(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記液晶表示部に前記識別情報及び前記操作状態を割り込み表示してから所定時間が経過すると又は所定の割り込み表示解除操作が行われると、前記液晶表示部を元の表示状態に戻すことを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。
前記制御装置は、前記液晶表示部に表示される前記操作状態として、前記一の操作部材の操作可能範囲と前記操作可能範囲に対する現在の操作位置とを表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車輌。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る作業車輌の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1〜
図4に、それぞれ、本実施の形態に係る作業車輌1の斜視図、背面図、平面図及び伝動模式図を示す。
【0017】
図1〜
図4に示すように、本実施の形態に係る前記作業車輌1はトラクタの形態をなしている。
詳しくは、
図1〜
図4に示すように、前記作業車輌1は、車輌フレーム10と、前記車輌フレーム10に支持された運転席15と、前記車輌フレーム10に支持されたエンジン50と、左右一対の前輪20Fと、左右一対の後輪20Rと、前記エンジン50からの回転動力を駆動輪に伝達する走行系伝動構造60と、外部に向けて回転動力を出力するPTO軸95と、前記エンジン50からの回転動力を前記PTO軸95に伝達するPTO系伝動構造80と、制御装置100と、前記エンジン50に燃料を噴射する燃料噴射装置40(下記
図5参照)とを有している。
【0018】
図5に、前記制御装置100のブロック図を示す。
図5に示すように、本実施の形態においては、前記制御装置100は、本機コントローラ101、エンジンコントローラ102及びメータコントローラ103等の複数のコントローラを有している。
【0019】
前記複数のコントローラ101、102、103には、それぞれ、対応する前記センサ及び前記アクチュエータが電気的に接続されており、前記複数のコントローラ101、102、103はCAN通信バス105を介して互いに電気的に接続されている。
【0020】
前記各コントローラ101、102、103は、前記各種センサ等から入力される信号に基づいて演算処理を実行する制御演算手段を含む演算部(以下CPUという)と、制御プログラムや制御データ等を記憶するROM,設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM及び前記演算部による演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を含む記憶部とを備えている。
【0021】
前記制御装置100は、前記エンジン50の出力制御として、前記エンジン50の出力回転数が、人為操作されるエンジン回転数変更操作部材110による設定回転数となるように、エンジン回転数変更アクチュエータを作動させる通常制御を実行するように構成されている。
【0022】
詳しくは、
図3及び
図5に示すように、前記作業車輌1は、アクセルペダル111及びアクセルレバー112等の前記エンジン回転数変更操作部材110と、前記エンジン回転数変更操作部材110の操作位置を検出する操作側エンジン回転数センサ110aと、前記エンジン回転数変更アクチュエータとして作用する燃料噴射装置40と、前記エンジン50の出力回転数を検出する作動側エンジン回転数センサ50aとを有している。
【0023】
図5に示すように、本実施の形態においては、前記燃料噴射装置40は、燃料タンク41からフィルタ(図示せず)を介して燃料を吸い込む燃料供給ポンプ42と、前記燃料供給ポンプ42から圧送される燃料を蓄圧状態で貯留するコモンレール45と、前記コモンレール45内の蓄圧燃料を前記エンジン50の各気筒に噴射する複数のインジェクタ46とを有している。
なお、
図5中の符号45aは前記コモンレール45の内圧を検出する圧力センサである。
【0024】
前記制御装置100は、前記通常制御においては、前記操作側エンジン回転数センサ110aによって検出される設定回転数をエンジン出力回転数の目標回転数として用いて、前記インジェクタ46を作動させる。
【0025】
具体的には、前記制御装置100には、ROM等の記憶部に、予め、エンジン回転数とインジェクタ制御量(燃料噴射量)との関係を示す制御データが記憶されており、前記制御装置100は前記制御データを用いて、前記インジェクタ46の作動制御を行う。
