(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車軸の軸方向に延びる第1検出軸と前記第1検出軸に直交する第2検出軸とを有する加速度センサを備えるとともに個別の識別情報が付与された車輪側ユニットを、4つの車輪のうち前輪又は後輪が操舵輪である車両の各車輪のそれぞれに備えた車輪位置判定装置であって、
各加速度センサにおける前記第1検出軸によって検出される加速度のピーク値と前記第2検出軸によって検出される加速度のピーク値との位相差を算出して、前記位相差が操舵輪判定用閾値を超えた場合には、該ピーク値を検出した前記加速度センサが設けられている車輪を操舵輪と判定する判定部を備えた車輪位置判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、車輪位置判定装置の一実施形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、タイヤ状態監視装置10は、車両11に設けられている。車両11は、4つの車輪12〜15を備えている。以下の説明において、車両11の右前に設けられている車輪12を右前車輪12、車両11の左前に設けられている車輪13を左前車輪13、車両11の右後に設けられている車輪14を右後車輪14、車両11の左後に設けられている車輪15を左後車輪15として説明を行う。また、適宜、右前車輪12及び左前車輪13を前輪12,13、右後車輪14及び左後車輪15を後輪14,15として説明を行い、右前車輪12及び右後車輪14を右輪12,14、左前車輪13及び左後車輪15を左輪13,15として説明を行う。本実施形態の車両11は、前輪12,13が操舵輪となっており、後輪14,15が駆動輪となっている。タイヤ状態監視装置10は、車両11の4つの車輪12〜15にそれぞれ取り付けられた車輪側ユニット20と、車両11の車体に設置された受信機40とを備えている。各車輪12〜15は、ホイール16と、このホイール16に装着されたタイヤ17とを有している。
【0015】
各車輪側ユニット20は、タイヤ17の内部空間に配置されるように、そのタイヤ17が装着されたホイール16に対して取り付けられている。各車輪側ユニット20は、対応するタイヤ17の状態(タイヤ17の空気圧、タイヤ17内の温度)等を検出して、検出されたタイヤ17の状態を示すデータを含む信号を無線送信する。
【0016】
図3に示すように、各車輪側ユニット20は、圧力センサ21、温度センサ22、加速度センサ23、コントローラ24、送信回路25、送信アンテナ26及びバッテリ27を備えている。車輪側ユニット20は、バッテリ27の電力供給によって動作する。コントローラ24は車輪側ユニット20の動作を統括的に制御する。圧力センサ21は、対応するタイヤ17内の圧力(タイヤ17の空気圧)を検出して、その検出によって得られたタイヤ17の空気圧データをコントローラ24に出力する。温度センサ22は、対応するタイヤ17内の温度を検出して、その検出によって得られたタイヤ17内の温度データをコントローラ24に出力する。
【0017】
加速度センサ23は自身に作用する加速度を検出する。加速度センサ23は、車輪12〜15と一体となって回転する。加速度センサ23は、例えば、ピエゾ抵抗型や静電容量型の加速度センサとして周知のものであり、加速度に応じた加速度検出値(電圧)を出力する。加速度センサ23は、検出軸に沿った方向の加速度成分を検出可能な加速度センサが用いられ、この加速度センサ23によって加速度が検出されるようになっている。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の加速度センサ23は、X軸28と、X軸28に直交するY軸29と、X軸28及びY軸29に直交するZ軸30とを有している。加速度センサ23は、車輪側ユニット20が車輪12〜15の最上位置にあるときに、X軸28が鉛直方向及び車軸の軸方向に直交する方向、すなわち、車両11の前後方向を向き、Y軸29が車軸の軸方向、すなわち、車両11の左右方向を向き、Z軸30が鉛直方向、すなわち、車両11の上下方向を向くように設けられている。したがって、車軸の軸方向に延びるY軸29が第1検出軸となり、Y軸29に直交するX軸28及びZ軸30が第2検出軸となる。以下の説明において、適宜、右輪12,14に設けられている加速度センサ23を右側加速度センサ23A、左輪13,15に設けられている加速度センサ23を左側加速度センサ23Bとして説明を行う。
【0019】
