(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている手法の場合、センサ素子に対する被環装部材の環装を、素子内部に被測定ガスを導入するための開口部が設けられた側の端部から行うようになっているので、センサ素子の当該端部側表面が保護膜(保護層)で覆われてなるセンサ素子に当該手法を適用した場合、保護膜に傷が付いたり剥がれが生じたりなどの不具合が生じ、好ましくない。
【0007】
これに対し、特許文献2には、一方端部側が保護層で覆われてなる検出素子を備えるガスセンサの製造方法が開示されてなる。しかしながら、特許文献2に開示された製法においては、環装部品をいったん検出素子に類似した形状のピン部材に環装し、その後ピン部材を抜き取って複数の環装部品が積層された状態を得たうえで、検出素子を積層された環装部品に挿入するようになっているので、ピン部材の抜き取り時や検出素子の挿入時に環装部品がずれやすいという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、センサ素子に保護膜が設けられてなる場合であっても、良好に環装部品を環装することができるガスセンサの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、セラミックスを主構成材料とする長尺状のセンサ素子の形状に類似する形状を有する素子ダミーを、鉛直方向に長手方向を有するように配置するダミー配置工程と、前記素子ダミーに、円板状または円筒状をなし、かつ、前記センサ素子の断面形状に応じた貫通孔を備える環装部品の前記貫通孔を鉛直上方から嵌め合わせるダミー嵌合工程と、前記環装部品の外周に筒状体を鉛直上方から嵌め合わせる筒状体嵌合工程と、前記素子ダミーの上端部に前記センサ素子を一直線上に当接配置する素子配置工程と、前記素子ダミーを鉛直下方に下降させることによって前記センサ素子を下降させ、前記センサ素子に前記環装部品の前記貫通孔を嵌め合わせる素子嵌合工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のガスセンサの組立方法であって、前記センサ素子が、一方端部の表面に保護膜を形成したものであり、前記素子配置工程においては、前記センサ素子の前記保護膜が形成されていない側の端部が前記素子ダミーによって支持されるように前記センサ素子を配置する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のガスセンサの組立方法であって、前記素子嵌合工程の後、前記筒状体の下端部であって前記環装部品の直下の位置を前記筒状体の外周側より加締めることにより、前記環装部品を係止する凹部を形成する加締め工程、をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載のガスセンサの組立方法であって、前記ダミー嵌合工程においては前記環装部品としてセラミックスの圧粉体を含む複数種類の部品が前記素子ダミーに嵌め合わされるようになっており、前記環装部品の鉛直方向下端部を鉛直上方へと押圧することにより前記圧粉体が圧縮する押圧工程、をさらに備え、前記押圧工程を前記素子嵌合工程に続いて行い、前記加締め工程においては、前記押圧工程によって前記筒状体の内部において前記環装部品の直下に形成された空隙部分を加締める、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4に記載のガスセンサの組立方法であって、前記ダミー嵌合工程においては、前記押圧工程において前記環装部品の押圧に用いる治具によって嵌め合わされた前記環装部品を下方から支持する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、ガスセンサを組み立てるための装置であって、セラミックスを主構成材料とする長尺状のセンサ素子の形状に類似する形状を有する素子ダミーと、前記素子ダミーを鉛直方向に長手方向を有するように配置するダミー配置手段と、前記素子ダミーに、円板状または円筒状をなし、かつ、前記センサ素子の断面形状に応じた貫通孔を備える環装部品の前記貫通孔を鉛直上方から嵌め合わせる環装部品嵌合手段と、前記環装部品の外周に筒状体を鉛直上方から嵌め合わせる筒状体嵌合手段と、前記素子ダミーの上端部に前記センサ素子を