(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プランジャロッドの前記頂部部分は、前記主要本体部分の前記ノッチに係合するテーパ状リングを備え、それにより、前記プランジャロッドと前記ノッチとの間の係合によって、前記主要本体部分は注射中および吸引中の両方において、前記シリンジバレルの前記内方壁部の方向へと前記ラジアル方向に拡張されることを特徴とする請求項2に記載のシリンジ。
前記下方傾斜部分は、前記上方傾斜部分と前記下方傾斜部分との間に延在する垂線から測定した場合に、約10°から約80°の角度を有することを特徴とする請求項4に記載のシリンジ。
前記プランジャロッド本体は、前記ストッパの前記主要本体部分の前記開口後方端部に隣接して位置決めされた保持リングを備えることを特徴とする請求項1に記載のシリンジ。
前記円筒状シリンジバレルは、前記流体分配端部付近にエリアを備え、前記エリアは、前記円筒状シリンジバレルの残りのエリアの内径よりも大きな内径を有し、前記第1の外周スカートが前記エリアに隣接して位置決めされた場合に、前記第1の外周スカートを受けるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシリンジ。
前記プランジャロッド本体は、前記ストッパの前記主要本体部分の前記開口後方端部に隣接して位置決めされた保持リングを備えることを特徴とする請求項9に記載のアセンブリ。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年3月28日に出願された「プラスチックストッパ(Plastic Stopper)」と題する米国仮特許出願第61/468,304号明細書の利益を主張するものである。この仮出願は、ここに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
現行のシリンジ設計は、典型的には2ピース型シリンジまたは3ピース型シリンジとして分類され得る。典型的な3ピース型シリンジは、一方の端部に形成されたアクセス開口と、反対側の端部に形成されたより小さな排出開口とを有する、管状バレルを備える。細長プランジャの前端部は、バレル内において摺動可能になるようにバレルのアクセス開口内に受けられる。プランジャの前端部には、バレルの内側表面にぴったりと当接して封止する可撓性封止部材またはストッパが装着される。通常は、針、ねじ部材、または非ねじ部材が、バレル上の排出開口に対して装着される。針は、表面を貫通するために使用され、ねじ部材は、カテーテルなどの別の医用デバイスに対してシリンジを装着するために使用され得る。通常は、可撓性ストッパは、ゴムまたは架橋エラストマーもしくは熱可塑性エラストマーなどの、エラストマー材料から製造される。
【0004】
他方において、2ピース型シリンジは、プランジャロッドヘッドとしても知られている、剛性封止ディスクの形態である「ストッパ」を備える。典型的には、このストッパは、プランジャロッドの残りの部分と同一の剛性プラスチックから作製される。2ピース型シリンジにおける封止力は、剛性プランジャロッドヘッドの周囲において変形する薄い弾性バレルから得られる。
【0005】
使用中には、このシリンジの排出端部は、初め、流体と接触状態に置かれる。例えば、シリンジ上の針が、液体薬剤中に挿入され得る。プランジャが、バレル内に引き戻されると(吸引として知られるプロセス)、負圧が、バレルの端部内において生成されて、流体をバレル内に引き込む。次いで、シリンジは、バレル内においてプランジャを前進させることにより流体がバレルの排出端部から押し出されるまたは放出される、第2の位置へと移動され得る。
【0006】
現行の2ピース型シリンジおよび3ピース型シリンジの設計は、様々な欠点を有する。例えば、エラストマーストッパまたはゴムストッパを備える3ピース型シリンジは、保管寿命中におよびシリンジの使用時に存在する、ストッパとシリンジバレルとの間の高い受動接触圧を受ける。この受動接触圧は、約300psi以上の高さとなり得る。したがって、シリンジバレルは、保管寿命中のバレルの局所的クリープまたは膨出を防止するために、バレルの壁部厚さを比較的大きくする必要がある。したがって、シリンジバレルの局所的膨出が解消されるように、ストッパとバレルとの間により低い接触圧を有するシリンジが、必要である。また、典型的な2ピース型シリンジは、かかる高い受動接触圧を有し、同様の欠点を有する。したがって、現行のストッパ設計により引き起こされる膨出効果に対処することによってより薄い壁部を実現するために、より少量の材料を使用して製造されるシリンジが、必要である。
【0007】
さらに、現行のエラストマーストッパまたはゴムストッパとバレルの内方壁部との間における高い接触力および高い摩擦係数により、現行のシリンジ設計は、シリンジの操作に必要なブレークルース(break-loose)手動力およびブレークアウト(break-out)手動力が過度に高くならないように、シリコーンオイルなどの液体潤滑剤を用いて潤滑化することが必要となる。したがって、シリコーンオイルもしくは他の潤滑剤を用いずにシリンジと共に使用し得る、または潤滑剤と共に使用される場合に大幅に低い手動力を許容する、プラスチックストッパがさらに必要である。
【0008】
さらに、現行のゴムストッパは、典型的には、特殊な圧縮成形/硬化プロセスを必要とする特殊な架橋ゴム(例えばポリイソプレン)から製造される。かかるプロセスは、シリンジの製造コストを大幅に上昇させ得る。また、さらに、圧縮成形プロセスの際に、かなりの廃棄材料が発生する。例えば、典型的な製造プロセスにおいては、最大で30%のゴムが、従来のエラストマーストッパの製造の際に廃棄される。したがって、効率的な製造を可能にすることにより、シリンジの製造コストを削減し、シリンジを製造する際に発生する廃棄材料を減少させるストッパが、必要である。
【0009】
また、従来の2ピース型シリンジは、様々な欠点を有する。より具体的には、従来の2ピース型シリンジは、典型的には剛性プランジャロッド封止エッジを備える。かかるエッジは、プランジャを移動させるために必要な手動力を上昇させる、非常に高い接触力を生じさせる。さらに、封止エッジに沿ったこれらの高い接触力により、バレル壁部が著しく変形し、それにより、2ピース型シリンジは、バレルの膨出がポンプクランプ機構を阻害し得る場合に、シリンジポンプに対して不適合となる。したがって、シリンジバレルの局所的膨出が解消されるように、ストッパとバレルとの間により低い接触圧を受けるシリンジが必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つの目的は、ゴムベースの従来的なシリンジストッパよりも薄いシリンジバレル壁部を許容する剛性プラスチックストッパを提供することである。これは、剛性プラスチックストッパと同様の材料から製造されたシリンジバレルとの間の接触圧が、従来的なゴムストッパに比べて、シリンジの非使用時にはるかに低くなることにより、達成される。これにより、バレルのクリープまたは局所的膨出の問題の解消が可能となる。さらに、本発明のシリンジにおけるより低い接触圧によって実現されるより薄いバレル壁部によって、材料使用および廃棄発生のさらなる削減も可能となり、これにより、「環境保護意識のより高い(greener)」シリンジが可能となる。
