(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーが、1以上の硬化性成分を含む組成物の熱硬化により調製され、該成分の少なくとも1つがジアルキルシロキサン基を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーが、エポキシ基を架橋剤と反応させ、これにより部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーを形成することを含む方法により調製される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
‘硬化’という用語および‘架橋’という用語は、本文書の全体にわたり互換性のあるものとして用いられる。
簡潔にするために、上記硬化ポリマー層を、以下ではしばしば“ガター層”と略す。ジアルキルシロキサン基を含み部分的に硬化している放射線硬化性ポリマーを、以下ではしばしば“PCPポリマー”と略す。
【0010】
多孔質支持体の主な目的は、著しく流束を低下させることなく識別層に機械的強度を提供することである。したがって、多孔質支持体は、識別層と比較して、典型的には細孔が開いている。
【0011】
多孔質支持体は、例えば、微孔質の有機もしくは無機膜、または織布もしくは不織布であることができる。多孔質支持体は、任意の適した材料から構築することができる。そのような材料の例としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(4−メチル1−ペンテン)および特にポリアクリロニトリルが挙げられる。
【0012】
例えば、市販の多孔質シート材料を支持体として用いてもよい。あるいは、微孔質材料の調製に関し当分野で一般に公知の技術を用いて、多孔質支持体を調製してもよい。一態様において、硬化性成分を硬化することにより多孔質の非識別性支持体を調製することができ、その後、形成した多孔質支持体に硬化性成分をさらに施用し、そのような成分を硬化し、これにより、既に硬化している多孔質支持体上に硬化ポリマー層および識別層を形成することができる。
【0013】
多孔質支持体はシート型に限定されない;中空繊維のようなチューブラー型の多孔質支持体も用いることができる。
例えば湿潤性および/または付着力を改善する目的で、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などに付してある多孔質支持体を用いることもできる。そのような処理は、本プロセスの段階b)とc)の間に施用することもできる。
【0014】
多孔質支持体は、ガター層およびこれに続く識別層のための平滑表面を提供することに矛盾しない、可能な限り大きな細孔を持っていることが好ましい。多孔質支持体は、好ましくは識別層の平均細孔サイズより少なくとも約50%大きい、より好ましくは少なくとも約100%大きい、特に少なくとも約200%大きい、とりわけ識別層の平均細孔サイズより少なくとも約1000%大きい平均細孔サイズを有する。
【0015】
多孔質支持体を貫通する細孔は、典型的には0.001〜10μm、好ましくは0.01〜1μmの平均径を有する。多孔質支持体の表面の細孔は、典型的には0.001〜0.1μm、好ましくは0.005〜0.05μmの直径を有する。細孔径は、例えば、走査型電子顕微鏡法(“SEM”)により多孔質支持体の表面を観察することによるか、支持体を切断して、多孔質支持体内部の細孔の直径をやはりSEMにより測定することにより、決定することができる。
【0016】
多孔質支持体の表面の多孔率は、多孔率%、すなわち、
多孔率%=100%×
(細孔により欠落している表面の面積)
(全表面積)
として表すこともできる。
【0017】
上記計算に必要な面積は、SEMを用いて多孔質支持体の表面を精査することにより決定することができる。したがって、好ましい態様において、多孔質支持体は、>1%、より好ましくは>3%、特に>10%、さらに特に>20%の多孔率%を有する。
【0018】
多孔質支持体の多孔率は、CO
2ガスの透過率(単位はm
3(STP)/m
2.s.kPaである)として表すこともできる。複合膜がガス分離での使用を対象とする場合、多孔質支持体は、好ましくは5〜150×10
−5m
3(STP)/m
2.s.kPa、より好ましくは5〜100、もっとも好ましくは7〜70×10
−5m
3(STP)/m
2.s.kPaのCO
2ガスの透過率を有する。
【0019】
あるいは、多孔率は、多孔質支持体を通過するN
2ガスの流量を測定することにより特徴付けられる。ガス流量は、任意の適した技術、例えば、Porometer.comから入手可能なPorolux
TM 1000機器を用いることにより、決定することができる。典型的には、Porolux
TM 1000を最大圧力(約34bar)に設定し、供試多孔質支持体を通過するN
2ガスの流量(L/分)を測定する。有効試料面積2.69cm
2(有効直径18.5mm)の場合、約34barの圧力において多孔質支持体を通過するN
2流量は、好ましくは>1L/分、より好ましくは>5L/分、特に>10L/分、さらに特に>25L/分である。これらの流量は多い方が好ましい。これは、得られる複合膜のガス流束が多孔質支持体により低下する可能性が低下するためである。
【0020】
上記多孔率%および透過率は、複合膜を作製するために用いられる多孔質支持体に関連する(すなわち、段階a)を実施する前)。
多孔質支持体は、好ましくは20〜500μm、好ましくは50〜400μm、特に100〜300μmの平均厚さを有する。
【0021】
多孔質支持体として、限外濾過膜、例えば、ポリスルホン限外濾過膜、セルロース系限外濾過膜、ポリテトラフルオロエチレン限外濾過膜、ポリフッ化ビニリデン限外濾過膜、および特にポリアクリロニトリル限外濾過膜を用いることができる。非対称限外濾過膜、例えば、多孔質ポリマー膜(好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmの厚さ)および所望により織布または不織布支持体を含むものを、用いることができる。多孔質支持体は、望ましい構造強度を保持しているという条件で、できるだけ薄いことが好ましい。
【0022】
望ましい場合、いくつかの技術のいずれかにより、硬化性組成物が多孔質支持体中に深く浸透するのを妨げることができる。例えば、そのような浸透が起こらないようにするのに十分な高い粘度を有する硬化性組成物を選択することができる。この点を考慮すると、放射線硬化性組成物は、25℃において好ましくは0.1〜500Pa.s、より好ましくは25℃において0.1〜100Pa.sの粘度を有する。
【0023】
あるいは、該プロセスは、所望により、放射線硬化性組成物を多孔質支持体に施用する前に、多孔質支持体の細孔を不活性液体で満たす段階を含む。この技術は、より薄い膜を形成することができ、より多くの施用技術をより低粘度の放射線硬化性組成物に使用することができるという点で、上記第1の技術に勝る利点を有する。
【0024】
硬化性組成物が多孔質支持体中に過度に浸透しないことを確実にするための他の選択肢は、放射線硬化性ポリマーの流体力学半径(R
hyd)を増大させることである。R
hydは、放射線硬化性ポリマーを架橋する程度を増大させることにより、増大させることができる。R
hydは、動的光散乱により適切に決定することができる。
【0025】
部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーのR
hydは、多孔質支持体の表面の細孔の少なくとも50%の平均径の半分より大きいことが好ましい。良好な付着を達成するために、ある程度の浸透が好ましい。
