(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6235032
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】工作機械及びワークピースを測定するための方法
(51)【国際特許分類】
B24B 5/04 20060101AFI20171113BHJP
B24B 5/35 20060101ALI20171113BHJP
B24B 49/02 20060101ALI20171113BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
B24B5/04
B24B5/35
B24B49/02 A
B24B49/04 A
【請求項の数】15
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-541107(P2015-541107)
(86)(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公表番号】特表2015-533662(P2015-533662A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013073111
(87)【国際公開番号】WO2014072314
(87)【国際公開日】20140515
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】102012110673.8
(32)【優先日】2012年11月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514076618
【氏名又は名称】フリッツ スチューダー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゼン アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ツヴァーレン レト
(72)【発明者】
【氏名】ガエガウフ フレッド
【審査官】
小川 真
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−156803(JP,U)
【文献】
特開昭49−020772(JP,A)
【文献】
特開平04−201170(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0119943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 5/04
B24B 5/35
B24B 49/02、49/04、49/10
B23Q 17/20、
B23B 25/06
G01B 5/08
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械であって、
ワークピース(96)を受容するための少なくとも1つのワークピースホルダ(16,18)を備えるワークピースマウント(14)と、
ツール(32)を受容し、駆動するための、ツールスピンドル(30)を備える、ツールユニット(28)であって、前記ワークピース(96)に関して少なくとも1つの送り軸(70)に沿って可動である、ツールユニット(28)と、
前記ツールユニット(28)において受容されるモジュール式測定デバイス(48)であって、少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)を備え、前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)は、前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)について複数の規定された所定の位置を提供する支持ピース(80)において互いに離間される方法で受容される、モジュール式測定デバイス(48)と、
前記測定デバイス(48)及び前記ツールユニット(28)に接続可能である制御デバイス(56)とを備え、前記制御デバイス(56)は、前記ワークピース(96)に接触すると、前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)によってトリガーされる信号を検出し、前記ツールユニット(28)の実際の位置に基づいて、前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)の実際の位置を確定するために構成されており、
前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)は、測定構成の一つでは、空間方向(40)に互いから離間される方式で前記支持ピース(80)において受容され、それにより、1つのトグル測定ヘッド(66;68)は前記ワークピース(96)に軸方向に接触することができる、工作機械(10)。
【請求項2】
前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)は、前記測定構成の一つと、該測定構成の一つとは異なる他の測定構成と、の両方を取り得るものであり、
前記測定構成の一つ、及び、前記他の測定構成、は選択的に搭載可能であり、
前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)は、前記他の測定構成では、測定領域(78)を規定する互いに対する基本距離(86)を含み、前記基本距離(86)は、既知の基準寸法(84)より大きくなるように選択され、前記制御デバイス(56)は、前記送り軸(70)に沿う前記ツールユニット(28)の実際の位置を検出し、前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)によって前記測定領域(78)内に配置されるワークピース(96)に接触すると、前記ツールユニット(28)の変位経路(98)に基づいて、基準寸法(84)及び/又は前記基本距離(86)を考慮して実際の距離(100)を確定するように構成される、請求項1に記載の工作機械(10)。
【請求項3】
前記他の測定構成において、前記制御デバイス(56)は、前記実際の距離(100)として実際の直径を確定する、請求項2に記載の工作機械(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのトグル測定ヘッド(66;68)は、アダプタピース(110,112)において受容され、前記アダプタピース(110,112)は、前記支持ピース(80)に適合され、また、複数の規定された所定の位置で前記支持ピース(80)に搭載されることができる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのトグル測定ヘッド(66;68)は、前記トグル測定ヘッド(66;68)に対して或る角度で外に延びる湾曲プローブアーム(67;69)を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項6】
前記測定デバイス(48)は、前記少なくとも2つのトグル測定ヘッド(66;68)がそこで受容される測定アタッチメント(50)を備え、前記測定アタッチメント(50)は、前記ワークピース(96)を前記測定領域(78)内にもたらすために枢動可能である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項7】
前記測定デバイス(48)は、測定位置と係合離脱位置との間での枢動を可能にする連結機構(64)を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項8】
前記ワークピース(96)は、ワークピーススピンドル軸(20)の周りで回転方式で選択的に駆動可能であるワークピーススピンドル(16)に取付け可能である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項9】
前記ワークピーススピンドル軸(20)は、前記送り軸(70)に垂直に配置され、前記ツールスピンドル(30)は、前記ワークピーススピンドル軸(20)に平行に配置されるツールスピンドル軸(34)を備える、請求項8に記載の工作機械(10)。
【請求項10】
前記ツールユニット(28)は、前記ワークピーススピンドル軸(20)に平行な方式で前記ワークピース(96)に関して可動である、請求項8又は請求項9に記載の工作機械(10)。
【請求項11】
前記制御デバイス(56)は、前記送り軸(70)に沿って前記ツールユニット(28)を選択的に移動させると共に、同時に、前記ワークピーススピンドル軸(20)の周りで前記ワークピーススピンドル(16)を選択的に駆動させるように構成される、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項12】
前記制御デバイス(56)は、前記ワークピーススピンドル軸(20)に平行に前記ツールユニット(28)を選択的に移動させると共に、同時に、前記ワークピーススピンドル軸(20)の周りで前記ワークピーススピンドル(16)を選択的に駆動させるように構成される、請求項10又は請求項10を引用する請求項11に記載の工作機械(10)。
【請求項13】
前記制御デバイス(56)は、前記ワークピース(96)の実際の距離(100)に基づいて、下流の機械加工作業において前記ツールユニット(28)及び前記ツール(32)を選択的に駆動し移動させるように構成される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項14】
前記制御デバイス(56)は、前記ワークピース(96)の実際の直径に基づいて、下流の機械加工作業において前記ツールユニット(28)及び前記ツール(32)を選択的に駆動し移動させるように構成される、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【請求項15】
前記工作機械は、研削機であり、前記ツール(32)は、少なくとも1つの砥石車であり、前記ツールスピンドル(30)は、研削ヘッドである、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の工作機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ワークピースマウントと、ツールユニットと、測定デバイスと、測定デバイス及びツールユニットに接続可能である制御デバイスと、を備える工作機械、特に研削機に関する。本発明は、更に、工作機械において、特に研削機において、ワークピースを測定するための方法に関する。
