(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
刈取部が、走行機体の前側且つ機体幅方向一方側に立設された垂直支軸に回動可能に支持されたホルダー部材と水平に延びる横支持筒とを有し、前記横支持筒の軸線回り昇降可能で且つ前記垂直支軸の軸線回り水平回動可能とされているコンバインであって、
前記ホルダー部材は、前記垂直支軸に回転可能に支持された回動部と、前記横支持筒の一端側を軸線回り回転可能に支持する軸受部と、先端側が少なくとも前記横支持筒の軸線方向中央領域近傍に到達するように前記横支持筒に沿って延びる横方向延在部とを有し、
前記横支持筒は、刈取入力軸が内挿され且つ一端側が前記軸受部に軸線回り回転自在に支持される筒体と、前記筒体における軸線方向中央領域の外表面のうち前記筒体が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に下方を向く部分から径方向外方へ延びる前後一対の延在片と、前記一対の延在片の間を跨ぐように前記一対の延在片の外端面に当接されるプレート部材と、前記筒体の軸線方向スライド可能なストッパー部材とを有し、
前記一対の延在片及び前記プレート部材が前記ストッパー部材を前記筒体の軸線方向に沿ってのみ移動可能にガイドする案内路を形成しており、
前記横方向延在部には、前記刈取部が前記垂直支軸回り刈取姿勢とされた際に前方を向き、前記ストッパー部材が係合可能な係合部として作用する係合面が形成され、
前記ストッパー部材は、係合位置に位置されると、前記案内路によってガイドされた状態で後面が前記係合面に係合して、前記刈取部を下降させる方向への前記筒体の軸線回り回動を防止する一方、解除位置に位置されると、前記係合面との係合が解除されて前記刈取部を昇降させる前記筒体の軸線回り回動を許容することを特徴とするコンバイン。
前記走行機体には、前記刈取部が前記垂直支軸回り刈取姿勢とされた際に前記筒体の他端側を支持する支持部材であって、前記筒体の他端側を軸線回り回転可能に支持する軸受状態と前記筒体の他端側の支持を解除する解除状態とを取り得る支持部材が設けられ、
前記横方向延在部は、前記筒体の下方において前記筒体の軸線方向に沿っており、
前記ストッパー部材の後面の前記係合面への係合を可能とする軸線回り刈取部下降ロック位置に前記筒体が位置された際に互いに対向する前記筒体及び前記横方向延在部の対向領域の一方には他方に向かって突出する凸部が設けられており、
前記凸部は、前記支持部材によって前記筒体の他端側が支持されることで前記筒体が両持ち支持状態とされている際には、他方の対向領域との間に間隙が存在して、前記筒体の軸線回り回転を許容し、且つ、前記支持部材による前記筒体の他端側の支持が解除されて前記筒体が片持ち支持状態とされると、前記筒体の他端側が一端側に比して下方へ撓む又は垂れることによって他方の対向領域に当接して前記筒体のそれ以上の撓み又は垂れを防止するような突出高さとされていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【背景技術】
【0002】
走行機体の前部に連結された刈取部が前記走行機体に対して水平方向回動可能とされたコンバインが提案されている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、前記コンバインにおいては、前記刈取部は、前記走行機体の前側且つ機体幅方向一方側に立設された垂直支軸に回動可能に支持されたホルダー部材と、水平姿勢で、一端側が前記ホルダー部材に軸線回り回転自在に支持された横支持筒と、前記横支持筒の他端側を軸線回り回転自在に支持する支持部材と、前記横支持筒の軸線方向中途部から前方且つ下方へ延びる縦支持筒とを備えている。
【0004】
前記刈取部は、前記走行機体及び前記縦支持筒の間に介挿される刈取昇降用油圧シリンダによって前記横支持筒の軸線回りに回動されることで昇降動作を行うと共に、前記ホルダー部材が前記垂直支軸の軸線回りに回動されることによって、前記走行機体の前方に位置する刈取姿勢と前記走行機体の前方を開放させる開放姿勢とを取り得るようになっている。
【0005】
