(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234842
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】トーションビーム式サスペンション
(51)【国際特許分類】
B60G 11/16 20060101AFI20171113BHJP
B60G 9/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
B60G11/16
B60G9/04
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-34338(P2014-34338)
(22)【出願日】2014年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-157596(P2015-157596A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592037790
【氏名又は名称】株式会社エフテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153349
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 茂
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森 俊太
(72)【発明者】
【氏名】柳原 隼
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0276903(US,A1)
【文献】
特開2012−101764(JP,A)
【文献】
特表2008−522893(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0306176(US,A1)
【文献】
特開2008−207771(JP,A)
【文献】
特開2006−182141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 11/16
B60G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が車体に支持されると共に、他端側に車輪を支持するトレーリングアームと、
前記トレーリングアームを連結すると共に、前記車体の幅方向に延在するトーションビームと、
前記トレーリングアームに固設されると共に、サスペンションスプリングの下端部を支持するスプリングシートと、
前記スプリングシート上でそれと固設されると共に、リンク部材の一端部を前記幅方向の内方側で支持するブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、前記リンク部材の前記一端部を共に支持する一対の壁部であって、前記車体の前方側の壁部である上前壁部及び前記車体の後方側の上後ろ壁部と、を有し、
前記上前壁部及び上後ろ壁部の少なくとも一方は、前記トレーリングアームに向かって延在して前記トレーリングアームに接続されて固設されるトーションビーム式サスペンション。
【請求項2】
前記スプリングシートは、
前記サスペンションスプリングの前記下端部を支持する底壁部と、
前記底壁部における前記前方側の前方端から前記車体の上方側に延在すると共に前記前方側に凸形状に湾曲する湾曲壁部であって、前記サスペンションスプリングの前方側に位置する下前壁部と、
前記底壁部における前記後方側の後方端から前記上方側に延在すると共に前記後方側に凸形状に湾曲する湾曲壁部であって、前記サスペンションスプリングの前記後方側に位置する下後ろ壁部と、
を有し、
前記下前壁部及び前記下後ろ壁部の一方は、前記上前壁部及び上後ろ壁部の対応する一方に沿ってトレーリングアームへと延在して前記トレーリングアームに接続されて固設される請求項1に記載のトーションビーム式サスペンション。
【請求項3】
前記ブラケットにおける前記リンク部材の前記一端部を支持する部分及び前記トレーリングアームと接続する部分は、共に前記車体の前後方向の幅が広い形状部である請求項1又は2に記載のトーションビーム式サスペンション。
【請求項4】
前記下前壁部及び前記下後ろ壁部の一方は、一対の側壁部を有し、前記一対の側壁部にはサスペンションダンパの下端部を収容して支持自在である請求項2又は3に記載のトーションビーム式サスペンション。
【請求項5】