各車輪12〜15に設けられている車輪側ユニット20は、全て同一の車輪側ユニット20であり、車輪側ユニット20(加速度センサ23)の車輪12〜15への取付態様も全て同一であるが、右輪12,14と左輪13,15とは、車軸を挟んで180度反転した状態で取り付けられる。これにより、右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bでは、Z軸30の向きは同一となるが、X軸28及びY軸29の向きが反対方向となる。したがって、全ての加速度センサ23のZ軸30が鉛直方向上方を向いている状態では、右側加速度センサ23AのX軸28は車両11の後方を向き、Y軸29は車両11の右方を向く。また、左側加速度センサ23BのX軸28は車両11の前方を向き、Y軸29は車両11の左方を向く。なお、図面では説明の便宜上、各車輪12〜15に設けられている車輪側ユニット20を同一位置(最上位置)としているが、実際には各車輪12〜15毎に車輪側ユニット20の位置(回転角度)は異なる。
【0020】
車輪12〜15の回転に伴い各加速度センサ23には遠心力が作用し、加速度センサ23が検出する加速度は変化する。X軸28は、遠心力が作用する方向に対して直交しているため、車輪12〜15の回転に伴いX軸28によって検出される加速度は、重力加速度となる。したがって、X軸28が重力加速度用検出軸として機能している。Y軸29によって検出される加速度は、車両11の左右方向への加速度であり、車両11の左右方向への加速度が作用しない限り、理論上、Y軸29では加速度が検出されない。しかしながら、加速度センサ23の取付精度や公差などの関係で、Y軸29は車両11の左右方向(車軸の軸方向)に対して若干傾いて取り付けられるため、重力加速度や遠心加速度の分力が検出される。Z軸30は、遠心力が作用する方向である車輪12〜15の径方向を向いているため、車輪12〜15の回転に伴いZ軸30によって検出される加速度は、遠心加速度に重力加速度を加えたものとなる。したがって、Z軸30が遠心加速度用検出軸として機能している。
【0021】
加速度センサ23のX軸28、Y軸29及びZ軸30によって検出される加速度は、加速度検出値としてコントローラ24に出力される。以下の説明において、X軸28によって検出される加速度をX軸検出値、Y軸29によって検出される加速度をY軸検出値、Z軸30によって検出される加速度をZ軸検出値として説明を行う。
【0022】
図3に示すように、コントローラ24は、CPU24a、記憶部24b(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部24bには各車輪側ユニット20に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各車輪側ユニット20を受信機40において識別するために使用される情報であり、各車輪側ユニット20毎に個別に付与されている。
【0023】
コントローラ24は、タイヤ17の空気圧データ、タイヤ17内の温度データ、自身が設けられている車輪12〜15の位置を示すデータ、及びIDコードを含むデータを、送信回路25に出力する。送信回路25は、コントローラ24からのデータを変調して送信信号を生成し、送信信号を送信アンテナ26から無線送信する。
【0024】
図1に示すように、受信機40は、受信コントローラ41と、受信回路42と、受信アンテナ43とを備えている。受信機40の受信コントローラ41には、表示器44及び警報器45が接続されている。受信コントローラ41はCPU41a及び記憶部41b(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部41bには受信機40の動作を統括的に制御するプログラムが記憶されている。受信回路42は、各車輪側ユニット20から受信アンテナ43を通じて受信された送信信号を復調して、受信コントローラ41に送る。
【0025】
受信コントローラ41はさらに、タイヤ空気圧やタイヤ内温度の異常を警報器(報知器)45にて運転者に報知させる。警報器45としては、例えば、異常を光の点灯や点滅によって報知する装置や、異常を音によって報知する装置が適用される。
【0026】
受信コントローラ41は、受信回路42からの送信信号に基づき、送信元の車輪側ユニット20に対応するタイヤ17の状態(タイヤ空気圧及びタイヤ内温度)を把握する。受信コントローラ41は、タイヤ空気圧に関する情報等を表示器44に表示させる。送信元の車輪側ユニット20が、4つの車輪12〜15のいずれの車輪12〜15に設けられているかは、送信信号に含まれている車輪12〜15の位置を示すデータによって特定される。
【0027】
