(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カードの引込と送出とを行うための引込送出機構を有し前記カードをその内部に一時的に保持するカード保持部と、前記引込送出機構を駆動する引込送出駆動機構と、前記カード保持部が搭載されるキャリッジと、前記カード保持部への前記カードの引込方向に直交する水平方向へ前記キャリッジを直線移動させるキャリッジ駆動機構と、前記キャリッジの移動方向を回動の軸方向として前記キャリッジに対して前記カード保持部を回動させる回動機構とを備えることを特徴とするカード搬送機構。
前記回動機構は、前記第1カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第1プーリと、前記第2カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第2プーリと、前記回動用第1プーリと前記回動用第2プーリとに架け渡される回動用ベルトとを備え、
前記回動用モータが回転すると前記回動用ベルトが回転して、前記第1カード保持部と前記第2カード保持部とが一緒に回動することを特徴とする請求項4記載のカード搬送機構。
前記引込送出駆動機構は、前記第1引込送出機構が連結される引込送出用第1プーリと、前記第2引込送出機構が連結される引込送出用第2プーリと、前記引込送出用第1プーリと前記引込送出用第2プーリとに架け渡される引込送出用ベルトとを備え、
前記引込送出用モータが回転すると前記引込送出用ベルトが回転して、前記第1引込送出機構および前記第2引込送出機構が前記カードの引込動作または送出動作を行うことを特徴とする請求項6記載のカード搬送機構。
前記引込送出駆動機構は、前記引込送出用第1プーリと同軸上に配置され前記引込送出用第1プーリと一緒に回転する第1歯車と、前記引込送出用モータから前記第1引込送出機構への動力の伝達経路において前記第1歯車と前記第1引込送出機構との間に配置され前記第1歯車に係合する第1歯車列と、前記引込送出用第2プーリと同軸上に配置され前記引込送出用第2プーリと一緒に回転する第2歯車と、前記引込送出用モータから前記第2引込送出機構への動力の伝達経路において前記第2歯車と前記第2引込送出機構との間に配置され前記第2歯車に係合する第2歯車列とを備え、
前記回動機構は、駆動源となる1台の回動用モータと、前記第1カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第1プーリと、前記第2カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第2プーリと、前記回動用第1プーリと前記回動用第2プーリとに架け渡される回動用ベルトとを備え、
前記回動用モータが回転すると前記回動用ベルトが回転して、前記第1カード保持部と前記第2カード保持部とが一緒に回動し、
前記引込送出用第1プーリと前記回動用第1プーリとは同軸上に配置され、前記引込送出用第2プーリと前記回動用第2プーリとは同軸上に配置され、
前記キャリッジの移動方向の一方を第1方向とすると、前記引込送出用第1プーリと、前記引込送出用第2プーリと、前記引込送出用ベルトと、前記第1歯車と、前記第1歯車列と、前記第2歯車と、前記第2歯車列と、前記回動用第1プーリと、前記回動用第2プーリと、前記回動用ベルトとは、前記キャリッジの移動方向において前記第1カード保持部および前記第2カード保持部よりも第1方向側に配置されるとともに、前記第1歯車列を構成する歯車は、前記第1カード保持部に回転可能に保持され、前記第2歯車列を構成する歯車は、前記第2カード保持部に回転可能に保持され、
前記キャリッジの移動方向から見たときに、前記第1カード保持部の回動中心と前記第2カード保持部の回動中心とを結ぶ仮想線の中点に対して、前記第1カード保持部と前記第2カード保持部とが点対称に配置されるとともに、前記第1歯車列と前記第2歯車列とが点対称に配置されていることを特徴とする請求項7記載のカード搬送機構。
請求項1から10のいずれかに記載のカード搬送機構と、発行前の前記カードが収容されるカード収容部と、発行される前記カードを取り出すためのカード取出部とを備えることを特徴とするカード発行装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカード発行装置は、カード搬送部を備えているため、水平方向(具体的には、カードの短手方向)へカードを搬送することが可能である。また、このカード発行装置は、カード回転部を備えているため、カード回転部を利用して水平方向に対してカードの長手方向を傾けることが可能になり、カードに対して様々な処理を行うことが可能である。しかしながら、このカード発行装置では、キャリッジを有するカード搬送部と、取付部材を有するカード回転部とが別々に設けられて本体ベースに載置されているため、本体ベースの面積が広くなり、その結果、カード発行装置の設置面積が広くなる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カードを水平方向へ搬送すること、および、カードを水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能であっても、搭載される上位装置の設置面積を低減することが可能なカード搬送機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるカード搬送機構を備えるカード発行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカード搬送機構は、カードの引込と送出とを行うための引込送出機構を有しカードをその内部に一時的に保持するカード保持部と、引込送出機構を駆動する引込送出駆動機構と、カード保持部が搭載されるキャリッジと、カード保持部へのカードの引込方向に直交する水平方向へキャリッジを直線移動させるキャリッジ駆動機構と、キャリッジの移動方向を回動の軸方向としてキャリッジに対してカード保持部を回動させる回動機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のカード搬送機構は、カード保持部が搭載されるキャリッジを水平方向へ直線移動させるキャリッジ駆動機構を備えるとともに、キャリッジの移動方向を回動の軸方向としてキャリッジに対してカード保持部を回動させる回動機構とを備えている。そのため、本発明では、カード保持部に保持されるカードを水平方向へ搬送すること、および、カード保持部に保持されるカードを水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能になる。また、本発明では、キャリッジに搭載されるカード保持部を水平方向へ直線移動させるとともにキャリッジの移動方向を回動の軸方向として回動させているため、水平方向へ直線移動するカード保持部とキャリッジの移動方向を回動の軸方向として回動するカード保持部とが別々に設けられている場合と比較して、カード搬送機構の大きさを小さくして、カード搬送機構の設置面積を低減することが可能になる。したがって、本発明では、カードを水平方向へ搬送すること、および、カードを水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能であっても、カード搬送機構が搭載される上位装置の設置面積を小さくすることが可能になる。
【0009】
本発明において、カード搬送機構は、上下方向で重なるように配置される2個以上のカード保持部を備え、回動機構によってカード保持部が所定位置まで回動すると、上下方向においてカード保持部間でカードの受渡しが可能になることが好ましい。このように構成すると、上下方向へのカードの搬送が可能になる。
【0010】
本発明において、2個以上のカード保持部は、上下方向で重なるように共通のキャリッジに搭載されていることが好ましい。このように構成すると、2個以上のカード保持部のそれぞれが搭載されるキャリッジが個別に設けられている場合と比較して、カード搬送機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0011】
本発明において、カード搬送機構は、カード保持部として、第1カード保持部と第2カード保持部との2個のカード保持部を備え、回動機構は、駆動源となる1台の回動用モータを備え、回動用モータが回転すると、第1カード保持部と第2カード保持部とが一緒に回動することが好ましい。このように構成すると、1台の回動用モータによって、第1カード保持部と第2カード保持部とを回動させることができるため、回動機構の構成を簡素化することが可能になる。また、このように構成すると、1台の回動用モータを制御することで、上下方向において第1カード保持部と第2カード保持部との間でカードの受渡しが行われる際の第1カード保持部と第2カード保持部との位置合わせを行うことが可能になるため、上下方向でカードを搬送する際のカード搬送機構の制御が容易になる。
【0012】
