特許第6234889号(P6234889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234889
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】排水浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/06 20060101AFI20171113BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20171113BHJP
   C02F 1/463 20060101ALI20171113BHJP
   C02F 1/465 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B01D33/18 A
   C02F1/52 Z
   C02F1/46 102
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-141658(P2014-141658)
(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-16376(P2016-16376A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】396008587
【氏名又は名称】株式会社大日工業
(73)【特許権者】
【識別番号】502390290
【氏名又は名称】湯川 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯川 淳司
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−156111(JP,A)
【文献】 特開昭62−210021(JP,A)
【文献】 特開昭56−087488(JP,A)
【文献】 特開昭48−063365(JP,A)
【文献】 実開昭52−142276(JP,U)
【文献】 特開2000−354789(JP,A)
【文献】 特開2004−195397(JP,A)
【文献】 特開平10−156110(JP,A)
【文献】 特開2003−170155(JP,A)
【文献】 特開平9−825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 33/06
C02F 1/463
C02F 1/465
C02F 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚濁物を含む排水から汚濁物を分離することにより浄化する装置であって、
400メッシュ以上600メッシュ以下の金属製メッシュで形成された外筒を有するドラムと、
前記外筒を1rpm以下の速度で回転駆動する駆動部材と、
前記ドラムの内部に前記排水を貯留するために、前記排水を前記ドラムの内部に供給する排水供給部と、
前記ドラムの下方に配置され、前記外筒のメッシュを通過した浄化水を受ける浄化水受け部と、
前記ドラムの上部において、外部から内部に向けてガスを吹き付けて、前記外筒の内周面に付着した前記汚濁物を前記外筒から分離するガス供給部と、
前記ガス供給部により分離された前記汚濁物を前記ドラムの外部に導く汚濁物排出部と
前記ドラムの内部に貯留する排水中の前記汚濁物を凝集する凝集手段とを備え、
前記ガス供給部は、前記外筒の外部から内部に向けてガスを吹き付けて外筒の内周面に付着した汚濁物を外筒から分離するノズルと、前記ノズルを前記ドラムの軸方向に往復移動させる駆動部とを含み、
前記汚濁物排出部は、前記ノズルから吹き付けられるガスにより前記外筒の内周面から分離した汚濁物を受けるために、前記外筒を間に挟んで前記ノズルの移動領域に対向する領域全体に亘って延びるように配置された汚濁物受け部と、前記汚濁物受け部から連なって外部にまで延びる排出管と、前記排出管から出てきた汚濁物を貯留させる汚濁物槽とを含み、
前記凝集手段は、電気分解装置を含み、
前記電気分解装置は、一方電極と他方電極とを有し、一方電極は前記ドラムの内部に貯留する排水中に位置し、他方電極は前記ドラムを構成する部材を用いる、排水浄化装置。
【請求項2】
前記凝集手段は、前記ドラムの内部に貯留する排水中に凝集剤を供給する凝集剤供給部を含む、請求項1に記載の排水浄化装置。