一直線上に当接配置する素子配置手段と、前記素子ダミーを鉛直下方に下降させることによって前記センサ素子を下降させ、前記センサ素子に前記環装部品の前記貫通孔を嵌め合わせる素子嵌合手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載のガスセンサの組立装置であって、前記素子配置手段は、前記センサ素子が一方端部の表面に保護膜を形成したものである場合、前記センサ素子の前記保護膜が形成されていない側の端部が前記素子ダミーによって支持されるように前記センサ素子を当接配置する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7に記載のガスセンサの組立装置であって、前記環装部品の外周に嵌め合われた前記筒状体の下端部であって前記環装部品の直下の位置を前記筒状体の外周側より加締めることにより、前記環装部品を係止する凹部を形成する加締め手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項8に記載のガスセンサの組立装置であって、前記環装部品としてセラミックスの圧粉体を含む複数種類の部品が前記素子ダミーに嵌め合わされる場合において、前記環装部品の鉛直方向下端部を鉛直上方へと押圧することにより前記圧粉体が圧縮する押圧手段、をさらに備え、前記加締め手段は、前記押圧手段によって前記筒状体の内部において前記環装部品の直下に形成された空隙部分を加締める、ことを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項9に記載のガスセンサの組立装置であって、前記押圧手段が、前記環装部品の押圧に用いる治具によって嵌め合わされた前記環装部品を下方から支持する支持手段を兼ねる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし請求項10の発明によれば、ガスセンサの組み立てに際し、環装部品は常に、素子ダミーもしくはセンサ素子に環装された状態となっているので、位置ずれが生じてセンサ素子が組み込めないという不具合の発生が、好適に抑制される。
【0020】
特に、請求項2および請求項7の発明によれば、一方端部に保護膜が形成されてなるセンサ素子を用いる場合であっても、保護膜を傷つけることなくガスセンサの組み立てを好適に行うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<ガスセンサの構成>
図1は、本実施の形態において組立の対象となるガスセンサ(より詳細には、その本体部)1の外観斜視図である。
図2は、係るガスセンサ1の内部の主要構成を示す部分断面図である。本実施の形態において、ガスセンサ1とは、その内部に備わるセンサ素子10(
図2)によって所定のガス成分(例えば、NOx等)を検出するためのものである。
【0023】
なお、センサ素子10は、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスからなる素子体を主たる構成材料とする長尺の柱状あるいは薄板状の部材である。センサ素子10は、第1先端部10aの側にガス導入口や内部空所などを備えるとともに、素子体表面および内部に種々の電極や配線パターンを備えた構成を有する。センサ素子10においては、内部空所に導入された被検ガスが内部空所内で還元ないしは分解されて酸素イオンが発生する。ガスセンサ1においては、素子内部を流れる酸素イオンの量が被検ガス中における当該ガス成分の濃度に比例することに基づいて、係るガス成分の濃度が求められる。なお、
図2において正面を向いている面をセンサ素子10の主面S1と称し、この主面S1と垂直でかつ長手方向に沿う面を側面S2と称する。なお、センサ素子10の表面の、第1先端部10aから長手方向における所定の範囲は、保護膜Pで被覆されてなる(
図2参照)。保護膜Pは、例えばAl
2O
3などからなる厚みが10μm〜2000μm程度の多孔質膜であり、耐熱衝撃保護層とも称される。ただし、
図2における保護膜Pの形成範囲はあくまで例示であって、実際の形成範囲は、センサ素子10の具体的構造に応じて適宜に定められる。
【0024】
ガスセンサ1の外側は、主として、第1カバー2と、固定ボルト3と、第2カバー4とから構成される。
【0025】
