特許第6235009号(P6235009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6235009移動装置を制御するための操作装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235009
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】移動装置を制御するための操作装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/02 20060101AFI20171113BHJP
   B25J 7/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B25J13/02
   B25J7/00
【請求項の数】16
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-520849(P2015-520849)
(86)(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公表番号】特表2015-528749(P2015-528749A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】EP2013002022
(87)【国際公開番号】WO2014009008
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年7月8日
(31)【優先権主張番号】12005068.7
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/669,598
(32)【優先日】2012年7月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501186645
【氏名又は名称】エッペンドルフ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】ディーター クノフェ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン フルッケ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス マース
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−229859(JP,A)
【文献】 特開2003−245882(JP,A)
【文献】 特開平07−227783(JP,A)
【文献】 特開平06−342617(JP,A)
【文献】 米国特許第04587510(US,A)
【文献】 特開昭60−118819(JP,A)
【文献】 特開2010−264539(JP,A)
【文献】 特開平09−076177(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0181343(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0137746(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 3/00−13/06
H01C 10/16
G02B 21/26
G06F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小位置決め装置の移動装置(10)を制御するための操作装置(1)であって、
前記移動装置は被移動要素(11)を含み、
a)電気制御装置(3)と、
b)入力領域(4)を有する入力装置(2)とを有し、
前記入力装置(2)によってユーザが変更できる位置値を検出することができ、前記位置値は、前記入力領域(4)内にありうる可動要素(5)の位置及び/又は動きを表わし、
前記入力装置(2)が、前記位置値に依存する電気信号を生成し、前記電気制御装置のための入力信号(31)として働き、前記電気制御装置(3)が、前記入力信号(31)に依存する出力信号(32)を生成し、それにより、前記移動装置の前記動きを制御することができ、
前記入力領域(4)が、少なくとも第1の入力ゾーン(41)及び第2の入力ゾーン(42)を含み、前記電気制御装置は、
前記可動要素(5)が前記第1の入力ゾーン(41)内にあるときに、前記出力信号(32)が、前記入力信号に依存する第1の制御規則(33)に従って前記電気制御装置(3)によって生成され、
前記可動要素(5)が前記第2の入力ゾーン(42)内にあるときに、前記出力信号(32)が、前記入力信号(31)に依存する第2の制御規則(34)に従って前記電気制御装置(3)によって生成されるように構成され、
前記操作装置は、前記ユーザが前記可動要素の前記位置を変更したときに前記位置値に依存する変更可能な対抗力で前記ユーザに対抗するように構成された力フィードバック(24,26)用の装置を含み、
前記力フィードバック(24,26)用の前記装置が、ばね装置(24)によってほぼゼロ位置にばね取付けされた摺動ガイド要素(26)を含み、前記摺動ガイド要素が、摺動ガイドとして働く切欠きを有し、前記摺動ガイド要素の内側面が、前記可動要素用の摺動トラックとして働き、前記摺動ガイド要素の前記切欠きの輪郭が、前記第1の入力ゾーンから前記第2の入力ゾーンへの遷移部を形成しているゾーン境界と同一の形状及び寸法を有する、操作装置(1)。
【請求項2】
前記第1の制御規則が、前記位置値に依存する前記移動装置の前記被移動要素の動きの比例制御を生成する、
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記第2の制御規則が、前記位置値に依存する前記移動装置の前記被移動要素の前記動きの動的制御を生成する、
請求項1又は2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記入力領域が、前記第1の入力ゾーン(41)と前記第2の入力ゾーン(42)との間にある第3の入力ゾーンとしてデッドゾーン(43)を含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記入力領域が、少なくとも1つのゾーン境界によって分離された少なくとも2つの入力ゾーン、詳細には前記第1の入力ゾーンと前記第2の入力ゾーンを含み、前記操作装置が、前記可動要素の位置が前記ゾーン境界を超えるように変更されたときに、ゾーン境界によって分離された入力ゾーンのうちの少なくとも2つの間の変更をユーザに示すように構成された信号装置(24,26)を含む、
請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記信号装置は、前記変更が行われたときに触覚及び/又は聴覚及び/又は光学信号を前記ユーザに提供するように構成された、
請求項5に記載の操作装置。
【請求項7】
前記信号装置は、前記デッドゾーン(43)と前記第2の入力ゾーン(42)との間の変更が行われたときに、前記触覚信号を前記ユーザに提供するように構成された、
請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記力フィードバック(24,26)用の前記装置が、前記信号装置(24,26)として働く、
請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
力フィードバック用の前記装置が、前記対抗力によって前記可動要素を初期位置に戻すためのリセット装置(24,26)として働く、
請求項1又は8に記載の操作装置。
【請求項10】
前記入力装置が、ジョイスティックレバーである前記可動要素を有する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記第2の入力ゾーン(42)が、少なくとも第1のゾーン区分(W1)と第2のゾーン区分(W2)と有し、前記第1のゾーン区分(W1)が、前記第1の入力ゾーン(41)と前記第2のゾーン区分(W2)との間に配置され、位置値P_relに対する速度v(P_rel)の変化fの値が、W2内よりもW1内で低く、fが、P_relに対するv(P_rel)の微分、即ちf=(d/dP_rel)v(P_rel)であるように記述できる、
請求項2に記載の操作装置。
【請求項12】
前記第2の入力ゾーン(42)内で、前記位置値P_relに依存する前記移動装置の前記被移動要素(11)の動きの動的制御は、P_relに対するv(P_rel)の前記微分に対応する前記速度v(P_rel)の前記変化fが、f=(d/dP_rel)v(P_rel)によって記述され、またP_relに依存する関数であり、f>0であり、好ましくはfがP_relに比例するように構成される、
請求項2又は11、及び請求項1、3〜10のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の前記操作装置(1)を含み、更に前記移動装置(10)を含む、
微小位置決め装置(1,10)。
【請求項14】
生体細胞の操作のための方法の使用であって、被移動要素を含む移動装置、詳細には微小位置決め装置の移動装置を制御するための出力信号を生成する方法の使用であって、
電気信号が、入力領域を含む、操作装置の入力装置によって生成され、前記電気信号が、前記操作装置の電気制御装置のための入力信号として働き、
前記入力信号に依存する前記電気制御装置によって出力信号が生成され、前記出力信号によって、移動装置の位置及び/又は動きを制御することができ、
前記入力領域が、第1の入力ゾーンを含み、前記出力信号は、可動要素が前記第1の入力ゾーン内にあるときに前記入力信号に依存する第1の制御規則に従って前記電気制御装置によって生成され、
さらに第2の入力ゾーンを含み、前記出力信号は、前記可動要素が前記第2の入力ゾーン内にあるときに前記入力信号に依存する第2の制御規則に従って前記電気制御装置によって生成される方法の使用
【請求項15】
請求項14に記載の方法を実行するために操作装置の電気制御装置によって使用される、コンピュータデータを保持する、
ことを特徴とするデータ記憶媒体。
【請求項16】