【0026】
即ち、前記制御装置100は、アクセルレバー等のエンジン回転数変更操作部材110の操作位置をアクセルセンサ110aから入力して目標エンジン回転数を認識し、前記制御データを用いて算出される前記目標エンジン回転数に応じた燃料噴射量を噴射するように前記インジェクタ46を作動させ、エンジン回転数センサ50aによって検出される実エンジン回転数が前記目標エンジン回転数に一致しているか否かを判断し、両者が一致するように前記インジェクタ46の作動制御を行う。
【0027】
本実施の形態に係る前記作業車輌1は、前記エンジン50の回転数上限値を任意に設定し得るように構成されている。
【0028】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1にはエンジン回転数上限設定部材510が備えられている。
前記制御装置100は、前記エンジン回転数変更操作部材110を最大操作した際の目標エンジン回転数が前記エンジン回転数上限設定部材510によって設定されるエンジン回転数上限値に制限された状態で、前記エンジン50の出力回転数が前記エンジン回転数変更操作部材110の操作位置に応じた回転数となるように、前記燃料噴射装置40の作動制御を行うように構成されている。
なお、
図5中の符号510aは前記エンジン回転数上限設定部材510の操作位置を検出するセンサである。
【0029】
このように、エンジン回転数上限設定機能を備えることにより、前記エンジン回転数変更操作部材110に対する誤操作によって、前記エンジン50から作動的に回転動力が伝達される耕耘装置や植付装置等の作業機に意図しない高回転数の動力が入力されてトラブルが生じることを有効に防止することができる。
【0030】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記走行系伝動構造60は、主変速装置として作用する油圧式無段変速装置(HST)61を有している。
【0031】
前記HST61は、
図4に示すように、メインクラッチ51を介して入力される前記エンジン50からの回転動力を無段変速するように構成されている。
なお、
図5中の符号52及び53は、前記メインクラッチ51を介して入力される前記エンジン50からの回転動力によって駆動されるチャージポンプ及び補助ポンプである。
【0032】
本実施の形態においては、前記HST61は、前記制御装置100によって作動制御される主変速アクチュエータ220を介して変速動作するように構成されている。
【0033】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1においては、作動側変速センサ(速度センサ)61aによって検出される前記HST61の出力回転速度が主変速レバー等の主変速操作部材120への人為操作に応じた速度となるように、前記制御装置100が前記主変速アクチュエータ220の作動制御を行うようになっている。
【0034】
なお、
図5中の符号120aは、前記主変速操作部材120の操作位置(操作方向及び/又は操作量)を検出する操作側変速センサである。
【0035】
又、本実施の形態に係る前記作業車輌1は、前記主変速操作部材120を最大操作した際の前記HST61の出力回転速度の上限値(最高速値)を任意に設定し得るように構成されている。
【0036】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1には最高速設定部材515が備えられている。
前記制御装置100は、前記主変速操作部材120を最大操作した際の前記HST61の最高出力回転速度が前記最高速設定部材515によって設定された回転速度に制限された状態で、前記主変速操作部材120の操作位置に応じて前記HST61の出力回転速度が変更されるように前記主変速アクチュエータ220の作動制御を行う。
なお、
図5中の符号515aは、前記最高速設定部材515の操作位置を検出するセンサである。
【0037】
前記最高速設定部材515は前記エンジン回転数上限設定部材510と別体とすることも可能であるし、両部材510、515を共通操作部材によって構成することも可能である。
【0038】
即ち、前記最高速設定部材515及び前記エンジン回転数上限設定部材510を共通部材によって構成する場合には、前記エンジン回転数上限設定部材510及び前記最高速設定部材515の双方として作用するエンジン回転・車速切換スイッチ(図示せず)及びエンジン回転・車速設定ダイヤル(図示せず)が備えられている。
【0039】
前記エンジン回転・車速切換スイッチは、エンジン回転数上限設定フェイズ及び最高速設定フェイズを切り換える為の部材である。