本発明において、たとえば、回動機構は、第1カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第1プーリと、第2カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第2プーリと、回動用第1プーリと回動用第2プーリとに架け渡される回動用ベルトとを備え、回動用モータが回転すると回動用ベルトが回転して、第1カード保持部と第2カード保持部とが一緒に回動する。
【0013】
本発明において、カード搬送機構は、カード保持部として、第1カード保持部と第2カード保持部との2個のカード保持部を備え、第1カード保持部は、引込送出機構として第1引込送出機構を備え、第2カード保持部は、引込送出機構として第2引込送出機構を備え、引込送出駆動機構は、駆動源となる1台の引込送出用モータを備え、引込送出用モータが回転すると、第1引込送出機構および第2引込送出機構がカードの引込動作または送出動作を行うことが好ましい。このように構成すると、1台の引込送出用モータによって、第1引込送出機構および第2引込送出機構によるカードの引込動作または送出動作を行うことができるため、引込送出駆動機構の構成を簡素化することが可能になる。また、このように構成すると、第1引込送出機構によるカードの送出動作と第2引込送出機構によるカードの引込動作とを容易に同期させること、および、第2引込送出機構によるカードの送出動作と第1引込送出機構によるカードの引込動作とを容易に同期させることが可能になるため、上下方向において第1カード保持部と第2カード保持部との間でカードの受渡しを行う際に、第1カード保持部と第2カード保持部との間で容易かつ円滑にカードを受け渡すことが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、引込送出駆動機構は、第1引込送出機構が連結される引込送出用第1プーリと、第2引込送出機構が連結される引込送出用第2プーリと、引込送出用第1プーリと引込送出用第2プーリとに架け渡される引込送出用ベルトとを備え、引込送出用モータが回転すると引込送出用ベルトが回転して、第1引込送出機構および第2引込送出機構がカードの引込動作または送出動作を行う。
【0015】
本発明において、引込送出駆動機構は、引込送出用第1プーリと同軸上に配置され引込送出用第1プーリと一緒に回転する第1歯車と、引込送出用モータから第1引込送出機構への動力の伝達経路において第1歯車と第1引込送出機構との間に配置され第1歯車に係合する第1歯車列と、引込送出用第2プーリと同軸上に配置され引込送出用第2プーリと一緒に回転する第2歯車と、引込送出用モータから第2引込送出機構への動力の伝達経路において第2歯車と第2引込送出機構との間に配置され第2歯車に係合する第2歯車列とを備え、回動機構は、駆動源となる1台の回動用モータと、第1カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第1プーリと、第2カード保持部に固定される回動軸に固定される回動用第2プーリと、回動用第1プーリと回動用第2プーリとに架け渡される回動用ベルトとを備え、回動用モータが回転すると回動用ベルトが回転して、第1カード保持部と第2カード保持部とが一緒に回動し、引込送出用第1プーリと回動用第1プーリとは同軸上に配置され、引込送出用第2プーリと回動用第2プーリとは同軸上に配置され、キャリッジの移動方向の一方を第1方向とすると、引込送出用第1プーリと、引込送出用第2プーリと、引込送出用ベルトと、第1歯車と、第1歯車列と、第2歯車と、第2歯車列と、回動用第1プーリと、回動用第2プーリと、回動用ベルトとは、キャリッジの移動方向において第1カード保持部および第2カード保持部よりも第1方向側に配置されるとともに、第1歯車列を構成する歯車は、第1カード保持部に回転可能に保持され、第2歯車列を構成する歯車は、第2カード保持部に回転可能に保持され、キャリッジの移動方向から見たときに、第1カード保持部の回動中心と第2カード保持部の回動中心とを結ぶ仮想線の中点に対して、第1カード保持部と第2カード保持部とが点対称に配置されるとともに、第1歯車列と第2歯車列とが点対称に配置されていることが好ましい。
【0016】
このように構成すると、引込送出用第1プーリと引込送出用第2プーリと引込送出用ベルトと第1歯車と第1歯車列と第2歯車と第2歯車列と回動用第1プーリと回動用第2プーリと回動用ベルトとが、キャリッジの移動方向において第1カード保持部および第2カード保持部よりも第1方向側に配置されているため、たとえば、引込送出用第1プーリと引込送出用第2プーリと引込送出用ベルトと第1歯車と第1歯車列と第2歯車と第2歯車列とがキャリッジの移動方向において第1カード保持部および第2カード保持部よりも第1方向側に配置され、回動用第1プーリと回動用第2プーリと回動用ベルトとがキャリッジの移動方向において第1カード保持部および第2カード保持部よりも第1方向の反対側に配置されている場合と比較して、カード搬送機構のメンテナンスが容易になる。
【0017】
また、このように構成すると、キャリッジの移動方向から見たときに、回動用第1プーリの回転中心と回動用第2プーリの回転中心とを結ぶ仮想線の中点に対して、第1カード保持部と第2カード保持部とが点対称に配置されるとともに、第1歯車列と第2歯車列とが点対称に配置されているため、引込送出用第1プーリと引込送出用第2プーリと引込送出用ベルトと第1歯車と第1歯車列と第2歯車と第2歯車列と回動用第1プーリと回動用第2プーリと回動用ベルトとが、キャリッジの移動方向において第1カード保持部および第2カード保持部よりも第1方向側に配置されていても、また、第1歯車列が取り付けられた第1カード保持部と第2歯車列が取り付けられた第2カード保持部とが同形状に形成されていても、第1カード保持部および第2カード保持部が回動する際の、第1歯車列および第2歯車列と、回動用ベルトとの干渉を防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、カード搬送機構は、キャリッジの移動方向へキャリッジを案内するガイド軸と、ガイド軸の両端側を支持する支持フレームとを備え、引込送出駆動機構は、支持フレームに固定される引込送出用モータと、キャリッジの移動方向における両端側が支持フレームに回転可能に支持されるとともに多角柱状に形成される引込送出用動力伝達軸と、引込送出用モータの動力を引込送出用動力伝達軸に伝達して引込送出用動力伝達軸を回転させる引込送出用第1動力伝達機構と、引込送出用動力伝達軸に伝達された動力を引込送出機構に伝達する引込送出用第2動力伝達機構とを備え、回動機構は、支持フレームに固定される回動用モータと、キャリッジの移動方向における両端側が支持フレームに回転可能に支持されるとともに多角柱状に形成される回動用動力伝達軸と、回動用モータの動力を回動用動力伝達軸に伝達して回動用動力伝達軸を回転させる回動用第1動力伝達機構と、回動用動力伝達軸に伝達された動力をカード保持部に伝達する回動用第2動力伝達機構とを備えることが好ましい。
【0019】
このように構成すると、引込送出用モータおよび回動用モータが支持フレームに固定されており、引込送出用モータおよび回動用モータがキャリッジに搭載されていないため、引込送出用モータおよび回動用モータに電力を供給したり、引込送出用モータおよび回動用モータを制御したりするためのケーブルをキャリッジから引き出す必要がなくなる。したがって、引込送出用モータに接続されるケーブルの引回し処理および回動用モータに接続されるケーブルの引回し処理を容易に行うことが可能になる。
【0020】
本発明において、カード搬送機構は、ガイド軸として、支持フレームの上端側部分に支持される第1ガイド軸と、支持フレームの下端側部分に支持される第2ガイド軸とを備え、キャリッジの移動方向と上下方向とに直交する方向を第2方向とすると、第1ガイド軸は、支持フレームの、第2方向の一方側の部分に支持され、引込送出用動力伝達軸および回動用動力伝達軸のいずれか一方は、支持フレームの下端側部分に回転可能に支持され、引込送出用動力伝達軸および回動用動力伝達軸のいずれか他方は、支持フレームの、上端側かつ第2方向の一方側の部分に回転可能に支持されていることが好ましい。このように構成すると、支持フレームの上端側に支持される引込送出用動力伝達軸および回動用動力伝達軸のいずれか他方と、第1ガイド軸とが第2方向の一方側に配置されているため、たとえば、カード搬送機構がカード発行装置に搭載されてカード搬送機構の周囲にカードを処理するためのカード処理部が配置されていても、カード搬送機構やカード処理部のメンテナンスを行う際に、作業員は、カード搬送機構の上側からカード搬送機構の下端側に向かって容易に手を入れることが可能になる。したがって、カード搬送機構やカード処理部のメンテナンスを容易に行うことが可能になる。
【0021】