【0002】
工作機械、特に研削機が当技術分野で知られている。例として、円筒研削機は、材料を除去するためワークピースと適切な方式で協働し得る回転対称ツール、特に砥石車を備え得る。例として、円筒研削機は、外部円筒研削、内部円筒研削のため、又は、送込み研削(infeed grinding)及びアンギュラ送込み研削のためにそれぞれ配置され得る。砥石車以外に、一般に同様に研磨性ベルトが、円筒研削のために利用され得る。ワークピースマウント及びツールユニットが互いに関して適切に駆動可能でありかつ可動であるとき、回転対称表面以外に、偏心的に成形されたワークピース表面が機械加工され得る。こうして、例えば、偏心幾何構造を有するカムシャフト、クランクシャフト、又は同様なワークピースが機械加工及び/又は研削され得る。
【0003】
機械加工されるワークピースは、例えば、ワークピースマウントの2つの中心間に受容され得る、又は、ワークピースマウントにおいて片側に受容され得る。その他に、いわゆるセンタレス研削が知られており、センタレス研削は、ワークピースが研削機の中心間に受容されるのではなく、むしろ、例えばベアリングレール、調節ホイール、ガイドローラ、及び同様なものによって、受容され、ガイドされる。
【0004】
研削機は、DE 10 2009 042 252 A1から知られており、その研削機は、機械加工プロセスの過程で試験ピースをインプロセス測定するために配置される測定装置を備える。このため、測定装置は、連結部を介して測定装置のベース本体に枢動可能に接続される測定ヘッドを備える。測定ヘッドは、延出可能な測定プローブを備え、測定プローブは、測定プリズムに結合され、試験ピースの直径又は真円度を確定するために設けられる。連結部は、少なくとも定められた領域において、試験ピースの移動、例えば、クランクシャフトの回転軸の周りのクランクシャフトのクランクピンの回転を追跡するために配置されている。
【0005】
こうして、偏心的に配置された円筒表面の研削加工プロセスに関しても、基本的にインプロセス測定が、少なくともセクション毎に行われ得る。これは、研削加工と同時に起こり得る。しかし、測定装置は複雑な構造を備える。連結部は、複雑な方式で配置され、動作中であるとき、精巧に制御される必要がある。
【0006】
いわゆるインプロセス測定、すなわち、機械加工作業の過程における測定は、高精度の機械加工作業を可能にし、製造品質及びプロセス信頼性の向上に寄与し得る。しかし、このため、例えば、測定される各ワークピース寸法、すなわち、各直径について予想される測定に正確に適合される測定ヘッドを設けることが定常的に必要とされる。これは、専用の測定ヘッド、又は、例えば2つの測定プローブが調整可能に収容される測定ヘッドを含むことができ、2つの測定プローブは、予想される距離に対応して間隔をあけて配置されてもよい。測定プローブは、高精度に調整され、また、検査される各測定に関してそれぞれ位置合わせされる。
【0007】
こうしたインプロセス測定ヘッドは、例えば、DE 196 16 353 A1に示される。この点に関して、測定ヘッドをそれぞれの意図される目的に適合させるのに必要とされ得る骨の折れるセッティング、調整、及び/又は較正プロセスは不利となり得る。特に、単一ピース機械加工(小さなバッチシリーズ及び中程度バッチシリーズ)の場合、例えば測定ヘッドをセットすることは、無視できない時間消費をもたらし得る。
【0008】
この技術背景に対して、DE 10 2009 042 252 A1から知られている測定装置が、幾つかの状況で、インプロセス測定について必要である測定精度に対応しない場合があることが既に注目されているに違いない。関連する測定ヘッドは、絶対測定基準を有する連結部の複数の連結要素によって結合される測定プローブ及び測定プリズムを備える。連結部の運動連鎖の単一要素の任意の偏差は、試験ピースに関する測定ヘッドの位置に影響を及ぼす場合がある。これは、偏心的に成形されたワークピースを部分ごとに測定するときに特に不利であり得る。試験ピースに関する、例えば試験ピースの角度位置に関する測定ヘッドの位置は、エラーを含んでいるかもしれない。
【0009】
この技術背景に対して、わずかの労力でワークピースの高精度にかつ高柔軟性に測定することを可能にする工作機械、特に研削機を提供することが本発明の目的である。更に、ワークピース、特にワークピース直径を測定するための方法が提供されるものとし、その方法は、例えば、こうした工作機械によって行われ得る。
【0010】
本発明によれば、この目的は、工作機械、特に研削機によって達成され、工作機械は、
ワークピースを受容するための少なくとも1つのワークピースホルダを備えるワークピースマウントと、
ツール、特に少なくとも1つの砥石車を受容し、駆動するための、ツールスピンドルを備える、特に研削ヘッドを備える、ツールユニットであって、ワークピースに関して少なくとも1つの送り軸に沿って可動である、ツールユニットと、
ツールユニットに受容されるモジュール式測定デバイスであって、少なくとも1つのトグル測定ヘッドを備え、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、少なくとも1つのトグル測定ヘッドについて複数の規定された所定の位置を提供する支持ピースに配置される、モジュール式測定デバイスと、
測定デバイス及びツールユニットに接続可能である制御デバイスとを備え、制御デバイスは、ワークピースに接触すると、少なくとも1つのトグル測定ヘッドによってトリガーされる信号を検出し、ツールユニットの実際の位置に基づいて、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置を確定するために構成される。
【0011】
本発明の目的は、こうして完全に達成される。
本発明によれば、かなり拡張された機能が、提供され得る、すなわち、わずかな追加労力によって提供され得る。制御デバイスは、ツールユニットを移動させるとき、検出され得るかつ/又は実質的な追加労力無しで検出され得る位置データにより、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置が、高精度の方式で規定され得る。例によれば、少なくとも1つのトグル測定ヘッドのトリガー時点及びツールユニットの関連する実際の位置に基づいてトグル測定ヘッドの実際の位置が確定され得る。これは、ワークピース幾何構造及び/又はワークピース寸法に関する結論を可能にし得る。
【0012】
支持ピースは、少なくとも1つのトグル測定ヘッドについて複数の所定の位置を提供する。こうして、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、異なる位置に固定され得る。これは、異なる測定タスクの遂行に寄与し得る。測定タスクは、例えば、ワークピースに半径方向に接触することを含み得る。更に、測定タスクは、ワークピースに軸方向に接触することを含み得る。少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、例えばプローブアームがワークピースの窪み又は凹所に挿入され得るように支持ピースにおいて受容され得る。これは、基本的に軸方向に又は半径方向に実施され得る。窪み又は凹所は、ボア又は溝として配置され得る。ボアは、例えば、軸方向ボア又は半径方向ボアとして配置され得る。溝は、長手方向溝又は円周方向溝として配置され得る。少なくとも1つのトグル測定ヘッドの規定された異なる位置及び配向は、種々の寸法の精密な確定を可能にする。
【0013】
少なくとも1つのトグル測定ヘッドについての複数の規定された所定の位置は、ワークピースであって、ワークピースの寸法範囲及び大きさの点でかなりの差を含む、ワークピースに接触し測定することを更に可能にし得る。こうして、例えば、比較的「大きな(large)」ワークピース及び比較的「小さな(small)」ワークピースは共に、実質的な切換え作業無しで測定され得る。同様に、異なる位置及び形態公差の検出が想定され得る。好ましくは、2つのトグル測定ヘッドは支持ピースにおいて配置され得る。こうして、ワークピースは、更に高い柔軟性を持って測定され得る。好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、作動スイッチ(又はトリガースイッチ)として配置される。換言すれば、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、例えば、2つの状態信号だけを生成するために構成され得る。これは、状態「非接触」及び状態「接触」を含み得る。こうして、少なくとも1つのトグル測定ヘッドによって生成される「接触」信号によって、トグル測定ヘッドの位置についての仲介式確定(mediate determination)が、ツールユニットの実際の位置を考慮して遂行され得る。情報、例えば、ワークピース幾何構造が取得され得る。少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置は、基本的に、絶対的又は相対的な方法で検出され得る。
【0014】
特に、ツールユニットが、変位される2つ以上の可動軸を備えるとき、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置は複数の方向又は空間軸で検出され得る。ツールユニットは、ワークピースに関して少なくとも1つの送り軸に沿って可動である。したがって、この軸における少なくとも1つのトグル測定ヘッドの(絶対的又は相対的な)実際の位置が検出され得る。ツールユニットが、ワークピースに対して少なくとも1つの更なる軸に沿って更に可動であるとき、実際の位置の検出は、対応する複数の空間軸に基づいて行われ得る。こうした移動は、例えば、前進移動を含み得る。例えば、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの位置の2次元的又は3次元的確定が遂行され得る。ツールユニットが直接又は間接方式で変位され得ることは言うまでもない。一般に、ツールユニットとワークピースとの間の相対的運動が含まれ得る。換言すれば、例えば同様に、ツールユニットに関するワークピースの移動は、ツールユニットとワークピースとの間の相対的運動とみなされ得る。同様にこの移動によって、ツールユニットの検出可能な実際の位置が、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置の確定のために利用され得る。更に、ツールユニットはまた、仲介方式で変位され得る。これは、例えば、2つの空間的方向への運動を可能にする交差テーブルによって行われ得る。