ここで、前記刈取部を刈取姿勢から開放姿勢へ移行させる際には、前記横支持筒に内挿される刈取入力軸への動力伝達を解除させると共に、前記縦支持筒と前記刈取昇降用油圧シリンダとの連結を解除させる必要があり、前記刈取部の自重によって前記横支持筒には軸線回り下降方向への力が作用する。
【0006】
この点に関し、前記特許文献1に記載のコンバインは、人為操作されるストッパー部材によって前記横支持筒が軸線回り下降方向へ回動することを防止し得るように構成されており、前記ストッパー部材によって前記横支持筒の下降方向への回動を防止した状態で前記刈取部を刈取姿勢から開放姿勢へ前記垂直支軸回りに水平回動させ得るようになっている。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載のコンバインにおいては、前記ストッパー部材が前記垂直支軸に近接する前記横支持筒の一端側に設けられている為、前記刈取部が開放姿勢とされて前記横支持筒が前記ホルダー部材によって片持ち支持状態とされている際に、前記横支持筒の自由端側が下方へ撓み又は垂れ易く、開放姿勢の際の前記刈取部の姿勢安定化を図り難いという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、刈取部が横支持筒回り昇降可能且つ垂直支軸回り水平回動可能とされ、前記刈取部の前記垂直支軸回り開放姿勢への移行時に前記横支持筒が下降方向へ回動することをストッパー部材によって防止可能とされたコンバインにおいて、前記垂直支軸回り開放姿勢とされた際の前記刈取部の姿勢安定化を図り得るコンバインの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、刈取部が、走行機体の前側且つ機体幅方向一方側に立設された垂直支軸に回動可能に支持されたホルダー部材と水平に延びる横支持筒とを有し、前記横支持筒の軸線回り昇降可能で且つ前記垂直支軸の軸線回り水平回動可能とされているコンバインであって、前記ホルダー部材は、前記垂直支軸に回転可能に支持された回動部と前記横支持筒の一端側を軸線回り回転可能に支持する軸受部と先端側が少なくとも前記横支持筒の軸線方向中央領域近傍に到達するように前記横支持筒に沿って延びる横方向延在部とを有し、
前記横支持筒は、刈取入力軸が内挿され且つ一端側が前記軸受部に軸線回り回転自在に支持される筒体と、前記筒体における軸線方向中央領域の外表面のうち前記筒体が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に下方を向く部分から径方向外方へ延びる前後一対の延在片と、前記一対の延在片の間を跨ぐように前記一対の延在片の外端面に当接されるプレート部材と、前記筒体の軸線方向スライド可能なストッパー部材
とを有し、
前記一対の延在片及び前記プレート部材が前記ストッパー部材を前記筒体の軸線方向に沿ってのみ移動可能にガイドする案内路を形成しており、前記横方向延在部には
、前記刈取部が前記垂直支軸回り刈取姿勢とされた際に前方を向き、前記ストッパー部材が係合可能な係合部
として作用する係合面が形成され、前記ストッパー部材
は、係合位置に位置されると、前記案内路によってガイドされた状態で後面が前記係合
面に係合して、前記刈取部を下降させる方向への前記
筒体の軸線回り回動
を防止
する一方、
解除位置に位置されると、前記係合
面との係合
が解除され
て前記刈取部を昇降させる前記筒体の軸線回り回動
を許容
すコンバインを提供する。
【0011】
好ましくは、前記走行機体には、前記刈取部が前記垂直支軸回り刈取姿勢とされた際に前記筒体の他端側を支持する支持部材であって、前記筒体の他端側を軸線回り回転可能に支持する軸受状態と前記筒体の他端側の支持を解除する解除状態とを取り得る支持部材が設けられる。
前記横方向延在部は、前記筒体の下方において前記筒体の軸線方向に沿うように形成される。
【0012】
この場合に、前記ストッパー部材の後面の前記係合面への係合を可能とする軸線回り刈取部下降ロック位置に前記筒体が位置された際に互いに対向する前記筒体及び前記横方向延在部の対向領域の一方には他方に向かって突出する凸部が設けられる。
前記凸部は、前記支持部材によって前記筒体の他端側が支持されることで前記筒体が両持ち支持状態とされている際には、他方の対向領域との間に間隙が存在して、前記筒体の軸線回り回転を許容し、且つ、前記支持部材による前記筒体の他端側の支持が解除されて前記筒体が片持ち支持状態とされると、前記筒体の他端側が一端側に比して下方へ撓む又は垂れることによって他方の対向領域に当接して前記筒体のそれ以上の撓み又は垂れを防止するような突出高さとされる。