生体細胞を操作するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置、詳細には微小位置決め装置の移動装置、詳細にはマイクロマニピュレータを制御するための操作装置、及び移動装置を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小位置決め装置は、正確な動きをユーザが制御し実行するために使用され、その位置精度又は分解能は、数十ナノメートルから数マイクロメートルの範囲になることがある。微小位置決め装置は、構成要素を正確に位置決めしなければならない場所で使用される。マイクロマニピュレータは、そのような微小位置決め装置を含み、その移動装置が、ツールと結合されうる。ツールの正確な位置決めにより、微小構造物を正確に操作することができる。そのような微小構造物は、マイクロチップを用いたマイクロシステムやナノシステムなどの人工的なものでもよく、生物学的なもの、例えば生体細胞でよい。詳細には、本発明による操作装置は、研究室設備であり、研究室、特に微細加工研究室、半導体研究室、及び生物学又は医学研究室で利用される。
【0003】
生体細胞をツールによって操作するマイクロマニピュレータの動きを制御するための既知の操作装置は、「TransferMan NK2[登録商標]」の名前でドイツ国ハンブルグのEppendorf AGから販売されている。この操作装置は、操作装置による毛細管の比例移動が必要な作業手法のために開発された。比例移動は、特に、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、胚盤胞及び/又は初期胚(8細胞期)内への胚性幹細胞(ES細胞)の移動、及び使用されるツールの動きの正確な制御が必要な他の作業技術に適する。ユーザは、ジョイスティックをその最大可能入力領域内で振り動かすことによってマイクロマニピュレータの動きを制御し、入力領域は、通常、円錐形領域又は立体角であり、その点又は原点は、ジョイスティックレバーの支点である。立体角は、通常、円錐に合致する。
【0004】
比例ジョイスティック制御モードでは、即ち比例制御の制御規則による制御の場合、ツールは、ユーザの制御運動にそのまま従う。この場合、軸Xに沿ったツールの位置dXの動き又は変化が、ユーザによって行われる軸X’に沿ったジョイスティックの動きdx’に比例的に対応する。これは、数学的に次のように表わすことができる。
【0005】
dX〜dX’、又はdX=c*dX’
【0006】
ここで、cは数値定数である。
【0007】
所定の定数cの場合、最大可能入力領域は、ツールの最大移動範囲に対応する。ユーザが、ツールを最大移動範囲より外に動かしたい場合、既知の操作装置は、操作装置上のボタンを押すことによってジョイスティックと移動装置との間の比例制御を切るための機能を提供する。ボタンが押されている間、詳細にはボタンが押されている間にユーザがジョイスティックを動かさないとき、移動装置の位置は、変更されない。次に、ユーザが、ジョイスティックの最大入力領域の端に達して、ツールを最大移動範囲を超えて移動させたい場合、ユーザは、ボタンを押すことによって比例制御を切り、ボタンを押したままジョイスティックを逆方向に動かし、ボタンを離すことによって比例制御を再活動化させ、そこで、ユーザは、ツールを、ツールの前述の最大前方移動範囲を超えて比例制御による慣れた方法で望み通りに更に移動させることができる。この再取組み手順は、ツールを所望の距離だけ移動させるために必要に応じた回数、ユーザによって繰り返されうる。
【0008】
典型的には、細胞を操作するとき、最初に、ツールは、細胞に近付くためにミリメートルの範囲で比較的大きい距離にわたって移動されなければならず、これは、通常、様々な分解能で作業する光学顕微鏡により観察される。細胞の近く、詳細には、細胞から細胞数個分の直径の距離、即ち、細胞壁から数マイクロメートル又は数十マイクロメートル以内で、ユーザは、特に、きわめて貴重な細胞を間違って破壊しないように、特に注意を払わなければならない。細胞の近くでは微細制御が必要である。既知の操作装置では、細胞は、最初に、前述のように、ジョイスティックの繰り返し操作によって接近される。しかしながら、この動きの繰り返しは、不都合なことがあることが分かっている。更に、この制御概念は、比較的融通性が低いと思われる。また、繰り返されるジョイスティックの動きは、操作装置の機械的ストレスを高める。
【0009】
特許文献1は、異なる技術分野のものであり、自動車又は半導体産業で使用されるロボットアームを操作する操縦桿について述べている。この特許文献は、ロボットアーム操作装置が、位置制御領域、速度制御領域、及びこれらの間にヒステリシス領域を有し、操縦桿が比例制御と動的制御の間の移行点を通る場合にロボットアームの動きが突然変化するのを防ぐためにヒステリシス領域が従来の制御形態を維持することについて述べている。ユーザが桿を放した後で、ばね機構が、操縦桿を操縦桿の中心位置に戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−245882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、詳細には生体細胞を操作するための融通性のある操作装置、及び融通性があり使い易い移動装置を制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、この目的を、請求項1による操作装置及び請求項16による方法によって達成する。好ましい開発は、詳細には従属クレームの内容である。
【0013】
本発明の利点は、入力領域内の可動要素の適切な動きによって、特に制御モードである少なくとも2つの異なる制御規則を使用できるので、移動装置の制御に融通性があることである。ユーザは、更に、制御規則を手動で変更しなくてもよく、ユーザが可動要素を第1の入力ゾーンから第2の入力ゾーンに移動させるとき変更が自動的に行われるという点で、2つの制御規則の間のこの変更を直感的に実現する。
【0014】
可動要素は、ジョイスティックレバー、スライドレギュレータ、ロッカ要素、トラックボールなどのユーザが操作できる操作要素でよい。この場合、可動要素は、入力装置の構成要素でよい。しかしながら、可動要素は、例えばユーザの指先であるという点で、入力装置の構成要素でなくてもよい。この場合、入力装置は、例えば、ユーザの指先を範囲内で移動させることができるタッチパッドやタッチスクリーンなどのタッチセンス式のストリップ、面又は空間として構成された入力領域を含むことができる。指先に割り当てられた位置値が、入力装置によって検出される。例えば、入力領域は、タッチセンス式でもよく、例えば光学的測定によって可動要素の位置値の無接触取得を行なってもよい。本発明による操作装置は、詳細には、動きの直感的な片手の制御を可能にし、それにより、ユーザの手の一方が自由のままであり他の活動に利用できる。
【0015】
この説明の意味での位置値は、可動要素の位置及び/又は動きを特徴付けることができる様々な物理パラメータの一般名である。位置は、後述するように、x,y,zなどの位置変数、又は角度を指す。動きは、速度を示し、場合によっては位置変数のうちの1つに関する加速度を示す。位置値は、スカラ値でもベクトル値でもよい。このように、位置値は、1つ又は複数の寸法を含むことができ、したがって、少なくとも1つ及び好ましくは複数の値を含むことができる。位置値は、デカルト座標系における変数x、y及び/又はz、極座標系における半径と角度α、及び/又は球座標系における半径と立体角β,χ、あるいは単に位置変化と呼ばれるこれらのパラメータに対する変化(即ち、相対位置)などの少なくとも1つの絶対又は相対位置データを含む。位置データの代替又は追加として、位置値が、代替又は追加として、前記座標の速度、即ち、この位置データの時間vx,vy,vz,vR,vα,vβ,vχによる位置の変化率を含んでもよい。この代替又は追加として、位置値は、代替又は追加として、前記座標の速度、即ち、この位置データの時間ax,ay,az,aR,aα,aβ,aχによる速度の変化率を含んでもよい。これらのパラメータは、正値又は負値を採ることができ、したがって、可動要素の方向を明確に特徴付けることができる。入力装置は、詳細には、一次元、二次元又は三次元で可動要素の移動と取得を提供することができる。入力信号は、更に、時間情報を含むことができる。
【0016】
第1の制御規則と第2の制御規則は常に異なる。第1の制御規則は、比例制御を行なうように設計されることが好ましい。好ましくは、又はこれと無関係に、第2の制御規則は、動的制御を行なうように設計される。これらの用語は両方とも、本明細の文脈で説明される。第1の制御規則と第2の制御規則は、両方とも比例制御を含むか両方とも動的制御を含むことができ、その違いは好ましくは、係数cが異なることであり、c2がc1と等しくない場合に、例えば、第1の比例定数c1が第1の制御規則に使用され、第2の比例定数c2が第2の制御規則に使用されることである。
【0017】
本発明の意味における制御規則は、制御装置で提供される仕様であり、それにより、可変出力信号が、制御装置において可変入力信号に依存して導出される。これと無関係に、入力信号は常に位置値に依存し、それにより出力信号も常に位置値に依存する。仕様は、数学関数によって、デジタル及び/又はアナログ電気回路によって、並びに/又は制御装置に記憶できる表に従って必要とされる出力から入力信号及び/又は値への一定割り当てによって提供されうる。これらの制御規則により、例えば、移動装置の比例制御を第1の制御規則に従って実行するか又は移動装置の動的制御を第2の制御規則に従って実行することができる。
【0018】
比例制御下では、移動装置によって行われる位置の変化、詳細には変位は、可動要素によって行なわれる位置の変化に比例する。比例制御下では、制御装置の出力信号は、移動装置によって行われる位置の変化に比例して、可動要素によって行なわれる位置の変化、詳細には変位を達成するように構成される。
【0019】
比例制御の利点は、ユーザが移動装置のきわめて正確な動きを実現できることである。詳細には、特に大きい減少によって、即ち、小さい係数cによって、マニピュレータのツール位置の微調整が可能であり、これは特に細胞操作に適する。細胞操作は、顕微操作、即ち、他の場所では単にツールと呼ばれる微小ツール(例えば、毛細管)を使用する細胞の保持と移送を、顕微注射と顕微解剖と共に含む。
【0020】
位置の変化は、位置(例えば、デカルト座標系ではx、y及び/又はz座標)、及び/又は極座標系又は球座標系の半径及び/又は角座標を決定するパラメータを指すことができる。
【0021】
操作装置の可動要素は、例えば、そのような位置の変化を実行することができ、及び/又はこの位置の変化は、適切に取得されうる。例えば、可動要素は、例えばx軸に沿った一次元並行移動でもよく、この軸のまわりに回転されてもよい。好ましくは、二次元運動(例えば、x−y平面に平行な並行移動)でもよく、少なくともx軸とy軸のまわりの回転でもよい。また、三次元運動(例えば、x−y−z座標系の空間内の並行移動)及び/又は座標系の少なくともx、y軸及び/又はz軸のまわりの回転でもよい。x、y及び/又はz軸に沿った距離だけが使用されてもよく、そのような軸のまわりの角度だけが使用されてもよい。しかしながら、距離と角度の両方を使用することもでき、即ち、例えば、可動要素を動かし回転することができ、対応するパラメータを測定することができる。
