【実施例】
【0033】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。当業者には当然のことながら、以下の実施例中に開示される技術は、本発明の実施に際して良好に機能することが本発明者により見出された技術の例示であり、その実施における好ましい形態を構成するとみなすことができる。しかし本開示の見地から、当業者には当然のことながら、開示される特定の実施形態において本発明の趣旨及び範囲を逸脱しない範囲で多くの変更をなすことができ、依然として類似の又は同様の結果を得ることができる。全てのパーセンテージは重量%である。特に指定しない限り、測定は全て23℃で行った。
【0034】
(実施例1)
ポリ(EO)メチル3−(メチルジエトキシシリル)プロピルエーテルの調製
PG−SF−アリルEO7−Me(463.73g、NOF製のユニオックスMUS−4)及び酢酸ナトリウム(0.05g、フィッシャーバイオテク製)を、三日月形パドル撹拌棒、水冷コンデンサとメチルジエトキシシラン(136.52g、ゲレスト社製)を入れた250mL滴下漏斗とを取り付けたクライゼン管、及び熱電対が付いた温度計アダプタを装備した2Lの三つ口丸底フラスコ(RBF)に、全て窒素パージ下で入れた。メチルジエトキシシランの20wt%又は28gをRBFに供給したときに反応混合物を60℃まで加熱し、その直後にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒(約400μL又は6ppm)を添加した。直ちに観測された発熱は18℃であった。滴下漏斗内の残りのメチルジエトキシシランをRBFに約1.21g/分の速度で投与し、その間、温度は80℃に設定して、滴下中は85℃未満に保持した。シランを添加してから1時間後にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒の2回目の添加(約500μL又は7ppm)を行い、約5℃の発熱が確認された。メチルジエトキシシランを全てRBFに入れたら、温度を85℃設定点に設定し、IPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒の3回目の添加(約500μL又は7ppm)を行ったが、その間、発熱は観測されなかった。生成混合物をその後、ヒドロシリル化を完了させるために更に1時間還流させた。反応終了を確認した後、残留SiHをIRで測定すると、2150cm
−1ピークにおいて34ppmであった。その次の日に、クライゼン管を、水冷コンデンサが装着された250mL丸底フラスコに替えた。ストリップ処理のために装置を減圧した。生成混合物を、1.3〜5.3kPa(10〜40mmHg)の減圧下において90℃で1時間ストリップ処理した。IRで測定された最終残留SiH含量は、2150cm
−1において4ppmであった。最終的な最終生成物を20μm径の濾紙で加圧濾過して酢酸ナトリウムを取り除いた。
【0035】
(実施例2)
ポリ(EO)メチル3−(メチルジメトキシシリル)プロピルエーテルの調製
PG−SF−アリルEO7−Me(489.378g、NOF製のユニオックスMUS−4)及び酢酸ナトリウム(0.1g、フィッシャーバイオテク製)を、三日月形パドル撹拌棒、水冷コンデンサとダウコーニング(登録商標)Z−6701シラン(110.622g)を入れた250mL滴下漏斗とを取り付けたクライゼン管、及び熱電対が付いた温度計アダプタを装備した2Lの三つ口丸底フラスコ(RBF)に、全て窒素パージ下で入れた。Z−6701シランの10wt%又は11gをRBFに供給したときに反応混合物を45℃まで加熱し、その直後にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒(約400μL又は6ppm)を添加した。直ちに観測された発熱は2〜3℃であった。滴下漏斗中の残りのZ−6701をRBFに約1.67g/分の速度で投与する一方で、53℃の設定温度+発熱2℃を滴下中、維持した。Z−6701を全てRBFに入れたときに、混合物の温度を53℃設定点に戻し、IPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒の2回目の添加(約500μL又は7ppm)を行った。混合物をその後更に2時間保持して反応を完了させ、ここで1時間還流させた後にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒の3回目の添加(約500μL又は7ppm)を行った。触媒を添加する毎に観測される一定して2℃の発熱は、最後の添加以外では1時間続いたが、最後の添加では30分しか続かなかった。反応完了を確認した後、残留SiHをIRで測定すると、2150cm