【0013】
好ましくは、前記係合面は、前記刈取部が前記垂直支軸回り刈取姿勢とされた際に前上方を向く上向き傾斜姿勢をとるように形成され、前記ストッパー部材の後面は、前記ストッパー部材が係合位置に位置された際に前記係合面と係合可能な当接領域を含み、前記当接領域は、前記筒体が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に、上向き傾斜姿勢の前記係合面に係合する下向き傾斜姿勢をとるように形成され得る。
【0014】
前記一対の延在片の互いに対する対向面は、前記筒体が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に、垂直に沿った前側垂直案内面及び後側垂直案内面を形成するように構成され得る。
前記ストッパー部材の後面は、前記後側垂直案内面に係合する被ガイド領域と、前記被ガイド領域から前記筒体の軸線方向に沿って延び、前記ストッパー部材が係合位置に位置された際に前記係合面と係合可能な前記当接領域とを有するものとされ、前記筒体が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に、前記被ガイド領域は前記後側垂直案内面に係合する垂直姿勢をとるように形成され得る。
【0015】
前記種々の構成において、好ましくは、前記プレート部材には、前記筒体の軸線方向に沿ったスリットが設けられ、前記ストッパー部材には、前記スリットに挿通された状態で一端側が前記ストッパー部材に螺入され且つ他端側が前記スリットの幅より大きい操作部位とされた操作部材が連結される。
この場合に、前記操作部材を前記スリットの一端側及び他端側に位置させることで前記ストッパー部材が前記係合位置及び前記解除位置にそれぞれ位置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るコンバインによれば、走行機体に立設された垂直支軸に回転可能に支持され且つ横支持筒の一端側を軸線回り回転自在に支持するホルダー部材に、先端側が少なくとも前記横支持筒の軸線方向中央領域近傍に到達するように前記横支持筒に沿って延びる横方向延在部が設けられ、前記横支持筒
は、刈取入力軸が内挿され且つ一端側が前記ホルダー部材の軸受部に軸線回り回転自在に支持される筒体と、前記筒体における軸線方向中央領域の外表面のうち前記筒体が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に下方を向く部分から径方向外方へ延びる前後一対の延在片と、前記一対の延在片の間を跨ぐように前記一対の延在片の外端面に当接されるプレート部材と、前記筒体の軸線方向スライド可能なストッパー部材
とを有し、
前記一対の延在片及び前記プレート部材が前記ストッパー部材を前記筒体の軸線方向に沿ってのみ移動可能にガイドする案内路を形成しており、前記横方向延在部には
、前記刈取部が前記垂直支軸回り刈取姿勢とされた際に前方を向き、前記ストッパー部材が係合可能な係合部
として作用する係合面が形成され、前記ストッパー部
材は前記
筒体の軸線方向中央領域に配置され
た前記一対の延在片及び前記プレート部材によってガイドされた状態で前記横方向延在部の前記係合面に係合されるので、前記横支持筒を前記ホルダー部材によって片持ち支持させた状態で前記刈取部を前記垂直支軸回り開放姿勢に位置させる際に、前記横支持筒の自由端側の下方への撓み又は垂れを有効に防止することができる。従って、前記刈取部の開放姿勢の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るコンバインの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に、それぞれ、本実施の形態に係るコンバイン1の側面図及び平面図を示す。
【0019】
図1及び
図2に示すように、前記コンバイン1は、走行機体10と、前記走行機体10に連結された左右一対の走行クローラ20と、前記走行機体10に支持されたエンジン25と、前記エンジン25から前記走行クローラ10へ至る伝動経路に介挿されたトランスミッション30と、前記走行機体10の前方に連結された刈取部100と、前記走行機体10に支持された脱穀部40、貯留部50及び運転部60とを備えている。