【0022】
移動装置によって動かされる被移動要素(例えば、マイクロマニピュレータのツール)が、可動要素の位置の変化に対応する位置のある種の変化(例えば、x、y、z座標、又はそのような軸のまわりの角度)を正確に実行することが好ましい。例えば、x軸に沿った可動要素の並進位置の変化は、これに対応して、x軸に沿った、即ち、異なる座標系(x’,y’,z’)のx’軸に沿った移動装置の被移動要素の並進運動をもたらす。更に他の例として、x軸のまわりの可動要素の回転位置の変化は、x軸のまわり、即ち、異なる座標系(x’,y’,z’)のx’軸のまわりの移動装置の被移動要素の回転運動をもたらす。
【0023】
また、移動装置によって動かされる要素、例えば、マイクロマニピュレータのツールが、可動要素の位置変化のタイプに対応する位置と異なる種類の位置変化を実行することができるか又は実行することが好ましい。例えば、x軸に沿った可動要素の並進位置変化は、y軸又はz軸に沿った被移動要素の並進位置の変化となる。また、x軸に沿った可動要素の並進位置変化は、軸(x、y若しくはz軸、又は他の幾つかの軸)のまわりの被移動要素の回転位置変化となることができる。
【0024】
比例関係が存在する位置パラメータの選択は、比例制御に重要ではない。比例制御にとって重要なことは、移動装置によって動かされる要素の位置変化dP2が、ユーザによって操作される入力装置の可動要素の位置変化dP1に比例し、これは、例えば次のように数学的に表わすことができる。
【0025】
dP2〜dP1又はdP2=c*dP1
【0026】
ここで、cは数値定数である。変数dP1,dP2は、変位の変化又は角度の変化を表わすことができる。dP1が変位の変化に関連することができ、同時にdP2が角度の変化でよく、その逆でもよい。
【0027】
比例制御と対照的に、動的制御下の移動装置によって維持される速度vは、可動要素によって採用される相対位置P_relに依存する。即ち、vは、P_relの関数であることが好ましい。
【0028】
v=v(P_rel)
【0029】
動的制御の利点は、(速度)制御方式では、速度を高めることによって、より被移動要素が、例えば、同じ距離を取り扱うために可動要素の繰り返し移動又は何らかの入力手段が必要とされ、それにより必要な時間が長くなり労力が増える比例モードよりも、長い距離をより迅速に取り扱うことができ、したがって好都合であることである。
【0030】
しかしながら、関係v(P_rel)は、制御装置に記憶することができる二次元、三次元以上の表での割り当てにより定義されうる。パラメータvは、スカラ量でもよく、ベクトルでもよく、例えば、様々な移動方向x及び/又はy及び/又はzの速度値vx,vy,vz及び/又は角速度vαを含むことができる。
【0031】
好ましくは、移動装置によって維持される速度vは、可動要素がとる相対位置P_relに比例する。
【0032】
v=c*P_rel
【0033】
ここで、cは、標準化係数であり、即ち、例えば単位「1秒当たり1つ」を有する数値であり、vは、スカラ又はベクトル量でよい。次に、P_relは、ゼロ速度を表す開始点から可動要素の現在位置までの距離として理解されうる。しかしながら、関係v(P_rel)は、他の方法で定義されてもよい。
【0034】
動的制御は、P_relに依存する速度v(P_rel)の変化がヌルと異なり、好ましくはヌルより大きくなるように構成されることが好ましい。即ち、位置x=P_relに関する関数v(P_rel)の微分が、ヌルより大きく、したがって、(d/dx)v(P_rel)>0又は(d/dP_rel)v(P_rel)>0となることが好ましく、その結果、P_relが大きくなるほど速度が大きくなる。特に、第1の制御規則及び/又は第3の制御規則が比例制御であるように構成された場合、(d/dx)v(P_rel)>0である第2の制御規則が、第1の入力ゾーンと第2の入力ゾーンの間の可動要素の動きの移行を提供することができ、その移行をユーザが快適で滑らかな連続的な移行として受け取ることができ、前記連続的な移行は、操作の正確さも高める。
【0035】
好ましくは、動的制御は、P_relに依存する速度v(P_rel)の変化が、P_relに依存する関数f、即ち(d/dP_rel)v(P_rel)=f(P_rel)となるように構成され、f(P_rel)は、詳細にはヌルより大きくてもよい。このように、P_relに依存する速度v(P_rel)の変化は、一定ではなくP_relにより変化し、これにより、動的制御のより融通性のある設計が可能になる。このようにして、可動要素が、ゼロ位置から始まる方向P_rel、例えば原点から始まるデカルト座標系のx軸に沿った方向に外方に移動された場合、速度が不釣り合いに上昇することが達成されうる。ユーザは、速度の不釣り合いな増大を示すことがある、詳細には信号装置によるフィードバック信号、詳細には例えばリセット装置、例えばばね装置の緊張による触覚式フィードバック信号を受け取る場合に、速度のより直感的制御を有することにより利益を得る。
【0036】
好ましくは、動的制御は、P_relに依存する速度v(P_rel)の変化が、P_rel:(d/dx)v(P_rel)〜P_relにそれぞれ比例するように構成される。(d/dx)v(P_rel)=c*P_relであり、ここで、x=P_relであり、cは、適切な標準化係数であり、例えば、物理単位1/(秒*メートル)を有する数値である。このように、速度は、P_rel(例えば、v〜(P_rel)2)に関して2次的に増大する。詳細には、そのような制御は、より快適で正確に動作可能な操作装置を提供する。
【0037】
動的制御は、P_relに依存する速度v(P_rel)の変化が一定ではなく、詳細にはヌルよりも大きくなるように構成され、前記変化は、連続関数によって記述されず、例えば、P_relによる速度の変化の値を含む値の表によって記述されることが好ましい。詳細には、第1の値範囲内W1=P_re_1〜P_rel_2で、速度の変化が、(d/dx)v(P_rel)〜c1であり、第2の値範囲内W2=P_re_2〜P_rel_3で、速度の変化が、(d/dx)v(P_rel)〜c2であり、第3の値範囲内W3=P_re_3〜P_rel_4で、速度の変化が(d/dx)v(P_rel)〜c3であり、第nの値範囲内W_n=P_re_n〜P_rel_n+1で、速度の変化が、(d/dx)v(P_rel)〜c_nであり、ここで、nは、1より大きな自然数でよく、例えば、n=1、2、3、4、5、6以上であり、標準化係数c1,c2,c3,…c_nの好ましくは全て又はその少なくとも一部分は、異なる値を有する。(d/dx)v(P_rel)〜P_relのそのような説明は、技術的に容易に理解されうる。
【0038】
好ましくは、第2の入力ゾーン(好ましくは、第2の入力ゾーンの領域全体)が、少なくとも第1のゾーン区分(W1)と第2のゾーン区分(W2)を有し、第1のゾーン区分(W1)が、第1の入力ゾーン(41)と第2のゾーン区分(W2)の間に配置され、位置値P_relに対する速度v(P_rel)の変更fの値が、W1内の方がW2内より低く、fが、P_relに対するv(P_rel)の微分、即ちf=(d/dP_rel)v(P_rel)であるように説明されうる。このようにして、操作装置のより快適で直感的で正確な操作が達成される。第2の入力ゾーンは、また、少なくとも第3のゾーン区分(W3)を有し、位置値P_relに対する速度v(P_rel)の変化fの値が、W2内の方がW3より低いことが好ましい。このように、操作装置のより快適で直感的で正確な操作が達成される。そのような実施形態は、十分に融通性があるように考慮され、技術的により容易に理解されうる。
【0039】
相対位置P_relは、好ましくは速度ゼロを有する可動要素の開始位置に関して測定されることが好ましい。
【0040】
動的制御下では、制御装置からの出力信号は、この速度vを使用して移動装置の被移動要素を駆動するように構成される。
【0041】
速度は、デカルト座標系ではx、y及び/又はz座標に沿った速度、並びに/又は極座標系又は球座標系の半径に沿った速度及び/又は角座標に沿った角速度を決定するパラメータを指すことができる。
【0042】
第3の入力ゾーンは、デッドゾーンでよく、そのようなデッドゾーンを含んでもよい。第3の入力ゾーンは、好ましくは、第1と第2の入力ゾーンの間にある。可動要素が、第3の入力ゾーン、詳細にはデッドゾーン内にあるとき、制御装置からの出力信号は、第3の制御規則、詳細にはデッドゾーンの制御規則に従って生成されることが好ましい。デッドゾーンの制御規則は、可動要素がデッドゾーン内にあるときに移動装置の被移動要素が移動されないような性質の出力信号が生成される効果を有することが好ましい。第3の制御規則は、また、出力信号がゼロ、詳細には出力信号に割り当てられた少なくとも1つのデータ値又は出力信号に割り当てられた少なくとも1つの信号電圧レベルが0であることを提供することができる。デッドゾーンの制御規則は、可動要素がデッドゾーン内で移動されたときに移動装置の被移動要素が移動されないような性質の出力信号が生成される効果を有することが好ましい。
【0043】
入力領域が、少なくとも1つの第3の入力ゾーンを有することが好ましく、制御装置は、可動要素が第3の入力ゾーン内に配置された場合に、出力信号が入力信号に依存する第3の制御規則に従って制御装置によって生成されるように構成されることが好ましい。
【0044】
第3の入力ゾーン、詳細にはデッドゾーンTは、全入力領域Eの小部分fを含み、即ちT=f*Eであり、ここで、TとEは、立体角領域、即ち、円錐形又は部分円錐形の空間セクタ、領域、線、体積を含むことができ、fが1より小さい数の場合、fは、好ましくは好ましい範囲の群{(0.00001<f<0.001);(0.001<f<0.01);(0.01<f<0.03);(0.03<f<0.08);(0.08<f<0.15)}から選択される。fが0.00001より小さくてもよい。入力ゾーンの物理単位は、平方メートル、度によって表わされてもよく、他の方法で定義されてもよい。第3のゾーン(詳細にはデッドゾーン)の目的は、例えば、ジョイスティックレバーが第1と第2の入力ゾーンのちょうど境界にあるときに変動中間状態の発生を防ぐために、2つの制御規則間の移行を定義された方式で構成することである。このように、特に入力装置の構造に含まれる特定の公差が補償される。しかしながら、これは、例えば、制御規則が、移動装置の駆動を停止せずに動作させる第3のゾーン内のゾーン移行に使用されるので、デッドゾーンなしでも達成されうる。
