(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234930
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ハーフトーン印刷された表面を有する再帰反射性シート
(51)【国際特許分類】
G02B 5/124 20060101AFI20171113BHJP
G02B 5/128 20060101ALI20171113BHJP
B32B 7/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
G02B5/124
G02B5/128
B32B7/02 103
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-537270(P2014-537270)
(86)(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公表番号】特表2014-535075(P2014-535075A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】US2012060961
(87)【国際公開番号】WO2013070413
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/548,777
(32)【優先日】2011年10月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514100751
【氏名又は名称】アベリー・デニソン・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アガシェ,ニッキル
【審査官】
廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−531396(JP,A)
【文献】
特開2002−149095(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/077475(WO,A2)
【文献】
国際公開第2011/046957(WO,A2)
【文献】
特表2000−517353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00−5/136
G09F 9/00
E01F 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射性シートであって、
前面に平坦な表面と、後面に複数の再帰反射性要素を有する再帰反射性フィルム、及び
前記平坦な表面上に、蒸着されたインクの個別領域の間に光透過性開放部のパターンを含み、前記インクから邪魔されることなく入射光を受光して再帰反射した光を透過させる、ハーフトーンパターンで蒸着されてなるインク層を含み、
前記再帰反射性シート前面の最表面層は、前記蒸着されたインクの個別領域及び前記光透過性開放部により形成され、
前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域は、前記平坦な表面上のハーフトーンパターン領域の60%〜80%の間をカバーし、
前記インクは着色インクである、再帰反射性シート。
【請求項2】
前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域のサイズが、一方向以上に沿って変化し、認知されるインク層が互いに異なる陰影の色を提供する、請求項1に記載の再帰反射性シート。
【請求項3】
前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの互いに異なる個別領域が、互いに異なる色である、請求項1に記載の再帰反射性シート。
【請求項4】
前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域各々の形状が、円形、正方形、三角形、ひし形、及び線形を含む群のうちの1つ又はそれ以上である、請求項1に記載の再帰反射性シート。
【請求項5】
前面に平坦な表面と、後面に複数の再帰反射性要素を有する再帰反射性フィルム、及び
前記平坦な表面上に、蒸着されたインクの個別領域の間に光透過性開放部のパターンを含み、前記インクから邪魔されることなく入射光を受光して再帰反射した光を透過させる、ハーフトーンパターンで蒸着されてなるインク層を含む再帰反射性シートであって、
前記インクは、部分的に光を透過させ、前記フィルムから再帰反射した光が前記開放部を通じて透過した光に加え、前記インクを通じて透過された光を含むようにし、前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域は、前記平坦な表面上のハーフトーンパターン領域の60%〜80%の間をカバーし、
前記再帰反射性シート前面の最表面層は、前記蒸着されたインクの個別領域及び前記光透過性開放部により形成される、再帰反射性シート。
【請求項6】
