特許第6234872号(P6234872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234872
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/18 20060101AFI20171113BHJP
   H01H 9/30 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01H73/18 B
   H01H9/30
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-80176(P2014-80176)
(22)【出願日】2014年4月9日
(65)【公開番号】特開2015-201374(P2015-201374A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】益子 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】中村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】倉茂 純
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−068738(JP,A)
【文献】 特開平08−227648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/18
H01H 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を備えた固定接触子と、
可動接点を備えた可動接触子と、
前記可動接触子を駆動して前記固定接点と前記可動接点の接点部を開閉する開閉機構部と、
前記固定接点と可動接点間で発生するアークを消弧する消弧装置とを備え、
前記消弧装置は、連結された一対の側壁と該側壁の内側に一対の仕切板を有するモールド樹脂により一体成型されたケースと、複数枚の磁鉄板からなり、前記仕切板によって前記固定接触子と前記可動接触子とを囲んで配置され、
前記磁鉄板はコ字形状であり、
前記ケースは前記側壁の対抗面に設けた溝に沿って前記磁鉄板が挿入されて磁鉄板を保持しており、
前記仕切板は切欠きを有し、該切欠きは前記固定接点と前記可動接点が当接する前記固定接点近傍に配置され、前記磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺が該切欠きから前記可動接触子側に露出するよう構成されていることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
請求項1に記載の回路遮断器であって、
前記ケースは前記一対の側壁と仕切板との間に前記磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺がそれぞれ挿入されて磁鉄板を保持していることを特徴とする回路遮断器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回路遮断器であって、
前記仕切板の切欠きは、櫛刃形状であることを特徴とする回路遮断器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の回路遮断器であって、
前記ケースは磁鉄板を保持するための突起を有することを特徴とする回路遮断器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の回路遮断器であって、
前記ケースは、前記一対の側壁と直交する面の一方は前記可動接触子が移動可能な開口を有し、他方は前記磁鉄板を挿入可能な開口部を有することを特徴とする回路遮断器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の回路遮断器であって、
前記磁鉄板は凸部を有し、該凸部が前記切欠きから前記可動接触子側に露出するよう構成されていることを特徴とする回路遮断器。
【請求項7】
電路に流れる過電流または短絡電流を遮断する回路遮断器に用いられる、接点間で発生するアークを消弧する消弧装置であって、
連結された一対の側壁と該側壁の内側に一対の仕切板を有し、モールド樹脂で一体成型されたケースと、複数枚の磁鉄板からなり、
該磁鉄板はコ字形状であり、
前記ケースは前記側壁の対抗面に設けた溝に沿って前記磁鉄板が挿入されて磁鉄板を保持しており、
前記仕切板は切欠きを有し、該切欠きは前記接点近傍に配置され、前記磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺が該切欠きから前記仕切板の内側に露出するよう構成されていることを特徴とする消弧装置。
【請求項8】
電路に流れる過電流または短絡電流を遮断する回路遮断器に用いられる、接点間で発生するアークを消弧する消弧装置の磁鉄板保持ケースであって、
連結された一対の側壁と該側壁の内側に一対の仕切板を有し、
磁鉄板が挿入可能な前記側壁の対抗面に設けた溝を有し、
さらに、前記仕切板は切欠きを有し、該切欠きは前記接点近傍に配置され、前記磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺が該切欠きから前記仕切板の内側に露出可能となるように構成されており、
前記一対の側壁と直交する面の一方は、前記磁鉄板を挿入可能な開口部を有し、
モールド樹脂で一体成型されていることを特徴とする消弧装置の磁鉄板保持ケース