本発明のカード搬送機構は、発行前のカードが収容されるカード収容部と、発行されるカードを取り出すためのカード取出部とを備えるカード発行装置に用いることができる。このカード発行装置では、カードを水平方向へ搬送すること、および、カードを水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能であっても、カード搬送機構の設置面積を低減することが可能になるため、カード発行装置の設置面積を小さくすることが可能になる。また、このカード発行装置では、キャリッジを水平方向へ直線移動させながら、キャリッジに対してカード保持部を回動させることが可能になるため、カードの発行処理にかかる時間を短縮することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明では、カード搬送機構によって、カードを水平方向へ搬送すること、および、カードを水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能であっても、カード搬送機構が搭載されるカード発行装置等の上位装置の設置面積を低減することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(カード発行装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカード発行装置1を別の角度から示す斜視図である。
図3は、
図1に示すカード発行装置1で使用されるカード2を説明するための図である。
【0026】
本形態のカード発行装置1は、カード2(
図3参照)に記録されたデータの再生やカード2へのデータの記録を行う2台のカードリーダ3、4と、カード2への印字を行うプリンタ5と、カード2にラベル(シール)を貼り付けるラベル貼付機(ラベラー)6と、発行前のカード2が収容される5個のカード収容部7と、発行されるカード2を取り出すためのカード取出部8と、不要となったカード2が回収されるカード回収部9と、これらの構成の間でカード2を搬送するためのカード搬送機構10とを備えている。
【0027】
カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の略長方形状の塩化ビニール製のカードである。カード2の裏面2aには、磁気データが記録される磁気ストライプ2bが形成されている。カード2のおもて面2cには、磁気データが記録される磁気ストライプ2dが形成されている。磁気ストライプ2b、2dは、JIS規格「JISX6302−2」で規定される磁気ストライプである。また、カード2のおもて面2cには、磁気データが記録される磁気ストライプ2eが形成されている。磁気ストライプ2eは、カード2の長手方向に沿って形成されるとともに、カード2の短手方向において、磁気ストライプ2dと所定の隙間をあけた状態で形成されている。すなわち、本形態では、カード2のおもて面2cに2個の磁気ストライプ2d、2eが形成されており、本形態のカード2は、いわゆるダブルストライプ型カードである。
【0028】
なお、カード2の裏面2aに、2個の磁気ストライプが形成されても良い。すなわち、カード2は、その裏面2aに2個の磁気ストライプが形成されたダブルストライプ型カードであっても良い。また、カード2は、裏面2aおよびおもて面2cに1個の磁気ストライプが形成されたカードであっても良い。また、カード2には、ICチップが内蔵されても良い。この場合には、ICチップが電気的に接続される端子部がカード2のおもて面2cに形成されるか、あるいは、アンテナが内蔵される。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0029】
以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、Z方向が鉛直方向と一致しているため、Z方向を上下方向とする。また、X方向を左右方向とし、Y方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0030】
カードリーダ3、4は、左右方向で隣接するように配置されている。本形態では、左側にカードリーダ3が配置され、右側にカードリーダ4が配置されている。また、カードリーダ3、4は、カード発行装置1の前端側に配置されている。カードリーダ3とカードリーダ4とは、同様に構成されている。すなわち、カードリーダ3とカードリーダ4とは同一の構成部品が同様に配置されることで構成されている。同様に構成されるカードリーダ3とカードリーダ4とは、前後方向における向きが互いに逆向きとなるように配置されている。すなわち、上下方向から見たときに、カードリーダ3の中心とカードリーダ4の中心とを結ぶ仮想線の中点に対して、カードリーダ3とカードリーダ4とは、点対称に配置されている。また、カードリーダ3、4の内部には、カード搬送路が形成されるとともに、カードリーダ3、4は、カード2の搬送機構を備えており、カード2が前後方向で搬送されるようにカードリーダ3、4が配置されている。カードリーダ3、4では、カード2の長手方向と前後方向とが一致した状態でカード2が搬送される。
【0031】
カードリーダ3、4は、カード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッド(図示省略)を備えている。本形態では、カードリーダ3の磁気ヘッドによって、磁気ストライプ2b、2dに記録された磁気データの読取や磁気ストライプ2b、2dへの磁気データの記録が行われ、カードリーダ4の磁気ヘッドによって、磁気ストライプ2eに記録された磁気データの読取や磁気ストライプ2eへの磁気データの記録が行われる。
【0032】
なお、カードリーダ3は、カード2の裏面2aに形成される磁気ストライプ2bに対する磁気データの読取や記録を行う磁気ヘッドと、カード2のおもて面2cに形成される磁気ストライプ2dに対する磁気データの読取や記録を行う磁気ヘッドとの2個の磁気ヘッドを備えている。カードリーダ3とカードリーダ4とは、同様に構成されているため、カードリーダ4も2個の磁気ヘッドを備えているが、カードリーダ4は、カード2のおもて面2cに形成される磁気ストライプ2eに対する磁気データの読取や記録を行う磁気ヘッドを備えていれば良いため、カードリーダ4が備える磁気ヘッドは1個であっても良い。また、カード2にICチップが内蔵される場合には、カードリーダ3またはカードリーダ4の一方のみが、カード2とデータの通信を行うためのIC接点やアンテナを備えていれば良い。たとえば、カードリーダ3のみがIC接点やアンテナを備えていれば良い。このように、カードリーダ3の構成とカードリーダ4の構成とが異なっていても良い。
【0033】
プリンタ5とラベラー6とは、左右方向で隣接するように配置されている。本形態では、右側にプリンタ5が配置され、左側にラベラー6が配置されている。また、本形態のカード発行装置1は、いわゆる2階建て構造となっており、プリンタ5およびラベラー6は、カード発行装置1の前端側に配置されるとともに、カードリーダ3、4の上側に配置されている。すなわち、カードリーダ3、4と、プリンタ5およびラベラー6とは、上下方向で重なっている。また、カードリーダ3の上側にラベラー6が配置され、カードリーダ4の上側にプリンタ5が配置されている。
【0034】
プリンタ5の内部には、カード搬送路が形成されるとともに、プリンタ5は、カード2の搬送機構を備えており、カード2が前後方向で搬送されるようにプリンタ5が配置されている。また、ラベラー6の内部には、カード搬送路が形成されるとともに、ラベラー6は、カード2の搬送機構を備えており、カード2が前後方向で搬送されるようにラベラー6が配置されている。プリンタ5およびラベラー6では、カード2の長手方向と前後方向とが一致した状態でカード2が搬送される。
【0035】
5個のカード収容部7のうちの3個のカード収容部7は、左右方向で隣接するように配置されている。また、この3個のカード収容部7は、カード発行装置1の後端側に配置されている。カード取出部8とカード回収部9とは上下方向で重なるように配置されており、残りの2個のカード収容部7と、カード取出部8およびカード回収部9とは、左右方向で隣接するように配置されている。また、本形態のカード発行装置1は、上述のように、いわゆる2階建て構造となっており、この2個のカード収容部7、カード取出部8およびカード回収部9は、カード発行装置1の後端側に配置されるとともに、左右方向で隣接配置される3個のカード収容部7の上側に配置されている。本形態では、カード取出部8が上側に配置され、カード回収部9が下側に配置されている。また、カード取出部8およびカード回収部9は、左右方向で隣接配置される3個のカード収容部7のうちの、左端に配置されるカード収容部7の上側に配置されている。
【0036】
カード収容部7は、発行前の複数のカード2が積層されて収容される収容箱と、収容箱の下側に配置されるカード2の送出機構とを備えている。収容箱は、その上端および後端側が開口する箱状に形成されている。収容箱には、カード2の長手方向と前後方向とが一致し、かつ、カード2の短手方向と左右方向とが一致するようにカード2が収容されている。送出機構は、たとえば、収容箱の中の一番下のカード2の後端に当接してカード2を送り出す送出爪と、この送出爪の駆動機構とを備えており、収容箱に収容されたカード2を前側に向かって1枚ずつ送り出す。収容箱の前側面の下端側には、送出機構で送り出されるカード2が通過する送出孔が形成されている。カード取出部8およびカード回収部9は、上面が開口する箱状に形成されている。
【0037】
