(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザーの乗車時に変化するタイヤの空気圧は僅かであり、ユーザーの乗車を検出できず、車両の走行開始前にタイヤの状態を受信機に送信できないおそれがある。
本発明の目的は、ユーザーの乗車を検出して車両の走行開始前にタイヤ状態を示す情報を送信することができるタイヤ状態検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するタイヤ状態検出装置は、ホイールにタイヤを装着した複数の車輪を備える車両の各車輪に設けられるとともに、前記タイヤの状態を検出するタイヤ状態検出装置であって、前記タイヤの状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部によって検出された前記タイヤの状態を示す情報を含む送信信号を受信機に送信する送信部と、前記車輪と一体となって回転して自身に作用する加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサの加速度検出値から前記車両が走行しているか停止しているかを判断するとともに、前記車両が停止していると判断した場合、前記車両が走行していると判断した場合に比べて前記送信部から前記送信信号を低頻度で送信させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記車両が停止していると判断してから前記車両が走行していると判断するまでの間に、加速度センサによって検出される鉛直方向への加速度検出値が乗車判定用閾値を超えた
とき、前記送信部から前記送信信号を送信させる。
【0008】
ユーザーが乗車したり、荷物が車両に積載されたりすると、車両にはユーザーや荷物の重量が加わる。車両に加わった重量によってタイヤは弾性変形して潰れるとともに、弾性力によって復元する。タイヤが潰れるときには、鉛直方向下方に向けた力が加速度センサに作用し、弾性力によって復元するときには鉛直方向上方に向けた力が加速度センサに作用する。このため、制御部は、鉛直方向への加速度検出値が乗車判定用閾値を超えたか否かを判断することで、ユーザーの乗車を検出することができる。制御部は、ユーザーの乗車を検出したときに送信信号を送信部から送信させることで、ユーザーが乗車してから車両の走行開始前にタイヤの状態を示す情報を受信機に送信することができる。
【0009】
上記タイヤ状態検出装置について、前記加速度センサは、重力加速度を検出する第1検出軸と、前記車輪の回転に伴う遠心加速度を検出する第2検出軸とを有し、前記乗車判定用閾値は、前記第1検出軸によって検出される加速度検出値に対応した第1乗車判定用閾値と、前記第2検出軸によって検出される加速度検出値に対応した第2乗車判定用閾値を含み、前記制御部は、前記第1検出軸によって検出される加速度検出値及び第2検出軸によって検出される加速度検出値の少なくとも一方が乗車判定用閾値を超えた場合、前記送信部から前記送信信号を送信させることが好ましい。
【0010】
これによれば、複数の検出軸によって鉛直方向への加速度が検出されるため、鉛直方向への加速度の検出精度が向上する。
上記タイヤ状態検出装置について、前記加速度センサは、重力加速度を検出する第1検出軸と、前記車輪の回転に伴う遠心加速度を検出する第2検出軸とを有し、前記制御部は、前記第1検出軸、及び、前記第2検出軸のそれぞれによって検出される加速度検出値を合成した合成加速度値を求めるとともに、前記合成加速度値が乗車判定用閾値を超えた場合、前記送信部から前記送信信号を送信させることが好ましい。
【0011】
これによれば、合成加速度値は、車輪の回転角度に関わらず同様の値となる。このため、車輪の回転位置の変化による加速度検出値の変化を考慮せずに乗車判定用閾値を設定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザーの乗車を検出してタイヤ状態を示す情報を送信することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、タイヤ状態検出装置の第1実施形態について説明する。
図1(a)に示すように、タイヤ状態監視装置10は、車両11に設けられている。本実施形態の車両11は、4つの車輪12を有している。タイヤ状態監視装置10は、車両11の4つの車輪12にそれぞれ取り付けられたタイヤ状態検出装置20と、車両11の車体に設置された受信機30とを備えている。各車輪12は、ホイール13と、このホイール13に装着されたタイヤ14とを有している。
【0015】