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に係り、特に接点間に発生したアークを消孤する消孤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、電流を遮断する際に接点間にアーク放電が発生する。このアーク放電は接点及び周囲に悪影響を及ぼすため、消弧装置で短時間に消弧するよう構成されている。
【0003】
一般的な消弧装置は、可動接触子が通るコ字形の切欠きを持つグリッド(磁鉄板)を適当な間隔で積み重ね、これらを絶縁物の支持板で支持したもので、グリッド(磁鉄板)は支持板に接着やかしめ加工により固定されている。このため、グリッド(磁鉄板)の取付け作業に多くの工程を要し、組立性が悪く、部品点数が多くなってしまうという問題があった。
【0004】
これを解決する従来技術として、特開平8−227648号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、グリッドに跨る絶縁体をモールド樹脂により一体成型した構造が記載されている。また、絶縁体の側壁の内側に補助側壁を設けることで、絶縁体内の空間を減少させ、アークの絞込み効果により消弧性能を向上させる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−227648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1は、消弧装置のグリッド(磁鉄板)が補助側壁(仕切板)に覆われているため、直流小電流領域(10〜30A)での開閉遮断時にはアーク駆動力が小さくなり、アーク冷却効果が弱まる場合が想定され、その場合には、遮断不能となることが想定される。
【0007】
そのため、高い遮断性能を有し、なおかつ直流小電流領域の遮断性能をも改善する回路遮断器が求められる。
【0008】
本発明では、組立て性向上と、消弧性能向上のために取り付ける仕切板によるアーク駆動力が小さい小電流領域での遮断性能の劣化を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本発明は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、固定接点を備えた固定接触子と、可動接点を備えた可動接触子と、前記可動接触子を駆動して前記固定接点と前記可動接点の接点部を開閉する開閉機構部と、前記固定接点と可動接点間で発生するアークを消弧する消弧装置とを備え、前記消弧装置は、連結された一対の側壁と該側壁の内側に一対の仕切板を有するモールド樹脂により一体成型されたケースと、複数枚の磁鉄板からなり、前記仕切板によって前記固定接触子と前記可動接触子とを囲んで配置され、前記磁鉄板はコ字形状であり、前記ケースは前記側壁の対抗面に設けた溝に沿って前記磁鉄板が挿入されて磁鉄板を保持しており、前記仕切板は切欠きを有し前記磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺が該切欠きから前記可動接触子側に露出するよう構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高い短絡遮断性能を有し、直流小電流の開閉性能を確保し、磁鉄板を挿入するだけの構造とし、部品点数の削減と組立て性、組立て作業工数を改善できる消弧装置を有する回路遮断器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の回路遮断器の構造図である。
図2】本発明の実施例の消弧装置の構造図である。
図3】本発明の実施例の消弧装置の構造図である。
図4】本発明の実施例の消弧装置に用いるケース単体の構造図である。
図5】本発明の実施例の消弧装置に用いるケース単体の構造図である。
図6】本発明の実施例の消弧装置組立ての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
本発明の実施例を、以下、図面を用いて説明する。
図1は本実施例の回路遮断器の構造図を示し、(A)は斜視図、(B)は側面断面図を示す。図1において、回路遮断器は、主回路の電流を断続するための可動接触子の可動接点2と固定接触子の固定接点3を備えた接点部と、接点部を開閉するための開閉機構部3と、過電流などの条件で開閉機構部3を引外し動作させる引外し装置5と、接点が開動作した際の接点間アークを冷却し消弧する消弧装置1によって構成される。
【0013】
図2図3は、本実施例の消弧装置の構造図を示している。図2(A)は斜視図、図2(B)は(A)の縦中心a―aで切った断面図を示す。また図3(A)は正面図、図3(B)は側面図、図3(C)は背面図である。図2において、消弧装置は、モールド樹脂により一体成型されたケース6に磁鉄板8が複数枚挿入されて構成されている。また、図2(B)に示すように、ケース6には、開閉動作する接点部を挟む位置にケース6の側壁7に平行に設けられた2枚の仕切板9が設けられている。この消弧装置は、仕切板によって固定接触子と可動接触子とを囲んで配置されている。そして、固定接点3と可動接点2が当接する前記固定接点近傍である仕切板9の下部に切欠き部10を設け、接点部側の磁鉄板8に凸部12を設け、仕切板9から切欠き部10を介して磁鉄板の凸部12が露出する構造としている。
【0014】
