(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種の乗物用シートのテーブル装置として、例えば、特許文献1に開示されている技術(第1の従来技術)が既に知られている(
図13〜14参照)。この第1の従来技術では、車両用シート101のテーブル装置104は、シートクッション102のクッションフレーム112に組み付けられたベースフレーム130と、このベースフレーム130に回動可能に枢支されたテーブル本体150と、これらベースフレーム130とテーブル本体150との間を橋渡す略U字状のスプリングロッド170とから構成されている。このスプリングロッド170の基端(略U字の根元)172は、テーブル本体150に形成されている長孔154を移動可能に掛け留めされている。一方、このスプリングロッド170の両自由端(略U字の先端)174側は、ベースフレーム130に形成されているカム部材140の一対のカム面142に沿って回動可能にベースフレーム130にヒンジ結合されている。この一対のカム面142の各一端142aまたは各他端142bは、スプリングロッド170の両自由端174側を保持可能となっている。
【0003】
そのため、このテーブル装置104は、一対のカム面142の各一端142aにスプリングロッド170の両自由端174側を保持させると、テーブル本体150が略水平を成す使用可能状態となるようにスプリングロッド170の基端172がテーブル本体150を保持可能となっている。また、このテーブル装置104は、一対のカム面142の各他端142bにスプリングロッド170の両自由端174側を保持させると、テーブル本体150が車両用シート101に沿って畳まれる収納状態となるようにスプリングロッド170の基端172がテーブル本体150を保持可能となっている。したがって、このテーブル装置104は、一対のカム面142の各一端142aまたは各他端142bに対するスプリングロッド170の両自由端174側の保持を切り替えると、テーブル本体150を使用できる使用可能状態または収納した収納状態に切り替えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、テーブル装置104が使用可能状態にあるとき、テーブル本体150に重たい物品を載せて使用すると、スプリングロッド170の両自由端174側が互いに近づく方向に撓んでしまうことがあった。このように撓んでしまうと、スプリングロッド170の両自由端174側の保持が一対のカム面142の各一端142aから各他端142bに切り替わるため、このスプリングロッド170の基端172が長孔154を移動していくことがあった。そのため、テーブル装置104が使用可能状態から収納状態に切り替わってしまうことがあった。したがって、テーブル本体150に重たい物品を載せて使用することができなかった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、使用可能状態においてテーブル本体に重たい物品を載せても使用できる乗物用シートのテーブル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、シートクッションまたはシートバックのフレームに組み付けられ、略円弧状に形成された一対のカム面を有するベースフレームと、ベースフレームに対してヒンジ結合され、長孔を有するテーブル本体と、基端が長孔を移動可能となっており、両自由端がベースフレームに対してヒンジ結合されており、ヒンジ結合により両自由端側が一対のカム面に沿って回動可能な略U字状のスプリングロッドとを備えている。一対のカム面の各一端または各他端は、スプリングロッドの両自由端側を保持可能となっている。一対のカム面の各一端にスプリングロッドの両自由端側を保持させると、テーブル本体が略水平を成す使用可能状態となるようにスプリングロッドの基端がテーブル本体を保持可能となっている。また、一対のカム面の各他端にスプリングロッドの両自由端側を保持させると、テーブル本体が
乗物用シートに沿って畳まれる収納状態となるようにスプリングロッドの基端がテーブル本体を保持可能となっている。テーブル本体には、テーブル装置自身が使用可能状態にあるとき、長孔に対するスプリングロッドの基端の移動をロックするレバーが組み付けられている。レバーには、使用可能状態にあるテーブル本体
に物品を載せる方向に沿って大荷重が作用したときのスプリングロッドの基端が入り込み可能な凹溝が
外周面に形成されている。
【0008】