【0020】
前記刈取部100は、穀稈引起装置110と、前記穀稈引起装置110の前下方に配置された分草体105と、前記穀稈引起装置110によって引き起こされた穀稈の根元を刈り取る刈刃装置115と、前記刈刃装置115によって刈り取られた刈取穀稈を前記脱穀部40へ向けて搬送する穀稈搬送装置120とを有している。
【0021】
前記刈取部100は、前記走行機体10の前側且つ機体幅方向一方側に立設された垂直支軸11回り水平回動可能とされており、前記垂直支軸11回りに、前記走行機体10の前方に位置する刈取姿勢(
図2の実線)と前記走行機体10の前方を開放させる開放姿勢(
図2の破線)とを取り得るように構成されている。
前記刈取部100を回動可能とする構造の詳細については後述する。
【0022】
前記脱穀部40は、前記走行機体10の進行方向左側に配置されている。
前記脱穀部40は、前記穀稈搬送装置120から刈取穀稈を受け取って、機体後方側へ搬送するフィードチェーン装置41と、扱室45内に配置され、前記フィードチェーン装置41によって後方へ搬送される刈取穀稈に対して脱穀処理を行う扱胴(図示せず)と、前記扱胴によって生成された脱穀物に対して揺動選別を行う揺動選別機構(図示せず)と、前記脱穀物に対して風選別を行う風選別機構(図示せず)とを備えている。
【0023】
前記貯留部50は、前記扱室45の右側に配置されたグレンタンク51を有している。
前記グレンタンク51には、前記揺動選別機構及び前記風選別機構によって選別され、一番樋(図示せず)に集約された一番穀粒が一番コンベア(図示せず)及び揚穀コンベア(図示せず)を介して収容される。
また、前記貯留部50は、前記グレンタンク51内に穀粒を外部に排出させる排出オーガ機構52を有している。
【0024】
前記運転部60は、前記走行機体10の進行方向右側で、前記グレンタンク51の前側に配置されている。
前記運転部60は、操縦者が着座する運転席61と、前記運転席61の前方に配置された操向ハンドル62と、前記運転席61の近傍に配置された種々の操作部材63とを有している。
【0025】
ここで、前記刈取部100を回動可能とする構造について説明する。
図3〜
図5に、それぞれ、前記垂直支軸11近傍の前記コンバイン1の部分斜視図、部分平面図及び部分正面図を示す。
【0026】
前述の通り、前記走行機体10には、前側で且つ機体幅方向一方側に前記垂直支軸11が立設されている。
本実施の形態においては、
図2〜
図5に示すように、前記垂直支軸11は、機体幅方向に関し前記運転部60が配置された側とは反対側に配置されている。
【0027】
図3〜
図5に示すように、前記刈取部100は、前記垂直支軸11に軸線回り回動自在に支持されたホルダー部材200と、一端側が前記ホルダー部材200に軸線回り回転自在に支持された状態で水平姿勢をとる横支持筒150と、後端部が前記横支持筒150の軸線方向一端側及び他端側の間の中途部に連結され、前下方へ延びる縦支持筒170とを有している。
【0028】
前記横支持筒150には、刈取入力軸(図示せず)が軸線回り回転自在に収容されている。
前記刈取入力軸の前記垂直支軸11とは反対側の端部に入力プーリー170が相対回転不能に支持されており、前記入力プーリー170に巻き回されたベルト(図示せず)を介して前記エンジン25から前記トランスミッション30を経て回転動力が入力される。
【0029】
前記縦支持筒170には、前記刈取入力軸にベベルギヤ機構(図示せず)を介して作動連結された状態で刈取縦伝動軸(図示せず)が軸線回り回転自在に収容されている。
前記刈取縦伝動軸から前記穀稈引起装置装置110及び前記刈刃装置115に回転動力が作動伝達される。
【0030】
本実施の形態においては、前記刈取部100が刈取姿勢とされている際には、前記横支持筒150は、前述の通り、一端側が前記ホルダー部材200によって、且つ、他端側が支持部材280によって、軸線回り回転自在に両持ち支持されている。
【0031】
この刈取姿勢において、前記刈取部100は、前記走行機体10及び前記縦支持筒170の間に介挿される刈取昇降用油圧シリンダ装置15(