第1カバー2は、センサ素子10のうち、使用時に被検ガスに直接に接触する部分、具体的には、ガス導入口11や閉空間12(緩衝空間12a、第1内部空所12b、第2内部空所12c)などが備わる第1先端部10aを保護する、略円筒状の外装部材である。なお、
図2および以降の図面においては、理解の助けのために、ガス導入口11および閉空間12(緩衝空間12a、第1内部空所12b、第2内部空所12c)が主面S1に形成されているように示しているが、実際には、これらの部位は、主面S1において露出しているわけではなく、ガス導入口11がセンサ素子10の
図2における最下端部である第1先端部10aにおいて開口しているのを除き、それぞれ、センサ素子10の内部に設けられてなる。
【0026】
また、より詳細には、第1カバー2は、外側カバー2aと内側カバー(図示省略)との2層構造となっている。外側カバー2aと内側カバーは、それぞれ、一方側が有底の円筒状をしているとともに、側面部分に気体が通過可能な複数の貫通孔が設けられてなる。なお、
図1には、外側カバー2aに設けられた貫通孔H1を例示しているが、これはあくまで例示であって、貫通孔の配置位置および配置個数は、第1カバー2の内部への被測定ガスの流入態様を考慮して適宜に定められてよい。
【0027】
固定ボルト3は、ガスセンサ1を測定位置に固定する際に用いられる環状の部材である。固定ボルト3は、ねじ切りがされたボルト部3aと、ボルト部3aを螺合する際に保持される保持部3bとを備えている。ボルト部3aは、ガスセンサ1の取り付け位置に設けられたナットと螺合する。例えば、自動車の排気管に設けられたナット部にボルト部3aが螺合されることで、ガスセンサ1は、第1カバー2の側が排気管内に露出する態様にて該排気管に固定される。
【0028】
第2カバー4は、ガスセンサ1の他の部位を保護する円筒状部材である。第2カバー4の端部からは、ガスセンサ1と図示しない駆動制御部とを電気的に接続するためのケーブルCが延在している。
【0029】
図2は、ガスセンサ1の内部構成、より具体的には、ガスセンサ1から、
図1に示した第1カバー2と、固定ボルト3と、第2カバー4とを除いた構成を示している。
【0030】
図2に示すように、ガスセンサ1の内部においては、センサ素子10のうち、ガス導入口11等が備わる第1先端部10aとケーブルCとの接続端子13などが備わる第2先端部10bとを除く部分に、ワッシャー7と、3つのセラミックサポータ8(8a、8b、8c)と、2つの圧粉体9(9a、9b)とが、それぞれ、センサ素子10が軸中心に位置する態様にて環装されている。セラミックサポータ8は、セラミックス製の碍子である。一方、圧粉体9は、タルクなどのセラミックス粉末を成型したものである。なお、以降の説明においては、ワッシャー7、セラミックサポータ8、および、圧粉体9を環装部品と総称することがある。
【0031】
図3は、ワッシャー7と、セラミックサポータ8(8a、8b、8c)と、圧粉体9(9a、9b)とをセンサ素子10に環装する様子を概略的に示す図である。
【0032】
係る環装は、
図3に示すように、概略、センサ素子10の保護膜Pが設けられていない側の端部(第2先端部10b)を、セラミックサポータ8c、圧粉体9b、セラミックサポータ8b、圧粉体9a、セラミックサポータ8a、ワッシャー7の順に挿入することによって実現される。各部材は円板状または円柱状をなしているが、係る環装を実現するため、ワッシャー7の軸中心位置には、円形状の貫通孔7hが設けられており、セラミックサポータ8a、圧粉体9a、セラミックサポータ8b、圧粉体9b、セラミックサポータ8cにはそれぞれ、センサ素子10の断面形状に応じた矩形状の貫通孔8ah、9ah、8bh、9bh、8chが設けられている。これらの貫通孔が、センサ素子10と嵌め合わされることで、各部材がセンサ素子10に環装される。なお、セラミックサポータ8cの貫通孔8chと反対側の部分は、貫通孔8chよりも大きな開口を有する開口部8ch’となっている。また、ワッシャー7と、セラミックサポータ8と、圧粉体9とは、同軸に配置される。
【0033】
なお、気密性の確保の観点から、セラミックサポータ8の貫通孔と圧粉体9の貫通孔とは、センサ素子10の設計上の断面サイズとの差が0.25mm〜0.35mmであるように、そして、寸法公差が0.1mmであるように構成される。一方、ワッシャー7の貫通孔7hは、センサ素子10の設計上の断面サイズとの差が最低でも1mm以上1.3mm以下であるように設けられる。また、ワッシャー7と、セラミックサポータ8と、圧粉体9とは、外径の値の差が最大でも0.35mm程度に収まるように構成されてなる。
