(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
河川に架設された既設橋梁から離間した箇所に複数のコンクリート部材からなり河川を挟む両川岸間全域に亘って延伸する頂版を有したプレキャストコンクリート製品を有する仮設橋梁を施工する仮設橋梁施工工程と、
既設道路から分岐し前記仮設橋梁の上面である仮設路面に連続するように迂回路を設ける迂回路施工工程と、
前記仮設橋梁施工工程及び前記迂回路施工工程を経て前記迂回路を設けた後に前記既設橋梁を河川から撤去する既設橋梁撤去工程と、
前記既設橋梁撤去工程が完了した後に、前記既設橋梁が撤去された箇所に車両が通行し得る暫定橋梁を設ける暫定橋梁施工工程と、
前記暫定橋梁施工工程が完了して前記暫定橋梁上を車両が通行し得るようにした後に、前記暫定橋梁に前記仮設橋梁を構成した前記コンクリート部材を少なくとも一部に用いたプレキャストコンクリート製品を連設させて新設橋梁を施工する新設橋梁施工工程とを有する橋梁の施工方法であって、
前記プレキャストコンクリート製品が、底版と、前記底版から起立させた側版と、側版間に設けられた前記頂版とを備えたボックスカルバートであり、このボックスカルバートが、複数の前記コンクリート部材の接合方向にプレストレスが付与されたものであり、
前記仮設橋梁が、前記新設橋梁を構成する前記暫定橋梁が河川に架設されるまでに前記既設橋梁の上流側又は下流側に近接した位置で道路を遮断する時期を設けることなく絶え間ない交通を担保し得るように施工されるものであり、
前記新設橋梁が、前記既設橋梁よりも道幅が広く施工されたものである橋梁の施工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述した通り、架け替えを要する既存橋梁が多い現状に加え、上記手順を経るために個々の架け替え工事毎に多大な工期及び作業量を要する。このような現状のもと、限られた作業量では、架け替え工事が追いつかないために耐用年数が経過する前に架け替え工事が実施し得ず、老朽化したまま放置された既存橋梁を発生させてしまうといった不具合も懸念されている。
【0006】
しかも、上記架け替え工事の期間中においても所要の交通量を担保するために、既存橋梁から置き換えるための新設橋梁のみならず、当該新設橋梁の施工時に使用するための仮設橋梁についても、想定される車両の通行による荷重に有効に耐え得る強度が付与された上で、上述の通り迅速な施工並びに撤収が要求されるのが現状である。
【0007】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、高い強度を有しつつ迅速な施工並びに撤収が可能である橋梁の施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち本発明に係る橋梁の施工方法は、河川に架設された既設橋梁から離間した箇所に複数のコンクリート部材からなり河川を挟む両川岸間全域に亘って延伸する頂版を有したプレキャストコンクリート製品を有する仮設橋梁を施工する仮設橋梁施工工程と、
既設道路から分岐し前記仮設橋梁の上面である仮設路面に連続するように迂回路を設ける迂回路施工工程と、前記仮設橋梁施工工程及び前記迂回路施工工程を経て前記迂回路を設けた後に前記既設橋梁を河川から撤去する既設橋梁撤去工程と、
前記既設橋梁撤去工程が完了した後に、前記既設橋梁が撤去された箇所に車両が通行し得る暫定橋梁を設ける暫定橋梁施工工程と、前記暫定橋梁施工工程が完了して前記暫定橋梁上を車両が通行し得るようにした後に、前記暫定橋梁に前記仮設橋梁を構成した前記コンクリート部材を少なくとも一部に用いたプレキャストコンクリート製品を
連設させて新設橋梁を施工する新設橋梁施工工程とを有する橋梁の施工方法であって、前記プレキャストコンクリート製品が、底版と、前記底版から起立させた側版と、側版間に設けられた前記頂版とを備えたボックスカルバートであり、このボックスカルバートが、複数の前記コンクリート部材の接合方向にプレストレスが付与されたものであり、前記仮設橋梁が、前記新設橋梁