図1参照)によって前記横支持筒150の軸線回りに昇降されるようになっている。
【0032】
図3〜
図5に示すように、前記ホルダー部材200は、前記垂直支軸11に回転可能に支持された回動部210と、前記横支持筒150の一端側を軸線回り回転可能に支持する軸受部220と、先端側が少なくとも前記横支持筒150の軸線方向中央領域近傍に到達するように前記横支持筒150に沿って延びる横方向延在部230とを有している。
【0033】
図6及び
図7に、それぞれ、
図5におけるVI-VI線に沿った断面図及び
図6におけるVII-VII線に沿った断面図を示す。
【0034】
図3及び
図5〜
図7に示すように、前記刈取部100は、前記横支持筒150及び前記横方向延在部230の一方に前記横支持筒150の軸線方向スライド可能に設けられたストッパー部材300と、前記横支持筒150及び前記横方向延在部230の他方に前記ストッパー部材300が係合可能に設けられた係合部350とを有している。
【0035】
図7等に示すように、本実施の形態においては、前記ストッパー部材300は前記横支持筒150に設けられ、前記係合部350は前記横方向延在部230に設けられている。
【0036】
前記ストッパー部材300は、人為操作に応じて、前記横支持筒150の軸線方向に関し、前記係合部350に係合する係合位置と、前記係合部350との係合が解除される解除位置とを取り得るように構成されている。
【0037】
図8及び
図9に、前記横支持筒150近傍を前下方から視た斜視図を示す。
図8及び
図9は、それぞれ、前記ストッパー部材300が解除位置及び係合位置に位置された状態を示している。なお、
図8及び
図9においては、前記縦支持筒170の図示を省略している。
【0038】
前記ストッパー部材300が解除位置に位置されると(
図7及び
図8参照)、前記横支持筒150は軸線回り回動可能とされ、前記刈取部100は、前記横支持筒150の軸線回り昇降可能となる。
【0039】
一方、前記ストッパー部材300が係合位置に位置されると(
図9参照)、前記横支持筒150は、軸線回り前記刈取部100を下降させる方向への回動が禁止され、これにより、前記刈取部100は下降ロック状態となる。
【0040】
従って、前記ストッパー部材300を係合位置に位置させることで、前記刈取部100の下降方向への回動を禁止した状態で前記刈取部100を前記垂直支軸11回り刈取姿勢から開放姿勢へ移行させることが可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、
図3等に示すように、刈取姿勢に位置された際に、前記横支持筒150の他端側(前記垂直支軸11とは反対側)は、前記走行機体10上に配置された前記支持部材280によって軸線回り回転自在に支持されている。
【0042】
図5、
図8及び
図9等に示すように、前記支持部材280は、前記横支持筒150の他端側を下側から受け止めるように上方に開かれた凹部を有する固定部材281と、前記横支持筒150の他端側を上側から覆うように下方に開かれた凹部を有する可動部材285とを備えている。
【0043】
前記可動部材285は、前記横支持筒150の軸線方向に沿った枢支軸286回り回動可能とされており、前記固定部材281と共働して前記横支持筒150の他端側を軸線回り回転自在に支持する軸受状態(
図8及び
図9等参照)と、前記枢支軸286回りに上方へ回動されて、前記横支持筒150の他端側の支持を解除する解除状態とを取り得るように構成されている。
図10に、前記支持部材280の解除状態を示す。
【0044】
このように前記刈取部100が刈取姿勢の際に前記横支持筒150の他端側が前記支持部材280によって支持されている構成において前記刈取部100を前記垂直支軸11回りに刈取姿勢から開放姿勢へ水平回動させる際には、前記入力プーリー170に巻き回されているベルトを取り外すことに加えて前記支持部材280を解除状態とし、且つ、前記ストッパー部材300を係合位置に位置させた上で、行うことになる。
【0045】
ここで、本実施の形態においては、
図5、
図8及び
図9等に良く示されるように、前記ストッパー部材300及び前記係合部350は、前記横支持筒150の軸線方向位置に関し、前記横支持筒150の中央領域近傍に配置されている。
【0046】
