特許第6235008号(P6235008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235008ステープリング装置およびステープルカートリッジアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235008
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ステープリング装置およびステープルカートリッジアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/068 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A61B17/068
【請求項の数】23
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-520660(P2015-520660)
(86)(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公表番号】特表2015-522350(P2015-522350A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013049125
(87)【国際公開番号】WO2014008289
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/667,376
(32)【優先日】2012年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コール、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】フェロ、ジェシカ
(72)【発明者】
【氏名】スウォープ、ブレットン
(72)【発明者】
【氏名】グラッブ、タイラー
(72)【発明者】
【氏名】バルビアーズ、ダニエル
【審査官】 木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−508078(JP,A)
【文献】 特公平2−58936(JP,B2)
【文献】 特表2010−504811(JP,A)
【文献】 特表2011−515158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した皺襞形成の間に装置を再装填する必要なく、複数のステープル留めされた組織皺襞を生成するために用いられるステープリング装置において、当該装置は、動作状態において、
(a)内部に取り付けられたカートリッジアセンブリ支持体を有するステープルハウジングと、
(b)前記支持体上に保持され、かつ、偏倚したステープルスロットの複数の群を有するカートリッジと、前記スロット内に保持されたステープルとを備えたカートリッジアセンブリであって、各群中のスロットはカートリッジアセンブリ中心軸線のまわりに円形に配列されており、かつ、前記軸線に関して外側に向かって配向されている、カートリッジアセンブリと、
(c)後退位置と伸長位置との間を移動するように前記ハウジングに取り付けられたステープル駆動体であって、前記カートリッジ内の第1ステープル群のステープルに係合し、後退位置から伸長位置に向かって移動すると、前記カートリッジからステープルを射出するための複数のプッシャアームを有するプッシャを備える、ステープル駆動体と、
(d)前の群のステープルが前記カートリッジから射出された後に、カートリッジを前記プッシャに対して前進させて、前記カートリッジ内の次の番のステープル群を、プッシャ内の関連するプッシャアームと係合させるように配置する、前記ステープルハウジング内に位置する割り出し機構と、
(e)アンビルを有するアンビルハウジングと、を備え、前記ステープルハウジングおよびアンビルハウジングは、前記ハウジングのうちの一方におけるハウジング駆動体の制御下において、ステープル留め位置に向かって、およびステープル留め位置から離れて、互いに関して相対的に移動するように取り付けられており、前記ステープル留め位置において、2つの前記ハウジング間に配置された組織折り畳み部は、前記カートリッジアセンブリとアンビルとの間におけるステープル留めのために捕捉され、
前記カートリッジアセンブリとアンビルとの間に捕捉された組織折り畳み部を、前記カートリッジアセンブリ内の連続した偏倚ステープル群からのステープルによって連続的にステープル留めすることによって、前記装置を再装填することなく、連続したステープル留めされた組織折り畳み部を形成することができ
前記カートリッジは円筒状マガジンであり、前記円筒状マガジンの偏倚したステープルスロットの複数の群は、前記カートリッジアセンブリを通って延び、かつ、その内部に前記ステープルを保つために前記スロットの底でテーパーをなす、装置。
【請求項2】
前記カートリッジは外面を有し、前記カートリッジ中のステープルは各々前記カートリッジの外側面から突出する一対の自由端を有し、前記カートリッジアセンブリは、前記カートリッジの外側面に対して積層された複数の補強リングを備え、各リングは、各ステープル群に対して1つのリングが前記カートリッジアセンブリに積層されるように、所与のステープル群中のステープルの自由端の一方または双方を内部に受容するための複数の円形に配列にされた穴を有し、前記ステープル群は、外側から内側の方向に、積層されたリングの順序で射出される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カートリッジはそれぞれM個のスロットからなるN個の群を備え、NおよびMはそれぞれ少なくとも3であり、かつ、N×Mは少なくとも12である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記プッシャアームはステープルがステープル射出動作中に受容される谷部を提供し、谷部はステープルを谷部の中心に案内するための丸味を帯びた側面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カートリッジはカートリッジアセンブリ支持体に対して角度方向に移動するように前記カートリッジアセンブリ支持体に取り付けられており、前記割り出し機構は、前のステープル群中のステープルが射出された場合に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、前記カートリッジを次の番の割り出し位置へ前進させるために、前記カートリッジアセンブリ支持体とカートリッジとの間に作動可能に挟持されたトーションばねを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記割り出し機構は、少なくとも前記プッシャの上に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、前記カートリッジ内の次の番のステープル群中のステープルのうちの少なくとも1つと係合するタブをさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記カートリッジアセンブリは、定位置で取り付けられており、前記割り出し機構は、前のステープル群中のステープルが射出された場合に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、前記プッシャアームを前記カートリッジ内における次の番の割り出し位置へ前進させるために、前記カートリッジアセンブリ支持体とカートリッジとの間に作動可能に挟持されたトーションばねを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記割り出し機構は、前記プッシャアームの少なくとも1つの上に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、前記カートリッジアセンブリ上の次の番のスロットと係合するタブをさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