を構成する前記暫定橋梁が河川に架設されるまでに前記既設橋梁の上流側又は下流側に近接した位置で道路を遮断する時期を設けることなく絶え間ない交通を担保し得るように施工されるものであり、前記新設橋梁が、前記既設橋梁よりも道幅が広く施工されたものである。
【0010】
ここで、新設橋梁を施工する箇所である「既設橋梁が撤去された箇所」とは、必ずしも既設橋梁が架設されていた箇所と同一である必要は無いことは言うまでもない。すなわち、新設橋梁を架設する箇所の少なくとも一部と既設橋梁が架設されていた箇所の全部又は一部とが重複している場合も含まれるのは勿論である。また本願の場合は上記の場合のみならず、新設橋梁を施工する箇所が、既設橋梁の存在によって施工できないまでに近接している箇所であれば、例え新設橋梁と既設橋梁との施工箇所が互いに重複しなくとも「既設橋梁が撤去された箇所」に含まれる概念である。
【0011】
このようなものであれば、プレキャストコンクリート製品を用いることにより、施工規模の不要な増大を回避しつつ速やかな施工を実現することで工期の短縮にも寄与し得るのみならず、強度が高く耐久性にも優れた橋梁を提供し得る。またプレキャストコンクリート製品を用いるということは、仮設橋梁施工後の撤収も迅速に行い得ることを意味する。特に本発明に係る橋梁の施工方法は、仮設橋梁に使用していたコンクリート部材を新設橋梁の施工にそのまま使い回すことにより、不要な仮設材料の数を大きく削減でき、さらなる工期の短縮並びに労力の削減に資する。すなわち本発明によれば、施工規模の増大を回避しつつ工期の短縮に寄与し得る橋梁の施工方法を提供することができる。
【0012】
そして、河川に架設される橋梁を好適に施工し得るためのプレキャストコンクリート製品が、底版と、底版から起立させた側版と、側版間に設けられた頂版とを備えたボックスカルバートである。
【0013】
また、複数のコンクリート部材を有するプレキャストボックスカルバートを一体化させ、更に橋梁の強度を有効に向上させるために、プレキャストボックスカルバートを、当該複数のコンクリート部材の接合方向にプレストレスが付与されたものと
している。
【0014】
さらに、仮設橋梁施工後の工程を更に迅速且つ省力的に行い得るようにするためには、既設橋梁撤去工程により既設橋梁が撤去された箇所まで仮設橋梁を構成したコンクリート部材を移動させるコンクリート部材移動工程を有するようにし、このコンクリート部材移動工程を、基礎上でコンクリート部材を仮設橋梁が施工された箇所から既設橋梁が撤去された箇所までスライド動作させる工程であることが望ましい。これにより、コンクリート部材を移動させるためのクレーン等の重機の使用回数又は使用時間を削減することで、施工に係る労力の省力化にも資する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工規模の増大を回避しつつ工期の短縮に寄与し得る橋梁の施工方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る橋梁の施工方法は、例えば両川岸R2間の距離が15m未満である、いわゆる中小の河川Rに架設された
図1に示すような既設橋梁Bを、
図15に示すような新設橋梁NBへと架け替える架け替え工事を迅速且つ円滑に行うためのものである。
図1に示すこの既設橋梁Bは、耐用年数を経過する期限が近付いている既存の橋であるため、詳細な説明を省略する。また同図に示す既設橋梁Bを撤去した後、新たに
図15に示す新設橋梁NBが河川Rに架設されるまでに、対象となる既設橋梁Bの上流側又は下流側に近接した位置で道路を遮断する時期を設けることなく絶え間ない交通を担保すべく、
図6及び
図7に示すような仮設橋梁TBが、一時的に架設される仮の橋として利用される。
【0019】
河川Rは、
