特許第6234939号(P6234939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6234939ハードコピー文書及び複製システムからデジタル文書を作成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6234939
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ハードコピー文書及び複製システムからデジタル文書を作成する方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/46 20060101AFI20171113BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H04N1/46 Z
   H04N1/40 D
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-552581(P2014-552581)
(86)(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公表番号】特表2015-504285(P2015-504285A)
(43)【公表日】2015年2月5日
(86)【国際出願番号】EP2013050257
(87)【国際公開番号】WO2013107670
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2015年12月2日
(31)【優先権主張番号】12151881.5
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593016732
【氏名又は名称】オセ−テクノロジーズ ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】エルムス,バスティアン,イェー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ブリエンバーゲン,エドゥアルダス イェー.ウェー.
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−040690(JP,A)
【文献】 特開2003−219075(JP,A)
【文献】 特開2009−232396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/52−2/525
G06T 1/00−1/40
G06T 3/00−5/50
G06T 9/00−9/40
H04N 1/00
H04N 1/40−1/409
H04N 1/46−1/48
H04N 1/52
H04N 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段及びスキャニング手段を含む複製システムによってハードコピー文書からデジタル文書を作成する方法であって、
a)現在のハードコピー文書の意図されたスキャニングの事象を検出するステップと、
b)前記事象の検出に基づいて、前記表示手段に画像調整画面を開くステップであり、該画像調整画面は画像領域、スキャン設定領域及び処理ボタンを含む、ステップと、
c)前記現在のハードコピー文書のスキャニングの前に、所定のビジュアル提示基準が合致したときに、前記画像調整画面の前記スキャン設定領域に、画像パラメータ値と共に以前スキャンされ、受け取られ、且つ記憶された以前スキャンしたハードコピー文書のデジタル画像を前記画像調整画面の前記スキャン設定領域に表示するステップであって、画像パラメータは、異なる輝度レベルを有する輝度インジケータ、異なるコントラストレベルを有するコントラストインジケータ、及び完全に離散的な色スペクトルを有する色インジケータを含み、前記以前スキャンしたハードコピー文書は、前記現在のハードコピー文書とは異なる、ステップと、
d)前記輝度インジケータの輝度レベル、前記コントラストインジケータのコントラストレベル、及び/又は前記色インジケータからの離散的な色を選択することにより、前記スキャン設定領域において前記画像パラメータの少なくとも1つを調整して、前記画像領域に表示された前記デジタル画像を自動的に調整するステップと、
e)前記処理ボタンを起動することによって前記画像パラメータ値をアクティブにするステップと、
f)前記の表示されたデジタル画像に対応する前記調整された少なくとも1つの画像パラメータ値に従って前記現在のハードコピー文書をスキャンして、前記現在のハードコピー文書に対応するデジタル文書をもたらすステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記所定のビジュアル提示基準は、前記以前スキャンしたハードコピー文書のスキャニングと前記事象の検出との間の最大期間についての基準を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定のビジュアル提示基準は、以前に記憶されたデジタル画像が、前記事象を検出する直前に以前のハードコピー文書のスキャニングの間に作成されているとの基準を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定のビジュアル提示基準は、前記以前のハードコピー文書をスキャンしたときの時間において最初に作成されたデジタル画像を表示するとの基準を含む、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
当該方法は、
‐ 前記以前スキャンしたハードコピー文書の以前のユーザを識別するステップと、
‐ 前記現在のハードコピー文書の現在のユーザを識別するステップと、
をさらに含み、