【0015】
基準物体に基づいて、モジュール式測定デバイスの相対的又は絶対的な較正を実施することが一般に想定され得る。較正は、特に、少なくとも1つのトグル測定ヘッドに関連し得る。基準物体は、固定又は解放可能な基準幾何構造として工作機械において設けられ得る。既知の位置及び/又は既知の幾何構造によって基準物体に接触することによって較正が行われ得る。絶対的較正は、ツールユニットの実際の位置に対する少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置の精密な確定を含み得る。こうして、別個のスポットが、例えば、絶対的方式で検出され得る。相対的較正は、例えば、基準物体の規定された2つのスポットに接触することを含み得る。例えば、これらのスポット間の距離が前もってわかっているとき、相対的較正は、少なくとも1つのトグル測定ヘッドのそれぞれの絶対的位置を検出する必要無しで行われ得る。
【0016】
好ましい改良形態では、モジュール式測定デバイスは、互いに離間される方法で支持ピースにおいて受容される少なくとも2つのトグル測定ヘッドを備え、少なくとも2つのトグル測定ヘッドは、第1の測定構成では、測定領域を規定する互いに対する基本距離を含み、基本距離は、既知の基準寸法より大きくなるように選択され、制御デバイスは、送り軸に沿うツールユニットの実際の位置を検出し、少なくとも2つのトグル測定ヘッドによって測定領域内に配置されるワークピースに接触すると、ツールユニットの変位経路に基づいて、基準寸法及び/又は基本距離を考慮して実際の距離、特に実際の直径を確定するように構成される。特に、少なくとも2つのトグル測定ヘッドは、送り軸に平行な及び/又は送り軸に一致する方向に離間され得る。基本距離は、例えば、トグル測定ヘッドの2つのプローブアーム並びに/又は2つのプローブアームのプローブボール又は同様な接触要素の間で確定され得る。少なくとも2つのトグル測定ヘッドは、測定アタッチメントの一部を形成し得る。
【0017】
この改良形態によれば、測定アタッチメントは、測定されるワークピースの予想される寸法に関して「大きめのサイズに作られ(oversized)」、測定アタッチメントは、しかし、測定するときに補償され得る。例えば、ワークピースの直径を測定するとき、少なくとも2つのトグル測定ヘッドの第1のトグル測定ヘッドは、測定デバイスがそこで受容されるツールユニットの移動によって、測定が起こるまで送り軸に沿って移動され得る。その後、ワークピースは、例えば、送り軸に沿ってツールユニットを相応して移動させることによって、反対側で、少なくとも2つのトグル測定ヘッドの第2のトグル測定ヘッドによって接触され得る。
【0018】
この2重接触によって、ツールユニットの変位経路が確定され得る。既知の基準寸法を利用することによって確定される基本距離とは別に、実際の距離が簡単に確定され得る。こうして、工作機械は、特に有利な方式で配置されて、絶対的測定要素と相対的測定要素を組合せ得る測定を行う。マシンの側の不正確さ、例えば動作中の加熱又は同様なものに基づく変形は、接触するときの送り軸に沿うツールユニットの2つの絶対的な実際の位置の相対的距離によって測定結果に定常的に反映されるだけであり得る。測定は、低エラーの方式で行われ得る。
【0019】
マシンの側の影響因子は、測定アタッチメントに、したがって特に、少なくとも2つのトグル測定ヘッド間の基本距離に、それほど影響を及ぼさないとすることができる。測定アタッチメントが予想される尺度に合うよう高精度の方式で調整されなければならないインプロセス測定と対照的に、大幅に増加した柔軟性が提供される。こうして、例えば、同様にピース生産(低容量スケール又は中容量スケール)の場合、高い製造品質が、わずかの労力で保証され得る。特に、これらの用途の場合、例えば砥石車の係合がその間に全く起こらない、測定に必要とされる時間は、大きな意味を持たない。実際の位置を検出する能力が、変位経路を確定するために利用され得ることは言うまでもない。変位経路は、接触するときの送り軸に沿うツールユニットの2つの実際の位置の距離に対応し得る。実際の位置は、絶対的又は相対的な方式で検出され得る。
【0020】
知られている絶対的測定ヘッドは、概して、少なくとも2つの複雑な測定セルを備え、測定セルのそれぞれは、1つのプローブにそれぞれ関連付けられる。タイプに応じて、プローブは、可動方式で配置され、また例えば、鋏形方式(scissor−shaped fashion)で、又は、基本的に互いに対して平行な方式で配置されかつ互いに移動できる脚部として配置される。そのため、絶対的測定ヘッドは、概して、特に複雑な方式で配置される。重量及び設置サイズは非常に多い。投資コストが大きいため、絶対的測定ヘッドは、種々の用途についての測定手段として放棄される。測定プローブが互いに対して可動な方式で配置される絶対的測定ヘッドの複雑な構造は、通常、測定精度の減少を伴う。こうした測定ヘッドは、その複雑な構造のせいで、大きなコストによってのみ実装され得る。
【0021】
対照的に、少なくとも2つのトグル測定ヘッドであって、第1の測定構成において互いに対する固定の基本距離を含む、少なくとも2つのトグル測定ヘッドと可動のツールユニット(とにかく設けられる)との組合せは、構造的労力とコスト労力をかなり減少させた状態で測定精度の向上をもたらす。本明細書で先に述べたように、マシンのレベルに関する偏差、例えばいわゆる熱膨張は、小さな相対的尺度、すなわちツールユニットの2つの実際の位置の間の差だけによって測定結果に反映され得る。既知の基準寸法に基づいて測定デバイスを較正することは、大部分の基本距離が、いわば、エラー無し又は低エラーの方式で基準寸法に反映されることをもたらし得る。
【0022】
知られているインプロセス測定ヘッドの場合、例えば、同じワークピースの複数の直径が単一のセッティングで研削されるとき、これらの直径のそれぞれについて、別個の測定手段、例えば、それぞれ、別個の測定ヘッドが設けられなければならない。「大きめのサイズ(oversize)」を含む測定アタッチメントは、ワークピースをクランプ解除する必要性無しで、処理するときにこれらの直径のそれぞれを調べることができる。同様にこの点に関して、ほぼ同じ精度を維持しながら、資本支出及び設置空間要件の大幅な減少が可能になる場合がある。
【0023】
用語「もたらす(bringing in)」が相対的な方式で解釈され得ることは言うまでもない。測定デバイスの少なくとも2つのトグル測定ヘッドの間の測定領域にワークピースをもたらすことは、例えば、トグル測定ヘッドがワークピースに向かって移動されるように行われ得る。少なくとも2つのトグル測定ヘッドは、例えば、触知可能なトグル測定ヘッドとして又は非接触で測定するトグル測定ヘッドとして配置される。
【0024】
好ましい改良形態では、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、アダプタピースにおいて受容され、アダプタピースは、支持ピースに適合され、また、複数の規定された所定の位置で支持ピースに取付け可能である。例えば、2つのトグル測定ヘッドが設けられるとき、各トグル測定ヘッドに対してアダプタピースが割当てられ得る。アダプタピースは、仲介又は直接方式で支持ピースにおいて受容され得る。アダプタピース間に配設される更なる部品を伴う仲介取付けが、遂行され得る。例として、支持ピースは、少なくとも1つのアダプタピースについて、特に2つのアダプタピースについて規定されたアタッチメント幾何構造を提供し得る。アタッチメント幾何構造は、例えば、アタッチメント要素用の嵌合表面及び/又は規定された穴パターンを備え得る。アタッチメント幾何構造に少なくとも部分的に対応する嵌合幾何構造が少なくとも1つのアダプタピースに設けられることは言うまでもない。少なくとも1つのアダプタピースは、着脱可能な方式で支持ピースに接続され得る。このため、例えばボルト及びナット結合、クランプ結合、又は同様なものが適し得る。アタッチメントはまた、嵌合要素、例えば、嵌合ピンを更に備え得る。嵌合要素は、高精度位置付け(localization)を可能にし得る。少なくとも1つのトグル測定ヘッドが仲介又は直接方式で各支持ピースにおいて受容され得ることも言うまでもない。仲介収容は、例えば、嵌合ピースを伴って遂行され得る。アダプタピースは、全体的に同様に形作られ得る。しかし、異なるように形作られるアダプタピースを利用することも想定され得る。これは、例えば、第1のアダプタピース及び第2のアダプタピースを含むことができ、第2のアダプタピースは第1のアダプタピースと異なる。
【0025】
更なる実施形態によれば、少なくとも2つのトグル測定ヘッドは、第2の測定構成で、空間方向に互いから離間される方式で支持ピースにおいて受容され、それにより、トグル測定ヘッドはワークピースに軸方向に接触し得る。これは、例えば、ワークピーススピンドル軸に平行に延在するZ軸において起こり得る。Z軸は、例えば、ワークピース軸に対応し得る。こうして、ワークピースは、軸方向に接近され、トグル測定ヘッドによって接触されることができ、一方、他の(軸方向に変位した)トグル測定ヘッドはワークピースに軸方向に接触しない。軸方向接触イベントはワークピースの軸方向寸法を確定するために実施され得る。更に、複数回の軸方向接触イベントによって、例えば、ワークピースの軸方向表面の平坦度(又は平面度)が確定され得る。
【0026】
更なる実施形態によれば、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、トグル測定ヘッドに対して或る角度で外に延びる(run out)湾曲プローブアームを備える。したがって、少なくとも1つのトグル測定ヘッド及び/又はそのプローブアームは、ワークピースの凹所及び窪みに挿入され得る。更に、湾曲プローブアームによって、例えば、2つのトグル測定ヘッド間の距離が変化され得る。例えば2つ以上のトグル測定ヘッドが使用されるとき、それらのうちの1つのトグル測定ヘッド又はむしろ複数のトグル測定ヘッドが、湾曲プローブアームと共に設けられ得ることは言うまでもない。トグル測定ヘッドのプローブアームは、大きな労力無しで定常的に変更され得る。したがって、異なるプローブアーム幾何構造を利用することによって、測定デバイスの柔軟性が更に増加され得る。「湾曲(curved)」プローブアームは、異なる幾何構造を含み得るプローブアームとみなされ得る。「真っ直ぐな(straight)」プローブアームは、その軸がトグル測定ヘッドの長手方向軸に一致するピン形又はロッド形回転体として定常的に配置される。トグル測定ヘッドの長手方向軸は、トグル測定ヘッドの主伸張方向に対応し得る。対照的に、湾曲プローブアームは屈曲するか又は傾斜し得る。更に、湾曲プローブアームは、基本的にオフセットを含み得る。