前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域が均一に離隔されている、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の再帰反射性シート。
【請求項7】
前記ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域各々の形状は、円形、正方形、三角形、ひし形、及び線形を含む群のうちの1つである、請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の再帰反射性シート。
【請求項8】
前記再帰反射性要素はプリズム及びビーズのうちの1つである、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の再帰反射性シート。
【請求項9】
プリズムはキューブコーナーである、請求項8に記載の再帰反射性シート。
【請求項10】
前記ハーフトーンパターンは対称的なものである、請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の再帰反射性シート。
【請求項11】
インクドットは印刷技術を用いて印刷される、請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の再帰反射性シートの製造方法。
【請求項12】
前記印刷技術は、スクリーンプリント、インクジェット又は感熱転写リボンからなる群のうちの1つを含む、請求項11に記載の再帰反射性シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年10月19日に提出された米国仮出願第61/548,777号により優先権を主張し、その全体が本願に含まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的に、印刷された上部表面を有する再帰反射性シートに関するもので、特に塗装材(topcoat)又はオーバーラミネートフィルム(overlaminate film)の必要無く、より高い反射率で印刷された情報を表すことができるハーフトーンパターンで印刷された上部表面を有する再帰反射性シートに関するものである。
【0003】
再帰反射性シートは、相対的に高度の反射率のため、道路標識(road signs)の製造によく用いられる。かかるシートは、通常、プリズム又はガラスビーズ(glass beads)で形成される再帰反射性要素のパターンを含む後面、及び平坦な前面を含む。道路標識アプリケーションに関して、シートが、背景色(すなわち、停止標識用の赤、譲歩標識用の黄、高速道路の出口標識用の青又は緑)のみならず、文字及び数字の形態で印刷された情報全てを表すことは、しばしば必須である。結果的に、光透過性(light-transmissive)層であるカラーインクは、背景色が必要とされる全ての領域において、シートの平坦な前面に渡って印刷される。
【0004】
かかるプリント技術は、機能的な再帰反射性標識を製作することができる反面、標識全体の反射率が、2つの要素により好ましくない。第一に、最も光透過性のインクが用いられる場合でも、ある程度の量の粒子及び再帰反射光がインクによって必須的に吸収される。第二に、透過性インクで印刷された層は、表面を粗くすることでシートの平坦な前面に表面欠陥を生成し、これは結局、入射及び反射する光を全て散乱させる。表面粗度は、ソルベント、紫外線(UV)又はラテックスインクを用いるインクジェットプリントのような大半のデジタルプリント技術で常に観察される副作用である。感熱転写リボンプリントのような他の比較技術において、かかる表面欠陥は、より良好に制御され得る。かかる散乱は、標識について例を挙げると、自動車のヘッドライトに向かって再帰反射する光量を減らすため、運転者に標識の外観をぼやけさせる。過去に、散乱型再帰反射率(retroreflectivity)の損失は、シートの印刷された上面に透明な塗装材又はオーバーラミネートフィルムを適用することで部分的に 回復されてきた。かかる透明なフィルムは、光がインク層を介して伝達される際、粒子及び再帰反射光全てを矯正することで、散乱を減少させ、シートの再帰反射率を増加させる。しかし、かかる透明な塗装材又はオーバーラミネートフィルムをシートの印刷された上面に適用することは、最終的な標識の製造に伴う時間及び費用を増加させる。また、これは、粒子及び再帰反射光の一部を潜在的に吸収及び/又は遮断できる、さらに他の透明材料層に該当する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の内容
本発明は、透明な塗装材又はフィルムについての必要性を除去しつつも、最終的に印刷された再帰反射性シート材料の反射率を増加させる。このため、本発明は、前面に平坦な表面と、後面に複数の再帰反射性要素を有する再帰反射性フィルム、及び蒸着されたインクの均一に離隔された個別領域(又は「ドット」)から形成されたハーフトーンパターンで前記平坦な表面上に蒸着されたインク層を含む。ドット間の領域は、インクからの吸収又は散乱なしに、粒子光を受光して再帰反射光を透過(transmit)させる光透過性開放部(openings)を提供する。