各タイヤ状態検出装置20は、タイヤ14の内部空間に配置されるように、そのタイヤ14が装着されたホイール13に対して取り付けられている。各タイヤ状態検出装置20は、対応するタイヤ14の状態(タイヤ14の空気圧、タイヤ14内の温度)等を検出して、検出されたタイヤ14の状態を示すデータを含む信号を無線送信する。
【0016】
図2に示すように、各タイヤ状態検出装置20は、圧力センサ21、温度センサ22、加速度センサ23、コントローラ24、送信回路25、送信アンテナ26及びバッテリ27を備えている。タイヤ状態検出装置20は、バッテリ27からの電力供給によって動作する。制御部としてのコントローラ24はタイヤ状態検出装置20の動作を統括的に制御する。圧力センサ21は、対応するタイヤ14内の圧力(タイヤ14の空気圧)を検出して、その検出によって得られたタイヤ14の空気圧データをコントローラ24に出力する。温度センサ22は、対応するタイヤ14内の温度を検出して、その検出によって得られたタイヤ14内の温度データをコントローラ24に出力する。本実施形態では、状態検出部として圧力センサ21と温度センサ22と用いて、タイヤ14の状態として空気圧と温度とを検出している。
【0017】
加速度センサ23は自身に作用する加速度を検出する。加速度センサ23は、例えば、ピエゾ抵抗型や静電容量型の加速度センサとして周知のものであり、加速度に応じた加速度検出値(電圧)を出力する。加速度センサ23は、検出軸に沿った方向の加速度成分を検出可能な加速度センサが用いられ、この加速度センサ23によって加速度が検出されるようになっている。
【0018】
図1(b)に示すように、本実施形態の加速度センサ23は、第1検出軸28と第2検出軸29とを有している。第1検出軸28と第2検出軸29とは、直角に交わっている。加速度センサ23は、タイヤ状態検出装置20が車輪12の最上位置に位置しているときに、第1検出軸28が鉛直方向及び車軸の軸方向に直交する方向を向き、第2検出軸29が車輪12の径方向を向くように車輪12に取り付けられている。車輪12の回転に伴い加速度センサ23には遠心力が作用し、加速度センサ23が検出する加速度は変化する。第1検出軸28は、遠心力が作用する方向に対して直交しているため、車輪12の回転に伴い第1検出軸28によって検出される加速度は、重力加速度のみとなる。第2検出軸29は、遠心力が作用する方向である車輪12の径方向を向いているため、車輪12の回転に伴い第2検出軸29によって検出される加速度は、遠心加速度に重力加速度を加えたものとなる。加速度センサ23の第1検出軸28及び第2検出軸29によって検出される加速度は、加速度検出値としてコントローラ24に出力される。以下の説明において、第1検出軸28によって検出される加速度検出値を第1検出値、第2検出軸29によって検出される加速度検出値を第2検出値として説明を行う。
【0019】
図2に示すように、コントローラ24は、CPU、記憶部24a(RAMやROM等)及びタイマ24bを含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部24aには各タイヤ状態検出装置20に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各タイヤ状態検出装置20を受信機30において識別するために使用される情報である。
【0020】
コントローラ24は、加速度センサ23から入力された第2検出値から車両11が走行しているか停止しているかを判断する。車両11が走行すると、車輪12に加わる遠心加速度は大きくなるため、これに伴い第2検出値も大きくなる。このため、第2検出値が、走行判定用閾値を超えたときには、車両11が走行していると判断することができる。この走行判定用閾値は、加速度センサ23の公差を加味して、車両11が停止しているときに検出される第2検出値よりも大きな値に設定される。また、第2検出値が、走行判定用閾値を超えない時間が、予め定められた時間(任意に設定可能)を超えた場合には、車両11が停止していると判断することができる。
【0021】
コントローラ24は、タイヤ14の空気圧データ、タイヤ14内の温度データ、及びIDコードを含むデータを、送信回路25に出力する。送信部としての送信回路25は、コントローラ24からのデータを変調して送信信号を生成し、送信信号を送信アンテナ26から無線送信する。これにより、タイヤ14の状態を示す情報を含む送信信号が受信機30に送信される。
【0022】
図3(a)及び(b)に示すように、コントローラ24は、車両11が停止している場合、車両11が走行している場合に比べて、低頻度で送信信号を送信回路25から送信させる。例えば、コントローラ24は、車両11が走行している場合、数秒〜数十秒間隔で送信回路25から送信信号を送信させ、車両11が停止している場合、数分〜数時間間隔で送信回路25から送信信号を送信させる。
