(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジン系樹脂を含む1種あるいは2種以上の粘着付与樹脂、および軟化剤を配合した粘着基剤に、ロピニロールのフリー体を配合した経皮吸収貼付剤において、ロジン系樹脂とロピニロールのフリー体の配合比が、ロジン系樹脂の配合重量/ロピニロールフリー体の配合重量=3.5〜8.0であり、且つ、粘着付与樹脂の軟化剤に対する配合比が、粘着付与樹脂の配合量/軟化剤の配合量=0.6〜5.0であることを特徴とする経皮吸収貼付剤。
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジン系樹脂を含む1種あるいは2種以上の粘着付与樹脂、および軟化剤を配合した粘着基剤に、ロピニロールのフリー体を配合した経皮吸収貼付剤において、ロジン系樹脂とロピニロールのフリー体の配合比が、ロジン系樹脂の配合重量/ロピニロールフリー体の配合重量=3.5〜8.0であり、粘着付与樹脂の軟化剤に対する配合比が、粘着付与樹脂の配合量/軟化剤の配合量=0.6〜5.0であり、かつCrystal seeding法(CS法)により測定した場合、下式で得られる粘着剤上におけるロピニロール結晶の成長度合いを示す係数(C)が、(C)≦1を満たすものである経皮吸収貼付剤。
(C)=(b)/(a)
[ここで、
(a):試験開始直後(薬物結晶散布直後)における、
粘着剤の一定面積(S)の表面に散在する薬物散布結晶の総面積(上部からの投影面積:DSB)の比;すなわち、DSB/S
(b):試験終了後(薬物結晶散布後、10日間経過後)における、
粘着剤の一定面積(S)の表面に散在する薬物散布結晶の総面積(上部からの投影面積:DSA)の比:すなわち、DSA/S
を示す。]
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の基本的態様は、SISを主基剤とした特定のゴム系粘着基剤に、ロピニロールのフリー体を配合した経皮吸収貼付剤である。
【0014】
本発明が提供する経皮吸収貼付剤中のロピニロールのフリー体の配合量は、製剤化が可能な限り特に限定はないが、好ましくは、粘着剤層の組成全体の重量を基準として、3〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%の範囲で配合するのがよい。
ロピニロールのフリー体の配合量が3重量%未満であると経皮吸収性が不十分であり、30重量%以上であると、薬物を貼付剤中で完全溶解させることができず、製造直後、あるいは保存中に薬物の結晶化を引き起こすばかりでなく、貼付剤の凝集力が低下し、貼付部位に糊残りが生じたりして、貼付剤の物性を低下させる。さらに経済的にも不利で好ましくない。
【0015】
本発明の粘着剤層に主基剤として用いられるSISの粘着剤層全体に対する配合量は、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。
【0016】
本発明の粘着剤層に配合される粘着付与樹脂は、ロジン系樹脂を単独で配合するか、ロジン系樹脂を含む2種類以上の成分を配合する。粘着付与樹脂は、SISと混合することにより、皮膚への粘着性を与え、特にロジン系樹脂は、ロピニロールフリー体を粘着基剤中に安定的に溶解する作用を示す。ロジン系樹脂以外の粘着付与樹脂にはロピニロールフリー体を安定的に溶解できないため、ロジン系樹脂を単独で配合するのがより好ましい。ロジン系樹脂を含む2種以上の粘着付与樹脂を配合する場合は、これらの粘着付与樹脂とロジン系樹脂との配合比率を考慮する必要がある。本発明の場合は全粘着付与樹脂に対するロジン系樹脂の配合比を0.6以上、好ましくは0.8以上とするのが良い。
【0017】
ロジン系樹脂としてはロジンエステル、水添ロジン、グリセリンロジンエステル、水添ロジングリセリンエステル、ロジン酸、重合ロジン等があげられるが、特に水添ロジングリセリンエステルが好ましい。
【0018】
その他の粘着付与樹脂としては、例えば脂肪族飽和炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂等の石油系樹脂、ポリテルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン系樹脂が挙げられる。
【0019】
粘着付与樹脂の配合量は、20〜60重量%の割合で配合される。粘着付与樹脂の配合量が20重量%未満では貼付剤としての物性が悪くなり、60重量%を越えると粘着力が強くなりすぎ、皮膚からはがす時に物理的な皮膚刺激を生じるため好ましくない。
そのうちのロジン系樹脂は、粘着剤層全体の重量に対して20〜60重量%の割合で配合する。20重量%未満では粘着剤中にロピニロールフリー体を安定的に溶解できず、ロピニロールフリー体の製剤表面への結晶析出等、好ましくない影響が出る。一方、60重量%を越えるとロピニロールフリー体の粘着剤中での溶解性が高くなりすぎ、経皮吸収性が低下する等の好ましくない影響が出る。