斯かる構成によれば、前記刈取部100を開放姿勢へ回動させるべく前記横支持筒150を前記垂直支軸11に近接する側の一端側において前記ホルダー部材200によって片持ち支持させる際に、前記ストッパー部材300を前記係合部350に係合させると、前記横支持筒150は一端側において前記ホルダー部材200によって支持されつつ、軸線方向中央領域領域において前記ストッパー部材300及び前記係合部350の係合によって係止されることになる。
【0047】
斯かる構成によれば、横支持筒が軸線回り刈取部下降方向へ回動することを防止する刈取部下降ロック構造が垂直支軸の近傍に設けられている従来構成に比して、前記刈取部100の開放姿勢時に前記横支持筒150の自由端側が下方へ撓む又は垂れることを有効に抑えることができ、これにより、前記刈取部100の開放姿勢の安定化を図ることができる。
【0048】
ここで、前記ストッパー部材300及び前記係合部350の詳細構造について説明する。
本実施の形態においては、前述の通り、前記ストッパー部材300は前記横支持筒150に支持されている。
【0049】
詳しくは、
図6及び
図8等に示すように、前記横支持筒150は、前記刈取入力軸が軸線回り回転自在に内挿され、且つ、一端側及び他端側が前記ホルダー部材200及び前記支持部材280によって軸線回り回転自在に支持された筒体151と、前記筒体151における軸線方向中央領域の外表面のうち前記筒体151が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に下方を向く部分から径方向外方へ延びる前後一対の延在片152と、前記一対の延在片152の間を跨ぐように前記一対の延在片152の外端面に当接されるプレート部材155とを有している。
【0050】
前記一対の延在片152及び前記プレート部材155が前記ストッパー部材300を前記筒体151の軸線方向に沿ってのみ移動可能にガイドする案内路を形成している。
【0051】
一方、
図7等に示すように、前記横方向延在部230には、前記刈取部100が前記垂直支軸11回り刈取姿勢とされた際に前方を向き、前記係合部350として作用する係合面231が形成されている。
【0052】
前記ストッパー部材300は、係合位置に位置されると、前記案内路によってガイドされた状態で後面が前記係合面231に係合して前記刈取部100を下降させる方向への前記筒体151の軸線回り回動を防止し(
図9参照)、解除位置に位置されると、前記係合面231との係合が解除されて前記刈取部100を昇降させる前記筒体151の軸線回り回動を許容する。
【0053】
このように、前記一対の延在片152及び前記プレート部材155によって前記ストッパー部材300の案内路を形成することにより、前記筒体151を径方向に関し小型化しつつ、前記横支持筒150に前記ストッパー部材300を支持させることができる。
【0054】
本実施の形態においては、
図7〜
図9に示すように、前記プレート部材155には、前記筒体151の軸線方向に沿ったスリット156が設けられている。
【0055】
そして、
図7に示すように、前記ストッパー部材300には、前記スリット156に挿通された状態で一端側が前記ストッパー部材300に螺入され且つ他端側が前記スリット156の幅より大きい操作部位331とされた操作部材330が連結されている。
【0056】
前記スリット156は、前記操作部材330を前記スリット156の一端側(本実施の形態においては、前記垂直支軸11に近接する側)に位置させることで前記ストッパー部材300が前記係合位置に位置し且つ前記操作部材330を前記スリットの他端側(本実施の形態においては、前記垂直支軸11から離間する側)に位置させることで前記ストッパー部材300が前記解除位置に位置するように配置されている。
【0057】
斯かる構成を備えることにより、前記ストッパー部材300を係合位置及び解除位置に容易に位置固定できると共に、前記ストッパー部材300の操作位置変更を容易に行うことができる。
【0058】
また、本実施の形態においては、前記刈取部100が開放姿勢とされて前記横支持筒150が前記ホルダー部材200によって片持ち支持されている状態において、前記筒体151の自由端側が下方へ撓む又は垂れることを防止して、開放姿勢のさらなる安定化を図る為に下記構成が備えられている。