請求項1の発明によれば、スプリングロッドの基端の移動を規制すると、一対のカム面の各一端に対するスプリングロッドの両自由端側の保持も規制(ロック)できる。そのため、テーブル装置を使用可能状態から収納状態に切り替えることも規制(ロック)できる。したがって、使用可能状態においてテーブル本体に重たい物品を載せても、テーブル装置が使用可能状態から収納状態に切り替わることがない。結果として、使用可能状態においてテーブル本体に重たい物品を載せても使用できる。また、請求項1の発明によれば、使用可能状態におけるテーブル本体に大荷重が作用すると、この作用した大荷重によって倒れていくスプリングロッドの基端がレバーの凹溝に入り込む。したがって、以降において、このレバーの回転が規制されることとなる。結果として、テーブル本体に大荷重が作用した状態でレバーを操作してしまっても、この操作をレバーが受け付けないため、このテーブル本体が畳まれてしまうことを防止できる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗物用シートのテーブル装置であって、レバーは、薄板状の部材から構成されている。レバーの凹溝に対するスプリングロッドの基端の入り込みに伴ってスプリングロッドの基端からレバーの凹溝に作用する荷重は、レバーの長手方向における軸心に対して略沿うように設定されている。また、請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載の乗物用シートのテーブル装置であって、長孔は、直線状に形成されている。
【0009】
また、
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の乗物用シートのテーブル装置であって、スプリングロッドの基端の断面は、円状であり、凹溝には、平面状の凹面が形成されている。凹面は、凹溝に対してスプリングロッドの基端が入り込んだときの入り込み方向に対して直交するように設定されている。
【0010】
請求項4の発明によれば、凹溝に入り込んだスプリングロッドの基端が凹面を滑って、この凹溝から抜け落ちることを防止できる。したがって、レバーの回転を確実に規制することとなる。結果として、テーブル本体に大荷重が作用した状態で、レバーを操作してしまっても、スプリングロッドの基端を移動させることが確実に防止できるため、このテーブル本体が畳まれてしまうことを確実に防止できる。
【0011】
また、
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の乗物用シートのテーブル装置であって、レバーは、テーブル本体に対してヒンジ結合されている。凹溝に対してスプリングロッドの基端が入り込んだとき、スプリングロッドの基端の中心と、凹溝の凹面とスプリングロッドの基端との接触点と、レバーのヒンジの中心との3点は同一直線上を成すように設定されている。
【0012】
請求項5の発明によれば、凹溝に入り込んだスプリングロッドの基端が凹面を滑って、この凹溝から抜け落ちることを確実に防止できる。したがって、このレバーの回転をより確実に規制することとなる。結果として、テーブル本体に大荷重が作用した状態で、レバーを操作してしまっても、スプリングロッドの基端を移動させることがより確実に防止できるため、このテーブル本体が畳まれてしまうことをより確実に防止できる。
【0013】
また、
請求項6に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の乗物用シートのテーブル装置であって、スプリングロッドの基端の断面の形状と、凹溝の断面の形状とは、対応するように形成されている。
【0014】
請求項6の発明によれば、簡便な構造で、上述した請求項2〜3の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1〜12を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、『乗物用シート』の例として、『3列シートを有するミニバンの右側のセカンドシート1(以下、単に、「セカンドシート1」と記す)』を説明することとする。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、ミニバンの内部にセカンドシート1を配置した状態を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0017】
まず、
