【実施例】
【0194】
子宮頸部組織サンプルおよび食道のサンプル
mRNA研究のために、子宮頸癌患者から15の腫瘍生検(11の扁平上皮癌S1−S
11、および4の腺癌、A1−A4)および14の非腫瘍性子宮頸部組織サンプル(N1
−N14)を手術中に得られた、液体窒素中で急冷凍結した(snap−frozen)
。診断を、Barts and The London NHS Trustの病理学部
で行った。患者のサンプルを、FIGO分類法(段階I、II、III、IV)に従って
分け、腫瘍生検を、核の非定型性のグレード(1、2、3)の増加、または同様に、中程度
に、または弱い分化に伴って分類した。
【0195】
免疫組織化学のために、150人の異なる患者からのパラフィン包埋したサンプル(n
=166)を、Barts and The London NHS Trust an
d the Clinical Centre of Serbia, Belgrad
eから得た。新鮮なパラフィン包埋されたヒトサンプルへのアクセスは、East Lo
ndon and City Health Authority Research
Ethics Subcommitteeの要件を満足するものであった(LREC n
o. T/02/046)。
【0196】
原発性扁平上皮食道癌を有する31人の患者から切除された標本も、本文に含まれる。
これらの患者は、中国の河南省安陽市における食道癌のリスクの高い地域の出身である。
すべての患者は、安陽中央病院の外科で、外科的治療を受けた。これらの患者の誰も、手
術前に化学療法、放射線療法または免疫調節性治療を受けていない。サンプルは、同じ癌
患者の巨視的に癌の部分およびその対応する正常な部分から採取された。組織は、10%
の中性緩衝ホルマリンを含むPBSで固定された。
【0197】
RNA抽出およびRNaseプロテクションアッセイ(RPA)
子宮頸部組織生検を、液体窒素で冷やしたミル6750(グレン・クレストン社、スタ
ンモアー)でホモジナイズし、次いでTri Reagent(商標)で可溶化した(シ
グマ、プール、英国)。抽出したRNAを、10ユニットのDNase(ファルマシア、
セイトアルバンズ、英国)で製造業者の説明書に従って処理した。RPAを、Riboq
uant(登録商標)hCR5およびhCR6鋳型のセット(BD Pharminge
n、オックスフォード、英国)並びに[α
32P]UTP(アマシャム・インターナショ
ナル社、エールズベリー、英国)を用いて行われた。RNase保護断片を、acryl
amide−urea sequencing gel(バイオラドラボレトリー社、ヘ
メルヘンプステッド、英国)で流し、濾紙に吸着し真空下で乾燥した。オートラジオグラ
フィを、Kodak Biomax MSフィルムとTranscreen LE in
tensifying screen(シグマ社)を用いて行った。
【0198】
顕微解剖および遺伝子アレイ
パラフィン包埋された子宮頸部組織を、RNaseのない条件下で切断し、UV処理し
たPALM(登録商標)膜スライド(PALMS、マイクロレーザーテクノロジー、ドイ
ツ)に乗せた。次に、これらを、キシレン中で脱パラフィン化し、段階的なアルコールで
再水和化した。サンプルを、処理前にマイヤーのヘマトキシリン溶液で1分間染色し、脱
水し、空気乾燥した。切片を、製造業者のプロトコールに従ってレーザーで顕微解剖した
。簡潔に述べると、所定の部分をレーザー顕微解剖し、プロテインキナーゼ(PK)バッ
ファーの入ったマイクロフュージキャップに急速に入れた。およそ505〜5000の細
胞を、各セッションで捕獲した。レーザー顕微解剖された細胞を、5μLのPKと混合し
た100μLのPKバッファーに溶解した。全RNAを、Paraffin block
RNA isolation kit(1902、アンビオン、アメリカ合衆国)を用
いて、製造業者の説明書に従って抽出した。cDNAを、上記の通りに増幅し、製造業者
の説明書に従って、custom−made microfluidic gene a