【0020】
また、ロピニロールフリー体の製剤中での溶解性及び皮膚透過性のバランスを考えた場合、ロジン系樹脂をロピニロールフリー体に対する配合割合(重量比)で、ロジン系樹脂の配合重量/ロピニロールフリー体の配合重量=3.5〜8.0、好ましくは4.0〜8.0の範囲で配合するのがよい。
ロジン系樹脂の配合量がロピニロールフリー体の配合量の8.0倍量より多い場合には、薬物の皮膚透過性が低下し、3.5倍量より少ないと、薬物溶解性が低下し、主薬成分の結晶化等、製剤物性に対する好ましくない影響が出る。
【0021】
本発明の粘着剤層に配合される軟化剤は、粘着剤を柔らかくすることにより、製剤の皮膚への追従性を向上させ、また粘着力を調整し、物理的な皮膚刺激を軽減させるために配合される。
本発明の経皮吸収貼付剤に配合される軟化剤としては、例えば流動パラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ラノリン等が挙げられる。その配合量は5〜55重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
軟化剤の配合量が5重量%より少ないと皮膚への追従性が悪く、剥がれやすくなり、55重量%を越えると粘着剤の凝集力が低下し、貼付部位に糊残りが生じるため好ましくない。
【0022】
また、貼付剤の粘着物性と製剤中でのロピニロールの溶解性とのバランスを考慮した場合、本発明における主溶解剤として作用する粘着付与樹脂と軟化剤との配合比率を考慮する必要がある。本発明においては、製剤の粘着物性及び製剤中でのロピニロールの溶解性を考えた場合、粘着付与樹脂の軟化剤に対する配合割合(重量比)を、粘着付与樹脂の配合重量/軟化剤の配合重量=0.6〜5.0、好ましくは0.6〜3.0の範囲に調整するのが好ましい。軟化剤の配合量が5.0倍量を越えて多い場合には、製剤の粘着性が悪化する。また0.6倍量より少ないと、製剤の粘着物性が悪化するとともに、薬物溶解性が低下し、主薬成分の結晶化等、製剤物性に対する好ましくない影響が出る。
【0023】
さらに、本発明の経皮吸収貼付剤においては、経皮吸収促進剤を配合することが好ましい。
そのような経皮吸収促進剤としては、例えばラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル(以下、IPMと略する)、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、トリアセチン、乳酸セチル、乳酸ラウリル、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、サリチル酸エチレングリコール、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セタノール、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ラウロマクロゴール、HCO-60、ラウリン酸ジエタノールアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンジメチルスルホキシド、およびクロタミトンを挙げることができる。
その中でも、特にミリスチン酸イソプロピル、オレイルアルコールを使用するのが好ましい。
【0024】
また、本発明が提供する経皮吸収貼付剤にあっては、必要に応じて、可塑剤、溶解剤等の液状成分を配合することも可能である。
可塑剤としては、例えばヒマシ油、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、パーシック油、ラッカセイ油、プロセスオイル、およびエキステンダーオイルが挙げられる。
溶解剤としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、およびグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。
【0025】
その他、本発明の経皮吸収貼付剤には、他に影響を与えなければ通常の外用製剤に用いられる各種の基剤成分を使用することができる。
かかる基剤成分としては特に限定されないが、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の水溶性高分子;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、シリカ類、酸化マグネシウム、酸化鉄、ステアリン酸等の無機充填剤等が挙げられる。
さらに必要に応じて防腐剤、清涼剤、殺菌剤、着香剤、着色剤等を添加することができる。
【0026】