図1を参照して、セカンドシート1の構成を説明する。このセカンドシート1は、1人掛けの独立タイプのものであり、主として、オットマン2aを有するシートクッション2と、ヘッドレスト3aを有するシートバック3とから構成されている。
【0018】
このシートクッション2は、主として、左のサイドフレーム12と右のサイドフレームとフロントフレームとリアフレーム(いずれも図示しない)とから略矩形枠状に形成されたクッションフレーム10と、このクッションフレーム10を覆うように組み付けられるクッションパッド14と、このクッションパッド14の表面をカバーリングするクッションカバー16とから構成されている(
図4参照)。
【0019】
なお、
図1に戻って、このシートクッション2の左のサイドフレーム12と右のサイドフレームの各外側には、左のクッションシールド20と右のクッションシールド22とが組み付けられている。これにより、シートクッション2の内部を目隠しできるため、セカンドシート1の意匠性を高めることができる。また、このシートクッション2の左側には、テーブル装置4が組み付けられている。
【0020】
ここで、
図1〜5を参照して、このテーブル装置4について詳述すると、このテーブル装置4は、主として、ベースフレーム30と、テーブル本体50と、スプリングロッド70とから構成されている。以下に、これらベースフレーム30とテーブル本体50とスプリングロッド70とを個別に説明していく。
【0021】
はじめに、ベースフレーム30から説明する。このベースフレーム30は、テーブル装置4の骨格を成すように、略クランク状に折り曲げ形成された金属製の部材から構成されている。このベースフレーム30のセカンドシート1側の表面(セカンドシート1に対して対向する面)は、樹脂製のシールド32によって覆われている。これにより、セカンドシート1に着座した乗員(以下、単に「乗員」と記す)からベースフレーム30を目隠しできるため、テーブル装置4の意匠性を高めることができる。
【0022】
また、このベースフレーム30の先端(上端)30aには、金属製の部材から成る一対のヒンジブラケット34がそれぞれ締結されている。この締結は、ボルト(図示しない)とナットN1とによってそれぞれ行われている。このヒンジブラケット34には、後述するヒンジピンP1を挿し込み可能な貫通孔34aが形成されている。また、このベースフレーム30には、一対のカム面42を有する樹脂製のカム部材40が締結されている。この締結は、ボルト(図示しない)とナットN2とによって4箇所行われている。
【0023】
このカム面42は、その一端42a(上端)と他端42b(下端)との間に略円弧状の盛上部42cを有するように形成されている(
図3参照)。すなわち、カム面42の一端42aと他端42bとは、盛上部42cに対して窪みを成すように形成されている。このように形成されていると、後述するスプリングロッド70の両自由端74に作用する撓みの反力によって、このスプリングロッド70の両自由端74側(自由端74より、僅かに基端72寄りの部位)を、この一対のカム面42の各一端42aまたは各他端42bに保持させることができる。
【0024】
なお、この一対のカム面42の各一端42aは、この各一端42a自身に後述するスプリングロッド70の両自由端74側を保持させると、このスプリングロッド70が上を向くように形成されている。また、これとは逆に、この一対のカム面42の各他端42bは、この各他端42b自身に後述するスプリングロッド70の両自由端74側を保持させると、このスプリングロッド70が下を向くように形成されている。ベースフレーム30は、このように構成されている。
【0025】
次に、テーブル本体50を説明する。このテーブル本体50は、物品(図示しない)を載せることができる載置面50aを有するように、略矩形状に形成された樹脂製の部材から構成されている。このテーブル本体50には、一対のガイド52が形成されている。このガイド52には、後述するスプリングロッド70の基端72が移動可能な長孔54が形成されている。
【0026】
また、このテーブル本体50の一端には、一対のヒンジブラケット56が一体的に形成されている。このヒンジブラケット56には、後述するヒンジピンP1を挿し込み可能な貫通孔56aが形成されている。なお、このテーブル本体50の一対のヒンジブラケット56の各貫通孔56aと、上述したベースフレーム30の一対のヒンジブラケット34の各貫通孔34aとは、ヒンジピンP1をそれぞれ挿し込み可能に対応する(一致する)ように形成されている。
【0027】
また、このテーブル本体50の裏面側(載置面50aの反対側の面)には、一端が操作部60aを成し、他端がロック部60bを成すレバー60がヒンジピン62を介して回転可能に枢着されている(