rray card(PE Applied Biosystems)を用いて分析した。
【0199】
7つの子宮頸部腫瘍サンプルにおける個々の遺伝子の遺伝子発現プロファイルを、5つ
の正常な子宮頸部サンプルと比較した。正常な上皮またはストローマの細胞サンプルにお
ける遺伝子発現レベルを、ベースラインの値”1”として用い、腫瘍上皮細胞または腫瘍
ストローマ細胞の平均値と比較した。レーザー顕微解剖された腫瘍サンプルは、1A2お
よび2Bの段階からの1のサンプルと、1B1の段階の5つから成る。
【0200】
免疫組織化学
パラフィン包埋切片(4μm)を、CCR4、CCL17およびCCL22について染
色した。簡潔に述べると、切片を、キシレン中で脱ワックス化し、エタノール勾配によっ
て脱水した。PBSで洗った後、抗原を、95℃で20分間、Target Retri
eval Solution(S1700、DAKO)で曝すか、または電子レンジで9
分間、Antigen Unmasking Solution(H−3300、Vect
or)で曝した。切片を、正常ウサギまたはヤギ血清で30分間ブロックし、一晩4℃で
以下の一次抗体条件:CCR4(1:300、ab1669、AbCam、Canbri
dge)、CCL17(1:50、ab9816−50、AbCam、Cambridg
e)およびCCL22(1:20、500−P107、Peprotech)でインキュ
ベートした。室温で30分間のビオチン化された二次抗体(抗ヤギまたは抗ウサギIgG
、1:200、Vector)によるインキュベート後、抗原を、3、3’−ジアミノベ
ンジジン(DAB;Sigma)で明らかにした。次に、スライドを、ヘマトキシリン対
比染色し、乾燥し、乗せた。一次抗体を省略したものを、ネガティブコントロールとして
用いた。CCR4抗体の特異性を確認するために、いくつかのCCR4陰性細胞を、この
ケモカイン受容体のcDNAでトランスフェクトした。CCR4抗体は、トランスフェク
トが成功した細胞上でのみ表面タンパク質検出した。
【0201】
二重染色、CD68、FoxP3、SR−A:スコア付け方法およびカテゴリー
非悪性および悪性の上皮細胞でのCCR4、CCL17およびCCL22の発現の評価
のために、各々のサンプルを、以下のスコア付けシステムによって半定量的に評価した:
0(ポジティブなタンパク質発現なし)、+1(平均して<25%の断面が、陽性発現を
有する)、+2(26〜50%)、+3(51〜75%)、+4(>76%)。陽性細胞
の強度を、以下の通りに分析された:0(発現なし)、1(軽度の発現)、2(中程度の
発現)、3(強い発現)。腫瘍ストローマ(腫瘍内の浸潤の細胞)、および腫瘍の浸潤境
界(腫瘍周囲の浸潤の細胞)のCCR4、CCL17およびCCL22発現のスコア付け
を、「移動平均」方法に基づいて行った[43]。壊死部分を避けた。合計15の強拡大
視野(×400拡大率)を計数した。5つの尺度を、以下の通りに設定した:0=CCR
4タンパク質発現なし;+1=HPF当たり1〜10のCCR4陽性細胞;+2=HPF当
たり10〜20の陽性細胞;+3(HPF当たり21〜30の細胞);+4(>30の細胞
)。全体の染色結果を、「パーセンテージ」×「強度」を算出することで得た。腫瘍およ
び浸潤細におけるIHCスコア付けを、正式の病理学者(YW)によって行なった。
【0202】
子宮頸癌細胞株培養
子宮頸癌細胞株C−41(ATCC、ロックビル、MD、米国)を10%のFCSを補
充したDMEM培地で培養した。いくつかの実験において、細胞を、1、10、100ま
たは1000ng/mLのCCL17またはCCL22(PeproTech、ロンドン
、英国)で刺激した。増殖および遊走を、先に記載した方法を用いて評価した[11]。
【0203】
統計解析
統計的有意差を、ウェルチの修正(Welch's correction)を有する
対応のないt検定(Instat software、サンディエゴ、CA)によって評価
した。P値が<0.05の場合、有意であるとみなす。
【0204】