【0023】
図1(a)に示すように、受信機30は、受信コントローラ31と、受信回路32と、受信アンテナ33とを備えている。受信機30の受信コントローラ31には、表示器34が接続されている。また、受信機30には、車載バッテリ35が接続されており、受信機30は、車載バッテリ35の電力供給によって動作する。受信コントローラ31はCPU及び記憶部(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機30の動作を統括的に制御する。受信回路32は、各タイヤ状態検出装置20から受信アンテナ33を通じて受信された送信信号を復調して、受信コントローラ31に送る。受信コントローラ31は、受信回路32からの送信信号に基づき、送信元のタイヤ状態検出装置20に対応するタイヤ14の空気圧及び温度を把握する。
【0024】
受信コントローラ31は、タイヤ14の空気圧及び温度に関する情報等を表示器34に表示させる。表示器34は、車室内等、車両11の搭乗者の視認範囲に配置される。受信コントローラ31は、タイヤ14の空気圧及び温度からタイヤ14に異変が生じているか否かを判断する。タイヤ14の空気圧が、予め定められた範囲内の空気圧よりも高い場合や、低い場合にはその旨を表示器34に表示する。また、タイヤ14の温度が予め定められた範囲内の温度よりも高い場合には、その旨を表示器34に表示する。
【0025】
次に、車両11が停止しているとき、すなわち、コントローラ24が、車両11が停止していると判断してから車両11が走行していると判断するまでの間に、コントローラ24が行う制御について説明する。なお、以下の説明では、一例として、第1検出軸28が鉛直方向上方を向いた状態で車両11が停止した場合にコントローラ24が行う制御について説明する。
【0026】
コントローラ24は、第2検出値によって車両11が走行しているか停止しているかを判断している。コントローラ24は、第2検出値が、予め定められた時間、走行判定用閾値を超えなかった場合、車両11が停止していると判断する。コントローラ24は、車両11が停止していると判断した場合、送信信号の送信頻度を低くすることで、バッテリ27の電力消費を抑える。
【0027】
図4(a)に示すように、ユーザーが車両11を走行させるために車両11に乗ると、ユーザーの重量が車両11に加わり、タイヤ14が潰れるとともに、タイヤ14の弾性力によって復元する。タイヤ14が潰れると、タイヤ状態検出装置20は、鉛直方向下方に移動する。タイヤ14が弾性力によって復元すると、タイヤ状態検出装置20は、鉛直方向上方に移動する。
【0028】
図4(b)に示すように、第1検出軸28によって検出される加速度検出値は、ユーザーが車両11に乗る前には、一定の値となっている。ユーザーが車両11に乗り、タイヤ14が潰れると、マイナスの加速度が検出され、タイヤ14が復元すると、プラスの加速度が検出される。このため、ユーザーが車両11に乗る前の第1検出値に所定値を加減した値、すなわち、ユーザーが車両11に乗る前の第1検出値からの変動値を乗車判定用閾値として設定しておくことで、ユーザーが乗車したか否かを判断することができる。なお、第1検出軸28が鉛直方向上方を向いているため、タイヤ14が潰れることで第1検出軸28がマイナスの加速度を検出し、タイヤ14が復元することでプラスの加速度を検出しているが、第1検出軸28が鉛直方向下方を向いている場合には、プラスとマイナスが反転して検出される。具体的にいえば、タイヤ14が潰れることで第1検出軸28がプラスの加速度を検出し、タイヤ14が復元することで第1検出軸28がマイナスの加速度を検出する。
【0029】
図4(c)に示すように、コントローラ24は、第1検出値が乗車判定用閾値を超えると(第1検出値が乗車判定用閾値よりも大きく変動すると)、送信回路25から送信信号を送信させる。詳細にいえば、コントローラは、第1検出値によって検出されるマイナスの加速度が乗車判定用閾値を下回り、第1検出値によって検出されるプラスの加速度が乗車判定用閾値を上回ると送信回路25から送信信号を送信させる。送信信号は、間隔を空けて複数回送信される。コントローラ24がユーザーの乗車を検出してから、送信信号を送信するまでの時間は、各タイヤ状態検出装置20で異なるようにしている。例えば、ランダムディレイを用いることで、コントローラ24がユーザーの乗車を検出してから送信信号を送信させるまでの間隔を異ならせている。
【0030】