次に、各車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15の位置を判定するときに、各車輪側ユニット20が行う処理について車輪位置判定装置の作用とともに説明する。本実施形態では、各車輪側ユニット20が右輪12,14に設けられているか、左輪13,15に設けられているかを判定する左右判定と、各車輪側ユニット20が前輪12,13に設けられているか、後輪14,15に設けられているかを特定する前後判定とを行うことで各車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15を判定している。
【0028】
まず、各車輪側ユニット20が右輪12,14に設けられているか、左輪13,15に設けられているかを判定する左右判定について説明する。なお、以下の説明では、説明の便宜上、各加速度センサ23の各軸で検出される加速度検出値の直流成分を考慮せずに、交流成分のみ、すなわち、重力加速度のみを考慮して説明を行う。また、以下の説明において、車両11が前進するときの車輪12〜15の回転方向を前転として説明を行う。
【0029】
図4及び
図5に示すように、各車輪12〜15が1回転すると各加速度センサ23の各軸は、加速度に応じて1周期分の正弦波(電圧)を出力する。本実施形態では、X軸28によって検出される正弦波(X軸検出値)のピーク値及びZ軸30によって検出される正弦波(Z軸検出値)のピーク値から車輪12〜15の左右判定を行っている。すなわち、加速度のピーク値とは、車輪12〜15が1回転することで各加速度センサ23の各軸28,29,30から出力される正弦波のピーク値である。
【0030】
図4に示すように、車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある場合、前述のように、右側加速度センサ23AのX軸28は車両11の後方を向き、Z軸30は鉛直方向上方を向いている。この状態では、X軸28は0Gを検出し、Z軸30は−1Gを検出する。
【0031】
車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から、車輪12〜15が90度前転すると、右側加速度センサ23AのX軸28は鉛直方向上方を向き、Z軸30は車両11の前方を向く。この状態では、X軸28は−1Gを検出し、Z軸30は0Gを検出する。
【0032】
車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から、車輪12〜15が180度前転すると、右側加速度センサ23AのX軸28は車両11の前方を向き、Z軸30は鉛直方向下方を向く。この状態では、X軸28は0Gを検出し、Z軸30は+1Gを検出する。
【0033】
車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から、車輪12〜15が270度前転すると、右側加速度センサ23AのX軸28は鉛直方向下方を向き、Z軸30は車両11の後方を向く。この状態では、X軸28は+1Gを検出し、Z軸30は0Gを検出する。
【0034】
図5に示すように、車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある場合、前述のように、左側加速度センサ23BのX軸28は車両11の前方を向き、Z軸30は鉛直方向上方を向いている。この状態では、X軸28は0Gを検出し、Z軸30は−1Gを検出する。左側加速度センサ23BのZ軸30と、右側加速度センサ23AのZ軸30とは同一方向を向いているため、車輪12〜15が回転したときのZ軸検出値の変位は同様である。このため、以下の左側加速度センサ23Bの説明では、X軸検出値のみに着目して説明を行う。
【0035】
車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から、車輪12〜15が90度前転すると、左側加速度センサ23BのX軸28は鉛直方向下方を向く。この状態では、X軸28は+1Gを検出する。
【0036】
車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から、車輪12〜15が180度前転すると、左側加速度センサ23BのX軸28は車両11の後方を向く。この状態では、X軸28は0Gを検出する。
【0037】
車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から、車輪12〜15が270度前転すると、左側加速度センサ23BのX軸28は鉛直方向上方を向く。この状態では、X軸28は−1Gを検出する。
【0038】