実験1−ケモカイン受容体のリボヌクレアーゼプロテクションアッセイ
リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(RPA)を用いて、新鮮な冷凍されたヒト
子宮頸部組織の生検における13のケモカイン受容体mRNAをスクリーニングした。図
1Aにおける概要のグラフから分かるように、非腫瘍性および悪性の生検の間のいくらか
の別個の差異があるケモカイン受容体mRNAの範囲が、子宮頸部組織抽出物において見
られた。ケモカイン受容体CCR4は、特に興味深く、悪性子宮頸部には存在したが、非
腫瘍性子宮頸部生検由来の抽出物には存在しなかった(
図1B)。
【0205】
ストローマ細胞および上皮細胞の混合集団を含むすべての組織抽出物において、ケモカ
イン受容体発現を試験し、次に、CCR4mRNAの細胞源を調べた。mRNAを、レー
ザー顕微解剖した正常なおよび悪性の子宮頸部生検のストローマおよび上皮細胞部分から
抽出し、半定量的なリアルタイムRT−PCRを使用して、18S rRNAをコントロ
ールとして用いてCCR4発現を分析した。
図1Cに示すように、CCR4の悪性組織由
来のストローマ部分においてその非腫瘍性の相対物と比較した際にmRNAが上方制御さ
れていた。加えて、予想外に、CCR4のmRNAは、悪性上皮細胞の部分由来の抽出物
においても正常な上皮と比較して上方制御されていた。
【0206】
CCR4のmRNAに関してこのように見られたことを更に調査するために、CCR4
についての生検の同齢集団を免疫組織化学(IHC)で染色した。150人の異なる患者
由来の166のパラフィン包埋子宮頸部組織サンプル:非腫瘍性、n=23;CIN I
、n=30;CIN II、n=17;CIN III、n=16;SCC、n=45;
再発性腫瘍、n=15;リンパ節転移(LN mets)、(n=10);腺癌(n=1
0)におけるCCR4タンパク質の発現を評価した。白血球および上皮細胞の両方が、C
CR4タンパク質を発現した。結果を定量化するために、IHCスコアを、「陽性」に「
強度」をかけることによって算出した(詳細については方法並びに
図8および9の説明を
参照)。
【0207】
実験2−CCR4タンパク質が、ヒトの子宮頸部生検法における浸潤する白血球で見られ
る。
図2(AC)に示すように、生検のストローマ部分における白血球がCCR4陽性で染
色された。ストローマ部分におけるCCR4陽性についてのIHCのスコアを、
図3A(
白い棒)にまとめた。非腫瘍性組織は、CCR4の白血球について陰性だった(
図2A、
3A)。CINサンプルにおいて、より多くのCCR4発現ストローマの細胞があり(図
2B、3A)、これは、浸潤性腫瘍性の子宮頸部サンプルにおいてさらに増加した(
図2
C、3A)。浸潤する白血球でのCCR4の発現の強度も、悪性の進行とともに増加した
。非腫瘍性組織において、該強度は軽度であり;CINおよび腺癌において、強度は中程
度から強いものであり、浸潤性SCC、再発性腫瘍およびリンパ節転移において、強度は
強かった(
図8)。
【0208】
ストローマはさまざまな細胞のタイプからなり、試験を、浸潤した細胞のどれがCCR
4発現に寄与したかを確認するために行った。マクロファージおよび制御性T細胞がCC
R4を発現し、CCR4タンパク質発現を、これら2つの細胞のタイプにおいて調べ、更
に、組織生検におけるCD68+マクロファージおよびFoxP3+制御性T細胞の数も計
数した。
【0209】
実験3−CCR4陽性マクロファージおよび制御性T細胞が悪性進行とともに増加する。
CD68+マクロファージおよびFoxP3+制御性T細胞の数は、子宮頸部の悪性の進
行とともに増加した。
図2 D−Iに示すように、正常な子宮頸部の生検においてCD6
8およびFoxP3細胞はほとんど存在しないが、CINでは数が増加し、両方の細胞の
タイプは浸潤癌においては顕著であった。
【0210】
次に、CD68+およびFoxP3+の細胞の数を、それぞれ122および33の生検に
おいて計数した。