【0034】
また、
図2に示すように、ワッシャー7、セラミックサポータ8(8a、8b、8c)、および圧粉体9(9a、9b)の外周には、セラミック製の円筒状部材であるハウジング5と金属製の円筒状部材である内筒6とが一体となった円筒状の筒状体(内筒溶接品)30が環装されてなる。以降の説明においては、係る筒状体30が環装された構成のものを組立体40と称する。
【0035】
筒状体30は、内筒6の一端部に備わる、外側へと屈曲する屈曲部6aが、ハウジング5の端面5sに溶接されることで、一体に構成されてなる。また、ハウジング5と内筒6とは、略同じ内径を有するとともに、同軸に接続されてなる。なお、筒状体30の内径は、各環装部品の最大外径の設計値よりも大きく設定されている。
【0036】
また、ハウジング5内部の一方端側にはテーパー部5cが設けられてなり、内筒6のワッシャー7の直上の位置には、内側に向けて窪んだ凹部6bが形成されてなる。これらテーパー部5cと凹部6bとによって、センサ素子10に環装されたワッシャー7、セラミックサポータ8(8a、8b、8c)、および圧粉体9(9a、9b)が筒状体30の内部に係止されてなる。このような係止がなされることによって、組立体40の内部においては、センサ素子10のガス導入口11等が備わる第1先端部10a側とケーブルCとの接続端子13などが備わる第2先端部10bとの間が封止される。これにより、被測定ガス空間と基準ガス空間との間の気密性が確保される。
【0037】
このような構成を有する組立体40が第1カバー2、固定ボルト3、および第2カバー4にて被覆されたものが、ガスセンサ1である。具体的には、ハウジング5の先端の筒状部5aには、第1カバー2が接続される。また、ハウジング5の外周には、突起部(フランジ部)5bと接触する態様にて固定ボルト3が環装される。さらに、係る環装によって形成される、固定ボルト3とハウジング5との間の環状の溝部に嵌め込む態様にて、第2カバー4が取り付けられる。
【0038】
以上のような構成を有することで、ガスセンサ1では、所定位置に取り付けられた状態において、センサ素子10の第1先端部10aの周りの雰囲気(第1カバー2内の雰囲気)と外部の雰囲気とが完全に遮断されるようになっており、これにより、被検ガス中における対象ガス成分の濃度を精度良く測定できるようになっている。
【0039】
<組立体の組立手順>
次に、本実施の形態において行う、組立体40の組立手順について説明する。
図4は、係る組立を行う組立装置100の概略的な構成を示すブロック図である。
【0040】
組立装置100は、CPU101a、ROM101b、RAM101c等から構成され組立装置100全体の動作を制御する制御部101と、組立装置100に対して種々の実行指示などを与えるためのスイッチやボタン、タッチパネルなどからなる入力インタフェースである操作部102と、組立装置100の種々の動作メニューや動作状態などを表示するディスプレイや計器類などの表示部103と、組立装置100の動作プログラム104pや図示しない動作条件データなどが格納される記憶部104とを備える。組立装置100においては、動作プログラム104pが制御部101にて実行されることにより、以下に示す一連の組立動作が自動処理にて行われる。
【0041】
組立装置100は、さらに、実際の組立動作を担う構成要素として、封止治具111の昇降動作を担う封止治具昇降機構110と、素子ダミー121の昇降動作を担うダミー昇降機構120と、環装部品待機部131から環装部品を所定の位置にまで搬送する環装部品搬送機構130と、ハウジング固定治具141の動作を担うハウジング固定治具駆動機構140と、素子待機部151からセンサ素子10を所定の位置にまで搬送する素子搬送機構150と、素子案内治具161の動作を担う素子案内治具駆動機構160と、カシメ治具171の動作を担うカシメ治具駆動機構170と、完成した組立体40を組立体待機部181まで搬送する組立体搬送機構180とを備える。
【0042】
図5ないし
図8は、係る組立装置100を用いて組立体40を組み立てる際の手順を説明するための、組立体40の組立途中の様子を示す模式断面図である。なお、