カード搬送機構10は、前後方向におけるカード発行装置1の中間位置に配置されており、前後方向において、カードリーダ3、4、プリンタ5およびラベラー6と、5個のカード収容部7、カード取出部8およびカード回収部9とに挟まれるように、前後方向におけるカードリーダ3、4、プリンタ5およびラベラー6と、5個のカード収容部7、カード取出部8およびカード回収部9との間に配置されている。以下、カード搬送機構10の具体的な構成を説明する。
【0038】
(カード搬送機構の構成)
図4は、
図1に示すカード搬送機構10の斜視図である。
図5は、
図4に示すカード搬送機構10から側板28を取り外した状態を反対側から示す斜視図である。
図6は、
図5に示す引込送出駆動機構23および回動機構24の構成を説明するための側面図である。
図7は、
図5に示す引込送出機構22および引込送出駆動機構23の一部の構成を説明するための図である。
図8は、
図5に示すカード保持部15、16の回動動作を説明するための図である。
【0039】
カード搬送機構10は、カード2をその内部に一時的に保持する2個のカード保持部15、16と、カード保持部15、16が搭載されるキャリッジ17と、水平方向へキャリッジ17を直線移動させるキャリッジ移動機構18と、キャリッジ17の移動方向へキャリッジ17を案内する2本のガイド軸19、20と、ガイド軸19、20の両端側を支持する支持フレーム21とを備えている。本形態では、キャリッジ17は、左右方向へ移動する。すなわち、本形態の左右方向(X方向)は、キャリッジ17の移動方向である。
【0040】
カード保持部15、16は、カード2の引込と送出を行うための引込送出機構22を備えている。すなわち、カード保持部15、16は、カード保持部15、16の内部へカード2を引き込むとともに、カード保持部15、16の内部からカード2を送り出すための引込送出機構22を備えている。また、カード搬送機構10は、引込送出機構22を駆動する引込送出駆動機構23と、キャリッジ17に対してカード保持部15、16を回動させる回動機構24とを備えている。
【0041】
支持フレーム21は、前後方向(Y方向)と上下方向(Z方向)とから構成されるYZ平面と平行な平板状に形成され左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置される2枚の側板26と、2枚の側板26の下端側同士を繋ぐ2枚の連結板27とを備えている。側板26は、略五角形状に形成されている。側板26の上端面および下端面は、左右方向(X方向)と前後方向(Y方向)とから構成されるXY平面と平行になっており、側板26の後端面は、上下方向(Z方向)と左右方向(X方向)とから構成されるZX平面と平行になっている。側板26の前端面の下端側部分は、ZX平面と平行になっている。側板26の前端面の上端側部分は、上側に向かうにしたがって後ろ側へ向かうように傾斜している。
【0042】
ガイド軸19、20は、細長い円柱状に形成されている。このガイド軸19、20は、その軸方向と左右方向とが一致するように2枚の側板26に固定されて支持されている。ガイド軸19は、2枚の側板26の上端側かつ後端側の部分に支持されている。ガイド軸20は、2枚の側板26の下端側かつ前端側の部分に支持されている。本形態のガイド軸19は、第1ガイド軸であり、ガイド軸20は、第2ガイド軸である。また、本形態では、前後方向は、キャリッジ17の移動方向である左右方向と上下方向とに直交する第2方向であり、ガイド軸19は、第2方向の一方側の部分(具体的には、支持フレーム21の後端側部分)に支持されている。
【0043】
キャリッジ17は、YZ平面と平行な平板状に形成され左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置される2枚の側板28、29と、2枚の側板28、29を繋ぐ4本の連結軸30とを備えている。側板28は、キャリッジ17の右側面を構成し、側板29は、キャリッジ17の左側面を構成している。連結軸30は、その軸方向と左右方向とが一致するように配置されており、連結軸30の両端側は、側板28、29に固定されている。側板28、29には、左右方向に貫通する2個の貫通孔が形成されており、この貫通孔には、略円筒状に形成されるガイドブッシュ31が取り付けられている。ガイドブッシュ31の内周側には、ガイド軸19、20が挿通されている。
【0044】
カード保持部15とカード保持部16とは、上下方向で重なるように配置されている。すなわち、カード保持部15とカード保持部16とは、上下方向で重なるように共通のキャリッジ17に搭載されている。本形態では、カード保持部15が上側に配置され、カード保持部16が下側に配置されている。カード保持部15、16は、同様に構成されている。すなわち、カード保持部15とカード保持部16とは、同一の構成部品が同様に配置されることで構成されており、同形状に形成されている。また、カード保持部15とカード保持部16とは、前後方向および左右方向において同じ位置に配置されている。
【0045】
カード保持部15、16の外形は、全体として略直方体のブロック状に形成されている。カード保持部15、16は、上述のように、引込送出機構22を備えている。カード保持部15、16の内部には、引込送出機構22によって引き込まれるまたは送り出されるカード2が搬送されるカード搬送路32が直線状に形成されている(
図7参照)。カード保持部15、16の左右の両側面には、左右方向の外側に向かって突出する回動軸33が固定されている。
【0046】
回動軸33は、その軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。また、回動軸33は、カード保持部15、16の中心位置から左右方向の外側に向かって突出するように形成されている。この回動軸33は、キャリッジ17の側板28、29に回動可能に支持されており、カード保持部15、16は、キャリッジ17に対して、回動軸33を中心に回動可能となっている。また、カード保持部15に固定される回動軸33と、カード保持部16に固定される回動軸33とは、前後方向および左右方向において同じ位置に配置されている。
【0047】
引込送出機構22は、2個の駆動ローラ34と、駆動ローラ34に対向配置される2個のパッドローラ35とを備えている。パッドローラ35は、駆動ローラ34に向かって付勢されている。駆動ローラ34は、カード2の厚さ方向におけるカード搬送路32の一方側からカード搬送路32に臨むように配置され、パッドローラ35は、カード2の厚さ方向におけるカード搬送路32の他方側からカード搬送路32に臨むように配置されている。
【0048】
また、駆動ローラ34とパッドローラ35は、カード2の搬送方向におけるカード搬送路32の両端側のそれぞれに配置されている。2個の駆動ローラ34の間隔(すなわち、2個のパッドローラ35の間隔)は、カード2の長手方向の長さよりも短くなっており、2個の駆動ローラ34およびパッドローラ35によって、カード保持部15、16の内部に取り込まれた状態のカード2の両端側を挟持することが可能となっている。カード2は、駆動ローラ34とパッドローラ35との間に挟まれた状態で、カード保持部15、16の内部に引き込まれたり、カード保持部15、16の内部から送り出される。
【0049】
駆動ローラ34は、回転軸36に固定されている。回転軸36は、その軸方向と左右方向とが一致するように、カード保持部15、16の本体部に回転可能に保持されている。
図7に示すように、回転軸36には、プーリ37が固定されている。カード2の搬送方向におけるカード搬送路32の両端側のそれぞれに配置される2個のプーリ37には、ベルト38が架け渡されている。なお、本形態のカード保持部15は、第1カード保持部であり、カード保持部16は、第2カード保持部である。また、本形態では、カード保持部15が有する引込送出機構22は、第1引込送出機構であり、カード保持部16が有する引込送出機構22は、第2引込送出機構である。
【0050】
キャリッジ移動機構18は、駆動源となる1台のモータ42と、モータ42の出力軸に固定されるプーリ43と、連結板27に回転可能に支持される回転軸44と、回転軸44に固定されるプーリ45と、プーリ43、45に架け渡されるベルト46とを備えている。モータ42は、その出力軸が前側へ突出するように連結板27に固定されている。回転軸44は、その軸方向と前後方向とが一致するように、左右方向における連結板27の中間部分に回転可能に支持されている。
【0051】
左右方向における連結板27の両端側のそれぞれには、固定軸47が固定されている。固定軸47は、その軸方向と前後方向とが一致するように連結板27に固定されている。固定軸47には、プーリ48が回転可能に保持されている。また、回転軸44には、図示を省略するプーリが固定されている。このプーリと、2個のプーリ48とには、ベルト49が架け渡されている。ベルト49の一部は、キャリッジ17の下端側に固定されている。カード搬送機構10では、モータ42が回転してベルト49が回転すると、キャリッジ17が、ガイド軸19、20に案内されて2枚の側板26の間で左右方向へ移動する。
【0052】