記カートリッジは前記カートリッジアセンブリ支持体上おいて解放可能に支持される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カートリッジ内に形成されたスロットは、前記カートリッジアセンブリの中心軸から突出する半径に沿って延びている、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記カートリッジ内に形成されたスロットは、スロットの内端と交差する半径方向の線が第2スロットとその内端と外端との間において交差するように、互いから半径方向に偏倚されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ステープルはU字型であり、前記ステープルの脚部は、該脚部がステープルの基部に向かって進むにつれて内側にテーパーをなし、かつ、前記ステープルの自由端に向かって進むにつれて内側にテーパーをなすように、外側に向かって弓状に湾曲している、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記アンビルは、複数のアンビル表面を一群中の各ステープルに対して一つずつ備え、各表面は、ステープルの端部が並置されて重なった形態に折り曲げられるように、前記アンビルに対して射出されているステープルを折り曲げる、ステープルのための一対の並置された溝を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記ステープルハウジングおよびアンビルハウジングは、互いに向かって、および互いから離れて移動するように、当該装置内においてアームアセンブリによって取り付けられており、前記ハウジング駆動体は、その後退位置から伸長位置に向かう移動が、前記アームアセンブリを外側に広げさせて、前記アンビルハウジングを前記ステープルハウジングに向けて相対的に移動させるように、前記ステープルハウジングを前記アームアセンブリに作動可能に接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記アームアセンブリは少なくとも一対のアームを備え、前記アームの各々は、前記アンビルハウジングが前記ステープルハウジングに向かって相対的に引き寄せられるにつれて外側に旋回し、前記アームは、前記カートリッジアセンブリおよびアンビルの対向面と共に、2つの前記ハウジングが互いに向かって引き寄せられるにつれて外側に拡張する組織チャンバを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記チャンバを被覆する可撓性膜をさらに備え、前記膜への真空の適用により、組織が前記チャンバ内に引き込まれることを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ステープルハウジングがアンビルハウジングに向かって相対的に移動するにつれて、前記アームアセンブリを外側に広げるための少なくとも1つのアームスプレッダーをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記アンビルは、前記アンビルハウジング内において前記ステープルハウジングに向かって、および前記ステープルハウジングから離れて移動可能であり、前記アンビルハウジングは、前記ステープルハウジングが前記アンビルハウジングに向かって相対的に移動するにつれて、前記アンビルハウジング内のアンビルを前記ステープルハウジングに向けて前進させるために、前記アームアセンブリを前記アンビルに作動可能に接続する駆動リンクをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
患者の胃内において複数のステープル留めされた組織皺襞を形成するのに用いるために、前記ステープルハウジングに作動可能に接続された先端部と、使用者操縦装置を有する基端部とを有する長尺状可撓性シャフトと、選択された使用者操縦装置から駆動アセンブリの選択された駆動ねじにトルクを伝達するために前記シャフト内に搭載されたトルク伝達ケーブルと、をさらに備え、前記シャフトは、選択された患者の胃領域へ口腔内アクセスするための寸法を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
連続した皺襞形成の間に装置を再装填する必要なく、複数のステープル留めされた組織皺襞を生成するためのステープリング装置とともに使用するためのステープルカートリッジアセンブリにおいて、前記ステープルカートリッジアセンブリは、
(a)偏倚したステープルスロットの複数の群を有するステープルカートリッジであって、各群中のスロットはカートリッジ中心軸線のまわりに円形に配列され、前記軸線に関して外側に向かって配向されている、ステープルカートリッジと、
(b)前記スロット内に保持され、前記カートリッジの外面から延びる一対の自由端を有するステープルと、
(c)前記カートリッジの外面に対して積層された複数の組織固定リングとを備え、各リングは、各ステープル群に対して1つのリングが前記カートリッジアセンブリに積層されるように、所与のステープル群中のステープルの自由端を内部に受容するための複数の円形に配列にされた穴を有し、前記ステープル群は外側から内側の方向に積層されたリングの順序で射出される、ステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項21】
前記ステープルカートリッジは円筒状マガジンであり、前記円筒状マガジンの偏倚したステープルスロットの複数の群は、前記カートリッジアセンブリを通って延び、かつ、その内部に前記ステープルを保つために前記スロットの底でテーパーをなす、請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項22】
前記カートリッジ内に形成されたスロットは、前記カートリッジの中心軸から突出する半径に沿って延びる、請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【請求項23】
前記カートリッジ内に形成されたスロットは、スロットの内端と交差する放射状の線が第2スロットとその内端と外端との間において交差するように、互いから半径方向に偏倚されている、請求項2に記載のステープルカートリッジアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してステープリング装置の分野に関し、具体的には、体腔内の組織の内視鏡下ステープリング(endoscopic stapling)に用いることができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満および肥満糖尿病(obesity−related diabetes)の治療のための標準的な処置は、外科的に、または胃内においてステープル留めされた折り畳み部(folds)または組織皺襞(tissue plications)を形成することによって、胃容積を縮小することである。所有者共通の(co−owned)米国特許第8,020,741号(特許文献1)、同第7,922,062号(特許文献2)、同第7,913,892号(特許文献3)、同第7,909,223号(特許文献4)、同第7,909,222号(特許文献5)、同第7,909,219号(特許文献6)および同第7,708,821号(特許文献7)は、例えば、口腔から患者の胃に挿入され、胃の一部を引っ張って折り畳み部を形成し、その折り畳み部をステープルの円形アレイによってステープル留めして、胃内に組織皺襞を形成するように操作される内視鏡下ステープリング装置を開示している。理想的には、総胃容積を十分に、例えば元の容積の半分未満に、縮小するためには、複数の、典型的には約8〜15本の、そのような皺襞を生成する必要がある。これは、毎回皺襞を形成した後にステープリング装置を胃から抜去し、新たなステープルのアレイを再装填して、再び患者の胃に導入し、次いで新たな皺襞を形成するために操作することを必要とする。よって、10箇所のそのような皺襞を必要とする胃縮小術では、医師が全処置中にステープリング装置を合計10回挿入および抜去することを必要とする。これは、多くの時間を要するとともに患者も不快であり、装置が胃に挿入される最中に患者の胃を傷つける危険性を増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8,020,741号明細書