【0045】
また、第3の入力ゾーン、詳細にはデッドゾーンの第3の制御規則は、比例制御であることが好ましい。このことは、可動要素が第3の入力ゾーン内に不動に配置された場合に被移動要素が移動されないという利点を提供する。即ち、第3のゾーンの比例制御規則は、可動要素が第3のゾーン内にあるときに移動装置の被移動要素が移動されないような性質の出力信号が生成される効果を有する。第3の入力ゾーンの比例制御と第1の入力ゾーンの比例制御は同一でもよい。あるいは、第3の入力ゾーンの制御と第1の入力ゾーンの比例制御は異なってもよい。特に、可動要素が、ユーザによって解放された後、リセット装置によって、比例制御を有する入力ゾーン、例えば第3の及び/又は第1の入力ゾーンに自動的にリセットされた場合、第3の制御規則のそのような構成は、高い操作信頼性を提供する。これについては、後で更に詳しく説明される。操作装置は、制御装置と入力領域を備えた入力装置とを支持することが好ましい基体を含むことができる。更に、操作装置は、制御装置と好ましくは入力装置を周囲環境から少なくとも部分的に又は完全にスクリーニング又は取り囲むハウジング装置を含むことができる。操作装置は、入力装置に加えて、ユーザ用の他の入力機構、詳細には1つ又は複数のボタン及び/又はコントローラ及び/又はキーボード、及び/又は表示画面やタッチスクリーンなどの表示装置を含む。操作装置は、エネルギー源、詳細にはバッテリ、又は外部エネルギー供給源用のケーブルと、適切な場合は電源ユニットを含むことができる。操作装置は、出力信号を外部位置決め装置の移動装置に渡す働きをするインタフェース装置を有することが好ましい。このインタフェース装置は、好ましくはケーブルによって接続されるが、無線でもよい。インタフェース装置は、複数の相互に絶縁された電線(即ち、ケーブル)を含むことが好ましい。この場合、ステッピングモータの位置と速度を制御しかつ/又は調整するために、移動装置の各ステッピングモータを直流制御するための2本のケーブルを接続できることが好ましい。
【0046】
電気制御装置は、基体及び/又はハウジング装置の中に配置されてもよく、基体及び/又はハウジング装置の外に配置されてもよいが、どちらの場合も入力装置への信号接続を有しうることが好ましい。
【0047】
制御装置は、後で説明されるように、本発明の方法により、出力信号が、入力信号に応じて、詳細には適切なコンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードを使用して生成されるように構成されることが好ましい。コンピュータデータは、本発明による方法を実行するために、操作装置、詳細には本発明による操作装置の電気制御装置によって使用されることが好ましい。
【0048】
本発明による電気制御装置は、デジタルデータを処理するためのコンピュータ機構、好ましくはマイクロプロセッサを含むことが好ましい。制御装置は、好ましくはプログラム可能であり、好ましくはプログラム可能なコンピュータ機構を含む。好ましくは、制御装置は、データの永久及び/又は非持久記憶のためのメモリ装置、更にはコンピュータデータ(詳細には実行可能プログラムコード)の永久記憶のためのプログラムメモリを有することが好ましい。プログラムメモリは、コンピュータデータ及び/又は実行可能プログラムコードを含む。プログラムメモリは、例えば、フラッシュメモリ又はEEPROMでよい。実行可能プログラムコードは、操作装置の一部分であるファームウェア内に保持されてもよい。
【0049】
コンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードは、本発明の方法による入力信号に応じた出力信号を生成するように設計されることが好ましい。コンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードは、可動要素が第1の入力ゾーン内にあるときに、第1の制御規則に従う入力信号に基づいて第1の出力信号を生成するように設計されることが好ましい。コンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードは、可動要素が第2の入力ゾーン内にあるときに、第2の制御規則に従う入力信号に基づいて第2の出力信号を生成するように設計されることが好ましい。コンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードは、可動要素が第3の入力ゾーン内にあるときに、第3の制御規則に従う入力信号に基づいて第3の出力信号を生成するように設計されることが好ましい。
【0050】
制御装置は、好ましくは移動装置の少なくとも1つの駆動を調整するように設計された駆動コントローラを含むことが好ましい。駆動コントローラは、好ましくは制御装置によって決定され、かつ移動装置の少なくとも1つの駆動の位置決め及び/又は速度及び/又は加速度に関する値を含む第2の入力信号によって制御されることが好ましい。次に、駆動コントローラは、移動装置を制御することができる制御装置の出力信号を生成する。駆動コントローラは、制御装置の外部、詳細には操作装置の一部分として提供されてもよく、操作装置の外部に提供されてもよい。この場合、制御装置によって生成された出力信号は、駆動コントローラのための入力信号であり、駆動コントローラは、移動装置を駆動するための第2の出力信号を生成する。この場合もやはり、移動装置は、制御装置の出力信号によって制御されうる。
【0051】
駆動コントローラは、所望の動作状態を採り、即ち所望の位置及び/又は速度及び/又は加速度を維持するように、少なくとも1つの駆動機構を制御するように設計されることが好ましい。この目的のため、駆動コントローラは、駆動の律動的負荷と振動の発生を防ぐために、駆動機構を現在の動作状態から所望の動作状態に制御式又は調整式に変化させる制御の手段を含むことができる。例えば、ステッピングモータなどの駆動コントローラは既知であり、市販されている。
【0052】
移動装置は、少なくとも1つの駆動機構を含むことができる。駆動機構は、モータ、詳細には電動モータ、好ましくはリニアモータ、好ましくは直流電力によって操作されるステッピングモータでよい。しかしながら、駆動機構は、油圧又は空気アクチュエータ、又は圧電アクチュエータを含むことができる。被移動要素は、駆動機構によって移動されうる。被移動要素は、ツールホルダなどの単一構成要素でよく、あるいは、例えば、可動式摺動要素、及び/又はツールホルダを保持する保持装置、詳細には毛細管ホルダ、及び/又はそのような構成要素を接続する締結装置などの複数の構成要素を有する組立体でよい。
【0053】
移動装置は、出力信号によって制御されうる。しかしながら、移動装置は、本発明の操作装置の一部分ではない。移動装置が、インタフェース装置を介して操作装置に接続された場合、これにより、移動装置を制御装置の出力信号によって制御することが可能になる。次に、移動装置と操作装置は、信号によって接続される。
【0054】
制御装置は、また、少なくとも1つの出力信号を生成するように設計されうる。制御装置は、更に、少なくとも2つの出力信号を生成するように設計されてもよく、各出力信号は、詳細には同じ構造を有することも異なる構造を有することもできる移動装置を制御するように設計される。したがって、制御装置は、例えば、更に、ユーザが、操作装置のユーザ・インタフェース、例えばキーボード、ボタン、スイッチによって、制御される所望の操作装置及び/又は生成される出力信号を選択するように開発されてもよい。最低1つ又は2つの移動装置が、操作装置に永久的に接続されうるか、信号によって接続されうるか、又は必要に応じて接続可能でよい。
【0055】
信号によって接続されることは、何らかの技術手法、例えば配線接続、例えばケーブル、又は無線、例えば無線接続、好ましくは電線によって、又は光伝送若しくは何らかの他の伝送技術によって情報を交換できることを意味する。例えば、入力装置と制御装置は、例えばケーブル又は無線接続などの無線データインタフェースを介して、信号によって接続され、それにより、ユーザによって作成された入力信号を制御装置に送信することができる。
【0056】
本発明による微小位置決め装置は、本発明による操作装置を含み、更に移動装置を含む。
【0057】
微小位置決め装置は、好ましくはツールホルダ、詳細には毛細管ホルダを含む本発明による微小操作装置の一部でよい。
【0058】
入力装置は、ジョイスティック装置でよい。これは、ジョイスティックレバーを含む。可動要素は、操作装置に面する端に取り付けられることが好ましい。可動要素は、ジョイスティックレバーを含むか、ジョイスティックレバーでよく、又はジョイスティックレバー上の点又は区分でもよい。ジョイスティックレバーは、支点のまわりで旋回できるように入力装置に取り付けられることが好ましい。
【0059】
入力領域は、立体角領域でもよく、ジョイスティックレバーが中で旋回することができる1つ又は複数の立体角領域を含んでもよい。その場合、様々な入力ゾーンは、立体角領域の様々な部分領域、即ち立体角領域自体でよい。立体角領域は、例えば、第1の角度と第2の角度によって適切に規定される。第1の角度βは、デカルト座標系のx−z平面内で測定されてもよく、第2の角度χは、座標系のy−z平面内で測定されてもよい。この測定は、少なくとも1つのセンサ、好ましくはちょうど2つ又は少なくとも2つのセンサ、詳細には距離センサを含む入力装置内のセンサ装置によって実現されることが好ましい。センサ又は距離センサは、非接触センサ、好ましくはホールセンサ又は光センサであることが好ましい。光センサは、詳細には、フォトセル機構として構成されてもよい。座標系は、z軸に対する回転対称で動くことができるジョイスティックレバーが、z軸と平行に調整されるゼロ位置を有するようなものでよい。この場合、x−y平面は、z軸に垂直である。ジョイスティックレバーの支点は、座標系のゼロ点であることが好ましい。
【0060】
入力装置は、また、ストリップ又は他の表面の形の入力領域、詳細には、例えばタッチパッド又はタッチスクリーン上の摺動要素又はタッチセンス面を有する入力装置の場合である平面入力領域を有することができ、その場合、位置値は、例えば容量動作センサ装置によって決定される。この場合、可動要素は、ユーザの指先でよい。入力装置は、更に、トラックボール、1つ又は複数の軸のまわりで振動することができる操作ロッカ、又は1つ又は複数の方向に押すことができる摺動要素を含むことができる。市販の入力装置が位置値を決定することができ、また制御装置の入力信号を生成できる場合には、入力装置としてその市販の入力装置を使用することができる。
【0061】