【0026】
本発明のプロセスは、所望により、PCPポリマーを調製する段階を含む。例えば、1以上の硬化性成分(例えば、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマー)を含む組成物であって、該成分の少なくとも1つがジアルキルシロキサン基を含む組成物を、部分的に硬化することができる。部分硬化は、熱的に開始させる重合プロセスにより実施することが好ましい。
【0027】
好ましい態様において、硬化性成分の少なくとも1つは、熱硬化性および放射線硬化性の両方である基を含む。これは、その場合、PCPポリマーの調製に熱的に開始させるプロセスを用いた後、段階b)において硬化ポリマー層を形成するために放射線で開始させるプロセスを用いることができるためである。
【0028】
あるいは、熱硬化性基および放射線硬化性基は異なる基で、PCPポリマーを形成するために用いられる同一成分の一部である。
熱硬化は比較的緩慢なプロセスであるため、硬化性成分を熱的に部分硬化してPCPポリマーを形成した後、熱硬化プロセスを停止または減速させ、続いてPCPポリマーを含有する組成物を、不活性溶媒を含む組成物の形で支持体に施用した後(段階a))、支持体上の組成物に照射して、厚さ20〜400nmの硬化ポリマー層を支持体上に形成することができる(段階b))。熱硬化プロセスは、適した時間に冷却(例えば30℃未満に)、および/または組成物の希釈、および/または存在する場合はPCPポリマーを作製するために用いられる触媒の除去を行うことにより、簡単に停止または減速させることができる。PCPポリマーの形成段階における部分硬化、およびPCPポリマーを多孔質支持体に施用した後の最終硬化に2つの異なる機構を用いると、該プロセスがより柔軟になり、大規模生産に適したものになる。
【0029】
熱的および照射の両方により硬化することができる基としては、エポキシ基およびエチレン性不飽和基、例えば、(メタ)アクリレート基および(メタ)アクリルアミド基などの(メタ)アクリル基が挙げられる。
【0030】
典型的には、PCPポリマーを形成するために用いられる成分は、それらが互いに反応性を示すように選択する。PCPポリマーを形成するために用いられる成分の1以上は、1より多くの硬化性基を有することもできる。エチレン性不飽和基を有する成分は、フリーラジカル機構により他の成分と反応することができ、あるいは、例えば1以上のチオールまたはアミン基を有する求核成分と反応することができる。
【0031】
PCPポリマーは、以下:
(i)熱硬化性および放射線硬化性の両方であり、1以上のジアルコキシシラン基を含む成分;
(ii)加熱されると成分(i)と共重合することができる架橋剤;および
(iii)不活性溶媒;および所望により
(iv)触媒;
を含む組成物を熱硬化することにより得ることが好ましい。
【0032】
組成物中に存在する不活性溶媒の量は、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜80重量%、特に30〜70重量%である。便宜上、上記組成物中に存在する不活性溶媒は、本プロセスの段階a)で用いられる組成物中に存在する不活性溶媒として機能することもできる。
【0033】
成分(i)は、1分子あたり少なくとも3つの放射線硬化性基を含むことが好ましい。
ジアルキルシロキサン基中のアルキル基は、それぞれ独立して、C
1−4−アルキル基、特にメチル基であることが好ましい。
【0034】
成分(i)は、フェニルシロキサン基(例えば、式−(Si(Ph)
2−O)−基[式中、Phはフェニルまたはフェニレン基である]のもの)を含まないことが好ましい。
成分(i)は、好ましくは1〜500kDa、好ましくは1〜100kDa、特に2〜50kDaの数平均分子量(“NAMW”)を有する。NAMWは、当分野で公知の任意の技術、例えば、動的光散乱またはサイズ排除クロマトグラフィーにより決定することができる。
【0035】
成分(i)は、PCPポリマーを作製するために用いられる組成物の重量に対し、好ましくは1〜95重量%、より好ましくは5〜75、特に10〜50重量%の量で存在する。
【0036】
成分(i)の例として、ポリジメチルシロキサンエポキシ(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン(メタ)アクリレート、およびアリル修飾、ビニル修飾、(メタ)アクリル修飾、エポキシ−修飾ポリジメチルシロキサン、ならびにそれらの2以上を含む混合物を挙げることができる。
【0037】
成分(i)は、1以上のジアルコキシシラン基成分を含むいくつかの異なる放射線硬化性成分を含むこともできる。
成分(i)はまた、1以上の熱硬化性基を含む。成分(i)が熱硬化してPCPポリマーをもたらすことができるように、これは必須である。
【0038】
PCPポリマーを作製するために用いられる組成物は、以下の式を満たすことが好ましい:
(Mii×Nii)/(Mi×Ni)=Y
[式中:
Yは、0.01〜0.99であり;
Miは、成分(i)のモル数であり;
Niは、成分(i)1モルあたりの熱硬化性基の平均数であり;
Miiは、成分(ii)のモル数であり;そして
Niiは、成分(ii)1モルあたりの熱硬化性基の平均数である]。
【0039】
Yは、好ましくは0.02〜0.50、より好ましくは0.02〜0.20である。
熱硬化性基の素性(identity)は特に限定されず、例えば、エポキシ基、エチレン性不飽和基、ベンゾオキサジン基、ナフトオキサジン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、プロパルギル基、エチニル基およびアセチレン基が包含される。エチレン性不飽和基またはエポキシ基を用いると、得られるPCPポリマーを確実に放射線硬化性にすることもできる。
【0040】
放射線硬化性基(1以上)の素性は特に限定されず、例えば、エポキシ基、またはアクリル基、ビニル基および(メタ)アクリル基などのエチレン性不飽和基が包含される。
PCPポリマーを作製するために用いられる熱硬化段階は、実施する場合、好ましくは60〜150℃、より好ましくは75〜125℃の温度で行う。熱硬化反応は、望ましいPCPポリマーを得るために、上記したように、冷却および/または希釈および/または熱硬化性組成物からの触媒(存在する場合)の除去により、停止させることができる。希釈する場合、成分(ii)と同じ材料を用いることが好ましい。
【0041】
架橋剤は、得られるPCPポリマーの流体力学半径を、例えば多孔質支持体の表面の平均細孔サイズより大きいサイズに増大させるのに有用である。このようにすると、多孔質支持体に不活性溶媒を含浸させておかなくても、多孔質支持体の細孔中への硬化性組成物の侵入は減少する。
【0042】