【特許文献2】米国特許第7,922,062号明細書
【特許文献3】米国特許第7,913,892号明細書
【特許文献4】米国特許第7,909,223号明細書
【特許文献5】米国特許第7,909,222号明細書
【特許文献6】米国特許第7,909,219号明細書
【特許文献7】米国特許第7,708,821号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、連続した皺襞形成の間に再装填する(reload)必要のない、複数のステープル留めされた組織皺襞を生成するために医師によって用いられるステープラー装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は一態様において、再装填する必要のない、複数のステープル留めされた組織皺襞を生成する際に用いられるステープリング装置を包含する。この装置は、動作状態において、ステープルカートリッジアセンブリを保持するための内部に取り付けられたカートリッジアセンブリ支持体を有するステープルハウジングと、前記支持体上に保持され、かつ、偏倚したステープルスロットの複数の群と、前記スロット内に保持されたステープルとを有するカートリッジを備えたカートリッジアセンブリであって、各群中のスロットはカートリッジアセンブリ中心軸線のまわりに円形に配列され、前記軸線に関して外側に向かって配向されている、カートリッジアセンブリと、後退位置と伸長位置との間を移動するようにハウジングに取り付けられたステープル駆動体とから構成されたステープラーヘッドを備える。前記駆動体は、前記カートリッジ内において第1ステープル群のステープルと係合し、プッシャ駆動体が後退位置から伸長位置に向かって移動すると、前記カートリッジからステープルを射出するための複数のプッシャアームを有するプッシャを備える。ステープルハウジング内の割り出し機構(indexing mechanism)は、前の群のステープルがカートリッジから射出された後に、ステープルカートリッジをステープルプッシャに対して前進させて、前記カートリッジ内の次の番のステープル群を前記プッシャ内の関連するアームと係合させるように配置する。前記装置内のステープルハウジングおよびアンビルハウジングは、前記ハウジングのうちの一方におけるハウジング駆動体の制御下において、ステープル留め位置に向かって、およびステープル留め位置にから離れて、互いに対して相対的に移動するように取り付けられている。前記ステープル留め位置において、2つの前記ハウジングの間に配置された組織折り畳み部は、前記カートリッジアセンブリと前記アンビルハウジング内のアンビルとの間におけるステープル留めのために捕捉される。前記カートリッジアセンブリとアンビルとの間に捕捉された組織折り畳み部を、前記カートリッジアセンブリ内の連続した偏倚ステープル群からのステープルによって、連続的にステープル留めすることにより、前記装置を再装填することなく、連続したステープル留めされた組織折り畳み部を形成することができる。前記ステープルカートリッジは、前記支持体に対して解放可能に取り付けられる。
【0006】
一実施形態において、前記アセンブリ内のカートリッジは外面を有し、前記カートリッジ内のステープルは各々前記カートリッジの外側面から突出する一対の自由端を有し、前記カートリッジアセンブリは、前記カートリッジの外側面に対して積層された複数の補強リングを備え、各リングは、各ステープル群に対して1つのリングがカートリッジアセンブリに積層されるように、所与のステープル群中のステープルの自由端の一方または双方を内部に受容するための複数の円形に配列にされた穴(eyelets)を有し、前記ステープル群は外側から内側の方向に積層されたリングの順序で射出される。
【0007】
前記カートリッジはそれぞれM個のスロットのN個の群を備え、ここで、NおよびMはそれぞれ少なくとも3であり、かつ、N×Mは少なくとも12である。
前記プッシャアームは、前記ステープルがステープル射出動作中に受容される谷部を提供し、谷部はステープルを谷部の中心に案内するための丸味を帯びた側面を有する。
【0008】
一実施形態において、前記カートリッジは支持体に対して角度方向に移動するようにカートリッジアセンブリ支持体に取り付けられ、割り出し機構は、前のステープル群中のステープルが射出された場合に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、前記カートリッジを次の番の割り出し位置へ前進させるために、前記支持体とカートリッジとの間に作動可能に挟持されたトーションばねを備える。割り出し機構は、プッシャアームの少なくとも1つの上に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、前記カートリッジ内の次の番のステープラー群中のステープルの少なくとも1つと係合するタブをさらに備える。
【0009】
別の実施形態において、前記カートリッジアセンブリは定位置でカートリッジホルダに取り付けられ、割り出し機構は、前のステープル群中のステープルが射出された場合に、前記プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて、プッシャアームを前記カートリッジ内において次の番の割り出し位置へ前進させるために、前記カートリッジとステープラー駆動体との間に作動可能に挟持されたトーションばねを備える。割り出し機構は、プッシャアームの少なくとも1つの上に、プッシャがその後退位置に向かって移動されるにつれて前記カートリッジアセンブリ上の次の番のスロットと係合するタブをさらに備える。
【0010】
ステープルカートリッジは円筒状マガジンであってもよく、円筒状マガジンの偏倚したステープルスロットの複数の群は、カートリッジアセンブリを通って延び、かつ、その内部にステープルを保つためにスロットの底でテーパーをなす。前記カートリッジ内に形成されたスロットは、該カートリッジの中心軸から突出する半径に沿って延びる。これに代わって、前記カートリッジ内に形成されたスロットは、スロットの内端と交差する半径方向の線が第2スロットとその内端と外端との間において交差するように、互いから半径方向に偏倚されていてもよい。
【0011】
前記カートリッジに搭載されたステープルはU字型であってもよく、ステープル脚部は、ステープルの基部に向かって進むにつれて内側にテーパーをなし、かつ、ステープルの自由端に向かって進むにつれて内側にテーパーをなすように、外側に向かって弓状に湾曲(bowed)している。
【0012】
アンビルは、複数のアンビル表面を、群中の各ステープルに一つずつ備えてもよく、各表面は、ステープルの両端部が並置されて重なった形態に折り曲げられるように、アンビルに対して射出されているステープルを折り曲げるための一対の並置された溝を備える。