【0011】
さらに、このより低い接触圧は、シリンジ内部の流体圧力が注射により上昇した場合に、ストッパとバレルとの間の封止圧力もまた3つの別個の圧力作用による動作により上昇するように、能動的封止機能を本発明の剛性プラスチックストッパに与えることによって、実現される。これらの動作の第1は、撓曲ルーフ動作であり、ストッパの可撓性ルーフが、内方に撓曲し、ラジアル方向へと横方向に拡張する。次の動作は、撓曲スカート動作であり、ストッパの主要本体部分の周囲に延在する外周スカートが、シリンジバレルの壁部の方向に曲がる。最後には、摺動動作が実現され、プランジャロッドとストッパの主要本体部分の内側部分中に形成されたノッチとの間の係合により、主要本体部分が、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張される。さらに、本発明は、これらの3つの別個の圧力作用による動作のいずれかが、個別にまたは組み合わせて、ストッパに組み込まれることを予期する。
【0012】
本発明のさらなる目的は、シリコーンオイルもしくは他の潤滑剤を用いずにシリンジと共に使用し得る、または潤滑剤と共に使用される場合に大幅に低い手動力を許容する、プラスチックストッパを提供することである。本発明のプラスチックストッパは、従来的なゴムストッパに比べて大幅に低い摩擦係数および接触面積/接触圧により、これらの特徴を実現することが可能となる。本発明の別の目的は、他の注射用成形シリンジパーツと同一または同様の樹脂から製造されるプラスチックストッパを提供することである。これにより、材料のロジスティックおよび供給に関するコストの削減が可能となる。さらに、本発明のプラスチックストッパは、従来のエラストマーに比べて大幅に低重量の材料を使用して製造される。材料使用の減少は、ひいてはコスト削減および廃棄発生の低下につながり得る。
【0013】
具体的に開示されるストッパ設計は、剛性プラスチック材料から製造されると共に、能動的封止機能をさらに実現する。このストッパは、シリンジバレル内における使用のためにプランジャロッドに装着されるように構成される。
【0014】
本発明の一態様によれば、ストッパは、主要本体部分を備え、この主要本体部分は、プランジャロッドを受けるように構成された開口後方端部と、プランジャロッドの少なくとも頂部部分に係合するように構成された、主要本体部分の内周部に沿って設けられる係合部分と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部と、主要本体部分の閉鎖前方端部の方向へと主要本体部分の外周部の周囲に延在する第1の外周スカートとを画定する。流体圧力が、注射中にシリンジバレル内部で上昇すると、可撓性ルーフは、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張し、第1の外周スカートは、シリンジバレルの内方壁部に対して押し付けられ、プランジャロッドと係合部分との間の係合により、主要本体部分はシリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張し、これにより、ストッパとシリンジバレルの内方壁部との間に封止圧力がもたらされる。ストッパは、軸方向においてストッパに対して安定性を与えるように、主要本体の開口後方端部の方向へと主要本体部分の外周部の周囲に延在する第2の外周スカートをさらに備えてもよい。流体圧力が、吸引中にシリンジバレル内部において低下すると、第2の外周スカートは、シリンジバレルの内方壁部に対して押し付けられ、これにより、ストッパとシリンジバレルの内方壁部との間に封止圧力がもたらされる。
【0015】
主要本体の閉鎖前方端部は、先端部を有する円錐形状を有してもよい。この先端部は、シリンジバレルの先端部の内部にぴったりと合うように構成された延長部分を備えてもよい。さらに、プランジャロッドとの連結において、吸引中に、可撓性ルーフをシリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張させる、先端部から開口後方端部の方向に延在する延長部が設けられてもよい。
【0016】
係合部分は、ノッチとして構成されてもよく、プランジャロッドの頂部部分は、主要本体のノッチに係合するテーパ状リングを備えてもよく、それにより、プランジャロッドとノッチとの間の係合によって、主要本体部分は、注射中および吸引中の両方において、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張される。ノッチは、上方傾斜部分および下方傾斜部分を備えてもよい。上方傾斜部分は、上方傾斜部分と下方傾斜部分との間に延在する垂線から測定した場合に約10°から約80°の角度を有してもよく、望ましくは上方傾斜部分と下方傾斜部分との間に延在する垂線から測定した場合に約25°から約55°の角度を有してもよい。下方傾斜部分は、上方傾斜部分と下方傾斜部分との間に延在する垂線から測定した場合に約10°から約80°の角度を有してもよく、望ましくは上方傾斜部分と下方傾斜部分との間に延在する垂線から測定した場合に約25°から約55°の角度を有してもよい。あるいは、係合部分は、突出部分を備えてもよく、プランジャロッドの頂部部分は、主要本体の突出部分に係合する、頂部部分の外周部の周囲に形成されたノッチを備えてもよく、それにより、プランジャロッドと突出部分との間の係合によって、主要本体部分は、注射中および吸引中の両方において、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張される。
【0017】
ストッパ、プランジャロッド、およびシリンジバレルは、全て同一の剛性ポリマー材料または半剛性ポリマー材料から製造されてもよい。剛性ポリマー材料または半剛性ポリマー材料は、約0.01GPaから約5GPaの範囲内の弾性係数を有してもよく、望ましくは約0.6GPaから約2GPaの範囲内の弾性係数を有してもよい。剛性ポリマー材料または半剛性ポリマー材料は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素重合体、イオノマー、ポリアクリレート、またはそれらの任意の組合せからなる群より選択されてもよい。
【0018】
可撓性ルーフは、約0.1mmから約3mmの厚さを有してもよく、望ましくは約0.3mmから約1.2mmの厚さを有してもよい。第1の外周スカートは、約0.05mmから約3mmの厚さを有してもよく、望ましくは約0.2mmから約0.5mmの厚さを有してもよい。第1の外周スカートの長さは、約1mmから約10mmであってもよい。第2の外周スカートは、約0.05mmから約3mmの厚さを有してもよく、望ましくは約0.2mmから約0.5mmの厚さを有してもよい。第2の外周スカートの長さは、約1mmから約10mmであってもよい。
【0019】