【0006】
ハーフトーンパターンの蒸着されたインクの個別領域は、平坦な表面上におけるハーフトーンパターン領域の約50%〜99%の間をカバーすることができる一方、この領域は、好ましくは、平坦な表面上におけるハーフトーンパターン領域の約60%〜90%の間、より好ましくは、この領域の約60%〜80%の間をカバーすることができる。
【0007】
均一に離隔された個別領域又はハーフトーンパターンを形成する蒸着されたインクのドット形状は、事実上、円形、正方形、三角形、ひし形又は平行あるいは格子に整列された線形のような任意の対称的な形状であり得る。インクの個別領域のサイズは、ハーフトーンパターンが肉眼で単色又は陰影となって表れるよう、十分に小さくなければならない。再帰反射性要素は、キューブコーナー(cube corners)又はガラスビーズ(glass beads)のようなプリズムであり得る。
【0008】
かかるハーフトーンパターンのインクの使用は、散乱を減少させるために再帰反射性シートの前面で透明な塗装材又はフィルムに対する必要性を除去するので、シートの上面は、印刷又は蒸着されたインク層のみで構成されることが好ましい(しかし、必須ではない)。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A及び
図1Bは各々、印刷されたインク層を有していないものと、インク層と透明な塗装材(coat)の組み合わせを有するものである、従来技術でのプリズム形状(prismatic)の再帰反射性フィルムの図式的な側面図解図である。
【
図2】前面にインクのハーフトーン印刷されたパターンを含む、本発明の再帰反射性フィルムの図式的な側面図解図である。
【
図3】
図3A及び
図3Bは各々、
図2のシート上のインクのハーフトーン層における拡大平面図、及びこのインクのハーフトーン層における拡大されていない平面図を図示する。
【
図4】ハーフトーン層で用いられるドットが取り得る、4つの互いに異なる幾何学形状を図示する。
【
図5】独創的シートの実施形態における拡大図であり、ここでハーフトーンインク層は、ガラスビーズを用いる再帰反射性材料の上に蒸着されたインクの平行な線から形成される。
【
図6】各々、ハーフトーン領域の80%、70%及び60%をカバーするインクのハーフトーン層を有するシート材料の相対輝度を図示する。
【
図7】本発明の適用例及び入射角と注視角(angle of observation)の定義を図示する斜視図である。
【
図8】緑色インクのハーフトーン層が各々、30°の入射角及び0.1°、0.2°、0.5°の注視角にて100%〜60%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料における反射率を図示するグラフである。
【
図9】
図8のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【
図10】緑色インクのハーフトーン層が各々、-4.0°の入射角及び0.1°、0.2°、0.5°の注視角にて100%〜60%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料における反射率を図示するグラフである。
【
図11】
図10のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【
図12】青色インクのハーフトーン層が各々30°の入射角及び0.1°、0.2°、0.5°の注視角にて100%〜70%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料における反射率を図示するグラフである。
【
図13】
図12のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【
図14】青色インクのハーフトーン層が各々-4.0°の入射角及び0.1°、0.2°、0.5°の注視角にて100%〜60%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料における反射率を図示するグラフである。
【
図15】
図14のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明を実施するための具体的な内容
本発明及びその利点は、
図1A及び
図1Bに図示された従来技術の再帰反射性シートとの直接比較によって、最も容易に理解できる。
【0011】