【0013】
ステープルハウジングおよびアンビルハウジングは、前記装置内において、互いに向かって、および互いから離れて移動するように、アームアセンブリによって取り付けられる。ハウジング駆動体は、その後退位置から伸長位置に向かう移動が、アームアセンブリを外側に広げさせて、アンビルハウジングをステープルハウジングに向けて相対的に移動させるように、ステープルハウジングをアームアセンブリに作動可能に接続する。アームアセンブリは少なくとも一対のアームを備えてもよく、アームの各々は、アンビルハウジングがステープルハウジングに向かって相対的に引き寄せられるにつれて外側に旋回し、アームは、ステープルカートリッジアセンブリおよびアンビルの対向面と共に、2つのハウジングが互いに向かって引き寄せられるにつれて外側に拡張する組織チャンバを形成する。装置は組織チャンバを被覆する膜をさらに備えてもよく、膜への真空の適用により、組織が組織チャンバ内に引き込まれることを可能にする。装置は、ステープルハウジングがアンビルハウジングに向かって相対的に移動するにつれて、アームアセンブリを外側に広げるために、ステープルホルダをアームアセンブリに枢軸的に接続する少なくとも1つのアームスプレッダーをさらに備える。アンビルハウジングは、ステープルハウジングがアンビルハウジングに向かって相対的に移動するにつれて、アンビルハウジング内のアンビルをステープルハウジングに向かって前進させるために、アームアセンブリをアンビルに作動可能に接続する駆動リンクをさらに備える。
【0014】
患者の胃内において複数のステープル留めされた組織皺襞を形成するのに用いるために、前記装置は、ステープルハウジングに作動可能に接続された先端部と、使用者操縦装置(user controls)を有する基端部とを有する長尺状可撓性シャフトと、選択された使用者操縦装置から駆動アセンブリの選択された駆動ねじ(drive screw)にトルクを伝達するためにシャフト内に搭載されたトルク伝達ケーブルとをさらに備え得る。シャフトは、選択された患者の胃領域へ口腔内アクセスするための寸法を有する。
【0015】
別の態様において、本発明は、連続した皺襞形成の間に装置を再装填する必要のない、複数のステープル留めされた組織皺襞を生成するためのステープリング装置とともに使用するためのステープルカートリッジアセンブリを包含する。このアセンブリは、(a)偏倚したステープルスロットの複数の群を有するステープルカートリッジであって、各群中のスロットはカートリッジ中心軸線のまわりに円形に配列され、前記軸線に関して外側に向かって配向されている、ステープルカートリッジと、(b)前記スロット内に保持され、前記カートリッジの外面から延びる一対の自由端を有するステープルと、(c)前記カートリッジの外面に対して積層された複数の補強リングとを備え、各リングは、各ステープル群に対して1つのリングがカートリッジアセンブリに積層されるように、所与のステープル群中のステープルの自由端を内部に受容するための複数の円形に配列にされた穴を有し、ステープル群は外側から内側の方向に積層されたリングの順序で射出される。
【0016】
ステープルカートリッジは円筒状マガジンであってもよく、円筒状マガジンの偏倚したステープルスロットの複数の群は、カートリッジアセンブリを通って延び、かつ、その内部にステープルを維持するためにスロットの底でテーパーをなし、スロットは、上記のように、半径方向に突出しているか、または半径方向に偏倚していてもよい。
【0017】
別の態様において、本発明は、再装填する必要のない、複数のステープル留めされた組織皺襞を生成する際に用いるためのステープリング装置を包含する。この装置は、(a)カートリッジは複数の角度方向に偏倚した(angularly offset)ステープルスロットを有し、(b)ステープル駆動体は、カートリッジ内の一つのステープルに係合するための単一プッシャアームを有するプッシャを有し、よって単一のステープルでそれぞれ固定された複数の組織皺襞を形成すること以外は、上述した要素および動作を有する。
【0018】
本発明の以下の詳細な説明を添付図面とともに読むと、本発明のこれらおよび他の目的および特徴がより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に従って構成された多重発射ステープリング装置の斜視図。
図2】前記装置におけるステープル射出動作の斜視図。
図3A】8本のステープルによって形成された例示的な組織折り畳み皺襞(tissue−fold plications)を示す図。
図3B】3本のステープルによって形成された例示的な組織折り畳み皺襞(tissue−fold plications)を示す図。
図3C】4本のステープルによって形成された例示的な組織折り畳み皺襞(tissue−fold plications)を示す図。
図4A】ピストンサブアセンブリを隠したステープラー装置の側面図。
図4B】ピストンサブアセンブリを示したステープラー装置の側面図。
図5A】装置内のピストンサブアセンブリの切り取り斜視図。
図5B】ピストンサブアセンブリおよび関連する構成要素の分解組立図。
図6A】装置内のステープラープッシャの側面図。
図6B】装置内のステープラープッシャの斜視図。
図7A】4本のステープルのうちの第1セットを発射するステープラーを示す装置内のピストンサブアセンブリの斜視図。
図7B】4本のステープルのうちの第4セットを発射するステープラーを示す装置内のピストンサブアセンブリの斜視図。
図8A】カートリッジの回転を停止し、発射のためにステープルを整合させるべくステープルの後部を捕えた、装置内のステープルプッシャの詳細を示す図。
図8B】カートリッジの回転を停止し、発射のためにステープルを整合させるべくステープルの後部を捕えた、図8A中の領域Aの詳細を示す図。
図9】静止しているステープルカートリッジにおいて回転されたプッシャをスロットと整合させるために3本アームプッシャおよび割り出し機構を備えた、本発明のステープリング装置における代替プッシャアセンブリの一部を示す図。
図10】本発明のステープリング装置内のアンビルの平面図。
図11A】装置内のステープルカートリッジアセンブリの斜視図。
図11B】同一のアセンブリの分解組立図。
図12A】24本のステープルについて半径方向の整列を有する、本発明のステープルカートリッジにおける様々なスロット形態を示す平面図。
図12B】16本のステープルについて半径方向の整合を有する、本発明のステープルカートリッジにおける様々なスロット形態を示す平面図。
図12C】24本のステープルについて45°の偏倚を有する、本発明のステープルカートリッジにおける様々なスロット形態を示す平面図。
図12D】16本のステープルについて45°の偏倚を有する、本発明のステープルカートリッジにおける様々なスロット形態を示す平面図。
図13】ステープラーで使用されるステープルの拡大側面図。
図14A】組み立てられた状態の対応するステープル群を有して示された補強リングの斜視図。
図14B】部分的にステープル留めされた状態にある対応するステープル群を有して示された補強リングの斜視図。
図15A】本発明で使用するのに適した補強リングの代替形態を示す図。
図15B】本発明で使用するのに適した補強リングの代替形態を示す図。
図15C】本発明で使用するのに適した補強リングの代替形態を示す図。
図15D】本発明で使用するのに適した補強リングの代替形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
I.ステープリング装置およびその動作の概要
この節は、例えば、肥満または肥満糖尿病の治療、または以前の胃縮小外科処置の修復において、患者の胃内に複数の組織皺襞を形成することを意図したステープリング装置の実施形態の構成要素および操作の概要を示す。そのような装置の構造および動作の詳細および代替実施形態の構造を以下の節に示す。