前記所定のビジュアル提示基準は、前記以前のユーザと前記現在のユーザとが同一ユーザである場合に、前記以前スキャンしたハードコピー文書をスキャンしたときに作成されたデジタル画像を表示するとの基準を含む、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、
‐ 前記スキャン設定領域におけるユーザによる適合の後、前記画像パラメータ値を読み出すステップと、
‐ 前記の読み出された画像パラメータ値を用いて、前記の表示された画像のビジュアル提示の画像パラメータ値を更新するステップと、
‐ 前記の更新された画像パラメータ値に従って、前記画像領域に前記ビジュアル提示を表示するステップと、
をさらに含む、請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、前記デジタル文書を印刷するステップをさらに含む、請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された複製システム。
【請求項9】
当該複製システムは、ユーザによる適合の後、表示された画像のパラメータ値を読み出し、前記の読み出された画像パラメータ値を用いて前記の表示されたデジタル画像の画像パラメータ値を更新して、前記現在のハードコピー文書のスキャニングの前に前記表示手段に更新されたビジュアル提示を示す制御手段を含む、請求項8に記載の複製システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記ビジュアル提示を示すことの有効化及び無効化のための設定を設定するように構成される、請求項9に記載の複製システム。
【請求項11】
当該複製システムは、デジタル文書を印刷するためにプリントエンジンを含む、請求項10に記載の複製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段及びスキャニング手段を含む複製システムによってハードコピー文書からデジタル文書を作成する方法に関し、上記方法は、ハードコピー文書の意図されたスキャニングの事象を検出するステップと、事象の検出に基づいて、表示手段に画像調整画面を開くステップであり、該画面は画像領域、スキャン設定領域及び処理ボタンを含む、ステップと、画像調整画面の画像領域にデジタル画像を表示するステップと、画像調整画面のスキャン設定領域に画像パラメータ値を表示するステップと、処理ボタンを起動することによって画像パラメータ値を起動するステップと、デジタル文書をもたらす表示されたデジタル画像に対応する画像パラメータ値に従ってハードコピー文書をスキャンするステップと、を含む。
【0002】
本発明はさらに、本発明に従った方法を実行するように構成された複製システムに関する。
【背景技術】
【0003】
複製システムは、スキャナを含み、ハードコピー原本、例えば紙原本をスキャンし、デジタル文書を作成することが知られている。こうしたスキャナは、カラースキャナとすることができ、カラースキャナを使用してハードコピー原本のカラースキャンを作り出すことができる。スキャナを含む複製システムは、さらに、プリントエンジンを含み、ハードコピー原本からスキャンされたデジタル文書を印刷することができる。プリントエンジンは、ハードコピー原本の印刷物を作り出す。こうした複製システムは、大抵、オペレータ又はユーザによって使用されることになるローカルユーザインタフェース又はリモートワークステーションを有する。ローカルユーザインタフェース又はワークステーションは、ハードコピー原本のスキャニングの前に設定すべき画像パラメータ値を表示するための表示手段と、ハードコピー原本の複製について複製システムを準備するための、例えば、設定された画像パラメータ値を更新するための設定手段とを含む。表示手段及び設定手段は、タッチ画面に組み込むことができる。
【0004】
デジタル画像は、スキャニング動作の生成物として定義される。この生成物は、複製システムのメモリに存在する多数ビットのデジタル画像であるスキャンファイルの形態をとることができる。このスキャンファイルは、デジタル画像に基づいて複製システムによって受像材料上に印刷されるプリントアウトの形態をとることができる。デジタル画像は、色付きのデジタル画像とすることができる。
【0005】
ユーザの、ハードコピー文書をスキャンするという意図は、関連する事象によって検出することができる。こうした事象は、原稿送り装置のふたを開けること、原稿送り装置にハードコピー原本を置くこと、又はコピー若しくはスキャンボタンを押下することとすることができる。こうした事象の検出に基づいて、ハードコピー原本の複製について、準備を実行することができる。
【0006】
ハードコピー原本の複製について準備するステップは、画像パラメータ、例えば、デジタル画像の明るさ、コントラスト及び色の調整について、画像パラメータを設定する。
【0007】
ハードコピー原本を複製している、例えば、コピー又はスキャンしているとき、特に、ハードコピー原本がまだスキャンされていないという理由で、利用可能なプレビューがないため、満足なデジタル画像を作ることが非常に困難になるおそれがある。この困難性の理由は、ハードコピー原本が、色又はコントラストに関連する問題を有すること、スキャナが、ハードコピー原本の色を、ユーザに見えているのとは違うように把握すること、又はプリンタが正しく較正されていないことであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常、ユーザは、初期の画像パラメータを用いて設定されている画像パラメータに従い、ある所定のデジタル画像を表示手段、例えば、オペレータパネルに表示することによって、デジタル画像がどのように見えるべきかを複製システムに対して示す方法を提供される。これらの画像パラメータは、上記所定の画像に関して視覚化され、表示手段によって表示されることができる。ユーザは、これらの初期の画像パラメータ値を変更して、所定のデジタル画像を、所望の出力を示す画像に変更することができる。