本発明の別の態様によれば、シリンジは、流体分配端部および開口端部を有する実質的に円筒状のシリンジバレルと、シリンジバレルの開口端部内に受けられるように構成されたストッパと、長手方向軸に沿って延在するプランジャロッド本体を有するプランジャロッドとを備える。ストッパは、主要本体部分を備え、この主要本体部分は、プランジャロッドを受けるように構成された開口後方端部と、主要本体部分の内周部に沿って設けられた係合部分と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部と、主要本体の閉鎖前方端部の方向へと主要本体部分の外周部の周囲に延在する第1の外周スカートとを画定する。プランジャロッド本体は、ストッパの主要本体部分の内周部に沿って設けられた係合部分に係合するように構成された前方装着端部、および後方端部を備える。流体圧力が、注射中にシリンジバレル内部で上昇すると、可撓性ルーフは、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張し、第1の外周スカートは、シリンジバレルの内方壁部に対して押し付けられ、プランジャロッドと係合部分との間の係合により、主要本体部分はシリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張され、これにより、ストッパとシリンジバレルの内方壁部との間に封止圧力がもたらされる。
【0020】
シリンジプランジャ本体の前方装着端部は、注射中に可撓性ルーフの下方表面に接触することにより、ラジアル方向への可撓性ルーフの拡張を制限するように構成された、延長部分を備えてもよい。シリンジプランジャ本体は、ストッパの主要本体部分の開口後方端部に隣接して位置決めされた保持リングを備えてもよい。円筒状シリンジバレルは、流体分配端部付近にエリアを備え、このエリアは、円筒状シリンジバレルの残りのエリアの内径よりも大きな内径を有し、第1の外周スカートがこのエリアに隣接して位置決めされた場合に、第1の外周スカートを受けるように構成されてもよい。流体分配端部付近のエリアは、約0.01mmから約0.4mmの深さを有してもよい。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、シリンジバレルと共に使用されるように構成されたプランジャロッドおよびストッパのアセンブリが、ストッパと、長手方向軸に沿って延在するプランジャロッド本体を有するプランジャロッドとを備える。ストッパは、主要本体部分を備え、この主要本体部分は、プランジャロッドを受けるように構成された開口後方端部と、主要本体部分の内周部に沿って設けられた係合部分と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部と、主要本体の閉鎖前方端部の方向へと主要本体部分の外周部の周囲に延在する第1の外周スカートとを画定する。プランジャロッドは、ストッパの主要本体部分の内周部に沿って設けられた係合部分に係合するように構成された前方装着端部、および後方端部を備える。流体圧力が、注射中にシリンジバレル内部で上昇すると、可撓性ルーフは、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張し、第1の外周スカートは、シリンジバレルの内方壁部に対して押し付けられ、プランジャロッドと係合部分との間の係合により、主要本体部分はシリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張し、これにより、ストッパとシリンジバレルの内方壁部との間に封止圧力がもたらされる。
【0022】
本発明のこれらのおよび他の特徴、操作方法、構造体の関連要素およびパーツの組合せの機能、ならびに製造経済性が、いずれも本明細書の一部を構成する添付の図面を参照として以下の説明および添付の特許請求の範囲を検討することにより、さらに明らかになろう。同様の参照数字は、種々の図面において対応するパーツを示す。しかし、図面は、専ら例示および説明を目的とするものに過ぎず、本発明の限界を規定するものとしては意図されない点を特に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲において、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、コンテクスト中において別様に明示されない限り、複数の言及を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以降の説明において、「上方の」、「下方の」、「右の」、「左の」、「垂直な」、「水平な」、「頂部の」、「底部の」、「側方の」、「長手方向の」という用語、およびそれらの派生語は、上記図面において配向される限りにおいて本発明に関するものとする。しかし、本発明は、逆のことが明示されない限りにおいては、様々な代替的変形形態を呈し得る点を理解されたい。また、添付の図面に図示され以下の明細書で説明される特定のデバイスは、本発明の単なる例示的な実施形態に過ぎない点を理解されたい。したがって、本明細書において開示される実施形態に関する特定の寸法および他の物理的特徴は、限定的なものとして見なされるべきではない。
【0025】
図1を参照すると、参照数字10として全体的に示されるシリンジが、ストッパ12およびプランジャロッド14を備える。ストッパ12およびプランジャロッド14は、シリンジバレル16内において使用するように構成される。シリンジバレル16は、ルアー20の形態で示される、別個の医用デバイス(カテーテルなど)を装着するための出口開口および/または機構を備える遠位端部すなわち前方端部18と、ストッパ12およびプランジャロッド14のアセンブリを受けるための開口近位端部すなわち開口後方端部22とを備える。しかし、
図1においてはルアータイプ装着の利用が図示されるが、これは、本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、任意の適切なタイプのシリンジ10用の装着が予期されている。さらに、一定の低流量が必要とされるいくつかのシリンジポンプ用途においては、そのシリンジタイプの内径が、約1.30mmの最大値を有するべきである。この小さな内径の目的は、低流量注入療法の際に圧力を上昇させることである。シリンジ内における圧力の上昇により、以降において説明される可撓性ルーフが、シリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張され、シールを形成する。均等かつ一定の流量のために、小さな1.30mmシリンジ先端内径は、標準的なシリンジ先端内径よりも高い圧力を必要とするまたは生じさせる。本明細書の図面は、別個のストッパおよびプランジャのアセンブリを図示するが、ストッパ特徴部がプランジャロッド14と一体的に形成され得ることが予期される。
【0026】
図2および