図4〜5参照)。なお、説明の便宜上、このヒンジピン62の中心を「中心C」と記すこととする。このとき、ヒンジピン62には、一端がテーブル本体50に掛け止めされ、他端がレバー60に掛け止めされたトーションばね(図示しない)が挿し込まれている。
【0028】
これにより、テーブル装置4が後述する使用可能状態にあるとき、このテーブル本体50の一対の長孔54におけるスプリングロッド70の基端72の移動をロック部60bが規制するように、テーブル本体50に対してレバー60を付勢させることができる。このレバー60のロック部60bには、後述する使用可能状態にあるテーブル本体50に大荷重が作用したときのスプリングロッド70の基端72が入り込み可能な凹溝66が形成されている。
【0029】
この凹溝66には、平面状の凹面66aが形成されている。この凹面66aは、この凹溝66に対してスプリングロッド70の基端72が入り込んだときの入り込み方向に対して直交するように設定されている(
図12参照)。なお、このテーブル本体50の裏面側には、操作部60aが操作されたレバー60がトーションばねの付勢力によって戻されるときのテーブル本体50に対する打音を防止するためのゴム58が留められている。テーブル本体50は、このように構成されている。
【0030】
次に、スプリングロッド70を説明する。このスプリングロッド70は、断面が円状に形成された略U字状の金属製の部材から構成されている。このスプリングロッド70の両自由端(略U字の先端)74は、互いが遠ざかる方向を向くように折り曲げられている。なお、説明の便宜上、このスプリングロッド70の基端72の中心を「中心A」と記すこととする(
図5参照)。スプリングロッド70は、このように構成されている。
【0031】
次に、上述したベースフレーム30とテーブル本体50とスプリングロッド70との組み付けの構造を説明する。ベースフレーム30の一対のヒンジブラケット34の各貫通孔34aとテーブル本体50の一対のヒンジブラケット56の各貫通孔56aとには、ヒンジピンP1がそれぞれ挿し込まれている。これにより、ベースフレーム30に対して前後方向を軸方向とする軸回りにテーブル本体50を回転させることができる。
【0032】
なお、この挿し込まれたヒンジピンP1の外周面には、係合爪P1aが形成されている(
図2参照)。これにより、この挿し込まれたヒンジピンP1が、これら貫通孔34a、56aから抜け落ちることを防止できる。また、このスプリングロッド70の基端(略U字の根元)72は、テーブル本体50に形成されている両長孔54を移動可能に掛け止めされている。
【0033】
一方、このスプリングロッド70の両自由端(略U字の先端)74は、カム部材40に対してヒンジ結合されている。これにより、カム部材40に対してスプリングロッド70を回動させることができる。なお、このヒンジ結合は、カム部材40の一対のカム面42によって両自由端74が互いに近づく方向に撓ませられた状態で行われている。そのため、上述したように、このスプリングロッド70の両自由端74に作用する撓みの反力によって、このスプリングロッド70の両自由端74側を、この一対のカム面42の各一端42aまたは各他端42bに保持させることができる。
【0034】
なお、既に説明したように、このスプリングロッド70の両自由端74側をカム部材40の一対のカム面42の各一端42aに保持させると、スプリングロッド70が上を向くこととなる。そのため、テーブル本体50が略水平を成すように、スプリングロッド70の基端72がテーブル本体50の両長孔54の内面を押し当てることとなる。したがって、略水平を成す使用可能状態にテーブル本体50を保持できる。これにより、テーブル本体50の載置面50aに物品を載せて使用できる。
【0035】
このとき、スプリングロッド70の基端72がテーブル本体50の両長孔54の各一端54aの内面も押し当てるため、使用可能状態に保持したテーブル本体50にガタツキが生じることを防止できる。また、このとき、既に説明したように、このテーブル本体50の両長孔54におけるスプリングロッド70の基端72の移動をロック部60bが規制している。これにより、テーブル装置4が使用可能状態にあるとき、ベースフレーム30に対してテーブル本体50をロックできるため、テーブル本体50の載置面50aに重たい物品を載せることができる。
【0036】