−1ピークにおいて35ppmであった。その次の日に、クライゼン管を、水冷コンデンサが装着された250mL丸底フラスコに替えた。ストリップ処理のために装置を減圧した。生成混合物を、1.3〜2.7kPa(10〜20mmHg)の減圧下において60℃で1時間ストリップ処理した。IRで測定された最終残留SiH含量は、2150cm
−1において4ppmであった。最終的な最終生成物を20μm径の濾紙で加圧濾過して酢酸ナトリウムを取り除いた。
【0036】
(実施例3)
ポリ(EO)ヒドロキシル3−(メチルジエトキシシリル)プロピルエーテルの調製
PG−SF−アリルEO7−OH(191.85g、ダウ・ケミカル社製)及び酢酸ナトリウム(0.05g、フィッシャーバイオテク製)を、三日月形パドル撹拌棒、水冷コンデンサとメチルジエトキシシラン(ゲレスト社製58.67g)を入れた250mL滴下漏斗とを取り付けたクライゼン管、及び熱電対が付いた温度計アダプタを装備した500mLの三つ口丸底フラスコ(RBF)に、全て窒素パージ下で入れた。メチルジエトキシルシランの10wt%又は6gをRBFに投与したときに反応混合物を60℃まで加熱し、その直後にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒(約230μL又は8ppm)を入れた。直ちに観測された発熱は7℃であった。滴下漏斗中の残りのメチルジエトキシルシランをRBFに約0.88g/分の速度で投与し、その間、温度は67℃に設定して、滴下中、約75℃に保持した。メチルジエトキシルシランを全てRBFに添加したときに、温度を75℃に設定して1時間還流させて反応を完了させた。反応混合物を60℃まで冷却して、IRにより、159ppmの残留SiHが2150cm
−1ピークにおいて観測された。IPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒の2回目の添加(約50μL又は約1.7ppm)を反応混合物に入れたが、発熱は検出されなかった。反応温度を80℃まで上げて、1時間還流させた。残留SiHは126ppmと測定された。その次の日に、生成混合物を、ロータリーエバポレーションするために1L丸底フラスコに移した。一部材料をストリップさせたが、その間、減圧は約0.4〜0.5kPa(約3〜4mmHg)であり、水浴は80℃であった。このプロセスを2時間続けて、最終生成物には残留SiHが13ppm残っていた。最終生成物を20μm径の濾紙で加圧濾過して酢酸ナトリウムを取り除いた。
【0037】
(実施例4)
ポリ(EO)ヒドロキシル3−(メチルジメトキシシリル)プロピルエーテルの調製
PG−SF−アリルEO7−OH(80.58g、ダウ・ケミカル社製)及び酢酸ナトリウム(0.03g、フィッシャーバイオテク製)を、三日月形パドル撹拌棒、水冷コンデンサとダウコーニング(登録商標)Z−6701シラン(20.06g)を入れた250mL滴下漏斗とを取り付けたクライゼン管、及び熱電対が付いた温度計アダプタを装備した250mLの三つ口丸底フラスコ(RBF)に、全て窒素パージ下で入れた。ダウコーニング(登録商標)Z−6701シランの10wt%又は2gをRBFに投与したときに反応混合物を45.6℃まで加熱し、その直後に更にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒(約60μL又は5ppm)を添加した。直ちに観測された発熱は0.9℃であった。滴下漏斗中の残りのダウコーニング(登録商標)Z−6701シランをRBFに約0.21g/分の速度で投与し、その間、温度は50℃に設定して、滴下中、約49〜51℃に保持した。メチルジエトキシルシランを全てRBFに入れたときに、温度を57℃に設定して2.5時間還流させて反応を完了させた。反応混合物を室温まで冷却し、IRにより、121ppmの残留SiHが2150cm