【0021】
ステープラー装置は、図1において参照番号20で示されており、ステープルハウジング22とアンビルハウジング24とから構成されたステープルヘッド21を備える。2つのハウジングは、それらの対向する側部において、互いに向かって、および互いから離れて相対的に移動(relative movement)するように、一対のアームアセンブリ26によって連結されている。各アームアセンブリは、外側端部においてステープルハウジングおよびアンビルハウジングにそれぞれ枢着され、内側アーム端部において互いに枢着される一対のアーム28,30を備える。2つのハウジングはまた、図中においてそれらの下方の表面において、2つの部分からなる(two−section)拡張バー32によって連結されている。2つのハウジングの内側に面する端部、2つのハウジングを接続するアームアセンブリ、および拡張バーの組み合わせは、透明な可撓性膜(図示せず)によって被覆される組織チャンバ34を形成する。皺襞を生成する動作中に、2つのハウジングは互いに向けて移動して、アームアセンブリを外側に旋回させ、拡張バーを外側に屈曲させ、装置に適用された真空下で、図中の可撓性膜の上面の開口を介して組織が前記チャンバに引き込まれるにつれて、組織チャンバの幅および高さを拡張する。組織捕捉動作中における互いに向かう2つのハウジングの移動の速度およびチャンバに適用される真空率(rate of vacuum)は、チャンバ内に生じる組織折り畳み部がチャンバの高さおよび巾寸法を実質的に満たすことができるように制御される。
【0022】
図1および図2を参照すると、装置内のステープルカートリッジアセンブリ36は、図5Aおよび図5Bを参照して以下で詳述するように、カートリッジ支持体上においてステープルハウジング内に搭載されている。図2において最もよく分かるように、アセンブリ36内のカートリッジ38は、内部にステープル42のようなステープルを受容するための、スロット40a,40b,40cのようなステープルスロットの円形アレイを有する円筒状マガジンである。これらのスロットはそれぞれM個のスロットからなるN個の群を形成すると見なすことができる。ここで任意の1つの群中のスロットはカートリッジのまわりに円形に配列され、他のN−1群中のスロットによって隔てられている。よって、例えば、カートリッジ38内の24個のスロットは、それぞれ3つのスロットの8つの群を形成することができ、その場合には1つの群はカートリッジにおいて2つ置きのスロット(every third slot)を含み、または4つのスロットの6つの群を形成することができ、その場合には1つの群はカートリッジにおいて3つ置きのスロット(every fourth slot)含む、等。異なる数のスロットおよびスロット形態を有するカートリッジについては、図12A図12Dを参照しながら後述する。
【0023】
図2に示したように、図5Aおよび図5Bを参照して後述するステープルハウジング内のステープル駆動体は、ある群(この場合には3つのステープル群)のステープルをカートリッジからカートリッジアセンブリとアンビルハウジング24内のアンビル46との間に捕捉された組織折り畳み部(図示せず)を介して射出するための、アーム44a,44b,44cのような複数のプッシャアーム有する。カートリッジアセンブリおよびアンビルは、ステープルサイズに応じて、典型的には、それらの組織捕捉位置において約0.152〜0.279cm(約0.06〜0.11インチ)の距離によって互いから離間され、よって組織捕捉位置では、図2に示したよりも互いにより接近して離間されている。射出中に、ステープルは、捕捉された組織折り畳み部に押し通され、ステープルを圧着する(crimp)ためにアンビルと接触すると、内側に折り曲げられる。ステープルがカートリッジから射出された後、割り出し機構が作動して、後述するように、カートリッジまたはプッシャアームのいずれかを前進させることにより、プッシャアームが今度はカートリッジ内の次の番のスロット群のステープルと係合するように整合される。チャンバから真空を解放すると、ステープル留めされた組織折り畳み部も解放され、装置は、新たな組織折り畳み部を捕捉してステープル留めする準備が整う。
【0024】
図2から認識されるように、図示した実施形態は、組織折り畳み部を3つの円形に配列されたステープルでステープル留めし、再装填することなく、最高8つの皺襞を生成できるように設計されている。単にプッシャ駆動体内のプッシャアームの数を変更することにより、同一の装置が、それぞれ4本のステープルによって6つの折り畳み部、それぞれ6本のステープルによって4つの折り畳み部、またはそれぞれ8本のステープルによって3つの折り畳み部を形成するように適合される。8つ、3つ、および4つの均等に配列されたステープルによる組織皺襞を図3A図3Cの参照番号48,50,52においてそれぞれ示す。各皺襞はまた、当初はステープルカートリッジに接触していた皺襞の側面に対して押し付けられた補強リング54,56,58をそれぞれ備える。補強リングは、あるステープル群中のすべてのステープルの自由端を受容するための穴を有しており、装置におけるカートリッジアセンブリの一部を形成し、各ステープル群に対して1つのリングであり、補強リングは、図11A図11B、および図14を参照して後述するように、カートリッジの外面上において、偏倚した穴を有して、互いに(one against the other)積み重ねられている。
【0025】
前述の装置の動作は、図5Aおよび図5Bに関してさらに以下に説明されるピストンアセンブリの制御下にある。簡潔に述べると、ステープルハウジング内のピストンアセンブリは、(i)ステープルハウジング内のカートリッジ支持体をアンビルに向かって先端方向に移動させ、かつ同時に、(ii)アームアセンブリを外側に移動させて、アンビルハウジングをステープルハウジングに向けて引き寄せるために、後退位置と伸長位置との間で可動な第1水力抑制ピストンを有する。ステープルハウジング内の案内スロットは、アームアセンブリの外側に向かう伸展を制限し、組織捕捉位置においてカートリッジとアンビルとの間に事前に設定された間隔を確立する。ステープル駆動体は第2水力制御ピストン上に搭載されており、第2水力制御ピストンは、組織折り畳み部が装置に捕捉されたならば、後退位置と、伸長したステープル射出位置との間においてステープル駆動体を移動させるように作動可能である。
【0026】
図1に示したものの説明を完了すると、装置20は、示したように、ステープルハウジング22に作動可能に接続された先端部と、使用者操縦装置に接続された基端部(図示せず)との間に延びる長尺状可撓性シャフト60を備える。長尺状可撓性シャフト60によって、操作者は胃内における装置の移動を制御し、患者の口の外側の位置から組織捕捉およびステープル留め操作を開始することができる。このシャフトは、例えば所有者共通の米国特許第8,020,741号(特許文献1)、同第7,922,062号(特許文献2)、同第7,913,892号(特許文献3)、同第7,909,223号(特許文献4)、同第7,909,222号(特許文献5)、同第7,909,219号(特許文献6)および同第7,708,821号(特許文献7)に記載されているように、真空導管、任意で圧縮流体導管の対、および装置を配置するための力伝達ケーブルを含む、様々な作動液導管(hydraulic−fluid conduits)およびワイヤケーブルを収容する。前記文献のすべては、参照によって本願に援用される。
【0027】