上記したように、車輪12〜15が前転したときのZ軸検出値の変位は、右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bとで同一であるのに対して、X軸検出値の変位は、右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bで異なっている。右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bでは、それぞれのX軸28が反対方向を向くようになっているため右側加速度センサ23AのX軸検出値と、左側加速度センサ23BのX軸検出値とは、車輪12〜15の回転位置が同一位置のときに正負が反転して検出される。換言すれば、右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bとで、X軸検出値の位相が180度ずれる。そして、右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bとで、X軸検出値の位相が180度ずれると、Z軸検出値のピーク値に対してX軸検出値のピーク値が先行するか遅延するかが右側加速度センサ23Aと、左側加速度センサ23Bとで異なる。
【0039】
X軸検出値及びZ軸検出値が正のピーク値に達するのは、それぞれの軸28,30が鉛直方向下方を向いている場合である。右側加速度センサ23Aでは、車輪12〜15が前転したときにZ軸30→X軸28の順に各軸28,30が鉛直方向下方を向くのに対し、左側加速度センサ23Bでは、車輪12〜15が前転したときに、X軸28→Z軸30の順に各軸28,30が鉛直方向下方を向く。このため、車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある状態から車輪12〜15が前転を開始すると、右側加速度センサ23Aは、Z軸検出値に対してX軸検出値が遅延して正のピーク値に達する。一方で、左側加速度センサ23Bは、Z軸検出値に対してX軸検出値が先行して正のピーク値に達する。また、負のピーク値でも同様である。
【0040】
各車輪側ユニット20のコントローラ24は、それぞれのコントローラ24が設けられた車輪側ユニット20の各加速度センサ23のX軸検出値及びZ軸検出値を監視して、Z軸検出値に対してX軸検出値が先行してピーク値に達する場合、自身が設けられた車輪側ユニット20は左輪13,15に設けられていると判定する。また、各車輪側ユニット20のコントローラ24は、Z軸検出値に対してX軸検出値が遅延してピーク値に達する場合、自身が設けられた車輪側ユニット20は右輪12,14に設けられていると判定する。
【0041】
なお、本実施形態では、車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある場合に、右側加速度センサ23AのX軸28が車両11の後方を向き、左側加速度センサ23BのX軸28が車両11の前方を向くようにしたため、右側加速度センサ23AのX軸検出値がZ軸検出値に対して遅延している。仮に、車輪側ユニット20が最上位置にある場合に、右側加速度センサ23AのX軸28が車両11の前方を向き、左側加速度センサ23BのX軸28が車両11の後方を向く場合、右側加速度センサ23AのX軸検出値はZ軸検出値に対して先行し、左側加速度センサ23BのX軸検出値はZ軸検出値に対して遅延する。各車輪12〜15に車輪側ユニット20を取り付けたときに、X軸28がどの方向を向くかは、車輪側ユニット20の設計時から把握することができる。このため、各車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にある場合に、X軸28がどの方向を向くかによって記憶部24bに記憶される車輪12〜15の左右判定のためのプログラムを変更することで、X軸28の向きが実施形態とは異なる場合であっても、車輪12〜15の左右判定を行うことができる。
【0042】
次に、各車輪側ユニット20が前輪12,13に設けられているか、後輪14,15に設けられているかを判定する前後判定について説明する。以下の説明でも、左右判定と同様に、各加速度センサ23の各軸で検出される加速度検出値の直流成分を考慮せずに説明を行う。
【0043】
図6(a)に示すように、車両11が前進している場合、前輪12,13と後輪14,15とは車両11の前後方向を向いている。すなわち、車輪12〜15の径方向及び鉛直方向に直交する方向と車両11の前後方向とが同一方向となる。
【0044】