−1ピークにおいて観測された。その次の日に、反応混合物に更にPG−SF−アリルEO7−OH(5.48gダウ・ケミカル社製)を添加し、反応を57±1℃において4.5時間保持し、結果として20ppmの残留SiHが得られた。クライゼン管を、水冷コンデンサが装着された250mL丸底フラスコに替えた。ストリップ処理のために装置を減圧した。生成混合物を、1.3〜6.7kPa(10〜50mmHg)の減圧下、80℃において3時間ストリップ処理した。IRで測定された最終残留SiH含量は、2150cm
−1ではまだ20ppmであった。最終的な最終生成物を20μm径の濾紙で加圧濾過して酢酸ナトリウムを取り除いた。
【0038】
(実施例5)
ポリ(EO)アセテート3−(メチルジメトキシシリル)プロピルエーテルの調製
PG−SF−アリルEO7−Ac(247.77g)及び酢酸ナトリウム(0.05g、フィッシャーバイオテク製)を、三日月形パドル撹拌棒、水冷コンデンサとダウコーニング(登録商標)Z−6701シラン(52.98g)を入れた250mL滴下漏斗とを取り付けたクライゼン管、及び熱電対が付いた温度計アダプタを装備した500mLの三つ口丸底フラスコ(RBF)に、全て窒素パージ下で入れた。ダウコーニング(登録商標)Z−6701シランの10wt%又は5gをRBFに投与したときに反応混合物を47℃まで加熱し、その直後に更にIPA中1%のダウコーニング(登録商標)2−0707 INT触媒(約270μL又は8ppm)を入れた。直ちに観測された発熱は1〜2℃であった。滴下漏斗中の残りのダウコーニング(登録商標)Z−6701シランをRBFに約0.79g/分の速度で投与し、その間、温度は54℃に設定して、滴下中、58℃未満に保持した。ダウコーニング(登録商標)Z−6701シランを全てRBFに入れたときに、温度を54℃に設定して1時間還流させて反応を完了させた。IRにより、540ppmの残留SiHが2150cm
−1において確認された。更に1時間還流を行い、残留SiHは300ppmと測定された。その次の日に、クライゼン管を、水冷コンデンサが装着された250mL丸底フラスコに替えた。ストリップ処理のために装置を減圧した。生成混合物を、2.7〜10.7kPa(20〜80mmHg)の減圧下、62℃において3時間ストリップ処理した。IRで測定された最終残留SiH含量は、2150cm
−1において28ppmであった。最終的な最終生成物を20μm径の濾紙で加圧濾過して酢酸ナトリウムを取り除いた。
【0039】
(実施例6)
三つ口丸底フラスコに、酢酸ナトリウム0.20g(2.4ミリモル)、及びアリル末端と、約12個のエチレンオキシド単位とを含み、アセテートでキャップされたポリエーテル171.8g(0.29モル)を加えた。次いでフラスコに、メチルジエトキシシラン28.2g(0.21モル)(MDES)を添加した。N
2下で撹拌しながら、混合物を75℃±5℃まで加熱し、その後、Pt触媒3ppmを添加した。少し発熱した(<10℃±1℃)後、混合物を85℃±5℃で6時間保持した。この時点では、反応は、FTIRによってSiH消費を測定したところ、98.9%完了していた。120℃±5℃/6.7〜1.3kPa(5〜10mmHg)まで4時間加熱することにより、混合物中の揮発物をストリップさせた。最後に、混合物を室温まで冷却し、ナイロンフィルターに担持されたセライトで濾過することで、淡黄色油167g(収率83%)が得られた。この物質の特性評価からは、
29Si−NMRにおける約−5.6ppmの単一ピークから分かるように、所望の生成物が得られたことが示された。
【0040】
(実施例7)
三つ口丸底フラスコに、酢酸ナトリウム0.25g(3.0ミリモル)、及びアリル末端と、約18個のエチレンオキシド単位及び18個のプロピレンオキシド単位とを含み、アセテートでキャップされたポリエーテル189.3g(97ミリモル)を加えた。次いでフラスコに、メチルジエトキシシラン10.9g(81モル)(MDES)を添加した。N