【0027】
更なる実施形態によれば、測定デバイスは、少なくとも2つのトグル測定ヘッドがそこで受容される測定アタッチメントを備え、測定アタッチメントは、ワークピースを測定領域内にもたらすために旋回可能である。こうして、測定アタッチメントは、接触イベントを実施できるように、ワークピースに向かう単純な旋回移動によって移動され得る。これは、例えば、リニアドライブ、例えば油圧シリンダによって遂行され得る。枢動可能配置構成により、例えば研削加工プロセスの過程でツールユニットを変位させるときに起こり得る衝突が防止され得る。
【0028】
こうした枢動デバイスを除いて、測定デバイスについて更なる別個の駆動設備が全く必要とされない。例えば、測定アタッチメントは、U形方式で配置され得る。これに関連して、第1及び第2のトグル測定ヘッドは、Uの脚部を形成し得る。Uの内側空間は測定領域を規定する。
【0029】
更なる態様によれば、測定デバイスは、測定位置と係合離脱位置(out−of−engagement)との間での枢動を可能にする連結機構を備える。
連結機構は、特に省スペース方式で配置され得る。連結機構によって、2つの端位置、すなわち、例えば測定位置と係合離脱位置が規定され得る。特に、測定位置は、リミットストップ又は同様なもの等の設計方策によって高い再現性で達成され得る。
【0030】
測定位置及び係合離脱位置が、例えば機械的配置構成及び連結機構によって規定されると、簡単なドライブ要素及び/又は作動要素が、測定デバイスを駆動するために選択され得る。連結機構用の複雑な制御デバイスが、こうして回避され得る。代替法において、連結機構の代わりに、例えば、規定された旋回範囲を含む回転結合部又は制御可能モータに結合される枢動アームが設けられ得る。モータが高い位置精度を含むときが有利であり得る。
【0031】
更なる実施形態によれば、基本距離と実際の距離との大きな比が設けられるとき、測定デバイスの柔軟性の向上が達成され得る。測定アタッチメントは、種々の実際の距離、特に実際の直径に適し得る。マシン側の影響は、基本的に、例えば基本距離と実際の距離との差に対応する変位経路によって効果を生じるだけである。
【0032】
基本距離は、ツールユニットの変位経路を考慮して、送り軸に沿ってツールユニットを移動させ、ワークピースマウント内に受容される(receive)基準寸法に両側で接触することによって確定され得る。基本距離と基準距離との低い比が設けられるとき、基本距離の確定についての高い精度(accuracy)が保証され得る。最高の精度は、基準寸法が基本距離にほぼ対応する、すなわち、ほんのわずかに小さいときに達成され得る。
【0033】
更なる実施形態によれば、少なくとも2つのトグル測定ヘッドの少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、比例範囲内で偏向可能であり、制御デバイスは、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの偏向を検出するように配置される。このため、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、偏向を検出するための変位変換器を備え得る。変位変換器は、例えば、誘導変位変換器、容量変位変換器、又はポテンショメータ送信機として配置され得る。偏向を検出するための更なる原理が想定され得る。偏向の検出はまた、例えば歪ゲージによって達成され得る。更に、同様にピエゾ素子が利用される可能性がある。偏向可能測定プローブは、一般に、少なくとも比例範囲内で、高精度位置検出を可能にする。少なくとも1つのトグル測定ヘッドの偏向は、実際の距離を規定するときに考慮され得る。こうして、例えば、ワークピースに接触するためにツールユニットを変位させるときのマシンの絶対的影響が検出され補償され得る。少なくとも1つのトグル測定ヘッドの偏向を知って、ツールユニットの変位経路が修正され得る。
【0034】
対照的に、更なる好ましい実施形態によれば、1つの作動信号(同様に、トリガー信号)を出力するように配置されるだけであるトグル測定ヘッドを利用することが特に好ましい場合がある。換言すれば、トグル測定ヘッドは、例えば、2つの状態(「接触」又は「非接触」)を示すことができるが、中間状態を出力することができない。この種のトグル測定ヘッドはまた、基本的に偏向可能な方式で配置され得る。例として、プローブアームの最小偏向によって接触イベントが検出され得る。こうした偏向は、例えば、トグル測定ヘッドの回路の状態(開放又は閉鎖)を変化させ得る。その種のトグル測定ヘッドは、複雑な内部変位検出システムを備える測定ヘッドに比べて費用効果的である。
【0035】
更なる開発形態によれば、ワークピースは、ワークピーススピンドル軸の周りで回転方式(rotating fashion)で選択的に駆動可能であるワークピーススピンドルにおいて受容される可能性があり、ワークピーススピンドル軸は、好ましくは、送り軸に垂直に配置され、ツールスピンドルは、好ましくは、ワークピーススピンドル軸に平行な方式で配置されるツールスピンドル軸を備える。こうした方法で配置されるワークピーススピンドルは、C軸とも呼ばれ得る。制御式C軸は、ワークピースの周囲に沿う異なる位置において実際の距離の的を絞った測定を可能にし得る。少なくとも1つのトグル測定ヘッドによってワークピースに反復方式で接触することによって、測定デバイスの適用フィールドが拡張され得る。特に、ワークピーススピンドル軸、すなわちC軸の周りに選択的方式で駆動可能であるワークピーススピンドルと組合せて、例えば、ワークピースの真円度が検出され得る。こうして、同様に、形状の公差が検査され得る。
【0036】
改良形態によれば、ツールユニットは、ワークピースに関してワークピーススピンドル軸に平行に駆動可能である。こうして、実際の距離が、受容されたワークピースの種々の異なる軸方向位置において確定され得る。ツールユニットの軸方向変位は、少なくとも1つのトグル測定ヘッドによるワークピースの軸方向接触を更に可能にする。半径方向寸法又は距離の確定以外に、したがって、同様に軸方向幾何学的要素又は距離が検出され得る。
【0037】
更なる態様によれば、制御デバイスは、結合式移動で(in coupled movement)、送り軸に沿ってツールユニットを選択的に移動させ、ワークピーススピンドル軸の周りでワークピーススピンドルを選択的に駆動するように配置される。この種の結合式移動は、例えば、クランクシャフトのクランクピンか、カムシャフトのカム表面か、又は更なる真円度実体の偏心幾何構造の検出を可能にする。回転する偏心ワークピースの特定の位置に沿う両方のトグル測定ヘッドによる両面接触によってそれぞれの実際の距離を検出することが想定され得る。更に又は代替的に、例えば、真上でまた上で(over and above)反復して接触することによって、トグル測定ヘッドが、回転するワークピースと反復して接触状態になるように、ツールユニットが移動されるとき、表面の不正確さが検出され得る。上述した機能によって、例えば同様に、ワークピースにおいて基本的に軸方向に延在する長手方向溝又は同様の幾何学的要素が検出され得る。これは、例えば、スプラインシャフトプロファイル、トゥースプロファイル、ポリゴナルプロファイル、又は同様なものを更に伴い得る。
【0038】
更なる態様によれば、制御デバイスは、結合式移動で、ワークピーススピンドル軸に平行にツールユニットを更に選択的に移動させるように構成される。したがって、例えばワークピースの軸方向位置に対して制限され得る真円度公差以外に、更に同様に、例えば、円筒形状偏差が確定され得る。このため、測定デバイスを含むツールユニットは、探索するときにワークピースに沿って軸方向に移動され得る。接触は、例えば、ワークピースにおいて螺旋経路に沿って実施され得る。
【0039】
ツールユニットは、例えば、交差テーブルを備えるか又は交差テーブルにおいて受容されることができ、交差テーブルは、送り軸用のガイド及びワークピーススピンドル軸に関する移動(例えば、水平移動)を提供する。しかし、ツールユニットがまた、それぞれ異なるように形作られガイドされ得ることは言うまでもない。基本的に、例えば、2つのガイドを含む交差テーブルが、無しで済まされる可能性がある。ツールユニットは、例えば、送り軸用のガイドにおいて受容される可能性がある。ワークピーススピンドル軸に平行なツールユニットの移動は、この点に関して、基本的に、受容されたワークピースのツールユニットに平行な移動によっても行われ得る。更なる実施形態が想定され得る。
【0040】
更なる態様によれば、制御デバイスは、ファストギア(fast gear)又はプローブギア内に測定デバイスを含むツールユニットを選択的に変位させるように構成される。こうして、変位速度を上げることによる時間節約と動作中の安全性との間の最適条件が維持され得る。プローブギア、例えばクローラギアでは、ツールユニットは急に停止され得る。これは、例えば、少なくとも2つのトグル測定ヘッドの少なくとも1つのトグル測定ヘッドが、規定された接触力でワークピースに接触することを測定アタッチメントが示す場合でも起こり得る。しかし、衝突を恐れる必要がない送り移動は、高い加速度及び速度によってそれぞれ行われ得る。
【0041】
更なる実施形態によれば、制御デバイスは、ワークピースの実際の距離、特に実際の直径に基づいて、下流の機械加工作業においてツールユニット及びツールを選択的に駆動し変位させるように構成される。こうして、ワークピースの測定の過程で、例えば、下流の機械加工作業がそれに基づき得る補正値が確定され得る。こうして、ワークピースは、交互に測定し補正することによってピースごとに、安全に、必要とされる最終寸法にもたらされ得る。補正値に基づいて、制御デバイスは、的を絞った方式でツールユニットを送り(feed)、規定された方式でツールユニットを駆動し得る。
【0042】
更なる態様によれば、制御デバイスは、ツールユニットの位置変換器に結合され、位置変換器で、ツールユニットの実際の位置が検出され得る。位置変換器は、例えば、送り軸に沿ってツールユニットの実際の位置の高精度検出を可能にする増分尺度(incremental measure)又は絶対尺度に結合され得る。ツールユニットの実際の異なる位置の比較は、変位経路の高精度確定を可能にする。
【0043】