図1に示すように、既設橋梁B近傍の領域では現場打ちのコンクリート等により設けられた川岸R2が形成されるとともに、川底R1には通常同様に砂利等が配されている。また勿論、河川Rには一定の水位を保ちながら水が上流から下流へ流れているが、同図では当該水の図示は省略する。
【0020】
新設橋梁NBは、
図14及び
図15に示すように、プレキャストコンクリート製品であるボックスカルバート1と、このボックスカルバート1の頂版13の上面16側に路面40を構成するための路面形成部4と、両端に通常の橋梁同様の地覆9とを有している。路面形成部4は、本実施形態では例えば上面16に車両等を好適に通行させ得る路面40を形成するために通常設けられる例えばアスファルトやコンクリートからなるものである。本実施形態では単層状に形成された路面形成部4を図示しているが勿論、路面40に別途道路交通上必要となる路面標示が施されていたり、中央分離帯や照明灯が別途設置されたりする等、種々の態様を適用し得る。また地覆9の構成についても既存の構成を適宜適用し得るため、詳細な説明を省略する。そしてこの路面形成部4の上面である路面40上を適宜車両等が往来し得るよう、路面40は川岸R2側の既設道路H1に連続している。
【0021】
仮設橋梁TBは、
図6〜
図12に示すように、上記同様のボックスカルバート1と、このボックスカルバート1の上面16側に仮設路面50を形成するための仮設路形成部5と、この仮設路形成部5の両端に設けられたガードレールGRとを有している。仮設路形成部5は後述する仮設橋梁TB施工後から新設橋梁NBの施工までの作業を迅速に行い得るよう、ボックスカルバート1とは完全に分離させ得る構成をなすよう、金属板やプレキャストコンクリート製の版により構成されている。本実施形態では単層状に形成された仮設路形成部5を
図6〜
図12に図示しているが勿論、この仮設路形成部5の構成についても既存の構成を適用し得るため、詳細な説明を省略する。そしてこの仮設路形成部5の上面である仮設路面50上を適宜車両等が往来し得るよう、仮設路面50は川岸R2側に設けられた迂回路H2に連続している。
【0022】
そして上述した通り、新設橋梁NB及び仮設橋梁TBに用いられるボックスカルバート1は基本的に同じ構成を有している。
【0023】
ボックスカルバート1は、
図4〜
図15に示すように、底版11と、底版11から起立させた側版12と、側版12間に設けられた頂版13とを備えた例えば正面視四角環形状をなすコンクリート二次製品である。また当該ボックスカルバート1は河川Rの延伸方向に沿って分割された複数のコンクリート部材2を有する。本実施形態では、平面視同形状をなす4個又は8個のコンクリート部材2を連設させることによってボックスカルバート1を構成しているが勿論、当該コンクリート部材2の個数や寸法は適宜変更することができる。そして複数のコンクリート部材2はそれぞれ、上下両端に配され底版11又は頂版13と側版12の一部とを構成し得る概略コ字状をなす横架部材20と、この横架部材20の両側端に立設され側版12の一部を構成し得る立設部材21とを有するものであり、これら横架部材20並びに立設部材21を施工現場である河川Rへそれぞれ別々に搬入した後、これら横架部材20並びに立設部材21を、コンクリート部材2同士の接合に先だって接合しておくようにしてある。そして本実施形態では、上側に位置する横架部材20の上側が、路面40からの荷重が伝わる支持面22となっている。
【0024】
そして本実施形態では
図8に示すように、ボックスカルバート1の施工に際しては予め設けられた砕石を主体とした支持層S上に基礎SCを設けておく。この基礎SCは、現場打ちコンクリートからなる基礎コンクリートSC1と、この基礎コンクリートSC1内から上面を露出させた状態で配置されたH鋼からなる表面鋼材SC2とを有している。この表面鋼材SC2はH字状をなす向きから90°傾けて配置することで、何れかの平面が基礎コンクリートSC1の上面から僅かに隆起した状態で配置されている。そして、斯かる基礎SC上に、上記ボックスカルバート1が配される。ここで、表面鋼材SC2を基礎コンクリートSC1よりも隆起させて設けることにより、後述通りその後のコンクリート部材2の移動をよりスムーズに行なうことができる。