【請求項3】
前記浄化水受け部で受けた浄化水を前記ドラムの内部に供給する浄化水供給部をさらに備える、請求項1または2に記載の排水浄化装置。
【請求項4】
前記排水供給部は、前記排水を貯留する排水受水槽と、前記排水受水槽の排水を前記ドラムに送るポンプとを含み、
前記ポンプは、容積形である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水浄化装置に関し、より特定的には、汚濁物を含む排水の浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
汚濁物を含む排水から、汚濁物を分離することにより浄化水を得る浄化装置として、例えば、特開2013−22503号公報(特許文献1)が挙げられる。この特許文献1には、目詰まり等によって処理能力の低下を招くことなく排水の処理を行うことを目的として、排水と無機凝集剤溶液とを撹拌することでマイクロフロックを形成し、このマイクロフロックが形成された排水と沈殿促進剤と高分子凝集剤溶液とを撹拌して沈殿性の良い凝集フロックを形成し、沈殿性の良い凝集フロックが形成された排水を沈殿分離することで、汚濁物を含む凝集フロックと上澄み液である浄化水とに排水を固液分離するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−22503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示のシステムでは、マイクロフロックを形成する急速撹拌槽と、沈降性の良い凝集フロックを形成するフロック形成層と、凝集フロックと浄化水とに固液分離する固液分離槽とが少なくとも必要である。このため、3以上の槽を設置するスペースを要するので、システムの小型化に改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、小型化を図る排水浄化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の排水浄化装置は、汚濁物を含む排水から汚濁物を分離することにより浄化する装置であって、ドラムと、排水供給部と、浄化水受け部と、ガス供給部と、汚濁物排出部とを備えている。ドラムは、メッシュで形成された外筒を有し、回転駆動される。排水供給部は、ドラムの内部に排水を貯留するために排水をドラムの内部に供給する。浄化水受け部は、ドラムの下方に配置され、外筒のメッシュを通過した浄化水を受ける。ガス供給部は、ドラムの上部において、外部から内部に向けてガスを吹き付けて、外筒の内周面に付着した汚濁物を外筒から分離する。汚濁物排出部は、ガス供給部により分離された汚濁物をドラムの外部に導く。
【0007】
本発明の排水浄化装置において好ましくは、ドラムの内部に貯留する排水中の汚濁物を凝集する凝集手段をさらに備えている。
【0008】
本発明の排水浄化装置において好ましくは、凝集手段は電気分解装置を含み、電気分解装置は一方電極と他方電極とを有し、一方電極はドラムに貯留する排水中に位置し、他方電極はドラムを構成する部材を用いる。
【0009】
本発明の排水浄化装置において、凝集手段は、ドラムの内部に貯留する排水中に凝集剤を供給する凝集剤供給部を含んでいてもよい。
【0010】
本発明の排水浄化装置において好ましくは、浄化水受け部で受けた浄化水をドラムの内部に供給する浄化水供給部をさらに備えている。
【0011】
本発明の排水浄化装置において好ましくは、外筒は、400メッシュ以上600メッシュ以下である。
【0012】
本発明の排水浄化装置において好ましくは、ドラムは、1rpm(回転/分)以下で回転駆動されるように構成されている。
【0013】
本発明の排水浄化装置において好ましくは、排水供給部は、排水を貯留する排水受水槽と、排水受水槽の排水を前記ドラムに送るポンプとを含み、ポンプは、容積形である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の排水浄化装置によれば、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態の排水浄化装置を示す模式図である。
図2】本発明の実施の形態の別の排水浄化装置を示す模式図である。
図3】本発明の実施の形態の排水浄化装置を構成するドラム、ガス供給部及び汚濁物排出部を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0017】