【0009】
しかしながら、このことは、ハードコピー原本が所定のデジタル画像に似ていない場合、あまり有用でない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの目的は、ユーザがハードコピー原本から質的に良好なデジタル画像を迅速に作り出すことを可能にする方法を提供することである。
【0011】
本発明に従い、この目的は、表示すべき画像を、所定のビジュアル提示基準に合致したときに以前のハードコピー文書をスキャンしたことに起因して以前に記憶されたデジタルに等しくするか、あるいは所定の他のデジタル画像に等しくするかのいずれかであるように選択するステップをさらに含む本発明に従う方法によって、達成される。
【0012】
第1のハードコピー文書は、過去にスキャンされており、所定のビジュアル提示基準に合致したときに第2のハードコピー文書をスキャンする前にユーザに示される。そうすることによって、ユーザによってすでに承認された可能性がある第1のデジタル画像のビジュアル提示が、第2のハードコピー文書のスキャニングの結果を調整することに対して使用される。これは、ユーザがプレビューとして余分なスキャン動作をこれ以上行う必要がないため、有利であり、しかし、以前のスキャニング動作に由来する以前に作られたデジタル画像を見ることができる。
【0013】
本発明の一実施形態に従い、所定のビジュアル提示基準は、ハードコピー文書のスキャニングと上記事象の検出との間の最大期間についての基準を含む。これは、ユーザが、当時間、当日、当週又は別の当時間帯の間に事前にスキャンされているデジタル画像のビジュアル表現のみ欲しい場合に、有利である。これは、時間において近接して同様のハードコピー文書を複製するユーザの作業シナリオに基づく。
【0014】
本方法の一実施形態に従い、所定のビジュアル提示基準は、以前に記憶されたデジタル画像が、上記事象を検出する直前にハードコピー文書のスキャンの間に作成されているという基準を含むことができる。これは、あるハードコピー文書を、第2のハードコピー文書のスキャニングの直前にスキャンしているユーザが、第1のデジタル画像と同じ種類の第2のデジタル画像文書の出力を出力させたい可能性があるため、有利である。
【0015】
本方法の一実施形態に従い、所定のビジュアル提示基準は、以前のハードコピー文書をスキャンしたときに時間において最初に作成されたデジタル画像を表示するという基準を含む。これは、ハードコピー文書がスキャンされるべき複数のシートを含むとき、第1のハードコピー文書のスキャンの間に最初に作成されるデジタル画像が、後続の作成されるデジタル画像とは異なる、より重要な情報を含む可能性があるため、有利である。例えば、文書が複数ページから成るとき、そのページ選択は任意となる可能性がある。しかしながら、多くの場合、最初のページが、2番目にスキャンされるページ又は最後にスキャンされるページなどの別のページよりも、画像パラメータの調整について、より適切な情報を含む。カラーと白黒とが混ざった文書において、最初のページはしばしばカラーである。
【0016】
本方法の一実施形態に従い、ハードコピー文書は、以前のハードコピー文書と同一である。この場合、以前のスキャンされた文書の第1のハードコピー原本シートに対応する選択されたビジュアル提示は、第2のハードコピー文書の第1のハードコピー原本シートにも対応する。この状況は、第1の事例におけるユーザが第1のハードコピー文書の第1のハードコピー原本の第1のスキャニング動作の間に適切なスキャンを行おうと試みるときに生じる可能性がある。複製システムは、第1の事例のスキャンの間に作成されたデジタル画像を示す。示されたデジタル画像がユーザの要望に一致しないときのみ、ユーザは再度この第1のハードコピー文書をスキャンしてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態に従い、本方法は、以前のハードコピー文書の以前のユーザを識別するステップと、現在のハードコピー文書の現在のユーザを識別するステップと、をさらに含み、所定のビジュアル提示基準は、以前のユーザと現在のユーザとが同一ユーザである場合に、以前のハードコピー文書をスキャンしたときに作成されたデジタル画像を表示するとの基準を含む。これは、誰かのスキャンした文書が他の誰かに見られ得ることを回避しなければならない場合に有利である。その上、タイムアウトが、スキャンされた画像を示すことに対して設定されることができる。タイムアウトの後、表示手段は、複製システムのコントローラに記憶され、複製システムのコントローラによって提供されるデフォルトピクチャを示すことに復帰することができる。
【0018】
本発明の一実施形態に従い、本方法は、スキャン設定領域におけるユーザによる適合の後、画像パラメータを読み出すステップと、読み出された画像パラメータ値を用いて、表示された画像のビジュアル提示の画像パラメータ値を更新するステップと、更新された画像パラメータ値に従って、画像領域にビジュアル提示を表示するステップと、をさらに含む。ユーザは、大抵、デフォルトの画像パラメータ値から何の変更もなしに第1のスキャンを行う。デフォルトの画像パラメータ値の使用が満足な結果につながらないとき、ユーザは画像パラメータ値を編集及び更新してもよく、ちょうどスキャンされた画像が、示され、更新された画像パラメータ値に従ってさらに更新される。
【0019】
一実施形態に従い、本方法は、デジタル文書を印刷するステップをさらに含む。デジタル文書のこうした印刷は、複製システムの原稿送り装置へのハードコピー文書の入力におけるコピーボタンの起動によって、起動される。
【0020】