【0025】
また、ボックスカルバート1の底版11は、新設橋梁NB施工後はその上面に等しい高さまで川底R1が土砂或いは現場打ちコンクリートによって構成される故、当該上面が川底形成面15となり得る。側版12は、底版11の両側から上方に向けて立設されたものであり、新設橋梁NB施工後は内向面が川岸R2と略面一に構成されている川岸形成面19となり得る。なお本願においては説明の便宜上、これら川底形成面15及び川岸形成面19は新設橋梁NB以外を示す図にも図示してある。そして本実施形態では、底版11と側版12との間、側版12と頂版13との間における内面側の一部の領域には、その形状を傾斜させるようにコンクリートを肉厚に形成することによってハンチ1hが設けられている。さらに本実施形態では、当該ハンチ1hに、図示しないPC鋼材等の緊張材を挿通させるため、換言すれば緊締部を形成するためのダクト14が形成されている。
【0026】
緊締部は、本実施形態ではハンチ1hに設けられた計4箇所のダクト14を利用して、例えばPC鋼材を使用し、コンクリート部材2同士を互いに引き寄せ且つ当該コンクリート部材2を圧縮するようなプレストレスを導入するためのものである。本明細書並びに図面では当該緊締部を取り付けるためにハンチ1hに設けられたダクト14のみを図示し、ナット等収容穴の図示を省略している。この緊締部は敢えて図示及び詳細な説明を省略するが、その一例としてPC鋼材と、このPC鋼材を挿通させるためのプレートと、このプレートを押圧すべくPC鋼材の端部にねじ止めされるナットとを有した既存のものである。
【0027】
そして本実施形態では、少なくとも新設橋梁NBの施工の際に基礎SC上に並べられた複数のコンクリート部材2に対し、緊締部によってプレストレスを付与する。これにより、強度が高く設定されたボックスカルバート1の敷設が概ね完了する。また勿論、仮設橋梁TB施工時でも同様にプレストレスを付与してもよい。
【0028】
しかして本実施形態に係る橋梁の施工方法は、既設橋梁Bから離間した箇所に一又は複数のコンクリート部材2からなり河川Rを挟む両川岸R2間全域に亘って延伸する頂版13を有したプレキャストコンクリート製品たるボックスカルバート1を有する仮設橋梁TBを施工する仮設橋梁施工工程ST4と、既設橋梁Bを河川Rから撤去する既設橋梁撤去工程ST6と、仮設橋梁TBを構成したコンクリート部材2を少なくとも一部に用いたボックスカルバート1を有する新設橋梁NBを既設橋梁Bが撤去された箇所に施工する新設橋梁施工工程ST11とを有することを特徴としている。
【0029】
以下、本実施形態に係る橋梁の施工方法を改めて説明すべく当該施工方法の各行程について、
図1〜
図15を改めて順次参照しながら説明する。当該施工方法は上述の通り、仮設橋梁施工工程ST4、既設橋梁撤去工程ST6、新設橋梁施工工程ST11を必須の工程として含むが、施工の省力化、迅速化を更に図るべく、所謂横引き工法と称される工法を適用したコンクリート部材移動工程ST10を含んでいる。そして本実施形態では、上記各工程に加えて更に、基礎施工工程ST1、仮設用部材載置工程ST2、川岸処理工程ST3、迂回路施工工程ST5、基礎延長工程ST7、新設用部材載置工程ST8及び暫定橋梁施工工程ST9といった7つの工程を有した全11工程を含む。なお
図2〜
図14に示す各工程では、予め河川Rを流れる水の流れを遮断するか、別の箇所に迂回させる等により施工現場へ水が流れ込まないための工事を行っているが当該工事についての説明は省略する。
【0030】
基礎施工工程ST1は、
図2及び
図3に示すように、両川岸R2を構成しているコンクリートや川底R1の一部を掘削し、川底R1に基礎SCを施工する工程である。これにより、川岸R2は土砂Dが露出した状態となる。なお