図5ないし
図8においては、鉛直方向上向きをz軸正方向と表している。
【0043】
まず、
図5(a)に示すように、封止治具111に素子ダミー121が挿通される。
【0044】
封止治具111は、両端が開口してなる円筒状の部材である。封止治具111は、組立装置100内の所定位置(初期位置)において、鉛直方向に長手方向を有するように配置されてなるとともに、
図5において図示しない封止治具昇降機構110によって鉛直方向に昇降自在とされてなる。なお、封止治具111の長手方向に垂直な外径は、ワッシャー7、セラミックサポータ8、および、圧粉体9の外径よりも小さくなっており、封止治具111の内径は、ワッシャー7、セラミックサポータ8、および、圧粉体9の貫通孔の最大サイズよりも大きくなっている。これにより、封止治具111は、その鉛直方向上端側で環装部品を下方から支持できるようになっている。
【0045】
素子ダミー121は、長手方向に垂直な断面の形状が、センサ素子10の長手方向の断面形状に類似する、センサ素子10と同様の長尺板状をなす部材である。素子ダミー121は、
図5において図示しないダミー昇降機構120によって鉛直方向に昇降自在とされてなる。ただし、素子ダミー121は、センサ素子10のようなセラミックスにて設けられる必要はなく、耐久性や耐摩耗性などを勘案した適宜の材料にて設けられてよい。素子ダミー121は、セラミックサポータ8、および、圧粉体9の貫通孔よりも小さいもののセンサ素子10よりもわずかに大きい厚みおよび幅を有してなる。素子ダミー121は、ダミー昇降機構120によって封止治具111の鉛直下方側から封止治具111の内側へと挿通され、鉛直方向に長手方向を有するように配置される。このとき、ダミー昇降機構120は、素子ダミー121を鉛直方向に長手方向を有するように配置するダミー配置手段として機能している。係る場合において、素子ダミー121は、その鉛直方向上端部分と封止治具素子111の鉛直方向上端部分との距離が、全ての環装部品の厚みの総和よりも大きくなる位置にまで、挿入される。
【0046】
係る素子ダミー121の挿入が完了すると、続いて、素子ダミー121に環装部品が環装され、これに続いて筒状体30が環装される。
【0047】
まず、あらかじめ装置外部から搬入されて環装部品待機部131に待機させられていた環装部品を、
図5において図示しない環装部品搬送機構130が、ワッシャー7、セラミックサポータ8a、圧粉体9a、セラミックサポータ8b、圧粉体9b、セラミックサポータ8cの順に素子ダミー121のところまで搬送し、さらに、それぞれの部品の貫通孔を素子ダミー121に嵌め合わせる。これによって、
図5(b)に示すように、素子ダミー121に順次に嵌め合わされた各環装部品が、封止治具111の上端部によって鉛直下方から支持された状態が、実現される。このとき、環装部品搬送機構130は、環装部品の貫通孔を素子ダミー121に嵌合させる環装部品嵌合手段として機能している。
【0048】
係る環装が完了すると、続いて、環装部品搬送機構130が、同じく装置外部から搬入されて環装部品待機部131に待機させられていた筒状体30を、環装部品が環装された素子ダミー121の上方へと搬送し、さらに、内筒6を鉛直方向下側を向けた姿勢にて筒状体30を下降させて、環装部品の外周に嵌め合わせる。これによって、
図5(c)に示すように、筒状体30が嵌め合わされた環装部品が、封止治具111の上端部によって鉛直下方から支持された状態が実現される。このとき、環装部品搬送機構130は、筒状体30を環装部品の外周に嵌合させる筒状体嵌合手段として機能している。
【0049】
より詳細には、環装部品搬送機構130は、ハウジング5の突起部5bがハウジング固定治具141を構成する支持部141aに上方から当接するまで、筒状体30を下降させる。係る当接によって、筒状体30は支持部141aによって鉛直下方から支持されるようになる。換言すれば、鉛直方向における筒状体30の高さ位置は支持部141aによって規定されてなる。そして、係る態様にて突起部5bが支持部141aによって鉛直下方から支持された後、
図5において図示しないハウジング固定治具駆動機構140が、図示しない所定の退避位置に退避していたハウジング固定治具141の可動部141bを、矢印AR1にて示すように、鉛直上方から突起部5bの方へと下降させて突起部5bに当接させる。これによって、