【0040】
詳しくは、前記エンジン回転・車速切換スイッチは、エンジン側及び車速側に切り換え可能とされており、前記制御装置100は、前記エンジン回転・車速切換スイッチの操作位置に応じて、操縦者がエンジン回転数上限値を登録したいのか、又は、最高速値を登録したいのかを認識する。
【0041】
そして、前記制御装置100は、前記エンジン回転・車速設定ダイヤルによって設定された値を、前記エンジン回転・車速切換スイッチによって選択された側(即ち、エンジン出力の回転速度又はHST出力の回転速度)の上限値として登録する。
【0042】
本実施の形態においては、前記制御装置100は、前記エンジン回転数上限設定部材510によって設定されるエンジン回転数上限値及び前記最高速設定部材515によって設定される最高速度値の組み合わせによって画される走行モードを複数個、記憶し、人為操作による指令を受けて複数の走行モードのうちの何れか一の走行モードを起動させ得るように構成されている。
【0043】
即ち、
図5に示すように、前記作業車輌1には、人為操作可能な走行モード切換操作部材520が備えられている。
前記走行モード切換操作部材520は、前記複数の走行モード(例えば、Aモード及びBモードの2種類の走行モード)の切り換えを行えるように構成されている。
【0044】
即ち、前記走行モード切換操作部材520は、人為操作に応じて、前記複数の走行モードのそれぞれに対応した走行モード位置(例えば、Aモード位置又はBモード位置)を選択的にとり得るようになっている。
【0045】
前記制御装置100は、前記走行モード切換操作部材520が一の走行モード位置(前記例においては、Aモード位置又はBモード位置)に位置された状態で前記エンジン回転数上限設定部材510及び前記最高速設定部材515が操作されると、その操作によって設定された値を当該一の走行モードにおけるエンジン回転数上限値及び最高速値として記憶する。
なお、前記走行モード切換操作部材520の操作位置はセンサ520a(
図5参照)によって検出される。
【0046】
このように複数の走行モードが記憶されている状態において、前記制御装置100は、前記走行モード切換操作部材520の操作位置に対応した走行モードを起動する。
【0047】
なお、前記走行モード切換操作部材520が、前記複数の走行モード位置に加えて、走行モード解除位置をとり得るように構成し、前記走行モード切換操作部材520が走行モード解除位置に位置されると、前記制御装置100が、前記複数の走行モードの解除状態を現出させるように構成することも可能である。
【0048】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記走行系伝動構造60は、前後進切換装置62を有している。
前記前後進切換装置62は、前記HST61から作動的に伝達される回転動力の回転方向を切り替えて出力するように構成されている。
【0049】
詳しくは、前記前後進切換装置62は、前記HST61からの回転動力を正転方向(前進方向)の回転動力として前記駆動輪へ向けて出力する前進状態、前記HST61からの回転動力を逆転方向(後進方向)の回転動力として前記駆動輪へ向けて出力する後進状態、及び、前記HST61から前記駆動輪への動力伝達を遮断する中立状態を選択的にとり得るように構成されている。
【0050】
前記前後進切換装置62は、人為操作可能なF/Rレバー等の前後進切換操作部材130への人為操作に応じて、前進状態又は後進状態をとり、人為操作可能な主クラッチ操作部材135のクラッチ切り操作に応じて、中立状態(動力遮断状態)をとるようになっている。
【0051】
本実施の形態においては、前記前後進切換装置62は、前後進切換アクチュエータ230によって出力状態の切り換えが行われるようになっている。
【0052】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1においては、前記前後進切換装置62の出力状態が前記前後進切換操作部材130及び前記主クラッチ操作部材135への人為操作に応じて変更されるように、前記制御装置100が前記前後進切換アクチュエータ230の作動制御を行うようになっている。
【0053】
なお、
図5中の符号130a及び135aは前記前後進切換操作部材130及び前記主クラッチ操作部材135の操作位置をそれぞれ検出する操作側前後進センサ及び操作側主クラッチセンサであり、符号62aは前記前後進切換装置62の作動状態を検出する前後進センサである。