図3では基礎SCの構成のみが現れているが
図8〜
図13に示すように基礎SCの下に砕石等からなる支持層Sを配していることは言うまでもない。
【0031】
仮設用部材載置工程ST2は、
図4に示すように、施工した基礎SC上に仮設橋梁TBを構成するための複数の、図示では四つのコンクリート部材2を連設するように載置し、基礎SC上にボックスカルバート1を設ける工程である。なお同図ではクレーンにより各コンクリート部材2を構成する横架部材20並びに立設部材21を順次載置し接続していく工法を適用している。
【0032】
川岸処理工程ST3は、
図5に示すように、川岸R2に露出した土砂Dが崩れないようにする処理を速やかに行うことができるよう、ボックスカルバート1と土砂Dとの間に土嚢SBを敷き詰めておく工程である。ここで土嚢SBを用いることにより、撤収作業の迅速化を実現して、仮設橋梁TBを移動させるコンクリート部材移動工程ST10へ速やかに移行することができる。また当該川岸処理工程ST3は土嚢SBを使用する代わりに、土砂Dの表面に現場打ちのコンクリートやモルタルを打設する工程とすると、当該セメントやモルタルは撤収後には廃棄処分を要する産業廃棄物となってしまう。すなわち土嚢SBの使用は、速やかな工事の進行に資するのみならず、産業廃棄物の排出量の有効な低減にも寄与している。
【0033】
仮設橋梁施工工程ST4は、
図6に示すように、基礎SC上に設置されたボックスカルバート1上に上述した仮設路形成部5並びにガードレールGRを設置し、ボックスカルバート1の頂版13上を車両等が通行し得るようにした仮設橋梁TBを設ける工程である。なお勿論当該仮設橋梁施工工程ST4において、連接する複数のコンクリート部材2からなるボックスカルバート1のダクト14を設けた箇所を利用して緊締部を用いてプレストレスを付与してもよい。
【0034】
迂回路施工工程ST5は、同じく
図6に示すように、既設道路H1から分岐し仮設橋梁TBの上面である仮設路面50に連続するように迂回路H2を設ける工程である。同図に示すように当該工程は上記仮設橋梁施工工程ST4と平行して行っても、当該工程に先だって行っても良い。
【0035】
既設橋梁撤去工程ST6は、
図7に外観を、
図8に基礎SC等を切断した模式的な断面として示すように、既設橋梁Bを撤去するとともに、仮設橋梁TBを施工した箇所から既設橋梁Bが撤去された箇所まで川岸R2及び川底R1を、基礎SCが施工できるよう掘削する工程である。
【0036】
基礎延長工程ST7は、
図9に示すように、仮設橋梁TBを支持している既に施工されている基礎SCの縁部から既設橋梁Bが撤去された箇所まで新たな基礎SCを施工する工程である。換言すれば既設橋梁Bが撤去された箇所まで基礎SCを延長する工程である。本実施形態では基礎SC内にH鋼からなる表面鋼材SC2が配置された領域を、横引き可能領域SC3としている。なお後述する横引き工法に際し、表面鋼材SC2は必須ではないものの、露出した金属面の存在により、コンクリート部材2を省力的且つ正確にスライド移動させることができる。すなわち、上記金属面を利用することで、コンクリート部材2を好適にスライド移動させ得る既存の搬送用台車を好適に利用することができる。具体的には、上記金属面の上面を搬送用台車の走行部分である回転部分が当該金属面に沿って正確に移動できるため、コンクリート部材2を載せた搬送用台車は正確且つ省力的にコンクリート部材2を運搬し得る。また搬送用台車については既存の種々のものを適用し得るため、詳細な説明を省略する。
【0037】
新設用部材載置工程ST8は、
図10に示すように、新設橋梁NBの施工に際し新たに必要となるコンクリート部材2を載置する工程である。本実施形態では図示しないが当該工程を、
図4に示したものと同じクレーンを用いて上方から載置する工程としている。
【0038】
暫定橋梁施工工程ST9は、