入力装置は、操作装置の一部分である。入力装置は、操作装置の物理的部分であることが好ましく、また詳細には操作装置の基体上、詳細には制御装置を含む操作装置のハウジング装置の少なくとも部分的に内側に配置される。しかしながら、入力装置は、入力信号を制御装置に渡すために、入力装置が制御装置への信号接続を有する限り、制御装置を含む操作装置のハウジング装置の外部に配置されてもよい。
【0062】
ジョイスティックレバーは、z軸のまわりに回転対称で回転できるようにジンバルから懸架されることが好ましい。この目的のため、ジンバルサスペンションは、x軸とy軸に平行でよい互いに垂直な2つの旋回軸を有する。ジョイスティックレバーは、ジョイスティックレバーの下側端に配置され、したがって座標系の下側半空間の方向を指し、それにより負z値を有する点の領域内を指すブーム部分を含むことが好ましい。2つの立体角の位置を決定するため、好ましくは少なくとも2つのセンサが、好ましくは半空間の下側領域内で、互いに離れて配置される。第1のセンサは、z軸上のブーム部分の下に配置されてもよく、第2のセンサは、好ましくは支点の高さ又はその下にz軸からずらされて配置されてもよい。
【0063】
ジョイスティックレバーは、詳細にはブーム部分の下側端に、センサと相互作用して位置値を決定するブーム部分上の相互作用要素を有することができる。更に、相互作用要素は、ジンバルサスペンションに配置されかつ/又は取り付けられてもよい。相互作用要素は、磁気要素でよく、詳細には永久磁石を含むことができる。ホールセンサからの距離は、前記センサによって決定されてもよく、それにより、例えば立体角を検出することができる。相互作用要素は、また、トランスミッタ又はリフレクタでもよく、例えば光学フォトセルとして働く開口装置を含んでもよい。
【0064】
操作装置は、センサ装置を含むことが好ましい。これは、入力装置の一部分であることが好ましい。好ましくは、これは、位置又は位置の変化を検出するのに適したN_sens個のセンサの数を含み、ここで、N_sens≧1である。好ましくは、N_sens=2であり、その理由は、この値が、特に、2つの位置パラメータ(例えば、2つの角度、2つの距離)の好ましい検出を容易にするのに適切で経済的だからである。可動要素が一次元運動の場合、1つのセンサが使用されることが好ましく、二次元運動の場合には、2つのセンサが使用されることが好ましく、三次元運動の場合には、3つのセンサが使用されることが好ましい。より高い精度を達成するために、各場合に2倍の数のセンサが使用されることが好ましい。
【0065】
センサは、好ましくは非接触センサ、好ましくは距離センサである。センサは、ホールセンサであることが好ましい。更に、センサは、光センサでよく、例えば、可視スペクトル又は赤外スペクトルで放射することができる少なくとも1つのLEDを含むことができる。光センサ装置は、位置値を決定するためにフォトセル装置を含むことができる。
【0066】
しかしながら、センサは、また、接触動作原理を有してもよく、例えば、ポテンショメータを含むことができる。
【0067】
操作装置は、可動要素がその位置を2つの入力ゾーン間で変更するときにユーザにその変更を示すように設計された信号装置を含むことが好ましい。その結果、移動装置の動きの制御が、より便利、即ちより直感的になる。
【0068】
信号装置は、2つの異なる入力ゾーン間のこの変更が行われたときにユーザに触覚及び/又は光学及び/又は音響信号を提供するように設計されることが好ましい。触覚認識は、対抗力、詳細には増大する対抗力の知覚でよい。
【0069】
信号装置は、デッドゾーンと第2の入力ゾーンの間の変更が行われたときにユーザに触覚信号を提供するように設計されることが好ましい。詳細には、第1の入力ゾーンが比例制御に使用され、第2の入力ゾーンが動的制御に使用されるとき、ユーザは、動的制御に従って「高速運動モード」になるように伝えられるか警告される。
【0070】
ユーザが可動要素の位置を変更するときに、可動要素の位置と運動方向に依存する変更可能な対抗力をユーザに提供するために、力フィードバック用の装置が、提供され設計されることが好ましい。この原理は、「力フィードバック」として知られ、直感的制御を可能にし、制御されるパラメータは、フィードバック力の大きさも決定する。制御されるこのパラメータは、例えば、好ましくは移動装置の駆動の速度に比例する、第2の入力領域内の可動要素の相対位置でよい。その結果、この制御は、直感的になる。力フィードバック用の装置は、切欠きを有することができる摺動ガイド要素を含みうる。
【0071】
力フィードバック用の装置は、この信号装置として働き、ゾーンの変更をユーザに示す触覚信号を生成することが好ましい。
【0072】
操縦装置は、リセット装置を有することが好ましい。力フィードバック用の装置は、また、リセット装置として働くことが好ましい。リセット装置は、詳細には対抗力によって、可動要素を初期位置に戻すように構成される。この目的のため、好ましくは入力装置、又はリセット装置はそれぞれ、この再位置決めを実施するばね装置を含む。前記初期位置は、好ましくは、第1の入力ゾーン内、又は第3の入力ゾーン内、又は第1の入力ゾーンと第3の入力ゾーンの境界上にあってもよい。
【0073】
リセット装置及び/又は力フィードバック用の装置が、可動要素のまわりにばね装置によって可動式にばね取り付けされた摺動ガイド要素を含むことが好ましい。
【0074】
摺動ガイド要素は、板の形態、詳細には円盤の形態、詳細には円環の形態を有することが好ましい。摺動ガイド要素は、摺動ガイドとして働く切欠きを有することが好ましい。切欠きに隣り合った摺動ガイド要素の内側面、詳細には摺動ガイド要素の内縁は、この場合、操作装置の可動要素又は操作要素がこの内側面と接触するときに好ましくは設けられる可動要素及び/又は操作要素のガイドトラック及び/又は摺動トラックとして構成される。摺動ガイド要素は、入力装置に対して移動可能に支持され、詳細には、可動要素がこの内側面に力を受けるときにゼロ位置から動かされる。
【0075】
摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭は、好ましくは、第1の入力ゾーンから第2又は第3の入力ゾーンあるいは第3の入力ゾーンから第2の入力ゾーン内に移行する輪郭と同じ形状及び/又はサイズを有し、したがって、いずれの場合もゾーン境界を構成する。このように、制御規則の変化は、信号装置及び/又は力フィードバック及び/又は再位置決め機能による信号生成に結合されうる。詳細には、信号は、ユーザが可動要素を前記ゾーン境界の上で動かすときに力フィードバック又は再位置決めを正確に開始又は停止することができる。したがって、ユーザが、例えば、比例ゾーン(又は、デッドゾーン)から動的ゾーンへの移行を完了した場合、ユーザは、例えば、摺動ガイドの内側面にジョイスティックの操作レバーを当て、これにより移行がユーザに伝わる。移動装置の駆動速度の増大と同等の動的ゾーン内の更なる振れによって、ユーザは、ユーザがレバーを振らす力に対抗するばね装置による力を知覚する。駆動の速度が、ばね装置によって生成された対抗力とほとんど比例する場合、力フィードバックは、特に情報となり、その結果、操作装置の制御が直感的になる。しかしながら、ゾーン境界の輪郭と外側輪郭は、異なるように構成されてもよい。
【0076】
摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭は、第1の入力ゾーンから第3の入力ゾーンへの移行を形成する輪郭(即ち、ゾーン境界)と同じ形状及び/又はサイズを有することが好ましい。これは、摺動ガイド要素が、リセット装置の一部分であるように構成された場合、可動要素が第2の入力ゾーン内にある間にユーザが可動要素を放した場合に、可動要素が、第2の入力ゾーンから安全に出され、詳細には第3及び/又は第1の入力ゾーン内に設定されるか、少なくとも第3のゾーンと第1のゾーンの境界に設定されるという利点を提供する。この利点は、詳細には、ガイド摺動要素の切欠きの外側輪郭が、第1の入力ゾーンから第3の入力ゾーンへの移行を形成する輪郭と比較して形状及び/又はサイズにわずかなずれを有する場合、又は摺動ガイド要素のゼロ位置が、操作装置の寿命中に劣化によって変化した場合、又は他の理由によって摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭と第1と第3のゾーンの境界の間が完全に一致しない場合に提供される。それぞれの場合に、利点は、可動要素が、解放後に第2の入力ゾーン内にもう配置されないことである。この状況では、第3の入力ゾーンのサイズ及び/又は形状が、前記ずれが第3の入力ゾーンを超えないように構成されることは明白である。
【0077】
例えば、第2の入力ゾーンの第2の制御規則が動的制御であり、第1の入力ゾーンの第1の制御規則が比例制御である場合に、詳細には第3の入力ゾーンの第3の制御規則も比例制御である場合、又は第3のゾーンがデッドゾーンである場合は、前述の構成は、摺動ガイド要素が第3及び/又は第1の入力ゾーンにリセットされることによって可動要素が短い減速段階から解放された場合に、被移動要素がそれ以上動かないことを保証する。この利点は、生体細胞の操作、詳細にはICSIの状況でヒト生卵母細胞を操作する操縦装置を使用する場合に明白になる。そのような状況では、ジョイスティックレバーである可動要素が、第2のゾーン内のユーザによって解放された後、毛細管である被移動要素が、それ以上動かされないことが特に重要である。このように、貴重な卵母細胞の破損又は微小位置決め装置の破損の危険性を減らすことができる。
【0078】
ばね摺動ガイド要素は、ばね装置のばね要素の釣り合いによって規定された規定ゼロ位置を有することが好ましい。ばね装置は、ゼロ位置を調整するために調整手段によって調整されうることが好ましい。ジョイスティックレバーの支点を通るz軸は、ゼロ位置にあるときに摺動ガイド要素の切欠きの幾何学的中心を通ることが好ましい。ジョイスティックレバーは、ゼロ位置にあるとき、詳細にはz軸がジョイスティックレバーを通る中心軸と一致するように、z軸と平行であることが好ましい。ジョイスティックレバーは、入力ゾーン内のその位置が、ユーザ又は再位置決め装置によって押されない場合は変化しないように取り付けられることが好ましい。
【0079】
入力装置は、摺動ガイド要素を交換できるように構成されうる。操作装置は、ゾーン境界の輪郭が、ユーザによって選択され、詳細には摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭と合致するように構成されうる。このようにして、操作装置の使用の融通性が高まる。
【0080】
摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭とゾーン境界の輪郭は両方とも、形状が円形であることが好ましい。その結果、操作装置は、好ましい方向がないので、操作が直感的になる。しかしながら、外側輪郭とゾーン境界の輪郭は、他の形態を有してもよく、その幾つかの例が、図6aと図6bに示されている。例えば図6bに示されたように、内側の方にずらされた領域を有し、したがって部分的に心臓形の輪郭の1つの形態は、操作装置の特定の用途に有利なことがある。したがって、細胞操作中、詳細にはICSI中に、矢印Aの方向のジョイスティックレバー又は可動要素の比較的小さい振れによる動的制御下の移動装置によって毛細管を素早く動かし、次に矢印Bの方向の比例制御による動きを行なうことができる。
【0081】
第1の制御規則は、位置値に依存する移動装置の被移動要素の動きの比例制御を生成することが好ましい。第2の制御規則は、位置値に依存する移動装置の被移動要素の動きの動的制御を生成することが好ましい。
【0082】
特に好ましい実施形態では、入力領域は、第1の入力ゾーンと第2の入力ゾーンの間にあるデッドゾーンを有し、第1の制御規則は、位置値に依存する移動装置の被移動要素の動きの比例制御を達成し、第2の制御規則は、位置値に依存する移動装置の被移動要素の動きの動的制御を達成する。この構成は、操作装置の直感的操作を達成する。ユーザは、被移動要素を動的モードで素早く移動させることができ、デッドゾーンによって、比例モードに確実に変化して移動装置の被移動要素の位置の微調整を行なうことができる。
【0083】
本発明は、更に、移動装置、詳細には生体細胞を操作するためのマイクロマニピュレータの移動装置を制御するための、詳細には操作装置の電気制御装置、詳細には本発明による操作装置において出力信号を生成する方法に関し、操作装置の入力装置によって、電気制御装置の入力信号として働く電気信号が生成され、入力信号に依存する電気制御装置によって出力信号が生成され、それにより、移動装置の動きを制御することができ、この入力領域は、第1の入力ゾーンを有し、出力信号は、可動要素が第1の入力ゾーン内に配置されたときに入力信号に依存する第1の制御規則に従って制御装置によって生成され、入力領域が第2の入力ゾーンを有し、出力信号は、可動要素が第2の入力ゾーン内に配置されたときに入力信号に依存する第2の制御規則に従って制御装置によって生成される。
【0084】
本発明は、更に、本発明による方法のステップを実行するコンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードに関する。本発明は、更に、電気制御装置において本発明による方法の実行を可能にするコンピュータデータ、詳細には実行可能プログラムコードを含むデータ記憶媒体、例えばコンパクトディスク又はフラッシュメモリに関する。
【0085】
本発明による方法の更に好ましい実施形態は、本発明による操作装置の記述から明らかになる。
【0086】
本発明による操作装置及び本発明による方法の更に好ましい実施形態は、図面及びその説明と関連した例示的な実施形態の以下の記述から明らかになる。例示的な実施形態の同じ構成要素は、一般に、他のことが記述されるか状況から明らかにならない限り、同じ参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1a】本発明による操作装置及びそれにより制御される移動装置の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
図1b】種々の装置と図1aからの操作装置とを含む細胞生物学用の作業場を示す図である。
図2a】摺動ガイド要素の一部分を有する本発明による操作装置の例示的な実施形態による入力装置の断面を、可動要素と入力領域と共に概略的に示す図である。
図2b】第1と第2の入力ゾーン及びデッドゾーンを有する入力領域を、本発明による操作装置の1つの例示的な実施形態による可動要素と共に概略的に示す図である。
図2c図2aと図2bからの入力領域を、第1のゾーン内の可動要素の動きと共に示す図である。
図2d図2cからの入力領域を、可動要素の第1のゾーンからデッドゾーン内への動きと共に示す図である。
図2e図2dからの入力領域を、デッドゾーン内の可動要素の位置と共に示す図である。
図2f】ゼロ位置の入力装置と摺動ガイド要素が重ねられた図2eからの入力領域を示す図である。
図2g図2eと図2fからの入力領域を、可動要素のデッドゾーンから第2のゾーン内への動きと共に示す図である。
図2h】偏った位置の入力装置と摺動ガイド要素が重ねられた図2gからの入力領域を示す図である。
図3a】本発明による操作装置の1つの例示的な実施形態による入力装置の斜視図である。
図3b】入力領域を有する図3aの入力装置の概略側面図である。
図3c】第1の入力ゾーン、第2の入力ゾーン、第3の入力ゾーン及び摺動ガイド要素を有する図3bの入力領域の概略側面図である。
図4a】左側に、比例モードで動作する本発明による操作装置によって生成された被移動要素の動きが重ねられた入力領域を示し、右側に、操作装置の入力装置の操作レバーの最大可能な振れを示す図である。
図4b】左側に、比例モードから動的モードに変化する本発明の装置に従って動作することによって生成された被移動要素の動きが重ねられた入力領域を示し、右側に、操作装置の入力装置の操作レバーの対応する振れを示す図である。
図4c】左側に、動的モードで動作する本発明による操作装置によって生成された被移動要素の動きが重ねられた入力領域を示し、右側に、操作装置の入力装置の操作レバーの振れを示す図である。
図5a】本発明による方法の例示的な実施形態による方法のステップを概略的に示す図である。
図5b図5aの方法の動的制御による方法のステップを概略的に示す図である。
図5c図5aの方法の比例制御による方法のステップを概略的に示す図である。
図6a】本発明による操作装置の摺動ガイド要素のゾーン境界と切欠きの外側輪郭の例を示す図である。
図6b】本発明による操作装置の摺動ガイド要素のゾーン境界と切欠きの外側輪郭の例を示す図である。
図7a】本発明による操作装置の一実施形態による3つの入力ゾーンを有する入力領域を示す図である。
図7b】デカルト座標系による図を示し、その原点が、図7aに示された入力領域の中心点に対応し、そのx軸が、図7aに示された線Aに沿った位置値P_relへの対応を指し、P_relに依存する速度v(P_rel)は、入力ゾーンP、P/DD、D内に例として概略的に示されている。
図7c】関数v(P_rel)の非線形コースの代替実現を有する、図7bに示された外側の第2の入力ゾーンDと関連付けられた速度v(P_rel)を概略的に示す図である。
図8a】本発明による操作装置の一実施形態による3つの入力ゾーンを有する入力領域を示す図であり、摺動ガイド要素は、ゼロ位置の第1の構成で配置されている。
図8b図8aからの入力領域を示す図であり、摺動ガイド要素はゼロ位置の第2の構成で配置される。
【発明を実施するための形態】
【0088】
図1は、操作装置1を概略的に示す。操作装置は、微小位置決め装置の移動装置10を制御するための研究室設備である。これは、また、移動装置に結合された毛細管ホルダを有する。毛細管がこれに取り付けられ、生体細胞を操作するツールとして働く。微小位置決め装置は、マイクロマニピュレータ装置のように構成される。オペレータが操作装置1によって生成したミリメートル〜マイクロメートルの範囲の毛細管51(図4a、図4b、図4cを参照)の動きは、倒立顕微鏡によって様々な分解能で観察されうる。本発明による操作装置は、詳細には、動きを直感的に片手で制御することを可能にし、それにより、オペレータの手の一方が、顕微鏡を操作するのに自由なままになる。
【0089】
図1bは、種々の装置と操作装置1を含む細胞生物学用の作業場100を示す。作業場は、顕微鏡101と、毛細管ホルダ106として構成され、その電気的コントローラ111を有する圧電マイクロアクチュエータ106と、操作装置1とケーブル121によって接続された移動装置10とを含む微小位置決め装置(1,10)とを含み、前記移動装置は、被移動要素11として、ツールホルダを保持するための保持機器11を有し、この場合、ツールホルダは、毛細管107を有する毛細管ホルダ106である。移動装置10は、3つのステッピングモータ(図示せず)を含み、このステッピングモータによって、被移動要素11が、ユーザによって行われる位置の変化x,yにより操作装置1の出力信号によって制御され、ジョイスティックレバー25のヘッドに割り当てることができるデカルト座標系の3つの軸x’,y’,z’に沿って移動される。操作装置は、また、ジョイスティックレバーのヘッドにある回転ノブによって、詳細にはz方向に制御されうる。装置は、研究室台110上に配置される。
【0090】
典型的な用途(例えば、ICSIの実施)では、この作業場のオペレータは、例えば、細胞を含むペトリ皿を、逆さにされた顕微鏡101の作業板102上に置き、次にキャリッジ103によって手動で移動できる移動装置10をペトリ皿に近づけ、次に毛細管ホルダ106を毛細管107と共に、手動で、詳細にはペトリ皿に収容された培養液に入るまで、ペトリ皿の方向に比較的素早く移動させる。顕微鏡によって、ユーザは、毛細管が入ったことを観察し、ユーザは、ジョイスティックの比較的大きな振れによって細胞の方向に比較的素早く移動させることができ、その段階で、操作装置は、動的制御の制御規則を自動的に適用する。顕微鏡の合焦ホイール104を使用して、ユーザは、片手で、毛細管の先端と細胞との光学焦点を調整して、毛細管の先端と細胞上の標的位置との距離を観察する。細胞の近くでは、ジョイスティックのより小さい振れは、この場合は50nm〜15μmの範囲の微細制御を生成し、操作装置は、比例制御の制御規則を自動的に適用する。操作運動x,yを縮小するための比例定数cが、操作装置でユーザによって入力されうる。この用途では、更に後で説明されるように、操作装置1による移動装置10の制御が、直観的かつ都合よく進み有利である。
【0091】
操作装置1は、この場合はジョイスティック装置2である入力装置2を有する。入力装置2は、入力領域内で動かされ可動要素を構成するジョイスティックレバーの位置の値を検出する。位置の値は、この場合、更に説明されるように、2つの測定角度によって規定されるジョイスティックレバーの位置を含む。ジョイスティック装置2は、位置値を含む電気信号を生成する。電気信号は、制御装置3の入力信号31として働く。ジョイスティックレバーの位置により、制御装置3は、ジョイスティックレバーが第1の入力領域内にあるときに第1の制御規則33に従う出力信号を生成する。ジョイスティックレバーの位置により、制御装置3は、ジョイスティックレバーが第2の入力領域内にあるときに、第2の制御規則34に従う出力信号を生成する。
【0092】