図3を参照すると、ストッパ12の第1の実施形態が、プランジャロッド14を受けるように構成された開口後方端部26と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部28とを画定する、主要本体部分24を備える。可撓性ルーフは、約0.1mmから約3mmの厚さを有し、望ましくは約0.3mmから約1.2mmの厚さを有する。主要本体部分24の閉鎖前方端部28は、第1の傾斜部分30および第2の傾斜部分32を備え、これらは共に、先端部34の方向に延在する単一の円錐表面の一部であり、これにより、実質的に円錐状の外観が閉鎖前方端部28に与えられる。しかし、可撓性ルーフのこの形状は、本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、ルーフは、平坦であってもよい。かかるルーフは、ストッパの可撓性ルーフが内方に撓曲しラジアル方向へと横方向に拡張する、撓曲ルーフ動作を生じさせない。しかし、ストッパの主要本体部分の周囲に延在する外周スカートがシリンジバレルの壁部の方向に曲がる、撓曲スカート動作と、プランジャロッドとプランジャの主要本体部分の内側部分中に形成されたノッチとの間の係合により主要本体部分がシリンジバレルの内方壁部の方向へとラジアル方向に拡張される、摺動動作とを伴う、平坦なルーフを備えるストッパが、予期されている。
【0027】
閉鎖前方端部28の方向へと主要本体部分24の外周部の周囲に延在する第1の外周スカート36が、設けられる。第1の外周スカート36の主要な目的は、以降においてさらに詳細に論じるように、ストッパ本体と、シリンジバレル16の内方壁部38との間に「能動的シール」を形成することである。第1の外周スカート36は、約0.05mmから約3mmの厚さを有し、望ましくは約0.2mmから約0.5mmの厚さを有する。第1の外周スカート36の長さは、約1mmから約10mmであってもよい。さらに、第1の外周スカート36は、シリンジバレル16の内径と接触状態になる先端部を備える。この先端部は、円形、斜角、鋸歯形、等々の(しかしそれらに限定されない)任意の様々な局所形状を有してもよい。
【0028】
第1の外周スカート36は、注射の終了時に、未使用の薬剤または他の流体からなる「デッドスペース」を生じさせる場合がある。この「デッドスペース」を最小限に抑えるために、この「デッドスペース」に対応する形状を有する突出部(図示せず)が、シリンジバレル16のバレルルーフの内部に追加されてもよい。この突出部は、第1の外周スカート36の内部エッジと主要本体部分24との間に形成される間隙に対応するようにサイズ設定される。さらに、突出部は、切れ目または複数の切れ目を組み込んでもよい。
【0029】
また、ストッパ12は、開口後方端部26の方向へと主要本体部分24の外周部の周囲に延在する第2の外周スカート40を備える。第2の外周スカート40の主要な目的は、軸方向においてストッパ12に対して安定性を与えること、およびストッパ12の傾斜を防止することである。さらに、流体圧力が、吸引中にシリンジバレル16の内部において低下すると、第2の外周スカート40は、シリンジバレル16の内方壁部38に対して押し付けられ、これにより、ストッパ12とシリンジバレル16の内方壁部38との間に封止圧力がもたらされる。第2の外周スカート40は、約0.05mmから約3mmの厚さを有し、望ましくは約0.2mmから約0.5mmの厚さを有する。第2の外周スカート40の長さは、約1mmから約10mmであってもよい。
【0030】
図3に示すように、ストッパ12の主要本体部分24は、実質的に中空であり、プランジャロッド14の装着部分42を受けるように設計される。主要本体部分24は、第2の外周スカート40の底部から第1の外周スカート36の頂部まで測定した場合に、約2mmから約20mmの高さを有し、望ましくは約3mmから約8mmの高さを有する。主要本体部分24の内周部の周囲に延在するノッチ44が、設けられる。ノッチ44は、上方傾斜部分46と下方傾斜部分48とを備え、これにより、円錐断面形状を有するノッチ44が形成される。上方傾斜部分46は、垂線から測定した場合に、約10°から約80°の角度を有し、望ましくは約25°から55°の角度を有する。下方傾斜部分48は、垂線から測定した場合に、約10°から約80°の角度を有し、望ましくは約25°から55°の角度を有する。しかし、ノッチ44の形状は、本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、ノッチ44とプランジャロッド14の装着部分42との間において、線形接合部または湾曲接合部などの他の接合部が、同一の機能を実現するために使用され得る。さらに、
図4Bを参照すると、ノッチ64が、プランジャロッド14の端部に設けられてもよく、ストッパ12が、ノッチ64に係合する突出部分66を備えることが可能であり、これにより、ノッチ44と同一の機能が実現される。ノッチ64の形状が、実質的に円錐断面を有するものとして図面においては示されるが、この形状は、本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、任意の適切な形状を使用することができる。
【0031】
ノッチ44は、プランジャロッド14の装着部分42に係合するように構成され、それにより、注射の際に、上方傾斜部分46が装着部分42に係合し、これにより、主要本体部分24がラジアル(半径)方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが主要本体部分24と内方壁部38との間に形成される。吸引中には、下方傾斜部分48は、装着部分42に係合し、これにより、主要本体部分24がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが主要本体部分24と内方壁部38との間に形成される。
【0032】
望ましくは、ストッパ12は、約0.01から約5GPaの範囲内の、望ましくは約0.6から約2GPaの範囲内の弾性係数を有する、「剛性」または「半剛性」のポリマー材料から製造される。この材料の望ましいショアD硬度は、約D30から約D80である。ストッパ材料は、ポリオレフィン(例えばPE、PP、およびそれらのコポリマー)、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリエステル(例えばPET)、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、フッ素重合体、イオノマー、ポリアクリレート、または任意の他の同様の材料を含み得るが、それらに限定されない。さらに、約0.01から約5GPaの弾性係数を有する任意の生物由来ポリマー、生物分解性ポリマー、および再生ポリマーを、本発明によるストッパと共に使用することもできる。ストッパ12は、「剛性」または「半剛性」のポリマー材料から製造されるため、従来のゴムストッパに比べて大幅に低い摩擦係数および接触面積/接触圧が実現される。したがって、ストッパ12は、シリコーンオイルまたは他の潤滑剤を用いずに、シリンジ10と共に使用することが可能となる。さらに、シリンジバレル16は、ストッパ12と同一材料または同様の材料から作製されてもよい。
【0033】
図5および
図6Aを参照すると、プランジャロッド14は、長手方向軸Xに沿って延在する、前方端部52および後方端部54を有する、シリンジプランジャ本体50を備えてもよい。装着部分42は、シリンジプランジャ本体50の前方端部52に関連付けられる。装着部分42は、ストッパ12のノッチ44に係合するように設計されたテーパ状リング56を備える。あるいは、分離リブ57の対が、テーパ状リング56の代わりに設けられてもよい(
図6Bを参照)。分離リブ57は、リブの端部がリブに沿った4つの分離点においてノッチ44に係合するように、
