するエアの供給によって各エアシリンダ32のピストンが上向きに移動し、これにより、
図6に示すように、挟持部材31a,31bの各縁部E1,E3同士が離間する。
【0039】
次いで、図外の基板搬送装置が基板固定装置2に基板100を搬入する。この場合、基板100は、各基板挟持機構12の挟持部材31aにおけるガイド部43aの縁部E2上に外周部101の下面102が支持されるように、
図1における左上側(搬入側)から搬入され、ガイド部43aの縁部E2上をスライドして、
図7に示すように、挟持部42a〜42dの各縁部E1にガイドされる。
【0040】
続いて、処理部4は、エア供給装置を制御して、各基板挟持機構12における各エアシリンダ32のエア供給口71に対するエアの供給を停止させると共に、各エアシリンダ32のエア供給口72に対してエアを供給させる。この際に、各エアシリンダ32のピストンが下向きに移動して挟持部材31a(各挟持部材31のいずれか一方)に向けて、挟持部材31b(各挟持部材31の他方)における長さ方向の両端部(本体部41の端部41a,41b)をそれぞれ押圧する。これにより、
図8に示すように、挟持部材31a,31bの各縁部E1,E3同士が近接して、各縁部E1,E3が基板100における外周部101の下面102および上面103にそれぞれ当接し、各エアシリンダ32の押圧力が挟持力として各挟持部材31の両端部に対して作用する。これにより、外周部101が各挟持部材31の各縁部E1,E3によって挟持される。
【0041】
また、処理部4は、エア供給装置を制御して、駆動機構33に対してエアを供給させる。この際に、エア供給装置から供給されるエアが、挟持部材31aに取り付けられているエア供給口65(
図5,6参照)を介して、凹部61と閉塞部材62とによって構成される空気室S内における本体部63aよりも閉塞部材62側の領域に供給される。
【0042】
このため、プランジャ63の本体部63aが、下向き(凹部61の底部向き)に押圧されて、下向きに移動する。また、プランジャ63の移動により、軸部63bの先端部が取り付けられている挟持部材31bにおける長さ方向の中央部が下向き(各挟持部材31a,31bが互いに近接する向き)に引っ張られ、この引っ張り力が挟持力として各挟持部材31における長さ方向の中央部Cに対して作用する。
【0043】
この基板挟持機構12では、上記したように、各エアシリンダ32の押圧力が挟持力として各挟持部材31の両端部に対して作用することに加えて、駆動機構33の引っ張り力が挟持力として各挟持部材31における長さ方向の中央部Cに対して作用する。このため、この基板挟持機構12では、各挟持部材31の両端部に対して作用する挟持力だけで基板100の外周部101を挟持する構成とは異なり、大型のエアシリンダを用いることなく、長さ方向の中央部Cに対して十部な挟持力を作用させることが可能となっている。したがって、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1では、小形化を図りつつ基板100を確実に挟持することが可能となっている。
【0044】
次いで、処理部4は、プロービング装置3を制御してプロービング処理を実行させる。このプロービング処理では、プロービング装置3は、基板100の上面103において予め規定されているプロービング位置にプローブをプロービング(接触)させる。
【0045】
この場合、上記したように、基板固定装置2によって基板100が確実に固定されて、基板100の位置ずれが確実に防止されている。このため、プロービング位置にプロービングを確実にプロービングさせることが可能となっている。
【0046】
続いて、処理部4は、プローブを介して入出力する電気信号に基づき、基板100の良否を検査する検査処理を実行する。この場合、上記したように、基板100の検査対象ポイントに対してプローブが確実にプロービングされているため、基板100の検査が正確に行われる。
【0047】
次いで、検査処理が終了したときには、処理部4は、プロービング装置3を制御して、プローブを初期位置に移動させる。続いて、処理部4は、エア供給装置を制御して、各基板挟持機構12における各エアシリンダ32のエア供給口72に対するエアの供給を停止させる。これにより、各挟持部材31の両端部に対する各エアシリンダ32による押圧が停止して、各挟持部材31の両端部に対して作用していた挟持力が消失(または低下)する。
【0048】
また、処理部4は、エア供給装置を制御して、駆動機構33(エア供給口65)に対するエアの供給を停止させる。これにより、駆動機構33による挟持部材31bの引っ張りが停止して、各挟持部材31における長さ方向の中央部Cに対して作用していた挟持力が消失(または低下)する。
【0049】
次いで、処理部4は、エア供給装置を制御して、各エアシリンダ32のエア供給口71に対してエアを供給させる。この際に、エア供給口71に対するエアの供給によって各エアシリンダ32のピストンが上向きに移動し、これにより、