更に、前記一対の側壁部の内で前記内方側に位置するものと前記トレーリングアームとを連結する補強部材を備える請求項4に記載のトーションビーム式サスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サスペンション装置に関し、特にリンク部材を保持するためのブラケットを備えるトーションビーム式サスペンションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両用サスペンション装置に対しては、部品点数が少なく、構造が比較的簡素で、スペース効率に優れるトーションビーム式サスペンションが、小排気量車のみならず中排気量車等に採用される場合が多くなってきている。
【0003】
そのため、かかるトーションビーム式サスペンションに対しては、その生産性等を向上させながら、その強度や剛性をより増大させることが求められている。
【0004】
かかる状況下で、特許文献1は、トーションビームの両端の各々に、後輪がマウンティングされるキャリアが、トレーリングアームとキャリアブラケットとを介して結合されたカップルドトーションビーム車軸に関し、車体の下部に固定されるマウンティングブラケットと、一端が前記キャリアにリンク結合され、他端が前記マウンティングブラケットにリンク結合される操向ロッドと、を備え、操向時に後輪がトーインすることにより、コンプライアンス特性を改善することを企図した構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−56656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1のカップルドトーションビーム車軸の構成においては、操向ロッドの一端がキャリアにリンク結合されるため、サスペンションスプリングやダンパ等の周辺部品のレイアウトによっては、操向ロッドの一端をキャリアに配設させることが難しい場合があり、かかる周辺部品の干渉を防ぎながらキャリアまで操向ロッドを配設させようとすると、操向ロッドの形状が複雑化して操向ロッド、ひいてはトーションビーム車軸の製造コストが嵩む傾向があると考えられる。
【0007】
また、本発明者の更なる検討によれば、操向ロッド等の補助リンク部材は単に直線状に延在する形状である方が製造コストの低減が図れることから、このような直線状の補助リンク部材を用いたとしても、周辺部品への干渉を確実に防ぎながらその支持強度や支持剛性を向上させ得る新規な構成のトーションビーム式サスペンションを実現することが重要であると考えられる。
【0008】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、簡便な構成で、良好な生産性や高い強度等を確保しながらリンク部材の支持剛性を向上することができるトーションビーム式サスペンションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成すべく、本発明の第1の局面におけるトーションビーム式サスペンションは、一端側が車体に支持されると共に、他端側に車輪を支持するトレーリングアームと、前記トレーリングアームを連結すると共に、前記車体の幅方向に延在するトーションビームと、前記トレーリングアームに固設されると共に、サスペンションスプリングの下端
部を支持するスプリングシートと、前記スプリングシート上でそれと固設されると共に、リンク部材の一端部を前記幅方向の内方側で支持するブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記リンク部材の前記一端部を共に支持する一対の壁部であって、前記車体の前方側の壁部である上前壁部及び前記車体の後方側の上後ろ壁部と、を有し、前記上前壁部及び上後ろ壁部の少なくとも一方は、前記トレーリングアームに向かって延在して前記トレーリングアームに接続されて固設される構成を有する。
【0010】
また、本発明は、かかる第1の局面に加え、前記スプリングシートは、前記サスペンションスプリングの前記下端部を支持する底壁部と、前記底壁部における前記前方側の前方端から前記車体の上方側に延在すると共に前記前方側に凸形状に湾曲する湾曲壁部であって、前記サスペンションスプリングの前方側に位置する下前壁部と、前記底壁部における前記後方側の後方端から前記上方側に延在すると共に前記後方側に凸形状に湾曲する湾曲壁部であって、前記サスペンションスプリングの前記後方側に位置する下後ろ壁部と、を有し、前記下前壁部及び前記下後ろ壁部の一方は、前記上前壁部及び上後ろ壁部の対応する一方に沿ってトレーリングアームへと延在して前記トレーリングアームに接続されて固設されることを第2の局面とする。