図3Bに示すように、CIN病変の細胞においてCD68+細胞が正常
な子宮頸部と比較して、有意に(p<0.001)増加した。13のCD68+細胞の数
は、SCC、腺癌、再発性癌およびリンパ節転移において更に増加した(P<0.001
、LN metsについてP<0.05、正常な子宮頸部と比較)。FoxP3+細胞に
同様な増加が、SCC、腺癌およびリンパ節転移を有する悪性の進行とともに生じ、全て
正常な子宮頸部と比較して、FoxP3+浸潤における有意な増加を示した(p<0.0
1)。
【0211】
CCR4を発現している細胞を浸潤する形質を研究するために、CD68およびFox
P3についての二重免疫組織化学染色を用いて、マクロファージおよび制御性T細胞によ
るCCR4の細胞表面の発現の評価を行った。これによって、CD68+およびFoxP
3+細胞も、CCR4タンパク質を発現していることが確認された(データ示さず)。3
3のパラフィン包埋組織のサブセットも、スカベンジャー受容体−A(SR−A)タンパ
ク質について染色した(非腫瘍性=10、CIN=10、SCC=10、腺癌=3)。S
R−Aは、M2の代わりとして活性化したマクロファージについての細胞表面マーカーで
ある [12]。非腫瘍性病変におけるストローマ細胞において、SR−Aを検出できな
かったが、CINおよび浸潤癌において、ある割合のCD−68+細胞が、SR−Aを発
現していた(データ示さず)。
【0212】
これからの研究は、第一に、子宮頸部の悪性進行は、CD68+マクロファージおよび
FoxP3+制御性T細胞の数の増加に関連していることを示した。これらの細胞は、悪
性細胞にプロ腫瘍成長因子を与え、形質転換細胞が免疫学的監視を逃れるのを助ける免疫
抑制微小環境を作ることを助けることができる。第二に、これらの結果は、正常な子宮頸
部癌と比較して悪性のものにおけるCCR4 mRNAの増加が最初に見られることが、
少なくとも一部は、マクロファージおよび制御性T細胞を含めたCCR4を発現している
白血球の浸潤の増加によるものであった。
【0213】
しかしながら、レーザー顕微解剖の結果は、CCR4 mRNAが、腫瘍の上皮部分に
おいても増加することを示し、浸潤した白血球でのCCR4タンパク質を評価した際に、
ケモカイン受容体もいくつかの上皮細胞上に存在していることが明らかであった(
図2B
およびC参照)。これは、予想外で、更なる調査を必要とした。
【0214】
実験4−子宮頸部生検における上皮細胞もCCR4を発現している
非腫瘍性子宮頸部生検において、正常な上皮細胞は、CCR4を発現していなかった(
図2A)。しかしながら、90%を超えるCINのケースにおける上皮細胞は、CCR4
を発現した(
図2Bおよび2E)。96%のSCCサンプルは、CCR4陽性の上皮細胞
を有し(
図2Cおよび2F)、90%の腺癌サンプルの上皮細胞は、CCR4陽性だった
(
図2G)。すべての再発性腫瘍およびリンパ節転移における悪性の上皮細胞は、CCR
4タンパク質を発現した。上皮細胞上のCCR4タンパク質についてのIHCの結果の詳
細のすべてを、
図9に示し、
図2Dにまとめた(黒い棒)。CCR4発現は、少数の上皮
細胞に制限されていなかった。
図2E〜Gおよび9は、CINおよび浸潤癌の子宮頸部生
検における大部分の悪性上皮細胞がCCR4陽性であったことを示す。
【0215】
CINの異なる段階についてのIHCスコアに関するさらなる詳細を、
図2Hに示す。
これは、CIN IからIIIへの進行を通して、上皮のCCR4発現が基本的に不変だ
ったことを示すが、ストローマのCCR4レベル、がCIN IからIIIにおいて増加
したことを示す。
【0216】
実験5−子宮頸癌進行中のCCR4発現の統計解析
図8および9におけるデータの統計解析は、CIN病変が非腫瘍性子宮頸部組織と比較
した際に上皮の区画(P=0.0001)およびストローマの区画(P=0.0001)
の両方においてCCR4タンパク質の有意な上方制御を示したことを示す。浸潤性SCC
におけるCCR4発現も、非腫瘍性子宮頸部組織と比較した際に、上皮の区画(P=0.