図1Aは、印刷されたインク層がない従来技術のプリズム形状(prismatic)の再帰反射性シート1の側面図解図である。かかるシート1は、再帰反射性要素の配列3を含む。この例において再帰反射性要素は、プリズム形状のキューブコーナー4を有するが、それらは任意形状のプリズム形状の要素又は球形ガラスビーズであり得る。透明基板5は、プリズム形状のキューブコーナー4の配列3上に重ねられる(overlie)。プリズム形状のキューブコーナー4の配列と基板5はいずれも、一般的にポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、又はポリカーボネートのような透明プラスチック材料で形成される。使用時に、例えば自動車のヘッドライトから流入する(incoming)光ビーム7は、透明基板5に進入してプリズム形状のキューブコーナー4の壁上に衝突する。キューブコーナー壁の角度及びプリズム形状のキューブコーナー4を形成する透明材料の屈折率は、ある入射角(entrance angle)内でシートの表面に衝突する流入する光ビームがそれらの光源側に再び再帰反射するように選択される。従来技術のシート1の場合、再帰反射するビーム8の観測輝度は、比較的少ない光がプリズム形状のキューブコーナー4及び基板5を形成する透明材料によって吸収又は散乱されるので、流入する光ビーム7の輝度と実質的に同じである。結果的に、かかるシート1は、流入する光の比較的高いパーセンテージを再帰反射する。
【0012】
図1Bは、スクリーンプリントを通じてマニュアル方式で、又はインクジェット若しくは感熱転写リボンを通じてデジタル方式で適用することができる光透過性インクのインク層12を有する従来技術のプリズム形状の再帰反射性シート10の側面図解図である。道路信号(road signage)の場合、一般的に、数字又は文字に対する対照的な背景を提供するために、赤色、茶色、緑色又は青色のインクがインク層12に用いられる。透明な塗装材又はラミネートフィルム14は、インク層12の粗度(roughness)及び所望のパターンの再帰反射率から抜け出た光ビームの結果的な散乱により誘発される光損失を減少させるために、インク層12上に適用される。使用時、流入する光ビーム7は、塗装材14の表面上に衝突し、透過性インク層12及び基板5を通る。そこから、光ビームはプリズム形状のキューブコーナー4(
図1Bでは省略)の配列3によって再帰反射し、基板5、インク層12及び塗装材14を通って再伝送される。しかし、新たに形成された(emerging)光ビーム16は、インク層12の色及び光の異なる色の結果的な吸収、インク層12の厚さ、インク層14の透過率(transmissivity)、また、層14内でのインクの表面処理により、輝度において実質的に減少する。透明な塗装材又はラミネートフィルム14を適用する必要性は、シート10における全体的な費用及び工程時間を増加させ、インク層14の粗度により誘発される光損失を完全に解決することができない。結果、最終的なシート10における全体の反射率(reflectivity)は、連邦(federal)、州(state)、及び地方政府(local government)により規定された規格(specification)を下回り得る。
【0013】
図2は、本発明のハーフトーン再帰反射性シート20の側面図解図である。シート20は、蒸着されたインクの個別領域24のパターン(以下、一般的に「インクドット」と称する)及びインクが存在しない開放領域26から形成されるハーフトーンインク層22を含む。使用時、流入する光ビーム7のうちいくつかは、蒸着されたインク22の個別領域24上に衝突し、インク層12の色、光の異なる色の結果的な吸収及び散乱によって、輝度において実質的に減少した光ビーム16として新たに形成される。しかし、その他の光ビーム7は、インクが存在しないハーフトーンインク層22の開放領域26上に衝突及びそれを介して反射し、輝度において実質的に減少していない再帰反射した光ビーム8として新たに形成され、これは従来技術の印刷シート10よりもシート20における全体の反射率を増加させる。好ましくも、出願人は、ハーフトーンインク層内の開放領域26を提供することが印刷されたインクドット24の表面粗度により誘発される光損失をより多く相殺する、ということを観察し、これにより、従来技術の印刷されたシート10に用いられる透明な塗装材又はラミネートフィルム14に対する必要性を除去した。また、シート20における反射率の全体的な増加は、かかるシートが連邦、州、地方政府により定められた、反射率、及び昼夜の色に関する規定を満たす又は超えることを保障する。
【0014】
図3Aは、
図2のシート上におけるインクのハーフトーン層22の拡大平面図であり、この層22を形成するインクドット24及び開放領域26のパターンを図示する。
図3A内のドット24が円形であり、ドットの中央が距離「x」ほど均一に離隔されるパターンで配置されているが、結果的にパターンが均一で対照的でありさえすれば、事実上ドットに対して任意の幾何学的な形状が用いられ得る。道路標識アプリケーションにおいて、インクドット24は均一な背景色の外観を作り出すために、全て同じサイズであり得る。しかし、インクのハーフトーン層22は、