本発明の目的は、工作機械、特に研削機内でワークピースを測定するための方法によって更に達成され、方法は、
1つの送り軸に沿って、ワークピースマウントにおいて受容されたワークピースに関して可動であるモジュール式測定デバイスを設けるステップであって、測定デバイスは、ツールスピンドルを備えるツールユニットにおいて受容され、測定デバイスは、少なくとも1つのトグル測定ヘッドを備え、少なくとも1つのトグル測定ヘッドは、少なくとも1つのトグル測定ヘッドについて複数の規定された所定の位置を提供する支持ピースにおいて受容される、モジュール式測定デバイスを設けるステップと、
ワークピースに関してツールユニットを移動させるステップと、
ワークピースに接触したとき、少なくとも1つのトグル測定ヘッドによってトリガーされる信号を検出するステップと、
ツールユニットの実際の位置に基づいて、少なくとも1つのトグル測定ヘッドの実際の位置を確定するステップとを含む。
【0044】
こうして、かなり拡張された機能が、実質的な追加労力無しで容易に提供され得る。種々の異なる測定タスクが処理され得る。絶対的及び/又は相対的測定が遂行され得る。
本方法は、
互いに離間される方法で支持ピースにおいて受容される少なくとも2つのトグル測定ヘッドを備えるモジュール式測定デバイスを設けるステップであって、支持ピースは、少なくとも2つのトグル測定ヘッドについて複数の規定された所定の位置を提供する、モジュール式測定デバイスを設けるステップと、
測定を準備するステップであって、
少なくとも2つのトグル測定ヘッド間の基本距離であって、基準幾何構造の既知の基準寸法より大きく、また、測定領域を規定する、基本距離を設定すること、
工作機械において基準幾何構造を受容すること、
測定領域内に基準寸法を挿入すること、
基準幾何構造に関して測定デバイスを変位させ、トグル測定ヘッドによって基準寸法に接触させることであって、それにより、測定デバイスの実際の位置を検出し、したがって、測定デバイスの変位経路を検出する、変位させ接触させること、及び、
接触したとき、基準寸法及び測定デバイスの実際の位置を考慮して基本距離を確定することを含む、測定を準備するステップと、
特にワークピース直径を確定するため、少なくとも1回の測定を実施するステップであって、
工作機械においてワークピースを受容し、測定領域内にワークピースの測定幾何構造をもたらすこと、
トグル測定ヘッドによってワークピースの測定幾何構造に接触させることであって、それにより、測定デバイスの変位経路を検出する、接触させること、及び、
接触したとき、基準距離及び測定デバイスの変位経路を考慮して測定幾何構造の実際の距離を確定することを含む、少なくとも1回の測定を実施するステップとによって改良され得る。
【0045】
この点に関して、挿入するステップが、基準幾何構造の基準寸法と測定デバイスとの間での相対的移動によって遂行され得ることも言うまでもない。本方法によって、測定デバイスの調整又は較正が容易に実施され得る。以降で、少なくとも2つのトグル測定ヘッドを有する測定デバイスは、測定領域に挿入可能である場合、種々のワークピース幾何構造を測定するために配置される。
【0046】
既知の基準寸法に基づく測定デバイスの1回の調整後、測定デバイスは、種々の測定イベントについて利用され得る。測定は、例えば、製造プロセスにおいて実装されることができ、製造プロセスは、例えば、1度だけクランプされるワークピースにおける粗加工、微細加工、及び仕上げ加工を含み得る。
【0047】
測定デバイスの変位経路の確定のために利用され得る測定デバイスの実際の位置が、尺度スケールに関して絶対的位置として又はむしろ相対的位置として考えられ得ることは言うまでもない。実際の距離を検出するとき、測定デバイスの変位経路は、相対的又は絶対的方式で確定され得る。
【0048】
本方法は、特に、上述した態様の1つの態様を有する工作機械によって実施され得る。同様に、方法が、上述した工作機械の1つ又は複数の態様に従って更に開発され得ることは言うまでもない。
【0049】
本発明の目的は、プログラムコードを含む工作機械制御プログラムによって更に達成され、工作機械制御プログラムは、工作機械制御プログラムが制御デバイス上で実行されると、上述した態様の任意の態様による方法のステップを制御デバイスに実施させるように構成される。
【0050】
本発明の上述した特徴及び以下で説明される特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの特定の組合せでだけでなく、他の組合せで又は単独で適用される可能性があることは理解される。
【0051】
本発明の更なる特徴及び利点は、図面を参照して、複数の例示的な実施形態の以下の説明によって開示される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図3a-3b】係合離脱位置と測定位置における、
図2による工作機械内で使用するための測定デバイスの側面図である。
【
図4】測定アタッチメント及び基準ワークピースの略図である。
【
図5a-5b】ワークピースに接触するときの、
図4による測定アタッチメントの異なる位置を示す図である。
【
図6a-6b】
図5a、5bによる図に関して改良された制御レジームによってワークピースに接触するときの、
図4による測定アタッチメントの異なる位置を示す図である。
【
図7】ワークピースの形態公差を検出するときの
図4による測定アタッチメントの図である。
【
図8】偏心的に回転するワークピースに接触するときの、
図4による測定アタッチメントの図である。
【
図9】
図2による工作機械と組合され得る更なる測定デバイスの斜視図であり、例えば、測定デバイスは第1のモジュール構成に存在すている。
【
図10a-10b】第2のモジュール構成及び第3のモジュール構成の、
図9による測定デバイスの部分斜視図である。
【
図11】支持ピース、第1のアダプタピース、及び第2のアダプタピースを備えるモジュール組立体キットの分解斜視図である。
【
図12】
図11によるモジュール組立体キットの分解側面図である。
【
図13】測定タスクを説明するためのワークピース及び測定アタッチメントの非常に単純化された概略斜視図である。
【
図14】更なる測定タスクを説明するための更なるワークピース及び測定アタッチメントの非常に単純化された概略正面図である。
【
図15】一層更なる測定タスクを説明するための更に別のワークピース及び測定アタッチメントの非常に単純化された概略正面図である。
【
図16】測定デバイスを調整する方法及びワークピースを測定する方法の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
工作機械は、
図1に示され、その全体が参照番号10で示される。本実施形態では、工作機械10は研削機として配置される。以下の例証が必ずしも一定比例尺に合致する必要がないことは言うまでもない。むしろ、例えば、例証のために、共通スケールからの逸脱が起こり得る。これは、異なる図を比較するときにそうであるが、単一の図内の例証に関してもそうであり得る。工作機械10は、例えば、フレームの一部として配置され得る支持テーブル12を備える。ワークピースマウント14は、支持テーブル12において配置され、案内される。ワークピースマウント14は、ワークピーススピンドル16を備えるワークピーススピンドルヘッドストックを備える。テールストック18は、ワークピーススピンドル16に関連付けられる。ワークピース(
図1に示さず)は、ワークピーススピンドル16とテールストック18との間に収容され得る。
【0054】
ワークピーススピンドル16は、ワークピースがその周りで回転式に駆動可能であるワークピーススピンドル軸20を備える(該当する場合、参照数字24で指定される矢印も参照)。ワークピーススピンドル軸20は、C軸とも呼ばれ得る。C軸は、ワークピースマウント14に収容されるワークピースの目標の制御回転を可能にすることができる。参照数字22で示される矢印は、いわゆるZ軸(
図2も参照)に沿う許容される変位運動を示す。Z軸に沿って、ワークピースと工作機械との間の相対的運動が遂行されることができる。このため、ワークピース又はツールのいずれか、或は、これらの両方をZ軸に沿って移動させることができる。Z軸は、ワークピーススピンドル軸20に平行に配置される、または、ワークピーススピンドル軸20に一致する。
【0055】
更に、ツールユニット28は工作機械10の支持テーブル12に配置される。ツールユニット28はツールテーブル29を有してもよい。ツールテーブル29は、例えば、交差テーブルとして配置され得る。他の実施形態も想定され得る。ツールユニット28はツールスピンドル30を備え、ツールスピンドル30は、本実施形態では、例えば研削ヘッドとして配置される。ツールスピンドル30において、ツール32、例えば砥石車が収容される。ツール32は、ツールスピンドル30によってツールスピンドル軸34の周りに回転するようにセットされ得る(参照数字36で示される矢印を参照)。
図1において、ツール32は、一部分だけが見えている。ツールユニット28は、ツール32の大きい部分を覆うシュラウド38を更に備える。
【0056】
特に、ツールユニット28が、交差テーブルの形態をとるツールテーブル29を備えるとき、ツールスピンドル30は、参照番号40で示される矢印に沿ってワークピースマウント14に対して移動し得る。矢印40は、Z軸(
図2参照)に関連付けることができる。特に、ワークピースを機械加工するとき、矢印22に沿ってワークピースマウント14を長手方向に変位させないとき、ツール32を取り付けたツールスピンドル30を矢印40に沿って移動させることによって、ワークピースとツール32との間の相対的運動を生じさせることができる。
【0057】
参照数字42で指定される矢印は、X軸(再度、
図2参照)に関連付けられ得る送り方向を示す。ツール32は、ワークピースと係合するためにワークピースに向かってX軸に沿って、送られることができる。X軸はまた、送り軸(
図2の送り軸70参照)とも呼ばれることができる。X軸又は送り軸70に沿う移動は、ツールテーブル29及び/又は支持テーブル12の適切なガイド手段によってガイドされることができる。
【0058】
例として、
図1のツールユニット28は、B軸44を更に備える。