【0011】
また、本発明は、かかる第1又は第2の局面に加え、前記ブラケットにおける前記リンク部材の前記一端部を支持する部分及び前記トレーリングアームと接続する部分は、共に前記車体の前後方向の幅が広い形状部であることを第3の局面とする。
【0012】
また、本発明は、かかる第2又は第3の局面に加え、前記下前壁部及び前記下後ろ壁部の一方は、一対の側壁部を有し、前記一対の側壁部にはサスペンションダンパの下端部を収容して支持自在であることを第4の局面とする。
【0013】
また、本発明は、かかる第4の局面に加え、更に、前記一対の側壁部の内で前記内方側に位置するものと前記トレーリングアームとを連結する補強部材を備えることを第5の局面とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の局面における構成によれば、トレーリングアームに固設されると共に、サスペンションスプリングの下端部を支持するスプリングシート上で、それと固設されると共に、リンク部材の一端部を幅方向の内方側で支持するブラケットが、リンク部材の一端部を共に支持する一対の壁部であって、車体の前方側の壁部である上前壁部及び車体の後方側の上後ろ壁部と、を有し、上前壁部及び上後ろ壁部の少なくとも一方が、トレーリングアームに向かって延在してトレーリングアームに接続されて固設されるものであるため、簡便な構成で、良好な生産性や高い強度等を確保しながらリンク部材の支持剛性を向上することができる。
【0015】
また、本発明の第2の局面における構成によれば、スプリングシートが、サスペンションスプリングの下端部を支持する底壁部と、底壁部における前方側の前方端から車体の上方側に延在すると共に前方側に凸形状に湾曲する湾曲壁部であって、サスペンションスプリングの前方側に位置する下前壁部と、底壁部における後方側の後方端から上方側に延在すると共に後方側に凸形状に湾曲する湾曲壁部であって、サスペンションスプリングの後方側に位置する下後ろ壁部と、を有し、下前壁部及び下後ろ壁部の一方が、上前壁部及び上後ろ壁部の対応する一方に沿ってトレーリングアームへと延在してトレーリングアームに接続されて固設されるものであるため、簡便な構成で、リンク部材の周辺部品への干渉を確実に抑制しながら、リンク部材の支持剛性をより向上することができる。
【0016】
また、本発明の第3の局面における構成によれば、ブラケットにおけるリンク部材の一
端部を支持する部分及びトレーリングアームと接続する部分が、共に車体の前後方向の幅が広い形状部であるため、リンク部材の支持剛性を一層増強することができる。
【0017】
また、本発明の第4の局面における構成によれば、下前壁部及び下後ろ壁部の一方が、一対の側壁部を有し、一対の側壁部にはサスペンションダンパの下端部を収容して支持自在であることにより、簡便かつコンパクトな構成で、サスペンションダンパを確実に支持することができる。
【0018】
また、本発明の第5の局面における構成によれば、更に、一対の側壁部の内で内方側に位置するものとトレーリングアームとを連結する補強部材を備えることにより、簡便な構成で、リンク部材やサスペンションダンパの取付け剛性をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態におけるトーションビーム式サスペンションの要部を示す部分斜視図である。
【
図2】本実施形態におけるトーションビーム式サスペンションの部分拡大平面図である。
【
図3】本実施形態におけるトーションビーム式サスペンションのブラケット以外の部分を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図3を適宜参照して、本発明の実施形態におけるトーションビーム式サスペンションにつき詳細に説明する。なお、図中、x軸、y軸及びz軸は、3軸直交座標系を成す。また、x軸の正方向が車体の前方向であり、y軸の正方向が車体の左方向であり、かつ、z軸の正方向が車体の上方向である。また、x軸の方向を長手方向と呼ぶことがあり、y軸の方向を幅方向と呼ぶことがある。
【0021】
図1は、本実施形態におけるトーションビーム式サスペンションの要部を示す部分斜視図である。
図2は、本実施形態におけるトーションビーム式サスペンションの部分拡大平面図である。また、