図6(b)に示すように、車両11が前進している場合、すなわち、前輪12,13に舵角が与えられていない場合には、X軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
1は、4つの車輪12〜15に設けられた各加速度センサ23で同一となる。X軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
1を算出するには、まず、コントローラ24が、各軸28,29のピーク値間の時間T(周期T)を計測する。各軸28,29は、車輪12〜15が1回転することで、1周期分の正弦波を出力するため、各軸28,29のピーク値間の時間は同一となる。そして、コントローラ24は、X軸検出値のピーク値からY軸検出値のピーク値までの時間差を計測して、計測した時間差を周期Tで除算することで、位相差φ
1を算出することができる。
【0045】
図7(a)に示すように、車輪12〜15が旋回している場合、すなわち、前輪12,13に舵角が与えられている場合には、前輪12,13のみが車両11の前後方向に対して傾き、後輪14,15は車両11の前後方向を向いている。すなわち、前輪12,13の径方向及び鉛直方向に直交する方向が車両11の前後方向に対して傾き、後輪14,15の径方向及び鉛直方向に直交する方向が車両11の前後方向と同一方向となる。
【0046】
本発明者らは、車輪12〜15の前後判定を実現するために実験やシミュレーションを重ねた結果、車両11の旋回時、すなわち、操舵輪に舵角を与えた際に、Y軸検出値の位相がずれることを見出した。そして、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、車両11の旋回時には、操舵輪に設けられた加速度センサ23のY軸検出値は、操舵輪とは異なる車輪に設けられた加速度センサ23のY軸検出値に比べて、大きく位相がずれるという知見を得た。これは、前述したように、加速度センサ23の現実の取付態様では、取付精度や公差なその原因によってY軸29が車軸の軸方向に対して若干傾いて取り付けられているため操舵輪に舵角が与えられることでY軸29に作用する加速度の分力が変化することで生じると推測される。更に、車輪12〜15に舵角を与えることによる加速度の変化、旋回に伴うタイヤ17の変形によるY軸29の若干のずれなど複数の事象が重なることなどで生じると推測される。
【0047】
コントローラ24は、各加速度センサ23のX軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
1が、予め設定された操舵輪判定用閾値を超えた場合には、そのピーク値を検出した加速度センサ23が設けられた車輪12〜15は、操舵輪に設けられていると判断することができる。また、車両11が四輪操舵の場合、車両11の旋回時に各車輪12〜15に与えられる舵角は、後輪14,15に比べて前輪12,13の方が大きい。このため、車両11が四輪操舵の場合には、前輪12,13を操舵輪とみなす。
【0048】
操舵輪判定用閾値は、実験やシミュレーションなどによって算出される。操舵輪判定用閾値は、車両11の旋回時における操舵輪に設けられた加速度センサ23のX軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
2以下であり、操舵輪とは異なる車輪に設けられた加速度センサ23のX軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
3よりも大きい値に設定される。なお、車両11の旋回とは、車両11の直進時などに生じる僅かな旋回を含まない。操舵輪判定用閾値は、各車輪側ユニット20の記憶部24bに記憶されている。なお、位相差φ
2及び位相差φ
3は、位相差φ
1と同様の手法で算出することができる。
【0049】
コントローラ24は、自身が設けられた車輪側ユニット20が操舵輪に設けられているか否かによって自身が設けられている車輪側ユニット20が前輪12,13に設けられているか、後輪14,15に設けられているかを判定することができる。車輪側ユニット20が前輪操舵(あるいは四輪操舵)の車両11にしか設けられない機種の場合には、記憶部24bに記憶される前後判定のプログラムを、操舵輪判定用閾値を超えた位相差φ
1を検出した車輪側ユニット20が設けられた車輪12〜15を前輪と判定するようなプログラムにすればよい。また、車輪側ユニット20が後輪操舵の車両11にしか設けられない機種の場合には、記憶部24bに記憶される前後判定のプログラムを、操舵輪判定用閾値を超えた位相差φ