図1の図示では、B軸44は、視平面に垂直に配向する。B軸44は、ツールスピンドル30が枢動することを可能にする(参照番号46で示される枢動矢印参照)。B軸44は、ツールユニット28において複数のツールスピンドル30にツール32を提供することを可能にし得る。ツール32は、必要に応じて、B軸44を枢動させることによって機械加工位置に移動される可能性がある。こうして、例えば、異なる研磨性材料を含むツール32によって、柔軟性のある機械加工が可能にされ得る。したがって、異なる砥石車が、例えば、粗加工、微細加工、又は仕上げ加工のための特定のセッティング労力無しでワークピースと係合されることができる。B軸44のZ軸(矢印22及び40参照)に対する関連付け及び/又はB軸44のX軸(矢印42参照)に対する関連付けは、基本的に、
図1と異なる方式で配置され得る。例えば、代替法では、B軸44は、ワークピーススピンドル軸20及び/又はツールスピンドル軸34に平行に配置され得る。こうした配置構成によって、更なるツールを、伸張アームに配置することができ、伸張アームは、ツールスピンドル30に取り付けられ、ワークピース(
図1には示さず)に向かってツールスピンドル軸34の周りに更なるツールを内方向に枢動する(ピボットイン:pivoting−in)ために枢動可能である。
【0059】
工作機械10がまた、特に1つのツールスピンドル30だけが設けられるとき、B軸44無しで配置され得ることは言うまでもない。
測定デバイス48は、ツールスピンドル30(
図2参照)に配置される。測定デバイス48は、測定ヘッド50を有する。参照番号52で示される矢印は、測定アタッチメントを含む測定デバイス48が枢動可能にツールスピンドル30に配置されることを示す。
【0060】
工作機械10は、制御デバイス56を更に備え、制御デバイス56は、ワークピーススピンドル16を含むワークピースマウント14、ツールスピンドル30を含むツールユニット28、ツール32、並びに、該当する場合、B軸44及び/又はワークピーススピンドル軸20を、目標の方法で制御して、それらを駆動するかつ/又はそれらを変位させるために特に配置される。この場合、移動は、X軸又はZ軸に沿って実施され得る。更に、制御デバイス56は、工作機械10のコンポーネントから、動作パラメータ、例えば位置パラメータを受け取るために構成され得る。制御デバイス56は、例えば、検出ユニット、評価ユニット、及び制御ユニットを備え得る。
【0061】
工作機械10の軸X、Y、Zを示すために、座標系58が
図2に示される。言うまでもなく、上述した軸及び方向は、本開示の範囲を制限するためにではなく、例証のために主に役立つ。工作機械10のコンポーネントの互いに関する移動が、基本的に、互いに対して相対的な方式で実施され得ることは更に言うまでもない。これは、例えば第1の要素が第2の要素に関して可動である場合、第1の要素又は第2の要素が移動を実施し得ることを意味する。一般に両方の要素を移動させることも考えられる。
【0062】
図2では、クランプチャックとして配置され得るワークピースクランプデバイス60が、ワークピースマウント14のワークピーススピンドル16に取り付けられている。説明のため、工作機械10の幾つかのコンポーネントは、
図2において省略されている。例えば、テールストック18は示されない。特に短いワークピースの場合、ワークピースクランプデバイス60における片側収容で十分であり得ることは言うまでもない。対照的に、例えば、特に長い及び/又は薄い壁付きのワークピースは、ワークピーススピンドル16及びテールストック18(
図1参照)に加えて、両者間に挿入される少なくとも1つの振れ止め(steady rest)(図示せず)によって更に支持されることができる。
【0063】
測定デバイス48は、例えば、連結機構64として配置され得るピボットインメカニズムを備える。測定デバイス48は、ツールスピンドル30(及び/又はツールユニット28)において配置され、ツールスピンドル30(及び/又はツールユニット28)と共に送り軸70に沿って移動し得る。送り軸70は、X軸に対応し得る、又は、X軸に平行に配置され得る。矢印42は、関連する前後移動を示す。
【0064】
図2では、測定デバイス48は、測定位置に置かれている。測定位置では、第1のトグル測定ヘッド66及び第2のトグル測定ヘッド68を備える測定アタッチメント50は、ワークピーススピンドル軸20の領域内で移動及び/又は枢動する。
【0065】
図3a及び3bでは、測定デバイス48の例示的な配置構成が説明される。測定デバイス48は、連結機構64によって具現化される枢動機構を備える。連結機構64は、本事例では、2重ロッカとして配置される。測定デバイス48のピボットイン機能を提供する更なる機構が考えられる。
【0066】
連結機構64は、例えばロッカとして配置され得る2つの結合要素72a、72bを備える。ロッカ72a、72bは、回転可能にツールスピンドル30上に配置される(
図2も参照)。ロッカ72a、72bは、例えばリンクとして配置され得る結合要素74a、74bにそれぞれ接続される。
図3a及び3bに示される長さ比によって、ロッカ72a、72bとリンク74a、74bの両方について、枢動すると、互いに関する平行ガイドが存在し得る(矢印52参照)。他の長さ比が容易に考えられる。
【0067】
リンク74a、74bは、それらの前部領域で伸張アーム76に接続され得る。伸張アーム76は、例えば、ピボットジョイント(pivot joint)によってリンク74aに接続される。リンク74bは、例えば長手方向溝によって伸張アーム76に接続される。連結機構64は、例えば、許容される設置空間条件(defined enabled installation spacerequirement)が満たされるように配置され得る。特に、純粋な枢動アームと比較して、設置空間の利点が存在し得る。しかし、測定デバイス48の枢動が、異なる方式で行われ得ることは言うまでもない。
図3aでは、ロッカ72bに結合される作動シリンダ77が示される。作動シリンダ77を伸張すると、連結機構64が枢動することができる。枢動のための更なるドライブ手段及びピボットポイントが考えられる。
【0068】
伸張アーム76において、支持ピース80が取付られる。支持ピース80及び伸張アーム76は、一体方式で配置され得る。基本的に、支持ピース80及び伸張アーム76はまた、複数ピース方式で配置され得る。測定アタッチメント50のトグル測定ヘッド66、68のそれぞれに対して、プローブアーム67、69が関連付けられ得る。プローブアーム67、69は、ワークピースがそれを通して接触され得るプローブボール又は同様の設計要素を備えることができる。
【0069】
図3bに示された状態は、
図2による測定位置に相当する場合がある。これとは対照的に、
図3aは、測定デバイス48の係合離脱位置を示している。
図3bによる測定位置では、第1のトグル測定ヘッド66及び第2のトグル測定ヘッド68を備える測定アタッチメント50は、相互接触が可能になるようにワークピースを取囲み得る。トグル測定ヘッド66、68及び/又はそれらのプローブアーム67、69は、測定領域78を規定し、測定領域78は、例えば、測定されるワークピース及び/又はワークピースの測定されるセクションの最大伸張部を規定し得る。
【0070】
図4は、トグル測定ヘッド66、68を含む測定デバイス48の測定アタッチメント50が、測定する前にどのように調整され得るかを例示的に示す。このため、例えば基準ワークピースの既知の基準幾何構造82が測定領域78に挿入され得る。基準幾何構造82を含む基準ワークピースは、例えば、工作機械10のワークピースマウント14に配置され得る。測定領域78に挿入することは、測定デバイス48を枢動させることによって行われ得る。
【0071】
基準ワークピースの基準幾何構造82は、既知の基準寸法84を含む。測定アタッチメント50を調整するため及び/又は較正するため、基準寸法84及び基準幾何構造82は、反復方式で第1のトグル測定ヘッド66及び/又は第2のトグル測定ヘッド68に所定面で接触され得る。ツールスピンドル30(
図2参照)の対応する移動は、矢印42a、42bによって示される。測定アタッチメント50は、例示的に、ピボットインメカニズム64(
図3a及び
図3b参照)及びツールスピンドル30を介して位置変換器92及び測定スケール90に関連付けられる。測定スケール90は、例えば、送り軸70に沿うツールユニット28の実際の位置を示すことができる。
【0072】
測定アタッチメント50及び/又はトグル測定ヘッド66、68がまた、例えば長手方向軸(又は前進軸)(
図4に示さず)に沿うツールユニット28の実際の位置を示し得る測定スケールと同様な方式で協働し得ることは言うまでもない。この軸は、Z軸に平行に配向され得る。こうして、2次元(2D)での位置確定を説明することができる。ツールユニット28が全体として、ワークピースに関してY軸に沿って、仲介的に又は直接的に、更に同様に可動である場合、同様にこの軸に沿って、位置検出が同様に行われ得る。そのため、更なる実施形態によれば、測定アタッチメント50及び/又はトグル測定ヘッド66、68の位置は、3次元(3D)で検出され得る。
【0073】
第1のトグル測定ヘッド66及び第2のトグル測定ヘッド68によって基準幾何構造にそれぞれ接触すると、関連する実際の位置が検出され得る。これらの実際の位置と既知の基準寸法84との間の距離から、基本距離86が簡単に確定され得る。基本距離86は、ワークピースにおけるその後の測定のための基礎として役立ち得る。位置変換器92によって検出される位置データは、例えば、評価のために制御デバイス56に送出され得る。位置検出はまた、異なる方式で行われ得る。位置変換器92は、例えば、増分変換器又は絶対変換器として配置され得る。更に、例えば、光学、誘導、容量、又は磁気測定原理が利用され得る。
【0074】
図4では、参照番号88で指定される矢印は、第2のトグル測定ヘッド68が、例えば、或る量だけ偏向されるように配置され得ることを更に示している。幾つかの実施形態によれば、トグル測定ヘッド68のこうした偏向が検出され、制御デバイス56に送信され得る。第1のトグル測定ヘッド66は同様に配置され得る。ゲージングプロシージャの過程で基準幾何構造82に接触すると、例えば、第1のトグル測定ヘッド66及び第2のトグル測定ヘッド68が、それらの中性位置で、すなわち、大した偏向無しで較正され得る。このため、例えば、送り軸70に沿うツールスピンドル30の実際の位置は、トグル測定ヘッド66、68によってそれぞれ出力される位置信号がほぼゼロになるまで変化し得る。こうした中性位置では、例えば第1及び第2のトグル測定ヘッド66、68のいわゆる測定回路が、可能性がありかつ必要である場合ゼロにされ得る。その後の測定では、第1のトグル測定ヘッド66及び/又は第2のトグル測定ヘッド68の偏向は、接触すると、送り軸70に沿うツールスピンドル30の実際の位置に加えて考慮されて、精密な距離を確定し得る。しかし、こうした機能は、トグル測定ヘッド66、68の拡張機能を利用し得る幾つかの例示的な実施形態に単に関連し得る。代替の好ましい実施形態では、トグル測定ヘッド66、68は単純な方式で配置され得る。