図6Bに示すような断面で構成されてもよい。しかし、この構成は、本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、任意の適切な個数の分離リブが、使用されてもよく、または切れ目を有するテーパ状リングが、使用されてもよい。さらに、主要ストッパ本体の内周部の周囲に延在する連続ノッチの代わりに、分離リブの個数に対応する複数の分離ノッチが、使用されてもよい。
【0034】
また、プランジャロッド14の前方端部52は、注射中に、最大圧力が最大設計圧力に達した場合にのみ、閉鎖前方端部28の可撓性ルーフの下方表面60に接触するように構成された、延長部分58を備えてもよい。これにより、ラジアル方向への可撓性ルーフの拡張が制限されて、極端な場合ではシリンジ10が超過圧力を受けた場合の可撓性ルーフの座屈が防止される。また、シリンジプランジャ本体50は、ストッパ12の主要本体部分24の開口後方端部26に隣接して位置決めされる保持リング62を備えてもよい。保持リング62は、プランジャロッド14がシリンジバレル16から外れるのを防止するために設けられる。
図4Aを参照すると、プランジャロッド14が、開口後方端部26を通りストッパ12内に挿入されると、テーパ状リング56は、ノッチ44に係合し、それにより、プランジャロッド14は、定位置にロックされ、ストッパ12からの分離が防止される。
【0035】
プランジャロッド14は、ストッパ12と同一の材料から製造されてもよい。さらに、プランジャロッド14およびストッパ12は、2ピース型シリンジを形成するように一体的に、または3ピース型シリンジを形成するように別個に、製造されてもよい。
【0036】
続いて
図4Aを参照すると、剛性プラスチックストッパ12は、能動的封止機能を備え、それにより、シリンジ10内部の流体圧力が、注射により破線矢印により示されるように上昇した場合に、ストッパ12とシリンジバレル16との間の封止圧力もまた、3つの別個の圧力作用による動作によって上昇する。これらの動作の第1は、撓曲ルーフ動作であり、ストッパ12の閉鎖前方端部30の可撓性ルーフが、矢印A
1により示すように、内方に撓曲し、ラジアル方向へと横方向に拡張する。この動作は、さらに
図7において概略的に図示される。
図7に示すように、シリンジバレル16内の圧力が注射により上昇する前の、ストッパ12の閉鎖前方端部30の可撓性ルーフは、実線で示される。注射が開始されると、バレル内における圧力の上昇により、ストッパ12の閉鎖前方端部30の可撓性ルーフは、破線により示すように内方に撓曲し、ラジアル方向へと横方向に拡張する。延長部分58は、可撓性ルーフが注射中に反転しないように、この撓曲を制限する。
【0037】
第2の動作は、撓曲スカート動作と見なすことが可能であり、ストッパ12の主要本体部分24の周囲に延在する第1の外周スカート36が、矢印A
2により示すようにシリンジバレル16の内方壁部38の方向に曲がる。
【0038】
最後には、摺動動作が実現され、プランジャロッド14のテーパ状リング56とストッパ12の主要本体部分24のノッチ44との間の係合により、主要本体部分24が、矢印A
3により示すようにシリンジバレル16の内方壁部38の方向へとラジアル方向に拡張される。さらに具体的には、ノッチ44の上方傾斜部分46とテーパ状リング56の上方エッジとの間の係合により、ストッパ12が、注射中にラジアル方向に(すなわち内方壁部38の方向へと)押しやられ、これがストッパ12とシリンジバレル16との間のより高い強度の封止に寄与することが、確実となる。さらに、ノッチ44の下方傾斜部分48とテーパ状リング56の下方エッジとの間の係合により、ストッパ12が、吸引中にラジアル方向に(すなわち内方壁部38の方向へと)押しやられ、これが、ストッパ12とシリンジバレル16との間のより高い強度の封止に寄与することが、確実となる。
【0039】
これらの能動的封止機能により、ストッパ12とシリンジバレル16の内方壁部38との間の低い接触圧が許容され、これにより、シリンジバレル16の壁部が薄い場合の、バレルクリープおよび局所的膨出の問題が解消される。組立時のストッパ12とシリンジバレル16の内方壁部38との間の接合部は、約0.01mm/直径から2mm/直径であり、望ましくは約0.3mm/直径から0.8mm/直径である。
【0040】
図8〜
図10を参照すると、参照数字112として全体的に示される本発明によるストッパの第2の実施形態が図示される。ストッパ112は、プランジャロッド14を受けるように構成された開口後方端部126と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部128とを画定する、主要本体部分124を備える。主要本体部分124の閉鎖前方端部128は、第1の傾斜部分130および第2の傾斜部分132を備え、これらは共に、先端部134まで延在する同一の円錐表面の一部である。先端部134は、注射の完了後に未使用の薬剤が残留するシリンジバレル16内のスペースを最小限に抑えるために、シリンジバレル16の先端部の内部にぴったりと合うように構成された、延長部分135を備える。また、延長部分135は、シリンジ10の組立中に、シリンジバレル16内におけるストッパ112の適切な配向を補助するためにも使用され得る。
【0041】
閉鎖前方端部128の方向へと主要本体部分124の外周部の周囲に延在する第1の外周スカート136が、設けられる。第1の外周スカート136の主要な目的は、上記で論じたように、ストッパ本体とシリンジバレル16の内方壁部38との間に「能動的シール」を形成することである。また、ストッパ112は、開口後方端部126の方向へと主要本体部分124の外周部の周囲に延在する第2の外周スカート140を備える。第2の外周スカート140の主要な目的は、軸方向においてストッパ112に安定性を与えること、およびストッパ112の傾斜を防止することである。さらに、流体圧力が、吸引中にシリンジバレル116の内部において低下すると、第2の外周スカート140は、シリンジバレル16の内方壁部38に対して押し付けられ、これにより、ストッパ112とシリンジバレル16の内方壁部38との間に封止圧力がもたらされる。
【0042】
図9に示すように、ストッパ112の主要本体部分124は、実質的に中空であり、プランジャロッド14の装着部分42を受けるように設計される。主要本体部分124の内周部の周囲に延在するノッチ144が、設けられる。ノッチ144は、上方傾斜部分146および下方傾斜部分148を備え、これにより、ノッチ144に対して円錐断面形状が与えられる。しかし、ノッチ144の形状は、本発明を限定するものとして見なされるべきではなく、ノッチ144とプランジャロッド14の装着部分42との間の、線形接合部または湾曲接合部などの他の接合部が、同一の機能を実現するために使用され得る。
【0043】
ノッチ144は、プランジャロッドの装着部分42に係合するように構成され、それにより、注射の際に、上方傾斜部分146が装着部分42に係合し、これにより、主要本体部分124がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが主要本体部分124と内方壁部38との間に形成される。吸引中には、下方傾斜部分148は、装着部分42に係合し、これにより、主要本体部分124がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが主要本体部分124と内方壁部38との間に形成される。