成分(ii)として用いることができる架橋剤の例としては、以下が挙げられる:ジルコニウム、チタンまたはニオブのアルコキシド、例えば、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)エトキシド、ジルコニウムプロポキシドおよび/またはニオブエトキシド;(シクロ)脂肪族または芳香族ジ−、トリ−またはポリ−カルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、トリメシン酸;(シクロ)脂肪族または芳香族ジ−、トリ−またはポリ−チオール、例えば、1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、ベンゼン−1,2−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、ベンゼン−1,4−ジチオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオールまたはトルエン−3,4−ジチオール;(シクロ)脂肪族または芳香族ジ−、トリ−またはポリ−アミン、例えば、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、カダベリン、ヘキサメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、1,2−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)エタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、4−アミノベンジルアミン、o−キシリレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン;あるいは、(シクロ)脂肪族または芳香族酸無水物、例えば、無水コハク酸、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、無水グルタル酸、フェニルコハク酸無水物、ピロメリト酸二無水物、または無水フタル酸。
【0043】
不活性溶媒(iii)の機能は、PCPポリマーを作製するために用いられる組成物に、熱架橋反応の効率的な進行に適した濃度をもたらすことである。典型的には、成分(iii)として用いられる不活性溶媒は、1以上の有機溶媒、特に水不混和性有機溶媒(1以上)を含む。不活性溶媒は、硬化性ではないので“不活性”とする。
【0044】
不活性溶媒の例として、以下を挙げることができる:C
5−C
10(シクロ)アルカン、ベンゼン、アルキルベンゼン(例えばトルエン)、C
3−C
10(所望により分枝状)ケトン、C
4−C
10環状ケトン、C
4−C
10(所望により分枝状)エステル、C
4−C
10環状エステル、C
4−C
10(所望により分枝状)エーテル、C
4−C
10環状エーテル、ならびに特にn−ヘプタンおよびn−オクタン。不活性溶媒は、上記好ましい不活性溶媒の好ましくは1以上、特に1〜8種を含む。
【0045】
適した触媒(IV)としては、例えば、アミン、ホスホニウムおよび金属化合物、例えば、2−エチルヘキシルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ドデシルジメチルアミン、n,n−ジメチルベンジルアミン、2−エチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、テトラメチルグアニジン、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、架橋ポリビニルピリジンなどのアミン、ならびにポリマー結合1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンヒドロクロリド、ポリマー結合1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンおよびポリマー結合テトラアルキルアンモニウムカーボネートなどのポリマー結合アミン;テトラブチルホスホニウムブロミド、ペンチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ポリマー結合トリフェニルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム化合物;チタン(iv)イソプロポキシド、ジイソプロポキシチタン−ビス−(アセチルアセトネート)、チタン(iv)2−エチルヘキシルオキシド、チタン(iv)ブトキシド、チタンブチルホスフェート、ジルコニウム(iv)プロポキシド、ジルコニウム(iv)エトキシド、ジルコニウム(iv)アセチルアセトネート、ジルコニウム(iv)ビス(ジエチルシトラト)−ジプロポキシド、ニオブエトキシド、アルミニウムアセチルアセトネート、乳酸アルミニウム、オクタン酸ビスマス、オクタン酸カルシウム、ナフテン酸セリウム、クロム(iii)2−エチルヘキサノエート、オクタン酸コバルト、銅(ii)アセチルアセトネート、鉄(iii)アセチルアセトネート、マグネシウム2,4−ペンタジオネート、ナフテン酸マンガン、ニッケルアセチルアセトネート、オクタン酸第一スズ、チタンエチルアセトアセテートキレート化合物、チタンアセチルアセトネートキレート化合物、チタントリエタノールアミンキレート化合物、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、亜鉛ジ−2−エチルヘキシルジチオ−ホスフェート、硝酸亜鉛、オクタン酸亜鉛、ジルコニウム6−メチルヘキサンジオン、オクタン酸ジルコニウム、ジルコニウム(iv)トリフルオロアセチルアセトンなどの金属化合物、などが挙げられる。触媒は、硬化性成分の全重量に対し、一般に約0.004〜約1重量%、好ましくは約0.01〜約0.5重量%の濃度で用いられる。
【0046】
段階a)で用いられる放射線硬化性組成物は、以下を含むことが好ましい:
(1)0.5〜50重量%のPCPポリマー;
(2)0〜5重量%の光開始剤;および
(3)50〜99.5重量%の不活性溶媒。
【0047】
PCPポリマーが放射線硬化性であるためには、それは少なくとも1つの放射線硬化性基を有する。放射線硬化性基としては、エチレン性不飽和基(例えば、(メタ)アクリル基(例えばCH
2=CR−C(O)−基)、特に(メタ)アクリレート基(例えばCH
2=CR−C(O)O−基)、(メタ)アクリルアミド基(例えば、CH
2=CR−C(O)NR−基)[式中、各Rは、独立して、HまたはCH
3である])および特にエポキシド基(例えば、グリシジルおよびエポキシシクロヘキシル基)が挙げられる。PCPポリマーはエポキシド基を含むことが好ましい。これは、そのような基は、酸素の存在による硬化阻害の問題を有さないためである。PCPポリマーは酸素に対する親和性が高く、この酸素は場合によっては他の硬化性基の硬化を阻害する可能性がある。
【0048】
好ましいエチレン性不飽和基はアクリレート基である。これは、特に段階b)での照射に紫外線を用いる場合、アクリレート基は重合速度が速いためである。アクリレート基を有する多くの化合物はまた、商業的供給源から容易に入手することができる。
【0049】
光開始剤は硬化性組成物に包含させることができ、通常、段階b)で紫外線放射を用いるときに必要とされる。適した光開始剤は、ラジカルタイプ、カチオンタイプまたはアニオンタイプの光開始剤など当分野で公知のものである。
【0050】
PCPポリマーがエポキシ、オキセタン、他の開環性複素環式基またはビニルエーテル基などの硬化性基を含む場合、カチオン光開始剤が好ましい。
好ましいカチオン光開始剤としては、非求核性アニオン、例えば、ヘキサフルオロアルシネートアニオン、六フッ化アンチモン(V)アニオン、六フッ化リンアニオンおよびテトラフルオロボレートアニオンの有機塩が挙げられる。市販のカチオン光開始剤としては、UV−9380c、UV−9390c(Momentive performance materialsにより製造されている)、UVI−6974、UVI−6970、UVI−6990(Union Carbide Corp.により製造されている)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(Sartomer Corp.により製造されている)、Adekaoptomer
TM SP−150、SP−151、SP−170、SP−171(Asahi Denka Kogyo Co.,Ltd.により製造されている)、Irgacure