図3は、本実施形態におけるトーションビーム式サスペンションのブラケット以外の部分を示す部分拡大斜視図である。なお、
図1から3は、いずれもトーションビーム式サスペンションの左側の構成について主として示すものであるが、図示を省略する右側の構成は、左側の構成に対して左右対称な構成を有する。
【0022】
まず、本実施形態におけるトーションビーム式サスペンション1の全体構成について、
図1から
図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0023】
トーションビーム式サスペンション1は、トーションビーム10、トレーリングアーム20、スプリングシート30、及びブラケット50を備え、いずれも図示を省略する自動車等のリヤサイドフレーム等の車体に装着されながら、サスペンションスプリング(以下、スプリングという)やサスペンションダンパ(以下、ダンパという)、更にはサスペンションリンク部材(以下、リンク部材という)や車輪等を支持するものである。かかるトーションビーム式サスペンション1は、典型的には、x−z平面と平行な平面であって幅方向の中央を通る平面に対して、左右対称な形状を有するものであるから、左右一対のトレーリングアーム20、左右一対のスプリングシート30、及び左右一対のブラケット50を備えることになる。
【0024】
具体的には、トーションビーム10は、典型的には上方に凸の形状を呈した鋼板等の金属板から成る板部材であって、幅方向に延在しながら、その両端に左右一対のトレーリングアーム20を連結するものである。なお、トーションビーム10は、車体前方または後
方のいずれかに凸の形状を呈していてもよいし、鋼管等の金属製パイプ部材で構成されていてもよい。
【0025】
トレーリングアーム20は、典型的には鋼管等の金属製のパイプ部材から成る略円筒状の部材であって、トーションビーム10にアーク溶接等で溶接されることにより固設されるものである。トレーリングアーム20においては、その前方端に車体に支持される典型的には鋼板等の金属板を丸めたカラー部材70がアーク溶接等で溶接されることにより固設される一方で、その後方端には車輪を支持する典型的には鋼製等の金属製の車輪支持部材80がアーク溶接等で溶接されることにより固設されている。なお、トレーリングアーム20は、鋼板等の金属板から成る板部材を縦断面略コ字状に成形した部材で構成されてもよい。また、車輪支持部材80は、トレーリングアーム20の後方端にその一部が挿入または嵌合された態様でアーク溶接等により溶接されて固設されていてもよい。
【0026】
スプリングシート30は、トレーリングアーム20にアーク溶接等で溶接されることにより固設されると共に、スプリングの下端部及びダンパの下端部を支持自在なものである。スプリングシート30は、x−y平面に平行な底壁部31、その底壁部31から上方に凸の形状を呈する凸部32、及びその凸部32を上下方向に貫通するように穿孔して形成された貫通孔33を有する。また、その底壁部31は、上下方向に穿孔して形成されると共に、凸部32を中心とした同一円周上に複数設けられた取付け孔34を有する。
【0027】
また、スプリングシート30は、更に、その底壁部31の前方端から上方に延在するように一体に形成されると共に平面視で前方に凸の湾曲状の下前壁部35と、その底壁部31の後方端から上方に延在するように一体に形成されると共に平面視で後方に凸の湾曲状の下後ろ壁部36と、を有する。
【0028】
また、スプリングシート30においては、下前壁部35は、その上端から前方に延在するように一体に形成された前フランジ37を有し、下後ろ壁部36は、その上端から後方に延在するように一体に形成された後ろフランジ38を有する。なお、スプリングシート30の板厚が厚い等のその強度が十分に確保される場合には、フランジ37及び38の少なくとも1つは、省略可能である。
【0029】
ここで、下前壁部35の左端の周縁部は、トレーリングアーム20の対応する外周面の形状に沿う形状になるように、右側に向かって凹むように切り欠かれている。このように切り欠かれた部分は、それがトレーリングアーム20の外周面に当接した態様で、典型的にはアーク溶接等で溶接されることにより、下前壁部35がトレーリングアーム20に固設される。
【0030】