【0075】
ワークピース96の直径の確定は、
図5a及び5bに例示的に示される。測定アタッチメント50の第1のトグル測定ヘッド66は、ワークピース96と接触する。ツールスピンドル30、したがって同様に測定アタッチメント50のその後の移動は、第2のトグル測定ヘッド68が反対側でワークピース96に接触することをもたらす。ツールスピンドル30の変位経路は、参照番号98で示す矢印によって示される。基本距離86(
図4参照)及び変位経路98を知って、ワークピース96の実際の距離100、特に実際の直径を容易に確定することができる。距離の検出のための同様な測定は異なる空間方向で実施され得る。測定軸として働き得る複数の変位軸の組合せによって、2次元空間又は更に3次元空間における距離が確定され得る。
【0076】
矢印88で
図4に示すトグル測定ヘッド66及び/又はトグル測定ヘッド68の偏向から、例えば、実際の距離100を検出するときに考慮され得る補正値を生成することができる。代替法では、第1及び/又は第2のトグル測定ヘッド66、68によってそれぞれ接触すると、ツールスピンドル30は、トグル測定ヘッド66、68によって出力される信号が中性位置、すなわち例えばゼロ偏向又はほぼゼロの偏向に対応するまで移動され得る。しかし、これらの変形は、トグル測定ヘッド66、68の想定される幾つかの実施形態に当てはまるだけである。
【0077】
実際の距離100を確定するとき、マシン側の影響因子、例えば工作機械10の熱膨張は、基本的に、小さな変位経路98だけにより測定結果に影響を及ぼし得る。基本距離86と基準距離84との差に対応し得る「大きめのサイズ(oversize)」は、異なる寸法を備える種々の異なるワークピース96の測定を可能にする。
【0078】
図6a及び6bでは、測定手順が説明され、その測定手順は
図5a及び5bの測定手順と基本的に同様である。しかし、ワークピース96への接触は、異なる送り速度又は接触速度で遂行される。例えば、トグル測定ヘッド66がワークピース96に接触しない予備位置までラピッドギア及び/又はファストギアでトグル測定ヘッド66を移動させることが有利であり得る。測定アタッチメント50及び/又はワークピース96の損傷を回避するため、予備位置から離れながら、プローブギアの更なる送りが、トグル測定ヘッド66’がワークピース96に接触するまで行われ得る。
【0079】
同様に、トグル測定ヘッド68の接触イベントは、予備位置までファストギアでトグル測定ヘッド68を最初に移動させることによって実施され得る。予備位置から離れながら、スロープローブギアでの更なる送り及び/又は更なる接触が遂行され得る(102aで指定される矢印参照)。トグル測定ヘッド68’がワークピース96に接触したとき、変位経路98及び既知の基本距離86に基づいて、ワークピース96の実際の距離が確定され得る。
【0080】
図7は、測定アタッチメント50が更なる用途を可能にし得ることを示す。
図7の検査されるワークピース96は、参照番号104で示される形状偏差を含む。これは、例えば、真円度偏差及び/又は円筒形状偏差(例えば、106a、106bで示す公差シンボル参照)を伴い得る。トグル測定ヘッド66は、偏向可能な方式で配置され、幾つかの実施形態によれば、ワークピース96がワークピーススピンドル軸20の周りに回転するとき、連続的又は不連続的に形状偏差104を検出し得る。これに関連して、トグル測定ヘッド66が、大きな偏差を検出できるように大きな比例範囲を含むことが好ましい場合がある。しかし、更なる好ましい実施形態によれば、トグル測定ヘッド66は、高精度に(例えば、プローブアームの)偏向を検出する必要があるのではなく、むしろ、規定された偏向で作動パルス(トリガーパルス)を生成し得る。この特徴は、トグル測定ヘッド68にも当てはまり得る。
【0081】
円筒形状公差は、例えば、測定デバイス48が取付けられたツールスピンドル30が、ワークピース96が回転するときにワークピーススピンドル軸20に平行なZ軸に沿って移動するときに検出され得る。例として、こうして、円筒表面は、螺旋経路に沿って接触され得る。こうして、ワークピース96は「スキャン(scan)」され得る。
【0082】
図8では、ワークピース96は、中心セクション108の周りに配置される偏心セクションがワークピーススピンドル軸20の周りに回転するように配置される。こうした偏心方式で少なくともセクション毎に配置されるワークピース69は、例えば、制御デバイス56が、ツールスピンドル30をX軸、すなわち送り軸70に沿って、また、ワークピース96を、本実施形態ではワークピーススピンドル軸20に一致するいわゆるC軸の周りに、同時に駆動するように構成される場合に測定され得る。例として、結合式移動は、ワークピース96が偏心方式で回転するときに、ワークピース96において第1のトグル測定ヘッド66の予想される接触位置に追従し得る。同様に、こうして基本的に、例えば、真円度公差又は円筒形態公差が検出され得る。しかし、偏心ワークピース96をセクション毎に駆動し、
図5a、5b、及び/又は
図6a、6bと同様に、両方のトグル測定ヘッド66、68によって実際の距離、例えば実際の直径をそれぞれ検出することも想定され得る。
【0083】
図9並びに
図10a及び10bは、モジュール式測定デバイス48の斜視図を示し、モジュール式測定デバイス48は、例えば、
図2による工作機械10のツールユニット28に配置され得る。種々の図示では、測定デバイス48は異なるモジュール構成をとる。測定デバイス48は、枢動可能な方式で配置されて、測定アタッチメント50を測定位置と係合離脱位置(
図3a及び3b参照)との間で柔軟性がありかつ迅速な方式で移動させ得る。測定デバイス48は、枢動移動を可能にするため適切なドライブによって駆動可能である連結機構を備え得る。
図9に示す座標系X、Y、Zは、工作機械の対応する軸(
図2も参照)を示している。測定アタッチメント50は、トグル測定ヘッド66、68がそこに配置される支持ピース80を備える。トグル測定ヘッド66は、アダプタピース110によって支持ピース80に配置される。トグル測定ヘッド68は、アダプタピース112によって支持ピース80に配置される。支持ピース80は、トグル測定ヘッド66、68が複数の規定された所定の位置となるようアダプタピース110、112を受け入れるように配置される。こうして、複数のモジュール構成を達成することができ、複数のモジュール構成を通して、結果として、測定デバイス48は、したがって、複数の測定タスクについて柔軟性の高い方式で動作され得る。
【0084】
例として、
図9は、第1のモジュール構成を示す。第1のトグル測定ヘッド66及び第2のトグル測定ヘッド68は、基本的に互いに対して平行にかつ(Y軸に関して)同じ高さで支持ピース80に配置される。プローブアーム67と69との間の(X軸に沿う)測定領域78は、非常に幅広であるため、同様により大きなワークピースが、例えば直径を検出するために、トグル測定ヘッド66、68によって取囲まれ得る。
【0085】
図10aは、第2のモジュール構成の測定デバイス48を示す。
図9においてとられるその配置と対照的に、アダプタピース110は、その元の位置から取除かれ、アダプタピース112によって、アダプタピース112の側面で支持ピース80に仲介的に配置される。トグル測定ヘッド66は、説明目的のために
図10aに示されない。トグル測定ヘッド66は、
図10aに示すモジュール構成で、いわゆる、トグル測定ヘッド68から(Z軸に関して、
図9参照)軸方向に変位した「パーキング位置(parking position)」に配置され得る。しかし、トグル測定ヘッド66及び更にアダプタピース110は、支持ピース80から完全に取除かれ得る。例によれば、湾曲プローブアーム69aがトグル測定ヘッド68に配置される。プローブアーム69aは傾斜する。トグル測定ヘッド68は、
図10aに示す測定構成でプローブアーム69aによってワークピースに軸方向に接触し得る。こうして、例えば、軸方向表面又は軸方向距離が検出され得る。更に、プローブアーム69aは、ワークピースの軸方向窪み又は凹所に挿入され得る。こうして、例えば、内径又は同様の測定値が検出され得る。
【0086】
図10bは、考えられる測定デバイス48の第3のモジュール構成を説明する。
図9に示す第1のモジュール構成と同様に、トグル測定ヘッド66、68は、X軸(又は送り軸)に沿って互いに離間されるように支持ピース80に配置される。湾曲プローブアーム69aがトグル測定ヘッド68で利用される。プローブアーム69aの傾斜端は、X軸に平行に配向する。こうして、
図10bのトグル測定ヘッド66、68及び/又はプローブアーム67、69aは、
図9に示すモジュール構成の測定領域より基本的に狭い(X軸に沿う)測定領域78を取囲む。トグル測定ヘッド68用のアダプタピース112は、高さ補償(Y方向の調整)のために、
図9で説明したモジュール構成における所定の位置と異なる所定の位置で支持ピース80に配置される。同様に湾曲プローブアーム69aを利用するとき、プローブアーム67、69aの関連する接触要素又は接触ボールが、同じ高さに配置される、すなわち、Z軸に沿って同じ測定値を有することがこうして保証され得る。
図10bに示すモジュール構成によって、
図9と基本的に同様な方式で、直径及び同様な距離の値が確定され得る。これは、測定されるワークピースが、基本的に、
図9に示すワークピースより小さな直径を含むことを伴い得る。更に、この測定構成によって、ワークピースはまた、(送り軸又はX軸に沿って)半径方向に接触されることができ、プローブアーム69aが、ワークピースの窪み又は凹所に挿入され得る。こうして、例えば、長手方向溝、ウェッジ溝、歯部、又は同様なものが測定され得る。
【0087】
更なるモジュール構成が想定され得ることは言うまでもない。
図9、10a、及び10bに示す測定構成は、例示的な実施形態を示すだけである。基本的に、モジュール構成は、トグル測定ヘッド66、68の一方の規定された所定の位置によって特徴付けられ得る。更に、モジュール構成はまた、プローブアーム67、69の一方の配置構成によって規定され得る。
【0088】
図11及び
図12は、モジュール組立体キット114の配置構成を分解図で説明する。基本的に、同様に