入力領域4は、図3bと図3cに示されたように、この場合、二重円錐の形を有する立体角の領域であり、二重円錐は、ジョイスティックレバーの支点25eから始まり、デカルト座標系の正及び負z軸の方向に上方と下方に延在し、第1の開口角度α1を有する2つの円錐立体角領域を有する。更に、小さい方の開口角度α2を有する2つの円錐立体角領域の外側面によって構成されたゾーン境界43aと、更に小さい開口角度α3を有する2つの円錐立体角領域の外側面によって構成されたゾーン境界41aとがある。換言すると、α1>α2>α3である。第1の入力ゾーンは、ゾーン境界41a内にあり、第3の入力領域は、ゾーン境界41aとゾーン境界43aの間にあり、第2の入力領域は、ゾーン境界43aと入力領域4の外側面との間にある。可動要素がジョイスティックレバーの軸と見なされ、支点25eが数学的点として見なされる場合、ジョイスティック軸は、常に、前記ゾーン内又はゾーン境界上で動く。その場合、ジョイスティックレバー自体の体積は、ゾーン境界より突き出る。
【0093】
図3aと図3cに示されたように、ばね式摺動ガイド要素26が、支点25eより上の例えば約1〜3cmの距離で、x−y平面と平行に配置される。これは、等距離で配置された3つの渦巻ばね要素によってフレーム要素22にばね式に取り付けられる。渦巻ばね要素は、支点25eを通りz軸に平行な直線のまわりに同心円状に分散される。ばね要素は、フレーム要素22に固定された調整手段22aによって調整されうる。この場合、各ばね要素は、調整手段に結合される。調整手段によって、ばね要素の張力を増減することができる。
【0094】
ゼロ位置のとき、摺動ガイド要素は、支点25eを通りz軸に平行な直線が、この場合は、円形の切欠き26aの中心を正確に通るように配置される。切欠き26aの内側面(摺動ガイド要素の外側輪郭とも呼ばれる)と、第2の入力ゾーンは、一般に好ましくは、可動要素が摺動ガイド要素をそのゼロ位置から振らすことなく切欠きの内側面にちょうど触れるときに、ジョイスティックレバー又はそのジョイスティック軸である可動要素25が第2の入力ゾーンへのゾーン境界43a上に正確に配置されるように、正確に形成される。これは、図6aと図6bに示されたように、内側面が非円形輪郭を有するときにも当てはまる。
【0095】
図2a〜図2hで、第1の入力ゾーン41を有する入力領域4、第3の入力ゾーン43=デッドゾーン、及び第2の入力ゾーン42が、図3cの摺動ガイド要素の高さHに示される。
【0096】
図2aは、操作装置1の入力装置2の断面を、可動要素5(レバー25)及び入力領域4に加えて、摺動ガイド要素26の一部分と共に概略的に示す。図2bは、第1の入力ゾーン41と第2の入力ゾーン42を有する入力領域を、デッドゾーン43と可動要素5と共に概略的に示す。可動要素5は、第1の入力ゾーン内にある。制御装置3において、これは、移動装置の比例制御のための制御規則33と関連付けられ、それにより、可動要素が第1の入力ゾーン41内にあるときに比例制御となる。図2bで、可動要素5は動いておらず、したがって、移動装置の動きは行われない。制御装置3は、可動要素がどの入力ゾーン内にあるかを認識し、それに対応して、入力ゾーンと関連付けられた制御規則を選択する。
【0097】
図2cは、第1のゾーン内の可動要素の動きと共に、図2aと図2bからの入力領域を示す。移動装置の位置dP2の変化は、可動要素5の位置dP1の変化に比例し、即ち、dP2〜dP1又はdP2=c*dP1であり、ここで、cは1未満の数である。即ち、動きが縮小され、したがって微細制御が可能になる。係数cは、操作装置のユーザによって、例えば10−5〜1の値に設定されうる。
【0098】
図2dは、可動要素が第1のゾーンからデッドゾーン内に移動した状態の図2cからの入力領域を示す。可動要素がデッドゾーン内で移動又は位置決めされるとき、適切な制御規則が適用される。したがって、可動要素がデッドゾーン内にあるとき、移動装置の動きは生成されない。図2eは、可動要素の位置がデッドゾーン内にある状態の図2dからの入力領域を示す。図2fは、図2eからの入力領域を示し、ゼロ位置の入力装置と摺動ガイド要素が重ねられている。
【0099】
図2gは、可動要素がデッドゾーン43から第2のゾーン42内に移動した状態の図2eと図2fからの入力領域を示す。この場合、可動要素5は、第2の入力ゾーン内にある。制御装置3では、これは、移動装置の動的制御のための制御規則34と関連付けられ、したがって、可動要素が第2の入力ゾーン42内にあるときに動的制御となる。即ち、移動装置によって維持される速度vは、可動要素によって利用される相対位置P_relに依存し、図2gで、第3の入力ゾーン43と第2の入力ゾーン42との間のゾーン境界43aから始まり半径方向外方に測定される。即ち、vは、好ましくはP_relの関数、即ちv=v(P_rel)である。
【0100】
図2hは、図2gからの入力領域を示し、この図では、入力装置と振れた位置の摺動ガイド要素26とが重ねられている。振れは、ばね装置24の力に対して行われる。ばね装置は、摺動ガイド要素によって3つの機能を行ない、各機能は、他の方法でも実施されうる。振れの結果、対抗力が生成され、この力は、ユーザによって加えられる振れ力と反対に働く。これにより、第3の入力ゾーンから第2の入力ゾーンに移行するユーザに触覚信号が提供される。更に、第2の入力ゾーン内の可動要素の位置の変化は、力フィードバック、即ちユーザがP_relによる変化を適用しなければならない力を生成する。したがって、ユーザは、移動装置が動かしている速度vの大きさに関する触覚情報を受け取る。第3の機能として、ばね装置は、摺動ガイド要素と共に動作し、それにより、ユーザがレバーを放したときにすぐに可動要素(即ち、ジョイスティックレバー25)がデッドゾーンに戻される。その結果、操作は、安全で、更に直感的になる。
【0101】
図4aは、左側に、比例モードで動作する本発明による操作装置によって生成された被移動要素(ツール又は毛細管51である)の動きが重ねられた入力領域4’を示し、右側に、操作装置の入力装置の操作レバー25の最大可能な振れを示す。図4bは、左側に、比例モードから動的モードへの変化を有する本発明による操作装置によって生成された被移動要素の動きが重ねられた、外半径r1を有する第1の円形の入力ゾーン41’と第2の外半径r2>r1を有する第2の入力ゾーン42’とを有する円形入力領域を示し、右側に、操作装置の入力装置の操作レバーの対応する振れを示す。図4cは、左側に、動的モードで動作する本発明による操作装置によって生成された被移動要素の動きが重ねられた入力領域を示し、右側に、ばね摺動ガイド要素からの反対力を受ける操作装置の入力装置の操作レバーの振れを示す。
【0102】
図3aは、操作装置1による入力装置2の斜視図を示す。フレーム要素22は、中空円筒状基本要素21に固定される。ジョイスティックレバー25は、支点25eのまわりに回転できるように、基本要素21からジンバル上に懸架される(図3b)。ジョイスティックレバーは、第1の入力ゾーン41内にあるときに重力によって触れないように懸架される。
【0103】
ジョイスティックレバーは、レバーヘッド27を有する。これは、この場合、回転ノブ27aを有し、その位置は、レバーヘッドの測定装置によって取得され、位置値と共に、ケーブル28を介して制御装置3に送信されうる。制御装置は、ユーザの選択によって回転ノブに所望の機能を割り当ててもよく、固定機能を有してもよい。典型的には、移動装置のz動き(即ち、高さ)は、回転ノブによって制御される。この場合、レバーヘッド27は、更に、押しボタン27bを含む。その位置(押された/押されない)は、レバーヘッドの測定装置によって取得され、位置値と共にケーブル28を介して制御装置3に送信されうる。
【0104】
制御装置は、ユーザの選択によって所望の機能を押しボタン27bに割り当ててもよく、固定機能を有してもよい。典型的な機能は、例えば、デッドゾーンの制御規則に対応する不感機能である。換言すると、可動要素が動かされたときでも、入力ゾーンに関係なく、その動きは、押しボタン27bが押されている間、移動装置に送信されない。これにより、比例ゾーン41内のジョイスティックの追跡が可能になり、可動要素が動的ゾーン42内にあるときはすぐに動きが止まる。しかしながら、押しボタン27bと回転ノブ27aは、詳細にはオプションである。
【0105】
図3bは、入力領域4を有する図3aの入力装置2の概略側面図を示す。入力装置2は、この場合、2つのホールセンサ29(1つだけが示されている)を含むセンサ装置を含む。ジョイスティックの位置は、センサ装置によって明白に検出されうる。ジョイスティックレバー25の最も低い部分は、永久磁石25dを有し、ホールセンサ29からのその距離は、ホールセンサ29によって検出されうる。このように、立体角α1(デカルト座標系のx−z平面で測定された)が、検出されうる。第2のホールセンサ(図示せず)は、ジョイスティックレバー25のジンバルサスペンションのブーム25cに取り付けられる。このように、立体角α2(デカルト座標系のy−z平面に測定された)は、検出されうる。ホールセンサは、立体角α1及びα2を表わす信号を出力する。入力装置は、立体角値を入力装置の仮想x−y値に変換する。第1の入力ゾーン41内で、これらに所望の係数c<1が掛けられ、比例制御による移動装置の位置dP2(即ち、dX2とdY2)の変化が決定され、第2の入力ゾーン42内で、動的制御によって移動装置の速度v=v(P_rel)が決定される。
【0106】
制御装置は、出力信号32を生成するための実行可能プログラムコードを実行するプログラム可能なマイクロプロセッサを含む。プログラムコードは、制御装置のプログラムメモリに永久に記憶される。プログラムコードは、好ましくは10ミリ秒ごとに規則的に繰り返し検出する入力信号に基づいて決定し、入力ゾーン内に可動要素5(25)が配置される。その結果に従って、第1の制御規則を適用して、移動装置の比例制御が実現される出力信号を生成する。あるいは、第2の制御規則を適用して、移動装置の動的制御が実現される出力信号を生成する。あるいは、第3の制御規則を適用して、移動装置の位置の変化が実現されない出力信号を生成する。
【0107】
図5aは、本発明による方法の例示的な実施形態による方法のステップを概略的に示す。
【0108】
ステップ201で、R1(第1の入力ゾーンと第3の入力ゾーンとの境界)とR2(第3の入力ゾーンと第2の入力ゾーンとの境界)の値が指定され、好ましくは制御装置に永久に記憶される。円形摺動ガイドの場合、境界が、切欠きの中心と可動要素の現在位置の間の距離Rによって決定される。第1の入力ゾーン41は、比例制御に割り当てられ、比例ゾーンとも呼ばれる。第2の入力ゾーン42は、動的制御に割り当てられ、動的ゾーンとも呼ばれる。第3の入力ゾーン43では、可動要素の動きは、操作装置と関連付けられた移動装置を活動させず、これはデッドゾーンと呼ばれる。