本発明はさらに、先の実施形態のいずれか1つに従う方法を実行するように構成された複製システムを含む。こうした複製システムは、ハードコピー文書からデジタル文書を作成するように構成され、デジタル文書を作成するために第1のハードコピー文書をスキャンするスキャニング手段と、ハードコピー文書の意図されたスキャニングの事象を検出する検出手段と、先の実施形態の方法のうちいずれか1つに従って選択されたデジタル画像を表示する表示手段とを含む。複製システムは、ユーザによる適合の後に表示された画像のパラメータ値を読み出し、読み出された画像パラメータ値を用いて、表示されたデジタル画像の画像パラメータ値を更新して、ハードコピー文書のスキャニングの前に、更新されたビジュアル提示を表示手段に示す制御手段を含む。
複製システムはさらに、デジタル文書を印刷するためにプリントエンジンを含むことができる。
【0021】
複製システムの一実施形態に従い、制御手段は、ビジュアル表現を示すことの有効化及び無効化のための設定を設定するように構成される。これは、法律事務所のような、守秘義務が明らかに重要である環境において有利である。こうした環境において、スキャンされた画像のプレビューを無効にすることが可能である。この場合、複製システムは、スキャンされた画像を決して示さないが、常にデフォルトピクチャを示すように構成することができる。
【0022】
複製システムの先の実施形態に基づいた、こうした複製システムのさらなる実施形態が、デジタル文書を印刷するためにプリントエンジンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
次に、本発明の好適な実施形態を、図面と関連させて説明する。
図1A】複数の複製システムを含む環境の概略図である。
図1B】別の複製システムを含む環境の概略図である。
図1C図1A又は図1Bに従う複製システムの制御ユニットの概略図である。
図2】スキャンジョブ又はコピージョブのパラメータ値を編集するための、表示手段に表示されることになる概略画面を示す。
図3A】デジタル画像を表示し、示されたデジタル画像を適合させるために画像パラメータ値を調整するための、本発明に従う表示手段に表示されることになる画像調整画面を概略的に示す。
図3B】デジタル画像を表示し、示されたデジタル画像を適合させるために画像パラメータ値を調整するための、本発明に従う表示手段に表示されることになる画像調整画面を概略的に示す。
図4A】続いて起こる複製ジョブのタイムラインを含む、本発明の方法に従う時間ダイアグラムを概略的に示す。
図4B】続いて起こる複製ジョブのタイムラインを含む、本発明の方法に従う時間ダイアグラムを概略的に示す。
図5A】本発明に従う方法の一実施形態のフロー図を概略的に示す。
図5B】本発明に従う方法の一実施形態のフロー図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは、ユーザワークステーション11A〜11C(例えば、PC)と集中型印刷設備13とを含む汎用的な複製システムを示し、それらすべてが、ローカルエリアネットワーク又はさらにはインターネットなどの、ネットワークNによって接続されている。集中型印刷設備は、複数の複製装置12A〜12Cとワークステーション15とを含み、ワークステーション15は、サーバオペレーティングシステム、又はPC向けの通常のオペレーティングシステムを含むことができる。集中型印刷設備はさらに、文書データベース16を含み、あるいは文書データベースとして動作する集中データベース設備に接続されることができる。集中型印刷設備の装置は、ローカルネットワーク18によって相互接続され、ローカルネットワーク18は、汎用的なネットワークNの一部とすることができる。
【0025】
動作において、ユーザは、自身のワークステーション上に文書を準備し、結果として生じる文書データファイルを、印刷と、可能性としてデータベース16への保存とのため、集中型印刷設備に投入する。印刷のためのファイルは、サーバ15によって受信され、ユーザ又はオペレータの制御下でプリンタ装置12A〜12Cに転送される。サーバ15は、プログラムソフトウェアを動作させ、そして、ユーザにより投入された文書ファイルに従って印刷物を作り出すプリントジョブの印刷処理を編集及び指定するためのシステムを形成する。
【0026】
各複製装置12A〜12Cは、ローカルユーザインタフェース17A〜17Cを有する。第1の複製装置12Aは、複製装置12Aの上部に取り付けられたローカルユーザインタフェース17Aを含む。第2の複製装置12Bは、複製装置12Bのフロントパネルに組み込まれたローカルユーザインタフェース17Bを含む。第3の複製装置12Cは、複製装置12Cの上部に取り付けられた、タッチ画面を有するローカルユーザインタフェース17Cを含む。
【0027】
プリントジョブが複製装置12A〜12Cに到着し、ジョブが印刷される準備ができたとき、プリントジョブの設定が、ローカルユーザインタフェース17A〜17Cに表示される。本説明は、以降、複製装置のローカルユーザインタフェースに表示すべきプリントジョブの設定を仮定する。しかしながら、ネットワークNに配置されたワークステーション上に、例えば、適切なプリンタドライバのウィンドウ上にプリントジョブの設定を示す実施形態は、本発明の範囲から除外されない。
【0028】
本発明に従う複製装置は、電子写真式プリンタ(electro-photographical printer)、インクジェットプリンタ又は任意の他の種類の複製装置とすることができる。複製装置の一実施形態は、シートの受像材料を使用する。複製装置の別の実施形態は、ロールの受像材料を使用する。受像材料は、紙、布地、金属プレート、プリント回路プレート、太陽電池プレート、オーバーヘッドシート材料、プラスチック又は任意の他の種類の適切な受像材料若しくは基材とすることができる。複製装置は、仕上げオプションを含むことができる。しかしながら、外部の仕上げ機器の仕上げオプションが複製システムに結合されて、印刷されたジョブを仕上げ、この印刷されたジョブをプリントジョブの送信者又はユーザの要望に従って届けることができる。