引込送出駆動機構23は、駆動源となる1台のモータ52と、細長い多角柱状に形成される1本の動力伝達軸53と、カード保持部15、16の右側面から右側へ突出する回動軸33に回転可能に保持されるプーリ54と、この回動軸33に回転可能に保持されプーリ54と一緒に回転する歯車55(
図7参照)と、モータ52から引込送出機構22への動力伝達経路において歯車55と引込送出機構22との間に配置され歯車55に係合する歯車列56とを備えている。
【0053】
本形態のモータ52は、引込送出用モータであり、動力伝達軸53は、引込送出用動力伝達軸である。また、カード保持部15の右側面から右側へ突出する回動軸33に回転可能に保持されるプーリ54は、カード保持部15の引込送出機構22に連結される引込送出用第1プーリであり、このプーリ54と一緒に回転する歯車55は、第1歯車であり、モータ52からカード保持部15の引込送出機構22への動力伝達経路においてこの歯車55と引込送出機構22との間に配置される歯車列56は、第1歯車列である。また、カード保持部16の右側面から右側へ突出する回動軸33に回転可能に保持されるプーリ54は、カード保持部16の引込送出機構22に連結される引込送出用第2プーリであり、このプーリ54と一緒に回転する歯車55は、第2歯車であり、モータ52からカード保持部16の引込送出機構22への動力伝達経路においてこの歯車55と引込送出機構22との間に配置される歯車列56は、第2歯車列である。
【0054】
モータ52は、支持フレーム21の下端側部分に固定されている。また、モータ52は、その出力軸が支持フレーム21から右側へ突出するように支持フレーム21の右端側部分に固定されている。動力伝達軸53は、細長い六角柱状に形成されており、その軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。動力伝達軸53の左右方向の両端側は、支持フレーム21に回転可能に支持されている。すなわち、動力伝達軸53の左右方向の両端側は、側板26に回転可能に支持されている。また、動力伝達軸53は、ガイド軸20の斜め後ろ下側に隣接配置されており、2枚の側板26の下端側かつ前端側の部分に回動可能に支持されている。
【0055】
モータ52の出力軸には、プーリ58が固定されている。動力伝達軸53の右端側には、プーリ59が固定されている。プーリ58とプーリ59とにはベルト60が架け渡されている。本形態では、プーリ58、59およびベルト60によって、引込送出用モータであるモータ52の動力を引込送出用動力伝達軸である動力伝達軸53に伝達して動力伝達軸53を回転させる引込送出用第1動力伝達機構が構成されている。
【0056】
キャリッジ17の側板28には、引込送出駆動機構23の一部を構成するプーリ61が回転可能に保持されている(
図5参照)。プーリ61の内周側には、動力伝達軸53が挿通されている。プーリ61の内周面の、左右方向に直交する断面の形状は、動力伝達軸53の形状に応じた六角形状に形成されており、動力伝達軸53が回転すると、動力伝達軸53の動力がプーリ61に伝達されてプーリ61が回転する。カード保持部15に固定される回動軸33に回転可能に保持されるプーリ54と、カード保持部16に固定される回動軸33に回転可能に保持されるプーリ54と、プーリ61とには、ベルト62が架け渡されている。本形態のベルト62は、引込送出用ベルトである。
【0057】
歯車55は、プーリ54と一体で形成されており、歯車55と同軸上に配置されている。また、歯車55は、左側からプーリ54に隣接するように形成されている。歯車列56は、歯車55と噛み合う歯車63と、歯車63と噛み合う歯車64とから構成されている。歯車63は、カード保持部15、16の右側面から右側へ突出する固定軸65に回転可能に保持されている。固定軸65は、その軸方向と左右方向とが一致するようにカード保持部15、16の右側面に固定されている。歯車64は、回転軸36に固定されている。具体的には、回転軸36の右端側は、カード保持部15、16の右側面よりも右側へ突出しており、歯車64は、回転軸36の、カード保持部15、16の右側面よりも右側へ突出している部分に固定されている。
【0058】
上述のように、プーリ54および歯車55は、カード保持部15、16の右側面から右側へ突出する回動軸33に回転可能に保持されている。また、歯車63は、カード保持部15、16の右側面から右側へ突出する固定軸65に回転可能に保持されている。さらに、歯車64は、回転軸36の、カード保持部15、16の右側面よりも右側へ突出している部分に固定されている。すなわち、プーリ54、ベルト62および歯車55、63、64は、カード保持部15、16よりも右側に配置されている。また、歯車63は、固定軸65を介してカード保持部15、16に回転可能に保持され、歯車64は、回転軸36を介してカード保持部15、16に回転可能に保持されている。すなわち、歯車列56を構成する歯車63、64は、カード保持部15、16に回転可能に保持されている。
【0059】
本形態では、2個のプーリ54とプーリ61とベルト62と歯車55と歯車列56とによって引込送出用動力伝達軸である動力伝達軸53に伝達された動力を引込送出機構22に伝達する引込送出用第2動力伝達機構が構成されている。また、本形態の右方向(X1方向)は、キャリッジ17の移動方向における一方で第1方向である。なお、引込送出駆動機構23は、ベルト62に張力を発生させるための2個のテンションプーリ66を備えている。2個のテンションプーリ66は、カード保持部16に固定される回動軸33に保持されるプーリ54の上下の両側に隣接するように配置されている。また、テンションプーリ66は、キャリッジ17の側板28に固定される固定軸に回転可能に保持されている。
【0060】
カード搬送機構10では、モータ52が回転すると、動力伝達軸53、プーリ54、61、ベルト62および歯車55、63、64等が回転して、カード保持部15の駆動ローラ34とカード保持部16の駆動ローラ34が同方向へ回転する。駆動ローラ34が回転すると、カード保持部15の引込送出機構22およびカード保持部16の引込送出機構22が、カード保持部15、16の内部にカード2を引き込んだり、カード保持部15、16の内部のカード2を送り出したりする。すなわち、モータ52が回転すると、カード保持部15、16の引込送出機構22がカード2の引込動作またはカード2の送出動作を行う。
【0061】
回動機構24は、駆動源となる1台のモータ71(
図4参照)と、細長い多角柱状に形成される1本の動力伝達軸72と、カード保持部15、16の右側面から右側へ突出する回動軸33に固定されるプーリ73とを備えている。本形態のモータ71は、回動用モータであり、動力伝達軸72は、回動用動力伝達軸である。また、カード保持部15の右側面から右側へ突出する回動軸33に固定されるプーリ54は、回動用第1プーリであり、カード保持部16の右側面から右側へ突出する回動軸33に固定されるプーリ54は、回動用第2プーリである。
【0062】
モータ71は、支持フレーム21の下端側部分に固定されている。また、モータ71は、その出力軸が支持フレーム21から左側へ突出するように支持フレーム21の左端側部分に固定されている。動力伝達軸72は、細長い六角柱状に形成されており、その軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。動力伝達軸72の左右方向の両端側は、支持フレーム21に回転可能に支持されている。すなわち、動力伝達軸72の左右方向の両端側は、側板26に回転可能に支持されている。また、動力伝達軸72は、ガイド軸19の斜め前上側に隣接配置されており、2枚の側板26の上端側かつ後端側の部分に回動可能に支持されている。上述のように、本形態では、前後方向は第2方向であり、動力伝達軸72は、第2方向の一方側の部分(具体的には、支持フレーム21の後端側部分)に支持されている。
【0063】
モータ71の出力軸には、プーリ74が固定されている。動力伝達軸72の左端側には、プーリ75が固定されている。プーリ74とプーリ75とにはベルト76が架け渡されている。本形態では、プーリ74、75およびベルト76によって、回動用モータであるモータ71の動力を回動用動力伝達軸である動力伝達軸72に伝達して動力伝達軸72を回転させる回動用第1動力伝達機構が構成されている。
【0064】
キャリッジ17の側板28には、回動機構24の一部を構成するプーリ77が回転可能に保持されている。プーリ77の内周側には、動力伝達軸72が挿通されている。プーリ77の内周面の、左右方向に直交する断面の形状は、動力伝達軸72の形状に応じた六角形状に形成されており、動力伝達軸72が回転すると、動力伝達軸72の動力がプーリ77に伝達されてプーリ77が回転する。カード保持部15に固定される回動軸33に固定されるプーリ73と、カード保持部16に固定される回動軸33に回転可能に保持されるプーリ73と、プーリ77とには、ベルト78が架け渡されている。本形態のベルト78は、回動用ベルトである。
【0065】