TM 250、Irgacure
TM 261(Ciba Specialty Chemicals Corp.)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(Nippon Soda Co.,Ltd.)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103およびBBI−103(Midori Chemical Co.,Ltd.)が挙げられる。上記カチオン光開始剤は、個別または2種以上の組合わせのいずれかで用いることができる。
【0051】
ラジカルタイプIおよび/またはタイプIIの光開始剤を用いることもできる。
ラジカルタイプIの光開始剤の例は、国際公開WO2007/018425号、14頁23行〜15頁26行に記載されているとおりであり、これを本明細書中で参考として援用する。
【0052】
ラジカルタイプIIの光開始剤の例は、国際公開2007/018425号の15頁27行〜16頁27行に記載されているとおりであり、これを本明細書中で参考として援用する。
【0053】
1以上のアクリレート基を含むPCPポリマーの場合、タイプIの光開始剤が好ましい。特に、アルファ−ヒドロキシアルキルフェノン、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−tert−ブチル−)フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−[4’−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]、アルファ−アミノアルキルフェノン、アルファ−スルホニルアルキルフェノン、ならびに、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートおよびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが好ましい。
【0054】
放射線硬化性組成物中に存在する光開始剤と放射線硬化性成分の重量比は、好ましくは0.001〜0.2対1、より好ましくは0.01〜0.1対1である。用いる光開始剤の量を最小限にすることが好ましい、言い換えれば、すべての光開始剤が段階b)の後に反応してしまっていることが好ましい。単一タイプの光開始剤を用いることができるが、いくつかの異なるタイプの組合わせを用いることもできる。
【0055】
放射線硬化性組成物に光開始剤を包含させない場合、該組成物は、電子ビーム暴露により有利に硬化することができる。電子ビーム出力は50〜300keVであることが好ましい。硬化は、プラズマまたはコロナ暴露により達成することもできる。
【0056】
不活性溶媒(3)の機能は、放射線硬化性組成物に、硬化性組成物を多孔質支持体に施用するために用いられる特定の方法に適した粘度をもたらすことである。通常、高速施用プロセスの場合は粘度の低い不活性溶媒が選ばれる。成分(3)の部数は、好ましくは70〜99.5重量%、より好ましくは80〜99重量%、特に90〜98重量%である。
【0057】
特定の態様では、溶媒は存在しない。
不活性溶媒は、PCPポリマーの調製に関し上記した溶媒から選択することが好ましい。
【0058】
放射線硬化性組成物は、他の成分、例えば、界面活性剤、表面張力改質剤、粘度向上剤、殺生物剤、PCPポリマーもしくは他の構成成分と共重合することができる他の成分を、含有することができる。
【0059】
放射線硬化性組成物は、任意の適したコーティング技術、例えば、カーテンコーティング、メニスカス型浸漬コーティング、キスコーティング、前計量式(pre-metered)スロットダイコーティング、リバースもしくはフォワードキスグラビアコーティング、マルチロールグラビアコーティング、スピンコーティングおよび/またはスライドビードコーティングにより、多孔質支持体に施用することができる。
【0060】
放射線硬化性組成物を、多層コーティング法により、例えば、段階b)を実施するための照射源のいずれかの側で連続多層コーティング法を用いて段階a)およびc)を実施して、支持体上にコーティングすることができると好都合である。
【0061】
好ましい連続多層プロセスでは、放射線硬化性組成物の層および識別層(または識別層を調製するために用いられる化学物質)を、識別層に先立ち放射線硬化性組成物を施用して、支持体に連続的に施用する。
【0062】
高速コーティング機で使用するのに十分な流動性を有する組成物を生じさせるために、放射性硬化性組成物は、好ましくは25℃で測定して4000mPa.s未満、より好ましくは25℃で測定して0.4〜1000mPa.sの粘度を有する。放射線硬化性組成物の粘度は、25℃で測定して0.4〜500mPa.sであることがもっとも好ましい。スライドビーズコーティングなどのコーティング法の場合、好ましい粘度は、25℃で測定して1〜100mPa.sである。放射線硬化性組成物中の溶媒の量を制御することにより、および/または放射線硬化性ポリマーの調製条件により、望ましい粘度を達成することが好ましい。
【0063】
上記多層コーティング法のうち、所望により1つを用いて、不活性溶媒がより少量である層を多孔質支持体に施用した後、放射線硬化性組成物を施用することができる。
適したコーティング技術を用い、少なくとも5m/分、例えば、少なくとも10m/分またはさらに高速、例えば、15m/分、20m/分、またはさらに最高100m/分のコーティング速度を達成することができる。好ましい態様では、放射線硬化性組成物を、上記コーティング速度の1つで支持体に施用する。
【0064】
支持体に施用される単位面積あたりの硬化性組成物の量を制御することにより、支持体上の硬化ポリマーの厚さに影響を及ぼすことができる。例えば、単位面積あたりの硬化性組成物の量が増大すると、得られる硬化ポリマー層の厚さも増大する。同じ原理が、識別層および所望による保護層の形成にも当てはまる。
【0065】
本発明は、固定された多孔質支持体を用いてバッチ式で実行することが可能であるが、本発明の利点を十分に得るためには、移動する多孔質支持体を用いて連続式でプロセスを実施することが遙かに好ましく、例えば、多孔質支持体は、連続的に巻かれていないロールの形にあることができ、または、多孔質支持体は、連続的に駆動されるベルト上に載っていることができる。そのような技術を用いると、放射線硬化性組成物を連続式で多孔質支持体に施用することができ、または、大規模なバッチ式で施用することができる。放射線硬化性組成物膜からの不活性溶媒の除去は、放射線硬化性組成物を支持体に施用した後の任意の段階において、例えば蒸発により達成することができる。
【0066】
したがって、好ましいプロセスでは、放射線硬化性組成物施用ステーションを含む製造ユニットにより段階a)において放射線硬化性組成物を多孔質支持体に連続的に施用し、放射線硬化性組成物施用ステーションの下流に設置されている照射源を用いて段階b)を実施し、識別層施用ステーションにより段階c)において識別層を硬化ポリマー層上に形成し、得られた複合膜を収集ステーションで収集する。これに関し、該製造ユニットは、多孔質支持体を、放射線硬化性組成物施用ステーションから、照射源、識別層施用ステーション、および複合膜収集ステーションに移動させる手段を含む。
【0067】
所望により、識別層を、放射線硬化プロセスにより硬化ポリマー層上に形成する。そのような状況では、製造ユニットはさらに、識別層施用ステーションの下流に設置される照射源またはヒーターを含み、これにより、識別層を形成するために用いられる成分を放射線硬化または熱硬化することが好ましい。
【0068】