0001)およびストローマの区画(P=0.0001)の両方において有意に増加した
。また、腺癌サンプルにもおいても、CCR4が、非腫瘍性子宮頸部組織と比較した際に
、上皮細胞(P=0.0006)およびストローマの細胞(P=0.0050)で15上
方制御されていた。
【0217】
実験6−悪性の発現によるCCL22 mRNAおよびタンパク質のレベルの変化
正常組織において、CCL22は、マクロファージ、単球、DC、B細胞およびT細胞
の生産物である[13、14]。また、CCL22は、上皮組織で見られ;たとえば腸上
皮は、TNFαなどの炎症性サイトカインによって更に上方制御できるCCL22を恒常
的に生産する[15]。mRNAを、14の正常な子宮頸部、11のSCC及び4の腺の
癌生検から単離し、CCL22のレベルを、リアルタイムRT PCRで評価した。
図4
Aに示すように、CCL22 mRNAレベルが、正常な生検と比較して悪性の組織にお
いて低かったが、これは有意なものではなかった(P=0.43)。50人の異なる患者
からの合計52のパラフィン包埋の子宮頸部組織サンプルを、CCL22タンパク質につ
いて評価した:非腫瘍性、n=16;CIN、n=17;SCC、n=19。すべての子宮
頸部生検において、CCL22が、上皮細胞において検出された(
図4B〜D)。16の
正常なサンプルのうちの14、15/17CIN5、14/19SCCは、CCL22陽
性上皮細胞を有していた。すべての生検における浸潤する白血球は、CCL22を含んで
いた(
図4C、D)。上皮のIHCスコアは、CIN病変からSCCでわずかに下降した
(
図4E黒い棒)。しかしながら、CCL22についてのストローマのスコアは、正常か
らCINおよびSCCにわたって増加していた(
図4E白い棒)。
【0218】
実験7−悪性の発現によるCCL17のmRNAおよびタンパク質のレベルの変化
正常組織において、CCL17は、脈管およびリンパの内皮細胞で発現していたが、マ
クロファージ、DCおよびケラチノサイトでも生産された[16、17、55]。mRN
Aを、14の正常な子宮頸部、11のSCCおよび4の腺癌の生検から単離し、CCL1
7レベルをリアルタイムRT−PCRによって評価した。
図5Aに示すように、CCL1
7のmRNAのレベルは、正常な子宮頸部と比較してSCCにおいてより高かった。70
人の異なる患者由来のパラフィン包埋子宮頸部組織の合計74サンプルを、CCL17タ
ンパク質について評価した:非腫瘍性、n=21;CIN、n=33;SCC、n=20
。正常な子宮頸部生検は、上皮およびストローマの両方の少数のサンプルにおいて、低レ
ベルのCCL17を有していた(
図5B)。23/33のCINサンプル、および13/
20のSCCと比較して、2/19の正常なサンプルのみ、上皮におけるCCL17陽性
細胞を有していた。CCL17陽性であるストローマの細胞の数は、正常なサンプルと比
較して、CIN(
図5C)およびSCC(
図5D)において増加した。25/33CIN
および15/20SCCと比較して、21の正常な生検のうち6が、CCL17陽性スト
ローマ細胞を有していた。上皮およびストローマのCCL17のIHCスコアは、正常な
生検と比較して、CINおよびSCCにおいて増加していた(
図5E)。個々の生検から
のIHCスコアを分析した際に、正常な生検と比較して、CIN(P=0.001)およ
びSCC(P=0.002)由来のストローマにおけるCCL17のIHCスコアにおい
て、統計学的に有意な差異があった。また、正常なものと比較して、CIN(P=0.0
01)およびSCC(P=0.009)の上皮の領域におけるIHCスコアにおいても差
異があった。これらのデータは、上皮内の新形成から浸潤性疾患までの移行によって、ケ
モカインの勾配が変化したことを示す。
【0219】
実験8−CCR4は、子宮頸癌細胞において機能を有する。