図1図3を参照して、本発明の一実施形態の排水浄化装置について説明する。図1図3に示すように、本発明の実施の形態の排水浄化装置100a、100bは、汚濁物を含む排水から汚濁物を分離することにより浄化する装置である。排水浄化装置100a、100bは、排水供給部110と、ドラム120と、凝集手段としての電気分解装置130と、浄化水受け部140と、浄化水供給部150と、ガス供給部160と、汚濁物排出部170とを主に備えている。
【0018】
排水供給部110は、排水をドラムの内部に供給するものであって、排水受水槽111と、第1の配管112と、ポンプ113と、第2の配管114とを含んでいる。排水受水槽111に第1の配管112が接続され、この第1の配管112にポンプ113が接続され、このポンプ113に第2の配管114が接続されている。排水受水槽111は、汚濁物を含む排水を貯留する。第1の配管112、ポンプ113及び第2の配管114は、排水受水槽111中の排水をドラム120に供給する。ポンプ113は、特に限定されないが、汚濁物の粉砕、分散等を抑制して排水をドラム120に送る観点から、容積ポンプであることが好ましく、回転ポンプであることがより好ましく、ダイアフラムポンプまたはピストンポンプであることがより一層好ましい。
【0019】
第2の配管114の出口に、ドラム120が位置している。ドラム120は外筒121を含み、外筒121の軸が水平方向に延びるように配置される。ドラム120の外筒121の内部に、第1の配管112、ポンプ113及び第2の配管114を介して排水受水槽111から排水が供給され、ドラム120の内部に排水を貯留する。本実施の形態のドラム120は、図3に示すように、円筒状の外筒121と、外筒の一方開口(図3におけるドラム120の右側開口)の全面を覆う被覆部122と、外筒121の他方開口(図3におけるドラム120の左側開口)の一部を塞ぐように外筒121から内部に向けて延出する鍔部123とを含み、鍔部123の開口から排水が供給される。
【0020】
また、外筒121は、メッシュ(多孔質)で形成され、排水中の汚濁物を分離するためのフィルタの役割を果たす。なお、図3において、便宜上メッシュを粗いストライプ状に記載しているが、実際は、格子状であって、排水を一時的に貯留可能な程度の粗さである。外筒は、400メッシュ以上600メッシュ以下であることが好ましく、400メッシュ以上500メッシュ以下であることがより好ましい。400メッシュ以上600メッシュ以下の場合、ドラム120の下部に排水を貯めながら、汚濁物から分離された浄化水を排出することが容易である。400メッシュ以上500メッシュ以下の場合、排水から汚濁物を分離して浄化水を得るための時間を短縮できる。また、外筒には孔が形成されていてもよく、この場合、外筒は、1μm以上40μm以下の孔を有していることが好ましく、5μm以上15μm以下の孔を有していることが好ましい。
【0021】
なお、被覆部122及び鍔部123は、外筒121と同様のメッシュで形成されていてもよいが、内部に排水を貯留でき、フィルタの役割を担わず(汚濁物の付着を抑制し)、浄化水が漏れないようにする観点から空隙を有していないことが好ましい。つまり、外筒121はメッシュで形成され、被覆部122及び鍔部123は孔のない材料で形成されていることが好ましい。
【0022】
ドラム120を構成する材料は特に限定されず、布などの非金属であってよいが、耐久性の観点から、金属であることが好ましく、ステンレス鋼(SUS)であることがより好ましい。ドラム120がステンレス鋼で形成されていると、摩耗劣化が少なく、取り替えが長期に渡って不要であるので、耐用年数を向上できる。また、被覆部122及び鍔部123を構成する材料は、外筒121と異なっていてもよく、同じであってもよい。後述する凝集手段が電気分解装置であり、被覆部122を電極として用いる場合には、外筒121と被覆部122とは同じ金属で構成されることが好ましい。
【0023】
ドラム120は、外筒121の軸を中心にして、回転駆動されるように構成され、1rpm以下で回転駆動されるように構成されていることが好ましい。このようにドラム120をゆっくり回転させることにより、ドラム120に遠心力が働きにくいように形成される。ドラム120を回転させるために、駆動部材(図示せず)が設けられていてもよい。駆動部材は、例えばモータである。