図4(d)に示すように、受信コントローラ31は、受信回路32に、ON動作(受信可能)と、OFF動作(受信不能)の間欠動作を行わせている。受信回路32がOFF動作している時間は、送信回路25が送信信号を送信するのに要する時間よりも短く、送信回路25が送信信号を送信した際には、少なくとも送信信号のデータの一部を受信することができる。そして、送信信号のデータの一部を受信したときには、受信機30は、間欠動作時に行われるON動作に比べて長時間のON動作を行う。これにより、受信回路32は送信信号を受信することができる。
【0031】
上記の説明においては、第1検出軸28が鉛直方向上方を向き、第2検出軸29が鉛直方向と直交する方向を向いているため、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度は、第1検出軸28のみで検出される。一方で、第2検出軸29が鉛直方向を向き、第1検出軸28が鉛直方向と直交する方向を向いている場合には、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度は、第2検出軸29のみで検出される。また、第1検出軸28及び第2検出軸29が、鉛直方向に対して傾いている場合には、加速度センサ23に作用する加速度は、第1検出軸28及び第2検出軸29に分力して検出される。このため、第1検出値に対応する乗車判定用閾値を第1乗車判定用閾値とし、第2検出値に対応する乗車判定用閾値を第2乗車判定用閾値として設定し、第1検出値及び第2検出値の少なくとも一方が乗車判定用閾値(第1乗車判定用閾値及び第2乗車判定用閾値)を超えたときに、コントローラ24は、ユーザーが乗車したと判断する。乗車判定用閾値は、ユーザーが乗車したときに加速度センサ23に加わる加速度などを予めシミュレーションや実験などで算出するとともに、加速度センサ23の第1検出軸28及び第2検出軸29が鉛直方向に対して傾いた状態で車両11が停止した場合にも乗車を判断できるような値に設定される。具体的にいえば、加速度センサ23に加速度が作用したときに検出される第1検出値及び第2検出値の絶対値のうち、大きいほうを最大値とすると、ユーザーが乗車したときに最大値が最も小さくなるのは第1検出軸28及び第2検出軸29が鉛直方向に対して45度傾いている状態である。このため、乗車判定用閾値としては、第1検出軸28及び第2検出軸29が鉛直方向に対して45度傾いている状態であってもユーザーの乗車を検出できる値に設定される。
【0032】
次に、本実施形態のタイヤ状態検出装置20の作用について説明する。
コントローラ24は、加速度センサ23によって検出される加速度検出値が、乗車判定用閾値を超えたときに、送信回路25に送信信号を送信させている。このため、ユーザーが車両11に乗ったときのタイヤ14の状態(タイヤ14の空気圧及びタイヤ14内温度)を含む送信信号が受信機30に送信される。
【0033】
ユーザーが車両11を停止してから、送信信号が長時間に亘って送信されていなかった場合でも、ユーザーの乗車を検出して送信信号を送信することで、車両11の走行開始前に受信機30にタイヤ14の状態を送信することができる。このため、車両11の停止中にタイヤ14の状態に異変が生じていた場合、車両11の走行開始前に表示器34などでユーザーにその旨を報知することができる。
【0034】
タイヤ14が変形したときのタイヤ14の変形量に対して、タイヤ14の内部の空間は大きく、タイヤ14の変形に伴うタイヤ14の圧力変動は僅かとなる。タイヤ14が変形したときには、タイヤ14の変形量が加速度センサ23の移動量となる。このため、タイヤ14の変形による空気圧の変動に比べて、タイヤ14の変形による加速度の変動は検出しやすい。
【0035】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)タイヤ状態検出装置20は、加速度センサ23の加速度検出値によってユーザーの乗車を検出して、ユーザーが乗車したと判断した場合に送信回路25から送信信号を送信させている。ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度は、ユーザーの乗車に伴い変化するタイヤ14の空気圧に比べて検出しやすいため、加速度センサ23を用いてユーザーの乗車を検出することで、容易にユーザーの乗車を検出することができる。そして、ユーザーの乗車を検出して送信回路25から送信信号を送信させることで、車両11が走行を開始する直前のタイヤ14の状態を示す情報を送信することができる。
【0036】
(2)ユーザーの乗車に伴う僅かな空気圧の変化を検出するためには、検出感度の高い空気圧センサや、分解能の高いADコンバータを用いる必要があるが、加速度センサ23を用いれば、検出感度の高い空気圧センサや、分解能の高いADコンバータを用いる必要がない。
【0037】