プロセス段階が(b)、(c)、(d)(存在する場合)の順で行われるように、放射線硬化性組成物施用ステーションは、照射源に対し上流の位置に設置することができ、照射源は識別層施用ステーションに対し上流の位置に設置される。
【0069】
望ましい場合、段階c)を、段階a)を実施するために用いられるものとは異なる製造ユニットを用いて実施してもよい。したがって、段階a)およびb)を実施し、段階b)の生成物を蓄えた後、段階c)および所望により後で段階d)を、段階a)およびb)に用いたものと同じ製造ユニットまたは異なる製造ユニットのいずれかを用いて、実施することができる。
【0070】
通常、ガター層(段階b)で形成する)は、識別層のための平滑な連続表面を提供する機能を有する。ガター層には細孔がないことが好ましいが、識別層はガター層中の微小欠陥をしばしば満たすことができるので、通常、多少の細孔の存在により最終膜の透過性が低減することはない。
【0071】
段階b)で形成した硬化ポリマー層は、好ましくは25〜400nm、より好ましくは50〜400nm、または30〜350nm、特に50〜300nm、例えば、70〜120nm、または130〜170nm、または180〜220nm、または230〜270nmの厚さを有する。厚さは、層を切断し、その横断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または偏光解析法を用いて検討することにより、決定することができる。“厚さ”は、多孔質支持体の上面上に存在する層の部分をさし、膜が乾燥しているときに測定される平均値である。支持体の細孔内に存在する放射線硬化性組成物の部分は、考慮に入れない。
【0072】
硬化ポリマー層(すなわちガター層)は実質的に非孔質である、すなわち、層中に存在するあらゆる細孔が<1nmの平均径を有することが好ましい。これは、著しく大きい可能性がある欠陥の存在を排除するものではない。上記のように、欠陥は識別層により補正される可能性がある。
【0073】
照射段階b)は、放射線硬化性組成物を重合させるのに必要な放射線の波長および強度をもたらす任意の照射源を用いて実施することができる。例えば、組成物を硬化するために電子ビーム、紫外線、可視線および/または赤外線を用いることができ、組成物に適合するように適した放射線を選択する。紫外線硬化の場合、水銀アーク灯がとりわけ有効であるが、発光ダイオードを用いることもできる。
【0074】
放射線硬化性組成物の放射線硬化は、放射線硬化性組成物を多孔質支持体に施用してから好ましくは7秒以内、より好ましくは5秒以内、もっとも好ましくは3秒以内に開始させる。
【0075】
硬化は、硬化性組成物に好ましくは30秒未満、より好ましくは10秒未満、例えば5秒未満にわたり照射することにより達成する。
段階b)において、放射線硬化性組成物は、紫外線または電子ビームで照射することが好ましい。
【0076】
段階b)に関する照射には、紫外線を用いることが好ましい。適した波長は、組成物中に包含される任意の光開始剤の吸収波長と波長が適合するという条件で、例えば、UV−A(400〜>320nm)、UV−B(320〜>280nm)、UV−C(280〜200nm)である。
【0077】
適した紫外線源としては、水銀アーク灯、炭素アーク灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、旋回流プラズマアーク灯、金属ハロゲン化物灯、キセノン灯、タングステン灯、ハロゲン灯、レーザーおよび紫外線発光ダイオードが挙げられる。中圧または高圧水銀蒸気タイプの紫外線発光ランプがとりわけ好ましい。これに加えて、ランプの発光スペクトルを改変するために、金属ハロゲン化物などの添加剤が存在していてもよい。大抵の場合、200〜450nmに発光極大を有するランプがとりわけ適している。
【0078】
照射源のエネルギー出力は、好ましくは20〜1000W/cm、好ましくは40〜500W/cmであるが、望ましい暴露線量を実現することができるならば、これより高くても低くてもよい。
【0079】
識別層は、平均径が2nm未満、好ましくは1nm未満である細孔を有することが好ましく、実質的に非孔質であることが好ましい。識別層は、非常に低い液体透過性を有することが好ましい。
【0080】
識別層は、好ましくは10〜300nm、より好ましくは10〜150nm、特に20〜100nmの乾燥厚さを有する。これは、実施例に示すように、より薄い識別層を用いることにより、選択率および流束を向上させることができるためである。
【0081】
乾燥厚さは、複合膜を切断し、ガター層上の識別層の厚さを走査型電子顕微鏡を用いて測定することにより、決定することができる。
識別層を作製するために用いられる組成物は、ポリマー、不活性溶媒、および所望により開始剤を含むことが好ましい。不活性溶媒は、識別層を形成するために用いられるポリマーを溶解することができる任意の溶媒であることができる。溶媒の適性は、ポリマーの性質および望ましい濃度により決定される。適した溶媒としては、水、C
5−10−アルカン、例えば、シクロヘキサン、ヘプタンおよび/またはオクタン;アルキルベンゼン、例えば、トルエン、キシレンおよび/またはC
10−C
16アルキルベンゼン;C
1−6−アルカノール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノールおよび/またはシクロヘキサノール;線状アミド、例えば、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド;ケトンおよびケトン−アルコール、例えば、アセトン、メチルエーテルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよび/またはジアセトンアルコール;エーテル、例えば、テトラヒドロフランおよび/またはジオキサン;ジオール、好ましくは、2〜12の炭素原子を有するジオール、例えば、ペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールおよび/またはチオジグリコール;オリゴ−およびポリ−アルキレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコール;トリオール、例えば、グリセロールおよび/または1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C
1−4−アルキルエーテル、好ましくは、2〜12の炭素原子を有するジオールのモノ−C
1−4−アルキルエーテル、例えば、2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2エトキシエトキシ)−エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)−エトキシ]−エタノールおよび/またはエチレングリコールモノアリルエーテル;環状アミド、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタムおよび/または1,3−ジメチルイミダゾリドン;環状エステル、例えば、カプロラクトン;スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシドおよび/またはスルホラン;ならびに、前記のものの2以上を含む混合物、が挙げられる。
【0082】
識別層は、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシドまたはポリエーテルイミド、特に、トリフルオロメチル基を含むポリイミドを含むことが好ましい。とりわけ好ましい識別層は、式(1)の基を含むポリイミドを含む:
【0084】