【0029】
図1Bは、複製システム1を含む環境の概略図である。ここで提示される複製システム1は、スキャニング装置2、印刷装置3及び制御ユニット4を含む。制御ユニット4はネットワーク8に接続され、したがって、同様にネットワーク8に接続されている複数のクライアントコンピュータ9が複製システム1を利用することができる。複数のクライアントコンピュータ9は、スキャニング装置2及び印刷装置3のためのプリンタドライバを備えることができる。プリンタドライバを使用して、プリントジョブ又はスキャンジョブの設定を行い、プリントジョブ又はスキャンジョブを制御ユニット4に送り出すことができる。
【0030】
スキャニング装置2は、画像担体オブジェクトをスキャンするために提供される。スキャニング装置2は、反射された光を、原色の赤(R)、緑(G)及び青(B)に対応する電気信号に変換するカラー画像センサ(すなわち、光電性変換装置)を備えることができる。カラー画像センサは、例えば、CCDタイプセンサ又はCMOSタイプセンサとすることができる。ローカルユーザインタフェースパネル5が、スキャン及びコピー操作を開始するために提供される。
【0031】
印刷ユニット3は、画像受像部材に画像を印刷するために提供される。印刷ユニットは、任意の種類の印刷技法を使用することができる。印刷ユニットは、例えば、インクジェットプリンタ、ペンプロッタ、又は電子(写真)グラフィック技術(electro-(photo)graphical technology)に基づいたプレスシステムとすることができる。インクジェットプリンタは、例えば、サーマルインクジェットプリンタ、圧電性インクジェットプリンタ、コンティニュアス型インクジェットプリンタ又はメタルジェットプリンタとすることができる。配置されることになるマーキング材料は、インク若しくはメタル又はトナー製品のような流体とすることができる。図1Bによる印刷は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックなどの4つの異なる基本色を備えた大判インクジェットプリンタを用いて達成される。そのハウジングは、画像の帯状領域(swaths)を印刷するようにキャリッジに取り付けられたプリントヘッドを含む。画像は、紙ロールにより供給されるシート紙などのインク受像媒体に印刷される。ローカルユーザインタフェースパネル6は、ボタンなどの入力手段を備えることができる。
【0032】
スキャニング装置2及び印刷装置3は、双方とも、制御ユニット4に接続される。制御ユニット4は、スキャニング装置2から入力データを受信すること、ネットワーク8を介して投入されるデータファイルを扱い、スケジュールすること、スキャニング装置2及び印刷装置3を制御すること、画像データを印刷可能データに変換することなどの種々のタスクを実行する。制御ユニット4は、タスクを実行し設定を行うためのコマンドのメニューをオペレータに提供するユーザインタフェースパネル7を備える。
【0033】
図1Cにおいて、制御ユニット4の一実施形態をより詳細に提示する。図1Cに示されるとおり、制御ユニット4は、中央処理ユニット(CPU)40、グラフィカルプロセッサユニット(GPU)49、ランダムアクセスメモリ(RAM)48、読取専用メモリ(ROM)60、ネットワークユニット46、インタフェースユニット47、ハードディスク(HD)50、及びラスターイメージプロセッサ(RIP)などの画像処理ユニット54を含む。前述のユニット40、49、48、60、46、47、50、54は、バスシステム42を介して相互に接続される。しかしながら、制御ユニット4は、分散型制御ユニットとすることもできる。
【0034】
CPU40は、ROM60又はHD50に記憶された制御ブログラムとローカルユーザインタフェース7とに従って、制御ユニット4のそれぞれの装置2、3を制御する。CPU40はさらに、画像処理ユニット54及びGPU49を制御する。
【0035】
ROM60は、ブートプログラム、セットアッププログラム、種々のセットアップデータ又は同様のものなどのプログラム及びデータを記憶し、このプログラム及びデータは、CPU40によって読み出され、実行されることになる。
【0036】
ハードディスク50は、後に特徴付けられることになる印刷処理をCPU40に実行させるプログラム及びデータを記憶及び保存する不揮発性記憶装置ユニットの例である。ハードディスク50はさらに、外部から投入されたプリントジョブのデータを保存する領域を含む。HD50上のプログラム及びデータは、RAM48からCPU40によって必要に応じて読み出される。RAM48は、ROM60及びHD50からCPU40によって読み出されたプログラム及びデータを一時的に記憶する領域と、種々の処理を実行するためにCPU40によって使用されるワーク領域とを有する。インタフェースカード47は、制御ユニット4を、スキャニング装置2及び印刷装置3に接続する。
【0037】
ネットワークカード46は、制御ユニット4をネットワーク8に接続し、ワークステーション9、及びネットワークを介して到達可能な他の装置との通信を提供するように設計される。
【0038】
画像処理ユニット54は、制御ユニット4のオペレーティングシステム上で動作するソフトウェアコンポーネント、又は、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)若しくは特定用途向け集積回路(ASIC)で具現化された、ファームウェアプログラムとして実装することができる。画像処理ユニット54は、プリントジョブデータを読み、解釈し、ラスタライズする機能を有する。上記のプリントジョブデータは、印刷すべき画像データ(すなわち、ページ記述言語又は同様のもので特徴付けられた、印刷すべき文書の内容を特徴付けるフォント及びグラフィック)、画像処理属性及び印刷設定を含む。