【0024】
ドラム120の下部に滞留する排水の量を測定するために、ドラム120内に水位センサ(図示せず)が設けられていてもよい。また、この水位センサを用いてドラム120の下部に貯留される排水量を測定し、ドラム120の下部に一定量の排水が滞留するようにポンプ113で排水を供給するように制御する制御部(図示せず)が設けられていてもよい。
【0025】
このドラム120の下部に貯留する排水中の汚濁物を凝集させるために凝集手段が設けられている。凝集手段は、特に限定されず、例えば、凝集剤を排水中に供給する凝集剤供給部(図示せず)を含んでいてもよく、汚濁物が金属粉である場合には金属粉を凝集するための磁石(図示せず)を含んでいてもよいが、電気分解装置130を含んでいることが好ましい。
【0026】
ここで、電気分解装置130を用いたときの汚濁物の凝集について説明する。一般に、汚濁物は正または負に帯電しており、その電荷のためにお互いに反撥し合う。このため、排水中の汚濁物は凝集しにくい状態である。しかし、電気分解装置130を用いて、排水中に負イオン及び陽イオンを供給すると、汚濁物のもつ正電荷または負電荷が中和される。このため、汚濁物の凝集を促進できるので、コロイド粒子の凝結フロックを成長することができる。
【0027】
凝集手段が電気分解装置130を含む場合には、ドラム120が電極の役割を担うことが好ましい。具体的には、電気分解装置130は、一方電極131と、他方電極132と、電源133とを有している。一方電極131は、ドラム120に貯留する排水中に位置し、例えば、外筒121の内周面から1mm以上10mm以下、好ましくは5mm程度離れた位置に設けられる。他方電極132は、ドラム120を構成する部材であり、本実施の形態では、外筒121と連なる被覆部122としている。なお、図1及び図2では、他方電極132として、軸近傍に位置する被覆部のみを示している。電源133は、直流電源であることが好ましい。
【0028】
一方電極131と他方電極132とはイオン化傾向が異なっていれば特に限定されないが、図1及び図2に示すように一方電極131のイオン化傾向が他方電極132のイオン化傾向よりも大きい場合には、一方電極131が陽極になり、他方電極132が陰極になる。このような組み合わせとして、例えば、一方電極131がアルミニウムで構成され、他方電極となるドラム120の外筒121及び被覆部122がSUSで構成されている。なお、貯留される排水が酸性の場合には、他方電極132となるドラム120を構成する部材をイオン化傾向の低い金属で構成し、一方電極131をイオン化傾向の高い金属で構成してもよい。
【0029】
ドラム120の下方には、浄化水受け部140が配置されている。浄化水受け部140は、外筒121のメッシュを通過した浄化水を受ける。つまり、浄化水受け部140は、排水から汚濁物が取り除かれた浄化水が貯留される。浄化水受け部140は、ドラム120と近接していてもよい。つまり、浄化水受け部140はドラム120と接していてもよく、浄化水受け部140の上端がドラム120の下端よりも下方に位置していてもよい。しかし、ドラム120内に貯留される排水が浄化水受け部140に入らない観点から、浄化水受け部140の上端がドラム120の下端よりも下方に配置されていることが好ましい。
【0030】
浄化水受け部140に貯留される浄化水は、排水受水槽111に貯留される排水に比べて、汚濁物が低減されているが、浄化水中の汚濁物をさらに分離するために、浄化水受け部140で受けた浄化水をドラム120の内部に供給する浄化水供給部150が設けられている。浄化水供給部150は、図1に示すように、浄化水受け部140とポンプ113とを接続する配管151を有していてもよく、図2に示すように、浄化水受け部140とドラム120とを接続する配管153と、ドラム120に浄化水を供給するポンプ154とを有していてもよい。
【0031】
また、浄化水と排水とを混合してドラム120に供給してもよく、浄化水をドラム120に供給する工程と、排水をドラム120に供給する工程とを別に実施するように構成されていてもよい。前者の場合には、図1の排水浄化装置100aでは、ポンプ113の手前に配置された排水用のバルブ115及び浄化水用のバルブ152を開けることにより実現でき、図2の排水浄化装置100bでは、排水供給用のポンプ113及び浄化水用のポンプ154を同時に起動することで実現できる。後者の場合、図1の排水浄化装置100aでは、ポンプ113の手前の排水用のバルブ115及び浄化水用のバルブ152の一方を開けて他方を閉めることにより実現でき、図2の排水浄化装置100bでは、排水供給用のポンプ113及び浄化水用のポンプ154の一方を起動し他方を停止することで実現できる。