上述のように、プーリ54は、回動軸33に回転可能に保持されており、プーリ73とプーリ54とは同軸上に配置されている。また、プーリ73およびベルト78は、カード保持部15、16よりも右側に配置されている。また、プーリ73およびベルト78は、プーリ54、歯車55および歯車列56よりも左側に配置されている。本形態では、2個のプーリ73とプーリ77とベルト78とによって回動用動力伝達軸である動力伝達軸72に伝達された動力をカード保持部15、16に伝達する回動用第2動力伝達機構が構成されている。なお、回動機構24は、ベルト78に張力を発生させるためのテンションプーリ79(
図6参照)を備えている。テンションプーリ79は、プーリ77の前側に隣接するように配置されている。また、テンションプーリ79は、キャリッジ17の側板28に固定される固定軸に回転可能に保持されている。
【0066】
カード搬送機構10では、モータ71が回転すると、動力伝達軸72、プーリ73、77およびベルト78等が回転して回動軸33が回動し、回動軸33を中心にしてカード保持部15とカード保持部16とが同方向へ一緒に回動する。すなわち、カード保持部15、16は、左右方向を回動の軸方向として回動する。本形態のカード保持部15、16は、カード搬送路32が水平方向と平行になっている状態(
図6に示す状態または
図8(B)に示す状態)からカード搬送路32が上下反転する状態(
図8(B)に示す状態または
図6に示す)まで、回動軸33を中心にして180°回動可能となっている。また、本形態では、カード保持部15、16の回動範囲の中間位置までカード保持部15、16が回動すると(すなわち、
図6に示す状態または
図8(B)に示す状態からカード保持部15、16が90°回動すると)、上下方向において、カード保持部15とカード保持部16との間で直接、カード2の受渡しが可能となるように、カード保持部15に固定される回動軸33とカード保持部16に固定される回動軸33との軸間距離が設定されている。
【0067】
また、本形態では、回動軸33、プーリ54、73、歯車55および歯車列56が取り付けられた状態のカード保持部15とカード保持部16とは同形状に形成されている。また、左右方向から見たときに、カード保持部15の回動中心(すなわち、カード保持部15に固定される回動軸33の軸中心)と、カード保持部16の回動中心(すなわち、カード保持部16に固定される回動軸33の軸中心)とを結ぶ仮想線Lの中点C(
図6参照)に対して、カード保持部15と第2カード保持部16とが点対称に配置されるとともに、カード保持部15に回転可能に保持される歯車列56とカード保持部16に回転可能に保持される歯車列56とが点対称に配置されている。
【0068】
また、本形態では、カード搬送路32が水平方向と平行になっている状態では、上下方向において、カードリーダ3、4のカード搬送路の高さとカード保持部16のカード搬送路32の高さとが一致しており、プリンタ5のカード搬送路の高さとラベラー6のカード搬送路の高さとカード保持部15のカード搬送路32の高さとが一致している。また、カード搬送路32が水平方向と平行になっている状態では、上下方向において、カード保持部15のカード搬送路32の高さと上側に配置される2個のカード収容部7のカード2の送出孔の高さとが一致しており、カード保持部16のカード搬送路32の高さと下側に配置される3個のカード収容部7のカード2の送出孔の高さとが一致している。さらに、カード搬送路32が水平方向と平行になっている状態では、カード保持部15のカード搬送路32は、カード取出部8の底面よりもわずかに上側に配置されている。
【0069】
(カード発行装置のカード発行動作)
以上のように構成されたカード発行装置1は、たとえば、以下のように動作してカード2を発行する。なお、以下で説明するカード2の発行動作は、カード発行装置1によるカード発行動作の一例であり、カード発行装置1によるカード発行動作は以下で説明する動作には限定されない。
【0070】
カード2を発行する際には、まず、5個のカード収容部7のうちのいずれかのカード収容部7が前側に向かってカード2を送り出す。このときには、カード保持部15、16のカード搬送路32は、水平方向と平行になっており、カード保持部15の引込送出機構22またはカード保持部16の引込送出機構22は、カード収容部7が送り出すカード2を、カード保持部15の内部またはカード保持部16の内部に引き込んで保持する。また、カード保持部15の内部にカード2が引き込まれた場合には、カード保持部15、16が90°回動して、引込送出機構22は、カード保持部15からカード保持部16へカード2を受け渡す。カード保持部15からカード保持部16へのカード2の受渡しが終わると、カード搬送路32が水平方向と平行になるように、カード保持部15、16が回動する。
【0071】
その後、カード保持部16の引込送出機構22は、カードリーダ3に向かってカード2を前側へ送り出し、カードリーダ3は、カード2を引き込む。カード保持部15の内部またはカード保持部16の内部にカード2を引き込んだときのカード保持部16の左右方向の位置とカードリーダ3の左右方向の位置とずれている場合には、カード保持部16の引込送出機構22がカードリーダ3に向かってカード2を送り出す前に、カード保持部16の左右方向の位置とカードリーダ3の左右方向の位置とが一致するように、キャリッジ17が左右方向へ移動する。なお、カード保持部15からカード保持部16へカード2が受け渡される場合には、この受渡し動作を行いながら、キャリッジ17が左右方向へ移動しても良い。
【0072】
その後、カードリーダ3は、カード2の磁気ストライプ2bや磁気ストライプ2dに記録されている磁気データを読み取るとともに、磁気ストライプ2b、2dに磁気データを記録する。また、カード2にICチップが内蔵されている場合には、カードリーダ3は、カード2のICチップにデータを記録する。磁気ストライプ2b、2dへの磁気データの記録やICチップへのデータの記録が終わると、カードリーダ3は、カード2を後ろ側へ送り出す。また、カード保持部16の引込送出機構22は、カードリーダ3から送り出されるカード2をカード保持部16の内部へ引き込んで保持する。その後、キャリッジ17は、左右方向におけるカード保持部16の位置とカードリーダ4の位置とが一致するように右方向へ移動する。
【0073】
その後、カード保持部16の引込送出機構22は、カードリーダ4に向かってカード2を前側へ送り出し、カードリーダ4は、カード2を引き込む。カードリーダ4は、カード2の磁気ストライプ2eに磁気データを記録した後、カード2を後ろ側へ送り出す。また、カード保持部16の引込送出機構22は、カードリーダ4から送り出されるカード2をカード保持部16の内部へ引き込んで保持する。
【0074】
その後、カード保持部15、16が90°回動して、引込送出機構22は、カード保持部16からカード保持部15へカード2を受け渡す。カード保持部16からカード保持部15へのカード2の受渡しが終わると、カード搬送路32が水平方向と平行になるように、カード保持部15、16が回動する。なお、このときには、左右方向におけるカード保持部15の位置とプリンタ5の位置とが一致している。
【0075】
その後、カード保持部15の引込送出機構22は、プリンタ5に向かってカード2を前側へ送り出し、プリンタ5は、カード2を引き込む。プリンタ5は、カード2に印字を行った後、カード2を後ろ側へ送り出す。また、カード保持部15の引込送出機構22は、プリンタ5から送り出されるカード2をカード保持部15の内部へ引き込んで保持する。その後、キャリッジ17は、左右方向におけるカード保持部15の位置とラベラー6の位置とが一致するように左方向へ移動する。
【0076】
なお、カード2の両面に印字が行われる場合には、プリンタ5から送り出されたカード2がカード保持部15の内部で保持された状態で、カード保持部15、16が180°回動して、カード2の表裏を反転させる。また、その後、カード保持部15の引込送出機構22は、プリンタ5に向かってカード2を送り出すとともに、プリンタ5は、カード2を引き込んで、カード2に印字を行い、カード2を後ろ側へ送り出す。
【0077】
左右方向におけるカード保持部15の位置とラベラー6の位置とが一致するようにキャリッジ17が移動すると、カード保持部15の引込送出機構22は、ラベラー6に向かってカード2を前側へ送り出し、ラベラー6は、カード2を引き込む。ラベラー6は、カード2にラベルを貼り付けた後、カード2を後ろ側へ送り出す。また、カード保持部15の引込送出機構22は、ラベラー6から送り出されるカード2をカード保持部15の内部へ引き込んで保持する。
【0078】
その後、左右方向におけるカード保持部15の位置とカード取出部8の位置とが一致するようにキャリッジ17が左方向へ移動する。その後、カード保持部15の引込送出機構22は、カード取出部8に向かってカード2を後ろ側へ送り出し、送り出されたカード2は、箱状に形成されるカード取出部8の中に入る。なお、カード2の発行処理時に、磁気データの記録エラー等の何らかのエラーが発生したときには、左右方向におけるカード保持部15の位置とカード取出部8の位置とが一致している状態で、カード保持部15の後端側が下がるように、カード保持部15、16が回動した後、カード保持部15の引込送出機構22は、カード回収部9に向かってカード2を斜め後ろ下側へ送り出し、送り出されたカード2は、箱状に形成されるカード回収部9の中に入る。
【0079】