トリフルオロメチル基を含むポリイミドは、例えば、米国再発行特許第30351号(米国特許公報第3899309号に基づく)、米国特許公報第4717394号および米国特許公報第5085676号に記載されている一般的方法により調製することができる。
【0085】
識別層をガター層への施用後に硬化する場合、識別層を調製するために用いられる組成物は、開始剤、好ましくは熱開始剤または光開始剤を含むことが好ましい。開始剤は、ガター層に関し上記したものから選択することができる。
【0086】
識別層は、任意の適した技術、例えば、ガター層の調製に関して上記したコーティング法のいずれかを含むプロセスにより、硬化ポリマー層(ガター層)上に形成することができる。
【0087】
識別層の硬化ポリマー層上への付着性を改善するために、後者をコロナ放電またはプラズマ処理により処理してから、該層上に識別層を形成してもよい。コロナまたはプラズマ処理では、一般に0.5〜100kJ/m
2のエネルギー線量が十分量である。
【0088】
所望による保護層は、任意の適した技術、例えば、ガター層の調製に関して上記したコーティング法のいずれかを含むプロセスにより、識別層上に形成することができる。
保護層は、存在する場合、分離すべきガスまたは蒸気に対する透過性が高いことが好ましい。保護層はジアルキルシロキサン基を含むことが好ましい。
【0089】
保護層は、所望により、例えば膜表面をより親水性にすることにより、複合膜の機能に影響を及ぼす表面特性を有する。
複合膜は、20℃において好ましくは6×10
−8m
3/m
2.s.kPa未満、より好ましくは3×10
−8m
3/m
2.s.kPa未満の純水透過性を有する。
【0090】
複合膜の全体的乾燥厚さは、典型的には20〜500μm、好ましくは30〜300μmになる。
段階a)〜d)(d)を実施する場合)は、複合膜を調製するための連続プロセスの一部として連続的に実施することが好ましい。
【0091】
一態様において、段階a)は、多孔質支持体上への放射線硬化性組成物のメニスカス型浸漬コーティングを含み、識別層(または、識別層が誘導される成分)は、段階c)において、リバースキスグラビアコーティング、メニスカス型浸漬コーティング、または前計量式スロットダイコーティングにより、硬化ポリマーに施用する。あるいは、放射線硬化性組成物を、前計量式スロットダイコーティングまたはマルチロールグラビアコーティングにより支持体に施用してもよい。放射線硬化性組成物および識別層は、カーテンコーティングにより施用することもできる。
【0092】
小規模で生産する場合、段階a)、c)およびd)(実施する場合)のすべてを、リバースキスグラビアコーティング、フォワードキスグラビアコーティング、メニスカス型浸漬コーティング、前計量式スロットダイコーティングまたはスピンコーティングにより実施すると好都合である。
【0093】
特に、支持体などに施用することになっている組成物が比較的高い粘度を有する場合、三本ロールオフセットグラビアコーティングを用いることもできる。
本発明のプロセスは、望ましい場合、さらなる段階、例えば、さまざまな層の1以上を洗浄および/または乾燥する段階、ならびに不活性溶媒を複合膜から例えば蒸発により除去する段階を、含有することができる。
【0094】
本発明の第2の観点に従って、以下を含む複合膜を提供する:
a)多孔質支持体;
b)多孔質支持体上に存在する厚さ20〜400nmの放射線硬化ポリマー層;
c)放射線硬化ポリマー層上に存在する識別層;および
d)所望により、識別層上に存在する保護層;
これに関し、放射線硬化ポリマー層は、ジアルキルシロキサン基を含む。
【0095】
層の優先傾向は本発明の第1の観点に関し上記した通りであり、簡潔にするために、ここではほとんど繰り返さない。
本発明の第2の観点に従った複合膜は、本発明の第1の観点のプロセスにより得たものであることが好ましい。
【0096】
識別層は、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシドまたはポリエーテルイミド、特に、トリフルオロメチル基を含むポリイミドを含むことが好ましい。
本発明の他の観点は、標的ガスを含有する供給ガスを、標的ガスに富むガス流と標的ガスが減少したガス流に分離するためのガス分離モジュールを提供する。該モジュールは、ハウジングと、本発明の第2の観点に従った複合膜を含む1以上のカートリッジを含む。
【0097】
本発明のさらに他の観点は、本発明の第2の観点に従った複合膜を含むガス分離カートリッジを提供する。
複合膜(ガス分離要素とよぶこともできる)は、好ましくはチューブラー型、またはより好ましくはシート型の形にある。チューブラー型の膜は、中空繊維型とみなされることもある。シート型の膜は、例えば、スパイラル巻き型、プレートアンドフレーム型およびエンベロープ型のカートリッジでの使用に適している。
【0098】
複合膜は、標的ガスを含有する供給ガスを、標的ガスに富むガス流と標的ガスが減少したガス流に分離するのにとりわけ適している。例えば、極性ガスおよび非極性ガスを含む供給ガスを、極性ガスに富むガス流と極性ガスが減少したガス流に分離することができる。多くの場合、膜は、非極性ガス、例えば、アルカン、H
2およびN
2と比較して、極性ガス、例えば、CO
2、H
2S、NH
3、SO
xおよび窒素酸化物、特にNO
xに対し、高い透過性を示す。
【0099】
標的ガスは、例えば、複合膜の使用者にとって価値があり、使用者が収集したいと思っているガスであることができる。あるいは、標的ガスは、望ましくないガス、例えば、汚染物質または‘温室化ガス’であることができ、これらは、環境を保護するために使用者がガス流から分離したいものである。
【0100】
複合膜は、極性ガス(CO
2、H
2S)を除去することによる天然ガス(メタンを含む混合物)の精製;合成ガスの精製;ならびに、水素および燃料ガスからのCO
2の除去に、とりわけ有用である。燃料ガスは、典型的には、暖炉、オーブン、炉、ボイラー、燃焼機関、および発電所から生じる。燃料ガスの組成は燃焼したものに依存するが、通常、それらは、空気に由来する窒素を主として(典型的には3分の2より多い)含有するほか、燃焼に由来する二酸化炭素(CO
2)および水蒸気および酸素を含有する。燃料ガスは、粒状物質、一酸化炭素、窒素酸化物および硫黄酸化物などの汚染物質も、少しの割合で含有する。最近、CO
2の分離および捕捉は、環境問題(地球温暖化)に関連して注目されている。
【0101】
本発明の複合膜は、以下の分離にとりわけ有用である:CO
2およびN
2を含む供給ガスを、供給ガスよりCO
2に富むガス流と、供給ガスよりCO
2が少ないガス流に分離する;CO
2およびCH
4を含む供給ガスを、供給ガスよりCO
2に富むガス流と、供給ガスよりCO
2が少ないガス流に分離する;CO
2およびH
2を含む供給ガスを、供給ガスよりCO
2に富むガス流と、供給ガスよりCO
2が少ないガス流に分離する、H
2SおよびCH
4を含む供給ガスを、供給ガスよりH
2Sに富むガス流と、供給ガスよりH
2Sが少ないガス流に分離する;ならびに、H
2SおよびH
2を含む供給ガスを、供給ガスよりH
2Sに富むガス流と、供給ガスよりH
2Sが少ないガス流に分離する。
【0102】
複合膜は、>20のCO
2/CH
4選択率(αCO
2/CH
4)を有することが好ましい。選択率は、膜を、体積に基づき13:87のCO
2とCH
4の混合物に、6000kPaの供給圧力および40℃の温度で暴露することを含むプロセスにより、決定することが好ましい。
【0103】
複合膜は、>35のCO
2/N
2選択率(αCO
2/N
2)を有することが好ましい。選択率は、膜を、2000kPaの供給圧力および40℃の温度でCO