ベースフレーム30とテーブル本体50とスプリングロッド70との組み付けは、このような構造によって行われている。このような組み付け構造によってテーブル装置4は構成されている。なお、このテーブル装置4のベースフレーム30の基端30bは、左のクッションシールド20の貫通孔20aを介してシートクッション2の左のサイドフレーム12に固着されているブラケット24に締結されている(
図4参照)。
【0037】
続いて、
図1〜11を参照して、上述したテーブル装置4の作用を説明する。この作用の説明として、テーブル本体50を使用可能状態(
図1〜5参照)から収納状態(
図7〜11参照)に切り替える手順を説明することとする。
【0038】
まず、乗員は、
図4に示す状態から、レバー60の操作部60aを操作する(引き起こす)第1の作業を行う(
図6参照)。この第1の作業は、トーションばねの付勢力に抗した作業となっている。次に、乗員は、この第1の作業を行ったまま、テーブル本体50をセカンドシート1に沿って畳む第2の作業を行う。すると、スプリングロッド70は、その基端72が長孔54を移動するように倒れていく。この倒れ動作に伴い、移動した基端72がレバー60のロック部60bを乗り越えても、この第1の作業を継続させたまま、この第2の作業を継続させる。もちろん、この移動した基端72がレバー60のロック部60bを乗り越えると、この第1の作業を解消して第2の作業のみを継続させてもよい。
【0039】
このとき、この倒れ動作に伴い、このスプリングロッド70は、その両自由端74側が一対のカム面42の各一端42aから盛上部42cに乗り上がり始める。そのため、このスプリングロッド70は、その両自由端74側が互いに近づくように撓み始める。したがって、このスプリングロッド70は、カム部材40に対してテーブル本体50の畳み方向に沿って回動していく。
【0040】
やがて、このスプリングロッド70の両自由端74側が一対のカム面42の各他端42bに到達すると、このスプリングロッド70の両自由端74側の撓みが解消されるため、到達した各他端42bにスプリングロッド70の両自由端74側が保持される。このように保持されると、既に説明したように、スプリングロッド70が下を向くこととなる。そのため、テーブル本体50がセカンドシート1に沿って畳まれるように、スプリングロッド70の基端72がテーブル本体50の両長孔54の内面を押し当てることとなる。
【0041】
したがって、セカンドシート1に沿って畳まれる収納状態(
図7〜11参照)にテーブル本体50を保持できる。このとき、スプリングロッド70の基端72がテーブル本体50の両長孔54の各他端54bの内面も押し当てるため、収納状態に保持したテーブル本体50にガタツキが生じることを防止できる。このようにして、テーブル本体50を使用可能状態から収納状態に切り替えることができる。この切り替えが完了すると、これら第1の作業と第2の作業とを同時に止めることとなる。もちろん、上述したように、第1の作業を解消して第2の作業のみを継続させていると、この第2の作業のみを止めることとなる。
【0042】
また、これとは逆に、テーブル本体50を収納状態から使用可能状態に切り替える場合、乗員は、略水平を成すようにテーブル本体50を引き起こす作業を行えばよい。すると、スプリングロッド70の基端72がレバー60のロック部60bを乗り越えてロックの状態に戻されると共に、スプリングロッド70の両自由端74側も一対のカム面42の各一端42aに保持された状態に戻される。したがって、テーブル本体50を使用可能状態に戻すことができる。
【0043】
本発明の実施例に係るセカンドシート1のテーブル装置4は、上述したように構成されている。この構成によれば、テーブル本体50の裏面側(載置面50aの反対側の面)には、一端が操作部60aを成し、他端がロック部60bを成すレバー60がヒンジピン62を介して回転可能に枢着されている。このレバー60は、テーブル装置4が使用可能状態にあるとき、テーブル本体50の一対の長孔54におけるスプリングロッド70の基端72の移動をロック部60bが規制するように形成されている。このようにスプリングロッド70の基端72の移動を規制すると、一対のカム面42の各一端42aに対するスプリングロッド70の両自由端74側の保持も規制(ロック)できる。そのため、テーブル装置4を使用可能状態から収納状態に切り替えることも規制(ロック)できる。したがって、使用可能状態においてテーブル本体50に重たい物品を載せても、テーブル装置4が使用可能状態から収納状態に切り替わることがない。結果として、使用可能状態においてテーブル本体50に重たい物品を載せても使用できる。
【0044】