以下に述べる実施形態の説明において、装置はステープラーであり、例示的な方法は、胃組織におけるステープル留めされた皺襞の形成に関して述べられる。しかしながら、本願に記載した実施形態は、他の種類の留め具を適用するため、皺襞の形成以外の目的のためにステープルまたは他の留め具を適用するために容易に適合される特徴を含む。より具体的には、用語「ステープル」は、本願では任意の種類の留め具を示すために用いられ、そのような留め具は(i)組織に押し通すことができ、(ii)アンビルに対して押し付けられたときに、組織に対して留め具を固定し、かつ、組織を固定された組織折り畳み部にまとめて保持するように、圧着される(crimped)1つ以上の脚部材を有する。開示した実施形態および方法はまた、複数の組織折り畳み皺襞を形成することが有用である身体各部において用途が見出されるであろう。
【0028】
II.ステープラー構造
図4Aおよび図4Bは、ステープルハウジング内のピストンサブアセンブリが隠されている状態(4A)および示されている状態(B)の装置20内におけるステープラーヘッド21の斜視図である。ステープラーヘッドは、皺襞部位への挿入中には最小外形を有し、次いで、大きな内容積を有するはるかに大きな外形の装置に変形するように設計されている。例えば、一実施形態において、真空チャンバは3.277cm(0.2立方インチ)の初期内容積と、9.832cm(0.6立方インチ)の拡張容積(すなわち真空チャンバ内に配置されたステープラーヘッド部品によって占められる容積を引いた後の内部チャンバ容積)とを有する。この大きな内容積は、大量の組織が真空チャンバ内に引き込まれ、ステープル留めされることを可能にする。このように、ステープラーヘッドは、挿入のために侵襲性技術を必要とすることなく、比較的大きな皺襞を生成する。具体的には、皺襞は、組織に適用されたステープルがステープル留めされた組織の縁から良好に離間されるような寸法に形成することができ、ステープルの周囲の組織断裂の危険性を最小限にする。
【0029】
上記したように、ステープラーヘッド21は概して、基端側ステープルハウジング22と、先端側アンビルハウジング部材24と、互いに向かって、および互いから離れて移動するように2つのハウジングを作動可能に接続する一対のヒンジ式アームアセンブリ(hinged arm assemblies)26を備える。拡張バー32は膜持上装置として機能し、またステープルハウジング22とアンビルハウジング24との間に延びている。ステープルヘッドを被覆する膜は示されていないが、当然のことながら、膜は拡張バーの反対側に開口を備え、真空がチャンバに適用されると、開口を介して組織がチャンバ内に引き込まれる。
【0030】
ステープルハウジング22は、ハウジングの対向する上方側部に一対のプレート64を支持する基部62を有し、各プレートは、2つのハウジングの移動の軸線に平行するスロット66のような一対のスロットを有する。一対のスプレッダーアーム68は、スロット66内を進む(ride in)ピン90によって、第1駆動体ピストン(図5Aおよび5Bを参照して後述)に作動可能に接続されている。スプレッダーアームは、それらの反対側の端部においてアームアセンブリ内のアーム28に枢軸的に接続されており、その結果、駆動体ピストンのステープルハウジング内における後退位置から伸長位置への移動は、スプレッダーアームの内端部を図において上方に移動させ、アームアセンブリ26を外側に移動させ、それによりステープルハウジングおよびアンビルハウジングを互いに向けて引き寄せる。この移動は、ピン90がスロット66の上端部に到達すると阻止され、装置の捕捉位置において2つのハウジング間に予め選択された間隔を画定する。
【0031】
図4Bに示すピストンアセンブリは、図5Aおよび図5Bの参照番号74において組み立て図および分解図に図示されている。これらの図に見られるように、サブアセンブリはステープルハウジングの基部に形成されたピストン型シリンダ(図示せず)内を進む第1水力制御駆動体ピストン76を備える。ピストンはOリング78によってシリンダ内でシールされる。サブアセンブリ内のステープル駆動体80は、ピストン76によって形成された円筒空胴内を進む第2水力制御駆動体ピストン82と、後述するように、第2ピストンがその後退位置から伸長位置に移動すると、カートリッジからステープルを射出するように機能するピストン上に搭載された複数のプッシャアーム、この実施形態では4つのプッシャアーム84とを備える。ピストン上に取り付けられた中央ポスト85は圧縮ばね87を受容し、圧縮ばね87は、以下において分かるように、ステープル留め動作後にピストンをその後退位置に戻すために、ステープル駆動体をその後退位置に向けて付勢する。ピストン82は図5B中のOリング86によってピストン76の円筒空胴内にシールされている。
【0032】
後退位置と伸長位置との間で移動するために第1ピストン76上に搭載されているものは、ステープルカートリッジ38をハウジング22内に解放可能に支持するように作用するカートリッジ支持体86である。図5Bを参照すると、支持体86は、図中のピストンの頂部に形成された穴88と係合する留め具(図示せず)によって第1ピストンに取り付けられている。この図を引き続き参照すると、支持体は、図5Bに見られるように、対向する側部においてブラケット95を設けており、ブラケットおよびスプレッダーアームの孔を通って延びるピン70によって、支持体の対向する側部にスプレッダーアーム68を枢着する。上記したように、ピン90がスロット66の上端部に到達すると、図中において第1ピストンの上方への移動が阻止され、図4B中に見られるカートリッジおよびアンビルをそれらの組織捕捉位置に配置する。
【0033】
引き続き図5Bを参照すると、支持体86はポスト85を受容するための中央開口92と、プッシャアームの端部に搭載されたプッシャブレード96を受容するための4つの周囲ブレード形開口94とを有する。サブアセンブリにおけるプッシャアームの構造について、図6Aおよび図6Bを参照しながら以下で詳述する。第2ピストンがその完全後退位置にある場合、プッシャブレードの上端部のみがこれらの支持体の開口を介して突出し、支持体上に搭載されたステープルカートリッジに対して、ブレード上端部(upper blade ends)がカートリッジ内のステープル群の底部(基部)と係合するか、またはほぼ係合するように配置される。第2ピストンが起動され、その伸長位置に向かって移動し始めると、ブレードは、カートリッジから、ステープル群中のステープルを、装置内に捕捉された組織折り畳み部を介して、アンビル46に対して射出する。ピストンの完全伸長位置において、ステープルは組織に対して圧着され、皺襞を形成するための動作を完了する。ステープル留め動作中に、ばね87は、ピストン82と支持体86の下面との間で圧縮されるようになり、例えば、ピストンへの作動液圧力の解放によってピストンが解放されると、第2ピストンをその後退位置へ付勢するように作用する。
【0034】
上述したステープル駆動体およびカートリッジ支持体は組織皺襞において4本のステープルの群を送給するために設計されているが、単にステープル駆動体上におけるプッシャアームの数および位置、および相応して支持体におけるブレードスロットの数および位置を変更するだけで、例えば3本、6本、または8本のような一群中における異なる数のステープルに適応できる。
【0035】
引き続き図5Aおよび図5Bを参照すると、支持体86の上面はタブ98のような4つのスナップインタブを有する(図8Aも参照されたい)。このタブは、カートリッジの下方側面上に形成された下方環状隆条100と係合して、カートリッジが支持体に対して回転することを依然として可能にしながら、カートリッジを支持体に解放可能に固定する。また図には、スリーブ103、スリーブに搭載されたトーションばね104、ねじれピン106およびカートリッジインサート108から構成された割り出しばねアセンブリ102が示されている。カートリッジが支持体上に配置されると、インサート108は、カートリッジの中心コアと係合して、カートリッジをばねアセンブリにロックする。支持体上にスナップ留めされる前に、カートリッジは、引張ばね104に対して、引張ばねがカートリッジをばね力の方向に圧迫するように手動で回転される。各ステープル留め動作後にカートリッジをわずかに回転させて、カートリッジを次の番のステープル群へ前進させる割り出し機構について、図8Aおよび図8Bを参照しながら後述する。カートリッジ38、カートリッジ内に保持されたステープル、およびステープル留めされた組織皺襞を強化するために用いられる補強リングを備えたカートリッジアセンブリについては、図11図15に関する後の節で説明する。