2およびN
2に別個に暴露することを含むプロセスにより、決定することが好ましい。
【0104】
本明細書では、ガス、特に極性ガスおよび非極性ガスの分離に関する本発明の複合膜の有用性に重点を置いているが、該複合膜は、他の目的、例えば、鉄鋼生産業における鉄鉱石の直接還元用の還元ガスの提供、有機溶媒の脱水(例えば、エタノールの脱水)、浸透気化および蒸気分離のほか、通気性衣料にも用いることもできることは、理解されるであろう。
【0105】
ここで、本発明を以下の非限定的例により例示する。これに関し、部および百分率はすべて、特記しない限り重量に基づく。(“Comp”は比較例を意味する)。
以下の材料を実施例で用いた:
PANは、ドイツのGMT Membrantechnik GmbHからの多孔質支持体ポリアクリロニトリルL10限外濾過膜である。
UV9300は、Momentive Performance Materials HoldingsからのSilForce
TM UV9300である。これは、反応性エポキシ基および線状ポリジメチルシロキサン鎖を含む熱硬化性コポリマーである。さらに、このコポリマーは、光開始剤の存在下で紫外線を照射すると迅速に硬化する。
UV9390Cは、SilForce
TM UV9390C−カチオン光開始剤(グリシジルエーテル反応性希釈剤中のビス(4−アルキルアリール)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩および光増感剤の溶液)である。
TiiPrは、Dorf Ketal Chemicalsからのチタン(IV)イソプロポキシドである。
n−ヘプタンは、Brenntag Nederland BVからのn−ヘプタンである。
MEKは、Brenntag Nederland BVからの2−ブタノンである。
MIBKは、Brenntag Nederland BVからの4−メチル−2−ペンタノンである。
THFは、Brenntag Nederland BVからのテトラヒドロフランである。
CHは、Brenntag Nederland BVからのシクロヘキサノンである。
PI1は、ポリ([({2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン}−alt−{5,5’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エタン−1,1−ジイル]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)})−co−[{5−カルボキシル−1,3−フェニレンジアミン}−alt−{5,5’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エタン−1,1−ジイル]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)}])である。これに関し、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン基と5−カルボキシル−1,3−フェニレンジアミン基の比は20:80である。Fujifilm Corporationから得られる。
PI2は、ポリ([({2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン}−alt−{5,5’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エタン−1,1−ジイル]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)})−co−[{1,3−フェニレンジアミン}−alt−{5,5’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エタン−1,1−ジイル]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)}]−co−[{5−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル−1,3−フェニレンジアミン}−alt−{5,5’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エタン−1,1−ジイル]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)}])である。これに関し、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン基、1,3−フェニレンジアミン基および5−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシカルボニル−1,3−フェニレンジアミン基の比は40:50:10である。Fujifilm Corporationから得られる。
CAは、Eastman Chemicalsからの酢酸セルロースCA−398−3である。
【0106】
材料はすべて、さらに精製することなく用いた。
コーティング法1は、リバースキスグラビアコーティングであった。
コーティング法2は、前計量式スロットダイコーティングであった。
【0107】
コーティング法3は、スピンコーティングであった。
コーティング法4は、メニスカス型浸漬コーティングであった。
コーティング法5は、三本ロールオフセットグラビアコーティングシステムであった。
ガス流束および選択率の評価
以下の実施例において、複合膜のガス透過性および選択率を以下のように決定した:
(A)
ガス流束
得られた複合膜を通過するCH
4およびCO
2の流束を、40℃および6000kPaのガス供給圧力で、測定直径3.0cmのガス透過セルならびに13v/v%のCO
2および87v/v%のCH
4の供給ガス組成物を用いて測定した。
【0108】
得られた複合膜を通過するO
2およびN
2の流束を、室温(典型的には18〜25℃)および7bar(700kPa)の供給圧力で、測定直径1.9cmのガス透過セルおよび圧縮空気を供給ガスとして用いて測定した。
【0109】
各ガスの流束を、以下の式に基づき算出した:
【0111】
式中:
Q
i=各ガスの流束(m
3(STP)/m
2・kPa.s)
θ
perm=透過物の流れ(m
3(STP)/s)
Χ
perm,i=透過物中の各ガスの体積分率
Α=膜の面積(m
2)
Ρ
Feed=供給ガスの圧力(kPa)
Χ
Feed,i=供給物中の各ガスの体積分率
Ρ
Perm=透過ガスの圧力(kPa)
STPは標準温圧である。ここでは、25.0℃および1気圧(101.325kPa)と定義する。
(B)
選択率
選択率(α
O2/N2)を、上記で算出したQ
O2およびQ
N2から、以下の式に基づき算出した:
α
O2/N2 = Q
O2/Q
N2
選択率(α
CO2/CH4)を、同様に算出した。
【0112】
粘度は、Brookfield LVDV−II+PCP粘度測定器を用い、粘度範囲に応じてCPE−40またはCPE−52いずれかのスピンドルを用いて測定した。
層の厚さは、特記する場合を除き、偏光解析法を用いて決定した。
装置:J.A.Woollam Co.Incからの楕円偏光計モデルM−2000F。
ランプ:キセノン。
ソフトウェア:Windows(登録商標) V.A.S.E.32。
設定:すべての層でモデルとしてコ−シーを選ぶ。
基材の厚さ(バルク):0.17mm
波長:全波長(約240〜1000nm)
測定角:5°間隔で50〜80°
Revs/meas.:100。
フィッティングソフトウェアを施用して、層の厚さを屈折率の関数として決定する。