図3Bに図示された通り、シート20から一定の距離を置いている注視者に陰影色の外観を作り出すために、一つ又はそれ以上の方向に減少又は増加したサイズを有するインクドット24のパターンでも形成され得る。インクドット24の直径及び範囲(coverage)は、最も大きい個別インクドット24が、シートから予想注視点に位置した注視者によって認知され得ないように選択されるのが好ましい。所望のハーフトーン効果を達成するために、可能な限り最大のドットを用いることは、シート20上にドットを印刷するプロセスを好ましく単純化する。道路標識の場合、自動車内の一般的な注視者は標識から約15フィートよりさらに接近できず、よって、ドット24の直径は、インクのハーフトーン層22がシート20上に提供する均一又は陰影彩色(coloration)のどちらにもいかなる認知可能な「粒子性(graininess)」を与えることなく、1.0mm程度の大きさであり得る。かかるインクドット24は、良く知られた印刷技術(すなわち、スクリーンプリントを通じてマニュアル方式で、又はインクジェット又は感熱転写リボンを通じてデジタル方式で)を通じて適用され得る。
【0015】
図4は、インクドット24が取り得る多様な形状の一部を図示し、これは、多様なサイズの三角形30、正方形若しくは長方形32、又は円形34、36を制限なく含む。また、
図5に図示された通り、インクドット24は、均一な色が求められると均一に離隔され、或いは陰影色が求められると互いに異なる距離だけ離れて離隔された、薄く平行なストライプ38形状を取り得る。インクドット24は、
図3A、
図3B及び
図4に同じ色のインクで図示されているが、マルチカラーイメージを表すインクのハーフトーン層22を生成するように、互いに異なるドットがそれぞれ異なる色のインクで印刷され得る。
【0016】
反射率における増加量は、シート20の前面領域に対するインクドット24の総領域を制御することで調節することができる。
図6は、各々ハーフトーン領域の80%、70%、及び60%をカバーするインクのハーフトーン層を有するシート材料の相対輝度を図示する。もちろん、所望の反射率を得てカラー規格を満たすためには、適切なバランスが達成される必要がある。シート20の前面領域に対するインクドット24の総領域が非常に低い場合、シート20はその色を失い、この比率が非常に高い場合、シートは再帰反射率伸張(boost)を失う。以下でさらに詳細に論議される通り、出願人は、シート20の前面領域に対するインクドット24の総領域が約60%〜90%の間である場合、かかる適切なバランスが達成されることを発見した。
【0017】
図7は、
図8-15に図示された反射率テストの結果を理解するのに有用である。特に、
図7は、自動車の運転者42によって注視される道路標識40に用いられるハーフトーン印刷されたシート20の反射率を測定するのに用いられる様々なパラメーターを図示する。自動車のヘッドライトからの光ビーム45は、図示されたようにハーフトーン印刷されたシート20上で衝突する。シート20の表面が単なる鏡であれば、この光ビームは点線47に沿ってシートの外側に反射されてしまうであろう。入射光ビーム45と、シート20が正反射性反射物(specular reflector)である場合にこのビームが通過する点線47の間の角度は、図面内で「入射角(entrance angle) θ」と表されており、入射角及び反射角の和と等しい。しかし、シート20が再帰反射性であるため、入射光ビーム45は線45に沿って反射されるのではなく、代わりに、この場合自動車のヘッドライトであるその光源方向へ狭い円錐形状(narrow cone)に沿って後方へ再帰反射する。自動車の運転者の目はヘッドライトの中心軸と並ばず、代わりに、ヘッドライトに対して垂直に数フィート離れているため、運転者は、図面内で「注視角γ」と表されている角度で再帰反射された光ビーム50を見ることとなる。道路標識40に用いられる再帰反射性シートは、自動車が標識に近く、入射角θが大きい場合だけでなく、自動車が標識40から遠く、入射角θが小さい場合にも、高い反射性を有することが理想的である。標識が遠く、入射角θが小さい場合の高い反射率は、運転者に標識の存在を警告する一方、自動車が近く、入射角θが大きい場合の高い反射率は、運転者に標識上の情報を容易に読み取ることができるようにする。同じ理由で、道路標識40に用いられる再帰反射性シートは、自動車が標識に近く、注視角γが大きい場合だけでなく、自動車が標識40から遠く、注視角γが小さい場合にも、高い反射性を有するべきである。結果的に、道路標識アプリケーションに用いられる再帰反射性シートの反射率を評価する際、シートの反射率は、30°の相対的に大きい入射角、及び-4°の相対的に小さい入射角のいずれにおいても測定される。また、30°及び-4°の入射角のいずれにおいても、反射率は0.1°、0.2°及び0.5°の小さな、中間の及び大きな注視角に対して測定される。
【0018】
図8は、緑色インクのハーフトーン層が、0.1°、0.2°及び0.5°の注視角で30°の入射角に対して用いられる場合の、本発明のハーフトーン印刷された再帰反射性シート材料20における反射率を図示する(それは、実線の上段グラフ、正方形を有する実線の中間グラフ、円形を有する実線の下段グラフに各々相応する)。このグラフの水平線又はx軸は、全範囲100%から部分範囲60%までのインクのパーセント範囲である。垂直線又はy軸は、SIAで測定された反射率(SIA-measured reflectivity)、すなわち、平方メートル当りのルックス当りのカンデラ(candelas) (cd/lx/sqm)である。
図8、
図10、
図12及び