【0039】
複製システムの動作の基本的なモードは、スキャン、コピー及び印刷である。
【0040】
原色の赤(R)、緑(G)及び青(B)に対応する電気信号がスキャンの間に取得され、デジタル画像は、ラスター画像ファイルの形式に組み立てられる。ラスター画像ファイルは、一般に、画素として知られる規則的にサンプリングされた値の配列であるように定義される。各画素(ピクチャ要素)は、それ自体に関連付けられた少なくとも1つの値を有し、一般に、画素が表示すべきである色、又はグレーの色調を指定している。例えば、画像の表現は、各画素を、R、G及びBの量を各画素においてそれぞれ定める3つの8ビット値(0〜255に及ぶ)(合計24ビット)によって指定されることができる。正しい比率において、R、G及びBを組み合わせて、ブラック、ホワイト、グレーの色調、及び色の配列を形成することができる。
【0041】
スキャニング装置2によって取得されたデジタル画像は、制御ユニット4のメモリに記憶され、コピーパスに従って扱われることができ、コピーパスにおいて、上記画像は印刷装置3によって印刷される。別法として、デジタル画像は、制御ユニット4からクライアントコンピュータ9に転送されることができる(スキャンして保管するパス)。クライアントコンピュータ9のユーザは、デジタル画像を印刷することに決めることができ、このことは、システムの動作の印刷モードをもたらす。
【0042】
図2は、スキャンジョブ又はコピージョブ又はプリントジョブのパラメータ値を編集することに対して表示手段に表示されることになる概略画面200を示す。
【0043】
画面200の上部に、該当するジョブの状態を表示するように、状態アイテム201が示されている。画面の上部はさらに、コピージョブ、スキャンジョブ及びプリントジョブを区別するための表示205を含む。
【0044】
画面200の中央部には、4つのタイルブロック210、220、230、260が示されている。第1のタイルブロック210は、スキャン又はコピージョブの場合に原本に関連するパラメータタイル212〜218を含む。第2のタイルブロック220は、ジョブ設定に関連するパラメータタイル221〜229を含む。第3のタイルブロック230は、スキャンジョブ、コピージョブ又はプリントジョブの出力に関連するパラメータタイル232〜254を含む。第4のタイルブロック260は、アイテムブロック210、220、230において設定されたパラメータに従ってスキャンされ、印刷され、あるいはコピーされることになる文書のレイアウトの概略的な画像を含む。
【0045】
画面の下部には、4つのボタン270〜276が示され、それぞれ、最小化ボタン272、キャンセルボタン274、サブセットボタン274、及びジョブを開始するための処理ボタン276である。
【0046】
第1のタイルブロック210のパラメータタイル212〜218は、元のパラメータを変更することに対して選択可能であり、片面又は両面212、左右の方向と組み合わせた縦又は横の方向214、媒体サイズ216及び画像タイプ218といった元のパラメータ値をそれぞれ制御し、画像タイプ218は、テキスト、画像、又はタイルブロック260に示されるようなテキスト及び画像の混ぜ合わせたものである。
【0047】
第2のタイルブロック220のパラメータタイル221〜229は、ジョブパラメータを変更することに対して選択可能であり、複数の設定221、ジョブ名称223、印刷デリバリ225、宛先227及びアカウントID229といったジョブパラメータ値をそれぞれ制御する。
【0048】
第3のタイルブロック230のパラメータタイル232〜254は、出力パラメータを変更することに対して選択可能であり、片面又は両面232、端の綴じ込み(binding)234、媒体タイプ236、カバー238、レイアウト240、ズーム242、位置合わせ244、シフト246、マージン領域248、画像調整250、カラー又は白黒252、綴じ込み254といった出力パラメータ値をそれぞれ制御する。穴あけ、折り畳み、及び他の仕上げオプションなどの、さらに多くのアイテムを表示することができる。
【0049】
本発明は、画像を調整するためのパラメータタイル250に関する。画像調整タイル250が、例えばタッチすることによって起動される(activated)とき、図3A〜3Bに示されるように、画像調整画面が現れることになる。さらに、ハードコピー原本がスキャン又はコピーされようとしていることを示す事象が検出されたとき、画像調整画面がポップアップしてくることになる。こうした事象は、原稿送り装置のふたを開けること、ハードコピー原本を原稿送り装置に置くこと、又は前もって表示されている画面でコピー又はスキャンボタンを押下することとすることができる。
【0050】
図3Aは、ハードコピー原本(図示せず)を特徴付けるために第1のデジタル画像31を示す概略画面を示している。第1のデジタル画像31は、複製すべきハードコピー原本とは異なってよい。第1のデジタル画像31は、以前のスキャン又はコピージョブの間に、複製システムの制御ユニットのメモリに記憶されている。ハードコピー原本を特徴付けることを可能にするために、複製システムは、ハードコピー原本の画像パラメータを設定するための設定手段を含む。設定手段は、表示手段がタッチ画面であり、あるいはマウスに接続される場合、パネル33の形態で構成することができる。パネル33は、その各々が明るさインジケータを表す四角形の行と、その各々がコントラストインジケータを表す四角形の行と、その各々が異なる色インジケータを表す四角形32のマトリクスとを含む。マトリクスの左下隅の四角形32は、青色を表す。左下隅に四角形32を含む四角形のマトリクスは、マトリクスの四角形を人間の指で一意的に指し示されるほど十分に大きく設計することができるため、タッチ画面との組み合わせに適している。マトリクスの四角形の色インジケータは、完全な離散的な色スペクトルを共に形成する。最初、インジケータは、行及びマトリクスの中央の値に設定される。ユーザは、各行の四角形を起動することによって明るさインジケータ、コントラストインジケータを、そして、マトリクス内の四角形を起動することによって色インジケータを、選択することができる。