図7に示すように、挟持部材31a,31bの各縁部E1,E3同士が離間する。
【0050】
続いて、基板搬送装置が基板固定装置2から基板100を搬出する。この場合、基板100は、外周部101の下面102がガイド部43bの縁部E2上をスライドして
図1における右下側(搬出側)にガイドされて搬出される。以上により、基板100の検査が終了する。次いで、他の基板100を検査する際には、処理部4および基板搬送装置が上記した各処理を実行する。
【0051】
このように、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1によれば、各挟持部材31における長さ方向の中央部Cに対して挟持力を作用させる駆動機構33を中央部Cに設けたことにより、各エアシリンダ32の押圧力を挟持力として各挟持部材31の両端部に対して作用させることに加えて、駆動機構33の引っ張り力を挟持力として各挟持部材31の中央部Cに対して作用させることができる。このため、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1によれば、各挟持部材31の両端部に対して作用させる挟持力だけで基板100の外周部101を挟持する構成とは異なり、大型のエアシリンダを用いることなく、各挟持部材31の中央部Cに対して十分な挟持力を作用させることができる。また、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1では、挟持部材31aにおける本体部41の中央部41cに形成した空気室Sと、空気室S内に配設されたプランジャ63とを備えて駆動機構33が構成されている。つまり、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1では、駆動機構33が挟持部材31の一部(挟持部材31の内部構造)として構成されている。このため、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1によれば、挟持部材31とは別体の(挟持部材31から独立した)駆動機構33を中央部Cに配設する構成とは異なり、基板挟持機構12を小形化(薄型化)することができる。したがって、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1によれば、小形化を図りつつ基板100の外周部101を確実に挟持することができる。
【0052】
また、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1では、基板100における外周部101の下面102側を挟持する挟持部材31aに空気室Sが形成されている。この場合、一般的に、外周部101の上面103側を挟持する挟持部材31bは、挟持部材31aに対して移動させる必要があるため、基台11に固定される挟持部材31aと比較して小型に構成されている。つまり、挟持部材31aは、挟持部材31bよりも大型に構成されている。このため、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1によれば、挟持部材31aに空気室Sを形成することで、挟持部材31bに空気室Sを形成する構成と比較して、空気室Sを大型化することができ、その分、挟持部材31の中央部Cに対して大きな挟持力を作用させることができる結果、基板100の外周部101をより確実に挟持することができる。
【0053】
また、この基板挟持機構12、基板固定装置2および基板検査装置1によれば、各挟持部材31の縁部E1,E3同士を離間させる動作が可能に各エアシリンダ32を構成したことにより、縁部E1,E3同士を離間させるためのバネなどの付勢部材を不要とすることができるため、その分、各挟持部材31の構造を簡略化することができる結果、さらなる小形化を図ることができる。
【0054】
なお、基板挟持機構、基板固定装置および基板検査装置は、上記の構成に限定されない。例えば、1つの駆動機構33を設けた例について上記したが、複数の駆動機構33を設ける構成を採用することもできる。
【0055】
また、挟持部材31aに空気室S(凹部61)を形成した例について上記したが、挟持部材31b(例えば、挟持部52bの中央部)に空気室Sを形成する構成を採用することもできる。
【0056】
また、凹部61、閉塞部材62およびプランジャ63の形状は、上記した形状に限定されず、任意に変更することができる。例えば、断面形状(平面視形状)が多角形や楕円形をなす凹部61および閉塞部材62、並びにその凹部61および閉塞部材62によって構成される空気室S内で移動可能な形状のプランジャ63で駆動機構33を構成することができる。
【0057】
また、凹部61を構成する内壁に、上記した通気口61aに加えて、プランジャ63を上向き移動させるための通気口をさらに形成し、基板100の搬入および搬出を行う際に、挟持部材31a,31bの各縁部E1,E3同士が離間する向きの力を各挟持部材31に対して作用させるように駆動機構33を構成することもできる。