図5(c)に示すように、ハウジング固定治具141によってハウジング5の突起部5bが挟持固定される。すなわち、ハウジング5を含む筒状体30がハウジング固定治具141によって固定された状態が実現される。
【0050】
なお、環装部品搬送機構130による、ワッシャー7、セラミックサポータ8、および、圧粉体9の搬送および素子ダミー121への嵌め合わせ、および、その後に行うそれら環装部品の外周への筒状体30の嵌め合わせは、環装部品搬送機構130が、それぞれの部品の形状や材質に応じた構造や材質を有する相異なる搬送アーム等を備え、それら搬送アーム等を用いて実現される態様であってよい。
【0051】
また、ハウジング固定治具141を構成する支持部141aと可動部141bの形状は、鉛直上下方向からハウジング5の突起部5bを挟持固定できるものであれば、特に限定されない。例えば支持部141aおよび可動部141bがそれぞれに、対称な形状を有する1対の部材から構成されていてもよいし、平面視C字状やU字状をなす一の部材から構成されていてもよい。また、支持部141aと可動部141bとが相異なる形状を有していてもよい。
【0052】
上述した態様にてハウジング5を含む筒状体30が固定されると、続いて、センサ素子10が、
図6(a)に示すように保護膜Pが形成された側の端部(第1先端部10a)を上端側とする姿勢で、素子ダミー121と一直線上に並ぶ位置に当接配置される。係るセンサ素子10の配置は、
図6において図示しない素子搬送機構150が、あらかじめ素子外部から搬入されて素子待機部151に待機させられていたセンサ素子10を、保護膜Pと接触しない態様にて素子ダミー121の上方へと搬送し、さらに、
図6(a)にて矢印AR2にて示すように素子ダミー121の鉛直上方において下降させ、素子ダミー121の上端に当接させることによって実現される。素子搬送機構150は、当該位置にてセンサ素子10を保持する。このとき、素子搬送機構150は、センサ素子10を素子ダミー121の上端部に当接配置する素子配置手段として機能している。
【0053】
なお、素子搬送機構150の具体的な構成は、保護膜Pと接触しない態様でのセンサ素子10搬送および保持が好適に行える限りにおいて、特に限定されない。
【0054】
係るセンサ素子10の配置がなされると、
図6において図示しない素子案内治具駆動機構160が作動することにより、
図6(a)において矢印AR3にて示すように、素子案内治具161がセンサ素子10の側方位置に配置される。素子案内治具161は、次の工程でセンサ素子10を鉛直下方に降下させる際にセンサ素子10を支持および案内するために配置されるものである。それゆえ、素子案内治具161のセンサ素子10と対向する面は、センサ素子10が接触しても傷を付けることのない材質にて形成されてなり、センサ素子10と近接または接触する位置において鉛直方向に延在するように配置される。
【0055】
素子案内治具161が配置されると、素子搬送機構150によるセンサ素子10の保持は解除され、センサ素子10がその下端部(第2先端部10b)を素子ダミー121によって支持された状態となるとともに、
図6において図示しないダミー昇降機構120が再び作動することにより、
図6(b)において矢印AR4にて示すように、素子ダミー121が鉛直下方へと下降させられる。すると、係る下降に呼応して、下端部(第2先端部10b)を素子ダミー121によって支持されていたセンサ素子10も鉛直下方へと下降していく。これにより、環装部品の貫通孔内においては素子ダミー121とセンサ素子10とが順次に入れ替わっていき、結果として、センサ素子10に環装部品が環装された状態が実現される。このとき、ダミー昇降機構121は、センサ素子10に環装部品の貫通孔を嵌め合わせる素子嵌合手段として機能していることになる。
【0056】
係る態様によれば、環装部品は常に、素子ダミー121もしくはセンサ素子10に環装された状態となっているので、環装部品に位置ずれが生じてセンサ素子10が組み込めないという不具合の発生が、好適に抑制される。
【0057】
係るセンサ素子10の下降が一定程度進行し、素子案内治具161による支持および案内がなくともセンサ素子10が鉛直下方に下降していくようになると、素子案内治具駆動機構160が再び作動して、