【0051】
図3Aによるパネル33は、ハードコピー原本を特徴付けるために使用されるものである。ユーザは、自身のハードコピー原本を見なければならず、似ている明るさインジケータ、コントラスインジケータ及び色インジケータをパネル33から選択することによって、自身の意向においてこのハードコピー原本を模倣しなければならない。第1のデジタル画像31は、インジケータの変更の結果をユーザに示すために、選択されたインジケータに従って適合されることになる。ハードコピー原本が、非常に青いと仮定する。この場合、ユーザは、マトリクスの左下隅の四角形32を選択し、ユーザ自身の意向において第1のデジタル画像31をより青色にし、ハードコピー原本に似させることができる。以前のスキャンジョブ又はコピージョブが、例えば、デフォルトの画像パラメータで実行されている場合、以前のスキャンジョブ又はコピージョブの結果がユーザの要望に一致しなかったならば、ユーザはさらに、以前のスキャン又はコピーを特徴づけして、現在のハードコピー原本のスキャンジョブ又はコピージョブの結果を前もって補正することができる。
【0052】
離散的な色インジケータのマトリクスに代わりに、完全な色スペクトルを形成する連続的な色の四角形又は円形を使用することができ、この四角形又は円形は、指、マウス、又は任意の他の起動ツールによりクリックすることによって、起動することができる。
【0053】
複製システムの制御手段によって、複製システムに対して設定される対応する画像パラメータは、パネル33を用いて行われた変更に従って適合されることができる。本例は、
コピー画像の代わりにハードコピー原本を模倣しているため、パネル33を用いて適切な明るさインジケータ、適切なコントラストインジケータ及び適切な色インジケータを選択することは、画像パラメータ値の変更をもたらす。この画像パラメータ値の変更は、反転される。上記反対のマッピングは、ハードコピー原本のスキャンから生じる画像パラメータ値に適用され、ハードコピー原本の複製のための良い開始点となる反転された画像パラメータ値をもたらす。
【0054】
図3Bは、図3Aの概略画面を再び示しており、しかしながら今度はユーザが第1のデジタル画像36を調整することができ、図3Bにおいて、コピー画像を特徴付けるために画面の右側に第2のデジタル画像38としても示されている。この概略画面は、図3A内のコピー画像35の下のボタン34を起動することによって、得ることができる。この概略画面は、ユーザが、パネル33において明るさ、コントラスト及び色を変更することによって、コピー画像を特徴付けることを可能にする。図3Bはさらに、ハードコピー原本を特徴付ける第1のデジタル画像36を示している。
【0055】
図3Bによるパネル33は、コピー画像を特徴付ける第2のデジタル画像38を変更することに対して起動されている。しかしながら、パネル33は、第1のデジタル画像36の下のボタン37を起動することによって、ハードコピー原本を特徴付ける第1のデジタル画像36を変更することに対して起動されることができる。このようにして、ユーザは、ハードコピー原本を特徴付けることとコピー画像を特徴付けることとを切り替えることができる。
【0056】
パネル33が図3A〜3Bのどの画像31、35、36、38に連動しているのかを示すために、連動している画像31、38が、連動していない画像35、36よりも大きなサイズで表示される。利便性のため、ハードコピー原本を特徴付ける動作とコピー画像を特徴付ける動作とが、1つの画面内に組み合わせられる。しかしながら、これらの動作の各々が別個の画面に表示される実施形態もまた、本発明の一部である。コピー画像を特徴付ける動作のみが表示される実施形態もまた、本発明の一部である。
【0057】
表示された画像31、35、36、38は、所定の視覚化基準に従って選択される。視覚化基準に合致しない場合、以前のスキャン又はコピージョブに由来しない、別の画像が表示される。ビジュアル提示基準の例を、図4〜5のスキームを用いて説明する。
【0058】
図4Aは、複製ジョブのタイムライン40を示す、本方法の一実施形態に従う概略図を示している。時刻41の第1の時点において、ハードコピー文書が複製装置においてスキャンされる。時刻42の第2の時点において、第2のハードコピー文書の意図されたスキャニングの事象が検出される。期間43が、時刻41の第1の時点と時刻42の第2の時点との間に経過している。
【0059】
この実施形態による視覚化基準は、ハードコピーをスキャンする時刻41の第1の時点と上記事象の検出の時刻42の第2の時点との間で許可される最大期間43mに基づく。経過した期間43は、最大期間43mより時間において短いため、時刻41の第1の時点においてスキャン動作から生じる画像が、画像調整画面、例えば、図3Bの画像調整画面300に表示することに対して使用される。こうした許可される最大期間43mは、複製装置のシステム設定において、例えば5分に設定可能である。複製装置の主要なオペレータ及びサービス技術者は、最大期間43mのこのシステム設定を変更することができる。
【0060】
図4Bは、複製ジョブの同一のタイムライン40を再び示す、本方法の別の実施形態に従う概略図を示している。この実施形態は、図4Aによる実施形態と十分に組み合わせることができる。時刻41の第1の時点において、ハードコピー文書が複製装置においてスキャンされる。ハードコピー文書は複数のシート44A、44B、44Cから成り、シート44A、44B、44Cはそれぞれスキャンされる。ハードコピー文書の第1のシート44Aは、時刻41の第1の時点にほぼ等しい時刻に、時間において最初にスキャンされる。時刻42の第2の時点において、第2のハードコピー文書45の意図されたスキャニングの事象が検出される。