【0054】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記走行系伝動構造60は、副変速装置として作用するギヤ式多段変速装置63を有している。
【0055】
前記ギヤ式多段変速装置63は、前記前後進切換装置62の伝動方向後流側に配設されており、前記前後進切換装置62を介して入力される回転動力を多段変速して、走行系出力軸65に伝達する。
【0056】
前記多段変速装置63は、副変速操作部材140(
図5参照)によって選択された変速段を係合させるように構成されている。
図4に示すように、本実施の形態においては、前記多段変速装置63は、高速段及び低速段の2段の変速段を有している。
【0057】
本実施の形態においては、前記多段変速装置63は、副変速アクチュエータ240(
図5参照)によって変速状態の切り換えが行われるようになっている。
【0058】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1においては、前記多段変速装置63の変速段が前記副変速操作部材140への人為操作に応じて変更されるように、前記制御装置100が前記副変速アクチュエータ240の作動制御を行うようになっている。
【0059】
なお、
図5中の符号140aは前記副変速操作部材140の操作位置を検出する操作側副変速センサであり、符号63aは前記多段変速装置63の変速状態を検出する副変速センサである。
【0060】
本実施の形態においては、前記一対の後輪20Rがメイン駆動輪とされ、且つ、前記一対の前輪20Fが操舵輪且つサブ駆動輪とされている。
【0061】
即ち、
図4及び
図5に示すように、前記作業車輌1には、人為操作されるステアリングホイール等の旋回操作部材115と、前記旋回操作部材115の操作位置を検出する操作側旋回センサ115aと、前記操舵輪(本実施の形態においては前輪20F)を操舵するパワーステアリング装置等の旋回アクチュエータ215と、車輌旋回角度を検出する作動側旋回センサ90aとが備えられている。
【0062】
そして、前記制御装置100は、前記作動側旋回センサ90aによって検出される車輌旋回角が前記操作側旋回センサ115aによって検出される前記旋回操作部材115の操作角となるように、前記旋回アクチュエータ215の作動制御を行う。
【0063】
又、本実施の形態においては、
図4に示すように、前記走行系伝動構造60は、さらに、前記走行系出力軸65の回転動力を主駆動輪として作用する前記一対の後輪20Rに差動伝達する主駆動輪側デファレンシャルギヤ装置66と、前記走行系出力軸65の回転動力を入力するサブ駆動輪駆動装置70と、前記サブ駆動輪駆動装置70からの回転動力をサブ駆動輪として作用する前記一対の前輪20Fに差動伝達するサブ駆動輪側デファレンシャルギヤ装置71と、前記左右一対のメイン駆動輪にそれぞれ制動力を付加し得る左右一対のブレーキ装置75L、75Rとが備えられている。なお、
図4においては、左側ブレーキ装置75Lのみ図示している。
【0064】
前記サブ駆動輪駆動装置70は、サブ駆動輪駆動切換操作部材145への人為操作に応じて、前記サブ駆動輪(本実施の形態においては前記前輪20F)が前記メイン駆動輪(本実施の形態においては後輪20R)と、常時、等速駆動されるように前記走行系出力軸65の回転動力を前記サブ駆動輪へ向けて出力する4駆等速状態と、旋回角センサ90a(
図5参照)によって検出される旋回角が所定角以下の場合には前記サブ駆動輪が前記メイン駆動輪と等速で駆動され且つ前記旋回角が所定角を超えた場合には前記サブ駆動輪が前記メイン駆動輪より高速(例えば約2倍速)で駆動されるように前記走行系出力軸65の回転動力を前記サブ駆動輪へ向けて出力する4駆旋回時増速状態と、前記サブ駆動輪を駆動しない2駆状態とを選択的にとり得るように構成されている。
【0065】
本実施の形態においては、前記サブ駆動輪駆動装置70は、サブ駆動輪駆動切換アクチュエータ245を介して伝動状態の切り換えが行われるようになっている。
【0066】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1においては、前記サブ駆動輪駆動装置70がサブ駆動輪駆動切換操作部材145への人為操作に応じた伝動状態となるように、前記制御装置100が前記サブ駆動輪駆動切換アクチュエータ245の作動制御を行うようになっている。
【0067】
なお、
図5中の符号145aは、前記サブ駆動輪駆動切換操作部材145の操作位置を検出するサブ駆動輪駆動切換センサであり、符号70aは前記サブ駆動輪駆動装置70の伝動状態を検出するサブ駆動輪センサである。
【0068】