【0113】
いくつかの実施例で得た結果を、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
【実施例】
【0114】
PCPポリマーの調製
放射線硬化性ポリマーを、表1に示す成分を表1に記載する条件下で反応させることにより調製した(後で加えるUV−9390cを除く)。RCC1(希釈前)およびRCC2の粘度を表1に示す。
【0115】
その後、得られた混合物を20℃に冷却し、n−ヘプタンを用いて、表1に示すポリマー濃度まで希釈した。その後、該溶液を2.7μmの濾紙で濾過した。その後、光開始剤(UV−9390c)を表1に示す濃度で加えた。得られた放射線硬化性組成物をRCC1およびRCC2とする。
【0116】
【表1】
【0117】
識別層を形成するために用いられる組成物の調製
組成物DLS1〜DLS4を、表2に示す成分を混合することにより調製した。その後、該溶液を2.7μmの濾紙で濾過した。
【0118】
【表2】
【0119】
以下の実施例Ex1〜Ex8および比較例CEx1では、放射線硬化性組成物を表3に示す方法によりPANに施用した。照射(段階b))は、D−電球を取り付けたFusion UV SystemsからのLight Hammer LH10を16.8kW/mの強度(70%)で照射して用いて実施した。識別層は、表3に示す組成物DSL1〜DSL4を用い、表3に示す方法を用いて形成した(段階c))。段階a)〜c)が完了した後、得られた複合膜を乾燥した。乾燥した硬化ポリマー層および識別層の厚さを走査型電子顕微鏡により測定した(多孔質支持体の表面または硬化ポリマー層の表面から外側への厚さで決定した)。結果を表3に示す。
【0120】
【表3】
【0121】
約2のα
O2/N2は、良好な品質のガター層を示す。O
2流束は、好ましくは2.0×10
−6より高い。
識別層のコーティング後、α
O2/N2は、好ましくは4より大きく、より好ましくは4.8より大きく、特に5より大きい。O
2流束は、5×10
−8より大きいことが好ましい。
【0122】
比較例CEx1の流束および選択率は、コーティング後に識別層中に大量の欠陥が形成したため決定できなかった。CExの厚さはSEMにより決定した。
比較例CEx2およびCEx3
DLS1およびDLS4を、コーティング法4を用いてPAN多孔質支持体上に直接コーティングして、それぞれ420nmおよび442nmの乾燥コーティング厚さを得た。しかしながら、欠陥の量が多かったため、流束および選択率のデータは決定できなかった。
実施例9および比較例CEx4
実施例9および比較例CEx4を、表4に記載するように調製した。データは、ガター層が薄いほど良好な選択率および高い流束が達成していることを示している。
【0123】
【表4】
本発明は以下の態様を含む。
[1] 以下の段階を含む、複合膜の調製方法:
a)放射線硬化性組成物を多孔質支持体に施用する段階;
b)該組成物に照射し、これにより、厚さ20〜400nmの硬化ポリマー層を支持体上に形成する段階;
c)識別層を硬化ポリマー層上に形成する段階;および
d)所望により、保護層を識別層上に形成する段階;
これに関し、放射線硬化性組成物は、ジアルキルシロキサン基を含み部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーを含む。
[2] 部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーがフェニルシロキサン基を含まない、[1]に記載の方法。
[3] 部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーが、1以上の硬化性成分を含む組成物の熱硬化により調製され、該成分の少なくとも1つがジアルキルシロキサン基を含む、[1]〜[2]のいずれか一項に記載の方法。
[4] 識別層がポリイミド、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシドまたはポリエーテルイミドを含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 識別層が、トリフルオロメチル基を含むポリイミドを含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] ポリイミドが式(1)の基を含む、[5]に記載の方法:
【化2】
[7] 放射線硬化性組成物がカチオン光開始剤を含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーが、エポキシ基を架橋剤と反応させ、これにより部分的に架橋している放射線硬化性ポリマーを形成することを含む方法により調製される、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 放射線硬化性組成物がエポキシ修飾ポリジメチルシロキサンを含む、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] さらに、硬化ポリマーをコロナ放電またはプラズマ処理で処理する段階を、該層上に識別層を形成する前に含む、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の方法であって、放射線硬化性組成物施用ステーションを含む製造ユニットにより段階a)において放射線硬化性組成物を多孔質支持体に連続的に施用し、放射線硬化性組成物施用ステーションの下流に設置されている照射源を用いて段階b)を実施し、識別層施用ステーションにより段階c)において識別層を硬化ポリマー層上に形成し、得られた複合膜を収集ステーションで収集する方法、これに関し、該製造ユニットは、多孔質支持体を、放射線硬化性組成物施用ステーションから、照射源、識別層施用ステーション、および複合膜収集ステーションに移動させる手段を含む。
[12] 放射線硬化性組成物施用ステーションが、識別層施用ステーションでもある、[11]に記載の方法。
[13] 多孔質支持体をスプールから連続的に巻き戻し、得られた複合膜をスプールに連続的に巻き付ける、[11]または[12]に記載の方法。
[14] 段階a)および/または段階b)を、カーテンコーティング、メニスカス型浸漬コーティング、キスコーティング、前計量式スロットダイコーティング、リバースもしくはフォワードキスグラビアコーティング、マルチロールグラビアコーティング、スピンコーティングおよび/またはスライドビードコーティングにより実施する、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15] 以下を含む複合膜:
a.多孔質支持体;
b.多孔質支持体上に存在する厚さ20〜400nmの放射線硬化ポリマー層;
c.放射線硬化ポリマー層上に存在する識別層;および
d.所望により、識別層上に存在する保護層;
これに関し、放射線硬化ポリマー層は、ジアルキルシロキサン基を含む。
[16] 識別層が、ポリイミド、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシドまたはポリエーテルイミドを含む、[15]に記載の複合膜。
[17] 識別層が、トリフルオロメチル基を含むポリイミドを含む、[15]または[16]に記載の複合膜。
[18] 放射線硬化ポリマー層がフェニルシロキサン基を含まない、[15]〜[17]のいずれか一項に記載の複合膜。
[19] カートリッジが、プレートアンドフレーム型、スパイラル巻き型、中空繊維型、チューブラー型またはエンベロープ型のものである、[15]〜[18]のいずれか一項に記載の複合膜を含むカートリッジ。