2下で撹拌しながら、混合物を75℃±5℃まで加熱し、その後、Pt触媒4ppmを添加した。少し発熱した(<10℃±1℃)後、混合物を85℃±5℃で3時間保持した。この時点では、反応は、FTIRによってSiH消費を測定すると、99.6%完了していた。120℃±5℃/0.7〜1.3kPa(5〜10mmHg)まで5時間加熱することにより、混合物中の揮発物をストリップさせた。最後に、混合物を室温まで冷却し、ナイロンフィルターに担持されたセライトで濾過することで、淡黄色油153g(収率76%)が得られた。この材料の特性評価からは、
29Si−NMRにおける約−5.6ppmの単一ピークから分かるように、所望の生成物が得られたことが示された。
【0041】
(実施例8)
三つ口丸底フラスコに、酢酸ナトリウム0.25g(3.0ミリモル)、及びアリル末端と、約12個のエチレンオキシド単位とを含み、キャップされていないポリエーテル168.7g(0.31モル)を加えた。次いでフラスコに、メチルジエトキシシラン31.4g(0.24モル)(MDES)を添加した。N
2下で撹拌しながら、混合物を75℃±5℃まで加熱し、その後、Pt触媒3ppmを添加した。少し発熱した(<10℃±1℃)後、混合物を85℃±5℃に3時間保持した。この時点では、反応は、FTIRによってSiH消費を測定すると、99.5%完了していた。120℃±5℃/0.7〜1.3kPa(5〜10mmHg)まで4時間加熱することにより、混合物中の揮発物をストリップさせた。最後に、混合物を室温まで冷却し、ナイロンフィルターに担持されたセライトで濾過することで、淡黄色油149g(収率74%)が得られた。この物質の特性評価からは、
29Si−NMRにおける約−5.6ppmの単一ピークから分かるように、所望の生成物が得られたことが示された。
【0042】
(実施例9)
以降の試験は、セルロース系繊維の吸水性を高める能力に関する本発明のオルガノシランの性能を評価するために行った。
【0043】
繊維処理試験:PurCotton(商標)製の1平方メートル当たりの重さ120グラム(gsm)の100%綿繊維からなる10cm×10cm不織布6枚を、実施例2のオルガノシラン(ポリ(EO)メチル3−(メチルジメトキシシリル)プロピルエーテル)を試験するのに用いた。各繊維シートに面積約13cm
2の円を描き、うち2枚には円面積全体に実施例2のオルガノシランを溶媒を用いずに塗布し、他の2枚のシートには、脱イオン水中約29.7%の実施例2のオルガノシランを塗布したが、残りの2枚のシートは対照実験の役割を果たし、未処理であった。塗布面積をその後、室温において5分間ずつ空気を吹き付けて乾燥させた。注射器ポンプ(コール・パーマー74900シリーズ型)は、一定速度で液体を投与するようにプログラムすることができるので利用して、注射器に脱イオン水を満たした。拡散によって円面積が液体で満たされる時間を記録した。布への追加重量の一部には、乾燥プロセス中に除去されなかったシラン+残留水分が含まれている可能性があると考えるべきである。この試験結果を以下の表1にまとめる。
【0044】
(実施例10)
500mlの三つ口丸底フラスコに、18個のエチレンオキシド単位と、18個のプロピレンオキシド単位とを含み、一方の末端が3,3−ジメチル−1−プロペニル基でキャップされたポリエーテル188.9g(98.2ミリモル)を添加した。ポリエーテルを40℃±3℃まで加熱して、メチルジメトキシシランの総容積(総容積は15.7g、148ミリモルである。)の約5%を滴下漏斗から反応容器へ添加する。次いで、白金触媒を、最終混合物中の最終濃度が5ppmとなるように添加すると、発熱が観測される。発熱が完了した後、残りのメチルジメトキシシランを滴下漏斗から、混合物の温度が50℃未満を維持するような速度で添加する。全メチルジメトキシシランを添加した後、反応容器を50℃±3℃で3時間保持する。次いで、反応容器のN
2流を増強することで揮発性物質を生成物から除去する。低粘度液体が得られる。
1H、
13C、
29Si−NMR及びFTIRによる分析から、所望の材料が調製され、未反応ポリエーテルの濃度がモル基準で1%未満であって、残留SiHが含まれていないことが確認された。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例1で得たオルガノシランを用い、同様の手順で同様の試験を行った。得られた結果が確固たるものであることを確実にするために、材料のバッチ毎に実験を合計2回行った。塗布スクリーニング試験全体のまとめを以下の表2に示す。
【0047】
【表2】