前記一対のブレーキ装置75L、75Rは、人為操作される一対のブレーキ操作部材150L、150Rへの人為操作に応じて、個別に、ブレーキ作動状態及びブレーキ解除状態をとり得るようになっている。
【0069】
本実施の形態においては、前記一対のブレーキ装置75L、75Rは、それぞれ、一対のブレーキアクチュエータ250L、250Rを介して、ブレーキ作動状態及びブレーキ解除状態の切り換えが行われるようになっている。
【0070】
詳しくは、前記制御装置100は、前記一対のブレーキ装置75L、75Rが前記一対のブレーキ操作部材150L、150Rへの人為操作に応じたブレーキ作動状態又はブレーキ解除状態となるように、前記一対のブレーキアクチュエータ250L、250Rの作動制御を行うようになっている。
【0071】
なお、
図5中の符号150La、150Raは前記一対のブレーキ操作部材150L、150Rの操作状態を検出するセンサであり、符号75La、75Raは前記一対のブレーキ装置75L、75Rの作動状態を検出するセンサである。
【0072】
次にPTO伝動構造80について説明する。
図4に示すように、本実施の形態においては、前記PTO系伝動構造80は、PTOクラッチ装置81と、PTO変速装置82とを有している。
【0073】
前記PTOクラッチ装置81は、前記メインクラッチ51を介して入力される前記エンジン50からの回転動力を選択的に伝達又は遮断するように構成されている。
前記PTO変速装置82は、前記PTOクラッチ機構81を介して入力される前記エンジン50からの回転動力を変速して、前記PTO軸95へ向けて出力するように構成されている。
【0074】
即ち、前記制御装置100は、
図5に示すように、人為操作されるPTO入切操作部材160への人為操作に応じて前記PTOクラッチ装置81が伝動状態及び遮断状態となるように、PTOクラッチアクチュエータ260の作動制御を行うようになっている。
【0075】
また、前記制御装置100は、
図5に示すように、人為操作されるPTO変速操作部材165への人為操作に応じて前記PTO変速装置82が変速動作するように、PTO変速アクチュエータ265の作動制御を行うようになっている。
【0076】
なお、
図5中の符号160aは前記PTO入切操作部材160の操作位置を検出するセンサであり、符号81aは前記PTOクラッチ装置81の作動状態を検出するセンサである。
また、符号165aは前記PTO変速操作部材165の操作位置を検出するセンサであり、符号82aは前記PTO変速装置82の作動状態を検出するセンサである。
さらに、符号95aは前記PTO軸95の回転数を検出するセンサである。
【0077】
本実施の形態に係る前記作業車輌1は、前記PTO軸95を介して前記エンジン50からの回転動力を伝達し得る状態でリンク機構380を介して作業機200を付設し得るように構成されている。
【0078】
図6及び
図7は、それぞれ、前記作業機200の一例であるロータリー耕耘装置300の側面図及び平面図である。
【0079】
図6及び
図7に示すように、前記ロータリー耕耘装置300は、前記リンク機構380に連結されるフレーム構造体301と、前記PTO軸95からの回転動力によって回転駆動される耕耘軸305と、前記耕耘軸305に設けられた耕耘爪306と、前記耕耘爪306の回転軌跡の上方を覆うメインカバー310と、前記耕耘爪306の回転軌跡の後方を覆うように前記メインカバー310に揺動可能に連結されたリヤカバー311とを有している。
【0080】
前記フレーム構造体301は、前記PTO軸95からの回転動力を伝動軸を介して入力するギヤボックス301aと、前記ギヤボックス301aの左右に車輌幅方向に沿うように連結された一対のメインビーム301bと、前記ギヤボックス301aに支持された上リンクフレーム301cと、前記メインビーム301bに支持され、一対の下リンクフレーム301dと、前記一対のメインビーム301bの一方の機体幅方向外端部に連結されたチェーンケース301eと、前記一対のメインビーム301bの他方の機体幅方向外端部に前記チェーンケース301eと対向するように連結された軸受板301fとを有している。
【0081】
本実施の形態においては、前記フレーム構造体301が前記リンク機構380を介して前記作業車輌1の車輌本機に昇降可能に連結されている。
詳しくは、
図2及び
図3に示すように、前記リンク機構380は、前端部が前記作業車輌の車輌本機に回動可能に連結されたトップリンク381及び左右一対のロワーリンク382を有している。
そして、前記トップリンク381の後端部が前記上リンクフレーム301cに回動可能に連結され、前記一対のロワーリンク382の後端部が前記一対の下リンクフレーム301dに回動可能に連結されている。