また、スプリングシート30においては、下後ろ壁部36は、その一部が切り欠かれて、互いに幅方向で対向しながら後方に延在するように一体に形成された一対の側壁部39及び40を備える。かかる側壁部39及び40は、ダンパの下端部をその間に収容して支持自在であって、幅方向に穿孔して形成されると共に互いに対向する貫通孔41及び42を対応して有する。貫通孔42には、ナット部材90が固設される。なお、下後ろ壁部36に左右一対の側壁部39及び40を設けているが、ダンパの配設位置等の事情によっては、かかる側壁部39及び40は、下前壁部35に設けられてもよい。また、ナット部材90は、貫通孔41に設けられてもよい。
【0031】
ここで、下後ろ壁部36の左端の周縁部は、トレーリングアーム20の対応する外周面の形状に沿う形状になるように、右側に向かって凹むように切り欠かれている。このように切り欠かれた部分は、それがトレーリングアーム20の外周面に当接した態様で、典型的にはアーク溶接等で溶接されることにより、下後ろ壁部36がトレーリングアーム20
に固設される。
【0032】
ブラケット50は、スプリングシート30上でそれにアーク溶接等で溶接されることにより固設されると共に、リンク部材の一端を支持するものである。ブラケット50は、x−y平面に平行な上壁部51、その上壁部51の前方端から垂下するように配設される縦壁部であると共に、かかる縦壁部を前後方向に貫通するように穿孔して形成された貫通孔53を有する上前壁部52、及びその上壁部51の後方端から垂下するように配設される縦壁部であると共に、かかる縦壁部を前後方向に貫通するように穿孔して形成された貫通孔55を有する上後ろ壁部54を備える。上前壁部52は、スプリングシート30の下前壁部35の上方に位置すると共に、それと同様に平面視で前方に凸の湾曲状である。上後ろ壁部54は、スプリングシート30の下後ろ壁部36の上方に位置すると共に、それと同様に平面視で後方に凸の湾曲状である。貫通孔53には、ナット部材90が固設される。なお、ブラケット50の板厚が厚い等のその強度が十分に確保される場合には、上壁部51は省略可能である。また、ナット部材90は、貫通孔55に設けられてもよい。
【0033】
また、ブラケット50は、更に、上前壁部52の下端から前方に延在するように形成された前フランジ56、及び上後ろ壁部54の下端から後方に延在するように形成された後ろフランジ57を備える。前フランジ56は、スプリングシート30の下前壁部35に設けられた前フランジ37に対して、典型的にはアーク溶接等で溶接されることにより固設される。後ろフランジ57は、スプリングシート30の下後ろ壁部36に設けられた後ろフランジ38に対して、典型的にはアーク溶接等で溶接されることにより固設される。なお、ブラケット50の板厚が厚い等のその強度が十分に確保される場合には、フランジ56及び57の少なくとも1つは、省略可能である。フランジ37、38、56及び57の少なくとも1つが省略される場合には、フランジ37、38、56及び57が省略された下前壁部35、下後ろ壁部36、上前壁部52及び上後ろ壁部54が、省略されたフランジ37、38、56及び57が溶接されることにより固設されるべきであった相手部材に溶接されて固設されることになる。
【0034】
また、ブラケット50においては、上壁部51及び上前壁部52は、平面視において、スプリングシート30の内方端とトレーリングアーム20の右側外周面とに亘って延在しており、上壁部51の後端が前方に凸の円弧状に切り欠かれることにより左右両端部の幅が広くなる形状を呈する。なお、必要に応じて、上壁部51及び上前壁部52は、スプリングシート30の内方端とトレーリングアーム20の上側周面とに亘って延在していてもよい。
【0035】
このように、上壁部51の後端を円弧状に切り欠くことにより、スプリングシート30にその下端部が支持されるスプリングとの干渉を防ぐことができ、更に、ブラケット50の幅方向の両端部における前後方向の幅を広くすることにより、リンク部材の支持剛性を向上することができる。
【0036】
また、ダンパ等の配設箇所によっては、上壁部51及び上後ろ壁部54を、スプリングシート30の内方端とトレーリングアーム20の右側外周面部とに亘って延在させていてもよく、その場合は、上壁部51の前端を円弧状に切り欠けばよい。また、かかる場合、必要に応じて、上壁部51及び上後ろ壁部54は、スプリングシート30の内方端とトレーリングアーム20の上側周面とに亘って延在していてもよい。また、更に、トレーリングアーム20に対するブラケット50の取付け強度や取付け剛性を高めるのであれば、上壁部51、上前壁部52及び上後ろ壁部54を、スプリングシート30とトレーリングアーム20とに亘って延在させていてもよい。
【0037】
更に、典型的には鋼板等の金属板である補強部材60が、幅方向内側に位置する側壁部