(3)第1検出値及び第2検出値に対応する乗車判定用閾値を個別に設定して、第1検出値及び第2検出値のうち、少なくとも一方が乗車判定用閾値を超えた場合にユーザーが乗車したと判断している。車両11が停止したときの検出軸の向きによっては、1軸の加速度センサでは、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度を検出しにくいおそれがあるが、鉛直方向への加速度を検出することができる複数の検出軸を用いることで、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度の検出精度を向上させることができる。
【0038】
(4)イグニッションスイッチがオンされたときに各タイヤ状態検出装置20に送信信号の送信を要求するタイヤ状態監視装置を用いる場合、車両11の走行開始前にタイヤ14の状態を検出することはできるが、各タイヤ状態検出装置20に送信信号の送信を要求するトリガ送信するために、各車輪12の近傍にトリガ信号の送信機を設ける必要がある。本実施形態のように、タイヤ状態検出装置20自身がユーザーの乗車を検出して、車両11の走行開始前に送信信号を送信するようにすることで、各タイヤ状態検出装置20の近傍にトリガ信号を送信するために送信機を設ける必要がなく、タイヤ状態監視装置10の小型化が図られる。
【0039】
(5)コントローラ24がユーザーの乗車を検出してから、送信回路25から送信信号を送信させるまでの間隔は、4つのタイヤ状態検出装置20で異ならせている。各タイヤ状態検出装置20がユーザーの乗車を検出したときに各タイヤ状態検出装置20から同時に送信信号が送信されると、受信機30で混信が生じるおそれがある。このため、各タイヤ状態検出装置20がユーザーの乗車を検出してから送信信号を送信するまでの間隔を異ならせることで、受信機30での混信を抑制することができる。
【0040】
(6)四輪の自動車は、二輪車に比べて重量が重いため、ユーザーの重量が占める割合が少ない。このため、四輪の自動車のタイヤ14では、二輪車に比べてユーザーの乗車に伴う空気圧の変化が少ない。本実施形態のように、加速度センサ23によって検出される加速度によってユーザーの乗車を検出することで、四輪の自動車であっても好適にユーザーの乗車を検出することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、タイヤ状態検出装置の第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様な記載については省略して説明を行う。第1実施形態では、第1検出値、及び、第2検出値のそれぞれに対応する乗車判定用閾値を用いてユーザーの乗車を判定していたのに対して、第2実施形態では、第1検出値と第2検出値を合成した合成加速度値を求めて、合成加速度値が合成加速度用閾値を超えた場合にユーザーが乗車したと判定している。以下、詳細に説明を行う。
【0042】
図5に示すように、第1検出軸28、及び、第2検出軸29は鉛直方向への加速度の分力、すなわち、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度の分力を検出している。ここで、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する鉛直方向への加速度をGとすると、第1検出軸28によって検出される加速度である第1検出値G
zは以下の(1)式で与えられ、第2検出軸29によって検出される加速度である第2検出値G
xは以下の(2)式で与えられる。
【0044】
【数2】
ただし、θ
1は、鉛直方向に対する第1検出軸28の傾き、換言すれば、鉛直方向への仮想線と第1検出軸28のなす角であり、θ
2は、鉛直方向に対する第2検出軸29の傾き、換言すれば、鉛直方向への仮想線と第2検出軸29のなす角である。
【0045】
ここで、第1検出軸28と第2検出軸29は直交しているため、第1検出値G
zと第2検出値G
xの合力(合成加速度値G
A)は、以下の(3)式で与えられる。
【0046】
【数3】
車輪12の回転位置に関わらず、ユーザーの乗車に伴い加速度センサ23に作用する加速度Gと、合成加速度値G
Aは一致する。したがって、合成加速度値G
Aは車輪12の回転位置に関わらず同様の値(=加速度センサ23に作用する鉛直方向への加速度)を示す。
【0047】
コントローラ24の記憶部24aには、合成加速度値G
Aに対応する乗車判定用閾値としての合成加速度用閾値が記憶されている。この合成加速度用閾値は、第1実施形態における乗車判定用閾値よりも大きな値が設定されている。
【0048】