図6(b)において矢印AR6にて示すように、素子案内治具161をセンサ素子10から離隔させる。これは、保護膜Pが素子案内治具161に接触しないようにするためでもある。
【0058】
素子ダミー121を下降させることによるセンサ素子10の下降は、
図6(c)に示すように、センサ素子10がワッシャー7を貫通し、かつ、センサ素子10の上端部(第1先端部10a)の近傍がハウジング5の上端の位置に到達する状態まで行う。なお、センサ素子10の上端部のハウジング5からの具体的な突出の度合いは、最終的にガスセンサ1が得られた時の突出の度合いが好適なものとなるように調整されるのが好ましい。
【0059】
続いて、
図7において図示しない封止治具昇降機構110が再び作動し、
図7(a)にて矢印AR7にて示すように封止治具111を上昇させることにより、環装部品全体をその下端部側から鉛直上方へと押圧する。すると、圧粉体9(9a、9b)が所定の厚みに圧縮され、筒状体30の内部において、センサ素子10のガス導入口11等が備わる第1先端部10a側とケーブルCとの接続端子13などが備わる第2先端部10bとの間が封止される。これにより、ガスセンサ1における被測定ガス空間と基準ガス空間との間の気密性が確保される。このとき、封止治具111と封止治具昇降機構110とが、圧粉体を圧縮する押圧手段として機能していることになる。
【0060】
係る圧縮を行った結果として、
図7(a)に示すように、素子ダミー121の上端とセンサ素子10の下端とは離隔した状態となる。係る状態となった後、
図7(b)に矢印AR8にて示すように、
図7において図示しないダミー昇降機構120が素子ダミー121をさらに下降させ、素子ダミー121を所定の位置に退避させる。
【0061】
続いて、
図8において図示しないカシメ治具駆動機構170が作動することにより、
図8(a)に矢印AR9にて示すように、カシメ治具171が内筒6に対し側方から接近し、ワッシャー7の直下の高さ位置において、内筒6をその外周側から加締める。上述した封止治具111による圧粉体9の圧縮の結果、内筒6の内部であってワッシャー7の下方には空間が出来ているので、係る加締めがなされることで、
図8(b)に示すように、内筒6には、ワッシャー7の直下の位置に凹部6bが好適に形成される。係る凹部6bが形成されることで、最終的に組立体40を上方から取り出すときに、環装部品が脱落することが防止され、上述したように、筒状体30の内部における環装部品の係止が実現される。このとき、カシメ治具171およびカシメ治具駆動機構170が筒状体30をなす内筒6に環装部品が係止される凹部6bを形成する加締め手段として機能していることになる。
【0062】
上述した凹部6bの形成によって、組立体40が完成したことになる。係る凹部6bの形成後、
図8において図示しないハウジング固定治具駆動機構140が再び作動して、
図8において矢印AR10にて示すようにハウジング固定治具141の可動部141bを所定の退避位置に退避させる。これにより、組立体40は、封止治具111とハウジング固定治具141の支持部141aとによって下方から支持された状態となる。続いて、
図8において図示しない組立体搬送機構180が、
図8において矢印AR11にて示すように組立体40を鉛直上方へと引き上げ、組立体待機部181へと搬送する。なお、組立体搬送機構180の具体的な構成は、これら組立体40の引き上げおよび搬送が好適に行える限りにおいて、特に限定されない。
【0063】
以上により、組立装置100における一連の組立手順が完了する。引き続き別の組立体40を組み立てる場合には、
図5(a)に示した状態から同様の手順が繰り返される。また、得られた組立体40は、組立装置100の外部に供されて、第1カバー2、固定ボルト3、および第2カバー4を取り付けられる。これにより、ガスセンサ(の本体部)1が完成する。
【0064】
以上説明した、本実施の形態において実現される組立体の組み立て手順によれば、環装部品は常に、素子ダミーもしくはセンサ素子に環装された状態となっているので、位置ずれが生じてセンサ素子が組み込めないという不具合の発生が、好適に抑制される。
【0065】
また、開口部が設けられたセンサ素子の第1先端部が環装部品の貫通孔内を通過することがないので、第1先端部側に保護膜が形成されてなるセンサ素子を用いる場合であっても、組立を好適に行うことが出来る。