【0082】
前記耕耘軸305は、機体幅方向に沿った状態で前記チェーンケース301e及び前記軸受板301fに軸線回り回転自在に支持されており、前記ギヤボックス301a、前記一方のメインビーム301b及び前記チェーンケース301e内の伝動機構を介して伝達される回転動力によって軸線回りに回転駆動される。
【0083】
前記メインカバー310は前記耕耘軸305回り回動可能とされており、本実施の形態においては、電動モータ303(
図6参照)によって前記耕耘軸305回りに位置調整されるようになっている。
【0084】
前記リヤカバー311は、
図6に示すように、前端部が機体幅方向に沿った枢支軸312回り回動可能に前記メインカバー310の後端部に連結されている。
前記リヤカバー311は、鎮圧バネ機構315によって後端部が地面に向けて押圧されており、前記耕耘爪306によって耕耘された土壌表面を均平化させ得るようになっている。
【0085】
前記作業車輌1は、前記作業機200を昇降させることができ、さらには、左右方向に傾動させ得るようになっている。
【0086】
詳しくは、前記作業車輌1には、
図5に示すように、前記作業機200を昇降させる昇降アクチュエータ270と、前記作業機200の左右方向の傾きを変更させる傾動アクチュエータ280とが備えられている。
【0087】
前記制御装置100は、人為操作信号に基づいて、前記昇降アクチュエータ270及び前記傾動アクチュエータ280の作動制御を行う。
【0088】
詳しくは、前記作業車輌1には、昇降操作部材170として、手動昇降操作部材171とワンタッチ昇降操作部材172と上昇位置設定部材173と昇降微調整操作部材174とが備えられている。
【0089】
前記手動昇降操作部材171が操作されると、前記制御装置100は、前記作業機200が前記手動昇降操作部材171の操作位置に応じた高さに位置するように前記昇降アクチュエータ270を作動させる。
なお、
図5中の符号171aは、前記手動昇降操作部材171の操作位置を検出するセンサであり、符号201aは、前記作業機200の昇降位置を検出するリフトセンサである。
【0090】
前記ワンタッチ昇降操作部材172が上昇操作されると、前記制御装置100は、前記作業機200が前記上昇位置設定部材173によって設定されている高さまで上昇するように前記昇降アクチュエータ270を作動させる。
【0091】
なお、
図5中の符号172aは、前記ワンタッチ昇降操作部材172の操作状態を検出するセンサであり、符号173aは前記上昇位置設定部材173による設定位置を検出するセンサである。
【0092】
前記ワンタッチ昇降操作部材172が下降操作されると、前記制御装置100は、前記作業機200が前記手動昇降操作部材171の操作位置によって画される下降位置まで下降するように前記昇降アクチュエータ270を作動させる。
即ち、本実施の形態においては、前記手動昇降操作部材171が下降位置設定部材としても作用するようになっている。
【0093】
前記昇降微調整操作部材174は、上げ操作及び下げ操作可能とされている。
詳しくは、前記昇降微調整操作部材174は、上げ方向に押圧操作されている際には上げ位置をとり、上げ方向への押圧操作が解除されると自動的に中立位置へ復帰し、且つ、下げ方向に押圧操作されている際には下げ位置をとり、下げ方向への押圧操作が解除されると自動的に中立位置へ復帰するように構成されている。
【0094】
前記制御装置100は、前記昇降微調整操作部材174が上げ操作及び下げ操作されている間は、所定速度で前記作業機200がそれぞれ上昇及び下降するように前記昇降アクチュエータ270を作動させ、上げ操作及び下げ操作が解除されて前記昇降微調整操作部材174が中立位置へ復帰すると前記作業機200の昇降を停止させる。
なお、
図5中の符号174aは、前記昇降微調整操作部材174の操作位置を検出するセンサである。
【0095】
さらに、本実施の形態に係る前記作業車輌1は、前記作業機200の昇降に関し、耕深自動モードを有している。
前記耕深自動モードは、耕深センサ203aによって検出される前記作業装置200の耕深位置が耕深設定ダイヤル176で設定された設定位置となるように、前記昇降用アクチュエータ270の作動制御を行う制御モードである。
【0096】
前記耕深自動モードは、入切操作可能な耕深自動スイッチ175(
図5参照)への人為操作に応じて、前記制御装置100によって起動状態及び解除状態が切り換えられる。
図5中の符号175aは、前記耕深自動スイッチ175の操作状態を検出するセンサであり、符号176aは、前記耕深設定ダイヤル176の操作状態を検出するセンサである。
【0097】