【0044】
ストッパ112の第2の実施形態と共に使用されるプランジャロッド14は、
図5および
図6において図示され上記において論じられたプランジャロッド14と同一である。さらに、ストッパ112は、能動的封止機能をやはり備え、それにより、シリンジ10の内部の流体圧力が注射により上昇した場合に、ストッパ112とシリンジバレル16との間の封止圧力もまた、
図4Aを参照として上記において論じた3つの別個の圧力作用による動作により上昇する。
【0045】
図11〜
図13を参照すると、参照数字212として全体的に示されるストッパの第3の実施形態が図示される。ストッパ212は、プランジャロッド214の代替的実施形態(
図14および
図15を参照)を受けるように構成された開口後方端部226と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部228とを画定する、主要本体部分224を備える。主要本体部分224の閉鎖前方端部228は、第1の傾斜部分230および第2の傾斜部分232を備え、これらは共に、先端部234まで延在する同一の円錐表面の一部である。先端部234は、注射の完了後に未使用の薬剤が残留するシリンジバレル16内のスペースを最小限に抑えるために、シリンジバレル16の先端部の内部にぴったりと合うように構成された延長部分235を備える。延長部分135は、シリンジ10の組立中に、シリンジバレル16内におけるストッパ112の適切な配向を補助するためにも使用され得る。
【0046】
閉鎖前方端部228の方向へと主要本体部分224の外周部の周囲に延在する第1の外周スカート236が、設けられる。第1の外周スカート236の主要な目的は、以降においてさらに詳細に論じるように、ストッパ本体とシリンジバレル16の内方壁部38との間に「能動的シール」を形成することである。また、ストッパ212は、開口後方端部226の方向へと主要本体部分224の外周部の周囲に延在する第2の外周スカート240を備える。第2の外周スカート240の主要な目的は、軸方向においてストッパ212に安定性を与えること、およびストッパ212の傾斜を防止することである。さらに、流体圧力が、吸引中にシリンジバレル116の内部において低下すると、第2の外周スカート240は、シリンジバレル16の内方壁部38に対して押し付けられ、これにより、ストッパ212とシリンジバレル16の内方壁部38との間に封止圧力がもたらされる。
【0047】
図12に示すように、ストッパ212の主要本体部分224は、実質的に中空であり、プランジャロッド214の装着部分242を受けるように設計される。主要本体部分224の内周部の周囲に延在するノッチ244が、設けられる。ノッチ244は、上方傾斜部分246を備える。
【0048】
ノッチ244は、プランジャロッドの装着部分242に係合するように構成され、それにより、注射中に、上方傾斜部分246が装着部分242に係合し、これにより、主要本体部分224がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向へと)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが、主要本体部分224と内方壁部38との間に形成される。
【0049】
先端部234から開口後方端部226の方向に延在する延長部266もまた設けられる。この延長部266は、実質的に円筒状の中空本体部分268を有し、この中空本体部分268は、ストッパ212の開口後方端部226に対面するその底部部分に開口270を有する。開口270は、本体部分268の直径よりも小さい直径を有し、これにより、開口270に隣接する軸受表面272が形成される。
【0050】
図14および
図15を参照すると、プランジャロッド214は、長手方向軸Xに沿って延在する、前方端部252および後方端部254を有するシリンジプランジャ本体250を備えてもよい。装着部分242は、シリンジプランジャ本体250の前方端部252に関連付けられる。装着部分242は、ストッパ212のノッチ244に係合するように設計されたテーパ状リング256と、注射中に閉鎖前方端部228の可撓性ルーフの下方表面260に接触するように構成された延長部分258とを備え、これにより、ラジアル方向への可撓性ルーフの拡張が制限される。また、装着部分242は、シリンジプランジャ本体250の前方端部252から延在し、以降において論じられるようにストッパ212の延長部266に係合するように構成された、円錐ヘッド264を有するロッド263を備える。
【0051】
また、シリンジプランジャ本体250は、ストッパ212の主要本体部分224の開口後方端部226に隣接して位置決めされた保持リング262を備えてもよい。保持リング262は、プランジャロッド214がシリンジバレル16から外れるのを防止するために設けられる。
図13を参照すると、プランジャロッド214が、開口後方端部226を通りストッパ212内に挿入されると、テーパ状リング256は、ノッチ244に係合し、ロッド263は、延長部266の開口270内に挿入され、それにより、プランジャロッド214が定位置にロックされ、ストッパ212からの分離が防止される。
【0052】
続いて
図13を参照すると、剛性プラスチックストッパ212は、能動的封止機能を備え、それにより、シリンジ10内部の流体圧力が注射により上昇した場合に、ストッパ212とシリンジバレル16との間の封止圧力もまた、第1の実施形態および第2の実施形態を参照として上記において詳細に説明したように3つの別個の圧力作用による動作によって上昇する。吸引中に、ロッド263の円錐ヘッド264は、延長部266の軸受表面272に接触することにより、負圧によって可撓性ルーフが引き上げられる結果として、主要本体部分224の可撓性ルーフをシリンジバレル216の内方壁部38の方向へとラジアル方向に拡張させる。かかる構成は、より大きなルーフ面積が負圧に対してさらされるより大きなシリンジサイズ(10ml〜60ml)の場合に適する。
【0053】
図16〜
図18を参照すると、参照数字312として全体的に示されるストッパの第4の実施形態が図示される。ストッパ312は、プランジャロッド314の代替的実施形態(
図19および
図20を参照)を受けるように構成された開口後方端部326と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部328とを画定する、主要本体部分324を備える。主要本体部分324の閉鎖前方端部328は、第1の傾斜部分330および第2の傾斜部分332を備え、これらは共に、先端部334まで延在する同一の円錐表面の一部である。先端部334は、注射の完了後に未使用の薬剤が残留するシリンジバレル16内のスペースを最小限に抑えるために、シリンジバレル16の先端部の内部にぴったりと合うように構成された延長部分335を備える。また、延長部分335は、シリンジ10の組立中に、シリンジバレル16内におけるストッパ312の適切な配向を補助するためにも使用され得る。
【0054】