このように、本形態では、カード保持部15、16の引込送出機構22は、カード保持部15、16の内部に向かって前方向または後ろ方向にカード2を引き込む。すなわち、本形態では、前後方向(Y方向)は、カード保持部15、16へのカード2の引込方向である。また、カード保持部16の引込送出機構22は、カード保持部16の内部から前方向に向かってカード2を送り出し、カード保持部15の引込送出機構22は、カード回収部9にカード2を送り出す場合を除いて、カード保持部15の内部から前方向または後ろ方向に向かってカード2を送り出す。
【0080】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカード搬送機構10は、カード保持部15、16が搭載されるキャリッジ17を左右方向へ直線移動させるキャリッジ駆動機構18を備えている。また、カード搬送機構10は、左右方向を回動の軸方向としてキャリッジ17に対してカード保持部15、16を回動させる回動機構24を備えており、カード保持部15、16は、回動軸33を中心にして180°回動可能となっている。そのため、本形態では、カード保持部15、16に保持されるカード2を左右方向へ搬送すること、および、カード保持部15、16に保持されるカード2を水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能になる。また、本形態では、キャリッジ17に搭載されるカード保持部15、16を左右方向へ直線移動させるとともに左右方向を回動の軸方向として回動させているため、特許文献1に記載のカード発行装置のように、左右方向へ直線移動するカード保持部と左右方向を回動の軸方向として回動するカード保持部とが別々に設けられている場合と比較して、カード搬送機構10の大きさを小さくして、カード搬送機構10の設置面積を低減することが可能になる。したがって、本形態では、カード2を左右方向へ搬送すること、および、カード2を水平方向と平行にしたり水平方向に対して傾けたりすることが可能であっても、カード搬送機構10が搭載されるカード発行装置1の設置面積を小さくすることが可能になる。また、本形態では、キャリッジ17を左右方向へ直線移動させながら、キャリッジ17に対してカード保持部15、16を回動させることが可能になるため、カード2の発行処理にかかる時間を短縮することが可能になる。
【0081】
本形態では、カード保持部15とカード保持部16とが上下方向で重なるように配置されており、
図8(A)に示す状態までカード保持部15、16が回動すると、上下方向において、カード保持部15とカード保持部16との間でカード2の受渡しが可能となっている。そのため、本形態では、カード搬送機構10において、上下方向へカード2を搬送することができる。したがって、本形態では、カードリーダ3、4と、プリンタ5およびラベラー6とが上下方向で重なるように配置されていても、また、2個のカード収容部7、カード取出部8およびカード回収部9と、3個のカード収容部7とが上下方向で重なるように配置されていても、カード収容部7から送り出されたカード2を、カード搬送機構10によって、カードリーダ3、4、プリンタ5およびラベラー6の間で搬送することができるとともに、カード取出部8やカード回収部9の中に入れることができる。
【0082】
本形態では、2個のカード保持部15、16が共通のキャリッジ17に搭載されている。そのため、本形態では、2個のカード保持部15、16のそれぞれが搭載されるキャリッジが個別に設けられている場合と比較して、カード搬送機構10の構成を簡素化することが可能になる。
【0083】
本形態では、1台のモータ71が回転すると、2個のカード保持部15とカード保持部16とが同方向へ一緒に回動する。そのため、本形態では、カード保持部15を回動させるためのモータとカード保持部16を回動させるためのモータとが個別に設けられている場合と比較して、回動機構24の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、1台のモータ71を制御することで、上下方向においてカード保持部15とカード保持部16との間でカード2の受渡しが行われる際のカード保持部15とカード保持部16との位置合わせを行うことが可能になるため、上下方向でカード2を搬送する際のカード搬送機構10の制御が容易になる。
【0084】
本形態では、1台のモータ52が回転すると、カード保持部15の引込送出機構22およびカード保持部16の引込送出機構22がカード2の引込動作またはカード2の送出動作を行う。そのため、本形態では、カード保持部15の引込送出機構22を駆動するためのモータとカード保持部16の引込送出機構22を駆動するためのモータとが個別に設けられている場合と比較して、引込送出駆動機構23の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、カード保持部15の引込送出機構22によるカード2の送出動作とカード保持部16の引込送出機構22によるカード2の引込動作とを容易に同期させること、および、カード保持部16の引込送出機構22によるカード2の送出動作とカード保持部15の引込送出機構22によるカード2の引込動作とを容易に同期させることが可能になるため、上下方向においてカード保持部15とカード保持部16との間でカード2の受渡しを行う際に、カード保持部15とカード保持部16との間で容易かつ円滑にカード2を受け渡すことが可能になる。
【0085】
本形態では、引込送出駆動機構23を構成するプーリ54、ベルト62および歯車55、63、64と、回動機構24を構成するプーリ73およびベルト78とがカード保持部15、16よりも右側に配置されている。そのため、本形態では、たとえば、プーリ54、ベルト62および歯車55、63、64がカード保持部15、16よりも右側に配置され、プーリ73およびベルト78がカード保持部15、16よりも左側に配置されている場合と比較して、カード搬送機構10のメンテナンスが容易になる。
【0086】
また、本形態では、左右方向から見たときに、カード保持部15の回動中心と、カード保持部16の回動中心とを結ぶ仮想線Lの中点Cに対して、カード保持部15と第2カード保持部16とが点対称に配置されるとともに、カード保持部15に回転可能に保持される歯車列56とカード保持部16に回転可能に保持される歯車列56とが点対称に配置されている。そのため、本形態では、引込送出駆動機構23を構成するプーリ54、ベルト62および歯車55、63、64と、回動機構24を構成するプーリ73およびベルト78とがカード保持部15、16よりも右側に配置されていても、また、歯車列56が取り付けられた状態のカード保持部15とカード保持部16とが同形状に形成されていても、カード保持部15、16が回動する際の歯車列56とベルト78との干渉を防止することが可能になる。
【0087】
本形態では、支持フレーム21に回転可能に支持される動力伝達軸53を介してモータ52の動力がプーリ61に伝達されており、モータ52は支持フレーム21に固定されている。また、支持フレーム21に回転可能に支持される動力伝達軸72を介してモータ71の動力がプーリ77に伝達されており、モータ71は支持フレーム21に固定されている。すなわち、本形態では、モータ52、71がキャリッジ17に搭載されていない。そのため、本形態では、モータ52、71に電力を供給したり、モータ52、71を制御したりするためのケーブルをキャリッジ17から引き出す必要がない。したがって、本形態では、モータ52、71に接続されるケーブルの引回し処理を容易に行うことが可能になる。
【0088】
本形態では、ガイド軸19は、2枚の側板26の上端側かつ後端側の部分に支持されるとともに、動力伝達軸72は、ガイド軸19の斜め前上側に隣接配置されており、2枚の側板26の上端側かつ後端側の部分に回動可能に支持されている。また、ガイド軸20は、2枚の側板26の下端側部分に支持され、動力伝達軸53は、2枚の側板26の下端側部分に回動可能に支持されている。そのため、本形態では、カード搬送機構10の周囲にカードリーダ3、4、プリンタ5、ラベラー6およびカード収容部7が配置されていても、カード搬送機構10、カードリーダ3、4、プリンタ5、ラベラー6およびカード収容部7のメンテナンスを行う際に、作業員は、カード搬送機構10の上側からカード搬送機構10の下端側に向かって容易に手を入れることが可能になる。したがって、本形態では、カード搬送機構10、カードリーダ3、4、プリンタ5、ラベラー6およびカード収容部7のメンテナンスを容易に行うことが可能になる。
【0089】
本形態では、JIS規格「JISX6302−2」で規定される磁気ストライプ2b、2dに対する磁気データの記録や読取を行うように設計されたカードリーダ3とカードリーダ4とが、前後方向における向きが互いに逆向きとなるように配置されており、カードリーダ3の磁気ヘッドによって、磁気ストライプ2b、2dに記録された磁気データの読取や磁気ストライプ2b、2dへの磁気データの記録が行われ、カードリーダ4の磁気ヘッドによって、磁気ストライプ2eに記録された磁気データの読取や磁気ストライプ2eへの磁気データの記録が行われている。そのため、本形態では、いわゆるダブルストライプ型のカード2に対する磁気データの記録や読取が可能であっても、磁気ストライプ2eに対する磁気データの記録や読取を行うための専用のカードリーダを準備する必要がない。また、本形態では、カード搬送機構10によってカード2の搬送先を選択することで、ダブルストライプ型のカード2に対する磁気データの記録や読取を行うことが可能になる。