1を検出した車輪側ユニット20が設けられた車輪12〜15を後輪と判定するようなプログラムにすればよい。また、車輪側ユニット20が、前輪操舵及び後輪操舵の両方の車両11に設けられる機種の場合には、トリガ装置によって、記憶部24bに記憶されたプログラムの書き換えなどを行うことで、車両11に合わせて操舵輪が前輪12,13か後輪14,15かを判定するようにすればよい。すなわち、操舵輪判定用閾値を超えた位相差φ
1を検出した車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15が前輪であるか後輪であるかは予め記憶部24bに記憶されている。車輪側ユニット20が設けられている車輪が操舵輪か否かによってX軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
1が操舵輪判定用閾値を超えるか否かが異なる。このため、操舵輪の判定によって各車輪側ユニット20が前輪12,13に設けられているか、後輪14,15に設けられているかを判定しているといえる。本実施形態では、前輪12,13が操舵輪であるため、操舵輪に設けられた車輪側ユニット20のコントローラ24は、自身が前輪12,13に設けられていると判定する。
【0050】
上記したように、各車輪側ユニット20のコントローラ24は、自身が設けられた車輪側ユニット20の加速度センサ23によって検出される加速度から、車輪12〜15の前後判定及び左右判定を行う。これにより、コントローラ24は、自身が設けられた車輪側ユニット20が前後左右のいずれの車輪12〜15に設けられているかを判定する。すなわち、各車輪側ユニット20間での加速度検出値の相関関係から車輪12〜15の位置を判定するわけではなく、車輪側ユニット20それぞれが個別で車輪12〜15の位置を判定することができる。したがって、本実施形態では、加速度を検出する加速度センサ23と、加速度センサ23が検出する加速度から車輪12〜15の位置を判定するコントローラ24が車輪位置判定装置となる。
【0051】
各車輪側ユニット20のコントローラ24は、自身が設けられている車輪12〜15の位置を判定した後には、車輪12〜15の位置を示すデータを送信信号に含ませて受信機40に送信する。
【0052】
受信機40は、送信信号に含まれている車輪12〜15の位置を示すデータから、各車輪側ユニット20がどの車輪12〜15に設けられているかを特定することができる。例えば、右前車輪12にIDコード「1」、左前車輪13にIDコード「2」、右後車輪14にIDコード「3」、左後車輪15にIDコード「4」がそれぞれ付与されているとする。この場合、受信機40は、車輪12〜15の位置が「右前」であることを示すデータと、車輪12〜15のIDコードが「1」であることを示すデータとを含む送信信号を受信すると、IDコード「1」の車輪側ユニット20は右前車輪12に設けられていると特定することができる。同様に、受信機40は、各車輪側ユニット20から送信される送信信号に含まれるデータから、IDコード「2」の車輪側ユニット20は左前車輪13、IDコード「3」の車輪側ユニット20は右後車輪14、IDコード「4」の車輪側ユニット20は左後車輪15にそれぞれ設けられていると特定することができる。このため、タイヤローテーションなどに伴い、各車輪12〜15の位置が変更になった場合でも、それぞれの車輪12〜15に設けられた車輪側ユニット20は、X軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差φ
1から変更後の位置を判定することができる。
【0053】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車両11の旋回時には、操舵輪に設けられている加速度センサ23のY軸検出値の位相が、操舵輪とは異なる車輪に設けられている加速度センサ23のY軸検出値の位相に比べて大きくずれるため、これにより各車輪側ユニット20が前輪12,13に設けられているか後輪14,15に設けられているかを判定することができる。
【0054】
(2)右側加速度センサ23AのX軸28と左側加速度センサ23BのX軸28とは、車両11の前後方向の反対方向を向くため、右側加速度センサ23Aと左側加速度センサ23Bで同一方向を向いているZ軸30によって検出される加速度に対してX軸28によって検出される加速度が先行しているか遅延しているかで左右判定を行うことができる。このため、前後判定に加えて、左右判定を行うことで、各車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15を特定することができる。
【0055】