閉鎖前方端部328の方向へと主要本体部分324の外周部の周囲に延在する第1の外周スカート336が設けられる。第1の外周スカート336の主要な目的は、以降においてさらに詳細に論じるように、ストッパ本体と、シリンジバレル16の内方壁部38との間に「能動的シール」を形成することである。また、ストッパ312は、開口後方端部326の方向へと主要本体部分324の外周部の周囲に延在する第2の外周スカート340を備える。第2の外周スカート340の主要な目的は、軸方向においてストッパ312に安定性を与えること、およびストッパ312の傾斜を防止することである。さらに、流体圧力が、吸引中にシリンジバレル16の内部において低下すると、第2の外周スカート340は、シリンジバレル16の内方壁部38に対して押し付けられ、これにより、ストッパ312とシリンジバレル16の内方壁部38との間に封止圧力がもたらされる。
【0055】
図17に示すように、ストッパ312の主要本体部分324は、実質的に中空であり、プランジャロッド314の装着部分342を受けるように設計される。主要本体部分324の内周部の周囲に延在するノッチ344が、設けられる。ノッチ344は、上方傾斜部分346を備える。溝345が、可撓性ルーフおよび/または主要本体部分324の剛直性を調整することにより所望の撓曲応答を実現するために、主要本体部分324の可撓性ルーフのエッジに沿って設けられてもよい。
【0056】
ノッチ344は、プランジャロッドの装着部分342に係合するように構成され、それにより、注射中に、上方傾斜部分346が装着部分342に係合し、これにより、主要本体部分324がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向へと)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが、主要本体部分324と内方壁部38との間に形成される。
【0057】
先端部334から開口後方端部326の方向に延在する延長部366もまた設けられる。この延長部366は、実質的に円筒状の中空本体部分368を有し、この中空本体部分368は、その外径部分からおよびその外径部分の周囲に延在する軸受表面372を有する。
【0058】
図19および
図20を参照すると、プランジャロッド314は、長手方向軸Xに沿って延在する前方端部352および後方端部354を有する、シリンジプランジャ本体350を備える。装着部分342は、シリンジプランジャ本体350の前方端部352に関連付けられる。装着部分342は、ストッパ312のノッチ244に係合するように設計されたテーパ状リング356と、シリンジプランジャ本体350の前方端部352から延在する開口363を有し、以降において論じられるようにストッパ312の延長部366に係合するように構成された、円筒状本体361とを備える。開口363は、本体361の直径よりも小さな直径を有し、これにより、開口363に隣接して軸受表面364が形成される。
【0059】
また、シリンジプランジャ本体350は、ストッパ312の主要本体部分324の開口後方端部326に隣接して位置決めされた、保持リング362を備えてもよい。保持リング362は、プランジャロッド314がシリンジバレル16から外れるのを防止するために設けられる。
図18を参照すると、プランジャロッド314が、開口後方端部326を通りストッパ312内に挿入されると、テーパ状リング356は、ノッチ344に係合し、延長部366は、円筒状本体361の開口363内に挿入され、それにより、プランジャロッド314は、定位置にロックされ、ストッパ312からの分離が防止される。
【0060】
続いて
図18を参照すると、剛性プラスチックストッパ312は、能動的封止機能を備え、それにより、シリンジ10内部の流体圧力が注射により上昇した場合に、ストッパ312とシリンジバレル16との間の封止圧力もまた、第1の実施形態から第3の実施形態を参照として上記において詳細に説明したように3つの別個の圧力作用による動作により上昇する。吸引中に、円筒状本体361の軸受表面364は、延長部366の軸受表面372に接触することにより、負圧によって可撓性ルーフが引き上げられる結果として、主要本体部分324の可撓性ルーフをシリンジバレル216の内方壁部38の方向へとラジアル方向に拡張させる。また、かかる構成は、より大きなルーフ面積が負圧に対してさらされるより大きなシリンジサイズ(10ml〜60ml)の場合に適する。
【0061】
図21〜
図23を参照すると、参照数字412として全体的に示されるストッパの第5の実施形態が図示される。ストッパ412は、プランジャロッド414(
図24および
図25を参照)を受けるように構成された開口後方端部426と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部428とを画定する、主要本体部分424を備える。主要本体部分424の閉鎖前方端部428は、第1の傾斜部分430および第2の傾斜部分432を備え、これらは共に、先端部434まで延在する同一の円錐表面の一部である。これにより、実質的に円錐状の外観が閉鎖前方端部428に与えられる。
【0062】
閉鎖前方端部428の方向へと主要本体部分424の外周部の周囲に延在する第1の外周スカート436が設けられる。第1の外周スカート436の主要な目的は、上記において論じたように、ストッパ本体とシリンジバレル16の内方壁部38との間に「能動的シール」を形成することである。また、ストッパ412は、開口後方端部426の方向へと主要本体部分424の外周部の周囲に延在する第2の外周スカート440を備える。第2の外周スカート440の主要な目的は、軸方向においてストッパ412に安定性を与えること、およびストッパ412の傾斜を防止することである。さらに、流体圧力が、吸引中にシリンジバレル416の内部において低下すると、第2の外周スカート440は、シリンジバレル16の内方壁部38に対して押し付けられ、これにより、ストッパ412とシリンジバレル16の内方壁部38との間に封止圧力がもたらされる。
【0063】
図23に示すように、ストッパ412の主要本体部分424は、実質的に中空であり、プランジャロッド414の装着部分442を受けるように設計される。フランジ444が、ストッパ412の中心方向に、および主要本体部分424の内周部の周囲に延在する。フランジ444は、上方傾斜部分446および下方傾斜部分448を備える。
【0064】
フランジ444は、プランジャロッド414の装着部分442に係合するように構成され、それにより、吸引中に、下方傾斜部分448は装着部分442に係合し、これにより、主要本体部分424はラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが、主要本体部分424と内方壁部38との間に形成される。
【0065】
図24および