本発明が提供する経皮吸収貼付剤の支持体としては、特に限定されるものではなく、伸縮性または非伸縮性のものが用いられる。
具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂で形成されたフィルムもしくはシートまたはこれらの積層体、多孔質膜、発泡体、織布および、不織布、あるいは紙材を用いることができる。
【0027】
また、剥離ライナーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、紙等を用いることができ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
剥離ライナーは、剥離力を至適にするため、必要に応じてシリコン処理をしてもよい。
【0028】
さらに、本発明の経皮吸収貼付剤においては、脱酸素剤を共存させてもよい。脱酸素剤としては鉄を原料としているものや、非鉄金属を原料として用いているものが好ましく用いられる。脱酸素剤の共存方法としては、包装袋に脱酸素剤を直接封入する方法、あるいは包装袋に脱酸素フィルムを積層した形態のものを使用する方法が挙げられる。
【0029】
また本発明の経皮吸収貼付剤に関しては、薬物の簡易的な安定性試験法であるCrystal seeding法(CS法)を使用し、比較的簡単に粘着基剤中でのロピニロールの安定性を確認することができる。CS法とは、粘着基剤に薬物の結晶を散布し、その薬物の結晶の成長度合いを観察することにより、薬物の粘着基剤中での安定性を短期的に判定する試験方法である。
【0030】
さらに本発明の貼付剤に関しては、CS法の結果から、薬物の製剤中での長期的な安定性を予測することができる。すなわちCS法を行った結果、散布薬物の粘着基剤中への溶解が見られるか、あるいは散布薬物の結晶の成長が見られない場合は、長期保存条件においても薬物の結晶化の可能性は低いと判断でき、CS法により薬物の結晶の成長が見られる場合には、長期保存条件において製剤中の結晶析出の可能性が懸念される。
【0031】
CS法は具体的には、以下の方法により行われ、下記に示す評価基準により製剤中の薬物結晶の安定性が評価される。
【0032】
<CS法の試験方法>
貼付剤の剥離フィルムを剥がし、支持体側をスライドガラスに固定して供試試料とするか、あるいは貼付剤の粘着剤部分を採取し、それをスライドガラスに貼付し、供試試料とする。
次に、供試試料の粘着剤部分にロピニロール原薬を直接散布する。散布する薬物の粒子径は特に制限されないが、薬物散布結晶の生成を明確にするために0.1〜5,000μmのものを使用することが好ましい。
散布直後の薬物結晶を、電子顕微鏡(例えば、KEYENCE社製、デジタルマイクロスコープVHX-600等)で観察し、画像データ処理装置により、電子顕微鏡から入力される画像データを出力する。
出力された画像データを基に、粘着剤単位面積(S)当たりの、各薬物散布結晶の占める総面積(上部からの投影面積:DSB)の比であるDSB/Sを求める。
【0033】
次いで、供試試料を、室温で3〜10日間放置後、散布直後と同様に、電子顕微鏡で観察し、同様に粘着剤単位面積(S)当たりの、各薬物散布結晶の占める総面積(上部からの投影面積:DSA)の比であるDSA/Sを求める。
【0034】
得られたDSB/S、及びDSA/Sの値から、次式に示すように、それぞれの供試試料における薬物散布結晶の成長度合いを示す係数(C)を求める。
(C)=(b)/(a)
【0035】
[上記式において、
(a):試験開始直後(薬物結晶散布直後)における、
粘着剤の一定面積(S)の表面に散在する薬物散布結晶の総面積(上部からの投影面積:DSB)の比;すなわち、DSB/S
【0036】
(b):試験終了後(薬物結晶散布後、10日間経過後)における、
粘着剤の一定面積(S)の表面に散在する薬物散布結晶の総面積(上部からの投影面積:DSA)の比:すなわち、DSA/S
を示す。]
【0038】
評価基準は、上記式で得られた、薬物散布結晶の成長度合いを示す(C)の値により評価する。
(i)(C)≦1の場合:
粘着剤上に散布した薬物結晶の成長が見られないか、または結晶が小さくなっていることを示す。
(ii)(C)>1の場合:
粘着剤上に散布した薬結晶の成長が進行していることを示す。
【0039】
以下に、本発明が提供する経皮吸収貼付剤の製造方法の一例について説明する。
具体的には、SIS、粘着付与樹脂、軟化剤を含む基剤成分をトルエン等の有機溶媒に溶解したのち、適当な有機溶媒に溶解させた他の成分と攪拌混合する。得られた溶液をシリコン処理された剥離ライナー上に塗布し、90℃で10分間乾燥し、粘着剤層を形成する。得られた粘着層に支持体のポリエチレンテレフタレート面をラミネートした後、適当な大きさと形状に切断して本発明の経皮吸収製剤を得ることができる。
なお、粘着剤層の厚みとしては、30〜200μm程度が好ましく、更には50〜100μm程度が好ましい。