【0059】
図3等に示すように、前記横方向延在部230は、前記筒体151の下方において前記筒体151の軸線方向に沿っている。
【0060】
前記筒体151が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際(即ち、前記ストッパー部材300の後面が前記係合面231に係合する状態を現出させる軸線回り位置に前記筒体151が位置された際)に、互いに対向する前記筒体151及び前記横方向延在部230の対向領域の一方には他方に向かって突出する凸部380が設けられている。
【0061】
本実施の形態においては、
図5及び
図7等に示すように、前記凸部380は前記筒体151に設けられている。
【0062】
前記凸部380は、前記支持部材280によって前記筒体151の他端側が支持されることで前記筒体151が両持ち支持状態とされている際には、他方(本実施の形態においては前記横方向延在部230)の対向領域との間に間隙385が存在して、前記筒体151の軸線回り回転を許容し、且つ、前記支持部材280による前記筒体151の他端側の支持が解除されて前記筒体151が片持ち支持状態とされると、前記筒体151の他端側が一端側に比して下方へ撓む又は垂れることによって他方の対向領域に当接して前記筒体151のそれ以上の下方への撓み又は垂れを防止するような突出高さとされている。
【0063】
また、本実施の形態においては、
図6等に示すように、前記係合面231は略垂直に沿っているが、これに代えて、前上方を向く上向き傾斜姿勢の係合面231aを備えることも可能である。
【0064】
図11に、上向き傾斜姿勢とされた前記係合面231aを有する変形例の模式側面図を示す。又、
図12に、前記変形例において用いられるストッパー部材300aの斜視図を示す。
なお、
図11及び
図12中、本実施の形態におけると同一部材には同一符合を付している。
【0065】
前記変形例においては、前記ストッパー部材300aの後面のうち、前記ストッパー部材300aが係合位置に位置された際に前記係合面231aと係合可能な当接領域304は、前記筒体151が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に、上向き傾斜姿勢の前記係合面231aに係合する下向き傾斜姿勢をとるように形成される。
【0066】
斯かる構成の前記変形例によれば、前記刈取部100の開放姿勢時に前記刈取部100の自重によって前記筒体151に軸線回り下降方向への力が加わると、上向き傾斜姿勢の前記係合面231aに対して下向き傾斜姿勢の前記当接領域304が係合することになる。
【0067】
従って、前記刈取部100の開放姿勢時に一端側において前記ホルダー部材200によって片持ち支持される前記筒体151の自由端側が下方へ撓む又は垂れることを有効に防止して、前記刈取部100の開放姿勢を安定させることができる。
【0068】
前記変形例においては、
図11に示すように、前記一対の延在片152は、前記筒体151が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に、対向面が垂直に沿った前側垂直案内面153F及び後側垂直案内面153Rを形成するように構成されている。
【0069】
一方、前記ストッパー部材300aは、
図11及び
図12に示すように、前記プレート部材155に載置される載置面301と、前記筒体151が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に前記載置面301の前側及び後側からそれぞれ上方へ延びる前面302F及び後面302Rとを有している。
【0070】
前記後面302Rは、
図12に示すように、前記後側垂直案内面153Rに係合する被ガイド領域303と、前記被ガイド領域303から前記筒体151の軸線方向に延び、前記ストッパー部材300aが係合位置に位置された際に前記係合面231aと係合可能な前記当接領域304とを有している。
【0071】
前記筒体151が軸線回り刈取部下降ロック位置に位置された際に、前記被ガイド領域303は前記後側垂直案内面153Rに対向した垂直姿勢をとり、前記当接領域304は上向き傾斜姿勢の前記係合面231aに係合する下向き傾斜姿勢をとるように、形成されている。