【0061】
この実施形態による視覚化基準は、ハードコピー文書のスキャニングの間に最初に作成されたデジタル画像が、画像調整画面400において適切な画面部分436及び438に表示されるということである。最初に作成されたデジタル画像は、この例において、第1のシート44Aをスキャンすることによって作り出された画像である。第1のシート44Aによるスマイリーが、画像調整画面400に表示される。画像調整画面400において処理ボタンを起動した後、第2のハードコピー文書45のシート45A、45Bが、シート44A、44B及び44Cから成るすでにスキャンされたハードコピー文書のうちの第1のシート44Aを表している表示された画像に対応する画像パラメータ値に従ってスキャンされる。
【0062】
図5A〜5Bは、本発明に従う方法の一実施形態のフロー図を概略的に示す。
【0063】
開始点Aは、第1のステップS510において周期的な確認が複製装置によって実行されるというものである。本方法の第1のステップS510において、ハードコピー文書の意図されたスキャニングの事象が生じたかどうかが確認される。こうした事象の検出は、複製装置内のセンサからの信号の結果、又は適切なスキャン若しくはコピーボタンの起動の結果とすることができる。
第2のステップS520において、こうした事象が検出されたとき、画像調整画面が開かれる。画像調整画面は図3A〜3Bに示されている。
第3のステップS530において、ビジュアル提示基準に合致するかどうかが確認される。ビジュアル提示基準は、所定とすることができ、あるいは複製装置の据え付けの間に設定することができる。
【0064】
ビジュアル提示基準には、ハードコピー文書のスキャンと上記事象の検出との間の最大期間についての基準を含むことができる。これは、ユーザが、当時間、当日、当週又は別の当時間帯の間に事前にスキャンされているデジタル画像のビジュアル表現のみ欲しい場合に、有利である。これは、時間において近接して同様のハードコピー文書を複製するユーザの作業シナリオに基づく。
【0065】
ビジュアル提示基準には、以前に記憶されたデジタル画像が、上記事象を検出する直前にハードコピー文書のスキャンの間に作成されているという基準を含むことができる。これは、あるハードコピー文書を、第2のハードコピー文書のスキャニングの直前にスキャンしているユーザが、第1のデジタル画像と同種の第2のデジタル画像文書の出力を出力させたい可能性があるため、有利である。
【0066】
ビジュアル提示基準には、以前のハードコピー文書をスキャンしたときに時間において最初に作成されたデジタル画像を表示するという基準を含む。これは、ハードコピー文書がスキャンされるべき複数のシートを含むとき、第1のハードコピー文書のスキャンの間に最初に作成されるデジタル画像が、後続の作成されるデジタル画像とは異なる、より重要な情報を含む可能性があるため、有利である。例えば、文書が複数ページから成るとき、そのページ選択は任意となる可能性がある。しかしながら、多くの場合、最初のページが、2番目にスキャンされるページ又は最後にスキャンされるページなどの別のページよりも、画像パラメータの調整について、より適切な情報を含む。カラーと白黒とが混ざった文書において、最初のページはしばしばカラーである。
【0067】
本方法の一実施形態において、以前のハードコピー文書の以前のユーザが識別され、現在のハードコピー文書の現在のユーザが識別される。そして、ビジュアル提示基準には、以前のユーザと現在のユーザとが同一ユーザである場合に、以前のハードコピー文書をスキャンしたときに作成されたデジタル画像を表示するという基準を含むことができる。
【0068】
ビジュアル提示基準に合致した場合、第4のステップS540において、デジタル画像がビジュアル提示基準に従って画像調整画面に示される。そうでない場合、第5のステップS550において、以前のスキャン動作からとは別の方法で作り出された画像が、画像調整画面に示される。
【0069】
第6のステップS560において、デジタル画像がユーザの要望を表しているかどうか、又はデジタル画像が適合されるべきであることが、確認される。換言すると、画像パラメータ値が調整されるべきであるかどうかが確認される。そうである場合、第7のステップS570が続いて起こり、ステップS570において、画像パラメータ値が調整され、適合されたデジタル画像(群)が画像調整画面に表示される。画像パラメータ値の調整は、図3A〜3Bによる画像調整画面のパネル33内のタイルを起動することによって得ることができる。
接続点Bが、図5A図5Bとを接続する。
次のステップS580〜S590は、図5Bにおいて接続点Bから示される。
第8のステップS580において、ユーザは、画像調整画面において処理ボタンを起動することができる。
第9のステップS585において、画像調整画面は、第10のステップS590の前に閉じられることができる。別の実施形態において、調整画面は、第10のステップS590の後に閉じられる。第10のステップS590において、ハードコピー文書は、表示されていたデジタル画像(群)に対応する画像パラメータ値に従ってスキャンされ、本方法の終了点Cに到達する。
【0070】
さらなる実施形態において、最後のステップS590の後に、スキャンされたハードコピー文書が印刷されるステップ(図示せず)が続いてもよい。当然ながら、この実施形態における複製装置は、デジタル画像をコピー又は印刷するためにプリントエンジンを含む。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B