【0032】
図1及び図2に示すように、ドラム120の下部で排水から分離された汚濁物は、外筒121の内周面に付着して、外筒121の回転駆動によって上方に移動される。この外筒121に付着した汚濁物を取り除くために、図1図3に示すように、ドラム120の上方には、ガス供給部160が設けられている。つまり、ガス供給部160は、ドラム120の上部において、外部から内部に向けてガスを吹き付けて、外筒121の内周面に付着した汚濁物を外筒121から分離する。汚濁物に吹き付けるガスは特に限定されないが、例えば、簡便性の観点からエアである。
【0033】
ガス供給部160は、ガスを汚濁物に吹き付ける吹付部161と、吹付部161を外筒の軸方向(図1及び図2における紙面手前から奥行方向、図3における矢印)に沿って移動させる駆動部(図示せず)とを有している。本実施の形態では、吹付部161は、エアを噴射するノズルであり、駆動部は、軸方向に沿って吹付部161の往復移動を可能にしている。
【0034】
このガス供給部160により外筒121の内周面から分離された汚濁物をドラム120の外部に導くために、汚濁物排出部170が設けられている。汚濁物排出部170は、汚濁物受け部171と、排出管172と、汚濁物槽173とを含む。
【0035】
汚濁物受け部171は、ガス供給部160の吹付部161の移動方向に対向する位置全体に沿って延びるように配置され、ガス供給部160により外筒121から分離された汚濁物を受ける桶である。本実施の形態の汚濁物受け部171は、軸方向に沿って延びる筒体であって、円筒部171aと開口部171bとを有する円筒すり割り状である。開口部171bは、外筒121のメッシュを介して、ガス供給部160の吹付部161と対向する位置に形成されている。開口部171bは、断面視においてハ字状に拡がり、案内板で形成されている。円筒部171aは、汚濁物の衝突面を含み、衝突面は曲面とし、汚濁物が跳ね返ることを防止している。
【0036】
この汚濁物受け部171に、排出管172は連なっている。排出管172は、下方に傾斜し、自重で汚濁物をドラム120の外部に排出している。この排出管172の出口には、内部に汚濁物を貯留させる汚濁物槽173が設けられている。
【0037】
なお、本実施の形態の排水浄化装置100a、100bは、排水の前処理装置(図示せず)をさらに備えていてもよい。前処理装置は、例えば、排水受水槽111に澱粉質を供給する装置である。この場合、メッキ排水など金属を含む排水に好適に用いられる。前処理装置により排水中に少量の澱粉が溶解されるので、ドラム120に貯留された排水中の汚濁物を電気分解により凝集する際に、澱粉を粘性汚濁物化し、これに金属を吸着することができる。
【0038】
続いて、図1図3を参照して、本実施の形態の排水浄化方法について説明する。本実施の形態の排水浄化方法は、上述した排水浄化装置100a、100bを用いて行われる。
【0039】
まず、排水供給部110を用いて、メッシュで形成された外筒121を有し、回転駆動されるドラム120の内部に、汚濁物を含む排水を供給する。この工程では、ポンプ113を起動して、排水受水槽111に貯留された排水を第1及び第2の配管112、114を介してドラム120に供給する。
【0040】
次に、ドラム120を回転駆動させつつ、ドラム120の内部に貯留された排水を、外筒121のメッシュを通過した浄化水と、メッシュを通過しない汚濁物とに分離する。この工程を実施することにより、外筒121の内周面には汚濁物が付着し、メッシュを通過した浄化水は浄化水受け部140に貯留される。
【0041】
この工程では、凝集手段を用いて、ドラム120に貯留する排水中の汚濁物を凝集することが好ましい。凝集手段は、特に限定されないが、上述したような電気分解装置130により汚濁物を凝集することが好ましい。
【0042】
また、この工程では、軸方向を中心にドラム120を回転駆動させる。具体的には、1rpm以下でドラム120を回転駆動することが好ましい。
【0043】