図14のy軸上のユニットは、
図9、
図11、
図13及び
図15の表に提示された測定値に対してスケール付けされている(scaled)ということに留意しなければならない。そのため、
図8、
図10、
図12及び
図14のグラフは、互いに異なる数字を有する。
図8のグラフ上の下段、中間及び上段の水平点線は、各々0.5°、0.2°及び0.1°の注視角に対してシート(20)が満たすべき最小反射率の規格である。従って、グラフ上に垂直な実線で表したように、本発明のハーフトーン印刷されたシート20の反射率は、インクによってカバーされたシートの前面におけるパーセンテージが約62%に落ちる場合、あらゆる規格と同一又は超過する。
【0019】
図9は、緑色インクのハーフトーン層が、各々30°の入射角及び0.1°、0.2°及び0.5°の注視角にて100%〜60%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料の反射率を図示する
図8のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【0020】
図10は、緑色インクのハーフトーン層が、0.1°、0.2°及び0.5°の注視角(実線の上段グラフ、正方形を有する実線の中間グラフ、円形を有する実線の下段グラフに各々相応)で-4°の入射角に対して用いられる場合の、本発明のハーフトーン印刷された再帰反射性シート材料20の反射率を図示する。ここでも、このグラフの水平線又はx軸は、全範囲の100%から部分範囲の60%までのインクのパーセント範囲である。垂直線又はy軸は、SIAで測定された反射率(SIA-measured reflectivity)、すなわち、平方メートル当りのルックス当りのカンデラ(cd/lx/sqm)である。またここでも、グラフ上の下段、中間及び上段の水平点線は、各々0.5°、0.2°及び0.1°の注視角に対してシート20が満たすべき最小反射率の規格である。グラフ上に垂直な実線で表したように、本発明のハーフトーン印刷されたシート20の反射率は、インクによってカバーされたシートの前面におけるパーセンテージが約76%に落ちる場合、あらゆる規格と同一又は超過する。
【0021】
図11は、緑色インクのハーフトーン層が、各々-4°の入射角及び0.1°、0.2°及び0.5°の注視角にて100%〜60%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料の反射率を図示する
図10のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【0022】
図8のように
図12は、0.1°、0.2°及び0.5°の注視角にて30°の入射角に対する本発明のハーフトーン印刷された再帰反射性シート材料20の反射率を図示しており、その唯一の差異点は、緑色インクの代わりに青色インクのハーフトーン層が用いられたという点である。
図12のグラフに垂直な実線で表したように、本発明のハーフトーン印刷されたシート20の反射率は、インクによってカバーされたシートの前面におけるパーセンテージが約71%に落ちる場合、あらゆる規格と同一又は超過する。
【0023】
図13は、青色インクのハーフトーン層が各々30°の入射角及び0.1°、0.2°及び0.5°の注視角にて100%〜70%の間の範囲で用いられる場合、本発明の再帰反射性シート材料の反射率を図示する
図12のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【0024】
最終的に、
図10のように
図14は、0.1°、0.2°及び0.5°の注視角にて-4°の入射角に対する本発明のハーフトーン印刷された再帰反射性シート材料20の反射率を図示しており、その唯一の差異点は、緑色インクの代わりに青色インクのハーフトーン層が用いられたという点である。
図14のグラフに垂直な実線で表したように、本発明のハーフトーン印刷されたシート20の反射率は、インクによってカバーされたシートの前面におけるパーセンテージが約72%に落ちる場合、あらゆる規格と同一又は超過する。
【0025】
図15は、青色のハーフトーン層が、各々-40°の入射角及び0.1°、0.2°及び0.5°の注視角にて100%〜70%の間の範囲で用いられる場合の、本発明の再帰反射性シート材料の反射率を図示する
図14のグラフを算出するのに用いられるデータテーブルである。
【0026】
前述した例は、説明の目的のためにのみ提供されたもので、決して本発明を限定するものと解釈されてはならない。本発明が例示的な実施形態によって説明されているが、本願で用いられた用語は、限定された用語ではなく説明及び例示のための用語であることを理解すべきである。かかる点で、本発明の範囲及び思想を逸脱することなく、現在言及され、並びに修正された添付の請求項の理解範囲内で変更され得る。本発明は、特定の手段、材料及び実施形態によって本願で説明されたが、本発明は、本願に開示された特定事項に限定されるように意図されてはいない。むしろ、本発明は、添付の請求範囲の思想内のあらゆる機能的に同等な構造、方法及び用法へと拡張する。