30μm未満であると、薬物放出の持続性が乏しくなり、200μmより厚くなると、粘着剤層中に含有される薬物の量が増え、製造コストが高くなる。
【実施例】
【0040】
以下に、実施例及び比較例に基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例1:
表1に示す組成量(単位:重量%)、配合比により、予めロピニロールフリー体をトルエンに溶解したのち、トルエンに溶解した残りの成分と混合した。混合物を剥離フィルムに塗工後、トルエンを乾燥除去し、PETフィルム支持体と貼り合わせて、本発明の経皮吸収型製剤を得た。
【0042】
実施例2〜8:
表1に示す組成量(単位:重量%)、配合比により、上記した実施例1の製法に従い、実施例2〜8の各貼付剤を得た。
【0043】
【表1】
【0044】
比較例1〜6:
各成分を表2に示す配合(単位:重量%)とした以外は、実施例1と同様にして、各比較例1〜6の貼付剤を作製した。
【0045】
【表2】
【0046】
試験例1:Crystal seeding法(CS法)による製剤中における薬物の安定性の検討
各実施例、および各比較例の製剤中における薬物の安定性を、上記したCS法により検討した。
なお、試験試料は、各実施例、及び各比較例の粘着剤部分を採取し、それぞれ各スライドガラスに貼付し、供試試料とした。
顕微鏡による観察は、デジタルマイクロスコープ(型式:KEYENCE VHX-600、倍率:400倍)で、それぞれ観察し、粘着剤上に散布するロピニロール原薬は、粒子径:5〜3,000μmのものを使用し、薬物散布後10日後を試験終了日とした。
その結果を表1及び表2に併せて示した。
各表においては、評価基準に基づき結晶の成長度合いを示す係数(C)について、以下の○、×で示した。
○:(C)≦1である場合
×:(C)>1である場合
【0047】
本発明の経皮吸収貼付剤である各実施例の粘着剤にあっては、結晶の成長は確認されず、粘着基剤中でロピニロールフリー体が安定的に溶解していることが確認できた。
一方、比較例1、2、5及び6の製剤は、試験終了後に結晶の成長が確認でき、粘着基剤中でロピニロールフリー体が不安定な状態で存在していることが示唆された。
【0048】
試験例2:製剤の粘着性に関する検討
製造直後の各実施例、及び各比較例の貼付剤をインフォームドコンセントのもとにボランティアの上腕側部に貼付し、24時間経過後、剥離し、(i)貼付期間中の粘着性、及び(ii)剥離力を検討した。
その検討結果を表1及び表2に併せて示した。
各検討項目に関しては、下記の判定基準により評価した。
【0049】
(i)貼付期間中の粘着力
○:剥がれはないか、或いは、貼付中に剥がれた部分は、貼付面積の10%以下である。
△:貼付中に、貼付面積の10〜30%の部分が剥がれて捲り上がる。
×:貼付中に、脱落するかあるいは、貼付面積の約30%以上の部分がはがれて捲り上がる。
【0050】
(ii)剥離力
○:製剤の剥離時に感じる痛みはほとんどない。
△:製剤の剥離時、僅かに痛みを感じる。
×:製剤の剥離時、強い痛みを感じる。
【0051】
その結果、実施例の各製剤は、優れた貼付性を示した。
【0052】
試験例3:ヘアレスマウス皮膚透過性試験(in vitro)
実施例1、3〜8、および比較例3の貼付剤について、ヘアレスマウス(HR-1系、7週齢)の摘出皮膚を使用したin vitro皮膚透過性試験を行った。
ヘアレスマウスの背部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側とし、その内側にはリン酸緩衝生理食塩水を満たし、ウォータージャケットには37℃の温水を還流した。
各試験貼付剤を円形(1.54cm
2)に打ち抜き、摘出皮膚に貼付して、経時的にレセプター液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフ法により、薬物の皮膚透過量を測定し、その結果より経皮吸収速度(FLUX:μg/cm
2/hr)を算出した。
【0053】
その結果を、併せて表1及び表2に示した。
各表中に示した結果から、本発明の各実施例の経皮吸収貼付剤は、比較例3の製剤に比べ、優れた経皮吸収性を示す製剤であることが判明した。
【0054】
以上の各試験例の結果から、本発明の各実施例の経皮吸収貼付剤は、経皮吸収性、粘着性、安定性の3つのパラメータに関して、すべてに優れており、バランスがとれた貼付剤であるのに対し、比較例の各製剤は上記3つのパラメータ関して、すべてに優れている、バランスのとれた製剤は見当たらなかった。
【0055】
[製剤例]
以下に、実施例1〜8に示した本発明の貼付剤以外の製剤例を、下記表3〜表5に製剤例1〜15として示した。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】