【0109】
次のステップ202は、10ミリ秒の待機時間を提供する。次のステップ203は、立体角α1,α2でのジョイスティック位置の問い合わせと、移動装置の2つのステッピングモータのモータ位置X2,Y2の問い合わせを提供する。次のステップ204は、ジョイスティック位置α1,α2を極座標、半径R及びx−y面内の角度に変換する。次のステップ205は、半径Rが半径R1より小さいかどうかの確認を提供する。真(「はい」)の場合、206で比例制御が適用される。真でない(「いいえ」)場合、更なる問い合わせ209が続く。
【0110】
比例制御を適用するために、α1,α2による比例制御の制御規則に従って、207で出力信号32が生成される。これは、移動装置のモータのための駆動コントローラ(図示せず)の支援により行われる。この場合、駆動コントローラは、操作装置1の一部分である。制御装置は、駆動コントローラの第2の入力信号を生成する。これにより、モータの動作が調整され、モータの位置と速度が制御される。次に、移動装置のモータが、208で、10ミリ秒の現在のジョイスティック位置によって指定された位置に達する。方法は、ステップ(202)に戻る。
【0111】
更に他の問い合わせ209が、半径Rが半径R2より小さいかどうかを確認する。真の場合(「はい」)は、210で、デッドゾーンの制御規則が適用される。この場合、211で、可動要素の位置決め又は動きによって、操作装置と関連付けられた移動装置の活動が生じない。これが真でない場合(「いいえ」)、可動要素は、212で、動的ゾーンになる。その結果、213で、動的制御の制御規則が適用される。この場合、モータは、ジョイスティックレバーが第2の入力ゾーン内ある限り動き続ける。方法は、再びステップ202に戻り、再び質問のチェーンを通る。
【0112】
図5bは、図5aの方法の動的制御による方法のステップを概略的に示す。ステップ341は、測定値α1,α2に基づいて、第2の入力領域42内の可動要素の位置の現在の半径と半径R2との差R_relの計算を提供する。次のステップ342は、半径R2(この場合はv(R2)=0)と最大振れ(v_max)での最大半径R_maxとの間で上昇する速度の使用又は計算を提供する。半径の差に対する速度の変化は、例えば、v_max/(R_max−R2)によって与えられる。次のステップ343は、速度を半径Rに割り当てるために2つの半径R_maxとR2の間の補間、又はv(R)=(v_max/(R_max−R2))*Rに従った計算を提供する。次のステップ344は、ジョイスティック角度による移動装置の被移動要素の方向の計算を提供する。次のステップ345は、決定された速度による計算方向のモータの移動を提供する。次のステップ346は、ジョイスティックレバーが第2の入力ゾーン内ある限り動き続けるモータを提供する。
【0113】
図5cは、図5aの方法の比例制御に従う方法のステップを概略的に示す。ステップ331は、時間間隔(この場合は10ミリ秒)中の可動要素の位置dP1の変化の計算を提供する。計算には、比例制御による位置dP2の変化が必要である。次のステップ332は、距離dP2が1サイクル(10ミリ秒)で移動されるようにモータの速度vの計算を提供する。次のステップ333は、モータを速度vで距離dP2移動させることを提供する。次のステップ334は、次の10msサイクルでジョイスティック位置に従うモータを提供する。
【0114】
制御装置(好ましくはその実行可能プログラムコード)は、本発明による方法のそのようなステップ及び/又は本発明による方法の他のステップを実行するように構成されることが好ましい。
【0115】
図7aは、本発明による操作装置の一実施形態の3つの入力ゾーン41、42及び43を有する入力領域4を示す。「P」と呼ばれる比例制御は、第1の入力ゾーン41に割り当てられうる。第3の制御規則を有する第3の入力ゾーン43が提供されてもよく提供されなくてもよい。ここで、P/DDと呼ばれる第3の入力ゾーン43が提供される。第3の入力ゾーン43は、「P」と呼ばれる比例制御を有することができる。第3の入力ゾーン42の比例制御Pは、同一でもよく、あるいは、第1の入力ゾーン41の比例制御Pと異なってもよい。あるいは、第3の制御規則は、デッドゾーンの制御規則でもよく、デッドゾーンはDDと呼ばれる。第3のゾーンをデッドゾーンであるように構成することは、可動要素5がデッドゾーン内に配置されたときに被移動要素11が移動しないことを意味し、また、可動要素5がデッドゾーン内で移動されたときに被移動要素11が移動しないことを意味することができる。「D」と呼ばれる動的制御は、この実施形態では、第2の入力ゾーン42に割り当てられる。
【0116】
図7bは、デカルト座標系によるグラフを示し、その原点は図7aに示された入力領域の中心点に対応し、そのx軸は、図7aに示された軸Aに沿った位置値P_relに対応し、P_relに依存する速度v(P_rel)の関数は、例えば、特に入力ゾーンP、P/DD及びDの範囲内で概略的に示される。この例では、動的制御Dは、v(P_rel)がP_relに比例しないように構成される。しかしながら、P_relに比例するv(P_rel)が可能であり、領域「D」内に点線によって示される。図7bの領域Dの実線の後で、速度v(P_rel)は、操作装置の好ましい実施形態のこの例では、可動要素(即ち、ジョイスティックレバー)が更に外側に押されたときに線形増加よりも大きいP_relの増大によって、第2の入力ゾーン42の幅全体にわたって増大する。このように、被移動要素11の特定の高速変位は、第2の入力ゾーン42の外側領域内でも可能である。P_relに依存する速度関数v(P_rel)の変化は、関数f=(d/dP_rel)v(P_rel)に対応し、f自体は、P_relの関数であり、また好ましくは、fは、P_relに比例する。このケースでは、速度vは、段又は急な曲がりなしの連続経路を有する関数になるように実現される。しかしながら、関数f又はv(P_rel)は、後に配置され隣接した曲線区分(詳細には直線区分)によって区分的に説明することができ、詳細には、隣接した曲線区分間の移行は、急な曲がりを示すことがある。
【0117】
図7cは、図7bに示された外側の第2の入力ゾーンDと関連付けられた速度v(P_rel)を概略的に示し、速度v(P_rel)は、第2の入力ゾーン42の幅全体にわたる関数v(P_rel)の非線形経路の代替実現を有する。この場合、動的制御は、P_relに依存する速度v(P_rel)の変化fが、一定ではないが、曲線fの全区分ではヌルより大きくなるように構成され、前記変化fは、連続関数fによって示されないが、P_relに依存する速度の変化fの値を含む、例えば値の表によって、説明される。第1の値の範囲内W1=P_re_1〜P_rel_2で、速度の変化は、(d/dx)v(P_rel)〜c1であり、第2の値の範囲内W2=P_re_2〜P_rel_3で、速度の変化は、(d/dx)v(P_rel)〜c2であり、第3の値の範囲内W3=P_re_3〜P_rel_4で、速度の変化は、(d/dx)v(P_rel)〜c3であり、第4の値の範囲内W4=P_re_4〜P_rel_5で、速度の変化は、(d/dx)v(P_rel)〜c4であり、標準化係数c1、c2、c3及びc4は全て異なる。(d/dx)v(P_rel)〜P_relのそのような説明は、技術的に比較的容易に理解することができる。
【0118】
図7b又は図7cに示された動的制御の構成の利点は、可動要素5をP_relに沿って外方に移動させるときに、速度v(P_rel)が、最初に徐々に上昇し、第2の入力ゾーン42の外側部分Dでより早く上昇することである。このように、操作装置の直感的で効率的な動作が達成される。
【0119】
図8aは、本発明による操作装置の一実施形態による3つの入力ゾーン41、42及び43を有する入力領域4を示し、摺動ガイド要素は、ゼロ位置の第1の構成で配置される。摺動ガイド要素は、図3a〜図3cに関して前述したものと同じように構成される。図3aに示された摺動ガイド要素のゼロ位置の第1の構成では、摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭26aは、第1の入力ゾーンと第3の入力ゾーンとの間のちょうど境界61にある。そのような構成は、理想的構成である。第2の入力ゾーンと第3の入力ゾーンの間の境界は、「62」と呼ばれる。しかしながら、実際には、理想位置に対するゼロ位置の構成のずれが生じることがあり、このずれは、製造公差又は劣化によって生じることがある。そのような問題は、詳細には、図8bに示されたように、第3の入力ゾーンを提供し、第3の入力ゾーンを適切に構成し、摺動ガイド要素と入力ゾーンの適切な相対位置を選択することによって解決されうる。
【0120】
図8bは、図8aからの入力領域を示し、摺動ガイド要素は、ゼロ位置の第2の構成で配置される。摺動ガイド要素の切欠きの外側輪郭26aが、円形又は環状の入力領域41,42,43の中心点から外れて配置されることが示される。第3の入力ゾーンのサイズは、摺動ガイド要素の外側輪郭26aが、非対称位置決めにもかかわらず第3の入力ゾーン内にあるように選択される。摺動ガイド要素のゼロ位置の非理想的構成でも、摺動ガイド要素の外側輪郭26aは、第2の入力ゾーン42と重ならず、第2の入力ゾーンの外側に配置される。第3の入力ゾーンに割り当てられた第3の制御規則は、可動要素が第3の入力ゾーン内に配置された場合に被移動要素が移動しないので、摺動ガイド要素がゼロ位置に達したときに移動装置の被移動要素11の動きが停止されるように構成される。このように、摺動ガイド要素のゼロ位置が、図8aに示された理想的構成であるか、図8bに示されたような非理想的構成であるかに関係なく、被移動要素11の動きの安全な停止が達成される。ゼロ位置における第3の入力ゾーンと第1の入力ゾーンの境界に配置された摺動ガイド要素の外側輪郭26aの構成は、操作装置の操作の信頼性を高める。ユーザが可動要素(即ち、ジョイスティックレバー)を放した場合に、被移動部分が、操作装置の寿命中に再現可能かつ安全に停止される。このように、本発明による操縦装置によって操作される顕微操作装置の意図しない破損、又は貴重な生体サンプルの破損が防止されうる。
【符号の説明】
【0121】
1 操作装置
2 入力装置
3 電気制御装置
4 入力領域
5 可動要素
10 移動装置
11 被移動要素
31 入力信号
32 出力信号
33,34 制御規則
41,42 入力ゾーン
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図3a
図3b-3c】
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b