次に、ガス供給部160を用いて、ドラム120の上部において、外部から内部に向けてガスを吹き付けて、外筒121の内周面に付着した汚濁物を外筒121から分離する。この工程では、ガスとしてエアを用い、エアを外筒121に付着した汚濁物に噴射する。次に、汚濁物排出部170を用いて、外筒121から分離された汚濁物をドラム120の外部に導く。
【0044】
以上の工程を実施することにより、汚濁物を含む排水から汚濁物を分離することにより浄化することができる。ドラム120の下部で浄化水を得る工程と、ドラム120の上部で汚濁物を外部に排出する工程とは、同時に行うことにより、効率よく排水を浄化することができ、連続して排水浄化装置100a、100bを使用することができる。
【0045】
排水をさらに浄化する場合には、浄化水供給部150を用いて浄化水受け部140に貯留された浄化水をドラム120に供給し、上述したように、ドラム120を回転し、ドラム120の下部において、浄化水中の汚濁物を外筒121の内部に付着させて、浄化水を汚濁物と排水とにさらに分離しつつ、ドラム120の上部において、ガス供給部160を用いて、外筒121の内周に付着した汚濁物を外筒121から分離して、ドラム120の外部に排出する。この工程は、繰り返し実施してもよい。
【0046】
以上説明したように、本発明の実施の形態における排水浄化装置100a、100bは、汚濁物を含む排水から汚濁物を分離することにより浄化する装置であって、メッシュで形成された外筒121を有し、回転駆動されるドラム120と、ドラム120の内部に排水を貯留するために排水をドラム120の内部に供給する排水供給部110と、ドラム120の下方に配置され、外筒121のメッシュを通過した浄化水を受ける浄化水受け部140と、ドラム120の上部において、外部から内部に向けてガスを吹き付けて、外筒121の内周面に付着した汚濁物を外筒121から分離するガス供給部160と、ガス供給部160により分離された汚濁物をドラム120の外部に導く汚濁物排出部170とを備えている。
【0047】
本発明の実施の形態における排水浄化装置100a、100bによれば、ドラム120の内部に供給された排水は、下部でメッシュを通過することで浄化水が得られる。ドラム120は回転駆動されるので、メッシュに付着した汚濁物がドラム120の上部に移動され、ガス供給部160により外筒121の内周面に付着した汚濁物を外筒121から分離し、汚濁物は汚濁物排出部170によりドラム120の外部に排出される。このように、ドラム120の下部で排水から浄化水が分離されつつ、ドラム120の上部で汚濁物が取り除かれている。つまり、1つのドラム120内で、排水を汚濁物と浄化水とに分離できる。したがって、排水浄化装置100a、100bの設置スペースを低減できるので、小型化を図ることができる。
【0048】
さらに、本実施の形態の排水浄化装置100a、100bは、小型化を図ることができることに加えて、以下のような効果も有する。ドラム120の下部で浄化水が得られ、ドラム120の上部で汚濁物をドラム120の外部に排出しているので、ドラム120を回転駆動させることで、連続して排水を浄化することができる。また、ガス供給部160により、外筒121から汚濁物を分離するので、外筒121のメッシュに汚濁物が目詰まりすることが抑制されるので、長期に渡って使用することができる。また、ドラム120は回転駆動されるので、排水が撹拌されるため、排水を撹拌する部材が不要であるので、排水浄化装置100a、100bの部品点数を低減できる。
【0049】
本実施の形態における排水浄化装置100a、100bにおいて好ましくは、ドラム120の内部に貯留する排水中の汚濁物を凝集する凝集手段をさらに備える。
【0050】
これにより、排水中の汚濁物を凝集させることができるので、外筒121のメッシュで、ドラム120内に貯留する排水中の汚濁物を容易に分離することができる。
【0051】
本実施の形態の排水浄化装置100a、100bにおいて、凝集手段は、ドラム120の内部に貯留する排水中に凝集剤を供給する凝集剤供給部を含んでいてもよい。
【0052】
凝集剤供給部によって排水中に凝集剤が供給されることで、排水中の汚濁物が凝集する。このため、ドラム120内に貯留する排水中の汚濁物を容易に分離できる排水浄化装置を実現できる。
【0053】