【0036】
図6Aおよび図6Bは、ステープル駆動体80内の代表的なプッシャアーム84を示している。旗型のアームは、下側ポスト110と、強度のためにその中間部において広がった上側ブレード112とを備える。ブレードは、その上端部に形成された細長い谷部114内において実質的にステープルの基部全体を支持するような長さの寸法を有する。図6Bに見られるように、谷部は、ステープルの基部をブレード上において完全に中心の位置(fully centered position)に案内するのを支援するために、その側面においてテーパーをなしている。ブレードの縁から上方へ突出するタブ115は、図8Aおよび図8Bを参照しながら後述するように、装置内の割り出し機構において停止具として機能する。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、連続したステープル留め動作を伴うピストンサブアセンブリの動作を示している。参照番号116において示されたこの特定の実施形態におけるカートリッジは、5つの群に分割され、それぞれが4本のステープルを有する、スロット118のような20個のスロットを有する。図7Aにおいて、カートリッジは、カートリッジ内の第1群中のステープル、例えばステープル120が、回転的に定位置(rotationally fixed position)を有するステープル駆動体内の4つのブレードと整合されるように配置されている。この図は、ステープル駆動体のその伸長ステープル留め位置への作動によって、第1群のスロットから射出されているステープルを示している。ステープルがカートリッジから射出された後、ピストンサブアセンブリ内の割り出し機構は、カートリッジを第2群の位置へ前進させ、ここで、プッシャアームブレードはカートリッジ内の第2群のスロット内のステープルと整合される。図7Bは、3回のそのようなステープル留め動作後のサブアセンブリの状態を示しており、ここではステープル駆動体は、ステープル駆動体が作動されるとカートリッジ内の4番目の群中のステープル、例えばステープル122がカートリッジから射出されるように配置される。
【0038】
示したように、装置内の割り出し機構は、各ステープル留めサイクル後に、ステープルカートリッジをステープルプッシャに対して前進させ、カートリッジ内の次の番のステープル群をステープル駆動体内の関連するアームと係合させるために配置するように機能する。割り出し機構は、ステープル駆動体が一定の角度位置に保持された状態で、カートリッジを漸進的に(incrementally)前進させるように機能してもよいし、またはカートリッジが静止位置に保持された状態で、ステープル駆動体を漸進的に前進させるように機能してもよい。第1アプローチはここで説明する実施形態に採用されたアプローチであり、例示的な実施について図8Aおよび図8Bを参照しながら以下に述べる。第2アプローチは図9に示す。
【0039】
図8Aは、図5Aおよび図5Bを参照しながら上述したピストンサブアセンブリを示しているが、ここではカートリッジアセンブリを除去して示されており、アセンブリ内に2つのステープル群124,126によってのみ表わされている。図において、第1ステープル群中のステープル124は、支持体72内の関連するブレード開口を介して突出するプッシャアームタブ115に対して、トーションばね104によって付勢されており、カートリッジが反時計回り方向(すなわち、ばね104によって圧迫される方向)にさらに回転するのを防止している。この第1ステープル群がカートリッジから射出される場合、ステープルがカートリッジ内のそれらのスロットから完全に射出されると、カートリッジは、今度は次のステープル群126がプッシャアームと接触するまで、ばね104によって反時計回り方向に圧迫される。図8Bにおいて認識され得るように、プッシャアームが完全に後退されると、ステープルの基部はプッシャアームタブとのみ接触する。次に、プッシャアームが次のステープル留め動作によって図において上方に移動されるにつれて、タブに係合したステープルの基部はプッシャアーム谷部114に着座し、この次の番のステープル群はカートリッジから射出され、カートリッジを3番目のステープル群に進むように解放する。
【0040】
動作中にカートリッジを漸進的に前進させるための他のいくつかの割り出し機構が企図される。一実施形態において、ばね104は、カートリッジに一定の付勢力を印加するために作動されたときに、カートリッジを漸進的な回転の方向に付勢するか、またはカートリッジを1つのステープル群のみ前進させるのに有効な短期間の力を印加するのに有効である水力要素、または磁気要素、または電磁気要素に置き換えられる。別の一般的な実施形態において、ステープルカートリッジは、ステープルが関連するスロット内に存在する場合のみにステープルハウジング内の停止部材と係合する寸法を有する複数の側面突起を有する。次に、各連続スロット内のステープルが射出され、かつ、関連する突起が無効にされる、例えば、破壊されるか、またはステープルスロットに退却させられると、カートリッジは次の番のステープル群において次の突起に進む。
【0041】
図9は、装置内のカートリッジが定位置で保持され、ステープル駆動体が漸進的に移動される割り出し機構を示している。図は、カートリッジ支持体126の上面と、ステープル駆動体の先端部に搭載され、かつ、3つのプッシャアーム129を有するプッシャアームアセンブリ128とを示している。アームアセンブリは、ステープル駆動体とカートリッジ支持体との間に挟持されたトーションばね(図示せず)によって、図において時計回り方向に回転するように付勢されている。カートリッジは、駆動体プッシャアームを収容するその下部領域において開放されており、スナップインタブテーブル(snap−in tabs tables)(図示せず)によって支持体上に解放可能に取り付けられる。アームアセンブリのすぐ下方のアームアセンブリシャフトから外側に突出しているのは、支持体126の上面にある複数の非対称スロット132のうちの1つの中に存在するように形成されたピン130である。図に示したステープラー形態において、ピン130は、プッシャアーム129をカートリッジ内の第1ステープル群を表わす3つのスロットと整合させる第1スロット132内に存在する。ステープル駆動体がステープル留めのために作動されると、3つのプッシャアームは、ピン130がスロット132から持ち上げられる直前に、ピンの前の第1群のスロットと係合して、プッシャアセンブリと第1群のスロットとの間の整合を確保する。ステープルが射出され、ステープル駆動体がその後退位置へ戻った後、スロット132の非対称性は、プッシャアーム129がカートリッジスロットから脱係合する瞬間に、ステープル駆動体が漸進的に回転することを可能にし、ピン130を第2スロット132内に配置し、プッシャアームをカートリッジ内の次のステープル群と整合させる。
【0042】
静止したカートリッジに対してステープル駆動体を漸進的に回転させるための他の割り出し機構が企図される。例えば、ステープル駆動体シャフトの回転位置は、水力または電子パルスによって、またはトーションばねを磁気もしくは電磁気付勢力と置き換えることによって、制御される。これに代わって、ステープル駆動体シャフトは、各ステープル留め動作後に、それがその完全後退位置に戻ると、ステープルハウジング内の静止要素と相互に作用してステープル駆動体を漸進的に回転させるカム要素(cammed element)を有してもよい。