図11及び12に示されないトグル測定ヘッド66、68は、モジュール組立体キット114に割当てられ得る。モジュール組立体キット114は、支持ピース80、第1のアダプタピース110、及び第2のアダプタピース112を含む。モジュール組立体キット114によって、例えば、
図9、10a、及び10bに示すモジュール構成がもたらされ得る。先に示したように、支持ピース80及び伸張アーム76は、一体形成方式で連携して配置され得る。基本的に、同様に分離配置構成が想定される可能性がある。支持ピース80において、アダプタピース110、112用の接触表面116、118が設けられ得る。アダプタピース110、112において、対応する嵌合表面が設けられ得る(
図11及び12では隠れている)。更に、支持ピース80並びにアダプタピース110、112は、適切な嵌合輪郭、例えばねじ穴及び/又はダボ穴を備え得る。
【0089】
こうして、アダプタピース110、112、したがって、トグル測定ヘッド66、68の高精度の位置固定が行われ得る。これは、測定デバイス48が改造される場合でも、例えば、それぞれのモジュール構成がモジュール組立体キット114を修正することによって変更されるときでも保証され得る。接触表面116は、アダプタピース110を受容するために構成され得る。接触表面118は、アダプタピース112を受容するために構成され得る。アダプタピース110、112を同様な方式で配置することが基本的に想定され得る。こうした実施形態によれば、接触表面116、118は、相応して、同様な又は類似の方式で配置され得る。こうして、アダプタピース110、112の製造労力が減少され得る。しかし、アダプタピース110、112を異なる方式で意図的に配置し、相応して接触表面116、118を適合させることも考えられる。更なる実施形態によれば、アダプタピース110、112は、アダプタピース110、112の少なくとも一方が他のアダプタピースに取付けられるように配置され得る(
図10a参照)。
【0090】
図12は、一点鎖線によって、異なるモジュール構成を作るために利用され得る異なる構成のモジュール組立体キット114を説明している。アダプタピース110は、例えば、支持ピース80の接触表面116において所定の位置に配置され得る(120aで指定される線を参照)。その上、アダプタピース110は、アダプタピース112の更なる所定の位置に取付けられ得る(120bで指定される線を参照)。こうして、アダプタピース110は、仲介方式で支持ピース80に配置され得る。したがって、例えば、アダプタピース110用の「パーキング位置」が設けられ得る。アダプタピース112は、支持ピース80の異なる所定の位置で受容され得る(122a、122bで指定される線を参照)。所定の位置122a、122bは、基本的に、Y軸においてそれらの位置が互いに異なる。したがって、トグル測定ヘッド66、68及びそれらのプローブアーム67、69の異なる長さが、それぞれ補償され得る。例証のために
図12に示す座標系X、Yが、基本的に、測定デバイス48が測定構成にあるとき、すなわち、測定デバイス48が、例えば、測定されるワークピースに向かって枢動されるとき適用可能であることは言うまでもない。
【0091】
図13は、測定タスクを例証するための、ワークピース96a及び測定アタッチメント50の非常に簡略化された斜視図を示す。説明目的のため、トグル測定ヘッド66、68を含む測定アタッチメント50が、著しく象徴的な方式で示されるだけである。対応するモジュール構成は、例えば、
図10bの図示に対応し得る。例えば、測定タスクは、ワークピース96aの軸方向当接表面126に接触することを含み得る。当接表面126は、シャフト肩部124に隣接して配置され得る。当接表面126の軸方向(Z軸方向の)接触イベントは、例えば、軸方向距離の確定の一部であり得る。当接表面126の複数のスポットに接触して、位置公差又は形状公差を確定することが更に想定され得る。これは、例えば、当接表面126の平坦度を含み得る。示された構成では、更に同様に、シャフト肩部124の直径が確定され得る。
【0092】
図14a及び
図14bは、更なる測定タスクを説明するための、更なるワークピース96b及び測定アタッチメント50の非常に簡略化された正面図を示す。測定アタッチメント50は、
図13の測定アタッチメントに対応するモジュール構成において基本的に存在し得る。更なる構成が想定され得る。
図14a、14bで説明される測定タスクは、単一のトグル測定ヘッド66、68だけを利用して実施され得る。したがって、基本的に、同様に、
図11aに示す測定構成は、トグル測定ヘッド68のプローブアーム69aが適切に湾曲し配向されるときに基本的に該当する。ワークピース96bは、シャフト肩部124において処理される溝128、特に長手方向溝を備える。プローブアーム69aは、溝128を測定するため溝128に半径方向に挿入され得る。プローブアーム69aは、溝128のグラウンド表面に接触するために基本的に利用され得る。しかし、プローブアーム69aはまた、溝128の側壁に接触するために利用され得る。こうして、溝は、わずかの労力で全体的に又はほぼ全体的に測定されることができる。溝128の側壁における測定アタッチメント50のプローブアーム69aの接触イベントは、ワークピース69aの規定された回転を必要とする(24で指定される
図14aの矢印及び24’で指定される
図14bの矢印参照)。これは、ワークピーススピンドル軸20の周りのワークピーススピンドル16の規定された回転を通して達成され得る。既に先に示したように、こうした種類の機能は、C軸機能とも呼ばれ得る。いわゆるC軸の制御とツールユニット28の駆動の協働によって、溝128が、高精度方式で測定され得る。
【0093】
図15は、更なる測定タスクを説明するための、一層更なるワークピース96c及び測定アタッチメント(
図15に部分的にだけ示される)の非常に簡略化された斜視図を示す。測定アタッチメントは、基本的に
図10aに示すようにモジュール構成であり得る。この測定タスクの場合、トグル測定ヘッド68の湾曲プローブアーム69aは、ワークピースのボア又は凹所に軸方向に挿入され得る。Z方向に配向するプローブアーム69aの湾曲部分が十分に長い場合、例えば、ボア又は凹所129の深さが確定され得る。更に、ボア又は凹所129の内径の検出がプローブアーム69aによって実施され得る。
【0094】
測定デバイス48のモジュール式配置構成は、単一モジュール組立体キット114によって異なる測定タスクを実施することを可能にする。必要とされる切換え作業が、大きな労力無しで実施され得る。したがって、高精度方式でワークピース96の外径を検出することが可能にされる。修正された測定タスクに従って、円筒度又は偏心度の検出が遂行され得る。これは、ワークピーススピンドル軸20(C軸)の駆動とツールユニット28の駆動の結合によって行われ得る。ワークピーススピンドル軸20に平行なZ方向へのツールユニット28の規定された移動は、例えば、少なくとも1つのトグル測定ヘッド66、68のいわゆる長手方向位置決め、したがって、当接表面の軸方向接触を可能にする。更に、それぞれ湾曲したプローブアームによって、ワークピース内の軸方向ボアが、例えばそれらの直径を検出するために測定され得る。ツールユニット28を半径方向(X方向)に移動させることは、ワークピース96のいわゆる円周方向位置決め、例えば、半径方向接触を可能にする。異なる機能を組合せることによって、同様に複雑な測定タスク、例えば、長手方向溝又は円周方向溝を測定することが実施され得る。
【0095】
図16は、例えば工作機械10によって遂行され得る、ワークピースを測定するための方法の幾つかのステップを説明する。
方法は、例えばゲージング及び/又は較正アクションを含み得る初期ブロック130を含む。第1のステップにて、基準寸法、例えば基準本体が、設けられ、測定領域に挿入される。挿入は、例えば、測定デバイスを枢動することによって遂行され得る。
【0096】
その後のステップ134にて、例えば第1のトグル測定ヘッドによる、基準寸法の最初の接触イベントが実施される。最初の接触イベント134は、例えば、ステップ136、138によって完結され得る。オプションのステップ136は、第1のトグル測定ヘッドの測定回路の電気的ゲージングを含み得る。ステップ138は、X軸及び/又は送り軸に沿う実際の位置の検出を含み得る。
【0097】
その後、第2のトグル測定ヘッドによる2回目の接触イベントを含むステップ140が続き得る。ステップ140、2回目の接触イベントは、ステップ140を完結させ得るステップ142、144を含み得る。オプションのステップ142は、第2のトグル測定ヘッドの測定回路の電気的ゲージングを含み得る。ステップ144は、送り軸及び/又はX軸に沿う2回目の実際の位置の検出を含み得る。
【0098】
その後のステップ146にて、検出済みの値及び既知の基準寸法に基づいて、更なる測定のための基礎として役立ち得る基本距離が確定され得る。ステップ148は、ゲージング及び/又は較正アクションを完結させる。
【0099】
参照番号150で示すブロックは、前もって確定された基本距離を使用するワークピースの測定を例示的に示す。第1のステップ152にて、測定されるワークピースが、受容され、また例えば、挿入された測定デバイスを枢動することによって測定デバイスの測定領域にもたらされる。
【0100】
オプションのステップ154にて、予備位置が、第1の送り速度で接近され得る。更なるステップ156にて、第1の測定位置が接近され、その位置で、第1のトグル測定ヘッドによるワークピースの最初の接触イベントが遂行される。接近は、例えば、第2の送り速度で実施される。更なるステップ158にて、最初の接触イベントに関連する位置の値が検出され得る。
【0101】
その後のオプションのステップ160にて、第2の予備位置が、第1の送り速度で接近され得る。その後のステップ162は、第2のトグル測定ヘッドがそこでワークピース96に接触し得る第2の測定位置に接近することを含む。接近は、第2の送り速度で遂行され得る。更なるステップ164にて、2回目の接近イベントに関連する位置の値が検出され得る。
【0102】
ステップ166は、第1及び第2の接触イベントに続くことができ、ステップ166にて、得られたデータ及び基本距離に基づいて、実際の距離が確定される。測定プロセスはステップ168によって完結されることができ、ステップ168は、例えば、測定デバイスからの枢動離脱(pivoting−out)を含み得る。矢印170は、単一のゲージングイベント後に、複数回の測定が遂行され得ることを示す。これは、異なる実際の距離が測定領域に挿入され得る場合、異なる実際の距離の確定を含み得る。
【0103】
本明細書で述べる方法ステップは、マシン制御プログラムの一部を形成し得る。