又、
図5に示すように、前記作業車輌1には傾動操作部材180が備えられており、前記傾動操作部材180への人為操作に応じて前記作業機200が左右方向に傾動されるように、前記制御装置100が前記傾動アクチュエータ280の作動制御を行う。
なお、
図5中の符号180aは、前記傾動操作部材180の操作位置を検出するセンサであり、符号202aは、前記作業機200の傾きを検出する傾きセンサである。
【0098】
さらに、本実施の形態に係る前記作業車輌1は、前記作業機200の傾動に関し、傾き自動モードを有している。
前記傾き自動モードは、前記傾きセンサ202aによって検出される前記作業装置200の左右方向の傾きが傾き設定ダイヤル186で設定された傾きとなるように、前記傾動用アクチュエータ280の作動制御を行う制御モードである。
【0099】
前記傾き自動モードは、入切操作可能な傾き自動スイッチ185(
図5参照)への人為操作に応じて、前記制御装置100によって起動状態及び解除状態が切り換えられる。
図5中の符号185aは、前記傾き自動スイッチ185の操作状態を検出するセンサであり、符号186aは、前記傾き設定ダイヤル186の操作状態を検出するセンサである。
【0100】
ここで、本実施の形態に係る前記作業車輌1に備えられる表示装置について説明する。
図3及び
図5に示すように、本実施の形態に係る前記作業車輌1は、種々の情報を操縦者が視認し得るように表示する表示装置として、前記運転席15の前方に配設されたメーターパネル400と、前記運転席の側方に配設されたサブディスプレイ450とを備えている。
【0101】
図8に、前記メーターパネル400の模式図を示す。
図8に示すように、前記メーターパネル400は、前記エンジン50の回転数を表示するタコメータ405と、前記作業車輌1に備えられる種々の制御モードの起動有無を表示する複数の表示ランプ410と、液晶ディスプレイ部420とを有している。
【0102】
図8に示すように、前記液晶ディスプレイ部420は、前記前後進切換装置62が中立状態にあるか否かを示す中立表示領域421と、燃料タンク41の残量を表示する燃料残量表示領域422と、エンジン冷却水の温度を表示する水温表示領域423と、操縦者による人為操作に応じて複数の情報を順次切り替え表示する表示切替領域425とを有している。
【0103】
詳しくは、
図5に示すように、前記作業車輌1には表示切替操作部材430が備えられている。
前記制御装置100は、前記表示切替操作部材430への操作に応じて、前記表示切替領域425の表示状態を、前記エンジン50の総稼働時間及び前記エンジン50のリセット後稼働時間を表示するアワーメータ表示状態(
図9(a)参照)、走行車速、選択中の走行モード並びに当該走行モードによって設定されているエンジン回転数上限値及び最高速値を表示する車速表示状態(
図9(b)参照)、及び、走行車速、選択中の走行モード及びエンジン負荷率を表示するエンジン負荷表示状態(
図9(c)参照)、に順次切り替えるように構成されている。
【0104】
なお、前記PTO入切操作部材160が入り操作されている場合には、前記制御装置100は、前記表示切替領域の表示状態として、走行車速、選択中の走行モード及びPTO回転数を表示するPTO回転数表示状態(
図9(d)参照)を加えるように構成されている。
【0105】
前記エンジン50の稼働時間は、前記制御装置100に備えられるタイマーの出力に基づいて計測される。
詳しくは、前記制御装置100は、前記エンジン回転数センサ50aからの信号に基づき前記エンジン50の稼働及び停止を検出し、前記エンジン回転数が所定回転数を超えている時間を前記タイマーの出力に基づいてエンジン総稼働時間として積算する。
【0106】
また、前記制御装置100は、前記作業車輌1に備えられるリセット部材435(
図5参照)への人為操作に応じてリセット信号を入力すると、前記リセット信号入力後において前記エンジン回転数が所定回転数を超えている時間を前記タイマー出力に基づいてリセット後稼働時間として積算する。
【0107】
前記エンジン負荷率は、例えば、前記制御装置100に予め備えられている燃料噴射量とエンジン回転数との関係データを用いて算出される。
即ち、前記制御装置100は、前記エンジン回転数センサ50aから入力される実測エンジン回転数及び前記関係データから、当該エンジン回転数における最大燃料噴射量及び無負荷燃料噴射量を得る。
【0108】
そして、前記制御装置100は、最大燃料噴射量及び無負荷燃料噴射量間の偏差に対する、実際の燃料噴射量及び無負荷燃料噴射量間の偏差の比率を、前記エンジン負荷率として算出する。
【0109】