本実施の形態の排水浄化装置100a、100bにおいて好ましくは、凝集手段は電気分解装置130を含み、電気分解装置130は一方電極131と他方電極132とを有し、一方電極131はドラム120に貯留する排水中に位置し、他方電極132はドラム120を構成する部材を用いる。
【0054】
一般的に汚濁物は帯電しているので、互いに反撥して汚濁物粒子間は離れた状態で排水中に分散している。このため、電気分解装置130によりプラスイオン及びマイナスイオンを発生させることで、汚濁物を電荷中和できるので、互いに離れることを抑制し、汚濁物を凝集できる。また、ドラム120を構成する部材を他方電極132とすることで、電気分解装置130に必要な部品を減らすことができる。また、ドラム120は回転駆動されるので、排水が撹拌され、電解水として偏りの発生を抑制できる。このため、小型化をさらに図りつつ、排水中の汚濁物を容易に分離することができる。それに加えて、電気分解装置130では凝集剤などの薬剤が不要であるので、薬剤の処理も不要になる。
【0055】
本実施の形態の排水浄化装置100a、100bにおいて好ましくは、浄化水受け部140で受けた浄化水をドラム120の内部に供給する浄化水供給部150をさらに備えている。これにより、浄化水の品質をより高めることができる。
【0056】
本実施の形態の排水浄化装置100a、100bにおいて好ましくは、外筒121は、400メッシュ以上600メッシュ以下である。
【0057】
これにより、ドラム120に供給された排水を貯留しながら、汚濁物はメッシュを通過させず、かつ浄化水はメッシュを通過させる構成を容易に実現できる。
【0058】
本実施の形態の排水浄化装置100a、100bにおいて好ましくは、ドラム120は、1rpm以下で回転駆動されるように構成されている。
【0059】
これにより、遠心力が加えられることを抑制できるので、メッシュの孔よりも大きな汚濁物が通過することを抑制できる。
【0060】
本実施の形態の排水浄化装置100a、100bにおいて好ましくは、排水供給部110は、排水を貯留する排水受水槽111と、この排水受水槽111の排水をドラム120に送るポンプ113とを含み、このポンプ113は、容積形である。
【0061】
これにより、排水中の汚濁物の凝集及び粉砕を抑制してドラム120に排水を供給できるので、排水中の汚濁物を効率的に分離することができる。
【0062】
このように本実施の形態の排水浄化装置100a、100bは、小型化を図ることができるので、種々の分野の排水の浄化に用いられ、特に製紙工場、食品加工から排出される排水の浄化に好適に用いられる。このような排水を浄化する場合には、排水浄化装置100a、100bは、ドラム120に貯留する排水中の汚濁物を凝集する電気分解装置130を含むことが好ましい。このような排水は汚濁物として澱粉質を多く含み、粘性があるので、一般のフィルタを用いた場合には、一般のフィルタを通過して浄化水の品質に問題が生じる場合があるが、本実施の形態では電気分解装置130を用いて汚濁物を凝集することで、外筒121のメッシュを通過することを抑制できるので、浄化水の品質を維持することができる。
【0063】
ここで、本実施の形態では、ドラム120は、一層の外筒121を含むことを例に挙げて説明したが、外筒121は複数層であってもよい。外筒が400メッシュ以上600メッシュ以下の場合、強度を高める観点から、その内部に400メッシュよりも粗いメッシュで形成された骨材を配置してもよい。すなわち、外筒は、メッシュで形成された第1の層と、この第1の層上に配置され、かつ第1の層のメッシュよりも細かいメッシュで形成された第2の層とを含んでいてもよい。このような複数層で構成された外筒の場合、例えば、第1の層は10メッシュ以下であり、第2の層は400メッシュ以上600メッシュ以下である。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
100a,100b 排水浄化装置、110 排水供給部、111 排水受水槽、112 第1の配管、113,154 ポンプ、114 第2の配管、115,152 バルブ、120 ドラム、121 外筒、122 被覆部、123 鍔部、130 電気分解装置、131 一方電極、132 他方電極、133 電源、140 浄化水受け部、150 浄化水供給部、151,153 配管、160 ガス供給部、161 吹付部、170 汚濁物排出部、171 汚濁物受け部、171a 円筒部、171b 開口部、172 排出管、173 汚濁物槽。
図1
図2
図3