(3)各車輪側ユニット20のコントローラ24は、自身が設けられた車輪側ユニット20の加速度センサ23の加速度検出値のみから、各車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15の位置を判定することができる。車輪側ユニット20間での加速度検出値の相関関係から各車輪側ユニット20が設けられた車輪12〜15の位置を判定する場合、各加速度センサ23の加速度検出値を受信機40に送信し、受信機40によって加速度検出値の相関関係から車輪12〜15の位置判定が行われる。したがって、各加速度センサ23の加速度検出値の相関関係から車輪12〜15の位置を判定する場合には、受信機40の記憶部41bに加速度検出値の相関関係から車輪12〜15の位置を判定するためのプログラムを記憶するなど、車輪12〜15の位置を判定することができる受信機40を用いる必要がある。本実施形態では、各車輪側ユニット20のコントローラ24自身が車輪12〜15の位置を判定し、判定を行った結果を送信信号に含ませて送信している。このため、受信機40として、車輪12〜15の位置の判定を行うことができない受信機40を用いることができる。
【0056】
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
・実施形態では、各車輪側ユニット20のコントローラ24によって、車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15の位置を判定したが、受信コントローラ41によって各車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15の位置を判定してもよい。この場合、各車輪側ユニット20から送信される送信信号には、X軸検出値のピーク値がZ軸30のピーク値に対して先行しているか遅延しているか否かのデータ、及び、X軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差のデータが含まれる。受信コントローラ41は、送信信号に含まれるデータから、各車輪側ユニット20が設けられている車輪12〜15の位置を判定する。車輪12〜15の位置を判定するためのプログラムは、受信機40の記憶部41bに記憶されている。この場合、加速度を検出する加速度センサ23、加速度センサ23の加速度検出値から位相差などを算出するコントローラ24、受信機40に送信信号を送信する送信回路25、送信信号を受信する受信回路42及び、判定部としての受信コントローラ41が車輪位置判定装置となる。
【0057】
・前後判定は、X軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差が操舵輪判定用閾値を超えるか否かによって行ったが、Z軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差が操舵輪判定用閾値を超えるか否かによって行ってもよい。また、前後判定は、X軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値の位相差及びZ軸検出値のピーク値とY軸検出値のピーク値との位相差のうちいずれか一方が操舵輪判定用閾値を超えるか否かによって行ってもよい。
【0058】
・各コントローラ24は、車輪12〜15の前後判定に加えて、車輪12〜15の左右判定を行ったが、車輪12〜15の前後判定のみを行うようにしてもよい。例えば、前輪12,13のタイヤ17と、後輪14,15のタイヤ17とで指定空気圧が異なる車両11に車輪側ユニット20が設けられる場合、各車輪側ユニット20が前輪12,13に設けられているか後輪14,15に設けられているかの判定が重要となる。この場合、車輪12〜15の前後判定のみを行い、左右判定を行わなくてもよい。
【0059】
・車輪12〜15の左右判定を行わない場合には、加速度センサ23として2軸の加速度センサ23を用いてもよい。この場合、X軸28とY軸29、あるいは、Y軸29とZ軸30とを有する加速度センサ23を用いる。
【0060】
・実施形態では、車輪側ユニット20が車輪12〜15の回転位置における最上位置にあるときに、右側加速度センサ23AのX軸28が後方を向き、左側加速度センサ23BのX軸28が前方を向くようにしたが、右側加速度センサ23AのX軸28が前方を向き、左側加速度センサ23BのX軸28が後方を向くようにしてもよい。
【0061】
・車輪位置判定装置は、後輪14,15が操舵輪の車両11や、四輪操舵の車両11に搭載されていてもよい。
・車輪側ユニット20は、タイヤ17に取り付けられていてもよい。例えば、タイヤ貼り付け式のタイヤ状態検出装置であってもよい。