複数の検出軸によって検出される加速度の分力は、車輪の回転位置によって変化するため、複数の検出軸の分力から乗車を判定する場合、検出軸によって検出され得る加速度の最も小さい値を基準にして乗車判定用閾値を設定する必要がある。複数の検出軸によって検出される加速度の分力を合成して、合成加速度値を求める場合、車輪の回転位置に関わらず同様の値が検出される。この値は、複数の検出軸によって検出され得る加速度の分力の最大値と同一である。このため、合成加速度用閾値を、分力によって乗車を判定する場合の乗車判定用閾値よりも大きな値としてもユーザーの乗車を判定することができる。合成加速度用閾値としては、ユーザーが乗車したときに加速度センサ23に作用する加速度を予めシミュレーションや実験などで算出し、この値よりも小さな値に設定される。
【0049】
コントローラ24は、車両11の停止中に加速度センサ23に加速度が作用すると、第1検出値G
z、及び、第2検出値G
xを合成して、合成加速度値G
Aを求める。そして、この合成加速度値G
Aが合成加速度用閾値を超えた場合には、ユーザーが乗車したと判定して、送信回路25から送信信号を送信させる。
【0050】
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(7)ユーザーの乗車に伴い求められる合成加速度値G
Aは、車輪12の回転位置に関わらず同様の値、すなわち、車輪12の回転位置に関わらず、ユーザーの乗車に伴い生じる鉛直方向への加速度となる。このため、車輪12の回転位置を考慮することなく合成加速度用閾値を設定できるため、車輪12の回転位置を考慮して閾値を設定する場合に比べて大きい値を設定することができる。したがって、振動などによって加速度センサ23の合成加速度値G
Aが合成加速度用閾値を超えにくく、乗車の誤検出が生じにくいため、ユーザーの乗車を精度良く検出することができる。
【0051】
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
・各実施形態において、第1検出軸28の検出感度を第2検出軸29の検出感度に比べて向上させてもよい。加速度センサ23は、加速度による検出部の変形を電圧として検出しており、検出部を変形しやすくすることで検出感度を向上させることができる。検出感度を向上させると、僅かな加速度の変化であっても検出しやすくなるため、乗車の検出を行いやすくなる。一方で、検出部を変形しやすくすると、検出部が変形限界まで変形しやすく、検出軸で検出可能な加速度の上限が低下する。遠心加速度を検出する第2検出軸29に比べて、重力加速度(±1G変化)のみを検出する第1検出軸28は、検出可能な加速度の上限が低くても支障が少ないため、第1検出軸28の検出感度を向上させることで、車両11の走行検出に支障を来すことなく、ユーザーの乗車検出の精度を向上させることができる。
【0052】
・各実施形態において、タイヤ状態検出装置20は、タイヤ14に取り付けられていてもよい。例えば、タイヤ貼り付け式のタイヤ状態検出装置であってもよい。
・各実施形態では、2軸の加速度センサ23を用いたが、1軸の加速度センサ23を用いてもよいし、3軸以上の加速度センサ23を用いてもよい。1軸の加速度センサ23を用いる場合、第2検出軸29、すなわち、車輪12の径方向に延びる検出軸を有する加速度センサ23を用いることが好ましい。
【0053】
・各実施形態において、タイヤ状態検出装置20は、二輪の自動車や、六輪の自動車など、四輪の自動車以外に設けられていてもよい。
・各実施形態において、車両11の走行を検出するための加速度センサ23に加えて、ユーザーの乗車に伴う鉛直方向への加速度を検出する加速度センサを別に設けてもよい。
【0054】
・第1実施形態において、第1検出値に対応する第1乗車判定用閾値と、第2検出値に対応する第2乗車判定用閾値を設定したが、いずれか一方の乗車判定用閾値のみを設定してもよい。
【0055】
・各実施形態において、コントローラ24が、車両11の走行を検出してから、送信信号を送信回路25から送信させるまでの間隔は、4つのタイヤ状態検出装置20で同一であってもよい。
【0056】
・各実施形態において、送信回路25から送信される送信信号を受信する受信機は、ユーザーが所持しているスマートフォンなどの携帯端末であってもよい。
・各実施形態において、タイヤ14に異変が生じている場合に、ユーザーに対して報知を行う警報器などを車両11に設けてもよい。
【0057】
・各実施形態では、ユーザーが乗車した場合の加速度を検出したが、車両11に荷物が積載されるときにも鉛直方向への加速度が加速度センサ23に作用して、乗車判定用閾値を超える。車両11に荷物が積載されるときには、ユーザーが乗車する前と推測されるため、荷物の積載を検出して送信信号を送信してもよい。