前記サブディスプレイ480は、液晶ディスプレイ部を有しており、種々の情報を視認可能に表示する。
【0110】
ここで、本実施の形態に係る前記作業車輌1に備えられた割り込み表示機能について説明する。
前記制御装置100は、前記作業車輌1に備えられる種々の操作部材のうち予め割り込み表示対象として登録されている操作部材(以下、表示対象操作部材と言う)が操作された場合には、前記表示対象操作部材に対応した作動部材を作動させることに加えて、前記表示装置の液晶表示部に、操作された操作部材の識別情報及びその操作状態を示す操作情報を割り込み表示するように構成されている。
【0111】
斯かる構成によれば、操縦者は、操作した操作部材の種別及び操作状況を前記液晶表示部によって確認することができるので、当該操作部材を直接視認することなく、且つ、当該操作部材への操作に応じて作動される部材の作動状態を直接視認することなく、操作状態及び作動状態を把握することができ、これにより、操縦者の操作性を向上させることができる。
【0112】
前記液晶表示部としては、前記メータパネル400における前記液晶ディスプレイ部420の前記表示切替領域425及び/又は前記サブディスプレイ450における前記液晶ディスプレイ部を用いることができる。
【0113】
図10に、割り込み表示制御フローを示す。
前記制御装置100は、前記作業車輌1の主電源オンに応じて割り込み表示制御モードを起動させる。
【0114】
前記制御装置100は、種々のセンサからの入力信号に基づき、操作部材の操作有無を検知する(ステップS1)。
【0115】
ステップS1において、前記種々の操作部材のうちの何れかの操作部材が操作されたことを検知すると、前記制御装置100は、操作された操作部材が予め登録されている表示対象操作部材である否かを判断する(ステップS2)。
【0116】
ここで、前記表示対象操作部材の事前登録は、例えば、操縦者が任意に行えるように構成され得る。
即ち、
図5に示すように、前記作業車輌1に前記表示対象操作部材を登録する為の表示対象登録操作部材480を備え、前記制御装置100は、前記表示対象登録操作部材480によって選択された操作部材を前記表示対象操作部材として更新記憶するように構成され得る。
前記表示対象操作部材の情報は、例えば、電源を切っても失われず且つ書き換え可能とされたEEPROMに記憶され得る。
【0117】
斯かる構成によれば、種々に変化する前記作業車輌1の走行状況や作業状況に応じて、必要な操作情報を適切に操縦者に知らしめることができる。
【0118】
ステップS2においてYESの場合、即ち、操作された操作部材が表示対象操作部材である場合には、前記制御装置100は、前記液晶表示部に、操作された操作部材の識別情報及び当該操作部材の操作状態を割り込み表示させる(ステップS3)。
【0119】
図11に、前記液晶表示部における割り込み表示の一例を示す。
図11に示す例においては、前記操作部材の識別情報は、前記液晶表示部における識別情報表示領域461に、前記操作部材を示すシンボルを用いて表示され、前記操作状態は、操作状態表示領域462に、前記操作部材の操作可能範囲と前記操作可能範囲に対する現在の操作位置とが棒グラフ形式でアナログ表示されている。
【0120】
ステップS3で前記操作部材の識別情報及び操作状態が前記液晶表示部に割り込み表示されると、前記制御装置100はタイマーのカウントを開始し(ステップS4)、ステップS1の処理へ戻る。
【0121】
ステップS1においてNOの場合又はステップS2においてNOの場合、前記制御装置100は、ステップS4で計測開始した時間(即ち、割り込み表示を開始してからの時間)が所定時間を経過しているか否かを判断する(ステップS11)。
【0122】
ステップS11においてYESの場合、即ち、割り込み表示が所定時間を経過している場合には、前記制御装置100は、前記液晶表示部を割り込み表示前の元の表示状態へ戻す(ステップS13)。
【0123】
ステップS11においてNOの場合、即ち、割り込み表示が所定時間を経過していない場合には、前記制御装置100は、割り込み表示を解除する人為信号が入力されているか否かを判断する(ステップS12)。
割り込み表示を解除する人為信号は、例えば、前記作業車輌1に備えられる割り込み表示解除部材490(
図5参照)への人為操作によって生成される。
【0124】
ステップS12においてYESの場合、即ち、割り込み表示を解除する人為信号が入力されていると、前記制御装置100は、前記液晶表示部を割り込み表示前の元の表示状態へ戻す(ステップS13)。
一方、ステップS12においてNOの場合には、前記制御装置100は、ステップS1の処理へ戻る。