【0043】
図10は、各ステープル留めサイクルにおいて4本のステープルを射出する装置において使用するために設計されたアンビル46の平面図であり、ステープルによって接触されるアンビル表面を示している。アンビルは4本のアーム134を有し、それぞれ、一対のカプセル型陥凹領域136を備える。この領域は、アームの中央に沿って延びる線140が2つの領域の反対側の端部138と交差し、図示したように、各陥凹領域の長軸と約18°の角度を形成するように各アーム表面上に配列されている。各陥凹領域がステープル脚部の折り曲げ方向を案内するので、ステープル脚部がアンビルに対して押し付けられるにつれて、2本のステープル脚部は陥凹領域自体の並置形態をとり、よってステープル留め中にステープル脚部が互いに衝突して干渉するのを防止する。
【0044】
III.カートリッジアセンブリ
図11図15は、ステープリング装置内におけるカートリッジアセンブリ36の詳細を示す。図11Aおよび図11Bに見られるように、アセンブリは、複数のステープルスロット40と、スロット内に受容されたステープル42とを提供するカートリッジ38と、図14を参照しながら以下で検討するようにカートリッジの上面上に積層されるリング136,138,140などの複数の補強リングとを備える。
【0045】
カートリッジ内のスロットは、図11Aにおいて見られるように、カートリッジの環状胴体内において略半径方向に延びている。上記に示したように、カートリッジは、好ましくはカートリッジ本体のまわりに円形に配列されたN×M個のスロットを提供し、ここでNはスロット群の数であり、Mは各群中のスロットの数である。図示したカートリッジは、それぞれ4つのスロットの5つの群に分割される20個のスロットを有するが、同一のカートリッジが任意のN×Mの組み合わせの20本のステープル、例えばそれぞれ5本のステープルの4つの群、を射出するように設計されたステープラーに適合する。スロットの対向する側面は、説明のために、断面においてわずかに内側に向かったテーパー(slight inward taper)を有しており、ステープルがそれらのスロットから容易に射出され得るように、ステープルをぴったりと、しかし強固にではなく、保持するような寸法を有する。上述したように、カートリッジの下端部上に形成された環状隆条100は、カートリッジをカートリッジ支持体72に回転自在に取り付けるために用いられる。カートリッジは典型的には単一片のプラスチック製品として形成され、1〜1.5cmの典型的な直径と、0.3〜1cmの高さ寸法とを有する。
【0046】
図12A図12Dは、本発明のカートリッジ内における異なる数および配列のスロットを示す平面図である。図12Aおよび図12Bは、それぞれ、厳密に半径方向に配向された24個および16個のスロットを示している。図12Cおよび図12Dは、それぞれ、半径方向に偏倚された方向に配向された24個および16個のスロットの配列を示している。後者の形態は、スロットの半径方向の大きさを短縮し、必要に応じて、より広幅のステープルを可能にする。
【0047】
カートリッジに使用される例示的なステープル42は、図13に示されており、基部142と、斜切ステープル端部または先端146で終了する一対の弓状に湾曲したステープル脚部144とを備える。ステープル脚部における弓形は、地点148から脚部に沿ってステープル基部に向かって進行するとわずかにテーパーをなし、断面におけるカートリッジスロットのわずかなテーパーと一致して、図8Aおよび図8Bを参照して上述したように、スロット内のステープルを、ステープルの基部をステープルプッシャとの所望の相互作用のためにカートリッジ内において配置する所望の垂直位置で、支持する。ステープル端部は、鋭利な先端を提供するだけでなく、ステープルがアンビルに対して射出されたときにステープル脚部の端部を互いに向けて圧迫するために、図13において内側から外側の方向に斜めに切断されている。
【0048】
カートリッジアセンブリ内の例示的な補強リングは図14において参照番号136で示されている。リングは、スポーク142によって接続された内側リング部材および外側リング部材138,140のそれぞれと、完全に組み立てられた状態において関連するステープル42の端部を受容する内側穴および外側穴144,146のそれぞれとを備える。図11Bにおいて見られるように、ステープル42が各々のスロットに装填された後、補強リングは、連続したリングのそれぞれの穴が、上下方向において、それぞれの連続した群中のステープル内のステープル端部を受容した状態で、第1群(一番上のリング)から始まって、次に2番目のリング(一番上から2番目のリング)などのように、アセンブリ上に積層される。よって、そのようなステープルの各群が射出されるとき、群は、ステープル留め中の組織折り畳み部に対して、最上位のリングを保持する。ステープルの基部がリングと係合し、そのリングをステープル留め中の組織折り畳み部に対して押し付ける直前の、ステープル留め中のステープルとリングとの相対位置を図14Bに示す。ここに示したリングは、図15Dを参照しながら後述する2セクションリングである。
【0049】
カートリッジアセンブリにおける補強リングの様々な代替形態は、図15A図15Dに示されている。図15Aにおいて参照番号150で示すリングは、穴156において外側リングに結合する4本の横材154を有する外側リング部材152を備え、穴156はステープルの外側脚部のみを受容する。図15Bに示すリング158は、外側リング部材160と、穴164において外側リング部材に結合された4本の半径方向脚部162とを備え、穴156はステープルの外側脚部のみを受容する類似構造を有する。図15Cのリング166は、ステープルの両端を受容する内側穴174および外側穴175を備えたクロスバー172によって結合された内側リング部材および外側リング部材166,168をそれぞれ有する。図15Dに示すリング176は、ステープルの外端部および内端部を受容するための独立した穴182,184をそれぞれ備えた2つの独立したリング部材178,180を有する。2つのリング部材は、ステープルが適所にあるとすれば、カートリッジ上において独立したアセンブリを必要とする。
【0050】
ここには示さないが、カートリッジアセンブリは、ステープルが取り付けられている易壊性ポリマーウェビング(webbing)またはフィルムによってステープルの円形アレイが適所に保持されている単純化された構造を有してもよい。この実施形態において、ウェビングまたはフィルムはカートリッジとして機能し、カートリッジからのステープル群の射出は、それらのステープルを構造から分離するように作用する。
【0051】
本発明の様々な目的および特徴をどのように達成するかは上記から認識され得る。ステープリング装置は、新規のカートリッジアセンブリが装填されると、患者の胃に挿入され、2〜8本のステープルによって、任意でそれぞれ補強リングによって強化された、複数の組織皺襞が形成される。所与の数を超える皺襞、例えば9本以上の皺襞が必要とされる場合には、装置を抜去して、装置に新規のカートリッジアセンブリを迅速に再装填することができるが、いかなる場合でも、操作中における単一のカートリッジ再装填は、ほとんどいかなる胃縮小または再建手術を達成するために十分であるはずである。
【0052】
優先権の目的のために信頼できるものを含む上記で言及された全ての特許、特許出願、および印刷された刊行物は、参照によって本願に援用される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D