すなわち、ケースは側壁の対抗面に設けた溝に沿って磁鉄板が挿入されて磁鉄板を保持しており、また、一対の側壁と仕切板との間に磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺、言い換えればコ字形状磁鉄板の腕部、がそれぞれ挿入されて磁鉄板を保持している。そして、仕切板は切欠きを有し磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺が切欠きから可動接触子側に露出するよう構成されている。
【0015】
これにより、仕切板によるアークの絞込み効果によって短絡遮断時の高遮断性能を持ち、かつ、磁鉄板8の露出によって小電流領域の開閉遮断でもアーク冷却効果を維持しアークを遮断することができる。
【0016】
図4図5に、本実施例の消弧装置に用いるケース6単体の構造図を示す。図4(A)は斜視図、図4(B)は(A)の縦中心a―aで切った断面図を示す。また図5(A)は正面図、図5(B)は側面図、図5(C)は背面図である。
【0017】
前述したように、図4(B)および図5(A)において、ケース6にはケース6の側壁7に平行に設けられた2枚の仕切板9が設けられており、その仕切板9の下部に切欠き部10を設けた構成となっている。また、突起11を有し、ケース6は、磁鉄板8を保持する磁鉄板保持ケースとして構成している。そして、ケース6は、一対の側壁7と直交する面の一方は可動接触子が移動可能な開口を有し、他方は磁鉄板を挿入可能な開口部を有している。
【0018】
図6に、本実施例の消弧装置組立ての説明図を示す。図6は、ケース6に磁鉄板8を挿入している状態を示す図であり、ケース6の側壁7の片側を取り除いた縦断面の斜視図を示す。図6に示すように、磁鉄板8のコ字形状の対抗する2辺を側壁と仕切板の間に挿入する。この時、切欠き10が磁鉄板の挿入側が開放された櫛刃形状となっているので、磁鉄板8をケース6に挿入する際に差し込みを容易とし、さらに、突起11により、磁鉄板8を保持できる。これにより、挿入するだけで消弧装置を製作でき、組立性、作業工数を改善することが出来る。
【0019】
以上のように、本実施例は、固定接点3と可動接点2の接触部に近い下部の磁鉄板8は仕切板9で覆わず、露出する構造とした。良好な開閉遮断は10ms以内でアークを遮断するため、可動接触子の開極速度から固定接点3、可動接点2接触部より2〜3枚目の磁鉄板8でアークを遮断するかが重要である。本構造を用いることで開極時最初にアークにさらされる磁鉄板8を可動接点2の近くに配置することができ、直流低電流においても磁鉄板8によるアーク駆動力を維持し、アーク冷却効果を高めることを可能としている。
【0020】
交流では、その電流変化の特性から、零点を通過すること、即ち、電流値が零となるタイミングが周期的に繰り返される。従って、交流を遮断する場合には、この零点、若しくは、電流値が零となるタイミングを待って、このタイミングに合わせて、消弧動作をすることで、消弧、及び遮断を可能と出来る。しかし、直流では、前記零点を通過することが無い為、一般には、交流よりも消弧、及び遮断が困難となる場合が知られている。
【0021】
この直流の特性に加えて、小電流の場合には、前述のように、更に消弧、及び遮断が困難となることが予想される。
【0022】
これに対して、本実施例の構造とすることによって、直流小電流の場合であっても、消弧、及び遮断性能を改善するものである。
【0023】
なお、本実施例で説明したモールド成形されたケースである磁鉄板保持部の製造においては、金型からの離型を容易にするためには、突起11および切欠き10の構造を工夫する必要がある。例えば、磁鉄板は、ケースに対して傾斜をもって保持する必要があるので、それに伴う突起11および切欠き10は、傾斜角の小さい切欠き部は櫛刃形状を長くできるが、傾斜角が大きくなる上方の突起については、図6に示すように、金型からの離型を考慮して短くすることが望ましい。
【0024】
以上のように、本実施例は、固定接点を備えた固定接触子と、可動接点を備えた可動接触子と、前記可動接触子を駆動して前記固定接点と前記可動接点の接点部を開閉する開閉機構部と、前記固定接点と可動接点間で発生するアークを消弧する消弧装置とを備え、前記消弧装置は、連結された一対の側壁と該側壁の内側に一対の仕切板を有するモールド樹脂により一体成型されたケースと、複数枚の磁鉄板からなり、前記仕切板によって前記固定接触子と前記可動接触子とを囲んで配置され、前記磁鉄板はコ字形状であり、前記ケースは前記側壁の対抗面に設けた溝に沿って前記磁鉄板が挿入されて磁鉄板を保持しており、前記仕切板は切欠きを有し前記磁鉄板のコ字形状の対抗する2辺が該切欠きから前記可動接触子側に露出するよう構成する。
【0025】
これにより、モールド樹脂一体成型による組立性向上に加えて、仕切板に切欠きを設け、磁鉄板を露出する構造とすることで、小電流領域での開閉遮断にてアーク冷却効果を維持し、かつ仕切板によるアークの絞込み効果によって短絡遮断性能の向上が図れる。
【0026】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。すなわち、構成部品の形状、配置は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨において適宜変更しても良い。
【符号の説明】
【0027】
1:消弧装置、2:可動接点、3:固定接点、4:開閉機構部、
5:引外し装置、6:ケース、7:ケース側壁、8:磁鉄板、
9:仕切板、10:切欠き部、11:突起、12:凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6