また、この構成によれば、レバー60のロック部60bには、使用可能状態におけるテーブル本体50に大荷重が作用したときのスプリングロッド70の基端72が入り込み可能な凹溝66が形成されている。そのため、使用可能状態におけるテーブル本体50に大荷重が作用すると、この作用した大荷重によって倒れていくスプリングロッド70の基端72がレバー60の凹溝66に入り込む。したがって、以降において、このレバー60の回転が規制されることとなる(
図12参照)。結果として、テーブル本体50に大荷重が作用した状態でレバー60を操作してしまっても、この操作をレバー60が受け付けないため、このテーブル本体50が畳まれてしまうことを防止できる。
【0045】
また、この構成によれば、スプリングロッド70は、断面が円状に形成された略U字状の金属製の部材から構成されている。また、凹溝66には、平面状の凹面66aが形成されている。この凹面66aは、この凹溝66に対してスプリングロッド70の基端72が入り込んだときの入り込み方向に対して直交するように設定されている。そのため、凹溝66に入り込んだスプリングロッド70の基端72が凹面66aを滑って、この凹溝66から抜け落ちることを防止できる。したがって、このレバー60の回転を確実に規制することとなる。結果として、テーブル本体50に大荷重が作用した状態で、レバー60を操作してしまっても、スプリングロッド70の基端72を移動させることが確実に防止できるため、このテーブル本体50が畳まれてしまうことを確実に防止できる。なお、説明の便宜上、この凹溝66の凹面66aとスプリングロッド70の基端72との接触点「接触点B」と記すこととする(
図12参照)。
【0046】
また、この構成によれば、テーブル本体50の裏面側(載置面50aの反対側の面)には、一端が操作部60aを成し他端がロック部60bを成すレバー60がヒンジピン62を介して回転可能に枢着されている。そして、使用可能状態においてテーブル本体50に大荷重が作用することにより凹溝66に対してスプリングロッド70の基端72が入り込んだときの、スプリングロッド70の基端72の中心Aと、レバー60の凹溝66の凹面66aとスプリングロッド70の基端72との接触点Bと、レバー60のヒンジピン62の中心Cと、の3点は同一直線上を成すように設定されている。そのため、凹溝66に入り込んだスプリングロッド70の基端72が凹面66aを滑って、この凹溝66から抜け落ちることを確実に防止できる。したがって、このレバー60の回転をより確実に規制することとなる。結果として、テーブル本体50に大荷重が作用した状態で、レバー60を操作してしまっても、スプリングロッド70の基端72を移動させることがより確実に防止できるため、このテーブル本体50が畳まれてしまうことをより確実に防止できる。
【0047】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、『乗物用シート』の例として、『セカンドシート1』を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、『乗物用シート』は、各種の乗物のシート、例えば、『船舶のシート』、『飛行機のシート』、『鉄道車両のシート』等であっても構わない。
【0048】
また、実施例では、スプリングロッド70は、断面が円状に形成された略U字状の金属製の部材から構成されており、凹溝66には、平面状の凹面66aが形成されている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、例えば、スプリングロッド70の基端72の断面の形状が円状であり、凹溝66の断面の形状も、この基端72の円状に対応する円状であっても構わない。その場合、簡便な構造で、上述した効果(テーブル本体50が畳まれてしまうことをより確実に防止できる効果)を得ることができる。もちろん、円状に限られることなく、各種の形状(例えば、三角形、四角形、六角形等)であっても構わない。
【0049】
また、実施例では、テーブル装置4のベースフレーム30の基端30bは、左のクッションシールド20の貫通孔20aを介してシートクッション2の左のサイドフレーム12に固着されているブラケット24に締結されている形態を説明した。すなわち、このテーブル装置4のベースフレーム30の基端30bは、シートクッション2側のフレームに組み付けられている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、このテーブル装置4のベースフレーム30の基端30bは、シートバック3側のフレームに組み付けられている形態でも構わない。