図25を参照すると、プランジャロッド414は、長手方向軸Xに沿って延在する、前方端部452および後方端部454を有するシリンジプランジャ本体450を備えてもよい。装着部分442は、シリンジプランジャ本体450の前方端部452に関連付けられる。装着部分442は、ストッパ412のフランジ444に係合するように設計された第1のリング456と、注射中に閉鎖前方端部428の可撓性ルーフの下方表面460に接触するように構成された延長部分458とを備え、これにより、ラジアル方向への可撓性ルーフの拡張が制限される。また、装着部分442は、前方端部452に設けられた第2のリング461を備える。第2のリング461は、注射中に、第2のリング461の上方表面が可撓性ルーフの下方表面460に係合し、それにより、主要本体部分424がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが、主要本体部分424と内方壁部38との間に形成されるように、構成される。
【0066】
また、シリンジプランジャ本体450は、ストッパ412の主要本体部分424の開口後方端部426に隣接して位置決めされた保持リング462を備えてもよい。この保持リング462は、プランジャロッド414がシリンジバレル16から外れるのを防止するために設けられる。
図23を参照すると、プランジャロッド414が、開口後方端部426を通りストッパ412内に挿入されると、第1のリング456は、フランジ444に係合し、それにより、プランジャロッド414は、定位置にロックされ、ストッパ412からの分離が防止される。
【0067】
図26〜
図28を参照すると、参照数字512として全体的に示されるストッパの第6の実施形態が図示される。ストッパ512は、プランジャロッド514(
図29および
図30を参照)を受けるように構成された開口後方端部526と、可撓性ルーフを形成する閉鎖前方端部528とを画定する、主要本体部分524を備える。主要本体部分524の閉鎖前方端部528は、第1の傾斜部分530および第2の傾斜部分532を備え、これらは共に、先端部534まで延在する同一の円錐表面の一部であり、これにより、実質的に円錐状の外観が閉鎖前方端部528に対して与えられる。
【0068】
閉鎖前方端部528の方向へと主要本体部分524の外方円周部の周囲に延在する第1の外周スカート536が、設けられる。第1の外周スカート536の主要な目的は、上記において論じたように、ストッパ本体とシリンジバレル16の内方壁部38との間に「能動的シール」を形成することである。また、ストッパ512は、開口後方端部526の方向へと主要本体部分524の外周部の周囲に延在する第2の外周スカート540を備える。第2の外周スカート540の主要な目的は、軸方向においてストッパ512に安定性を与えること、およびストッパ512の傾斜を防止することである。さらに、流体圧力が、吸引中にシリンジバレル16の内部において低下すると、第2の外周スカート540は、シリンジバレル16の内方壁部38に対して押し付けられ、これにより、ストッパ512とシリンジバレル16の内方壁部38との間に封止圧力がもたらされる。
【0069】
図27に示すように、ストッパ512の主要本体部分524は、実質的に中空であり、プランジャロッド514の装着部分542を受けるように設計される。フランジ544が、ストッパ512の中心方向に、および主要本体部分524の内周部の周囲に延在する。フランジ544は、上方傾斜部分546および下方傾斜部分548を備える。
【0070】
フランジ544は、プランジャロッド514の装着部分542に係合するように構成され、それにより、吸引中に、下方傾斜部分548が装着部分542に係合し、これにより、主要本体部分524がラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやられ、それにより、より高い強度のシールが、主要本体部分524と内方壁部38との間に形成される。
【0071】
図29および
図30を参照すると、プランジャロッド514は、長手方向軸Xに沿って延在する、前方端部552および後方端部554を有するシリンジプランジャ本体550を備えてもよい。装着部分542は、シリンジプランジャ本体550の前方端部552に関連付けられる。装着部分542は、ストッパ512のフランジ544に係合するように設計されたディスク556を備える。また、ディスク556は、前方端部552に設けられたテーパ状表面561を備える。テーパ状表面561は、注射中に、可撓性ルーフの下方表面560に係合し、これにより、主要本体部分524をラジアル方向に(すなわちバレル壁部の方向に)押しやり、それにより、より高い強度のシールが主要本体部分524と内方壁部38との間に形成されるように、構成される。
【0072】
また、シリンジプランジャ本体550は、ストッパ512の主要本体部分524の開口後方端部526に隣接して位置決めされた保持リング562を備えてもよい。この保持リング562は、プランジャロッド514がシリンジバレル16から外れるのを防止するために、設けられる。
図28を参照すると、プランジャロッド514が、開口後方端部526を通りストッパ512内に挿入されると、ディスク556は、フランジ544に係合し、それにより、プランジャロッド514は、定位置にロックされ、ストッパ512からの分離が防止される。
【0073】
図31および
図32を参照すると、シリンジバレル16は、その流体分配端部付近にエリア10を備えてもよく、このエリア100は、シリンジバレル16の残りのエリアの内径D
2よりも大きな内径D
1を有する。このエリアは、第1の外周スカート436が保管中などにこのエリアに隣接して位置決めされる場合に、第1の外周スカート436を受けるように構成される。保管中には、ポリマーのクリープ現象(すなわち永久変形/永久弛緩)が、ストッパ412とバレル16との間における初期締め代および接触応力により、第1の外周スカート436の外径部分に生じる。かかるエリア100を設けることにより、第1の外周スカート436は、バレル16の残りの部分の直径D
2よりも大きな直径D
1を有するエリア100内へとクリープ/調節されることが確実となり、これにより、シリンジ10が使用される場合に、バレル16の内方壁部38とストッパ412との間の密接な接触が確保され得る。エリア100は、約0.01mmから約0.4mmの深さを有してもよく、望ましくは約0.1mmから約0.3mmの深さを有してもよい。
【0074】
本発明のこの特徴は、第5の実施形態に関連して論じられたが、上述の実施形態のいずれもが、かかるエリア100を有するシリンジバレル16を備えてもよい。さらに、エリア100が、設けられない場合には、シリンジの保管寿命中にまたはその滅菌中に、制御されたクリープ量(すなわち制御されたクリープ)のみを受けるように、ストッパ材料を注意深く設計することにより、同一のストッパ設計を機能させることが可能である。さらに、ストッパ412は、可撓性ルーフおよび/または主要本体部分424の剛直性を調整することにより所望の撓曲応答を実現するために、先端部434の下方の可撓性ルーフの下方表面460内に位置決めされたノッチ462をさらに備えてもよい。
【0075】
本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、これらの詳細に対する様々な修正および代替が、本開示の教示全体を鑑みて展開され得ることが、当業者には認識されよう。したがって、開示された特定の構成は、専ら例示として意図されるものであり、添付の特許請求の全範囲およびその全ての均等物が付与される本発明の範囲に関する限定としては意図されない。