子宮頸癌細胞におけるCCR4発現の生物学的重要性を調査するために、多くの子宮頸
癌細胞株(CaSki、Mel 80、HeLa−Ohio、 Hela−S3、Siha
、C33A、C41−1)をCCR4発現についてスクリーニングした。細胞株C−41
が、細胞表面CCR4を恒常的に発現した(
図6A)。FACS分析を用いて、C−41
細胞は、細胞表面CCR4を発現したことが示された。この細胞株も、細胞内のCCL2
2タンパク質を有していたが、他のCCR4リガンドであるCCL17は存在しなかった
(
図6A)。100ng/mLのCCL22による刺激後、細胞表面CCR4タンパク質
は、2時間後にC−41細胞で内部移行し、3時間後に表面に戻った(
図6B)。100
ng/mLのCCL17で刺激後も、細胞表面CCR4タンパク質は、2時間後にC−4
1細胞で内部移行し、3時間後に表面に戻った(
図6C)。トランスウェル遊走分析アッ
セイにおいて、C−41細胞は、CCL17およびCCL22の両方に対する典型的なベ
ル型の走化性反応を示した(
図6D)。10ng/mLで、CCL17は、有意な遊走を
誘導し(P=0.036)、更に、100ng/mLおよび1000ng/mLでも(そ
れぞれP=0.0006およびP=0.0004)誘導した。同様の結果が、10ng/
mL(P=0.0081)、100ng/mL(P=0.0009)および1000ng
/mL(P=0.0348)のCCL22で見られた。
【0220】
C−41細胞は、CCL17の10ng/mL(P=0.017)または100ng/
mL(P=0.044)による刺激後、増殖を増加させた。1ng/mLのCCL22;
(P=0.026)、100ng/mLのCCL22(P=0.043)も、C−41細
胞の増殖をシミュレートしたが、10ng/mLのCCL22(P=0.195)ではシ
ミュレートしなかった(
図5CおよびD)。従って、CCR4は、この子宮頸癌細胞株に
おいて機能を有し、生体内でも機能を有する可能性があることが示唆される。
【0221】
実験9−CCR4は、上皮およびストローマの細胞で、食道の悪性の進行の間、発現して
いる。
CCR4の発現およびケモカインリガンドの変化が子宮頸癌に特異的であるかどうか、
それらが、炎症と関連するいずれの他の悪性腫瘍においても見られるかどうかは不明であ
った。食道癌は、腫瘍性の進行の全段階の例が、多くの場合同じ患者から同時に得ること
ができる上皮癌である。CCR4発現を、食道癌の患者由来の31の標本において調べた
。27のケースにおいて、食道の発癌のすべての段階:正常、過形成、形成異常、上皮内
癌および浸潤癌が同じ患者由来の生検に存在した。31のケースのうち4のケースは、浸
潤癌の部分がない前浸潤の病変を有していた。
図7Aに示すように、過形成上皮の基底層
の周囲のわずかなCCR4陽性細胞を除けば、検出可能なCCR4発現が、食道の正常な
上皮細胞になかった(
図7B)。31のケースのうち30のケースにおいて、CCR4タ
ンパク質が前浸潤の病変の全段階における上皮細胞に存在し(
図7C、D)、過形成の上
皮細胞におけるものより形成異常の病変におけるCCR4発現細胞の強度及びパーセンテ
ージがはるかに高かった。浸潤癌における上皮細胞も、CCR4陽性だった(
図7H)。
いくつかの場合において、正常な粘膜と異常な粘膜との間の突然の移行があった。(
図7
C、D)。最も面白いことに、形成異常細胞において、CCR4発現の高いレベルがあっ
たが、表層における細胞および隣接した正常な粘膜は陰性だった。CCR4陽性細胞がス
トローマにも存在し、パターンが子宮頸癌と同様であった。
図7Eに示すように、正常な
粘膜下層において、CCR4陽性細胞がわずかであり悪性の進行とともに、ストローマに
浸透しているより多くのCCR4陽性細胞があった(
図7F−H)。
【0222】
実験10−食道の生検中のCCL17およびCCL22