【0090】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0091】
上述した形態では、カード発行装置1は、カードリーダ4とラベラー6とを備えているが、カード発行装置1は、カードリーダ4とラベラー6とを備えていなくても良い。この場合には、上述した形態のカード発行装置1からカードリーダ4とラベラー6とがそのまま取り外されても良いが、カードリーダ3とプリンタ5とが左右方向で隣接するように配置されても良い。また、この場合には、カードリーダ3とプリンタ5とが上下方向で重なるようにプリンタ5がカードリーダ3の上側に配置されても良い。
【0092】
カードリーダ3とプリンタ5とが左右方向で隣接するように配置される場合には、たとえば、上述した形態においてカードリーダ4が配置されていた位置にプリンタ5が配置され、上述した形態において隣接する3個のカード収容部7が配置されていた位置に、2個のカード収容部7と、上下方向で重なるカード取出部8およびカード回収部9とが左右方向で隣接するように配置される。すなわち、カード発行装置1は、いわゆる1階建て構造となる。この場合には、
図9に示すように、キャリッジ17に1個のカード保持部16が搭載されており、カード搬送機構10は、カード収容部7から送り出されたカード2をカードリーダ3およびプリンタ5の間で搬送するとともに、カードリーダ3およびプリンタ5での処理が終了したカード2を、カード取出部8やカード回収部9の中に入れる。また、カード搬送機構10は、プリンタ5でカード2の両面に印字が行われる場合に、カード保持部16を回動させることで、カード2の表裏を反転させる。カードリーダ3とプリンタ5とが左右方向で隣接するように配置される場合には、カード発行装置1の高さを低くすることが可能になる。なお、
図9では、上述した形態と同一の構成に対して同一の符号を付している。
【0093】
また、カードリーダ3の上側にプリンタ5が配置される場合には、カード発行装置1は、たとえば、3個のカード収容部7を備えており、3個のカード収容部7のうちの2個のカード収容部7は、左右方向で隣接するように配置されている。また、残りの1個のカード収容部7と、上下方向で重なるカード取出部8およびカード回収部9とが、2個のカード収容部7の上側に配置される。この場合には、左右方向におけるカード発行装置1の幅を狭めることが可能になる。
【0094】
また、上述した形態では、カード発行装置1は、2階建て構造となっているが、カード発行装置1は、3階建て構造等のN階建て構造(Nは、3以上の整数)となっていても良い。この場合には、上下方向で重なるように配置されるN個のカード保持部がキャリッジ17に搭載される。
【0095】
上述した形態では、上下方向において、カード保持部15とカード保持部16との間で直接、カード2の受渡しが可能となるように、カード保持部15に固定される回動軸33とカード保持部16に固定される回動軸33との軸間距離が設定されている。この他にもたとえば、カード保持部15に固定される回動軸33とカード保持部16に固定される回動軸33との軸間距離が、カード保持部15とカード保持部16との間で直接、カード2の受渡しが可能となる距離よりも長くなっていても良い。この場合には、上下方向においてカード保持部15とカード保持部16との間でカード2の受渡しが可能となるように、上下方向におけるカード保持部15とカード保持部16との間にカード2を搬送するための駆動ローラ等を配置すれば良い。
【0096】
上述した形態では、カード保持部15、16は、カード搬送路32が水平方向と平行になっている状態からカード搬送路32が上下反転する状態まで、回動軸33を中心にして180°回動可能となっている。この他にもたとえば、カード保持部15、16は、カード搬送路32が水平方向と平行になっている状態から、回動軸33を中心にして90°回動可能となっていても良い。この場合には、カード2の表裏を反転させることはできないが、上下方向へカード2を搬送することはできる。
【0097】
上述した形態では、プーリ58、59およびベルト60によってモータ52の動力が動力伝達軸53に伝達されているが、歯車列によってモータ52の動力が動力伝達軸53に伝達されても良い。また、上述した形態では、2個のプーリ54とプーリ61とベルト62とによって、動力伝達軸53に伝達された動力が歯車55に伝達されているが、動力伝達軸53に伝達された動力が歯車列によって歯車55に伝達されても良い。さらに、上述した形態では、歯車55と歯車列56とによって、プーリ54に伝達された動力が引込送出機構22に伝達されているが、プーリ54に伝達された動力がプーリおよびベルトによって引込送出機構22に伝達されても良い。また、引込送出機構22は、プーリ37およびベルト38を備えているが、プーリ37およびベルト38に代えて歯車列を備えていても良い。
【0098】
上述した形態では、プーリ74、75およびベルト76によってモータ71の動力が動力伝達軸72に伝達されているが、歯車列によってモータ71の動力が動力伝達軸72に伝達されても良い。また、上述した形態では、2個のプーリ73とプーリ77とベルト78とによって、動力伝達軸72に伝達された動力がカード保持部15、16に伝達されているが、動力伝達軸72に伝達された動力が歯車列によってカード保持部15、16に伝達されても良い。
【0099】
上述した形態では、引込送出駆動機構23を構成するプーリ54、ベルト62および歯車55、63、64と、回動機構24を構成するプーリ73およびベルト78とがカード保持部15、16よりも右側に配置されている。この他にもたとえば、プーリ54、ベルト62および歯車55、63、64がカード保持部15、16よりも右側または左側のいずれか一方に配置され、プーリ73およびベルト78がカード保持部15、16よりも右側または左側のいずれか他方に配置されても良い。この場合には、カード保持部15とカード保持部16とが仮想線Lの中点Cに対して点対称に配置されなくても良い。また、この場合には、カード保持部15に回転可能に保持される歯車列56とカード保持部16に回転可能に保持される歯車列56とが中点Cに対して点対称に配置されなくても良い。
【0100】
上述した形態では、2個のカード保持部15、16が共通のキャリッジ17に搭載されているが、カード保持部15が搭載されるキャリッジとカード保持部が搭載されるキャリッジとが個別に設けられても良い。また、上述した形態では、1台のモータ52によって、カード保持部15の引込送出機構22およびカード保持部16の引込送出機構22を動作させているが、カード保持部15の引込送出機構22を動作させるためのモータと、カード保持部16の引込送出機構22を動作させるためのモータとが個別に設けられても良い。同様に、上述した形態では、1台のモータ71によって、2個のカード保持部15、16を回動させているが、カード保持部15を回動させるためのモータと、カード保持部16を回動させるためのモータとが個別に設けられても良い。この場合には、カード保持部15とカード保持部16とが仮想線Lの中点Cに対して点対称に配置されなくても良い。また、この場合には、カード保持部15に回転可能に保持される歯車列56とカード保持部16に回転可能に保持される歯車列56とが中点Cに対して点対称に配置されなくても良い。
【0101】
上述した形態では、モータ52はキャリッジ17に搭載されていないが、モータ52はキャリッジ17に搭載されても良い。同様に、モータ71はキャリッジ17に搭載されていないが、モータ71はキャリッジ17に搭載されても良い。また、上述した形態では、カード保持部15とカード保持部16とが同形状に形成されているが、カード保持部15の形状とカード保持部16の形状とが異なっていても良い。また、上述した形態では、動力伝達軸53、72は、六角柱状に形成されているが、動力伝達軸53、72は、四角柱状や八角柱状等の六角柱状以外の多角柱状に形成されても良い。
【0102】
上述した形態では、引込送出機構22は、駆動ローラ34およびパッドローラ35を備えているが、引込送出機構22は、駆動ローラ34およびパッドローラ35に代えて、カード2を引き込んだり送り出したりするためのベルトを備えていても良い。また、上述した形態では、キャリッジ移動機構18は、ベルト49を備えており、ベルト49によってキャリッジ17を左右方向へ移動させているが、キャリッジ移動機構18は、ボールネジ等によってキャリッジ17を左右方向へ移動させても良い。
【0103】
上述した形態では、プリンタ5およびラベラー6は、カードリーダ3、4の上側に配置されている。この他にもたとえば、カードリーダ3、4がプリンタ5およびラベラー6の上側に配置されても良い。また、上述した形態では、カード搬送機構10は、カード発行装置1に搭載されているが、カード搬送機構10は、カード発行装置1以外の上位装置に搭載されても良い。