図11に示すように、新設橋梁NBの施工のために新たに載置した例えば四つのコンクリート部材2上に路面形成部4、地覆9及びガードレールGRを設けることにより、ボックスカルバート1の頂版13上を車両等が通行し得るようにした暫定橋梁PBを一時的に設ける工程である。勿論当該暫定橋梁施工工程ST9において、連接する複数のコンクリート部材2からなるボックスカルバート1のダクト14を設けた箇所を利用して緊締部を用いてプレストレスを付与してもよい。
【0039】
コンクリート部材移動工程ST10は、
図12に示すように、仮設橋梁TBを構成していたコンクリート部材2を移動させるための工程である。具体的には当該工程はまず、仮設橋梁TBを構成していたボックスカルバート1にプレストレスが付与されていた場合は当該プレストレスを解除する。そしてしかる後、図示しないウィンチ等を用いて仮設橋梁TBを構成したコンクリート部材2を例えば図示しない上記搬送用台車に載せた状態として、横引き可能領域SC3上でスライド移動させていき、仮設橋梁TB及び暫定橋梁PBを構成していたコンクリート部材2全てを連設させる。
【0040】
新設橋梁施工工程ST11は、
図13〜
図15に示すように、連設した八つのコンクリート部材2からなるボックスカルバート1上に新たに路面形成部4及び地覆9を設けることにより、ボックスカルバート1の頂版13上を車両等が通行し得るようにした新設橋梁NBを設ける工程である。また当該路面形成部4及び地覆9の施工に先立ち、これら八つのコンクリート部材2からなるボックスカルバート1のダクト14を設けた箇所を利用して緊締部を用いてプレストレスを付与しておくことは言うまでもない。
【0041】
そして特に
図14及び
図15に示すように本実施形態では、新設橋梁施工工程ST11に平行するか或いは前後して、
図7に図示されていた迂回路H2が撤去されるとともに新設橋梁NBの路面40に連続するように新設道路H3が設けられるようにしている。このようにして、既設橋梁Bが架設されていた箇所に対し、当該既設橋梁Bよりも道幅が広く、歩道も設けられた新設橋梁NBが迅速且つ省力的に施工される。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る橋梁の施工方法によれば、プレキャストコンクリート製品であるボックスカルバート1を用いることにより、施工規模の不要な増大を回避しつつ速やかな施工を実現することで工期の短縮にも寄与し得るのみならず、強度が高く耐久性にも優れた新設橋梁NBの提供を実現している。またプレキャストコンクリート製品を用いるということは、仮設橋梁TBの撤収も迅速に行い得ることを意味する。また既存の仮設の橋梁撤収時に発生していたような不要となる廃棄物の産出も有効に低減することで、廃棄物撤収の手間も、環境への負荷も有効に低減せしめている。
【0043】
特に本実施形態では、仮設橋梁TBに使用していたコンクリート部材2を新設橋梁NBの施工にそのまま使い回すことにより、不要な仮設材料の数を大きく削減し、さらなる工期の短縮並びに労力の削減を実現している。すなわち実施形態によれば、施工規模の増大を回避しつつ工期の短縮に寄与し得る橋梁の施工が実現されている。
【0044】
そして、本実施形態ではプレキャストコンクリート製品として、プレキャスト底版11と、底版11から起立させた側版12と、側版12間に設けられた頂版13とを備えた概略環状をなすボックスカルバート1を利用することで、迅速な搬入のみならず強固な仮設橋梁TB、新設橋梁NBを実現している。
【0045】
また、橋梁の耐久性並びに強度を更に有効に向上させるために本実施形態では、複数のコンクリート部材2の接合方向にプレストレスが付与する態様を適用している。
【0046】