39とトレーリングアーム20とを上下方向に斜行しながら連結するように、典型的にはアーク溶接等によりこれらに溶接されることにより固設されている。補強部材60は、側壁部39とトレーリングアーム20とを繋ぐ縦壁部61と、その縦壁部61の上端から後方に延在するように一体に形成されたフランジ62と、を有する。
【0038】
また、補強部材60においては、その縦壁部61の左側部分は、トレーリングアーム20の外周面の形状に沿うように右側に向かって凹んだ形状に切り欠かれている。このように切り欠かれた部分は、その左側部分がトレーリングアーム20の外周面に当接した態様で、補強部材60が典型的にはアーク溶接等でトレーリングアーム20に溶接されることにより固設される。
【0039】
また、補強部材60は、更に、その縦壁部61の下端から前方に延在するように一体に形成された補助壁部63と、その補助壁部63の前方端から右方に延在するように一体にフランジ64を有する。補助壁部63の上端部は、トレーリングアーム20の外周面に当接して、それに典型的にはアーク溶接等でトレーリングアーム20に溶接されることにより固設される。
【0040】
以上の構成を有するトーションビーム式サスペンション1においては、車体に装着される部位として車体取付け部B1が設定されると共に、各種の外力印加部品の装着用の取付け部として、車輪側部材を取付ける車輪取付け部W1、サスペンションスプリングを取付けるスプリング取付け部S1、リンク部材を取付けるリンク部材取付け部L1が設定されている。
【0041】
詳しくは、車体取付け部B1は、トレーリングアーム20の前方端に設けられたカラー部材70に対応して配置されている。かかる車体取付け部B1においては、カラー部材70に圧入された図示を省略するブッシュ部材を介して、図示を省略する典型的にはボルト等の締結部材で締結されることにより、車体に装着される。
【0042】
スプリング取付け部S1は、スプリングシート30の底壁部31に対応して配置されている。かかるスプリング取付け部S1においては、スプリングが、スプリングシート30の底壁部31の上部に載置されることにより装着される。なお、スプリングの擦れ音等の低減のために、底壁部31に設けられた取付け孔34に円盤状の弾性部材を載置して、その上にスプリングを載置してもよい。
【0043】
車輪取付け部W1は、トレーリングアーム20の後端に設けられた車輪支持部材80に対応して配置されている。かかる車輪取付け部W1においては、いずれも図示を省略する典型的にはベアリング部材がボルト等の締結部材で車輪支持部材80に締結されることにより装着され、これらを介して車輪が装着される。
【0044】
リンク部材取付け部L1は、ブラケット50に対応して配置されている。かかるリンク部材取付け部L1においては、上前壁部52に設けられた貫通孔53及びナット部材90、上後ろ壁部54に設けられた貫通孔55を介して、リンク部材の一端が図示を省略する締結ボルト等の締結部材で締結されて装着される。なお、リンク部材としては、ワッツリンク、ラテラルロッド、パナールロッド等の補助リンク部材が挙げられるが、その締結軸がブラケット50に配されるものであれば、それら以外のものであってもよい。
【0045】
なお、以上の各種のナット部材は、典型的には鋼材等の金属製である。
【0046】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を
逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明においては、簡便な構成で、良好な生産性や高い強度等を確保しながらリンク部材の支持剛性を向上することができるトーションビーム式サスペンションを提供することができるものであるため、その汎用普遍的な性格から広範に車両等の移動のトーションビーム式サスペンションの分野に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0048】
1…トーションビーム式サスペンション
10…トーションビーム
20…トレーリングアーム
30…スプリングシート
31…底壁部
32…凸部
33…貫通孔
34…取付け孔
35…下前壁部
36…下後ろ壁部
37、56…前フランジ
38、57…後ろフランジ
39、40…側壁部
41、42、53、55…貫通孔
50…ブラケット
51…上壁部
52…上前壁部
54…上後ろ壁部
60…補強部材
61…縦壁部
62、64…フランジ
63…補助壁部
70…カラー部材
80…車輪支持部材
90…ナット部材