IHCを用いて、発癌の全段階が各サンプルにおいて存在している23の食道サンプル
におけるCCL17およびCCL22の発現を評価した。概して、CCL17は、正常組
織の上皮およびストローマの領域において存在しないが、わずかなCCL17陽性の細胞
がストローマおよび少数の過形成の領域にあった。CCL17陽性の上皮またはストロー
マ細胞を持続しているサンプル数のが、形成異常のものにおいて増加し、浸潤性の領域に
おいて最も高く、これらの10/23は、ある程度CCL17陽性を示した。特に、形成
異常の上皮の粘膜下層における内皮細胞または血管/リンパ管で、CCL17の免疫反応
が強かったが、正常な上皮の粘膜下層ではそうではなかったことが注目された。
【0223】
子宮頸癌で見られたものと同様に、CCL22についてのストローマの陽性レベルも、
悪性の進行とともに増加した。1/23サンプルのみ、正常な部分のストローマにおいて
CCL22陽性細胞を示したが、形成異常部分および浸潤性の部分では、それぞれ20/
23および18/23のサンプルが、ストローマにおいてCCL22陽性細胞を含まれて
いた。ストローマの細胞のCCL22陽性が、形成異常の程度とともに増加した。23の
形成異常Iサンプル中8がストローマにおいてCCL22陽性細胞を有し;これは、23
の形成異常IIサンプルうち19、23の形成異常IIIサンプルのうち20に増加した
。CCL22が正常な上皮において検出されなかったという点で、子宮頸部の上皮と食道
の上皮との間に1つの違いがあったが、CCL22が正常な腸上皮で存在することが報告
されている[15]。上皮のCCL22発現は、食道の悪性の進行とともに増加し;0/
23サンプルが、正常な部分において陽性であり、2/23の過形成、7/23の形成異
常および4/23の浸潤性の部分が、CCL22陽性の上皮細胞を有していた。最後に、
浸潤性癌組織のストローマ内の血管のより多くの上皮細胞が、正常及び形成異常の上皮と
比較してCCL22の染色について陽性であった。
【0224】
実験11−腫瘍のより広い範囲におけるCCR4発現のスクリーニングの結果
11の異なる腫瘍のタイプ:肺、結腸、膀胱、胃、膵臓、皮膚、乳房、脳、食道、卵巣
および前立腺についての5〜10の腫瘍サンプル及び2〜5の正常なサンプルから単離し
たRNAから生成したcDNAを含む腫瘍のcDNAライブラリ(Cancer Res
earch UK)を使用した。CCR4 mRNAの発現レベルを、定量的なリアルタ
イムRT−PCRを使用して測定した。
【0225】
CCR4 mRNAの発現レベルは子宮頸部、食道、腎臓、脳、乳房および卵巣の癌に
おいて、かなり上昇していた。
【0226】
実験12−子宮頸部および腎癌細胞株におけるCCR4発現の分析
図11は、抗CCR4抗体を使用して、CCR4発現を検出する、子宮頸部(C41、
C33A)および腎癌の細胞株における蛍光標示式細胞分取(FACS)分析の結果を示
す。すべての細胞株は、CCR4を発現した。
図11中の点線は、アイソタイプが一致し
たコントロールの抗体のデータを示す。
【0227】
実験13−腫瘍細胞による一般的なサイトカインのCCR4発現への効果
腫瘍に存在する最も一般的なサイトカインは、IL−10、TGF−β、FGF、TN
F−αである。C41子宮頸癌細胞株を、異なるサイトカイン(IL−10、TNF−α
、TGF−β、FGF;20ng/mL)で24時間、培養において刺激した。次に、C
CR4の発現を、FACS分析によって決定した。
図12に示すように、CCR4は、無
刺激の細胞(黒線)と比較した際に、IL−10、TGF−βおよびFGF刺激後(青色
線)の陽性細胞のパーセンテージの観点から上方制御されていた。点線は、アイソタイプ
のコントロールについてのデータを示す。太線は、刺激の後のCCR4発現を示す。結果
は、腫瘍微小環境が腫瘍細胞上のCCR4の発現を誘導することができることを示す。