さらに、仮設橋梁TB施工後の工程を更に迅速且つ省力的に行い得るようにするために本実施形態では、コンクリート部材移動工程ST10を、基礎SC上でスライド動作させる横引き工法によって移動させている。その結果、コンクリート部材2を移動させるためのクレーンCR等の重機の使用を節約することで、施工の省力化も実現している。特にクレーンCRの使用はそのままコンクリート部材2における横架部材20と立設部材21との接合を解除する手間を要することを意味するが、クレーンCRの使用を回避することにより、斯かる接合解除の手間を省くことができる。
【0047】
<変形例>
以下に上記実施形態の変形例について説明する。当該変形例において上記実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0048】
上記実施形態では仮設橋梁TBを施工する際、ボックスカルバート1の頂版13の上面に仮設路形成部5を設置することにより仮設路面50を設けたが、当該仮設路形成部5並びに仮設路面50をより設置し易いように、川岸R2側から架設版Fを延出させて頂版13の上面に連続させておくことも有効である。斯かる態様を適用し易いように、ボックスカルバート1の頂版13の縁部近傍に、版受け台10を設けるようにしても良い。
【0049】
すなわち当該変形例は
図16に示すように、頂版13が延伸方向の両端で川岸R2側に仮設路面50を連続させるための架設版Fに隣接するものであり、これに応じてボックスカルバート1が架設版Fの端部を下方から支持する版受け台10を一体に形成している態様である。同図では仮設橋梁TBに版受け台10を機能させた態様を示している。このように当該構成により、仮設橋梁TB上の仮設路面50とこれに接続する川岸R2側の迂回路H2との不要な段差を解消し易くし、仮設橋梁TBの性能を有効に向上させることができる。同図では、版受け台10の上側面である受け面10aと架設版Fの端部下面との間に形成される上下方向に離間した空間には、受け面10a及び架設版F表面の僅かな凹凸、換言すれば不陸を調整するための、例えばウレタン等の緩衝材からなる介在部材8が設けられている。そして同図の態様では、版受け台10上に構成される、頂版13の端面と架設版Fの端面との間に形成される面方向に離間した空間に対しては高弾性接着剤7を充填している。しかし勿論、通常の道路施工時に用いられるアスファルトを主体とした瀝青材を高弾性接着剤7に代えて用いても良い。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0051】
仮設橋梁に用いたコンクリート部材の移動は横引き工法による移動に限られず、クレーン等の重機による移動でも良い。その場合、仮設橋梁の施工箇所と新設橋梁の施工箇所との間に、専ら横引きのみに利用される基礎を設ける必要が無くなる。また仮設橋梁に用いたコンクリート部材を設置した位置から既設橋梁が設置されていた位置に亘る道幅を有する、既設橋梁よりも道幅の広い新設橋梁を施工する場合もあり得る。斯かる場合には、仮設橋梁施工時に用いたコンクリート部材を何ら移動させずに新設橋梁を施工し得るケースも発生することとなる。
【0052】
また、上記新設橋梁を専らプレキャストコンクリート製品の頂版のみが河川に仮設される態様を開示したが勿論、一部現場打ちのコンクリートや他の構造体を用いて新設橋梁を施工しても良い。すなわち、新設橋梁の少なくとも一部に仮設橋梁に用いられていたコンクリート部材が用いられていればよい。また一方で、新設橋梁に用いるコンクリート部材の全てが仮設橋梁で用いられたコンクリート部材の全部又は一部により構成される態様を妨げない。さらに、上記実施形態では各コンクリート部材の形状を説明の便宜上同じ形状としたが勿論、河川の形状を鑑みてコンクリート部材の形状を適宜互いに異なる形状としてもよい。また複数のコンクリートを緊締するための構成や緊締する具体的な箇所や手順といった具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0053】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。